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2019/07/25
2021年2月
「秘苑(ビウォン)の華」52
──世子様、何処を歩いているのか分からない。足元では、降りしきる雨のせいで萎びきった草がぬかるんでいる。歩を進めるたび、浅めの靴の縁から入り込んだ雨水が足元を冷やしながら背筋を走っていく。それなのに──なぜこんなにも心地よいのだ。ユンホは頬骨を滑り落ちていく雨粒を、愛しげに指先へと促した。頭上からは、木の葉の隙間から滑り落ちた雨粒が笠子帽を重くしている。──そうか、ここは…嘗ての秘苑だ、と頭上を見上げた...
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