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ブログタイトル
雑文記【ひびろぐ】
ブログURL
https://www.hibilog.site
ブログ紹介文
ほんのり心に残る半径10㎝のショートストーリー。 いつだって私たちの手のひらには物語がある。
更新頻度(1年)

34回 / 41日(平均5.8回/週)

ブログ村参加:2020/02/19

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ハンドル名
ぱあぷうさん
ブログタイトル
雑文記【ひびろぐ】
更新頻度
34回 / 41日(平均5.8回/週)
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雑文記【ひびろぐ】

ぱあぷうさんの新着記事

1件〜30件

  • 風の強い日が苦手な理由。

    風が強い日は苦手。 せっかくまとめた髪の毛がすぐに乱れる。 お気に入りの服はしわになったり汚れたり。 歩いても自転車に乗っても、大体向かい風。 まだひんやりする風が強ければ強いほど、私の行く手を阻む。 目の前のことだけに必死になって、前から吹いてくる風に目を細めてそのうちなにも見えなくなる。 扉は勝手に開くし、閉じる。 私の力じゃどうしようもない。 だから風の強い日は苦手なの。 そう思いながら、空を見上げる。 見えるものも見えないものも、いらないものを全部風が吹き飛ばしてくれて星が見える。 風に吹き飛ばされることのない、いくつもの星が。 たまに追い風になって。 あの人のところへ近づいてみな、っ…

  • 頑張った日に限って。

    今日は頑張ったと思ったときほど、頑張れと言われる。 どうしてなのだろう。 この頑張りが伝わらないなんて。 あなたのために頑張っているわけではないけど、寂しいもの。 そんなことはしょっちゅうあるから慣れているでしょう、なんて言われてもいつまで経っても慣れない。 いつかわかってくれる日がくると思っていたけど、それはいつなの? あなたの目から見たらそうなのかもしれないけど、私はそんなあなたを信用しない。 あなたの目は節穴なの? どこをどう見て言っているの? 結果が大切なことはわかっているけど結果がすべてじゃないと信じている。 あなたのことより随分と信じている。 甘いと言われようが関係ない。 甘いもの…

  • 私なりの涙の出し方。

    どのくらい泣いていないのか、自分でもわからない。 泣いたことはもちろんあるけれど、どうして泣いたのか思い出せないくらいに前のこと。 泣かないことはからだに悪いと聞いたから。 どうにかして涙を流したいと考える。 泣けると評判の映画を観る。 泣けない。 泣けるみんなが観て泣けると言うのなら、私が泣けるはずがない。 壁に頭を打ちつける。 危ない奴だと思われるから、誰もいないところで。 血が出るほど、骨が折れるほどにはやらないけれど十分痛い。 それなのに涙は出てこない。 痛いくらいで泣けたら苦労しない。 目をずっと開けてみる。 乾燥する瞳を本能が守るために涙の一粒でも流れてくるかと思ったけれど、そこま…

  • 染まる色、朝昼夜。

    朝はまだ冷えるから、頬がピンクに染まる。 指先に息を当てて、ホットの缶コーヒーを買う。冷たい頬に当てたら熱すぎて嫌になっちゃう。 昼は騒がしい町に飲み込まれる。 音や匂いに支配されて、見たものすべてに染まっていく。私は白くないのに、いろんな色にすぐに染まってしまう。 抗うのは簡単じゃない。気を抜いたらすぐに私は消えてしまう。 ここにいるよ、と大声で叫んでも誰にも届かないまま陽が傾く。 夕焼け見ながら歩いていって、橙に染まった家へと向かう。 帰りたくないと思っていても、そこしか帰る場所はないから。 できるだけゆっくり歩いていたら、邪魔だと舌打ちされて睨まれる。 知らないあなたにそんなことされる筋…

  • 爪切り、三日月、ゴミ箱。

    爪を切る。 パチンパチンと響く音。 それほど伸びてはいなかったけれど、気になったら切らずにはいられない。 爪が短すぎるといろいろ不便だから本当は切りたくないんだけど、少しでも短くしたい。 理由はわかっている。 爪のあいだに、あなたの痕跡が残っているから。 皮膚なのか細胞なのか汚れなのか匂いなのか。 あなたを引っ掻いた痕跡が、私の爪に残っている。 あなたはどこまでも適当で、その場しのぎで、耳障りの良い言葉と歯の浮くような言葉ばかり並べて積み重ねる。 そんなの嘘よ。 そうわかっていても、私は抗えない。 あなたはそれを知った上で言うから、本当に卑怯。 パチンパチンと爪を切る。 きれいに切れた爪は三日…

  • 歌声、公道、大声。

    歌う勇気もないくせに。 道を歩きながら自転車を漕ぎながら歌うあなたは、きっと幸せなのね。 なんの歌を口ずさんでいるのかはわからない。 あなたは音痴だから。 でも、良い曲なのでしょう。 歌いたくなるくらいに。 私だって、ひとりでこっそり口ずさむ歌はどれも私のどこかに突き刺さったものばかりだから。 人前で歌う勇気なんてないから。 あなたはすごく幸せなのでしょう。 でも、たまにうるさく感じてしまうのは許して。 窓だけじゃなく、カーテンまで閉めてしまうことも。 メロディーに耳を澄ませても、歌詞を読み取ろうとしても、なんの歌なのかわからない。 あなたは音痴だから。 それでも幸せなのでしょう。 自分が好き…

  • 隣のカーキはキレイに見える。

    カーキ色のブルゾン。 君が着ているのは随分と色が薄いね、僕のと比べて。 形は似ているけれど、細かいところは全然違う。 どうしてこんなにも違うのだろう。 君はよく似合っている。 名前も知らない君は、薄いカーキ色のブルゾンがよく似合っている。 どうして僕は似合わないのだろう。 濃いカーキ色のブルゾンが。 君のと僕の。サイズは違うけれどお互いサイズ感は悪くないのに。 色の濃さの問題だけではない気がする。 僕のイメージしていた着こなしを、君はしている。 名前も知らない君は。 道ですれ違っただけの君は、もうどこかへ消えてしまった。 ガラスに映る僕のブルゾンは、光の加減で少しだけ薄く見える。 そんなに悪く…

  • ハッピータイムを探してみたら。

    一日ずっとハッピータイムだったらうれしいけれど、そんなことはないから探しに行く。 いつがハッピータイムなのか。 ごはん食べている時。 おしゃべりしている時。 洋服選んでいる時。 眠っている時。 何も考えていない時。 いろいろ考えている時。 どうしてこんなに一日はあっという間に過ぎていくのか。 もう少し時間があってもいいのに。 ハッピータイムを探せば、時間は短く感じてしまう。 何かしている時も何もしていない時も。 いつだってハッピーだったらうれしいのに。 そんなことを考えている時が一番ハッピーだってあなたは知ってる?私は知らない。 いつがハッピータイムなのか。 ハッピーなことを探していれば、もう…

  • 手を伸ばし 宙ぶらりんな 君と春。

    あったかくなったと思っていたら、また寒くなる。 風が冷たいと思っていたら、時折心地良くて。 少しの油断もできないことはわかっていても、すぐに一喜一憂してしまう。 上がったり下がったり。どこを鍛えているのだろうか。同じことのくりかえし。 厚手のコートも薄手のニットも両方必要だからハンガーが足りなくなる。 クローゼットに入れることなくすぐそこにかけるから、狭い部屋がもっと狭くなってしまう。 いつかは必ず来るとわかっていながら待ち遠しい。 春はすぐそこにいて、手を伸ばせば届きそうなのに、いつもつれない。 春は必ずやってくるとわかっていても、君はどうだかわからない。 手を伸ばしたら届くところにいるのに…

  • 日記のようなもの⑤

    素直な気持ちが言えなくて。 素っ気なく「またね」なんて軽く言う。 ものすごく世話になったのに、そんなことしか言えないなんて。 あなたのやさしさに甘えて、私の言い分ばかり。 あなたの言い分は知らんぷり。 わかってくれていると思っているから、わかってくれていないと思ったら怒って。 それでも、あなたは私を見放すことはなかった。 そこには感謝しかないのに、何も伝えられず、あなたは辞令を受け取った。 ずっとここにいるとは思っていなかった。 異動が多い会社だから。 わかっていたのに、どうしてあなたなのだろう。 あなたからそれを告げられたとき、私は平静を装うのに必死だった。 そっか。 大変だけどがんばって。…

  • 君の機微に触れていたい。

    このあいだ食べたのより美味しいね。 本当? うん、何か変えたの? ちょっとね。 君はうれしそうに笑った。 僕はドキドキしている。自分から言っておきながら、何が違うのか訊かれたら困るから。 違いがわかる男のふりして、食通ぶって。 細かいことは何も気づかず、何もわからないのに。 何を変えたのか、隠し味に何がはいっているのか、そんなことわかるはずもない。 細かいことに気がつかない。 どうやって味を変えたのかも、君の僕に対するやさしさも。 本当は違いのわかる男でありたくて、そう思われたくて。 それっぽいことを言ってみるけれど、何もわかっちゃいない。 君はきっとそんな僕に気づいているだろう。 細かいとこ…

  • 本当の願いはただひとつ。

    願わなければ叶わない。 素敵だけど寂しいね。 願わなければ叶わない。 そりゃそうだよ。 願っていないことが叶ったとしても、願いが叶ったと思うことはないんだから。 本当はいろんなことが叶っているのに、それに気づかないなんて寂しすぎるでしょ。 だから私はいろんなことを願うことにした。 どんなに小さなことでも大きすぎることでも。 そうでもしないと、叶った喜びと幸せを噛みしめられないから。 疲れるけどね。 あれもこれもと手を出したら、欲深く探しすぎて疲れちゃう。 それでもやめない。 本当に叶ってほしい願いは、ただひとつ。 私を褒めて。 心の底から嘘偽りなく。 どんなに小さなことでもいいから私を褒めてほ…

  • まぜると危険だとわかっていながら。

    部屋の掃除は私の日課。 リビングもキッチンもお風呂もトイレも。 床も壁も棚の隙間も天井も便座もシャンプーのボトルの底も。 徹底的に毎日掃除する。 潔癖症なわけではない。 ただ、綺麗にしていたいだけ。 掃除のしすぎで、洗剤にはやたらと詳しくなった。 場所や汚れによって使い分けるほどに。 だから家にはたくさんの洗剤がある。 こだわればこだわるほど、掃除道具は増える一方。 それでも使い道があるだけまだマシ。 私の募る想いとは違う。 ここに来るはずのないあなたのために掃除する。 いつ来てもいいように。 そんなこと誰にも言えやしない。 もちろん、あなたにも。 あなたの行くところはもうすでに決まっているか…

  • 人をダメにするやわらかいところ。

    もう立ち上がれない。 こんなにやわらかくて居心地が良いところから。 やわらかすぎて立っているほうがしんどくなって、座り込んだり寝転んだりしたらもうおしまい。 一歩も動きたくなくなる。 動かなくちゃと思ったところで、からだが拒否する。 こんなにやわらかいものに囲まれていたら、なにも聞こえない。 まわりの音や声をほとんど吸収してしまうから。 たまに聞こえてくるのは、耳障りの良いものだけ。 それ以外は誰かがなにを言っても口パクにしか見えない。 言葉は入ってくるのに、染み込まない。 ここはこんなに居心地が良いから。 手の届くところに必要なものを配置すればとりあえずは大丈夫。 しばらくして、気が向いて、…

  • 私のものは私のもの。

    私のものは私のもの。 ケチだと言われようが器が小さいと言われようが譲る気はない。 安売りしないって決めたから。 少しくらいいいじゃない、なんて通用しない。 ひと山いくらのものじゃない。 オーダーメイドと言っても過言じゃない。 そんな大したものじゃないでしょ。 そう言う人たちがいることくらいわかっている。 自分でも本当はわかっている。 でもそれを認めるようなことはしない。 言葉でも行動でも、認めないって決めている。 私のものは私のもの。 誰かに捧げることはない。 これまでも、これからも。 寂しくなんかない。 私のことは私が決める。 それでもひとりなんかじゃない。 誰を好きになるのか、誰を信用する…

  • 先にあるもの見えるもの。

    指先がひどく冷たくて、息を吹きかける。 なかなか温まらなくて、指先も頬もすっかりピンク色に染まった。 まつ毛の先にもなにやら冷たいものが引っかかっている。 ようやく現れた君が笑って手を合わせる。 つま先立ちで君は俺に寄りかかる。 そんなことされたら、すべてを許してしまいそう。 鼻先にかかる君の息吹。 少しも乱れていないから、走ることはしなかったのだろう。 今日の先はどうなるのだろう。 君はずっと笑っているけど、本当に笑っているかわからない。 俺も合わせて笑っているけど、本当に笑っているかわからない。 視線の先に見えるものは。 君と俺とでは、きっと違うのでしょう。

  • 疲れた一日の原因を探る。

    ふうっと大きなため息を吐いてソファに沈み込む。 あー疲れた。 独り言を大きめに言う。誰もいないのに。 どうしてこんなに疲れたのか。 いつもより忙しかったわけではない。 むしろいつもより暇だった。 残業をしたわけではない。 きちんと定時に帰宅した。 上司に叱られたわけではない。 褒められてもいないけど。 どうしてこんなに疲れたのだろうか、理由が見当たらない。 体調が悪いわけではない。 人間関係は今のところほとんど問題ない。 仕事は楽しかったり楽しくなかったりのくりかえし。 プライベートは充実しているという基準がよくわからない。 冷蔵庫を開けてビールを取り出す。 美味い。 ビールを美味いと思える時…

  • 運命の人、理想、現実。

    家でソファに沈み込んで映画を観ながらお菓子を食べる。 画面の向こうも窓の向こうも賑やかなのに、この部屋はどこまでも静かで穏やか。 なにもない時間だけど、かけがえのない時間がただ流れている。 それでも人は欲張りだから。 こんな時間をひとりで過ごしたくない。 こんな時間ばかり過ごしているくせに、そんな願いが頭をよぎる。 こんな時間を誰かと一緒に過ごせたら。それが大切な人だったら。 ピンポン。 部屋のチャイムが鳴った。 誰だろ? ドアを開けると宅配便だった。 お届け物です。こちらにサインをお願いします。 なにも買った記憶はないし、なにか届く予定もないはずなのに。大きな段ボールがひとつ、配達人のうしろ…

  • ゼロとイチの間には大きな隔たり。

    イチから出直し。 心を入れ替えて、行動も入れ替えて。 それでも、ゼロではない。 すべてを入れ替えたとしても、ゼロにはならない。 イチとゼロの違いは大きい。 きっとこの世で一番大きい。 リスタートをかましたとしても、ゼロにはならない。 またすべてをやり直そうとしても、イチからにしかならない。 これまでに犯した罪が消えることはない。 受けた罰も受けなかった罰も消えることはない。 すべてを背負ったまま、イチから再スタート。 イチからリスタート。 上手くいかないことがほとんどで、上手くいくことはほとんどゼロで。 すべてを経験したうえでリスタート。 良いことばかりが引き出しじゃない。 悪いことだって引き…

  • 変えたいのに変わらない。

    ああ、めんどうくさい。 わかってもらえなくて結構なんて言いながら、わかってもらえないと不貞腐れる。 なんでもお見通しなつもりでいて、誰かを無理矢理そこに当てはめる。 やっちゃいけないと思いながら、なにかしらの理由をこじつけてはやってしまう。 原因は自分にあるのに、誰かのせいにする。 ああ、めんどうくさい。 素直じゃないふりして、人の言葉に敏感。 構ってほしいくせに、部屋の隅っこに座る。 認めてほしいくせに、知らないふり。 ああ、めんどうくさい。 自分で自分がめんどうくさい。 どうしてこうなってしまったのか。 考えるだけで、なにも変わらない。 変わろうと思っても、なにも変わらない。 ああ、めんど…

  • 口笛、高音、低音。

    吹こうと思って吹いているわけではなく、気づけば吹いている。 お気に入りの曲から急に思い出した曲まで、どこから影響を受けたのだろう。 口笛を吹く。 気分が良いわけでもテンションが上がっているわけでもなく。 気づけば、時々口笛を吹いている。 歌うわけでもハミングするわけでもなく、口笛を吹く。 高音が上手く出なくて、低音はまったく出ない口笛を。 しばらく吹き続けていると、疲れて飽きてしまう。 曲にではなく、自分に飽きてしまう。 お口直しに、適当にメロディーを奏でてみる。 綺麗に出る音域を中心に、時折高音、時折低音。 どこかで誰かが言っていた。 突然メロディーが降ってきた、と。 誰が言っていたのかは覚…

  • すくえない、見えない隙間、指の間。

    すくおうとしたのに。 たくさん、すくおうと。 でも結局、なにも残ることはない。 手のひらが湿るだけ。 手のひらに乗っかった水は、指と指の隙間から消えてなくなった。 一度でどれだけ多くの水をすくえるのか。 そんなことばかり考えていて、いろんな方法を試してみた。 けれども、一度も上手くいかなかった。 そんなこと考えなくてもよかったのに。 今ならそう思える。 どんなにがんばっても、指と指の間には隙間が生まれる。 隙間がないように見えても。 見えない隙間は存在する。 こぼれ落ちて、すべり落ちて。 時間が経てば、手のひらが湿って終わるだけ。 すくいたくても、すくえない。 適当に水をすくえば、それだけで顔…

  • 隠したら見たくなるのが人間の性。

    なんだかいつもよりからだが熱い。 息苦しい。 体調は悪くないし。 いつもよりあったかいといってもまだ冬だし。 暖房の設定温度だって変わらないし。 どうしてこんなにからだが熱いのか。 この時期、マスクをするのが当たり前になっていて。 マスクは防寒着のひとつなのだと知る。 僕だけじゃなく、君もマスクをしている。 いつもの顔がいつもと違って見える。 バレないようによくこっそり見ているから、君の顔はよく知っている。 いつもの知った顔を少しだけ隠して。 マスクで少しだけ隠して。 君にその気はなくても。 隠せば隠すほどそこを見たくなるのが人間の性。 僕が気に入った君の顔がマスクで隠されている。 君を見ると…

  • あなたが好きだったお酒を飲む。

    普段はひとりじゃ飲まないのに。 今夜はひとりお酒を飲む。 なにがあったわけではなく、なんとなく。 具体的な理由があるわけじゃない。 あなたが好きだったお酒。 あなたと付き合っていたとき、一口だけもらって不味くて、それ以来。 どこがどう美味しくてあなたが好んで飲んでいたのかわからなかったから。 今なら少しはわかる気がした。 あえて理由を探すとしたら、そのくらい。 真っ暗な部屋でカーテンを開けたまま。 いくつも明かりが見えるのに、この部屋は薄暗いまま。 グラスを持って口に運ぶ。 不味い。 あのころと同じくらい、不味い。 グラスをテーブルに置く。 やっぱり私はあなたのことを理解できなかったし、できな…

  • うるう年のうるう日は特別か否か。

    今日は特別な日。 特別だけど、ただの一日。 四年に一度のうるう年。 四年に一度なんて遠すぎて。 前のこの日がどんな日だったのか、まったく覚えていない。 四年という月日は長すぎる。 過ぎてしまえばこんなにあっという間なのに。 特別なお祝いをするわけでもなく。 一年を一年として成り立たせるための一日。 気づけば君と二度目のうるう年。 このまま次のうるう年まで一緒にいるのだろうか。 終わってしまえばあっという間なのに。 次を迎えるまでと考えると、遥か彼方。 それほどの年月、君と一緒にいたのだと今さらながら実感する。 特別だけど、ただの一日。 そういう日々を君と積み重ねてきた。 特別かどうかは後でわか…

  • 便利すぎて不便な今日この頃。

    今の世の中はとても便利。誰かのおかげで、とても便利。 あなたはそう言う。 僕もそう思う。 例えば、あなたが僕と待ち合わせをしていたとしよう。 約束の時間になっても僕はやってこない。 あなたはあたりを見渡すけれど僕の姿は見えない。 元々、あまり乗り気じゃなかったあなた。 僕に連絡して繋がらないかもっと遅くなりそうなら、キャンセルしようとする。 バッグからスマホを取り出したら、ちょうど僕から着信が。 ごめん、北口と南口を間違えたからあと3分で着く。 電話を切ると同時に、あなたは大きく息を吐き出した。 ようやく合流して、ごはんを食べに行こうとする。 なにが食べたい? 僕はあなたに訊く。 なんでもいい…

  • どうせやるなら完全犯罪。

    部屋を隅々まで掃除する。 四隅も棚の下も取っ手も天井さえも。 一心不乱に掃除する。 何度も雑巾をとりかえて。 クイックルワイパーは水拭きと乾拭き。 コロコロ転がして、剥いで、転がして。 洗剤はダースで買ったから心配いらない。 指紋ひとつ残らないように。 いらない物はどんどん捨てる。 洋服も食器も、今となってはただの紙くずになったものも。 少しでも迷ったら、捨てる。 あまり記憶にないものだって、どっちかわからないから捨ててしまう。 ゴミ袋は箱ごと買ったから心配いらない。 痕跡が残らないように。 ファブリーズを撒いて。 アロマを焚いて。 すべての窓を開けて、扇風機を回して。 すべての空気を入れ替え…

  • のど元過ぎて逆流しそう。

    電車に揺られる。 ガタゴト、ゴトガタ。 心地良い、振動とリズム。 睡魔に襲われる。 気持ち良く眠れそう。 完全に身を委ねたい。 でも、寝ちゃダメだ。 寝たらきっと、終点まで辿り着く。 経験上、きっと。 少しでも気を抜いたら、まぶたが閉じそう。 がんばれ。 でも経験上、わかっている。 きっと気を抜く。 そしてやっぱり、気を抜いた。 眠ってしまった。 そして、目が覚めた。 どのくらい時間が経ったのか。 体感では、ほんの一瞬。 緊張しながら流れる景色に目を細める。 アナウンスに耳をすます。 終点までは行っていない。 降りる駅までも来ていない。 奇跡だ。 よかった。 そんな思いはすぐに消えた。 気持ち…

  • 乾燥、暖房、生まれ変わり。

    どこにいてもからだが乾燥する。 いくら暖冬だと言われても、冬はやっぱり寒いから。 出先でも家でも、暖房ばかり。 あったかいのはいいけれど。 どうにもこうにも乾燥してしまう。 乾燥しすぎて、あちこち痒い。 我慢しきれずに痒いところをかいたら。 皮膚が粉みたいになって、こぼれ落ちた。 からだの表面の一番上っ面が、こぼれ落ちる。 一番いろんなものに触れるところ。 一番晒されているところ。 ぽろぽろ、こぼれ落ちる。 見えるものも、見えないものも。 聞こえるものも、聞こえないものも。 感じるものも、感じないものも。 ぽろぽろ、こぼれ落ちる。 どうせなら、すべてこぼれ落ちてしまえばいいのに。 そう思って、…

  • 傘泥棒に言いたいこと。

    あなたは傘泥棒。 自分が濡れたくないからって人の傘を盗る。 ひどい人。 鍵かけないから、って。 ひどい人。 盗られた方が悪いなんて、いつからそうなったの。 鍵つきの傘立てなんて、そうそうあるものじゃないし。 ついさっきから降り出した雨。 出かけようとしたときにちょうど降ってきたから。 私は傘をさした。 濡れたくなかったから。 あなたと同じ。 傘のないあなたは、私の傘を持って行った。 あなたはどこまで行くの? そんなに濡れたくないの? 少しくらい濡れたって、少し経てば乾くのに。 濡れたくないあなたは、きっと涙も流したくないのでしょう。 人が濡れるのはお構いなしに。 いつだって自分のことばかり。 …

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