もう30年も前のことですが、現在松本歯科大学の教授としてご活躍の宇田川信之先生は、肺胞マクロファージが破骨細胞へと分化することを報告されました。この肺胞マクロファージの破骨細胞分化はCSF-1依存的であることも示されました(ProcNatlAcadSciUSA.1990Sep;87(18):7260-4)。このような古い話を持ち出したのは、この論文でコロンビア大学のKamalM.Khannaらが肺に存在する組織マクロファージの重要性を示したからです。肺に存在するマクロファージは肺胞マクロファージ(alveolarmacrophage,AM)と間質内マクロファージ(interstitialmacrophage,IM)に大別されることが知られています。IMはさらにいくつかのsubpopulationに分かれますが、...肺に存在する2種類のマクロファージの役割
オープンソースプロジェクト「ネクストストレイン(Nextstrain.org)」についてのとてもわかりやすい解説です(ネクストストレインは最近日本語でも見られるようになりました)。https://nextstrain.org/narratives/ncov/sit-rep/ja/2020-03-27ウイルスゲノムの変異が毒性を増していることを意味しないこと、ウイルスの遺伝子系統樹をたどることで感染経路をある程度辿ることができることなどが分かります(Lタイプ、Sタイプというような分類に意味がないことも分かります)。シアトルで最初に感染者が見つかった1月21日以降、何週間もの間、シアトルの人々の間でウイルスがいわばひっそりと培養され続けていたこと、最初の患者が中国の武漢を訪れた35歳の人物だったことなども明らかにな...ウイルスゲノムからわかること
”To wear a mask, or not: that is the question”
ウイルスの呼吸器感染におけるマスクの効用については疑問視する意見もあり、特にマスクをつける習慣に乏しい欧米ではインフルエンザが流行する時期でも(病人以外は)ほとんどマスクを着用しません。WHOも無用なマスク着用は推奨しない、というようなメッセージを出しています。もちろんマスクに呼吸器感染予防効果があるかどうか、というようなRCTが行われている訳ではないので、「マスクをしてもウイルスは通過するので無意味。そもそもエビデンスはあるのか」と言われると、答えは「ありません」ということになります。しかし1918年のスペイン風邪パンデミックの際に、サンフランシスコでは保健委員会委員長のウイリアム・ハスラー博士を中心に制定された「マスク着用条例」が施行され、「公衆の行き来する街頭やすべての公共の場、もしくはどのような形であれ...”Towearamask,ornot:thatisthequestion”
①まずは医療従事者の確保が医療崩壊防止に重要と思います。特に4月1日からの病院職員の交代(新人が大量に勤務を始める)が一つの山場(危機)になると考えます。現状では医療従事者に感染が出た場合に病院閉鎖になっていますが、これでは4月以降多くの病院が閉鎖になり医療崩壊になる可能性が高いと思います。3月中に上のレベル(政府?病院長会議?)から医療従事者に感染を避けるように強く呼び掛けていただく必要を感じます。また職員の感染症予防ためには、まずは病院の備品(マスク、消毒液、防護服、人工呼吸器など)の欠品がないように手配していただきたいです。②コロナ疑いの患者のフローを確立することが重要と思います。特に民間病院や開業医が感染を疑った場合、現状では移送先の病院が長時間決まらないという事態が頻発しています。③軽症者のあつかいレ...新型コロナウイルス感染症についての提言
関節リウマチの治療薬は基本的に免疫を抑制するものが多いため、手術を行う場合には術後感染などの合併症が懸念されます。日本のガイドラインでは生物学的製剤については術前後の休薬を推奨してはいますが、休薬によって合併症が少なくなるという強いエビデンスがあるわけではありません。著者らは以前に人工関節手術における生物学的製剤の影響を解析し、ネガティブなものはなかったと報告しています(Georgeetal.,ArthritisCareRes2017;69:1845–54;Georgeetal.,ArthritisCareRes2019;71:1224–33)。この論文ではアメリカMedicareのデータベースを用いて手術後の死亡率や再入院率に対して免疫抑制療法が与える影響を検討しています。2006年から2015年までに大腿骨...関節リウマチ患者の術後死亡率・再入院率に対する治療薬の影響
SARS-CoV-2の母子垂直感染については、過去にLancetに否定的な論文が出ましたが(Chenetal.,Lancet.2020Mar、7;395(10226):809-815)、今回は2つのグループから垂直感染を示唆する症例報告がJAMAにLetterという形で発表されました(Dongetal.,JAMA.PublishedonlineMarch26,2020.doi:10.1001/jama.2020.4621;Zengetal.,JAMA.PublishedonlineMarch26,2020.doi:10.1001/jama.2020.4861)。ウイルスの子宮内感染は可能性として考える必要があると思いますが、同じ号に発表されたDavidW.KimberlinとSergioStagnoによるEdi...新型コロナウイルスの垂直感染例
以前にも書きましたが、なんでもかんでも腸内細菌のせい、という研究はいかがなものかと思いますが、食事からの栄養吸収に腸内環境が重要だ、といわれると「そうだろうな」と納得してしまいます。食事のうちどのくらいをエネルギーとして利用できるかには個人差があるようで、便へのエネルギーロスは2-9%と結構ばらつきがあることが知られています。しかしその理由はよくわかっていません。著者らはこの論文で便へのエネルギーロスにおける腸内細菌の役割を果たしているかを検討しました。調べたのはPhaseI:過剰エネルギー食(通常食の1.5倍=overfeedingdiet,OF)および過少エネルギー食(通常食の0.5倍=underfeedingdiet,UF)の影響、そしてPhaseII:バンコマイシン(VCM)投与の影響です。PhaseI...腸内細菌とダイエットと抗菌薬
コロナウイルス禍が世界的な広がりを見せる中で、従来から行ってきた臨床試験をどのように進めていくかが問題になっています。特に欧米のように都市がlockdownになっているような場所では難しい対応を迫られています。本来臨床研究(特にRCTなど)は、現在研究に参加している患者のためというよりは、未来の患者や社会に役に立つために行っているという意味合いが少なくないので、拙速な中止などによって試験全体を台無しにすることはなるべく避けるべきです。このJAMAのViewpointでは、コロナ時代の臨床研究の進め方についての有益なアドバイスが挙げられています。例えば①アウトカムに優先順位をつけて重要なprimaryoutcomeにしぼる、②対面でアウトカムを収集できない場合には代替方法を準備する、③遠隔でも電話や郵送で収集でき...コロナ時代の臨床研究のあり方
2月28日にドイツのChristianDrosten教授らがSARS-CoV-2のゲノム配列を初めて発表してからこれまでに1500以上の配列が報告され、onlineplatformGISAIDでshareされています。このウイルスにおいても他のウイルス同様に色々な変異が出現していますが、変異出現速度はインフルエンザウイルスより遅いようです。まだまだ検体数も少ないため、例えばどこで流行しているウイルスがどこ由来である、などというような推定は難しいにもかかわらず「ミュンヘンの流行がヨーロッパ中に広まった」というような不確かな情報が拡散していることには懸念が示されています。また変異がウイルスの性質を変えることは考えにくいにもかかわらず、北京大学のLuJian教授らによる「LタイプとSタイプがあってLタイプがより重症化...SARS-CoV-2のゲノム配列
アポトーシスは、線虫の発生過程やT細胞のポジティブ・ネガティブな選択過程で見られるように、決まった場所で決まった時間にプログラムされたように生じる細胞死(プログラム細胞死)です。細胞内ではカスパーゼによるDNAの切断などが見られますが、ネクローシスとは異なり周囲の組織に炎症を誘導することのない細胞死という特徴があり、「静かな」細胞死と呼ばれています。このようなアポトーシスの非炎症惹起性(抗炎症性)は、マクロファージによるアポトーシス細胞の速やかな貪食によるものと考えられていますが、この論文で著者らはアポトーシス細胞が能動的に抗炎症性メタボライトを分泌することを報告しています。まずヒトT細胞性白血病由来のJurkatt細胞分泌物質のメタボロミクスによって、アポトーシス時に特異的に分泌される低分子メタボライト(代謝...アポトーシス細胞のメタボライトは抗炎症作用を示す
喫煙はカドミウム曝露増加を介して骨密度低下・骨折リスクを増加させる
喫煙は様々な疾患のリスク因子となっていますが、骨粗鬆症も例外ではなく、喫煙者は骨折リスクが高いことが知られています。喫煙がどのような機序で骨折を増加させるのかについては不明な点も多く、例えば酸素濃度が下がることで転倒しやすくなるのではないか、などとも推測されていたのですが、本研究で著者らは喫煙がカドミウムへの曝露を増加させることで骨密度低下、骨折のリスクを高めるという非常にユニークな結果を示しています。日本人にとってカドミウムはイタイイタイ病の原因として悪名が高いですが、低濃度のカドミウムへの曝露であっても骨粗鬆症および骨折のリスクを上昇させることが最近報告され、注目されています(Akessonetal.,EnvironHealthPerspect.2014;122(5):431-8;Sommaretal.,C...喫煙はカドミウム曝露増加を介して骨密度低下・骨折リスクを増加させる
神経線維腫症1型に対してMEK阻害薬selumetinibが有効
Neurofibromatosistype1はvonRecklinghausen病の名前で有名ですが、autosomaldominantの遺伝様式をとり、神経線維種(neurofibroma)が多発する疾患です。時として悪性化することがあるので、大きくなったものは切除することも多いのですが、厄介なのは腕神経叢など主要な神経にできた腫瘍や脊椎近傍に出現した場合などは切除不能なこともあり、巨大になってくると高度な骨破壊をきたすなど、かなり厄介な疾患です。原因遺伝子であるneurofibromin(NF1)はsmallGproteinであるRAS遺伝子のGTPase-activatingproteinであり、RAS-MAPkinase系を抑制する分子であり、NF1患者ではNF1遺伝子の変異によってRAS-MAPkin...神経線維腫症1型に対してMEK阻害薬selumetinibが有効
Romosozumabとalendronateの臨床効果を比較したARCHstudyでは、1年目romosozumabu→2年目alendronate(Romo群)は2年間alendronate群(ALN群)と比較して骨密度増加に優れ、脆弱性骨折の減少が見られましたが、重篤な心血管有害事象がRomo群で多かったという結果でした。このためromosozumabの承認は遅れ、またわが国でも「骨折抑制のベネフィットと心血管系事象の発現リスクを十分に理解した上で、適用患者を選択すること」という警告が出されています。今回の論文は東アジア(香港、韓国、台湾)からのARCHstudy参加者のサブ解析です。2年目の新規椎体骨折はRomo群で60%少なく(P=0.11)、臨床骨折は44%(P=0.15)少ないという結果でした。骨...ARCH試験の東アジア患者での解析
近年ACS,SIS,WHO,CDCなどから手術部位感染予防についてのガイドラインが立て続けに出されていますが、それらの要点をサマライズしたClinicalUpdateです。予防的非経口抗菌薬投与(parenteralantimicrobialprophylaxis)、アルコールによる皮膚消毒(alchol-basedskinpreparation)、周術期血糖コントロール(perioperativeglycemiccontrol)、体温を正常に保つ(temperatureregulationtonormothermia)、正常な組織酸素化(maintenanceofnormaltissueoxygenation)については全てのガイドラインで強く同意されており、術前腸管処置(preoperativebowelp...手術部位感染予防のガイドライン
報道でも話題になったfavipiravir(FPV,アビガンⓇ)のCOVID-19に対する有効性を示した論文です。2020年1月30日から2月14日までにCOVID-19と診断された患者をスクリーニングしてFPV群(初日は1600mg/day、2日目ー14日目は600mg/day投与,N=35)に割り付けて、2020年1月24日から30日にLopinavir/ritonavir(LPV/RTV)で治療が行われた群(コントロール群,N=45)と比較したopen-labelnonrandomizedcontrolstudyです。いずれの群もIFN-α1b60μgx2/dayの吸入を受けています。エンドポイントはウイルスが検出されなくなるまでの期間、CTによる肺所見の変化です。ウイルスが検出されなくなるまでの期間は、...アビガンがCOVID-19肺炎に有効
大腿骨頚部骨折では骨頭への血流の問題があり、骨接合術では偽関節(5%-28%)、骨頭壊死(5-18%)のリスクが高いとされています。人工骨頭置換術、人工股関節全置換術いずれも優れた術後成績が示されていますが、多くの症例は人工骨頭置換術を受けています。また人工骨頭の場合、大腿骨ステムの固定についてはsystematicreviewでcement固定が優れていることが示されていますが、アメリカでは人工骨頭の60%ではuncementで固定されているそうです。日本ではもう少し多いかもしれません。この論文で著者らはKaiserPermanenteHipFractureRegistryを用いてcement,uncementの人工骨頭の成績を比較しました。2009年1月1日から2017年12月31日までに36病院、481外...人工骨頭はセメント固定の方が良い
腰椎椎間板ヘルニアに伴う坐骨神経痛対する椎間板切除術(diskectomy)の有効性についてはこれまでにも多くの研究で検証されており、短期的には保存療法よりも症状を緩和するが、6ー12カ月後には変わらなくなる、とする研究が多いようです(Peuletal.,NEnglJMed2007;356:2245-56;Ostermanetal.,Weinsteinetal.,JAMA2006;296:2441-50など)。しかしこれらの研究では組み込まれた患者における坐骨神経痛の持続が3カ月以内と急性期・亜急性期が大部分でした(WeinsteinらのSPORTtrialでは手術群の方が成績は良かったのですが、治療adherenceが悪く評価が難しいという結果でした)。カナダから報告されたこの研究では、4カ月から12カ月片側...腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛に手術は有効
人工股関節全置換術のアプローチについては色々な比較が行われていますが、この後方視的研究では背景をマッチさせた症例群で前方(2993例)vs側方(2326例)or後方アプローチ(66例)で合併症を比較しています。結果としては前方アプローチの方が在院日数は少なかったものの、外科治療が必要な深部感染、脱臼(!)、再置換が多かったということです。前方アプローチ大好きな外科医もたくさんいますので色々と文句もあるかと思いますが、やはりラーニングカーブの問題はありそうです。特に脱臼が多いというのはコンポーネントの設置位置不良が疑われますので、経験豊富な外科医であればそのようなことはないでしょう。日本のようにある程度しっかりとトレーニングを積んだ外科医が行えば、前方アプローチの方が脱臼が少なく成績も良好なのではないかと思います...THAのアプローチは前方が・・
脳や脊髄などの中枢神経は一旦損傷を受けると治癒が難しいことが知られています。この理由の一つとして、軸索の再生に必要な大きなエネルギー(ATP)を得ることが難しいということが挙げられます。特に極性を持った神経細胞において、伸長した軸索の先端までATPの供給に必要なミトコンドリアを運ぶことは非常に困難であると考えられます。著者らは以前に神経終末膜蛋白質のsyntaphilin(Snph)がミトコンドリアの固定に働くこと、そしてSnphのノックアウトマウスでは神経細胞内のミトコンドリアの運動が亢進していることを報告しています(Zhouetal.,J.CellBiol.214,103–119)。この論文で彼らは3つの中枢神経損傷モデル(第5頚髄背側半切モデル、片側錐体路切断モデル、第8胸髄全切断モデル)を用いて、Snp...エネルギー補給で脊髄損傷の治癒が促進する
今回のコロナウイルス禍は色々なことを勉強する機会になりましたが、下の記事は感染症の季節性について色々な研究がなされているという内容です。インフルエンザが冬場に流行することが多いことはよく知られていますが、実はその理由ははっきりとはわかっていません。それ以外にも様々な感染性疾患がそれぞれ異なった流行パターンを有しています。もちろん多くの交絡因子があるために正確な結論を得るのは難しいと考えられます(その季節にお祭りなど人ごみになりやすいイベントがあるかどうかなど)が、色々な仮説が検証されています。例えば湿度、温度、ヒト間の接触機会、食事やビタミンDの違い、媒介する昆虫の繁殖等々。ウイルス自体の様々な特徴(エンベロープを有するかどうかなど)も重要であることが分かっています。また免疫機能の季節変動、日内変動についても研...感染症と季節性
このBMJのコラムでUniversityCollegeLondonのSusanMatie教授らは、COVID-19流行のピークを遅らせる・抑えるために行動変容の重要性を述べています。簡単にまとめますと1)Createamentalmodel.ウイルス伝播プロセスを正確に理解して「それを防ぐために何をすればよいか」というメンタルモデルを持つことが人々のmotivationを高める。2)Createsocialnorms.社会規範を作成すること。例えばトイレに行った後は手を石鹸で洗うのが当然である(しないと恥ずかしい)、というような規範をメディアも協力して作ること。3)Createtherightlevelandtypeofemotion.感情のコントロールをすること。不安と嫌悪を上手に使う(例えば手洗いしないこと...感染拡大防止には行動変容が重要
"History in a Crisis - Lessons for Covid-19"を読んで
2020年3月現在、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染は世界的な広がりを見せ、多くの国で混乱を引き起こしています。フランスのマクロン大統領は「100年で最大の衛生上の危機」というコメントを出していますし、以前から疫病のアウトブレイクに警鐘を鳴らしていたビル・ゲイツ氏もやはり今回のウイルスは「100年に1度」のレベルであるとしています。彼らが「100年」と言っているのはキリが良いという理由もあるのでしょうが、おそらく1918年のインフルエンザ(いわゆるスペイン風邪)のパンデミックを念頭に置いていると思われます。しかしこの100年間に疫病が全くなかった訳ではなく、インフルエンザだけでも何回かの世界的大流行(1968年の香港風邪や2009年の豚インフルエンザなど)はありましたし、1980年代にはHIVウイ..."HistoryinaCrisis-LessonsforCovid-19"を読んで
米国MITからの報告。抗菌薬の開発は耐性菌とのいたちごっこになってしまい、どの製薬会社も現在ではあまり積極的に行っていないのが現状です。この研究はAIを用いた極めて洗練されたアプローチによって新たな抗菌薬の同定を行ったというものです。公開されているデータベースなどを用いて大腸菌に対する増殖抑制効果を有する薬剤の構造や機能をdeeplearningで学習させたAIによってDrugRepurposingHub(様々な開発ステージにある分子を集めたBroadInstituteのデータベース;Corselloetal.,NatMed.2017Apr7;23(4):405-408)をスクリーニングし、新たな抗菌活性を持つc-JunN-terminalkinaseinhibitorSU3327(halicin)を同定しまし...AIによる新たな抗菌薬の同定
関節リウマチなどの自己免疫疾患では自己抗体の出現が特徴的ですが、この論文ではクリオグロブリン血管炎患者で見られる病原性リウマトイド因子(RF)に着目して、このようなRFを産生するB細胞(悪玉B細胞)は同じB細胞に由来しており、この細胞ではB細胞リンパ腫で見られるdriver遺伝子変異が認められることをシングルセル解析で明らかにしました。Driver遺伝子変異の存在により、何らかのメカニズムで免疫グロブリン遺伝子の多様性を発生させるようなミスセンス体細胞変異が生じ、病原性のあるRFの産生に至るということです。この結果は自己免疫疾患患者にリンパ腫が多いことの原因と関連している可能性がありそうです。 Cell. 2020Mar5;180(5):878-894.e19.doi:10.1016/j.cell.2020.0...自己抗体出現のメカニズム
フッ化物(fluoride)は歯や骨などの石灰化組織に沈着し、適切量の摂取はう蝕予防効果があることが知られています。フッ化物が添加さている歯磨き粉もたくさん売られていますし、海外では水道水にフッ化物が添加されている国も多くあります。しかし過剰量のフッ化物摂取はdentalfluorosis(斑状歯など)やskeletalfluorosisを惹起します。この論文ではフッ素(NaF)刺激がエナメル細胞において、特異的な細胞内カルシウムシグナルを生じることを明らかにしています。またこれによってミトコンドリア機能にも影響を与えます。この結果はエナメル細胞においてはフッ素の特異的な受容メカニズムが存在する可能性を示唆するものです。ただしこの研究で使用しているNaFの濃度はmM単位と非常に高濃度のものですし、NaFが蛋白抽...エナメル細胞に対するフッ化物の作用
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