泥の城 2
電話を掛けた先は児童相談所だった "そこ"がどんな場所かは痛いくらい分かっていた 呼び出し音を意識の外側で感じながら 様々な葛藤が耳の中で交錯する "無責任" "責務" "当たり前の幸せ" "幸せって?" 何かを期待していた訳ではない でも 今の生活が続けばきっと色んな事が破綻してゆく これは予感というよりは確信に近かった。 毎日、同じ様な朝食に夕食の献立や 子供たちとの会話に心が付いていかなくなる感覚 考えても考えても何も浮かんでこない ハッキリと見えていた家族という名の城は ゆっくりと、ゆっくりと溶けて 遠くに見える小さな丘のようだった
2023/05/18 21:28