小説・「アキラの呪い」(19)
前話はこちら。 kuromimi.hatenablog.com *** 赤黒く固まった血に塗れた敷物をゴム手袋越しに触ると、ずっしりとして重かった。そうしてその下から出てきたのは大量のペットシーツだった。犬猫が排泄をするときに下に敷くあれだ。夥しい数のペットシーツは血に染まりきっていた。 「…呆れた」 これから死のうというときに、部屋の心配なんかしていたのか、あの女は。その上、これを俺に処理させるとは。俺の心情にまで思いが至らないのが、いかにも姉らしい。姉は人でなしだが、わざわざ他人を傷つける行為には興味がない。ただ彼女の無神経な振る舞いに傷つく人間がいるというだけで。本当に最悪な女だ。吐き気…
2024/04/02 12:58