孟宗。この絵の季節は初夏ではなく、真冬です。 国立国会図書館デジタルコレクションより 孟宗 泪滴朔風寒 蕭々竹数竿須臾春笋出 天意報平安孟宗は。いとけなくして父にをくれ。ひとりの母をやしなへり。母年老てつねにやみいたはり。食のあぢはひもたびごとにかはりければ。よしなき物を望り。ふゆのことなるに竹子をほしくおもへり。則孟宗竹林に行もとむれ共。ゆきふかき折なれば。などかたやすく得べき。ひとへに天道の。御あはれみをたのみ奉るとて。祈をかけて大きにかなしみ。竹によりそひける所に。にはかに大地ひらけて。たけのこあまた生出侍りける。大きによろこび。則とりてかへり。あつものにつくり。母にあたへ侍りければ。母…