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  • 普通の男

    生まれ変わるとしたら、次は同性愛者じゃなくて、「普通の」男に生まれたいな。 一人の男として、世代を繋いだり、大切なものの為に我慢したり頑張ってみたり。 大変そうだけど、それを帳消しにするほどの喜びの時が、大きいのも小さいのもたくさんあるんだろな。 でも、どうにも人は生まれ変わったりしなくて、この世かぎりだ。 ふと目にしたゲイリゾート体験を紹介する記事、その中に「ゲイに生まれて良かったと思う、ひと時」みたいな表現があった。 そうか、へぇ、ゲイに生まれて良かったと感じたのか。自分にもそんな時間があったかなと、思いを巡らしてみる。 立ち現れるのは、南国のプールサイドではなく、夜だったり厚いカーテンが…

  • 「雨の日は会えない」

    ジェイク・ギレンホールが出ているから、ちょっと前の映画「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」を配信で観た。 (いつもただ「ジェイク」としか頭に入ってなかったけど、今タイプしてやっと名字が覚えられた) 「ブロークバックマウンテン」の二人、男くさい、芋ハンサム顔じゃない方、目のくりっとした優しい顔立ちの方がジェイク。 ジェイクの出演している映画は、いつも必ず自分にとっての良作で、ハズレがない。 今回のジェイクは、映画だから誇張されて描かれていたけれど、芯のところが自分とよく似たクズだった。 相手の気持ちや、して欲しいことを(すごく自然に)流して、無視して、平気なクズ。 まずは自分の事。自分の仕事…

  • Baby Baby

    朝、会社のエレベーターで、前に少しの間同じフロアーで仕事をしていたことがある同僚と一緒になった。 自分より結構年下(子持ち)だけど、他所から来た者同士のせいか、それとも単にお互いそういう性格なのか、顔を合わせると変な気を遣わずにくだらない話をする。 どうでもいことを言い合いながら耳からイヤホンを取っていたら、「ジャスティンですか?」と軽蔑っぽく、ふざけた口調で言われた。 会社なんかの社交会話で、どんな音楽聴くんですか?と聞かれたら、自分はいつも「ジャスティン・ビーバーとか…」と答えることにしている。 「こんなおっさんがジャスティン…。」とビミョーな空気になりつつ、相手は必ずちょっとウケてくれて…

  • 触れたい

    今年の夏休み中は、あれっ静かだな、なんだか人が少ないな、とふと気が付くいつもの盆の時期の感じがなかった。 せっかく帰るところがある人達が、しょうがなく皆東京に閉じ込められているのかな、とか考えた。 小さい一人の用事で外出して昼間の山手線に乗った時、自分より少し若いくらいに見える父親と男の子の二人連れを見かけた。 あまり混んでいない車内、席に座っていた自分から、立って楽しげにおしゃべりしている二人がよく見える。 男の子はまだ小学校の低学年、ふくよかな身体つきと顔はお父さんによく似ていて、何の証明書がなくても外見から父子とわかる。 手ぶらで、近所を歩くような服装の二人、男の子はずっと、両手で吊り革…

  • 握手

    自分達のグループしかいなくて、がらーんとした座敷、互い違いに座ってるせいでスカスカな感じになってる卓を囲んで、2つ年上のFさんの送別会をして来た。 コロナでのびのびになっていた退職日がついに来て、お別れだ。 本当なら人気者だったFさんのために皆で集まるところだけれど、このご時世、なるべく空いてる料理屋を選んで、いわゆる「有志」の食事会になった。 やけに離れて一つおきの座布団、窓は全開、強すぎる扇風機でいろんな物が飛んでった。 Fさんとはオフィスの席はずっと隣、チームのリーダーで、途中から仕事に加わった自分は何から何まで教えてもらった。 何でも「オレがやっとくよ」の人で兄貴肌、誰からも慕われてい…

  • バレた

    久しぶりに出勤して、朝の通勤電車に乗った。見渡す限りのマスク顔、話してる人のない、たぶん皆一人客の静かな車内。 くしゃみをしている人もせきをしている人もいなくて、意外にも、今ここで感染することはないなと、満員電車は変な安心感があった。 吊り革はバッチリ握ってたけど、会社に着いて、洗面所に貼ってあったやり方の通りに手を洗って、おしまい。 午前中で用事は済んだから、朝からずっとマスクはつけっぱなし、そのまま家に帰って、直ぐに風呂に入った。 まだ未知の事がある新しい病気だけど、これで伝染ることがあったら、世にも恐ろしい感染症だと思う。 オフィスでは、席を2つ空けて座るとか、部屋に何人以内とか、あまり…

  • "Call Out My Name" The Weeknd

    皆がとっくに寝静まった頃の独りの部屋とか、The Weekndの曲は、いつも太陽が出てない時間の空気がある。 歌詞にたいてい情景が描かれていないけど、この曲は特に、誰もいない街を一人で寄る辺なく歩いている感じがして、切ない。 小柄で童顔の黒人青年が、別れた女の子に残ったままの心を切々と歌い上げているのに、歌って不思議なもので、日本の中年が聴いていると、容易く新宿あたりのあの街、あの頃、男と男という像に頭の中で変換されてしまう。 せっかく女の子を思う男の心を歌ったのに申し訳ない気もするけれど、おじさんの頭の中で男二人になっちゃうのは、たぶん本当にいい歌だからなのかな、なんて思う。 20代、いつも…

  • 頬と頬を合わせて

    オンラインでも顔を合わせたら、まずは適当に挨拶話をして冗談だって言い合う。 普段、毎朝会社に着いて、同僚たちの肩をポンボン叩きながら挨拶してたわけじゃないし、あまり何も変わってないような気もする。 狭いオフィスの同じ空間にいないのは確かだけど、バソコンの画面ごし、相手の顔をひたすら真正面からこんなに見ている時間は、今までそうなかったから、むしろ相手を近いとも感じる。 おっさん、ずいぶん整った顔立ちしてたんだな、なんてこっそり、真面目そうに打ち合わせしながら発見したりして。 用件が済んだら、ちょっと世間話してから通信を切って、また自分の作業に戻ってと、これも普段会社のデスクでしてるのと、流れは同…

  • The Weeknd

    コロナの日々、一人で家にいる時間が恐ろしく長くなって、よく音楽を聴いている。 お気に入りは、The Weekndっていう名義で活動してるカナダ人の歌手で、独特のミュージックビデオは不思議な魅力があって、飽きずに毎日見てしまう。 以前はドレッドヘアだったし、髪質がチリチリもじゃもじゃなせいで、ひと目でアフリカ系、黒人だなと認識する外見だけど、なにかと額にシワができる表情は、肌が明るく見える時は、ふとアラブ人みたいにも見える。 今まで、YouTubeのおすすめに出てくる、56年前のミュージックビデオを時々見ていて、細かく震わせた高い声で、マイケルジャクソンそっくりに歌える、ただの若手ブラックシンガ…

  • 悲しい

    数日前、志村けんさんの感染のニュースを聞いて、それから多くの人と同じように、良くなって欲しいな、死んだら嫌だな、と時よりふっと思い出したりしながら過ごしていた。 昨夜、真偽はわからないけど、彼の病歴や年齢、病院で行われている処置から、もう助からないだろうと、どこかの誰かのお医者さんの話がネット上に書かれていた。 夜部屋で独り、それを読んでいて、ああ、志村けん、死ぬんだな、苦しいのかな、可哀そうだな、と思ったら、胸の中が悲しみでいっぱいになった。 鼻水を垂らして、わんわんしゃくり上げて泣きたいような、強い悲しい気持ち、もうずっとずっと前に忘れてしまっていた感情があふれてくる。 小学生の時、嫌々通…

  • ワン玉

    1月末、出張で訪れた東南アジア、いよいよ中国が段階的に自国民の出国に制限を設け始めた頃。 日本へ戻る時、団体の旅行客がいなくなった現地の空港は来た時より更に空いていて、いつもの喧騒と長蛇の列はなく、閑散としていた。 大きすぎる話し声、落ち着いて列を作れないし、たいてい何でも散らかしっぱなし、白い目で見られることが多い彼らだけど、やっぱり数の存在感というか影響力というか、思い知らされる。 1週間ほどの緩い日程の滞在中、朝コーヒーを飲みにちょっと出たり、夜コンビニへ買い物に行ったり、東南アジアの都会には子犬から成犬までそこかしこ犬がいる。 数年前までは、ぶらつく犬とか地べたにペターっと寝ている犬と…

  • やらない二人 「Paddleton」

    Netflixで見た、冴えないご近所同士、アメリカの中年男二人の映画「パドルトン」。 安そうな賃貸アパートの1階と2階、異性愛者の男二人が、毎日淡々と、しょうもない勤めに家を出て家に帰る。 やらない二人が毎晩、仲良く片方の部屋のソファで一緒に、だらだらピザを食べてビデオの映画を見る。 いったいどんな人がこの映画を見るんだろう、見た人はこの映画に何を感じて何を見い出すんだろうって考えながら見ていた。 自殺が描かれてるから、正解として、そこに焦点を合わせて観るべき映画なのかもしれない。 でもズレた自分は、映画の中、男二人が気持ちを通わせて「こっそり」生きていてる様子に注目してしまい、いろんな事を考…

  • 温かい手

    なんだかあっという間に1月も終わっていく。席を外している間にデスクに置かれた給料明細の紙を見て思う。 チェック柄の、四隅が糊付けされたコンピューター打ち出しの紙は、もうしばらく開きもせずに家に持って帰るだけなんだけど、もはやこの紙が、自分にとって時が過ぎていくことを感じさせる一番の物になってるな、なんて思った。 いけない、のっぺらぼうの毎日をなんとかしたいと思いつつ、このままだと今までと同じ繰り返し、のっぺらぼうの一年になってしまいそうだ。 顔合わせの10分前、駅のホームで、電話に向かってずいぶん荒っぽい口ぶりで、後輩だか部下だかに仕事の指示をしている姿を偶然見てしまった。 待ち合わせ場所に着…

  • 「スケアクロウ」 Scarecrow

    たいてい、乱暴者のアメリカ男役のジーン・ハックマンと、きれいな顔のアル・パチーノの70年代ロードムービー、大好きな映画だ。何回見ただろう。 ファイトクラブのブラピは最高だ!とか小津安二郎の映画はいい!とか、古くても今も見続けられ、語られている映画もあるのに、「スケアクロウ」は、忘れられてしまった映画みたいで、ファンとして寂しく思ってる。 今は二人共おじいさんになってしまったけど、「スケアクロウ」の中で、ジーン・ハックマンもアル・パチーノも、一番いい感じの歳の頃合いだ。 ジーン・ハックマンは、クルクルのもじゃもじゃ頭で、この頃からもうやけに額が広くて辮髪みたいだし、白人男性の美の基準に当てはまる…

  • デミセクシャル Demisexual

    自分が高校生だった20世紀、書店には薔薇族だとか、何種類もの月刊誌が並んでいた。 小さくて分厚い、変なサイズの辞書のような本のような、表紙が人物イラストの雑誌。 家に帰る途中、乗り換えのターミナル駅を降りてすぐの小さい本屋、自分は制服姿で、パラパラと写真ページを見て、なんとなく気に入ると、そんなに抵抗なく、時々買っていた。 思い出してみて、制服を脱いで、休みの日にでも大人の顔つきで買いに行けばよかったのにと、今と変わらずズレてて、10代の自分に苦笑してしまう。 まあいいや、今日は買わずに帰ろうと駅に戻る雑踏で、どこかの背広姿のおじさんが追いかけて来て、書店の袋に入った雑誌をホイってくれたことも…

  • Happy Christmas

    今年も仕事を納めて、一区切り。休み中の食料確保に行ったスーパーで、ジョンレノンの「Happy Christmas」 が流れた。 ビートルズにもジョンレノンにも全く思い入れはないんだけど、この歌は、自分にとって破壊力のある、魂をぐらぐら揺さぶる一曲だ。 日本人の自分の耳にもすっと入って来るシンプルな歌詞、よく分からないけど、みんなが知ってるように、きっと彼は天才だったんだろうな。 クリスマスから新年へと向かうこの時期、君は何をしてきたの?また新しい一年が始まった(始まる)よ、と歌いかけられて、自分にはその答えがなくて、肉や野菜をただ黙々と買い物かごに入れる。 歌は最後まできちんと聞けば、世界平和…

  • 「先に愛した人」

    Netflixで台湾映画「先に愛した人」をみた。 配信の映画は、寒くなってきて、確かな当てもなく服を脱ぐのが面倒で、籠りがちになる冬場、中年の独りもんのささやかな慰めだ。 たまに見る台湾映画は、登場人物が結局、皆善人、日本のドラマにありそうなふわふわした空気感で、ぬるい、なんて思うんだけど、そこは台湾びいきの目で、がんばって見続けると、いつもしっかり最後に、いいもん見たなと思わせてくれる。 「先に愛した人」は、病気になった旦那さんが家を出て、愛人の若い男のところへ、そして生命保険の受取人をその愛人に変えて死んじゃったという話。 旦那さんの死亡保険金を取り返すべく、奥さんとまだ中高生くらいの息子…

  • 肌と近さ

    年に数回の海外出張、自分が行くのは、家を出て数時間で着くアジアの国ばかりだ。 最近は、日本でも街中で常に中国語やらが耳に、ふと聞こえて来るような感じだから、どこに行っても同じで、ずっと東京の中にいるような変な感覚がある。 自分はビジネスマンではなくて、出張に行って帰って来ることが仕事のサラリーマンなので、自分で組んだぬるい日程には余裕があって、少し前から現地で暇つぶしのマッサージに行くようになった。 日本が足踏みをしている間に、アジアの国々の物価は上がって、ちょっとした食事だとか日本と変わらない値段になってしまったけど、マッサージの代金はまだずいぶん安くて、1時間千円ほどだ。 二十代はひどい肩…

  • バイバイ

    平日に代休をとって、いつもの悪い癖、中年独りでダラダラ過ごしてしまいそうだったから、M田に連絡して会って来た。 M田は古い友達で、ずっと前はケータイメールで、その後はアプリでと、メッセージのやり取りは今でもしょっちゅうなんだけど、彼が15年くらい前に結婚してからは、なかなか会えない友人になった。 M田の結婚した人は、彼より10歳だか年下で、自分を嫌っている。二人に子供はなく、旅行ばっかりしている。 たとえ半年に一度でも、土曜日や日曜日に彼を遊びに連れ出してはいけない、鈍感な自分もいつだったか、10年くらい前にそう気がついた。 もうすっかり嫌われた後だったから、もうどうしようもないんだけど、以来…

  • 休日出勤

    連休中に出勤して、帰りの駅、人でごった返すホームでR君に会った。 中年になって、休みが長くなると家に籠もってしまうことが多くて、休日出勤はそんなに嫌ではない。 遅れている電車、ちょっと離れた所にある「到着予定時間」を見ている時に視線を感じて、結構遠くに一人でいるR君が、こっちを見ていることに気が付いた。 入社2年目のR君、好きなラグビーとバイクの話ばかりするから、同期の仲間には、その二つを合わせた変なあだ名で呼ばれている。 会社を出た後は、駅とか外で人に会ったら、会釈だけして、注意深く知らんふりをするんだけど、R君があんまりこちらをニコニコ見ているから、こちらからフラフラっと近付いて行ってしま…

  • キャッチボール

    柴田淳さんの「キャッチボール」 柴田淳さん、お名前をうっすら聞いたことがある程度だったんだけど、最近読んでいるお気に入りのブログで紹介されていて、なんだか気になったので聴いてみた。 「あなたと私で投げ合ったボールは、今どこにあるの?」 印象的な歌い出し、大人の女性の澄んだ声、今まで聴いたことがないタイプの歌だけど、いい歌だな、と思った。 中年の自分にとって、日本の女性アーティストと言えば、ユーミン。歌詞、メロディ、バックトラック、独特の歌唱、聴く曲聴く曲が完成された一つの世界を表していて、本人が言う通り、天才だと思う。 彼女の頭の中にある、いち場面や風景を一つの歌にして、自分のような音楽素人に…

  • 恐い顔

    いつも温厚な、笑顔以外見たことがない男が、すごく恐い顔をしていることに気が付いた。 この時は3回目、一瞬、誰か知らない人に見えて、ビクッとしてしまった。 自分は、やっている最中、集中してくると、なんというか、虫眼鏡で太陽の光を集める時みたいに、相手の目をじっと、見たくなる。 どうしたってわからない、人の本心とか本気とかを目の奥から読み取りたいと思っているのかもしれない。 互いに集中してきて、また、目の前の怒っているような、思いつめたような、今まで見たことのない、相手の顔。 上と下、右と左、時より目が合うと、ニカっと、見慣れた笑顔専用みたいな、目尻の垂れた顔になるけど、しばらくすると、また恐い顔…

  • 嘘つき

    久しぶりのあの街。仲通りをできるだけ歩かないように、友達と自分は、肌寒い大通りをぐるっと周って行く。そして、暗い目の小路を通って、さっと店に入った。 店と店の間に、仲通りをただただ、ウロウロする時間があった遠い昔の10代、20代。今どきは皆、そんな事をしないような気がする。 店内は、30代を中心に若い子から自分たちと同じくらいの中年もいて、大入りだった。 自分たちがよく来ていた頃から20年、店はちゃんとお客さんの新陳代謝があるんだな、うまく経営していて立派だな、と思った。 懐かしいマスターに挨拶して、ちょっと詰めてもらって友達と自分の二人が座ると、カウンターだけの店が満席になった。ずっと立ち呑…

  • 西の、大阪のもっと向こう

    遠くには、きっとここにはない、何かいいものがあるに違いない。そんな考え方が、大げさだけど、古来より日本人の心の中にあると思う。 遠方へ、まだ知らない、ここにはないものを探しに行きたいという気持ち。 そう言えば、チルチルミチルの「青い鳥」の話もあるし、これは単に世界中の人が持っている、当たり前の心情なのかもしれない。 自分の場合、この淡い幻想がとても大切で、仕事とか用事で訪れた旅先で、普段は行かないくせに、そういった場所に足を伸ばす、結構な原動力になっている。 夏の日、戻りの飛行機まで、ぽっかり時間が出来た午後、スマホで住所を調べながら西の街を歩く。 道行く人は、ちょっと彫りの深い、きりっとした…

  • LGBT

    「昨日いっしょに居酒屋に行った先輩、その人はLGBTだって言ってたけど、自分はそういうのは、気にしないんだ」 職場の大きいテーブルでの雑談中、A君がそんなことを言っている。 まだ二十歳前のA君。フランケン風の大きいガタイ、ちょっととぼけた感じの優しい男の子だ。 上京して、街でいろいろな遊び仲間と知り合い、その中の少し年上の男の子を先輩と呼んているようだった。 A君の同期の女の子達が、クスクス笑いながら、A君もLGBTなの?ときくと、「自分は違う、でもLGBTでも気にしない」と答える。 こちらをチラチラ見るから、「いいと思うよ、居酒屋でコーラ飲みながら、おいしい物をいっぱい食べなさい」とか言って…

  • 会いたい

    最近、無性に亡くなった父に会いたいと思う時がある。 平凡な会社員だった父。子供に甘くて、自分は怒られた記憶がない。 平日の夜、寝床で、さて寝るかと灯りを消した後、中年の自分は、あー会いたいなぁって小さい声で言ってみたりする。 自分はいい歳して、まだ父に何かしてもらいたいと思ってるのか、それとも、自分はいい歳になって、生きていれば年老いているはずの父に、何かしてあげたいと思っているのか。 実は、会って何がしたいのかは、よくわからない。 もっと言うと、父は自分が結構若い時に死んでしまったから、もう10年くらい前からはっきりと父の顔が思い出せなかったりする。 スマホを取り出して、顔を見てほっとしたい…

  • 愛おしい二人

    先日、古いパソコンを処分した。20年にわたる歴代のパソコンたち。全てノート型だ。 自分の場合、大体、ディスプレイがダメになってしまって、新しいのに買い換えることが多い。 捨て方もよくわからなかったし、壊れてただの「四角い物」になったパソコンを、何台も棚の奥に仕舞い込んでいたんだけど、引っ越しを機に、やっと処分することができた。 処分業者に出す前に、外部モニターを使って、せっせと中身を確認し、データを取り出したり、きれいにしていく。 2台目のVAIO君、当時はWebメールの前の時代で、パソコンの中に古いメールのやり取りが残っていた。 20代半ば、その時はアメリカに行っていて、白人熊1号が、とかチ…

  • 愛する人

    誰かの、恋人の誕生日パーティーの写真に、こう添えられていた。 「いつでも✕✕君の幸せを願ってます」 二人の表情から本当の気持ちだと伝わって来る。いい言葉だ。 人は誰でも、誰かに受け入れられ、愛されたいという気持ちがあると思う。もちろん自分もある。 では、その反対方向、誰かを受け入れ、愛するということについてはどうだろうか。 自分には愛している人がいない。これまで一人もいない。 10年くらい前に、ああ、自分には心から大切に思う人、まぁつまり、愛している人がいないな、と気が付いた。 その時、自分は30代半ば、すでに若者とは言えない中年になっていた。 これはなんとかしなければ、と思ったが、思っただけ…

  • John Grant & Damien Dempsey "You don't have to"

    ダミアン・デンプセイ。 アイルランドの中年フォーク歌手。ギターを弾きながら、訛りのある英語で男っぽく歌う。 名前、ダミアン・デンプシーっていうのかもしれない。 歌う姿を見ると、外見は水戸黄門の格さんをやってた俳優にちょっと感じが似ている。 最近見た少し前のイギリス映画の中で、彼の歌が使われていて、泥臭い生き生きとした歌にぐっと来た。日々の小さな悩みを歌って忘れようっていう歌。 日本の歌も大好きだけど、自分は英語の歌詞のほうが、心に直接響く感じがある。 後で、YouTube 経由のアマゾンミュージックで、彼がカバーするJohn Grant の"You don't have to" を見つけた。一…

  • 360回の夕飯

    一時期、面倒で夕飯を食べてなかったんだけど、これは健康であるためにまずいだろう、と大人の頭で考えて、この頃はきちんと食べてる。 夕飯を食べないと、空腹で寝付けないから、当時は何年か、寝る前に夏でも冬でもアイスクリームを食べてた。間抜けな中年。 自炊して、ネットしながら部屋で自分の食べたいものを食べて、と侘しい姿ではあるけれど、今どきの世の中、若い人はもちろん、いい年して独りで生活してる人も多く、まあ普通かな。 自分はテレビはつけないんだけど、例えば、録っておいた好きな番組でも見ながら、スマホ片手に夕飯を食べる。平日の夜だったら、けっこう一日の中の落ち着ける、悪くない時間だったり、そんな人も多い…

  • 韓国のこと

    すっかりテレビを見なくなってしまったから、ニュースは専らネットを通じて知る生活だ。 毎日毎日ネットニュースに、ずらーっと並ぶ韓国関係の記事。もうお腹いっぱい、と思いつつ、面白おかしく書かれたものも多く、つい読んでしまう。 自分のようなクズは、その前にもっと他のことについて考えて、自身の心配をしたりするべきだと思うけど、今まで付き合いのあった韓国人たちを頭に浮かべながら、いろいろと思いは巡る。 これだけ国際化された世界で、一つの国を憎み、呪い続けるのは相当難しいはずなのに、彼らの燃え盛る恨みの熱は、いつか収まることがあるのだろうかと考える。 彼らは言う「日本は決して過ちを認めず、決して謝罪しない…

  • 自己紹介

    急に思い立って、ブログを始めました。 アクセスしてるの、自分だけなんだけど、自己紹介。 東京で一人暮らし、中年の独り者。たぶんクズ。 一応、会社務めして、世間には迷惑をかけずに暮らしてます。 人様のブログを読むのが好きで、これまでずいぶんその時々、様々なブログを読んできた。 中年だから、その時間、ざっと20年以上。 ふと思い出したけど、今は多方面で活躍されている、能町みね子さんの出世作ブログもリアルタイムで楽しく読んでた。 他にもいろいろ。 皆さん、軽妙でいて内容の詰まった、読む人を楽しませる素敵な文章の書き手たちだ。 自分は自分らしい何かを書いてみたい。 真面目なんだけど、ズレてる自分が思っ…

  • 愛読ブログ

    ずっと読んでたブログ、去年の今頃、更新がなくなったなって思ってたら、ブログ主さん、死んじゃったって。 更新が止まって、ちょっと病気をしても普通な歳だし、入院でもしてるのかなって思ってた。 病死だそうだけど、60代の終わりくらいだったんじゃないかな。今どき、死ぬにはまだ若いね。 若い頃にヨーロッパやアフリカに行って、暮らしてた人。ブログを書いてる時にはもう帰国してたけど。 時系列で経歴が辿れない書き方してたからわからないけど、ヨーロッパに行って、一回帰国して就職して、商社マンとか、そんな感じかと勝手に想像する。 数えてみれば、自分は20代から20年間くらい、彼のブログの読者だったな。初めはホーム…

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