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2019/11/03

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  • 絵葉書を読む(その15) 少女たちの休み時間

    『絵葉書を読む』第15回。今回の絵葉書はこちら。 『追想 不破俊子画』 葉書の表には「少女の友絵はがき」と印刷されているので、雑誌『少女の友』の付録だと思われる。 『少女の友』は実業之日本社から刊行されていた少女向けの雑誌である。1908年(明治41年)に創刊され、1955年(昭和30年)に休刊した。 小説(川端康成、吉屋信子など)のほかに芸能情報やファッション関連の記事なども掲載され、また読者の投稿ページも充実していて、少女のための総合誌といった趣きだった。 またその小説と並んで挿絵も人気で、代表的なところでは中原淳一や松本かつぢなどのイラストが紙面を飾っている。 上の絵葉書の不破俊子という…

  • 「往年」にはまだ早い

    先日、新聞を見ていると、ちょっと気になる出版広告を見かけた。 双葉文庫の3月の新刊の広告なのだが、この中の大石大『恋の謎解きはヒット曲にのせて』という小説が気になったのである。 いや、その、正確に言えば、気になったのはその作者や作品そのものではなくて、そこに添えられた紹介文なのだ。それはこんな文章だった。 恋愛は人類最大のミステリー? 宇多田ヒカル、星野源などの往年のヒットソングにのせて、失恋の謎を解く連作ミステリー小説。 私が気になったのは、この中の「往年」という言葉だ。宇多田ヒカルや星野源の曲を「往年のヒットソング」というのは、ちょっと早過ぎやしないか? その小説を読んでいないので、実際ど…

  • 角川文庫の横溝正史

    前回の記事で書いていた通り、横溝正史の『八つ墓村』を読んでいる。 映像化作品(映画・ドラマ)との違いに気をつけながら読んでいるのだが、原作の方が登場人物が多く、人間関係も複雑だ。さすがに犯人は同じだが(ドラマは少し違う)、主人公と犯人の関係は大きく変わっていて、そのため犯行の動機も少し異なる。その他細かい違いを言えばキリがない。 映画やドラマは決まった時間の中で物語を完結させなければならないので、なんでも原作の通りというわけにはいかないのだろうが、この改変はどうなのか。作者の横溝はどう思っていたのだろう。あまり気にしない人だったのだろうか。 ところでこの『八つ墓村』は、角川文庫に収録された最初…

  • 渥美清の金田一耕助

    YouTubeに松竹映画のチャンネルがあって、月に一本昔の映画が無料公開(二週間の期間限定)されている。今月は横溝正史の『八つ墓』(1977年公開)だったのでさっそく視聴してみた。 なんといっても興味深いのは、金田一耕助を渥美清(敬称略、以下同じ)が演じているところだ。あの「寅さん」の渥美清である。なんかぜんぜんイメージできない。ちなみに金田一役を渥美清にするというのは、原作者の横溝の提案だったらしい。 私にとって金田一耕助といえば、映画の石坂浩二とテレビシリーズの古谷一行の2人である。この2人でイメージが固まっている。だから他の人の金田一を見ても、やっぱり何か違う感じがする。 渥美清はいった…

  • ちょっとだけ遠くに行きたい

    風邪がなかなか治らない。ここ10日ぐらい調子が悪い。 寝込むほど酷くはならないがスッキリ全快するわけでもなく、体がだるくてなんとなく頭が鈍くなっている感じがする。あと鼻水がひどい。 以前は薬を飲んで一晩寝ればたいてい治っていたのだが、どうも抵抗力とか回復力が衰えてきているようだ。これも歳のせいだろうか。 そうこうしているうちに暦も2月になってしまった。ついこの間年が明けたような気がするのだが。 時間が経つのがどんどん早くなっている。これも歳のせいにしてしまおう。 しかし時間が早く過ぎるのも悪いことばかりではない。 この調子なら寒い2月もあっという間に過ぎ去って、気がつけば春3月ということになり…

  • タイトル未定

    前回、こんな記事を書いた。 paperwalker.hatenablog.com 内容を簡単に要約すると、 ・ブックオフのウルトラセールに行ったけど収獲はイマイチだったこと。 ・大石トロンボ『新古書ファイター真吾』という漫画を読んだこと。 ・本を探すのは楽しい。 ・でもブックオフは最近景気が良くないようだ。 という記事だった。そしてこの記事に私が付けたタイトルが「心は孤独な(本の)狩人」である。これはカーソン・マッカラーズの『心は孤独な狩人』という小説(村上春樹訳が最近文庫化された。未読だけど)が元ネタなのだが……さて、このタイトルは適切だろうか? なぜこんなことを言っているのかというと、「A…

  • 心は孤独な(本の)狩人

    今年もブックオフのウルトラセールに行ってきた。 半日かけて3軒の店舗をまわったものの、成果としてはいまひとつだった。前から狙っていた本は買えたけれどその他の収獲はパッとせず、少しばかり徒労感が残る結果になった。 もっともこの結果は店の品揃えの問題だけではなく、私自身の気分の問題でもある。家の中の惨状を見るにつけ、さすがにこれ以上積読を増やすわけにはいかないという気持ちに(いまさらながら)なっていて、それが心理的なストッパーになって少し買い控える気分になっていたのだ。(買ったけども) それに加えて、最近ある作家の選集を買おうかどうかと迷っていて、買うんだったら少し出費を抑えておかなければならない…

  • 2023年のブ活をふりかえる

    ようやく地獄の繁忙期が終わった。 地獄というよりも、社畜という名の「畜生道」だったような気もするが、とりあえずこれで一息つける。 いやー今年はキツかった。疲れ果てた。この期間だけで体重が2キロぐらい落ちてしまった。甘い物ばっかり飲み食いしていたのに。 毎年この時期には何回か「こんな仕事辞めてやる」と思うのだけど、根が楽天的なのか、それとも単に学習能力がないのか、年が明けると「まあいいか」という気になってしまう。でも来年はどうだろう。「まあいいか」と思えるだろうか。 そんなわけでブログもすっかりご無沙汰になってしまった。 書く方はもちろんだが、読む方もなんだか億劫になっていた。 時間がまったくな…

  • 絵葉書を読む(その14) 愛国婦人会

    『絵葉書を読む』第14回。今回の絵葉書はこちら。 「愛国婦人会」が発行した絵葉書だ。 「愛国婦人会」は、佐賀県出身の社会活動家である奥村五百子が1901年(明治34年)に創立した団体である。 その主な活動目的は戦没将士の遺族や廃兵の救護・支援だったが、徐々に活動の幅が広がってさまざまな社会事業を行うようになる。 当初はいわゆる上流階級の婦人が会員の多くを占めたが、その後広範囲に会員が増加し、1907年(明治40年)には70万人ほどだった会員数が、日中戦争が始まった1937年(昭和12年)の時点では311万人を超える規模の団体になった。 しかし1941年(昭和16年)の定例閣議で「大日本連合婦人…

  • 冬のささやかな楽しみ

    仕事が地獄である。 毎年この時期はそうなのだが、年々キツくなっているような気がする。仕事自体は変わらなくても、私の体が衰えてきているのだろう。 いまならはっきりと「死兆星」が見えそうな気がする。 そんないまの時期のささやかな楽しみは、仕事帰りにスーパーに寄って自販機で缶のおしるこを飲むことである。以前にもこのブログで書いたことがあるので繰り返しになるけれど、季節も繰り返すのだから仕方がない。 おしるこは今年も11月の初旬から自販機に入った。それを見つけた時には「ああ、今年もこの季節になったんだなあ」と、これも毎年同じように感慨深くなる。そして私は毎日のようにおしるこを飲むのである。 おしるこは…

  • スミッシングにご用心

    先日、仕事が終わって帰る用意をしていたところ、携帯に1通のSMS(ショートメッセージ)が入っていることに気づいた。 確認すると、こんな文章が。 「お客様がいらっしゃらなかったため、本日の荷物は局に戻りました。」 そしてその後にどこかのURLが続いている。 どうやら留守だったために配達の荷物を持ち帰ったことを伝える内容らしいのだが、はて、最近何かネットで買い物をしただろうかと考えたが、思い当たることはない。 この時点でもうすでに怪しいのだが、ひょっとしたら親戚の誰かが何かを送ってきた可能性もあるので、とりあえず家に帰ってポストの中を確認してみた。しかしやっぱり不在通知は入っていなかった。 配達員…

  • そろそろ時代小説を読もうじゃないか

    若い頃からできるだけいろんなジャンルの本を読もうと思ってきた。 実際、古典的な文学作品からよくわからない雑本まで、それなりに幅広く読んできたつもりでいる。つまりは乱読だ。 しかしその中で、なんとなく読まずにきたジャンルというのがあって、それがいわゆる時代小説や歴史小説といわれるものである。 別にその手の物語が嫌いというわけではない。テレビの時代劇なんかは子どもの頃からよく見ていたし、時代漫画(?)も好きだ。そういうものをきっかけに読んだ小説はある。 例えばドラマの影響から池波正太郎の『鬼平犯科帳』や『剣客商売』は少し読んだし、漫画から隆慶一郎の『一夢庵風流記』(『花の慶次』の原作)や『影武者徳…

  • 『鵼の碑』雑感

    ようやく京極夏彦の『鵼の碑』(2023、講談社)を読み終えた。 なんだかんだで一ヶ月近く読んでいたような気がする。読んでる間にすっかり寒くなってしまった。 以下、簡単にメモ的感想を書いておく。(気をつけてはいるけれど、うっかりネタバレの可能性があるので、これから読む予定がある人はこの記事は読まない方がいいかもしれない) 「百鬼夜行シリーズ」(京極堂シリーズ)17年ぶりの長編ということで、読む前から期待値が高すぎるぐらいだったのだが、その期待を裏切らないおもしろさだった。 ただ、いや、おもしろかったのだが……正直に言うと、旧作に比べてパワーダウンしたのではないかという印象があった。なんとなく物足…

  • 納豆の食べ方

    はてなブログの「みんなのお題」を見ていたら、「美味しい納豆ご飯の食べ方は?」というお題があったので、私の定番の食べ方を紹介したい。 それは「ごま納豆」である。(である、というほどたいそうなものではないが) 市販の納豆に刻んだネギを入れ、付いているタレをかけ、そこに山盛りの「すりごま」を入れてよく混ぜる、だけ。これがなかなかうまい。 ごまの香りが強いので、「納豆はにおいがちょっと……」という人でも食べやすいのではないかと思う。 なによりごまは体にいい。しかも大豆と一緒に食べると、なんかこう、いい具合になにかの効果が高まるらしい。(曖昧) というわけで、「ごま納豆」はおすすめです。 ところで、納豆…

  • 寝食忘れるべからず

    ここ数日ずっと京極夏彦の『鵼の碑』(講談社、2023)を読んでいるのだが、まだやっと半分ぐらいで、ぜんぜん読み終わらない。 いつものように煉瓦みたいに分厚い本(二段組800頁余)だし、それでなくても私は超遅読なので、もどかしいような、でも嬉しいような、そんな日々である。 以前は遅読をなんとかしたくて、速読の練習みたいなことをしたこともあるけれど、いまはもう仕方がないとなかば諦めている。 風呂に喩えれば、速読の人というのは熱い湯にサッと入ってサッと出るようなイメージだが、遅読の私はぬるいお湯に長い時間浸かっているようなものか。 これはどちらがいいというものではなくて、癖や習慣、あるいは体質みたい…

  • 彼岸花幻想

    いまの季節に田んぼ道をバイクで走っていると、道沿いに色鮮やかな彼岸花を見ることができる。 周りにある色が稲の黄や黄緑、雑草の緑ばかりだから、その花の赤い色がことさら目立つ。 色ばかりではなく、その姿形も独特だ。葉もつけずにすうっと伸びた細い茎の上に、丸みを帯びた細い花弁の花がぽつんと乗っている。一見すると一つの大きな花のようだが、実際は小さな花が六つぐらい放射状に咲いているのだ。その花が道沿いに列を作るように並んでいる。 いまは自生しているが、もともとは人が植えたものかもしれない。彼岸花には毒があるので、その毒で害虫や小さな害獣が田んぼに入ってくるのを防ぐために植えることがあったらしい。昔の人…

  • ブログ、あるいは手造りの小屋

    ブログを始めた理由はたぶん「憧れ」だったのだと思う。 好きな書き手の好きな文章があって、自分もそんな文章を書いてみたいという気持ちがあった。 別の言葉で言えば、それまでずっと「読む側」だったのが真似事でもいいから「書く側」に回ってみたいという気持ちである。 しかし理由はあってもなかなかきっかけがなかった。そもそも数年前まではネットに繋がってもいなかった。それがひょんなことからタブレットを購入することになり、そこからネットに繋がって、それがきっかけでずっと興味があったブログを始めることにしたのである。 しかし、始めて1、2年ぐらいは4日に1度ぐらいのペースで更新していたものの、次第に間隔が空くよ…

  • 帰ってきた「あいうえお短歌」

    いまから3年ほど前、このブログでこんなことをやっていた。 paperwalker.hatenablog.com 「あいうえお作詩」というのは一種の言葉遊びで、各行の頭の文字を五十音順にして詩を作っていくというものである。大喜利の「あいうえお作文」みたいなものだ。 私はこれを「五七五七七」で作ってみた。つまり「あいうえお短歌」だ。説明するより実際に見てもらったほうが早い。例えば「か行」だったらこんな感じ。 カメムシは 嫌われてるの 臭いから けれどそういう 昆虫だもの 行頭の文字を縦に読めば「かきくけこ」になるという、まあ、他愛のない遊びである。(なので、意味を深く考えないように) どういう経緯…

  • 只管打読

    前回、京極夏彦の『鉄鼠の檻』を再読しているという話をした。(まだ読み終わってない) その際、事実確認のためにいろいろネットで調べていたら、「百鬼夜行シリーズ」(京極堂シリーズ)の最新長編『鵼の碑(ぬえのいしぶみ)』が来月刊行されるという情報を目にして驚いた。 シリーズの次回作としてそのタイトルが告知されたのが2006年のこと。実に17年前である。 当時は熱心に追いかけていた作家だったので、いつ出るか、もう出るかと心待ちにしていたのだが、スピンオフ的な中短編は刊行されるものの、その長編が出ることはなかった。それが来月ようやく刊行されるというのだ。 私が去年からこのシリーズを再読してきたのはまった…

  • 再読のジレンマ

    去年から気が向いたときにぽつりぽつりと京極夏彦の「百鬼夜行シリーズ」(京極堂シリーズ)を再読している。 いま読んでいるのは第4長編の『鉄鼠の檻』(講談社、1996)である。 順番通りに読んでいるわけではないので、この作品を読み終われば長編は残すところあと1作品になる。 割と細かいところまで覚えていた作品もあれば、ほとんど忘れてしまっていたものもあって、この『鉄鼠の檻』はその忘れていた方の作品だ。なので、再読ではあるのだが、ほとんど初読のような気分である。 しかし今回はその『鉄鼠の檻』の話ではない。(まだ2割ぐらいしか読めてない) この元版(講談社ノベルス)のカバーに印刷されていた鮎川哲也の「推…

  • 家を建てる

    去年の夏にこんな記事を書いた。 paperwalker.hatenablog.com 私が住んでいる地区の古い家が解体されたという、ただそれだけの話である。 その家の跡地はしばらく放っておかれて雑草だらけになっていたのだが、今年に入ってからきれいに整地された。その際に、膝の高さぐらいの低いブロック塀で土地が三分割されていた。 解体されているときにはそれほど広いと思わなかった土地も、更地になるとけっこうな広さがあって、持ち主(不動産屋?)はそれを分割して売るつもりらしかった。 しかしそれからまたしばらくはそのまま放置されていた。 ところが6月のある日曜日、仕事に行くときにその土地の前を通ると、3…

  • ミニマリスト鴨長明

    前回読んだ勢古浩爾『ただ生きる』という本の中で、鴨長明の『方丈記』について触れているところがあった。(正確には玄侑宗久『無常という力ーー「方丈記」に学ぶ心の在り方』という本についてだが) それでなんとなく『方丈記』を読んでみたくなった。 『方丈記』は文庫でも何種類か出ているが、今回選んだのは蜂飼耳の現代語訳による光文社古典新訳文庫(2018)である。自慢じゃないが、現代語訳がないと読めない。 『方丈記』といえば、冒頭の文章と、都を襲った数々の災害(火事、竜巻、飢饉、地震)の記録の部分が有名で、確か高校の授業でもその辺りを読んだ(読まされた)記憶がある。 しかしそれは『方丈記』の前半だけで、後半…

  • ただ生きる

    先日大型書店をうろうろしている時に、こんな本を見つけた。 勢古浩爾『ただ生きる』(夕日書房、2022) 著者の名前は知っていたが読んだことはなく、夕日書房という出版社も初めて聞く名前だったけれど、タイトルに惹かれて読んでみた。(ちなみに夕日書房は2020年に設立された出版社) 「ただ生きる」とはどういう生き方か? はっきり定義されているわけではない。 例えば「夢」や「目的」を持って、それに向かって生きている人がいる。それはそれでいい。けっこうなことだ。 しかし特別な「夢」や「目的」がなかったとしても、あるいは、その「夢」や「目的」に挫折してしまったとしても、劣等感を感じる必要はない。それならそ…

  • 読む読む詐欺

    私はいま猛烈に反省している。 何の話かというと、この記事のことだ。 paperwalker.hatenablog.com 2年前のこの記事で、私は「日本文学全集読破計画」について書いた。 なんだか大仰なタイトルだが、これはとても単純なことで、昭和に刊行された日本文学全集を古本で一揃い買って、第1巻から順番に読んでいこうという企画である。前からやってみたかったのだが、なかなか実行できなかった。 私にはどうもそういうところがあって、企画や計画を立てるのは好きだが、それだけで満足してしまうというか、実行するのがめんどくさくなるというか、要するに行動力に欠けるのだ。 だからこの時も言うだけ言ってそれっ…

  • 塩加減

    徳川家康の側室にお梶の方という女性がいる。 ある時、家康が家臣たちと話をしていて、唐突に、 「一番うまいと思う食べ物は何か?」 と尋ねた。すると家臣たちは口々に「あれがうまい」「いやいや、これが一番だ」と言い合った。他愛のない雑談である。 家康は側に居たお梶の方にも同じことを尋ねた。するとお梶の方は、 「それは《塩》でございます」 と言った。意外な答えにその意味を問うと、お梶の方は、 「どのような料理でも塩気がなければおいしくなりません」 と答えた。家康はさらに続けて、 「では一番不味いものはなんだと思うか?」 と問うた。するとお梶の方は、 「やはり《塩》でございます。塩気が強すぎるとどのよう…

  • 鯉のぼり

    5月の初め頃、地元の田舎道を原付で走っていると、道沿いに大きな鯉のぼりを揚げている家があった。型通りに4匹の立派な鯉のぼりだったが、残念ながらその日はまったく風がなく、空を泳ぐというよりは力無く吊られているといった感じだった。 この辺りの田舎でも大きな鯉のぼりを揚げる家は減ってきているように思う。それは旧い慣習が失われつつあるということなのか、それとも単に子どもが減っているということなのか、まあたぶんその両方なのだろう。 その立派な鯉のぼりを見て、私はそこの家の男の子が「祝福されてるなあ」と思うと同時に「期待されてるなあ」とも思った。その鯉のぼりの大きさが、子どもへの期待の大きさそのもののよう…

  • 絵葉書を読む(その13) 気の長い将棋

    久しぶりの『絵葉書を読む』第13回。今回の絵葉書はこちら。 『京都鞍馬山 源義経背比石』 源義経(遮那王)は、幼少の頃、京の鞍馬寺に預けられていたのだが、やがて奥州藤原氏を頼って寺を出奔する。その時名残りを惜しんで自分の背を比べたという石が「背比べ石」として伝わっている。(写真ではわかりにくいが、柵の中にあるのが「背比べ石」で、右手の石柱ではない) と、まあ、これはどこにでもあるような観光地の絵葉書で、特別おもしろいものでもない。単に差出人が京都在住の人だから選ばれたのだろう。 今回この絵葉書を取り上げたのは、表の通信文が興味深かったからだ。さっそく引用してみよう。(旧字・旧仮名遣い等は適宜改…

  • 本を漁る

    今年のゴールデンウィークは3日と4日が連休になっただけであとは仕事。なので3日に出かけてきた。行き先は、今日も今日とてブックオフである。 このブログを継続的に読んでくれている人は「またかよ。ほかに行くとこないんかい?」と思うかもしれないが、その通り、ほかに行くべきところも行きたいところもないのだ。 世の中には楽しいことがたくさんあるのだろうけど、私にとって一番の娯楽は(古)本漁りなのであり、すべての本屋は(新刊書店も古本屋も)遊び場なのである。大型の書店はテーマパークと言ってもいい。 本屋よりもわくわくするところを私は知らない。 今回は少し遠くにあるブックオフを2軒ハシゴした。最初に行った店舗…

  • 歌を忘れたカナリアは……

    マズい。ブログが書けなくなってる。 時間がないわけではない。むしろ余裕がある。 いわゆる「ネタ」がないわけでもない。書きかけて放置している下書きがいくつもある。 それなのにいざ書こうとすると指が重くなる。思うように言葉が出てこなくなる。ブログの書き方を忘れてしまったみたいに。 ふと「歌を忘れたカナリアは……」という言葉が脳裏をよぎる。カナリアみたいにかわいい生き物ではないのだが。 ブログを忘れたオッサンは……。 ところでこの「歌を忘れたカナリア」って何のフレーズだったっけ……と思って検索してみると、童謡「かなりや」の一節だった。作詞は西條八十。 原詩である「かなりあ」は1918年(大正7年)に…

  • 有料/無料

    困ったことになった。 いつも利用していた無料動画配信サービスの「 GYAO 」が先月いっぱいでサービス終了になってしまったのである。 これから私はどうやってアニメを見ればいいのか。 代替案として「Abema」を使ってみたけれど、無料で見られるものは意外に少なく、結局はプレミアム(有料)じゃないと物足りないような気がする。有料なら普通に「Amazonプライム」でいいんじゃないか、それとも「Netflix」か「U-NEXT」に……などといま思案中なのである。 「GYAO」にはいままでさんざん無料で楽しませてもらったので、ありがとうございましたと言うほかない。 ネットではけっこう無料で楽しめるサービ…

  • なんにもない

    ある休日、朝飯を食っている時、ふいに、まったく唐突に昔見ていたアニメ『はじめ人間ギャートルズ』のエンディング曲が頭の中で流れ始めた。 『はじめ人間ギャートルズ』は原始時代の家族の日常を描いたギャグアニメで、原作は園山俊二の漫画。アニメ放送は1974年から76年にかけて、ということは、私が5歳から7歳の時ということになる。 話の内容はほとんど覚えていないが、みんなでマンモスを狩ってそのデカい輪切りの肉や骨付き肉を食べている場面なんかはぼんやり覚えている。 そのエンディング曲は『やつらの足音のバラード』という歌で、今回この記事を書くにあたって初めてタイトルを知ったのだが、これがなんとも言えない不思…

  • 小銭を数えながら

    ある日、いつものように財布のレシートを整理しようとしたら、異様に財布が重いのに気づいた。いつのまにか硬貨を入れる部分がパンパンに膨らんでいる。 普段は買い物のレジなどでできるだけ小銭を減らすような払い方をしているのだが、めんどくさくてお札ばかり使っているとおつりの小銭がたまってしまう。 なんとなくテーブルの上に小銭を出して数えてみると、 100円玉……14枚 50円玉……1枚 10円玉……8枚 5円玉……2枚 1円玉……8枚 という内訳だった。全部で33枚。そりゃ重いわけだ。 ふと思いついて、その硬貨を全部裏にして発行年を見てみる。 一番多いのは平成に発行されたもので21枚、ついで昭和の8枚、…

  • 緊急避難?

    【注意!】以下の記事にはウンコに関する記述があります。食事前の方やウンコが苦手な方(?)は読むのをお控えください。 先日、ひさしぶりに隣の市にある大型書店に行った時のこと。 その書店は大きなショッピングモールの中に入っているのだが、私は書店に行く前にそこのトイレに行った。実はバイクに乗っている時から尿意を感じていたのだ。3月とはいえまだバイクには肌寒く、1時間近く乗っていると自然にそうなる。 休日のショッピングモールは人が多かった。私はその人波を縫うようにやや足早に男子トイレに入り、一番奥にある小便器の前に立った。と、次の瞬間、私は思わず「うわっ」と言って後ずさった。 その小便器の底にウンコが…

  • 新刊文庫をチェックする

    毎月10日ごろになると、翌月に刊行される新刊の文庫本の情報が出てくる。それをチェックするのを楽しみにしている。 利用しているのは「ほんのひきだし」というサイトで、出版社別でも刊行日順でも見ることができてとても便利だ。(ただし一部の出版社は掲載されていない) これを見ながら、ちょっとでも気になった文庫はとりあえず全部ノートにメモしていき、その中から翌月に買う文庫本を決めるのである。 ちなみに今月(3月)刊行の分で私がノートに書き出した文庫は33冊だった。 もちろんどれも同じ程度に気になっているわけではない。「これは絶対買う!」という購入確定本もあれば、「余裕があれば買いたいけど……」というくらい…

  • 複雑なギャップ

    ときどきNHK-FMで『歌謡スクランブル』という番組を聴いている。 名前の通りたくさんの歌謡曲が流れてくる番組で、昭和の曲が多めなのがいい。 そういう昭和の歌謡曲を聴いて懐かしい気持ちになると、「ああ、俺はやっぱり昭和の人間なんだなあ」という気になる。 もっとも私は昭和44年生まれなので、リアルタイムで聞き覚えがあるのはせいぜい昭和50年代以降の曲である。 昭和30年代40年代の曲は、聞き覚えがあったとしてもそれは後付けの「知識」に過ぎないが、50年代の曲は「体験」であり「記憶」なのだ。 その『歌謡スクランブル』で、先日、研ナオコ特集が組まれていた。これがすごく良かった。改めて歌手としての研ナ…

  • 『人生劇場』が気になって

    いま尾崎士郎の『人生劇場』が気になっている。 きっかけは例によってヤフオクだった。 いつものようにヤフオクを物色していたら、新潮文庫版の『人生劇場』が全11冊揃いで出品されていたのである。 『人生劇場』は「青春篇」「愛欲篇」「残侠篇」「風雲篇」「離愁篇」「夢現篇」「望郷篇」「蕩子篇」というふうに戦前から戦後にかけて書き継がれているのだが、新潮文庫版は最後の「蕩子篇」を除く7篇を11冊にまとめている。 もちろん絶版で、一冊ずつではそれほど珍しくはないがセットではあまり見かけないし、見かけたとしてもそれなりの値段がついている。そのヤフオクでは相場よりずいぶん安い値段で最低値が設定されていた。 『人…

  • 寒波ハンパねぇ

    1月23日(月) 先週から「10年に一度の寒波襲来」と騒がれているが、いまのところそんな感じもしない。 今日なんか天気も良くて、なんなら少し暖かいぐらいだった。 仕事が終わって帰る時、部長から「(明日は私は休みなので)明後日、早朝勤務の時に雪が積もっていたら、絶対バイクでは来ないように。歩いて来るか、さもなければ欠勤してもいいから。とにかく安全第一で」と言われる。 実は去年のクリスマスに雪が積もった時、いつも通りバイク(原付)で出勤して部長に危険だから止めるようにとたしなめられていたのだ。 私は素直に「はい」とうなずく。内心では、今日の天気の具合ではそんな大事にはなるまいとタカを括っていたので…

  • 生きてるだけじゃダメかしら

    今日も何もしない見事に無為な休日だった。 前にも書いたことだが、何もしなかった休日にはうっすらと後悔のような罪悪感のような気持ちが生まれる。あくまでも「うっすら」程度だけど。 しかし「何もしていない」と言ってもそれは言葉の綾で、やっぱり何かはしているわけだ。あるいは本当に何もしなかったとしても(屁理屈だが)最低限「生きること」はしたとも言える。 それでふと思うのだが、人間は生きて《何か》をしなければ満足できないのだろうか。ただ生きてるだけでは満足できないのだろうか。 いや「人間は」などと主語を大きくする必要はない。 私はただ生きてるだけでは満足できないのだろうか。 例えば人生の目的だとか、生き…

  • 最近の味噌汁事情

    休日。昨日の洗い物を片付けて米を研ぎ、味噌汁を作る。 今日の味噌汁は「大根+油揚げ」である。(正確にはこれにえのきと、後で刻み葱がが加わる) 小さな鍋に目分量で水を入れて火にかけ、銀杏切りにした大根(適量)と切って冷凍しているえのき(適量)を放り込み、顆粒の「だし」を入れ、ある程度大根が煮えたら味噌(適量)をお椀で溶きながら入れる。そして刻み揚げを入れてさらに一煮立ちすればできあがり。刻み葱は食べる時にお椀に入れる。 私は自炊歴はけっこう長いが適当かつ手抜きなので、手の込んだものは作れない。その点味噌汁は簡単だし、よほどのことがない限り食えなくなる程まずくはならないので良い。 自分で積極的に味…

  • 新年の挨拶 2023

    あけましておめでとうございます 今年もよろしくお願いします 「はてなブログ」でなんとか4回目の新年の挨拶をすることができました。 これも読んでくれるみなさんのおかげです。 ありがとうございます。 今年もよろしくお願いします。 今年のブログの目標は、第一に「継続」。 どういうペースになるかはわからないけれど、細々としぶとく続けていこうと思う。 そして内容的には、このブログの本来の姿である(と本人は思っている)読書ブログに近づけたい。 その読書に関する目標は、まず「買った本はすべて読む」こと。(笑) 浜の真砂は尽きるとも、欲しい本が尽きることはない。 しかしながら実際に読める本の量は限られている。…

  • 2022年のブ活をふりかえる

    今年も残すところ一週間あまり。 そこで今年2022年のブ活(ブログ活動)をふりかえってみる。 今年は前半と後半でまったく調子が違ってしまった。 右側にある「月別アーカイブ」を見れば一目瞭然のように、後半ではブログの記事数がガクッと落ちた。前半では月に6~8件の記事を書いていたのに、後半では半減している。 8月に「夏休み」と称してしばらく休んだのが良くなかったようだ。これで更新のペースが乱れたというか、緊張感が切れてしまったらしい。 その辺りのことは、こんな記事に書いた。 paperwalker.hatenablog.com この記事に付け加えるとすれば、やっぱり記事を書くのに必要な時間の問題だ…

  • 家計簿

    コクヨの「キャンパス・ダイアリー2023 ウィークリーバーチカル」というノートを買った。 本来の用途はスケジュール帳で、ウィークリー(週間)のバーチカル(縦割り)タイプである。私はこれを簡単な「家計簿」として使っている。これがとても使い勝手がいい。 ただ、マンスリータイプに比べるとあまり人気がないのか、近くのスーパーの文具コーナーなどではあまり見かけない。探すのにちょっとだけ苦労する。 どんなふうに使うのかというと、こんな感じ。 上段の数字は上から順に「食費」、「趣味費」(ほとんど本)、その他の「雑費」になっている。この3つが日々の生活の基本出費である。そして下段にその大まかな内容を書いている…

  • 葬式にはまだ慣れない

    先日、親戚の葬式に行ってきた。 亡くなったのは私の父の姉にあたる人で、つまりは伯母である。93歳だった。 子どもの頃にはかわいがってもらった記憶があるが、私が大人になってからはほとんど会う機会がなかった。最後に会ったのは父の葬式の時だったか。 結び慣れないネクタイを結び、着慣れない礼服を着て、履き慣れない靴を履く。その時点でもう気持ちが落ち着かない。 時間に余裕を持って家を出たつもりだったが、葬儀場に着いた時にはすでに読経が始まっていた。近親者だけの式ということだったが、場内には40人ぐらいの人がいた。 一目見て一番偉いとわかるお坊さんと、アシスタント(?)的なお坊さんが2人いた。お経はメイン…

  • ときどき「帰宅部」が羨ましくなった

    私は中学・高校と吹奏楽部に所属していた。担当はチューバという一番大きな金管楽器である。 最近はどうなっているのか知らないが、私が中学生の頃(40年ぐらい前)は、生徒は必ず何かの部に入っていなければならなかった。部活をしないという選択肢はなかった。 しかも当時の私の(田舎の)中学校では、部活=運動部みたいなところがあって、運動が苦手な私は選択に困った。とりあえず一番楽そうに見えた卓球部に体験入部したものの、一日で根をあげる始末だった。 それで仕方なく入ったのが吹奏楽部だったのである。 実のところ、取り立てて音楽に興味があったわけではないのだが、他に続けられそうな部活がなかったのだ。 高校で吹奏楽…

  • 風前の灯火

    気がついたら2週間もブログを更新していなかった。 もちろんこの場合の「気がついたら」というのは言葉の綾で、本当は「そろそろ更新しないと……でもなんだか気が乗らないなあ……もうちょっといいか……」という感じで、ずるずると先送りにしていたのだった。 11月に入って仕事は確かに忙しくなっている(というよりしんどくなっている)のだが、ブログを書く時間がまったくないというほどではない。それなのに手が止まっている。 やっぱり8月に「夏休み」と称して1ヶ月更新しなかったのがよくなかったのかもしれない。一度ペースが乱れてしまうと、元に戻すのはなかなか難しい。 しかしそういう習慣の問題ではなくて、もっと根本的な…

  • 『うる星やつら』の昭和感

    今期のアニメで楽しみにしていたものの一つに『うる星やつら』がある。 小学館創業100周年記念という鳴り物入りでの再アニメ化である。 率直な感想は、(良くも悪くも)早くて軽いという感じ。 原作の一話を10分余りでまとめていて(30分で二話ずつ放送)、そのためテンポが早い。ちょっと早すぎるような気もするが、原作は基本的に一話完結なので、このくらいの長さ(短さ)でいいのかもしれない。 絵も旧作より明るくポップな感じだ。(ラムちゃんも旧作よりかわいい) ただなんとなく雑な感じがしなくもない。 まあ、まだ2回しか見ていないし、主要なキャラクターも出揃っていないので、もう少し様子を見たい。(なんか偉そうで…

  • 自転車にはもう乗れない

    休日の午後、今日も今日とてブックオフへ。 昨日の雨のせいか、空気がひんやりしている。ひと雨ごとに寒くなっていくようだ。 パーカーを一枚よけいに着てきてよかった。これからまた原付には厳しい季節になっていく。 交差点で信号待ちをしている時、何気なく道を行き交う自転車を眺める。 いまさらながら、いろんな人が自転車に乗ってるなあと思う。制服の高校生、お洒落な若者、あまりお洒落ではない若者、買い物帰りの女性、少し危なっかしいおじいさん、などなど。 ふと、最後に自転車に乗ったのはいつだったか? と思う。 私が車の免許を取ったのは18歳の夏である。 大学に入って最初の夏休み、1ヶ月ほど帰省している間に地元の…

  • ムカデはムカデ

    寝ている時にムカデに頭を咬まれた。 夜中にふと目が覚めて妙な違和感があるなと思ったら、頭に鋭い痛みを感じて跳ね起きた。 灯りをつけて枕を見ると、ああ、やっぱり、12、3センチぐらいの黒々としたムカデが乗っかっている。 半ばパニック状態で台所に殺虫剤とハエ叩きを取りに行ったが、布団に戻るとムカデの姿は消えていた。さあたいへんだ。布団をひっくり返したり、物をあっちこっちに移動させたり、大捜索が始まった。これがゴキブリだったら「チッ」と舌打ちして終わりだが、ムカデは放置しておけない。安心して眠れない。 20分ほど探してようやく見つけ、まず殺虫剤を噴きかけた上で、ハエ叩きで打つべし! 打つべし! 打つ…

  • ルパン三世 VS キャッツ・アイ

    ネットをうろうろしていたら、こんなニュースを見つけた。 nlab.itmedia.co.jp なんとAmazon Original で『ルパン三世』と『キャッツ・アイ』のコラボ映画が作られるらしい。 これは私ぐらいの年代のアニメ好き・漫画好きにはたまらない豪華な組み合わせだ。 いまの若い人たちが『キャッツ・アイ』と聞いてピンとくるかどうかは知らないが、この漫画の連載が『ジャンプ』で始まった時は衝撃的だった。(連載は1981~84、アニメは1983~85) とにかく絵が違う。当時の少年漫画の絵ではない。まーオシャレというかスタイリッシュというか、泥臭さがぜんぜんない。当時の『ジャンプ』では(いい…

  • 本も二度目なら、少しは上手に……

    この頃20代や30代の時に読んだ小説を読み返すことが多くなってきた。 私の旧式の脳が新しいものを受け入れられなくなっているのかもしれない。 しかし再読には初読にない楽しみもある。初読は新しい友人を得るようなものだが、再読は疎遠になっていた旧友に再会するようなものだ。そこでは今と昔と、二重の時間が流れる。 最近再読した本に、京極夏彦『姑獲鳥(うぶめ)の夏』(講談社文庫版、1998 / 講談社ノベルス版、1994)がある。 刊行は1994年だが、リアルタイムで読んだのではなく、3、4年後に読んだような気がする。 その時はすでにこの古本屋にして神主、さらに陰陽師でもある「京極堂」を主人公にしたシリー…

  • ご安全に

    いつも利用している動画配信サービスで、アニメ『スーパーカブ』の再配信があったので全話視聴した。 2回目なのでいろいろとツッコミたくなるところもあったけれど、やっぱりいいアニメだと思った。丁寧な描写と、落ち着いた静けさが好きだ。 paperwalker.hatenablog.com ところで、物語の本筋とはぜんぜん関係ないところで、ちょっと引っかかる言葉があった。 主人公の友だちが夏休みに富士山で物資の搬送のアルバイトをするのだが、そこで作業に入る時に、 「ご安全に」 という耳慣れない言葉を使うのである。これが気になった。 実は以前、別のアニメの中でこの言葉を聞いたことがあったのだ。 『宇宙(そ…

  • 旧装開店

    おひさしぶりです。 「ブログの夏休み」が終わったので戻ってまいりました。 なんだか新学期でひさしぶりに教室に入る時のような微かな緊張感があります。 怠惰な私のことなので、このままいなくなってしまうのではないかと思っていたのですが、自分でも意外なことにちゃんと戻ってきました。 たぶん「1ヶ月」と期間を決めていたのがよかったのでしょうね。これが「当分」とか「しばらく」といって休んだら、再開しようと思っても「うーん、もうちょっと」とか「あと少し」とか寝起きの悪い人みたいなことを言って、ずるずると二度寝の沼に沈んでいたかもしれません。 仕事はお盆過ぎぐらいから平常運転になっていたので、逆にブログを書く…

  • 今月は「夏休み」にしようと思います

    唐突ですが、今月はブログの「夏休み」にしようと思います。 いや、もう、心底疲労困憊しているのですよ。 仕事が例年以上にハードで、毎日クタクタのヨレヨレになって、まるで冷蔵庫に入れっぱなしだったほうれん草のように……って、3つ前の記事で使った比喩を使い回してしまうほど疲れているのです。 ブログを書こうっていう気力が湧きません。 いや、もうちょっと正直に言うと、たしかに疲労もあるけれど、もっと根本的なところで、文章を書きたいという欲求が減退しているような気がするのです。 いわゆるネタはあるのですが、言葉を組み立てて文章にするのが億劫というか、しんどいというか。 こう言うと、「お前の『書くこと』に対…

  • 友だちの時間

    鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』(全5巻、角川書店、2018 - 21)を読んだ。 昨年完結した漫画だが、今年映画化(実写)されたのでそれに合わせて増刷されたらしく、近所の書店の「メディア化コーナー」に全巻並んでいた。 ぜんぜん知らない漫画だったけど、なんとなくおもしろそうな気がして1巻を買って帰り、翌日残りの巻を買って結局最後まで読んだ。 おもしろい! という感じの漫画ではなくて、うまく言えないが、ちょっととらえどころがないような、でも気になる漫画だった。(以下、いわゆるネタバレを含みます) 市野井さんは今年75歳になる女性で、自宅で書道教室をしながら一人で暮らしている。 あるとき、なに…

  • 3つ数えろ

    突然 IDコールを受けて何事かと思ったら、まりさん(id:ymaria53)からお題のバトンが回ってきたのだった。 今週のお題「最近あった3つのいいこと」 「3つのいいこと」ねぇ……。なにかあったかな。 私は根がネガティブなので、あまり「いいこと」を数える習慣はないのだが……。 とりあえず1つ目の「いいこと」は、帯状疱疹が治ったことである。 前々回の記事で書いたように、今月に入って帯状疱疹ができていたのだが、数回の通院と飲み薬でけっこうあっさり治った。症状自体もそれほど酷いものではなかったし、後遺症(痛みが残る場合がある)もないので、まあよかった。 2つ目は、ずっと気になっていた漫画を大人買い…

  • 下方修正の休日

    いま仕事が夏季繁忙期の真っ最中で、毎日クタクタのヘトヘトになっている。冷蔵庫に入れっぱなしだったほうれん草のように萎れている。 そんなほうれん草、ではなく、私にとって、休日こそは唯一のオアシスであり、労働で干涸びた心身に潤いを回復させる時間である。 休日の前の夜には、明日はあれをしよう、これもしなければといろいろと考えて、5つぐらいのリストを作っておく。 せっかくの休日なのだから、ちゃんと計画を立てて、充実した有意義な時間を過ごしたいと思う。 しかし実際に休日になると、そんな予定や計画はまったく意味を成さなくなる。 まず起きる時間が遅い。目を覚ました時点で、 「あー、今日5つ全部やるのは無理だ…

  • 帯状疱疹(2回目)

    人生で2回目の「帯状疱疹」になった。 先週、背中の方に痒みというか、少しヒリヒリするような違和感を感じた。 なんだろうと思って鏡を見たら、左の肩甲骨の下辺りから脇腹にかけて広範囲に肌が赤くなっている。かろうじて右手が届いたところを触ると、少し凸凹した感じがする。 最初は虫に刺されたのかと思った。自慢ではないが、私の寝床にはダニぐらいなら普通にいる。 しかし、虫刺されにしては範囲が広いし、背中の左側だけというのも不自然だ。 そこでピンときたのが「帯状疱疹」である。 実は10年ほど前、40代の初めの頃に一度帯状疱疹になったことがあるのだ。 その時もやはり虫刺されだと思って皮膚科を受診したら、帯状疱…

  • 熱中(症)時代

    暑い……。 暑いのはみんなわかりきっていることなのに、あえて「暑い」と言葉にして念押しする心理というのはなんなんだろう。 しかしそれでも口を開けば言わずにはいられない。 暑い……。 暑さとともに問題になってくるのが「熱中症」である。 最近、読者になっている複数のブログで立て続けに「熱中症になったかも……」という記事を読んで、自分も気をつけないといけないなあと思ったのだ。 ある意味夏の定番の話題ではあるが、あまり嬉しくない定番である。 ところで、ふと気になったのだが、この「熱中症」という言葉は私が子どもの頃には聞かなかったような気がする。 夏に気をつけるように言われていたのは、「熱中症」ではなく…

  • 家を壊す

    私が住んでいる地区で、しばらく前から一軒の家の解体工事をやっていた。 二階建ての普通の民家で、築年数はわからないがだいぶ古い家のようだった。 その家の前の道が通勤路になっているので、私は仕事の行き帰りになんとなく工事の進捗状況を気にしていた。 家の側面から小さめのショベルカーで壊していき、バラバになった家の破片をトラックで運び去るという、ごくありふれた解体作業だ。 そんなに大きな家ではなかったので、数日で家屋の解体は終わったようだった。 家の周りには、庭という程でもない狭い敷地があって、大きな木が何本か植えてある。 その木は残して家だけ新築するのだろうかと思っていたら、家の解体に続いて木も全部…

  • 幻の文学少女

    前回、文学全集の端本(はほん)が好きだという話を書いたのだけど、それに関連して忘れがたい記憶があるので、ついでに書いておきたい。 いまから20年ぐらい前、このブログでもときどき書いている無職でぶらぶらしていた時代のことだ。 その頃の私の日課は、(当時住んでいた)市内に5、6軒あったブックオフを巡回することで、その日も普通に漫画の立ち読みをしていた。 夕方になって、そろそろ帰ろうかと思い、最後にもう一度均一棚をチェックしていたところ、学校帰りらしい女子高生がやはり熱心に棚を見ている。 彼女が見ていたのは、棚の上に並べられている昔の文学全集の端本だった。 一冊手に取って、箱から出してパラパラと中を…

  • 端本好き

    ようやく尾崎一雄(荻原魚雷編)『新編 閑な老人』を読み終えた。 それで、もっと尾崎一雄を読んでみたいと思ったのだが、いま新刊で手に入るのはこの本と岩波文庫ぐらいしかない。 私はその岩波文庫も持っている(ような気がする)。それだけでなく、古い新潮文庫や旺文社文庫も持っている(はずだ)。……が、どこにあるのかわからない。 まあ、それはいい。いつものことだ。整理整頓能力のなさはいまに始まったことではない。 なので、こういう時は本を探すのをすっぱり諦めて(というか、最初から探す気もなく)また(古)本を買うのである。こうして際限なく本が増えていく。 こういう場合に私がよく買うのが、昭和に刊行された日本文…

  • おもしろがる才能

    引き続き尾崎一雄(荻原魚雷編)『新編 閑な老人』(中公文庫、2022)を読んでいる。 この本は短編と随筆で構成されているのだが、一番最後に「生きる」(1963)という短い随筆が収録されている。 この中で尾崎は「私は退屈ということを知らない。何でも面白い。」と言い、こう書いている。 巨大な時間の中の、たった何十年というわずかなくぎりのうちに、偶然在ることを共にした生きもの、植物、石ーー何でもいいが、すべてそれらのものとの交わりは、それがいつ断たれるかわからぬだけに、切なるものがある。在ることを共にしたすべてのものと、できるだけ深く濃く交わること、それがせめて私の生きることだと思っている。(p.2…

  • 「あの頃」のことは知らないけれど

    いま「週刊はてなブログ」でこんな特集が組まれている。 blog.hatenablog.com タイトルを見て「あの頃? あの頃っていつよ?」と思ったのだが、上の記事の執筆者によるとこういうことらしい。 この特集を執筆している私自身も、インターネットの雰囲気は“あの頃”と大きく変わったように思います。“あの頃”というのは、上の記事で紹介したように、個人の日記サイトが盛んだったような時代です。“あの頃”を思い返すと、「諸行無常」の四文字が脳裏をよぎります。 この前の特集の「純日記」もそうだが、どうも最近の「はてなブログ」は日記ブログを推しているようだ。そうした日記ブログの文化を「はてなブログ」らし…

  • 素人・玄人

    尾崎一雄(荻原魚雷編)『新編 閑な老人』(中公文庫、2022)を読んでいる。 いままで尾崎一雄を読んだことはなかったが(でも本は何冊か持っている、はず)、荻原魚雷さんが好きなので読んでみた。 すると「退職の願い」(1964)という短編にこんな文章を見つけた。 つくづく思うことは、自分が、一個の人間としても、社会人としても、いかに素人か、ということだ。六十四歳になってそんなことに気がついた。(p.42-43) そう、そうなんだと、首が折れそうになるほど何度も頷いてしまった。私は53歳だけど、本当にそういう感じがする。 尾崎は続けてこう書く。 もっとも、ここで云う素人に対する玄人というのが、どうい…

  • 絵葉書を読む(その12) ニッパハウス

    『絵葉書を読む』第12回。今回の絵葉書はこちら。 『ニッパハウス(向井潤吉)』 「ニッパハウス」とは、ニッパヤシの葉を屋根や壁の素材に用いた家のことで、フィリピンなど東南アジアに多く見られる。 この絵葉書はフィリピンから差し出された「軍事郵便」である。 昭和16年(1941年)12月8日に太平洋戦争が勃発すると、日本軍はアメリカ軍が駐留するフィリピンに侵攻し、翌年6月までにほぼ制圧を完了する。 この絵の作者である洋画家の向井潤吉(1901 - 1995)は、開戦の昭和16年12月から報道班員(従軍画家)としてフィリピンに行き、数ヶ月活動している。この絵もその時に描かれたものだと思われる。 この…

  • 祝日会議 ④

    (前回の続き) 擬人化された祝日たちによる『祝日会議』。前回までの記事はこちら。 祝日会議 ① - 何を読んでも何かを思いだす 祝日会議 ② - 何を読んでも何かを思いだす 祝日会議 ③ - 何を読んでも何かを思いだす 今回の会議も無事に終わり、祝日たちはそれぞれ帰り支度をしながらお茶を飲んだり雑談をしたりしている。 「『憲法記念日』さん、今回もお疲れ様でした」 「ああ、体育……じゃない、『スポーツの日』さん、お疲れ様でした。そうやって労ってくれるのはあなただけですよ」と苦笑しながら「でも、今回一番驚いたのは、やっぱり『スポーツの日』さんの金髪ですね」 「いやー、やっぱり似合わないですかね、こ…

  • 祝日会議 ③

    (前回の続き) 擬人化された祝日たちによる『祝日会議』。前回までの記事はこちら。 祝日会議 ① - 何を読んでも何かを思いだす 祝日会議 ② - 何を読んでも何かを思いだす さて、ここでほかの祝日たちの様子も見てみよう。 テーブルの端の方にきれいな白髪の高齢の女性が2人仲良く並んで座っている。顔も背格好もそっくりで、着ている着物の絵柄以外はまったく同じである。 桜の柄の着物が「春分の日」、菊の柄の着物が「秋分の日」で、2人は双子の姉妹なのである。 彼女たちは会議の成り行きを微笑みながら見守りつつ「あらあら」とか「おやおや」とか「まあまあ」とかつぶやいている。そしてときどき2人で声をそろえて『ほ…

  • 祝日会議 ②

    (前回の続き) 擬人化された祝日たちによる『祝日会議』。前回の記事はこちら。 祝日会議 ① - 何を読んでも何かを思いだす 「それはあたしのことですか!? 」 トゲのある女性の声が飛んできた。「みどりの日」である。 「ただ休日を増やすためにできた意味のない祝日というのは、あたしのことですか!? 」 と言って、キッと「勤労感謝の日」を睨む。その目にはうっすらと涙が滲んでいる。 「い、いえ、そういうつもりは……」あわてて弁明する「勤労感謝の日」を無視して「みどりの日」は続ける。 「そりゃあね、あたしだって薄々はそう感じてましたよ。『天皇誕生日』が12月に移動して、4月29日がぽっかり空いたんで、と…

  • 祝日会議 ①

    前回の記事の最後に、「もし祝日に人格があったら」と書いた。 最近の祝日 - 何を読んでも何かを思いだす この思いつきが気に入ったので、こんな話を作ってみた。 題して、擬人化された祝日たちによる『祝日会議』。 よかったらご笑覧ください。 ここは国会議事堂の一室。今日は4年に一度の「祝日会議」の日である。 大きなテーブルを囲んで、十数人の「祝日」たちが席に着いている。 まず最初に、紋付袴を着て仙人のような白い髭をたくわえた老人が開会を宣言する。 「あー……それでは……えー……『祝日会議』を……始めます」 絞り出すようにそう言うと、老人はストンと椅子に座ってすぐに居眠りを始めた。彼の今日の仕事はこれ…

  • 最近の祝日

    このあいだのゴールデンウィークにカレンダーを見ていて、ふと思った。 5月4日っていつから「みどりの日」だっけ? 以前は「国民の休日」という日じゃなかったっけ? 検索してみると2007年(平成19年)から「みどりの日」になっている。 それ以前、1989年(平成元年)から2006年(平成18年)までは旧「天皇誕生日」の4月29日が「みどりの日」だった。その4月29日が「昭和の日」になるというので5月4日に移動したのだ。 そうだそうだ、思い出した。「昭和の日」ができたとき、「なんだか適当な祝日だなあ」と思ったのだった。 最近の祝日はどうもよくわからない。 とりわけ2000年以降にできた新参者の祝日に…

  • イチゴ狩り(草の名前・その6)

    毎年毎年同じようなことを書いて恐縮だが、庭の雑草がえらいことになっている。 よくもまあこんなに飽きもせずに毎年生えてくるものだと思う。 しかしその雑草も、よく見ると毎年まったく同じというわけではない。それぞれの植物の勢力圏というか、生える場所や面積が微妙に変化している。 今年うちの敷地で勢力圏を拡大したのがこの白い花だ。 これは4月に撮った画像なのだが、この白い花が広い範囲で咲いていた。 この植物の名前はクサイチゴ(草苺)である。 名前はクサイチゴなのだが、実際は「草」ではなく「木」に分類される植物らしい。本州から南ではどこにでも見られる、ありふれた雑草である。 この白い花が一面に咲いていると…

  • 根深汁

    先日、職場で長ネギをもらった。 おすそ分けの、そのまたおすそ分けみたいな感じで配っている人がいたので、私もありがたくいただいて何本か家に持って帰ったのだが、考えてみると、そんなに長ネギがあっても使い道がない。 タダでもらえる物なら後先も考えずにもらってしまうという、貧乏人の悲しい性(さが)である。 仕方がないので、一本だけ残して残りはぜんぶ一口大に切って冷凍保存することにした。冷凍にすると味や食感が落ちるのかもしれないが、傷ませるよりはいい。 そして残した一本を使ってとりあえずみそ汁を作った。長ネギのみそ汁、いわゆる「根深汁」である。 (「長ネギ+青ネギ+油揚げ」のみそ汁) 根深汁といって真っ…

  • DIY

    ゴールデンウィークの初日(29日)にバイク(原付)がパンクした。 普通ならいつもお世話になっているバイク屋さんに電話して、バイクを取りに来てもらって修理を頼むのだが、祝日なので店は閉まっている。というか、ゴールデンウィーク中はずっと閉まっているのではなかったか? 困った。どうしよう。 たまたま翌日と翌々日(30日、1日)は仕事が休みだからいいが、月曜(2日)からは仕事がある。しかも早朝の勤務なのだ。 私にはバイク以外の通勤手段がない。2年ぐらい前までは朝イチのバスに乗ればギリギリ間に合っていたのだが、いつのまにかその時間のバスがなくなっていた。(田舎のバスは少なくなる一方だ) そうなるとあとは…

  • 読書一生分

    いつものようにネットをうろうろしていると、こんな言葉が目に飛びこんできた。 読書一生分プレゼント! 読書一生分? なんだそれ? 実はこれ、ネット書店「honto」の10周年企画で、抽選で1名に一生分の書籍費として101万4099円分のポイントをプレゼントするという懸賞なのである。(ちなみに2等が10年分、3等が1年分) (開催期間 2022/4/21 ~ 2022/5/31) つまり人が一生で購入する書籍や雑誌の総額が100万円あまりという計算なのだが、いったいどういう根拠で? と思ったら、ちゃんと説明がしてあった。それによると、 (A)1世帯あたりの書籍・雑誌等への年間支出額:11,558円…

  • 先祖自慢はほどほどに

    先日、いつものように血圧の薬を出してもらいに病院に行った時のこと。 診察の予約時間にはまだ早かったので、診察室の前の長椅子に座って文庫本を読んでいると、後ろの席のおじさんたちの会話が聞こえてきた。 歳の頃6、70ぐらいの二人連れなのだが、会話といってもほとんど一人が一方的にしゃべっていて、もう一人は聞き役にまわっている。 私は聞くともなしに聞いていたのだが、その話の内容がちょっとおもしろかった。少し補足を加えて要約すると、だいたい次のような話である。 いまではすっかり没落してしまったけれど、昔のわが家はけっこう裕福で、戦前は広大な農地を持つ大地主だった。それが戦後の農地改革で土地を取られて衰退…

  • 本の世界がもっと広がる

    「はてな」の今週のお題が「#もしも英語が使えたら」ということなのだが、具体的に英語が使えるというのはどういうことかと考えてみると、私にとってそれは「英語が読める」ということとほとんど同義なのである。 そのほかの「話す・聞く・書く」といった能力はどうでもいい。まあ、実際の英語学習は総合的にやらなければならないのだろうけど、私の場合は「読む」特化型でもかまわない。 それで文学を中心に英語の本を読みまくる。日本語の未読の本でさえ山と積まれているのにどこにそんな時間があるのか、などという現実的で無粋な問題は考えないようにしよう。 一般に日本は翻訳大国と言われていて、わりとマイナーな作家や作品でも翻訳さ…

  • 図書館という避難所

    前回紹介した『税金で買った本』(ずいの / 系山冏)という漫画の帯には「読むと図書館に行きたくなる!」という惹句が書いてあったのだが、これは本当にそうで、私も久しぶりに図書館に行きたくなった。 考えてみればもう3、4年ぐらい図書館に行っていない。いつの間にかすっかり疎遠になってしまった。 昔はほとんど図書館に入り浸っていたのに。 昔、仕事もしないでぶらぶらしていた頃は、ほとんど毎日のように図書館に通っていた。(いま住んでいるところの話ではないけど) アパートの狭い部屋でテレビばかり見ていても気が滅入るし、タダで時間が潰せる場所としては図書館か、ブックオフで漫画の立ち読みぐらいしかなかったのだ。…

  • 税金で買った本

    前回の記事でおもしろいタイトルの漫画を買ったと書いたけれど、それがこちら。 ずいの / 系山冏(けいやま・けい)『税金で買った本』(講談社、2021)[既刊2巻] 「税金で買った本」というのは図書館の本のことで、これはつまり図書館漫画なのである。 主人公の石平くんはいわゆるヤンキーの高校生。 気になることがあって小学生の時以来久しぶりに図書館を訪れたのだが、ひょんなことからそこでバイトをすることになる。 なんだかんだと文句を言いながらも、個性的な職員たちに囲まれて図書館という場所に馴染んでいく石平くん。第2巻では図書館漫画の定番イベント(?)の「読み聞かせ」もこなす。 「お仕事漫画」でもあるの…

  • 大型書店で右往左往

    先日、あんまり天気が良かったので、半日かけてブックオフをハシゴ。 そこそこまあまあの買い物をした帰り道、最後の〆とばかりにショッピングモールに入っている大型新刊書店に寄った。 その書店に行くのはたぶん一年ぶりぐらいなのだが、いろいろ変わっているところがあって少しとまどってしまった。 レイアウトが変わっているのはいいとして、全体的に店の規模が縮小されているようだった。そのせいか、いわゆる「売れ筋」の本ばかりが並んでいるような印象を受ける。 大型書店の魅力として、小さな出版社の本やマニアックな専門書などを実際に手に取って見ることができるという点があると思うけれど、店の規模が小さくなるとまずそういう…

  • 夢のない夢の話

    最近頻繁に仕事の夢を見る。もちろんいい夢ではない。 絶対時間内に終わらないような大量の仕事に追われている夢や、理由もわからず誰かに怒られている夢など、夢らしくシュールなところもあるけれど、その焦燥感や理不尽は生々しく感じられる。やっぱりストレスなのだろうか。 なにも夢の中でまで仕事をすることはないのだが、こればっかりは自分ではどうにもならない。 と、そんなことを考えていたら、昔読んだオカルト関係の本に夢をコントロールする方法を書いたものがあったのを思い出した。 具体的なことはまったく覚えていないが、訓練によって自分の見たい夢が自在に見られるようになるという話だったと思う。 そんな馬鹿な、と思う…

  • 和文タイプライター

    いつものように「ヤフオク」を散策していてこんなものを買った。 『実用邦文タイプライター教科書』(龍成社) 「邦文タイプライター能率研究社」というところが編纂した100ページ余りの薄い本で、たぶん昭和26、7年ごろに出版されたものだ。 前半の30ページで邦文タイプライターの構造や使い方が説明されていて、残りのページは実習用の例文が(簡単なものから難易度の高いものへ順に)掲載されている。 邦文タイプライター、あるいは和文タイプライターといっても、若い人には何のことかわからないかもしれない。いや、私だって実物を見たことがあったかどうか。 しかし80年代に日本語ワープロが登場するまでは、公式な文書はこ…

  • 書く楽しみ、読まれる喜び

    3月17日でブログを開設して丸3年になった。 おめでとう、私。よくがんばったな、私。 ……しかし、なぜだろう、いまひとつテンションが上がらない。 ブログを始めた人の9割ぐらいが1年と経たずにやめていくといわれる中で、記事数は少ないけれど、曲がりなりにも3年続けられたというのはちょっと自慢してもいいことのような気がするのだが、このテンションの低さはなんだろう。 1周年の時はかなり嬉しかったし、2周年の時もまあまあ嬉しかったのだが、3周年の今回は「まあ、こんなもんか」みたいな感じになっている。 それだけブログを書くことが当たり前のことになったということなのだろうか。一応ブログが軌道に乗った、安定し…

  • 便利のインフレ

    私は「ヤフオク」のヘビーユーザーなのだが、最近「かんたん決済」のシステムが少し変わったみたいで、いままで利用できていた(プリペイド式の)クレジットカードが一部のストアで使えなくなった。 その場合は「コンビニ決済」を利用する。通知された専用の番号をメモしてコンビニに行き、機械で手続きをしてレジで代金を支払うのだが、これがなかなかにめんどくさい。 クレジットカードなら落札してすぐに家に居ながら決済できるのに、コンビニだと翌日になってしまう(終了時間が夜のことが多いので)。雨とか降っているとさらに億劫になる。不便である。 しかし考えてみれば、初めて「コンビニ決済」を利用した時には「なんて便利なシステ…

  • 世界のひきこもりとひきこもりの世界

    ぼそっと池井多『世界のひきこもり』(寿郎社、2020)という本を読んだ。 副題は「地下茎コスモポリタニズムの出現」で、これはインターネットによって世界各地のひきこもり当事者が(外からは見えない)交流をしているという意味だ。 著者は大学卒業を前に「ひきこもり」状態になり、それから30年以上(形を変えながら)ひきこもっているという。 1962年生まれというから、私より7歳年上か。 インターネットを使って世界のひきこもり事情を探索していた著者は、世界のいろいろな国にひきこもり当事者がいることを確認し、それをきっかけにネット上に「世界ひきこもり機構」(Global Hikikomori Organiz…

  • 絵葉書を読む(その11) 日本のサラリーマン

    『絵葉書を読む』第11回。今回の絵葉書はこちら。 会社の一室らしいところで社員が乾杯をしているイラストが描かれているのだが、そこに書かれているスローガンがなかなかすごい。 働け働け明日ありと思う勿(なか)れ 断じて頑張れ栄冠我に在り ほかにも「責任突破」「愉快な〆切」とある。左に見えるのは営業成績表のようだ。この集まりは営業目標達成の祝宴だろうか、それとも今後の奮起に期待する激励会だろうか。 いかにも昭和のモーレツ社員というか、日本の会社っぽい風景である。 葉書の表の差出人の欄に「日華生命保険株式会社」(のちの第百生命)と印刷されているので、この会社のオリジナル絵葉書なのだろう。 差出人は個人…

  • 切手少年だったころ

    私はいま50代だけれど、私と同年代の人なら一度は切手を集めてみたことがあるのではないだろうか。 というのも私が子どもの頃、つまり昭和40年代から50年代前半ぐらいにかけて空前の切手収集ブームがあったからだ。 いまの若い人にはまったくピンとこないだろうが、当時の切手収集ブームというのはものすごくて、例えば子ども向けのお菓子の「おまけ」にきれいな外国切手がついてきたり、普通の漫画雑誌に切手の「通信販売」の広告ページがあったり、とにかくみんな切手を集めていた(というイメージがある)。 子どもだけでなく大人でさえ記念切手の発売日に郵便局の前に行列するくらいのブームだったのだ。(もっとも大人の場合は将来…

  • 本と引っ越し

    私はこれまでに2回引越しを経験した。 1回目は大学進学のために実家から一人暮らしのアパートへの引っ越し。 2回目はそのアパートを引き払って実家に帰った時の引っ越しである。 こう書くと大学卒業と同時に普通に地元に戻ったように見えるが、私は卒業後もずっとそのアパートに住み続けていたので、1回目の引っ越しと2回目のそれとの間には実に20年の隔たりがある。だからその2回の引っ越しは内容がぜんぜん違う。 一番の違いはなんといっても本の量である。 最初の引っ越しでは辞書などを数冊持ってきただけだったが、その20年の間に私は「本を買う人」になっていたので、2回目の引っ越しはたいへんだった。 当時住んでいたア…

  • 本屋には一人で行きたい

    先日、例によって例のごとくブックオフで本を見ていた。 すると私の背中の方で男子高校生が話をしているのが聞こえてきた。 「俺、いま伊坂幸太郎読んでるんだよね」 「誰、それ?」 「えっ、おまえ伊坂幸太郎知らんの?」 「知らん。東野圭吾は知ってるけど、その人は知らん」 「マジで? ヤバくね?」 みたいなことをしゃべっている。声がデカい。私はだんだんイライラしてきた。 それに比べて、私の左側数メートルのところにいる女子高生は一人で黙々と棚の文庫本を吟味している。 真剣に本に集中している姿がいい。好感が持てる。(単に私が若い女の子が好きということではない。たぶん) 本屋では客はこうあるべきだ、などとちょ…

  • そうだ、京都に行こう

    「はてな」の今週のお題が「試験の思い出」になっているのを見て「ああ、そうか、受験シーズンか」と気づいた。 私の大学受験はもう30年以上も昔のことになる。 いまもだいたい同じようなものだと思うが、私が受験生の頃は本命、対抗(?)、すべり止めと3、4校受験する人が多かった。私も3校受けた。 本命のA校と対抗のB校はどちらも九州の大学だった。進学で実家を出ることは決まっていたけれど、親は私があまり遠くに行くことを望まなかったし、私も一人暮らしができるなら場所にはあまりこだわらなかったので、これはまあ無難な選択と言えた。 ところがもう一つのすべり止めに、私は京都にあるC校を選んだのだ。 唐突に京都など…

  • 正直者は風邪をひく

    一昨日、早朝の仕事の後でかかりつけの病院に行った。いつもの血圧の薬を出してもらうためだ。 予約の時間よりだいぶ早かったけど、うまくいけば時間を繰り上げて診察してもらえる。今回は血液検査もなく診察だけなのですぐに終わるはずだった。 病院の入り口ではいつものように事務員さんが待っていて、非接触型の体温計で入ってくる人の体温を測り、簡単に体調を聞いている。もうおなじみの風景である。 私も手を消毒したあと体温を測り、さわやかな笑顔の事務員さんから「ここ1週間で熱が出たことはありますか? 風邪をひいてませんか?」という型通りの質問を受けた。 私がなんの気無しにへらへらした顔で「ああ、ちょっと風邪気味で……

  • 「わたしはわがままだからお勤めには向かないわ。」

    一昨日、昨日、今日と3連休だった。 私の仕事は何人かの同僚とローテーションが組まれているタイプのもので、休日も一般のカレンダー通りではなく普通に平日が休みになったりするのだが、連休というのはそんなに多くない。 しかし今は比較的に仕事が暇な時期なので、今のうちに年休を消化しておけとばかりに休みが増えている。 まあ、3連休といっても特に何をするわけでもなく、無為な休日を3回繰り返すだけなのだけれど、それでもやっぱりちょっと嬉しい。 でもそのちょっと嬉しい分、連休明けで仕事に行く時は単発の休日の時よりちょっとつらい。 3連休だから3倍つらいということはないけれど、1.5倍ぐらいはつらいかな。 そんな…

  • 冬将軍に申し上げる

    休日の朝、8時ごろに目を覚ましてトイレに行く。 窓から外を見ると、昨日(木曜日)積もった雪は一日で消え、今日はまた少し寒さが緩んでいるようだ。 そのまま朝食を食べればいいのに、なんとなくまた寝床に戻ってうつらうつらしてしまう。 昨日と一昨日は本当に寒かった。 今年の冬は全体的にそれほど寒くなく、4、5日前などこのまま春になるんじゃないかというほどの陽気だったのに、一昨日に急に冷たくて強い風が吹き始め、夜のうちに10cm ぐらいの雪が積もった。 雪国の人から見れば積雪のうちにも入らないだろうけど、雪に慣れない九州の人間はそのくらいで充分あわててしまう。 幸い通勤に支障をきたすことはなかったけれど…

  • 経年劣化

    「ヤフオク」でブックカバーを買った。 単行本用の布製のやつで、出品者の手作りである。そういうのを年に一枚ずつぐらい買っている。 以前は書店でもらう紙製のブックカバーを使っていたのだが、最近はネットで新刊を買うことが多くなったのでなかなかもらえなくなった。 文庫本用のカバーは安いのが百均でも売っているけれど、単行本用のカバーはどこにでもあるわけではなく、またあったとしてもちょっと高いしデザインも限られている。なのでこういう手作り品を譲ってもらっているのだ。 ちゃんと一冊ずつ本を読むのであればそう何枚もブックカバーが必要になるはずはないのだが、一冊を読み終わる前に別の本が読みたくなり、いちいちカバ…

  • ブログはタイムカプセル

    「はてな」の今週のお題が「自分に贈りたいもの」ということなのだけど、このブログを長く読んでくれている人なら「あんたのことだから、どうせまた本なんだろ?」と思うかもしれない。 ああ、その通りだ。 実際に本以外にあまり欲しいものが思いつかない。いい大人がそれもどうか? とは思うけれど。 しかしその答えでは当たり前すぎておもしろくもなんともない。 そこでちょっとひねって、現在の自分ではなく「未来の自分に贈りたいもの」はないだろうかと考えた。 そして思いあたったのがこのブログである。 私がいつまで生きるかはわからないが、そうだな、さしあたって約20年後、70歳の自分を対象にしてみよう。 その70歳の自…

  • 買い物は毎日したい派

    仕事帰りに毎日のように通っているスーパーがある。 その入り口近くに3台の自動販売機があって、冬になるとそのうちの2台に缶のおしるこが入る。私はこれが好きで、来るたびに、ということは毎日のように買って飲んでいる。ささやかな冬の楽しみだ。 ところが今月になって早くもこのおしるこが消えてしまって、その場所にありふれたココアが入っていた。なぜだ? まだ2月なのに。 これから何を楽しみに残りの冬を過ごせばいいのか。 いや、おしるこの話がしたいのではなかった。 最初に書いたように私はだいたい毎日仕事帰りにスーパーで買い物をしている。そのスーパーは通勤路にあるわけではないので少しだけ回り道になるけれど、24…

  • 「ただ知りたいだけだ」

    前回、岡崎武志、古本屋ツアー・イン・ジャパン編『野呂邦暢 古本屋写真集』(ちくま文庫、2021 )という本について書いた。 paperwalker.hatenablog.com この本の元版は2015年に盛林堂書房から刊行されたもので、このちくま文庫版はそれを増補再編集している。その増補として、本が出てくる野呂の短いエッセイが9篇収録されているのだが、これがすごくいい。 そのエッセイの一つに「蔵書票」と題されたものがある。 わずか3ページの文章なのだが、それを読んで私はなんだか胸が熱くなった。 そこには中学生の頃の野呂自身と、本好きだった彼の叔父さんが出てくる。戦争と家庭の事情でアカデミックな…

  • 同好の士

    昨年の10月から12月にかけて古本関係の新刊(まぎらわしい)が立て続けに刊行された。 なかでも嬉しかったのは岡崎武志、古本屋ツアー・イン・ジャパン編『野呂邦暢 古本屋写真集』(ちくま文庫、2021 )である。 この本は2015年に盛林堂書房から刊行された同書を増補再編集したものだ。盛林堂書房は東京の西荻窪にある古書店で、マニアックなミステリーなどを中心とした出版も行なっている。 その元版は定価2500円で500部出版されたのだが、あっという間に完売し、現在では一万円以上(店によってはその倍も)の古書価がついている。 なので、こうしてちくま文庫から新刊として求めやすい形で再び出版されるのはとても…

  • 絵葉書を読む(その10) ミシン

    『絵葉書を読む』第10回。今回の絵葉書はこちら。 シンガー製ミシンの広告絵葉書だ。 シンガーは1850年からミシンを製造しているアメリカの代表的なミシンメーカーである。 ミシンが日本に入ってきたのは江戸時代末期のこと。 嘉永7年(1854年)、ペリーが二度目の来航をした時に将軍家へ献上した献上品の中にミシンがあったという。ちなみに日本で初めてミシンを扱ったのは天璋院(篤姫)だと言われている。 ミシンが普及しはじめるのは明治になってからで、当然ながら輸入品がほとんどだった。 国産のミシンが量産されるのは大正に入ってからである。パイン裁縫機械製作所(現在のジャノメ)が本格的な量産を始めた。しかしこ…

  • 負けることの可愛さ

    ちょっとしたきっかけがあって田山幸憲『パチプロ日記 I 』(白夜書房、1995 / 旧版1990)を読んだ。タイトルの通り田山さんはパチプロ、つまりパチンコで飯を食っている人だ。(2001年他界) これはその田山さんの1990年(平成2年)の3月から5月までの三ヶ月間の日記である。 1980年台に入って、パチンコには現在の主流である「セブン機(デジパチ)」や「ハネ物」といった新しいギミックの機種が登場し、それにともなって人気が拡大していった。 これを機にパチンコ業界も、パチンコは誰でも気軽に楽しめる健全な娯楽であるというイメージを強調し、それにマスコミが拍車をかけるような形でパチンコが一種のブ…

  • 相続はお早めに

    3年前に父が亡くなった時、遺産相続のあれこれを行政書士に頼んだ。多少お金がかかってもプロに任せたほうが安心だと思ったからだ。 私には姉が二人いるけれど、事前に話し合いは済んでいたので相続は簡単に終わるはずだった。まあ、遺産といっても貯金がいくらかと、あとは田んぼや家などの不動産があるだけだったので、骨肉の争いをするほどのこともない。 ところが意外に手間取ることになってしまった。 問題は不動産のほうだった。 田んぼはすべて父の名義だったので、これをそのまま私の名義にするだけでよかった。これは問題なし。 しかし家が建っているところの土地は父の名義ではなく、祖父の名義のままだったのだ。これをそのまま…

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