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2020/01/29

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  • ナンパ

    俺は、はめる女を物色していた。朝からものすごくやりたくてしょうがなかった。若い子にしようか、熟女にしようか…今市(いまいち)界隈を彷徨しながら、行きつけのサテン(喫茶店)に足が向いていた。カランコロンドアを開けて覗くと、マスターのアラシがサイフォンをかき

  • デラシネ

    本庄川の河口は、運河が網の目のように走り、どれが本流の河口なのかはっきりしなかった。おれは、たくさんある中洲の街、月島(つきしま)の部落に生まれた。父は町医者で、いつも自転車で中洲をつなぐ橋をいそがしく行き来していた。食べ物や水が悪いのか、子どもたちはみ

  • マサト

    息子に後ろから突かれて、あたしは喘(あえ)いでいる。息子と言っても、旦那の連れ子だから、血はつながっていない。再婚相手に子がいることはよくある話だけれど、その息子が好き者で同居初日から襲われるとは思いもしなかった。「ああん、あんた、上手じゃないの。あん、

  • 導関数

    AVの女優さんは、一応十八歳以上ということになってます。そうしないと、わっぱをかけられてしまいますのでね。十九歳の女子高生ってのがいるわけです。微妙でしょう?鈴木沙耶香がそうです。実は、彼女は浪人生で、大学を目指しているんです。駿台にも通って、京大文系模試

  • 亜美

    どこをどう歩いたか覚えていない。飲めない酒を飲んでこのありさまだった。私は、暖かい布団の中で目が覚めた。天井には蛍光灯の常夜灯が灯っている。頭が割れるように痛い。腕を出して時計を見ると三時を回ったところだった。新聞配達だろうか?バイクの音が近づいて、ポス

  • プロファイラ(逃避行シリーズ)

    府警本部捜査一課の詫間重夫(たくましげお)課長は、R命館大学法科大学院の刑法・刑訴法研究室に柳瀬豊(やなせゆたか)助教授を訪ねた。柳瀬は、府警本部長の要請で、犯罪者プロファイリングを委託されていた。彼は、刑法の専門家であるけれども、犯罪心理学にも造詣が深く

  • 「逃避行」解説

    「おかえりなさい、なおぼん」金魚鉢の中で、パーソナリティの森田検索がねぎらってくれる。「少しばかりお暇をいただき、ラジオの仕事をお休みしてました。ごめんなさいね。それでは「ぼんリク」をはじめましょう!」「府警のみなさんは、なおぼんを追い詰められたんでしょ

  • 挑発(逃避行シリーズ)

    ケアマネから何度もメールを受け取っていたが、返せなかった。「どうしたんですか?後藤さん。ご主人をほっぽらかして。連絡待ってます」かなりヒステリックにあたしを探しまわっているようだ。無理もない。「すまない。返すと位置を知られるんだ・・・」心で詫た。431.50MH

  • 尚子はいずこへ?(逃避行シリーズ)

    元日の府警本部のホームページに何者かが不正にアクセスし、ワイセツな画像が貼り付けられるという事件が起こった。「サイバーテロや!」職員は色めきだった。捜査一課(わいせつ物陳列関係)、捜査二課(サイバー犯罪関係)が合同で捜査に当たることとなったが、後に捜査四

  • 夫婦

    貞子(さだこ)は焦っていました。結婚して五年目になるのに、子供を授からなかったからです。夫の、宗典(むねのり)とは恋愛結婚であり、今も仲睦まじいのは申し分なかったのです。しかし、宗典は貞子より六歳も年下で、子供っぽいところがありました。夫婦の営みも、たま

  • 別離(イビョル)

    めっきり日が短くなり、病院の外は夕方六時だというのに真っ暗だった。カサコソと枯れ葉の舞う音が寂しげだ。おれは、コートの襟を立てて、妻の入院している病院の玄関に急いだ。仕事を早く終えて、そのままの足でここに来た。もうこんな生活が一年ほど続いている。病院の中

  • ラヂオドラマ「治療」

    今週は、利根川アキ子の小説『治療』の最終回を、ヨコヤマナオコの朗読でお送りいたします。「それはおまんさんがうずくということですか?」酒井医師が曇ったメガネの目で訊いた。「そうかもしれません」あたしは、小さな声で答えた。「かゆくはないですか?」「ないです」

  • 麗華の復讐

    あたしは、庭先を掃いていた。時折晴れ間も見える花曇りの頃だった。ふと、後ろに人の気配を感じて振り向いた。「あなたは、こないだの…」そう、あの青年だった。どこか、主人の淳一に似ているようにあたしは思った。「あ、あの…」言いよどんで、彼は、「山崎淳一さんの家

  • Reika

    おれは昨日で三十七になった。妻の麗華は十も年下で二十七だった。おれたちは結婚五年目にして成城に屋敷を持つことができた。どれも福島家、つまり麗華の資金援助があってのことだった。毎年のことだが、麗華は、おれの誕生日を特別な料理で祝ってくれる。「お前ぐらい美人

  • 麗華(れいか)

    逝ったあとの、妻の顔を見ながらおれはタバコに火を点ける。おれはまだ逝っていない。あとからゆっくり楽しめばいい。「逝っちゃった…」恥ずかしそうにつぶやくと、ベッドに片頬を押し付けて、そのまま顔を伏せてしまった。ミッションスクールを出たお嬢さんの妻、麗華(れ

  • おたま婆さん

    おたま婆さんは、縁側で入れ歯をもぐもぐさせながら、笑った。「あたしもね、若いころは、ようモテた」そう聞こえた。「おたまさん、美人だったもんね」「え?」耳が遠いのだ。「だんなさんのほかに、おとこのひといたんでしょ!」あたしはおたま婆さんの耳元で大きな声を出

  • 家族なんか? 最終話

    その年のクリスマスも過ぎ、残すところあと数日となった澤田家のひとびと。澤田修二は、愛人、畑裕子に「赤ちゃんできちゃった」と宣(のたま)われ、全身の血の気が失せていた。上司の植村課長は、ついに二人の仲を疑いだしたのだった。修二の妻、菊枝は美容院で髪をセット

  • 家族なんか(3)

    修二はホテルのベッドに裸体のまま横たわり、備え付けの大画面液晶テレビでAV(アダルトビデオ)を鑑賞していた。彼の右腕には営業二課の畑裕子(はたゆうこ)の長いまつげのケバい丸顔が乗っている。「ねぇ、この女優さんとあたしとどっちがカワイイ?」馬鹿っぽい質問をす

  • 家族なんか(2)

    菊枝は、言いようのない疎外感を感じていた。夫に裏切られたという気持ちが強く彼女を苛(さいな)んでいた。季節感のないマンション暮らしも、言うことを聞かない子どもたちも、どれもこれもが嫌になったように菊枝に感じられた。事の発端は、娘の佐枝子がめずらしく夫が着

  • 家族なんか(1)

    家族の絆(きずな)など、ことほどさように堅固なものではない。むしろ儚(はかな)いものの代表だと言っていい。昨今の少子化と個人主義は、絆を緩めこそすれ、強めることはなくなった。澤田修二の家族を覗(のぞ)き見てみよう。彼の家族は、都心のマンション住まう、修二

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