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  • 近点移動と交点移動

    (2021/05/05) 惑星や衛星の軌道は、三個以上の天体の影響により、常に変わります。軌道長半径(a)と離心率(ε)と軌道傾角(ι)は長期間同じ値で保たれますが、近点角(ω)と昇交点角(Ω)は一年間で数度から数十度変わるのも珍しくありません。特に衛星系の場合、公転周期が数時間のものもあり、このような天体では近点角と昇交点角が一年間で数百度変わることもあります。要するに一年間のうちに、近点角が軌道上を一回り以上動きます。これらの現象を近点移動と交点移動といいます。 近点移動と交点移動を含めて、軌道図を描くのは不可能なので、それらを含めませんが、楕円軌道に現実味を持たせるためには、特定の時期を…

  • 時間の単位、ミリ時

    (2021/05/05) 宇宙空間で距離を表す単位として、光が単位時間当たりに進む距離を用います。恒星間を超える距離に対しては光年が使われます。これは距離を表すと同時に時間も含まれます。例えば、100光年先にある恒星の場合、これは現在見える姿が100年前のものであるという意味を含みます。これはどんなに近距離でも当てはまることで、例えば、現在見ている太陽の姿は500秒前のものです。したがって、太陽までの距離は500光秒ということもできます。 このように距離を光が進む時間で表すことは合理的なのですが、問題はメートルとの数値がかけ離れていることです。これは仕方のないことで、メートルを定めた時代には光…

  • 太陽系の領域 - 彗星の巣

    (2021/05/04) 太陽系には「オールトの雲」という彗星の巣があります。実際のところ、何があるか分かっていません。長周期彗星の遠日点を統計的に集めたところ、太陽系の外周部に多数の彗星状天体があると見積もられています。 まず、近点距離(q)と離心率(ε)から遠点距離(Q)を導き出す計算式を示します。 軌道長半径: 遠点距離: 次に、2019年の天文年鑑から、最近見つかった彗星で、離心率が1.0未満で周期が定まっていないものを示します。 lh: 光時 (light hour): 1.0792528488 Tm (1012m) ly: 光年 (light year): 9.4607304725…

  • 太陽系の領域 - 外縁天体

    (2021/02/23) 太陽から4.17光時以上離れた領域にあるものを外縁天体と呼びます。カイパーベルト天体と言われますが、天体の名前に人名由来の名称を付けるのは恐れ多いので外縁天体と呼びます。この領域では水素とヘリウムを除く揮発性物質がすべて固体になっているので、岩石惑星では考えられないような地質活動が行われています。その中で大きい天体を表で取り上げます。 Tm: テラメートル (tera metre): 109 km lh: 光時 (light hour): 1.0792528488×109 km 軌道長半径 離心率 近点引数 軌道傾角 昇交点角 周期 温度 a: Tm (lh) ε ω…

  • 太陽系の領域 - 巨大惑星

    (2021/02/21) 木星と海王星の間は巨大惑星の領域になります。太陽からの距離で0.72光時(lh)から4.17光時までの間です。平衡温度は122ケルビン(K)から50ケルビンの間です。この温度領域になると、揮発性物質(水蒸気、二酸化炭素、アンモニア、メタン、一酸化炭素、窒素)が徐々に固体になります。木星の近くでは水蒸気が固体になり海王星の近くでは窒素まで固体になります。惑星形成時に当時大量にあった揮発性物質が固体になっていることから、岩石惑星と比べて、大量の物質を集めることができ、巨大惑星になりました。また、水素とヘリウムを引き留めることのできる表面重力を持つことになり、さらに巨大化し…

  • 太陽系の領域 - 小惑星帯

    (2021/02/21) 火星軌道と木星軌道の間には小惑星帯があります。太陽からの距離が211ミリ光時(mlh)から721ミリ光時の間にあります。平衡温度では226ケルビン(K)以下、122ケルビン以上です。この領域にある小惑星は、主にC型・S型・M型に分けられます。Cは炭素化合物、Sはケイ素化合物、Mは金属を表します。この領域でも、氷が地殻の主成分になることはありません。したがって、水は気体となり拡散します。 Gm: ギガメートル (giga metre): 106 km mlh: ミリ光時 (milli light hour): 1.0792528488×106 km 軌道長半径 離心率 …

  • 太陽系の領域 - 岩石惑星

    (2021/02/14) 太陽から221ミリ光時(mlh)、火星までの軌道になるのが岩石惑星領域です。この領域は平衡温度として226ケルビン(K)以上の温度があります。水の3重点である273.15ケルビンよりは低いですが、真空に近い状態では、226ケルビンでも氷の状態になることはできません。したがって、この領域にある天体に水より凝固点が低い物質はほとんど含まれず、おもにケイ素化合物と鉄が主成分になります。この領域には、水星、金星、地球、月、火星という五個の球状天体と数十キロメートル未満の小天体が含まれます。 Gm: ギガメートル (giga metre): 106 km mlh: ミリ光時 (…

  • 太陽系の領域 - 太陽

    (2021/02/13) 今回から太陽系の領域について書きます。太陽そのものも興味深い天体なのですが、直接、人類が到達することは不可能なので、人類が間接的に恩恵を受けている温度について書きます。 Gm: ギガメートル (giga metre): 106 km mlh: ミリ光時 (milli light hour): 1.0792528488×106 km Mm: メガメートル (mega metre): 103 km μlh: マイクロ光時 (micro light hour): 1.0792528488×103 km セルシウス度: 0°C = 273.15 K 太陽表面温度(T0): 5…

  • 温度の単位、ケルビン(K)

    (2021/02/13) 宇宙空間における温度の単位は、絶対零度を起点とするケルビン度のほうがよいでしょう。ケルビン度は、日常的に使われるセルシウス度に、273.15 を加えたものです。下記に、ケルビン度(K)とセルシウス度(°C)を使って、1気圧における各物質の凝固点を示します。 化学式 K °C 名称 He 4.22 -268.93 ヘリウム H2 14.01 -259.14 水素 N2 63.15 -210.0 窒素 CO 68 -201 一酸化炭素 CH4 91 -182.5 メタン CO2 194.7 -78.5 二酸化炭素 NH3 195 -77.73 アンモニア H2O 273.…

  • 自転軸と惑星間の相互作用

    (2021/01/24) 土星の約27度傾いた自転軸、今も傾きを増し続けている可能性 sorae 宇宙へのポータルサイト 惑星の自転軸の傾きを、惑星間の相互作用で解き明かす研究が発表されました。私は、金星の逆行自転も天王星の横転自転もジャイアントインパクトという偶発的な事象に原因を求めるのは理論的な怠慢だと思っているので、このように地道に力学的シミュレーションで解き明かす研究を待ち望んでいました。このブログでも自転というものを力学的に扱っていきたいと思っています。

  • 円錐曲線軌道の三次元図示

    (2021/01/02) 楕円軌道だけでなく、すべての円錐曲線に対して、軌道図を説明します。ここでは放物線軌道を例にします。双曲線軌道も原則は同じです。放物線や双曲線は、曲線が閉じることがないので、軌道長半径(a)は存在しません。他の指標が必要です。円錐曲線全部に共通で存在する近点距離(q)を使用します。近点距離(q)と離心率(ε)と傾角(θ)を使うことで、近点を X軸正の位置に置いた軌道図を描きます。その後、近点引数(ω)、軌道傾角(ι)、昇交点角(Ω)で順番に回転を行うことで、三次元の座標位置に移ります。 ω=0、ι=0、Ω=0 X Y 近点位置は X軸上にあります。進行方向外側に小さな正…

  • 楕円軌道の三次元図示

    (2021/01/02) 軌道図を描くと、より式の説明が伝えやすくなることがわかりました。今後は軌道図を積極的に描いていきたいと思います。ただ、天体が三個以上あると場合、すべての天体が同一平面上で軌道を通ることはありません。三次元の座標が必要になります。しかし、画面は二次元であり、三次元の座標を表すには制約があり、工夫が必要になってきます。この記事では、今後、三次元座標の軌道を表すための目安をお知らせします。 楕円軌道の形状を決めるには、軌道長半径(a)と離心率(ε)があれば十分です。しかし、三次元座標を決めるには、近点引数(ω)、軌道傾角(ι)、昇交点角(Ω)を加える必要があります。ぞれぞれ…

  • 円錐曲線軌道と極座標のまとめ

    (2020/12/30) 極座標を使うことで、円錐曲線に含まれる正円、楕円、放物線、双曲線がすべて同じ軌道位置と軌道速度(v)の式で表せることがわかりました。そうなると、経過時間(t)と移動距離(l)も同じ式になると思われます。この記事で全ての式をまとめてみます。 正円、楕円に限った場合 軌道長半径を a、離心率を ε、公転周期を P とします。 軌道位置: 軌道速度: 経過時間: 移動距離: 放物線、双曲線に広げた場合 放物線と双曲線は開いた曲線なので、軌道長半径(a)や公転周期(P)が実体としてありません。代わりに近点距離(q)と近点最小速度(V)を導入します。近点最小速度(V)は、ここで…

  • 三次元の円錐曲線軌道と軌道速度

    (2020/12/27) いよいよ、正円、楕円、放物線、双曲線を含めたすべての円錐曲線の軌道速度ベクトルを三次元で表します。近点距離を q、離心率を ε、偏角を θ、近点距離を半径とする正円の軌道速度を V とすると次の式が成り立ちます。 正円(半径:q)の軌道速度: (P は公転周期) 軌道速度ベクトル: まず、XY 平面上で、近点引数(ω)で回転させます。 次に、軌道傾角(ι)と昇交点角(Ω)を用いて三次元に回転させることで、三次元の軌道速度ベクトルが求まります。 Δx'、Δy' を置き換えます。 X Y Ω ω

  • 二次元の円錐曲線軌道と軌道速度

    (2020/12/27) 円錐曲線軌道は、正円も楕円も放物線も双曲線も全く同じ式で表せることが分かりました。軌道長半径を a、近点距離を q、離心率を ε、偏角を θ とすると次の式になります。唯一の違いは、分母が 0 や負数になれないので、放物線と双曲線のときは、偏角(θ)の範囲に制約があることです。 近点距離: 軌道位置: そうなると、当然、軌道速度も楕円軌道の式をそのまま使えるという考えが浮んできます。 軌道速度ベクトル: ベクトルからスカラーを除いた部分は、円錐曲線の定義からそのまま使えます。これは、二つの焦点に向けたベクトルの交差角を二等分にする線が円錐曲線の法線ベクトルになり、それ…

  • 三次元の円錐曲線軌道と極座標

    (2020/12/25) 円錐曲線が、正円も楕円も放物線も双曲線もすべての同じ極座標表現で表せることから、三次元も座標も個別対応することなく統一的に表せます。 近点距離を q、離心率を ε、共通重心を (0,0,0)、近点座標を (q,0,0) としたとき、XY 平面上の円錐曲線軌道は次の式で表せます。 なお、正円や楕円のように閉じた曲線では近点距離(q)と離心率(ε)と軌道長半径(a)は次の関係で表せます。 放物線や双曲線は閉じた曲線でないので、実体としての軌道長半径(a)はありませんが、理論上は、放物線の軌道長半径は無限大(∞)になり、双曲線の軌道長半径は負数になります。 まず、XY 平面…

  • 二次元の円錐曲線軌道と極座標

    (2020/12/24) 正円、楕円、放物線、双曲線を総称して円錐曲線といいます。円錐を平面で切ったときの切り口が、左で示した四つの曲線のうちどれかになります。底面と並行に切ると、正円、側面と並行に切ると放物線になります。それ以外で、閉じた曲線になるのが楕円で、開いた曲線になるのが双曲線です。また、それぞれの形状を表すときに離心率(ε)という指標を用います。 軌道長半径を a、近点距離を q とするとき、それらには次の関係が成り立ちます。 離心率(ε)が 0 のときは軌道長半径(a)と近点距離(q)が等しくなり正円です。離心率(ε)が 0 より大きく、1 より小さいときは、軌道長半径(a)と近…

  • 二次元の双曲線軌道と極座標

    (2020/12/24) 前回、放物線を極座標で表したのに続いて、双曲線も極座標で表します。近点距離を q、離心率を ε、共通重心を (0, 0) として、空焦点を X 軸上に置くと次のような式になります。 共通重心: 空焦点: 軌道: 空焦点座標に分数が含まれるのは扱いづらいので、仮想軌道長半径(a)を定義します。 すると、双曲線軌道の式は次のように表されます。 X Y 0 q -2aε (x,y) θ さて、極座標に変換します。 これって、楕円軌道の距離(r)と全く同じ式です。そして、仮想軌道長半径(a)を近点距離(q)で表してみます。 軌道位置: ところで、離心率(ε)が 1 の時はどう…

  • 二次元の放物線軌道と極座標

    (2020/12/24) 極座標を使うことで楕円軌道における位置、速度、速度ベクトル、経過時間、移動距離がすべて、偏角(θ)によって表せたので、放物線も極座標を扱うことにします。 X Y 0 q 2q (x,y) θ まず、天体の軌道における放物線を軽くおさらいします。共通重心を (0, 0)、近点距離を q、近点座標を (q, 0) とすると、放物線の準線は次の式で表されます。なお、放物線は閉じた曲線にならないので、実体としての軌道長半径は存在しません。 準線: 放物線上の天体位置 (x, y) から、共通重心 (0, 0) までの距離と、準線までの最短距離とは等しくなるので次の式で表されま…

  • 楕円軌道と三次元座標のまとめ

    (2020/12/20) X Y (0,0,0) Ω ω θ (x,y,z) (-2aε(cos ω cos Ω-sin ω sin Ω cos ι) ,-2aε(cos ω sin Ω-sin ω cos Ω cos ι) ,-2aε sin ω sin ι) 前回*1、軌道位置、経過時間、軌道速度、軌道速度ベクトル、移動距離を求めました。このなかで、軌道位置と軌道速度ベクトルは三次元の指標で表す必要があります。前提として軌道長半径を a、離心率を ε、公転周期をP で表します。 軌道位置 近点引数(ω)、軌道傾角(ι)、昇交点角(Ω)がすべて 0 のとき、三次元の点(x,y,z) は次のよ…

  • 楕円軌道と二次元座標のまとめ

    (2020/12/20) 楕円軌道の諸要素を極座標を使って求めてきました。すべての要素が偏角(θ)によって統一的に求まったので、今回の記事でまとめてみます。楕円は二つの焦点をもちます。片方の焦点から出た光は楕円曲線に反射してもう片方の焦点に届きます。また、その光が描く軌跡の長さは必ず軌道長半径(a)の二倍になります。実際の楕円軌道は三次元にまたがっていますが、形状そのものを決めるのは二次元で十分なので、最初は二次元で説明を進めます。 軌道位置 軌道長半径を a、離心率を ε、焦点の片方を原点 (0, 0)、もう一方を (-2aε, 0) とすると楕円上の点 (x, y) は次の式で表せます。 …

  • 楕円軌道と移動距離

    (2020/12/19) X Y (0,0) (-2aε, 0) (x, y) θ 前回*1、軌道速度(v)を導き出したので、今回は、移動距離(l)を導き出してみます。なお、軌道長半径を a、離心率を ε、公転周期を P としています。 軌道速度: 軌道速度(v)は本来時間(t)による変移なのですが、上の式では角度(θ)による変移になっています。時間と角度の関係が必要です。ここで角速度(Δθ)*2の式を思い出してください。 角速度: 微小区画の関係は下の通りです。 微小区画の式を積分したものが移動距離です。 移動距離: 移動距離は楕円積分なので、計算機を使える場合は、解析的に解いて値を求めるよ…

  • 楕円軌道と軌道速度

    (2020/12/18) X Y (0,0) (-2aε, 0) (x, y) θ 楕円軌道上の天体の位置を極座標形式で表し、それを楕円軌道の式に代入して距離(r)を求めます。距離(r)は軌道長半径(a)と離心率(ε)と傾角(θ)で表されます。 位置: 楕円軌道: 距離: 前回求めた進行方向ベクトル*1と天体の位置(X)から原点へのベクトルを用いて、軌道速度(v)と面積速度(ΔS)の関係を導き出します。 進行方向: 原点方向: 面積速度(ΔS)は、軌道長半径(a)、離心率(ε)、公転周期(P)で表せます。 したがって、軌道速度(v) は面積速度(ΔS)を消すことで求まります。 軌道速度: *1…

  • 楕円軌道と進行方向ベクトル

    (2020/12/18) 天体の軌道速度を求める前準備として、楕円軌道上にある天体の進行方向ベクトルを求めます。二次元で導き出します。軌道長半径を a、離心率を ε とします。 中心座標 、焦点座標 のとき、 楕円軌道: X Y (0,0) (-2aε, 0) (x, y) θ 楕円の特徴として、片方の焦点から出た光は、もう一方の焦点に着きます。楕円曲線に対して光が反射するときは左右の角度が等しくなります。楕円曲線上の点から、二つの焦点に向けて単位ベクトルを作り、それらを合成したベクトルが楕円曲線の法線ベクトルになります。法線ベクトルと垂直なベクトルが進行方向ベクトル(接線)になります。 楕円…

  • 楕円軌道と時空座標

    (2020/12/18) X Y (0,0,0) Ω ω θ (x,y,z) (-2aε(cos ω cos Ω-sin ω sin Ω cos ι) ,-2aε(cos ω sin Ω-sin ω cos Ω cos ι ,-2aε sin ω sin ι) 先日の記事*1で楕円軌道上の経過時間が導き出せたので、天体の位置を特定するための時間と空間が全てそろいました。改めてまとめてみます。 軌道長半径を a、離心率を ε、近点引数を ω、軌道傾角を ι、昇交点角を Ω、公転周期を P とすると、天体の座標 (x, y, z) と近点からの経過時間(t)は、すべて近点からの偏角(θ)によって定…

  • 楕円軌道と経過時間

    (2020/12/18) X Y (0,0) (-2aε, 0) (x, y) θ 天体の位置を決めるには、空間情報だけでは不十分で、経過時間(t)を組み込む必要があります。先日の記事*1で求めた角速度(Δθ)の式から経過時間(t)と偏角(θ)との関係を求めます。なお、ε は離心率で、P は公転周期です。 角速度: 上記の式から、微小角度(dθ)を右辺に、微小時間(dt)を左辺に移して、式を整えます。 不定積分により偏角(θ)と経過時間(t)の関係が表せます。 上記の式は楕円積分に似ているので、解析学的に不定積分を解くのはあきらめて、区分求積法で値を求めます。区分幅は 0.001°です。公転周…

  • 楕円軌道とケプラーの法則

    (2020/12/18) 公転周期を計算するには、ニュートンの万有引力の法則から演繹的に導き出す必要があります。しかし、ブログでゼロから計算をするのは手間が掛かります。先人の知恵として、『ケプラーの法則』を用いて、公転周期を相対的に計算するほうがわかりやすいでしょう。この記事では『ケプラーの法則』を取り扱います。 第1法則(楕円軌道の法則) 惑星は、太陽を焦点のひとつとする楕円軌道上を動く。 第2法則(面積速度一定の法則) 惑星と太陽とを結ぶ線分が単位時間に描く面積(面積速度)は、一定である。 第3法則(調和の法則) 惑星の公転周期の2乗は、軌道長半径の3乗に比例する。 第1法則(楕円軌道の法…

  • 惑星間移動 - 惑星までの所要時間

    (2020/10/17) 前回、重力加速度 g で 1ミリ光速まで加速する時間が 8.51461時間、その間に移動する距離が 4.59468 Gm と計算できました。したがって、惑星までの距離を L とすると、所要時間 T は下記の式で表せます。 しかし、その前に変数段階で式を変形すると、もっと簡単な計算式になります。1ミリ光速まで加速する時間を t0 とします。 gt0 は 1ミリ光速なので、全行程を速度で割って、加速する時間を加えることで所要時間が出せます。 惑星までの所要時間 s: 秒, h: 時間, Jy: ユリウス年, m: メートル (metre) T: テラ (tera): 10…

  • 惑星間移動 - ミリ光速まで加速する時間と距離

    (2020/10/17) 現在の探査機技術で有人惑星間移動をするのは困難で、健康的に移動する時間、復路の移動手段、どちらも解決していません。他にも放射線対策とかありますが、これは素材の技術革新によって何とかなるとして、物理的に問題なのは、どのように加速するかです。 地球上の移動手段というのは、地表という絶対不動*1の接地面に対する作用反作用で実現できますし、エネルギー源も電気で継続補給出来たり、化石燃料で小分けに補給できます。飛行機も船も、直接的な接触媒体は空気と水ですが、それさえも間接的に地表や海底という絶対不動の接地面に対する作用反作用で実現しています。 ところが、宇宙空間には絶対不動の接…

  • 惑星間移動 - 等加速度運動

    (2020/10/16) 等加速度運動を説明するために、地球の重力加速度で等加速度運動を行うと、どのぐらいの時間でどこまで移動できるか計算してみます。 計算に用いた式です。 g: 地球の重力加速度: 9.78033 m/s2 速度: 距離: 表の単位を説明します。 s: 秒, h: 時, m: メートル (metre) T: テラ (tera): 1012, G: ギガ (giga): 109, M: メガ (mega): 106 lh: 光時 (light hour): 1.0792528488 Tm mlh: ミリ光時 (milli light hour): 1.0792528488 Gm…

  • 加速度の単位

    (2020/10/18) 加速度の単位は、m/s2 ですが、「(長さ)÷(時間)2」と考えると混乱しますが、「{(長さ)÷(時間)}÷(時間)=(速度)÷(時間)」と考えると理解しやすくなります。速度は相対的なものであり、秒速でも時速でも光速比でも値は異なっても、同じ速度を表すことができます。 重力加速度「g = 9.78033 m/s2」を例にします。 s: 秒, h: 時, m: メートル (metre) T: テラ (tera): 1012, M: メガ (mega): 106, k: キロ (kilo): 103 μ: マイクロ (micro): 10-6, n: ナノ (nano):…

  • 公転軸ベクトルと三次元楕円軌道

    (2020/10/12) 今までは公転軸ベクトルを昇交点角(Ω)・軌道傾角(ι) の三次元回転行列から求めました。 他にも三次元楕円軌道の極座標式から直接求める方法もあります。 スカラー の部分はベクトルとしては重要でないので省きます。 のとき のとき 両者の外積を計算して、 を求めます。 全く同じ式が得られました。

  • 惑星の公転軸ベクトルと惑星間の軌道傾角

    (2020/10/11) 軌道傾角は主に地球を基準にして計測されますが、たまたま観測者が地球上にいるから地球が 0° になっているだけで、地球が 0° である必然性はありません。多くの場合、軌道傾角を支配するのは、主星の赤道面か、伴星の中で最も質量の大きい天体の軌道面になります。 それぞれの軌道面の交差線から交差角を計算するのは大変ですが、ここで便利に使えるのが、公転軸ベクトルです。それぞれの公転軸ベクトルの交差角を計算することで、軌道面の相互傾斜角を計算することが可能になります。 公転軸ベクトル 惑星 水星 金星 地球 火星 木星 土星 天王星 海王星 昇交点角: Ω 48.5563 76.…

  • 惑星の公転軸ベクトルと軌道面

    (2020/10/11) 前回、昇交点角を Ω、軌道傾角を ι としたときの公転軸ベクトルを求めました。この公転軸ベクトルを法線ベクトルとして、法線ベクトルと直交し、原点を通るベクトルの集合が公転軌道面となります。すなわち、法線ベクトルと内積がゼロになるベクトルの集合が公転軌道面です。 公転軸ベクトル 軌道面 惑星 水星 金星 地球 火星 木星 土星 天王星 海王星 昇交点角:Ω 48.5563 76.8511 0.0 49.7048 100.6584 113.8321 74.105 131.9935 軌道傾角:i 7.0053 3.3949 0.0 1.8496 1.3022 2.4882 …

  • 惑星の公転軸ベクトル

    (2020/10/11) 惑星の公転を独楽に例えると軌道面は独楽の胴となり、公転軸は独楽の軸となります。公転軸の式を求めます。軌道面が XY平面のとき、公転軸ベクトルは (0, 0, z) となります。公転軸の場合、ベクトルの長さは意味を持たないので、今後の扱いやすさから単位ベクトル (0, 0, 1) とします。 昇交点角を Ω、軌道傾角を i として、三次元の回転行列を用いて、公転軸ベクトルを求めます。 惑星 水星 金星 地球 火星 木星 土星 天王星 海王星 昇交点角:Ω 48.5563 76.8511 0.0 49.7048 100.6584 113.8321 74.105 131.9…

  • 惑星の軌道要素と火星の大接近

    (2020/10/10) 惑星の軌道要素を紹介します。 Gm: ギガメートル (giga metre): 106 km mlh: ミリ光時 (milli light hour): 1.0792528488×106 km 軌道長半径: Gm (mlh) 離心率 近点角 軌道傾角 昇交点角 a e ω + Ω i Ω 水星 57.909 (53.657) 0.25064 77.7518° 7.0053° 48.5563° 金星 108.209 (100.263) 0.00676 131.8301° 3.3949° 76.8511° 地球 149.598 (138.612) 0.01670 103.…

  • 角度の単位、度(°)

    (2020/10/08) 角度の単位は度(°)とします。少数点以下の数値は、分や秒を使用せずに十進数で表現します。惑星からみた太陽の視直径を紹介します。視力1.0の人が大きさを確認できるのは 0.017°以上になります。軌道長半径 a, 太陽半径 r とすると視直径は次の式になります。 Gm: ギガメートル (giga metre): 106 km mlh: ミリ光時 (milli light hour): 1.0792528488×106 km 直径: Gm (mlh) 視直径: ° 大きさ比較 太陽 1.391 (1.289) - - 距離: Gm (mlh) 視直径: ° 大きさ比較 水…

  • 三次元の楕円軌道、極座標

    (2020/10/08) 軌道長半径 a、離心率 e、 共有重心座標 (0, 0, 0)、近点引数 ω としたとき、XY平面上にある楕円軌道は下記の式で表されます。 この軌道に対して、軌道傾角 i、昇交点角 Ω の回転行列で座標変換を行うと、三次元の楕円軌道が求まります。

  • 二次元の楕円軌道、極座標

    (2020/10/08) 軌道長半径 a、離心率 e、 共有重心座標 (0, 0, 0)、空焦点座標 (-2ae, 0, 0) としたとき、二次元の楕円軌道は下記の方程式で表されます。 これを共有重心座標を中心とした極座標で表します。 上記に、 を当てはめます。 ここで、求めた r の値を当初の式に代入します。 これを、近点引数 ω で回転します。 検算、ω =0 のとき のとき原点から最短距離になります。 のとき原点から最長距離になります。 参考までに、 のときを計算します。

  • 太陽を揺り動かす惑星

    (2020/10/04) 太陽系の質量の99.87%*1は太陽に集まっています。したがって、他の連星系と違い、太陽を公転する天体で、複雑な軌道を考える必要はありません。楕円軌道で近似でき、多少の摂動はあっても、40億年以上も定まった起動を保つことができました。しかしながら、惑星の質量はゼロではないので、太陽も惑星に揺り動かされています。どのぐらい揺り動かされているか、紹介します。 h: 時間: 3600秒 Jy: ユリウス年: 8766時間 Zt: ゼタトン (zetta tonne): 1021 t, 1027 g Tm: テラメートル (tera metre): 1012 m lh: 光時…

  • 速さの単位 - 光速

    (2020/10/04) 速さの単位は迷うことはないでしょう。光速です。それに SI接頭辞*1をつけて表します。光速を超える速度は存在しないので、最高速度が 1光速(1lv, 1 light velocity)です。したがって、SI接頭辞はすべて1より小さい分量の名称になります。速度は、長さ÷時間の次元を持ちますが、光速は無次元です。分母が「秒」でも「時」でも光速との相対速度を示します。 光速 読み 時速 (lh/h) 時速 (m/h) 秒速 (m/s) 1 lv 1光速 1 lh/h 1.0792528488 Tm/h 299.792458 Mm/s 1 mlv 1ミリ光速 1 mlh//h…

  • 時間の単位、秒、時、年

    (2020/10/03) 時間の単位は、10進数に従っておらず、秒分時日週月年の相互変換は複雑です。中には、変換のために、整数でなく少数部分まで必要になります。 秒 分 時 日 週 月 年 1秒 1 1分 60 1 1時 3,600 60 1 1日 86,400 1,440 24 1 1週 604,800 10,080 168 7 1 1月 2,592,000 43,200 720 30 4.285… 1 1年 31,557,600 525,960 8,766 365.25 52.176… 12.175 1 天文学での1年はユリウス年で、365.25日 便宜上1月は30日とする このブログでは…

  • エクサトン級天体

    (2020/10/03) 1 Et (エクサトン)とは、1018 t かつ 1024 g のことです。エクサトン級天体とは 1 Et 前後の質量を持つ天体のことです。エクサトン級天体は自己重力で球状になれる下限の天体になります。Haumea(ハウメア)、Makemake(マケマケ)、Ceres(ケレス)などの準惑星はここに含まれます。Triton(トリトン)は海王星の衛星ですが、かっては冥王星と同じく準惑星だったと見なされています。それ以外は、土星の中型衛星と天王星の大型衛星、冥王星の衛星が当てはまります。 Et: エクサトン (exa tonne): 1018 t, 1024 g Tm: テ…

  • ゼタトン級天体

    (2020/10/03) 1 Zt (ゼタトン)とは、1021 t かつ 1027 g のことです。ゼタトン級天体とは 1 Zt 前後の質量を持つ天体のことです。太陽系では、岩石惑星とガリレオ衛星、月、Titan(タイタン)が当てはまります。岩石惑星は、水星、金星、地球、火星のことで、ガリレオ衛星は、Io(イオ)、Europa(エウロパ)、Ganymede(ガニメデ)、Callisto(カリスト)のことです。 Zt: ゼタトン (zetta tonne): 1021 t, 1027 g Tm: テラメートル (tera metre): 109 km lh: 光時 (light hour): 1…

  • ヨタトン級天体

    (2020/10/03) 1 Yt(ヨタトン)とは、1024 t かつ 1030 g のことです。ヨタトン級天体とは、1 Yt 前後の質量を持つ天体のことです。太陽系ではちょうど、木星や土星などの巨大ガス惑星が該当します。太陽そのものは、さらに巨大ガス惑星の1000倍の質量を持ちます。一方、天王星や海王星などの巨大氷惑星は巨大ガス惑星の10分の1の質量です。 Yt: ヨタトン (yotta tonne): 1024 t, 1030 g Tm: テラメートル (tera metre): 109 km lh: 光時 (light hour): 1.0792528488×109 km Mm: メガメ…

  • 質量の単位、トン (tonne)

    (2020/10/02) 質量には、光速のような絶対的な指標はありません。光速が距離において重要なのは通信の速度です。1光時(1.08 Tm, 10.8億 km)離れた場所と通信をする場合、往復2時間かかります。この遅延は絶対的で、いかなる物理法則もこの遅延を短くすることはできません。一方、質量にはそのようなものはありません。素粒子の質量を最小単位とする考えもありますが、光速と異なり、宇宙規模で素粒子の質量が大きな意味を持つこともありません。 したがって、素直にSI基本単位*1と10の累乗で互換性がある単位を使います。質量のSI基本単位は kg です。これにSI接頭辞*2を付けると、g からの…

  • 太陽系の天体、大きさ順と比較

    (2020/10/20) 今回は、スタイルシートを使って、黒丸記号「●」の大きさを変えて、お遊び感覚で天体の大きさを比べます。 Mm: メガメートル (mega metre): 103 km μlh: マイクロ光時 (micro light hour): 1.0792528488×103 km 天体 種別 直径: Mm (μlh) 大きさ比較 1 太陽 恒星 1,391.000 (1,288.855) ● 2 木星 惑星 142.984 (132.484) ● 天体 種別 直径: Mm (μlh) 大きさ比較 2 木星 惑星 142.984 (132.484) ● 3 土星 惑星 120.53…

  • マイクロ光時級距離

    (2020/10/02) マイクロ光時とは、光が1マイクロ時(3.6ミリ秒)に移動する距離で、約1 Mm (1,000 km)になります。このぐらいの距離になると、地球上でも実感できる距離になります。天体内で移動するときに使われます。下表は、太陽系にある球状天体を直径順に並べたものです。括弧内は球状天体でないものです。質量順と比べて、いくつかの順位変動があります。 Tm: テラメートル (tera metre): 109 km lh: 光時 (light hour): 1.0792528488×109 km Gm: ギガメートル (giga metre): 106 km mlh: ミリ光時 (…

  • ミリ光時級距離

    (2020/10/01) 1ミリ光時とは光が10-3時間(3.6秒間)に進む距離で、約1.08 Gm (108万 km) です。太陽系でミリ光時級距離が必要になるのは衛星間航路のときです。下表は中心星からの平均距離をミリ光時順に並べています。 Gm: ギガメートル (giga metre): 106 km mlh: ミリ光時 (milli light hour): 1.0792528488×106 km Mm: メガメートル (mega metre): 103 km μlh: マイクロ光時 (micro light hour): 1.0792528488×103 km Et: エクサトン (e…

  • 光時級距離

    (2020/09/30) 1光時とは光が1時間に進む距離で、約1.08 Tm (10.8億 km) になります。太陽系で光時級距離が必要になるのは惑星間航路のときです。下表は太陽からの平均距離を光時順に並べています。 Tm: テラメートル (tera metre): 109 km lh: 光時 (light hour): 1.0792528488×109 km Mm: メガメートル (mega metre): 103 km μlh: マイクロ光時 (micro light hour): 1.0792528488×103 km Zt: ゼタトン (zetta tonne): 1021 t, 10…

  • 長さの単位、光時 (light hour)

    (2020/09/29) 宇宙を語るには光速を無視することはできません。光速と関連づけた長さの単位には、光が 1年間で進む長さとして光年が使われています。他には、光が 1秒間で進む長さとして光秒というものもあります。このブログでは、メートル法と親和性が高い光時を軸として記事を進めていきます。 光時とは、光が 1時間で進む長さで、正確に 1,079,252,848.8km です。SI接頭辞*1を使用すると、約1Tm(テラメートル)となります。太陽からみて木星と土星の中間ぐらいの位置です。この長さで通信を行うと片道1時間かかります。1光時と 1Tm は 8% の違いしかないので、片方の値を覚えるこ…

  • 太陽系にある球状天体の一覧

    (2020/09/28) 球状天体とは、自己の重力により球状になった天体のことです。正確には、自転による遠心力があるので、回転楕円体になります。ただ用語としては長いので球状天体と呼ぶことにします。 実は球状天体になるのは簡単なことではなく、太陽系では、現在、見つかっているのは33個に過ぎません。そのうち海王星より内側の軌道にあるのは28個です。海王星より外側では今後も新しい天体が見つかることで増えていくでしょうが、海王星より内側で増えることはまずありません。 現在、知られている最小の球状天体は、土星の衛星 Mimas(ミマス)です。Mimas より質量が大きくても、球状になれない天体もあります…

  • 光秒から光時へ

    (2020/09/28) ご無沙汰しています。当初、このブログは、光秒を基準として、宇宙の大きさを実感できるような資料を提供していく趣旨でしたが、メートル法と異なる数字を前面に出すのは、純粋に宇宙の数値を覚えるには、不利になります。ただし、光速と絡めないと、宇宙の大きさは実感できません。そこで、光秒から光時に基準を変えて記事を書き替えます。 km 光秒 光時 光秒 299,792.458 1 光時 1,079,252,848.800 3,600 1 光年 9,460,730,472,580.800 31,557,600 8,766 光は一時間で約10億km進み、一年間で約1兆km進むと覚えてお…

  • 300キロメートルは1ミリ光秒か1メガフィートか

    (2020/03/08) 300km(キロ-メートル)を表すとき 1mls(ミリ光秒)と 1Mft(メガフィート)の二通りあります。300km は小惑星帯でいうと、5番目から7番目あたりの大きさになります。小惑星の大きさであれば、ミリ光秒よりも、メガフィートのほうがイメージがわきます。これからは、天体上の距離はメガフィート、天体間の距離はミリ光秒と使い分けます。 Mft: メガフィート: 約300km 天体名 km Mft 1 1 Ceres 939 3.13 2 2 Pallas 545 1.82 3 4 Vesta 525 1.75 4 10 Hygiea 407 1.36 5 704 I…

  • 二次元の放物線軌道

    (2020/03/08) 楕円軌道でも双曲線軌道でもないときは、離心率 となり、放物線軌道になりますが、空焦点が無限遠方になり、楕円や双曲線のように二つの焦点からの和や差によって軌道を定めることができません。したがって、放物線の軌道は、焦点と準線との最短距離が等しい場所として定められています。 近点距離: q 近点座標: 共通重心座標: 準線: 放物線軌道: ところが、これに座標変換を施すと、途端に軌道式が煩雑になります。点の座標変換は直感的にもわかりやすいですが、線の座標変換は式を煩雑にします。それでも、二次元であれば強引に軌道を示すことはできますが、三次元になるとお手上げです。自然界で完全…

  • 三次元の双曲線軌道

    (2020/03/07) 前回、「二次元の双曲線軌道*1」を扱いました。空間には x軸と y軸だけでなく z軸もあるので、三次元で表す必要があります。双曲線は閉じていないので軌道長半径はありませんが、仮想的に定めると数式の見通しがよくなるので、定めることにします。 近点距離: q 離心率: e 仮想軌道長半径: 共通重心: (0, 0) 空焦点: (-2ae, 0) 軌道: 軌道面と軌道双極面を「三次元の楕円軌道*2と同様に、近点角 ω、軌道傾角 i、昇交点角 Ωの三次元回転行列を組み合わせて、座標移動を行います。軌道面 軌道双極面 *1:二次元の双曲線軌道 - AstroZone *2:三次…

  • 二次元の双曲線軌道

    (2020/03/07) 今回は二次元の双曲線軌道を扱います。太陽系にはオウムアムア*1のように、太陽の周りを回らず、そのまま太陽系外に飛び出していく天体もあります。オウムアムアのように明確に太陽系外の天体とは言えませんが、一部の長周期彗星も一度だけ太陽に近づきそのままオールトの雲*2を越えて太陽系外に行くような軌道を取ります。それらの天体は楕円軌道ではなく双曲線軌道をとります。 近点距離を q、離心率を e とすると、次のような式になります。 共通重心: (0, 0) 空焦点: 軌道: 楕円軌道と違い、少し面倒な式になっています。これは双曲線軌道は閉じていないので、軌道長半径 a が使えない…

  • 三次元の楕円軌道

    (2020/02/20) 軌道長半径 a、離心率 e、 共有重心座標 (0, 0, 0)、空焦点座標 (-2ae, 0, 0) としたとき、楕円軌道は下記の方程式で表される面が交差した曲線になります。 軌道面: z = 0 回転楕円面: この軌道に対して、近点角 ω、軌道傾角 i、昇交点角 Ω の回転行列で座標変換を行うと、三次元の楕円軌道が求まります。 空焦点座標は次の位置に移ります。 軌道面の式は z軸への単位ベクトル(0, 0, 1) を回転させることで求まります。 回転楕円面は原点と空焦点の距離を足して軌道長半径を2倍にした位置にあります。

  • 二次元の楕円軌道

    (2020/02/02) 前回、前々回の記事より、太陽系では、系内の質量の 99.87% を太陽が独り占めし、系内最大の惑星である木星でさえ太陽を 41.54ft/s*1(12.45m/s) 揺り動かすに過ぎません。この条件により、太陽を回る惑星、準惑星、小惑星はほぼ楕円軌道と見なせる軌道を描いています。太陽と惑星を 1個取り出したときは、両者は同一平面上にあり、2次元の曲線で表せます。 楕円の中心を原点、楕円の長半径を x軸、短半径を y軸としたとき、長半径を a、離心率を e とすると次の式で表せます。 しかし、これはそんなに汎用性の高い式ではありません。楕円の焦点は2個ありますが、天体の…

  • 軌道要素

    (2020/02/02) このブログは惑星だけでなく、衛星の軌道要素も扱います。しかしながら、軌道要素の名前は太陽を基準に名づけられているので、用語を汎用的に少し変える必要があります。次のように呼ぶことにします。 惑星 ブログ a 軌道長半径 〃 e 離心率 〃 ω 近日点黄経 (太陽)近点角 i 軌道傾角 〃 Ω 昇交点黄経 (太陽)昇交点角 q 近日点距離 (太陽)近点距離 Q 遠日点距離 (太陽)遠点距離

  • 太陽を揺り動かす惑星

    (2020/02/05) 前回の記事*1で、太陽系の質量の99.87%は太陽に集まっていると述べました。したがって、系内にある惑星は、他の連星系と違い、複雑な起動を考える必要はありません。楕円軌道で近似でき、多少の摂動はあっても、40億年以上も定まった起動を保つことができました。しかしながら、惑星の質量はゼロではないので、太陽も惑星に揺り動かされています。どのぐらい揺り動かされているか、紹介します。 kls: キロ光秒(kilo light second): 約3億km, 約2天文単位 Ms: メガ秒(Mega second): 約11.57日、約0.0316年 Zt: ゼタトン(zetta …

  • 太陽系における質量の偏り

    (2020/01/26) 下記の表は、太陽系において太陽とそれ以外の天体を合わせた質量を比率で示しています。細かな誤差はありますが、100対0.13417ぐらいに収まっていくようです。このように、太陽系の 99.87% の質量を太陽が占めています。この質量の圧倒的な偏りこそ太陽系内天体の軌道を安定させています。 Yt: ヨタトン (yotta tonne): 1024t, 1030g 天体 質量(Yt) 累計(Yt) 比率(%) 1 太陽 1,989.1 1,989.1 100.0 天体 質量(Yt) 累計(Yt) 割合(%) 2 木星 1.8986 1.8986 0.09545 3 土星 0…

  • 速さの単位 - 光速

    (2020/02/05) 速さの単位は迷うことはないでしょう。光速です。それに SI接頭辞*1をつけて表します。光速を超える速度は存在しないので、最高速度が 1光速(1lv, 1 light velocity)です。SI接頭辞はすべて1より小さい分量の名称になります。ただし、1ミリ光秒より小さいときは、必要に応じて、フィート毎秒を使います。 速度は、通常、長さ÷時間の次元を持ちますが、光速は無次元です。分母が「秒」でも「時」でも光速との相対速度を示します。 光速 読み 秒速 時速 1lv 1光速 299,792.458km/s 1,079,252,848.8km/h 1mlv 1ミリ光速 1M…

  • 時間の単位、秒、キロ秒、メガ秒、年

    (2020/01/22) 秒 分 時 日 週 月 1年 31,557,600 525,960 8,766 365.25 52.176… 12.175 1月 2,592,000 43,200 720 30 4.285… 1週 604,800 10,080 168 7 1日 86,400 1,440 24 1時 3,600 60 1分 60 天文学での1年はユリウス年で、365.25日 便宜上1月は30日とする 時間の単位は全く10進数に従っていません。唯一のSI基本単位*1は「秒」です。したがって、キロ秒、メガ秒という呼称を使うことができます。例えば、1時間は3.6キロ秒、1年は31.6メガ秒の…

  • 長さの単位、ライトフィート (light feet)

    (2020/02/05) 宇宙スケールであれば、惑星間航路はキロ光秒(kls)、衛星間航路は光秒(ls)、天体横断航路はミリ光秒(mls)で表してもいいのですが、これが天体に降り立って、いざ人間スケールに戻ると、ちょっと光秒という響きに違和感があります。300メートル先を、1マイクロ光秒(μls)先というのも、日常に溶け込まない印象を受けます。しかしながら、光秒から始まる10の累乗の関係は続けたいと思います。 そこで、ライトフィート(light feet)という単位を使います。1ライトフィートは 0.299792458m で、これは1ナノ光秒と同じです。正規の1フィート(0.3048m)と非常…

  • エクサトン級天体

    (2020/01/19) 1Et(エクサトン)とは、1018t かつ 1024g のことです。エクサトン級天体とは 1Et前後の質量を持つ天体のことです。エクサトン級天体は自己重力で球状になれる下限の天体になります。Eris(エリス)、冥王星、Haumea(ハウメア)、Makemake(マケマケ)、Ceres(ケレス)などの準惑星はここに含まれます。Trion(トリトン)も元は準惑星だったものが、海王星に捕らえられたと考えられています。それ以外は、土星の中型衛星と天王星の大型衛星、冥王星の衛星が当てはまります。 Et: エクサトン (exa tonne): 1018t, 1024g mls: …

  • ゼタトン級天体

    (2020/01/19) 1Zt(ゼタトン)とは、1021t かつ 1027g のことです。ゼタトン級天体とは 1Zt前後の質量を持つ天体のことです。太陽系では、岩石惑星とガリレオ衛星、月、Titan(タイタン)が当てはまります。岩石惑星は、水星、金星、地球、火星のことで、ガリレオ衛星は、Io(イオ)、Europa(エウロパ)、Ganymede(ガニメデ)、Callisto(カリスト)のことです。 Zt: ゼタトン (zetta tonne): 1021t, 1027g mls: ミリ光秒 (milli light second): 約300km ls: 光秒 (light second): …

  • ヨタトン級天体

    (2020/01/19) 1Yt(ヨタトン)とは、1024t かつ 1030g のことです。ヨタトン級天体とは、1Yt前後の質量を持つ天体のことです。太陽系ではちょうど、木星や土星などの巨大ガス惑星が該当します。太陽そのものは、さらに巨大ガス惑星の1000倍の質量をもち、天王星や海王星などの巨大氷惑星は巨大ガス惑星の10分の1の質量です。 Yt: ヨタトン (yotta tonne): 1024t, 1030g mls: ミリ光秒 (milli light second): 約300km ls: 光秒 (light second): 約30万km 天体 質量(Yt) 直径(mls) 種別 距離…

  • 質量の単位、トン (tonne)

    (2020/01/19) 質量には、光速のような絶対的な指標はありません。光速が距離において重要なのは通信の速度です。1光秒離れた場所と通信をする場合、往復2秒かかります。この遅延は絶対的で、いかなる物理法則もこの遅延を短くすることはできません。一方、質量にはそのようなものはありません。素粒子の質量を最小単位とする考えもありますが、光速と異なり、宇宙規模で素粒子の質量が大きな意味を持つこともありません。 したがって、素直にSI基本単位*1と10の累乗で互換性がある単位を使います。質量のSI基本単位は kg です。これにSI接頭辞*2を付けると、g からの接頭辞になります。地球の質量は 5.97…

  • ミリ光秒級距離

    (2020/01/18) ミリ光秒とは、光が1ミリ秒間に移動する距離で、約300キロメートルになります。このぐらいの値になると、地球上でも実感できる距離になります。天体内で移動するときに使われます。下表は、太陽系にある球状天体を直径順に並べたものです。括弧内は球状天体でないものです。質量順と比べて、いくつかの順位変動があります。 Yt: ヨタトン (yotta tonne): 1024t, 1030g Zt: ゼタトン (zetta tonne): 1021t, 1027g Et: エクサトン (exa tonne): 1018t, 1024g Pt: ペタトン (peta tonne): 1…

  • 光秒級距離

    (2020/01/18) 1光秒とは光が1秒間に進む距離で、約30万キロメートルです。太陽系でキロ光秒級距離が必要になるのは衛星間航路のときです。下表は中心星からの平均距離をキロ光秒順に並べています。 Et: エクサトン (exa tonne): 1018t, 1024g ls: 光秒 (light second): 約30万km mls: ミリ光秒 (milli light second): 約300km 天体 距離(ls) 質量(Et) 直径(mls) 種別 中心星 1 月 1.28 73.5 11.59 衛星 地球 天体 距離(ls) 質量(Et) 直径(mls) 種別 中心星 1 Io…

  • キロ光秒級距離

    (2020/01/18) 1キロ光秒とは光が1000秒間に進む距離で、約2天文単位になります。太陽系でキロ光秒級距離が必要になるのは惑星間航路のときです。下表は太陽からの平均距離をキロ光秒順に並べています。 Zt: ゼタトン (zetta tonne): 1021t, 1027g Et: エクサトン (exa tonne): 1018t, 1024g kls: キロ光秒 (kilo light second): 約3億km mls: ミリ光秒 (milli light second): 約300km 天体 距離(kls) 質量(Zt) 直径(mls) 種別 1 水星 0.19316 0.330…

  • 長さの単位、光秒 (light second)

    (2020/01/18) 宇宙を語るには光速を無視することはできません。このブログでは、光秒を長さの単位とします。光秒の記号として ls (light second) を使います。 キロメートル(km) 天文単位(au) 光秒(ls) 1光秒 299,792.458 0.002004 1 149,597,870.700 1.000000 499 299,792,458 2.003989 1,000 1光年 9,460,730,472,580.800 63,239.345638 31,557,600 なお、天文学で用いる 1年はユリウス年のことで、365.25日のことです。 目安として以下のよう…

  • 太陽系にある球状天体の大きさランキング

    (2020/01/18) 球状天体とは、自己の重力により球状になった天体のことです。正確には、自転による遠心力があるので、回転楕円体になります。ただ用語としては長いので球状天体と呼ぶことにします。 実は球状天体になるのは簡単なことではなく、太陽系では、現在、見つかっているのは33個に過ぎません。そのうち海王星より内側の軌道にあるのは28個です。海王星より外側では今後も新しい天体が見つかることで増える可能性が高いですが、海王星より内側で増えることはまずありません。 現在、知られている最小の球状天体は、土星の衛星 Mimas(ミマス)です。Mimas より質量が大きくても、球状になれない天体もあり…

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