ひとのいいカモはそのとおりにしてくれました。ふたりがしゅびよく川をわたり、またしばらくあるいていきますと、だんだんと森のようすにみおぼえがあるようになりました。 そしてとうとう、遠くのほうに、おとうさんの家がみえました。ふたりは、彼らを捨てたおとうさんをみつけ駆け出しました。 「おとうさん、やっと帰って来られたよ」 ヘンゼルは満面の笑みで、親しみをこめて話しかけました。グレーテルは泣きながらおとうさんのくびったまにしがみつき、会いたかったと嗚咽をもらします。 おとうさんは、グレーテルの背中に両手をまわし、なぐさめるように手のひらでポンポンと叩いてから、頭を撫でました。 部屋に入ってから、三人は…