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ブログタイトル
九月の夜想曲 ~ブルームーン<九十九の涙に彩られた刻の雫>~
ブログURL
https://blog.goo.ne.jp/tears99-september-rain
ブログ紹介文
行間に綴られた言葉を、共に知る方へのメッセージ。 ブルームーンに映るあの記憶を。 そして、これからの道のりを。
更新頻度(1年)

13回 / 57日(平均1.6回/週)

ブログ村参加:2019/12/25

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ハンドル名
九月のZさん
ブログタイトル
九月の夜想曲 ~ブルームーン<九十九の涙に彩られた刻の雫>~
更新頻度
13回 / 57日(平均1.6回/週)
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九月のZさんの新着記事

1件〜30件

  • 失われた道の果て 第四夜

    以前、社員になりたての若者を連れてきた某工務店の男性。いつになく、神妙な面持ちだ。何かを終えたときの、安堵よりも喪失感の多い特有のオーラが漂う。マスターは、待つ。大きなため息の後・・・「今日は、ラフロイグをもらおうか。」マスターは何も聞かない。「かしこまりました。ストレートでよろしいですか?」男性がはっとした面持ちで、マスターを見る。飲み方まで、考えていなかった。「ああ、そうだな。それでいい。」あの、薬臭いと嫌っていたラフロイグ。男性の心模様は、今にも降り出しそうな灰色の厚い雲。かつての饒舌さは、偏西風に乗り、通り過ぎていた。寡黙・・・ではない。言葉が見つからないだけ。暫し沈黙。BARで沈黙は、珍しいことではない。ただ、静かなる沈黙と、喉詰まりのような沈黙は異なる。やがて、咳払いの後に絞り出て言葉は・・・「昨日...失われた道の果て第四夜

  • 失われた道の果て 第三夜

    「マスター、強い酒ちょうだい!」今でも、このセリフはBARのどこかに棲息している。そんなとき、マスターは、シェリーカスクのウイスキーを少し加水してオン・ザ・ロックにする。色が濃いので、度数が高そうに見える。どうせ一気に呷るお酒。多少薄めてもわからない。儀式が終われば、大抵、次に出る言葉は・・・「マスター、聞いて!」バーテンダーは、グラスを磨いていないとき、カウンターの向こう側を映す鏡を磨く。そうすることで、その方の心に向き合うことができる。尋ねる必要はない。聞いてほしい者は、自ら語るからだ。「百年に一人の逸材なのよ。天使の声を持った子なのよ。」芸能プロダクションの社長は、若い頃アイドルだった。しかし、そうした過去のプライドを一切捨て、仕事に向き合ったのが、成功の要因だった。「なのに、芸能界を諦める、歌手を諦める...失われた道の果て第三夜

  • 失われた道の果て 第二夜

    比較的お行儀のよい三人娘が、三度目のご来店。「おめでとう!」二人から祝福されているのは、あどけなさの残るショートカットの女性。「今日くらいは、お酒飲んだら?」「まだ始まっていないし、ここで油断してしまうといけないから、今日もしっかりノンアルコール!」「でもすごいよね。あのオーディションに受かるなんて、将来を約束されたようなものじゃない。」「そうそう、もう住む世界が変わっちゃうのかな~」人の成功を心から祝福する友だちというのは、意外と少ない現実。そんな中にあって、ほのぼのとした光景。お祝いの席なのだが、主役の女性にはどことなく陰が・・・「おやじさんに話した?」切り出した女性は、もちろん、事情を知っている。父子家庭の彼女にとって、唯一の家族。彼女の様子から、この道の難しさが窺える。道が険しいのではなく、その道に進む...失われた道の果て第二夜

  • 失われた道の果て 第一夜

    どの街にも、路地裏には『名も無きBAR』があります。この国の何処かにある・・・らしい、『名も無きBAR』の物語。☆☆☆ガヤガヤと連れ立って来店されたのは、某工務店のお二人。おしぼりを差し出すマスターに、上司と思しき恰幅のいい男性が告げる。「バーボンのソーダ割り。濃いめで。」「お好みの銘柄はございますか?」「バーボンなら何でもいいよ。とにかく、濃いめでつくってくれ。」「かしこまりました。お連れ様はいかがいたしますか?」スリムで少し神経質そうな若い男性が答える。「じゃあ、僕は、ラフロイグのソーダ割りを。」マスターがソーダで割る前に、ラフロイグに割って入ったのは、隣の男性。「ラフロイグはやめとけ。あれは薬臭い。それよりも、バーボンを飲んでみろ。」「はあ。」若者の気の抜けたソーダが、バーボンを満たすようだ。マスターは、...失われた道の果て第一夜

  • 言の葉をありがとうございます。

    2020年1月17日掲載の『てぶくろを買いに』に、心和む言の葉をいただいておりました。ご本人のご了解を得てから公開させていただくようにしておりますが、コメントとして投稿いただいていることに気づくまで、数日が過ぎておりました。大変失礼な振る舞いを申し訳なく思いつつ、まだご本人さまからご了解をいただいているわけではございませんが、内容から判断いたしますと、お差支えはないかと思いますので、公開させていただきました。私ひとりがありがたく思うだけでは、勿体ないという思いでおります。言葉のひとつひとつが、音符のような調べですね。言の葉が舞うようで、自然体の静けさを感じます。「ゆずりは」さん、素敵なメッセージをありがとうございます。なお、もしも公開は意に反することでしたら、ご指摘いただけますと有難いです。~音符のような言の葉...言の葉をありがとうございます。

  • もうひとつの「うさぎとかめ」

    人生には、知っておいた方がよいこと、知らなくてもよいこと、知らない方がよいことがございます。「うさぎとかめ」のお話は、知っておいた方がよいことです。俊足のうさぎと、鈍足のかめがかけっこをします。油断したうさぎが昼寝をしている間に、かめが先にゴールします。能力が高くても、油断すると負けることがある・・・能力が低くても、地道に努力すれば、勝てることがある・・・そうしたお話だったように思います。☆☆☆もうひとつの「うさぎとかめ」俊足のうさぎと、鈍足のかめがかけっこをします。うさぎは、自分が勝てることを知っています。かめは、一生懸命走ります。うさぎは、一生懸命なかめに喜んでほしいと思っています。でも、わざとゆっくり走ったのでは、バレバレです。そこで、油断して昼寝をしているふりをします。その横をかめは、一生懸命走ります。...もうひとつの「うさぎとかめ」

  • 「靴が揃うとね・・・」

    “靴が揃えば心がそろう心がそろえば靴が揃う”☆☆☆忙ぐと、なかなか出来ないこと・・・ボタンをとめる鍵をかける靴を履く靴を脱いで揃える落ち着いて丁寧にした方が、結果的に早く済むのに、急げば急ぐほど、うまく出来ないことがあります。「では、落ち着けばいいのだろう?」それはそうなのですが、そうもいかないほど、切迫したときもあるのだと思います。いつも慌てふためいている人は、それが個性ですから、どうということもないと思います。一方、どのような困難に直面しても、常に冷静な方が慌てるとき、それは一大事です。その方の「一大事」は、他の方の「一大事」とは意味が違います。「一大事」が起きている処が異なるのです。もしも、運よく「一大事」が過ぎれば、自然と靴が揃うでしょう。靴が揃う様は、安らぎの象徴です。「お洒落は足元から」といいます。...「靴が揃うとね・・・」

  • 『てぶくろを買いに』

    今もどこかに、こうした物語が紡がれる処があればよいと思います。奪い合うことなく、騙し合うことなく、異色が自分と異なる色に過ぎないことを理解できる懐の深さがあれば、子ぎつねも温かいてぶくろを手に入れることができます。そうすれば、母ぎつねの心も温まります。誰にも迷惑をかけることなく、森に帰るのです。手のひらの持ち主をつきとめても、得られるものはありません。冷たい手を温めることが罪だとするなら、その手を貸すものは、いなくなります。誰も手を貸さない世界は、凍てつく冬の森以上に、背筋が凍りそうです。子ぎつねの手のひらに乗っていた、わずかなお金。それと引き換えに渡されたてぶくろ。出来ることなら、心配顔で待つ母ぎつねに、温かいミルクと少しのウイスキーを差し上げたいところです。ミルクを美味しそうに飲む子ぎつねの横で、母ぎつねが...『てぶくろを買いに』

  • 小さな『ボタン』の物語

    『ボタン』・・・左右を合わせて礼節をわきまえるもの。寒風から肌を守る砦。想い出として、女子中学生が手に入れたい(らしい)もの。掛け違うと、面倒なもの。押し間違うと、悲惨な結果を招くもの。☆☆☆『ボタン』は必要でしょうか?『ボタン』がなければ、手間が省けます。『ボタン』がなければ、糸が擦り切れて、外れてしまうこともありません。『ボタン』がなければ、掛け違うこともありません。『ボタン』がなければ、綺麗なボタンが欲しくなることもありません。『ボタン』がなければ、他人の人生を台無しにすることもありません。では、『ボタン』は不要でしょうか?『ボタン』をとめることで、出掛ける際に心が整います。『ボタン』が取れたら、丁寧に糸で取りつける刻が現れます。『ボタン』を掛け違うと、楽しい笑いが生まれることもあります。『ボタン』があれ...小さな『ボタン』の物語

  • 小さな『ボタン』の物語

    『ボタン』・・・左右を合わせて礼節をわきまえるもの。寒風から肌を守る砦。想い出として、女子中学生が手に入れたい(らしい)もの。掛け違うと、面倒なもの。押し間違うと、悲惨な結果を招くもの。☆☆☆『ボタン』は必要でしょうか?『ボタン』がなければ、手間が省けます。『ボタン』がなければ、糸が擦り切れて、外れてしまうこともありません。『ボタン』がなければ、掛け違うこともありません。『ボタン』がなければ、綺麗なボタンが欲しくなることもありません。『ボタン』がなければ、他人の人生を台無しにすることもありません。では、『ボタン』は不要でしょうか?『ボタン』をとめることで、出掛ける際に心が整います。『ボタン』が取れたら、丁寧に糸で取りつける刻が現れます。『ボタン』を掛け違うと、楽しい笑いが生まれることもあります。『ボタン』があれ...小さな『ボタン』の物語

  • 月夜のブランコ

    2018.06.28に綴りました『雪のブランコ』の結び。「今も・・・これからも・・・雪のブランコに揺られ・・・微笑んでいる。」日々は濁流のように流れ、足掻いていませんと、溺れてしまいそうです。それでも、月の見える夜だけは、対岸へと歩くことができます。月光を道標に歩きますと、誰もいない公園のブランコが微かに揺れています。時間がどれほど流れようと、刻はいつもそこに在ります。ブランコに腰をおろし、揺れるままに刻の中にいます。月夜のブランコは、ゆりかごのようです。どこからか聴こえてくるメロディ。どこからか聴こえてくる笑い声。笑えない日々なのに、いつも聴こえていた笑い声。今は、揺れるブランコに月夜が微笑んでいます。WrittenbyZ月夜のブランコ

  • いつもと変わらぬ刻の中、静かに年が明けました。永く、辛抱強く、『九月の夜想曲』に耳を傾けてくださっている方々には、「おやっ?」と意外に思われたかもしれません。ランキングサイトのバナーが登場しております。「そうした類いのものだった?」以前、コメントをいただいた方から、「ひとり静かに読みたい」とお伝えいただきました。あの頃と何か変わった・・・わけではないと思います。掲載にムラがあることも、以前のまま。でも、少しだけ、変わったことはあるかもしれません。それは、些細なこと。繊細なこと。静かに訪れること。お伝えする想いの意味は、相変らずわかりにくいことでしょう。この生涯では、“わかりやすさ”は、指の間から零れ落ちる砂のようです。ランキングサイトのバナーは、『扉』としてお付けしました。小さな灯りを大きなネオンに変えることは...扉

  • 手渡し

    1万km離れた人とも、リアルタイムで会話ができる時代。知りたい情報は、小さな箱に指示するだけで、無機質に取り出せる環境。いつの間にか忘れてしまった手渡し。日時指定で産地から直送される品物も有難いですが、手渡しには、ぬくもりがあります。便利さ、効率、タイムリー、最前線、安価・・・何かを示す用語が立ち入る世界ではありません。鮮度、稀少、非売品、高価・・・価値を示す用語も出番がありません。おにぎりひとつでよいのです。おかゆひとさじでよいのです。人肌のミルクでよいのです。そして、そこにいることが、何よりうれしいのです。一番うれしいことが、とても遠くにいってしまった時代。思い出すことは、インターネットよりも速いはずです。手渡しには、かけがえのない、うれしい刻があります。WrittenbyZ手渡し

  • 街のX‘mas

    街は残酷なテーマパーク。どこにも避難する場所はなく・・・瞳を閉じても、あの曲が押し寄せ・・・耳を閉じても、あの賑わいが伝わる。X‘masを心から楽しむことの出来る人たちの幸せを、大切に思います。その一方で、そうしたことが出来ない人たちの哀しみを切なく想います。どちらが良いとか悪いとかではなく、どちらが正しいとか間違っているとかでもなく、それぞれに運命と使命があるだけです。一部の強欲な人種が、ある時期、拡声器を搭載した戦車で、自分の名前の刷り込みに奔走することに比べれば、まだマシかもしれません。それを必要とする人たちだけを集めた建物内に、留めていただきたいといつも思います。己の欲のためだけに、罪も無い人たちに、好まない騒音をまき散らす行為。少なくとも、そうした人間が政を司る国に、思いやりが浸透することはありません...街のX‘mas

  • 留まる理由

    見渡す限りの砂漠。雨など期待できるわけもなく。凍てついた氷の塊。地面が姿を見せることもなく。一面に鬱蒼と茂るジャングル。肌にまとわりつく湿った空気。ヘドロにまみれた集落。足をとられて、歩くことも出来ず。強風に晒されようと波しぶきに洗われようと灼熱の太陽に焼かれようと悪臭に苛まれようとそれでも此処に留まるのは何故?じっと動かず、朝露を目に溜めるいきもの。厚い脂肪と毛皮に覆われ、寒さをも身に纏ういきもの。じっと身を潜め、夜を待ついきものそして、じっと辛抱を続けるいきもの。心地良い春の訪れを知ろうとしないのは何故?・・・考えるよりも生きることが大切。生きるよりも、生きてほしいと願うことが大切。願いよりも、そのための行動が大切。そして何よりも、大切なものが在ること・・・それが、留まる意味。留まるために必要だから生きる。...留まる理由

  • 無限の角を目指す鉄。四角のスポンジが嘲笑する。

    三角の鉄を、四角のスポンジが嘲笑する。「何をそんなに必死になって、身を削っているんだい?」鉄は無表情に答える。「傷つけないためだ。」鉄の角は、人肌を傷つける。どれほど静かに転がっても、固い鉄の角は、人肌を傷つける。丸くなれば、傷つけることもない。鉄よりも堅いやすりで削れば、それも可能だろう。しかし、鉄の意志よりも固いものは無い。角を増やせばどうか?三角よりも四角、四角よりも五角、五角よりも・・・角が多ければ多いほど、球に近づくことは出来る。ただし、無限角があるとしても、角があることには変わりない。隣り合う点を直線で繋ぐ行為は、永遠に球にはならない。固い鉄。直線で結ぶしかない点。傷つけまいとすれば、無限を超える角を持つ以外にはない。愚直に身を削り、角を増やす「僕は四角だけれど、人肌を傷つけないよ。柔らかいからね。...無限の角を目指す鉄。四角のスポンジが嘲笑する。

  • この声が聴こえる刻

    誰もなぞらない音符には、音がありません。誰も弾かないピアノには、音がありません。誰もいない部屋には、音がありません。でも、耳を澄ませば聴こえるメロディがあります。聴こえないのは、雑踏のせい?聴こえないのは、雑音のせい?聴こえないのは、世の不条理のせい?いいえ、耳を澄ませば聴こえるのです。いつもそこにいたのです。今もきっと・・・足早に通り過ぎる季節もゆっくりと歩けば、移ろいは静か。枯れ落ちる葉も立ち止まって見守れば、慈しみ育む魂。急ぎ過ぎるのは、忙しいからではなく立ち止まり、知ることを避けているだけ。振り返らないのは、追い立てられるからではなく手を差し延べることができなかった過去を悔いているだけ。この声が聴こえる刻・・・誰もなぞらない音符が、譜面から微笑む。誰も弾かないピアノの前に、聴き慣れた楽譜が置かれている。...この声が聴こえる刻

  • 『道端』

    大きな道小さな道アスファルトの道土を踏みしめる道道は、どこかと誰かをつなぐ心道の始まりは?歩き出そうとした今道の終わりは?心が朽ちたとき道は、どこかで誰かと出逢う扉どこ?いずれ知ることになる処誰?あなたのよく知っている人道を通り過ぎる人道を急ぐ人道に迷う人道端に坐り込む人誰にも気づかれずに咲く野菊の慎ましさを知るには、道端がいい。コンクリートを割っても生き延びる野菊のたくましさを知るには、道端がいい。通り過ぎる道急ぐ道迷う道道端に坐り込む瞳身じろぎもせず、じっと見つめる瞳。瞼の奥の、遠い記憶。道端には、預けた鍵を首にかけた幼子がいる。道端には、ずっと待ち続ける幼子がいる。道端には、幼子が待ち続ける刻がある。幼子が待つ道端。「迎えにきたよ」夕陽に向かう後ろ姿。夕陽を背に受け安心する幼子。道端には、いつまでも待ち続...『道端』

  • 小さな灯り

    「楽しそうだね、楽しそうだね。」楽しさがあふれて、瞳が輝いています。小さな灯りがともる小さな遊園地。「みんなうれしそうだね、きっとうれしいよね。」無垢な瞳は、ピカピカのビー玉のようです。小さな灯りに包まれた小さな幸せ。小箱の中のおもちゃの人形たち。それを見つめる小さな瞳と小さな手。「いつまでも幸せでいたいよね。みんな仲良く一緒にいたいよね。」誰もいない小さな部屋の片隅で・・・小さくなった手がつかみたかったもの・・・小さな灯りがともるささやかな人生。手のひらにおさまる小さな幸せ。ひとりきりのひな祭り。瞳の中では、小さな子どもたちが楽しそう・・・うれしそう・・・小さな灯りがともる小さな幸せいつもここにある小さな幸せbyz小さな灯り

  • ただ風に吹かれ

    ただ風に吹かれる日々。対処しなければならない事もなく解決しなければならない事件もなく我慢を強いる事もない・・・昨日の後始末をすることもなく明日の戦いに備えることもなく心を鬼にする必要もない・・・安息の日々は、ただ風に吹かれる日々。痛みもなく苦しみもなくましてや、心配事もなくただ風が吹いている。何かを得る必要のない日々。それは、失うことからの解放。何かを抑える必要のない日々。それは、悪しき亡者たちからの解放。自ら動く必要のない日々。それは、もはや守るべき者のいない世界そこには、ただ風が吹いている。刻の狭間をただ風が吹いている。ただ風に吹かれる日々。それは戦いの果てにあり闘いの終りにあり永遠の扉の向こうにある。輪廻の中には無い。唯一の刻だからこそ、存在し得るもの・・・そこでは、ただ風が吹いている。風だけが知っている...ただ風に吹かれ

  • 静かに忘れ去られる安らぎ

    あの頃は、限りない叡智で他人を救いあの頃は、限りない施しで他人を助けあの頃は、眩い光に包まれその舞台裏で倒れ込む誰もが知るのは、華やかな人生を歩む人誰も知らぬは、その陰の凄惨なまでの努力誰もが頼るのは、我が身を助けてくれるその力倒れた偉人には見向きもしない薄情、裏切り、卑劣、浅はか遠くの汽笛のように、もはやここには無い骸すらないこの刻に、聖夜が降りてくる星たちに包まれ、温かな刻が奏でる夜想曲静けさに流れるメロディ誰にも聴こえない調べ心安らぐひとときが、スクリーンにあの頃を映し出す賑わいの中に、ずっとしまってあった静かな影光無き夜に、そっと目覚める記憶そこには、いつもと変わらぬあの笑顔今も聴こえるあのメロディ静けさに包まれた刻ようやく辿りつく安堵永い道のり終わりなき試練の道終着点は、あの笑顔いつもと変わらぬあの笑...静かに忘れ去られる安らぎ

  • ひと雫

    多くのものは必要ありません。手のひらに収まるだけの玄米があれば、幸せになれるのです。大きなものは必要ありません。手の甲に乗るだけの岩塩があれば、美味しいスープができるのです。高価なものは必要ありません。握りしめた小銭で、一抱えの葉物を譲ってもらえるのです。眩し過ぎると見えないように、有り過ぎるとわからないのです。だから、ほんのひと雫でよいのです。そのひと雫が琥珀色であったなら、寒い夜も越せそうです。そのひと雫を大事そうに見守る瞳があれば、寒い夜も温かくなります。きっと・・・寒い夜も・・・きっと・・・ひと雫

  • カクテルの向こうは誰もいない灯り

    せっかく生の柘榴を入れているのに・・・「ジャックローズ」にこだわりがあるとすれば、カルヴァドスでもなければ、柘榴でもない。柘榴の季節には、生の柘榴を絞ってもらう。でも、それだけでは足りない。フレッシュライム?それでも足りない。身近にあって、まがいもの・・・『グレナデンシロップ』柘榴のシロップを謳いながらも、必ずしも柘榴である必要のないシロップ。本当に柘榴が好きなら、「ポムグレナート・シロップ」を指定すればいい。通りに面したカフェで飲むなら、一流のバーテンダーがつくる「ジャックローズ」がいい。でも、ここでは、まがいものがいい。これだけ多くの灯りがともるとしても、人の顔はひとつも見えない。窓を開けて、ノックをすることも出来ない。どうせ独りなら、まがいものがいい。それが似合うから。どうせ誰もいないなら、灯りを消せばい...カクテルの向こうは誰もいない灯り

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