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まぁ良いではないか https://nekojy.muragon.com/

語られぬ内面を忖度し、描かれぬ行間に酔う…… そんな文章を綴りたい。そんな感じで、拙いショート・スト

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2020/01/02

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  • My Funny Valentine【BARハードボイルド】

    カウンターにボトルが置かれていた。ポツンとひとつだけ。 空き瓶か? よく見たら、まだ結構残っている。 ……ねぇ、わたしのこと、まだ覚えている? ボトルが言葉を発した。確かに、そう聴こえた。 ……あの日は、今日なんかよりもっともっと寒くてね。朝、降った雪が、いつまで...

  • 庭仕事の楽しみ

    春が待ち遠しい。あと、ひと月ほどと思うと、なおさらだ…… ♪春にゃ必ず オトゥは帰る 荷物いっぱいブラ下げてょ〜 ……出稼ぎの父を待つ子供のように、春が楽しみだ。だが今しばらくは、ガマンの子でいよう。 草木萌える陽光を夢見ながら、机上でパラパラとページでもめくりた...

  • サンカン・シオン【BARハードボイルド】

    鼻の先が、いつまでたっても冷たかった。 「北に突き出ているから、まあ仕方無いか……」 英語で言うと、ノーズとノース…… 語呂が似ているだけの理由で混同し、妙にそのまま納得してしまう。 先っちょが冷たいのは、鼻だけじゃなかった。靴の中では爪先が助けを求めている。いつまで...

  • 昨今のリスクへの備えを考えてみた

    昨今、自然災害の脅威にさらされることが多くなった。さらに今年に入り、新型ウイルスの恐怖が襲いかかる。なんか、切ないね。 いつ降りかかってくるか、知るよしもない災害リスク。それを日々憂いているなんて、身が持たないよ。なんとか気楽に備えたいものだ。それには、どうしたらよいの...

  • また雨が…… もうイヤ

    外は薄暗かった。雨がトタン屋根を叩いている。時計はもうすぐ七時…… 起きよう。 雨音で目が覚めた朝。「今、生きている自分」を客観的に見つめてみたい、そんな気分になる。 雨が感性の扉をノックする。その豊かさに気付けと言いながら。そのとき得た確信は『幸せ』の備蓄となり、幸...

  • 何もない春です。

    寒さが、ちょっと緩んできた。しかし、春はまだ少し先のはず。オレは騙されないぞ。辺りを見回しても、枝先の蕾はまだ固く「何も無い春」といった感じだ。 何もない春…… 思い出した。この歌だった。詩がいい。そして、深い。 《襟裳岬》 唄/森進一 作詞・作曲/岡本おさみ...

  • アニバーサリー

    風花が舞う。ふわり、ふわり…… 枝ばかりとなった冬木立の間から、降りてくる。ぼくは、丸くなった背中を伸ばす。息を大きく吸い込むと、鼻の奥の方がつんとした。五年前のあの日も、同じように空気が冷えきっていた。 もうすぐやってくる命日。ずっと一緒に暮らしていた猫が旅立った。外...

  • 追憶という名の電話【BARハードボイルド】

    店のピンク電話が鳴った。滅多に掛かることがないのに。いったい誰からなのだろう。 心当たりが無かった。たぶん、何か高額商品でも売り付けるキャッチセールスか何かだろう。そんなふうに思いながら受話器を手にした。 「はい。BARハードボイルドです」 「……。 お久し振りです...

  • 幻に惑わされ【BARハードボイルド】

    幻(マボロシ)。実際には無いのに、存在するかのように見えるもの。心の中に思い描く姿、形…… 人はなぜ、それを出現させてしまうのであろうか。 その虚像を愛し溺れてしまうこともあれば、怯え憎んだ末にミサイルを発射させてしまうこともあったりして…… 掴みどころがない相手...

  • 春を探しに【中学生日記】

    厳しい寒さが、ほんの少しだけ和らいだ。そう感じさせる朝だった。 霧のような雨が、音もたてずにただ降っている。湿り気を帯びた大気が、春もそう遠くないこと教えてくれていた。 「今朝は、元気そうな顔してるね。なにか嬉しいことでもあった?」 クラスメイトが奈緒(ナオ)に、そう...

  • 古新聞に読みふける

    ある日、私はスーパーで買い物をしていた。 スーパーのレジの先には、支払い済の客が、レジ袋に詰めるための作業台がある。そこには、主に割れ物などを包むための、古新聞の束などが置かれていたりする。 その日に限って、その梱包用の古新聞がなぜか気になり、何枚かを手に取って眺めて...

  • 骨なしチキン野郎って【中学生日記】

    「詰めが甘いのかな…… 」 彼は、ある自己分析をしていた。そして、決意する。 「そう、もっとガツガツと。肉食系男子にならなければ…… 」 このまま、ちゃんとした彼女も出来ずに中学生活を終えてしまうことだけは、絶対に避けたい。それならば、そうだ、肉…… 肉だ。肉を食わなけ...

  • TAXI【BARハードボイルド】

    あたしは、夜が好き。何故って? 見たく無いものが見えないからよ。でも、本当は夜が恐くて仕方ないんだけど…… だから、まだ地下鉄が動いている時間だけど、こうしてタクシーで出かけるの。 TAXIと書かれた電飾のルーフサインだけが、遠くの暗闇に浮かんでいる。 後部...

  • ポイと捨てられたアタシ……【BARハードボイルド】

    アイツの夢を見て、目が覚めた。長い長い夢だったのは覚えているけど…… 内容は一瞬にして忘れてしまった。どうでもいい内容だったような。そう、クソどうでもいい夢…… でもね…… なぜだか、目が濡れていたの。 酔いつぶれた、という訳ではないよ。不覚にも、カウンターに座ったま...

  • 異性に目覚める香り【中学生日記】

    ふと鼻先をかすめるものがあった。 それはお化粧の香り…… いわゆるオシロイの匂いである。 ん…… 確かに、一瞬ではあるが、その匂いは私の鼻先をフワリとかすめていった。 ここは誰もいないはずの仕事場である。どこかでパートのおばちゃんが、またサボっているのか…… 周りを...

  • am5:30 覚醒

    窓から街が見える。まだ、朝になりきれていなかった。柔らかに霧が包む。遠く、街灯だけぼんやり浮いていた。 窓枠に切り取られた光景。刻々と塗り替えられる、印象派の額縁。まだ寝ていたい意識を引きずりながら、そんなことを考えていた。 両手の指先だけを袖口から器用に出す。顔を洗...

  • ボクスイ先生、ロマンチックです【短歌】

    今から少し前、秋から冬にさしかかる頃。妙に人恋しくなる時期がありました。心がセンチメンタルになりたがっている…… そういう季節なのかもしれませんが、これには理由があるらしいのです。 日を追うごとに陽射しが弱まり、気温も下がって行く。この僅かな気象の変化に、人は「不安感・...

  • 月影に導かれて【中学生日記】

    遠い昔、私がまだ中学生だった時分…… その頃から、ずっと解決されていない、様々なわだかまり。そのほとんどが、異性に対する憧れでした。 オトナになった今、文章で遊ぶことを知ってしまったイケナイ私。中学生の主人公に姿を変え、ストーリーを展開させて行きます…… やけに明るい...

  • 本音をつぶやく【BARハードボイルド】

    埠頭をわたる風が、容赦無く頬を打つ。対岸のはるか向こうに、白く点滅するものがあった。おそらくは、港の入口を示す防波堤先端の小さな灯台なのだろう。 海面の光の反射が、カミソリの歯となり威嚇してきた。ボンヤリそれを見る。頭の中で別のことを考えていた。 ……情景が生まれる言葉...

  • 古いページの匂い

    ここ最近、身体の芯から疲れが抜けない感覚が続いている。気候のせいなのか、何かのストレスのせいなのか…… そうすると、感性までが鈍ってくるようだ。何をしていても、あまり楽しくない。楽しめない。 そんなときには、心のリセットのようなものが必要だ。自分なりの基本動作に立ち返り...

  • 官能の音色

    新春の陽射しが木漏れ日をつくり、障子の上で揺れています。私は畳の上で少し横にならせていただき、姐(ネエ)さんが来るのを待ちました。 ここは茶室なのでしょうか。木と草の匂いが妙に懐かしく、四畳半の狭さと薄暗さが淫靡(インビ)な雰囲気を醸しています。 姐さんは、もうすぐ...

  • 人肌にあたためて

    正月も三日過ぎると、お腹が少し疲れてくる。胃に優しい「湯豆腐」なんざぁ如何でしょう。箸休めに、こんなショート・ストーリーをおひとつ。 最強の寒気団がやって来る。暗い北の空から、無数の小雪を吹き付けてきた。 「夜半には吹雪くでしょう」 天気予報がそう言っていた。どうやら...

  • 大人の階段を登り、いいものを拾った

    冬休み。それももう、半分終わってしまう頃だなぁ…… 遥か昔、子供の頃にも窓越しの冬枯れた景色を眺め、フゥ〜とタメ息を漏らしたことがあったようななかったような…… 楽しい時間は、あっという間に過ぎてしまう。日の短い冬の休みは、特にそんな印象が付きまとう。 それは高校生...

  • 寒い記憶

    寒いものって、何だろう。 一人、取り残された孤独感。二人の間に漂う不信感。三人でいた時の疎外感…… それに比べれば、冬の寒さなんて全然OKさ…… 生きることに不器用な私。こんな寒い記憶がありました。 私が子供だった時分、近所には畑とか空地がたくさんあった。小学校へ向...

  • 自転車が部屋にやって来た

    ……… 横倒しされた自転車の前輪が、スポークのところまで砂に埋まっている。握り飯を頬張りながら、ぼくはその光景を眺めていた。 西から吹き付ける風は冷たかったが、陽射しをいっぱいに受けたウインド・ブレーカーは暖かい。 遠く波打ち際の方へ目をやると、何羽かの千鳥がシルエット...

  • ダブル・ロックをもう一杯

    あたらしい年になりました。 またひとつ歳を数え…… そんなフレーズが思わず口をついて出てしまいます。気がつけば、過ぎ去りし日々を振り返る自分がいて、ちょっとホッコリしつつも切ない記憶ばかりが頭に残る。それ、無意識に「どう生きて行きたいのか」を考えているのかも知れません。...

  • 香り立つ記憶

    いつもと違う方向に、車のステアリングを切る。ブラリと夜の港に来てしまった。 誰かと一緒に居るのは、悪くない。だが、心の底からはリラックスできなかった。人付き合いが億劫な性格なのだろう。夜は、一人で過ごすほうが好きだ。 車の窓を開けて、潮の香りがまじる冷たい空気を吸い込...

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