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どうながの映画読書ブログ https://dounagadachs.hatenablog.com/

好きな洋画作品について語ります。 映画以外にも小説、漫画などについても時々取り上げます。

好きな映画監督:ブライアン・デ・パルマ、ダリオ・アルジェント 好きな女優:ジョディ・フォスター、サンドラ・ブロック 好きな男優:ダスティン・ホフマン、ゲイリー・オールドマン ホラーサスペンス系が好きですが、アクション、SF、恋愛割となんでもみます。 ブログをはじめてから1番面白かった映画はフリードキン監督の「恐怖の報酬」です。

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2019/07/07

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  • 「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」を午前十時の映画祭でみてきました

    午前十時の映画祭、今シーズンのトップバッターはインディ・ジョーンズ3作が1週間ごとに1作ずつ上映。 ゴールデンウィークは「ティファニーで朝食を」が2週上映になっていて、インディの方を連休に長めにやってくれや…この忙しい時期にドル3部作とも上映期間が重なってなかなか厳しい…と思ったけれど、なんとか1番好きな「魔宮の伝説」だけ観に行ってきました。 自分にとって「魔宮の伝説」は子供の頃テレビ放映で観て夢中になった作品。 日本語吹替で脳内再生されてしまうので、今回字幕でみるのが大変新鮮でありました。 ショート役のキー・ホイ・クァン、こんなに子供らしい高い声だったのか…とびっくり。 田中真弓さんのショー…

  • 「群盗荒野を裂く」…革命と友情、異色マカロニ・ウエスタンの傑作

    ジャン・マリア・ボロンテ主演、社会派監督として名高いダミアーノ・ダミアーニ監督による66年のマカロニ・ウエスタン。 プレミアムプライス版 群盗荒野を裂く HDマスター版《数量限定版》 [DVD] ジャン・マリア・ヴォロンテ Amazon ボロンテが「夕陽のガンマン」とまったく異なるイメージの役を演じているらしく、未見だったのを初鑑賞。 格好いいガンファイトなどはなくあまりマカロニらしくない作品だったけど、すごく面白かった…!! メキシコ革命を舞台にした作品で、奥深い。 スピーディにアクションが展開する娯楽作でありつつ、ストーリーは二転三転してサスペンスフル。 「ワイルドバンチ」が好きな人には絶…

  • ドル3部作「続・夕陽のガンマン」4K復元版を観てきました

    ♫アアアアアー 自分の人生のベストの1本、「続・夕陽のガンマン」4K復元版を劇場で観てきました。 大音量で響く黄金のエクスタシー、三角決闘の圧巻の景色…何もかも最高でありました!! 自分が「続夕陽」を初めてみたのは大学生の頃。 TSUTAYAで借りてきたのを小さなテレビで再生。バイトが終わったあと夜中1時頃から観始めて「眠くなったらそのまま寝よう」なんてぞんざいな態度で観始めたのにところがどっこい、とんでもない面白さで… トゥーコが墓を走り回って探すところからはアーチ・スタントンの墓ホンマにあるんかー!!?と大興奮で座ってみていられませんでした。 映画をみていて「何だこれは!?」と打ちのめされ…

  • 「新・夕陽のガンマン/復讐の旅」…リー・ヴァン師匠が格好いい王道復讐物なマカロニ・ウエスタン

    なんてややこしいタイトル。 英題はDeath Rides a Horse。 「夕陽のガンマン」とは全く関係ない作品ですが、リー・ヴァン・クリーフ主演ということで便乗してこんなタイトルに!? いい加減な邦題に思えますが、リー・ヴァン・クリーフが謎の凄腕ガンマンを演じているところ、音楽がエンニオ・モリコーネ、脚本家も「夕陽のガンマン」を共同で手がけたルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ…とあながち間違ったタイトルではないのかも。 タランティーノがお気に入りマカロニ・ウエスタン第8位に選び「キル・ビル」でオマージュを捧げていた作品としても知られています。 レオーネ作品のような風格はないし、他のマカロニよ…

  • ドル3部作「夕陽のガンマン」4K復元版を観てきました

    スクリーンでみるモーティマー大佐、カッコよすぎた…! 先週の「荒野の用心棒」に引き続き、「夕陽のガンマン」4K復元版を観てきました。 自分が高校生の頃、レンタルで初めて観たマカロニウエスタンが「夕陽のガンマン」。 クリント・イーストウッドよりカッコいいこの人は一体何者だ!?リー・ヴァン・クリーフのモーティマー大佐が衝撃的でありました。 聖書をのけると映し出される迫力満点のお顔。黒ずくめのコート、汽車を平然と止める只者ならぬ気配…サドルバックから取り出した長い銃身で賞金首を仕留める冒頭が何度観ても最高です。 シンプルな筋書きだった「荒野〜」に比べ、今回は主要キャラ3人の視点が入れ替わりますが、ど…

  • 今更…黒澤明の「用心棒」を観てみました

    「荒野の用心棒」の元ネタ。 実質リメイクなのに許諾を得られないままつくられてしまい著作権侵害で訴えられて…の有名エピソードは知りつつも、未見だった黒澤明の「用心棒」を今更観てみました。 用心棒 [Blu-ray] 三船敏郎 Amazon 思った以上に激似でびっくり(笑)。 「ヘル・オブ・ザ・リビングデッド」を観た後に「ゾンビ」を観るような不思議な感覚を味わいつつ!?敷居の高いイメージがあった黒澤作品ですが、シンプルに面白くて、まったく古臭くなかったです。 巨匠の凄さを知るとともに、ここから世界観を再構築したレオーネの凄さも改めて知れて、両方続けて観ると楽しさ倍増でありました。 ◇◇◇ 棒を放り…

  • ドル3部作「荒野の用心棒」4K復元版を観に行ってきました

    「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン」の3作品がこの春4K復元版として一挙上映…!! 過去に午前10時の映画祭で上映された際には泣く泣く観に行けなかったので、貴重なチャンスに感謝。 映画館に置いてあったチラシには、「3部作の登場人物は似通っているが、物語上の繋がりは一切ないので、どの順番で観てもOKだ」と書いてありました。 「続夕陽〜」がダントツで好きな自分はとりあえず「続夕陽〜」を最優先して観よう…と考えていたのですが、劇場のプログラムを確認すると「続夕陽〜」の上映は3月29日からのよう。 今週は「荒野〜」と「夕陽〜」を2作同時公開している劇場がありつつ、1番近い映画館は「…

  • 「真夜中の処刑ゲーム」…カナダの要塞警察!?ラストのオチに戦慄

    ジョン・カーペンターの「要塞警察」と並ぶ2大籠城モノ!?として有名な作品。 リアタイ世代には淀川長治さんが解説されていた日曜洋画劇場での視聴が伝説的だそうですが、未見だったのを初鑑賞。 めちゃくちゃ面白かったし、怖かった…!! 「要塞警察」より荒削りでさらに低予算な感じがしましたが、ラストが強烈でびっくり。 これテレビでいきなり観たらさぞかし衝撃だったろうな…とレジェンド入り納得の作品でありました。 ◇◇◇ 警察のストライキで無法地帯となったカナダのハリファックス市。 自警団がゲイバーを襲撃し、誤ってバーテンダーを殺害。口封じのため目撃者を次々に処刑していくも、1人の男が逃亡に成功し古いアパー…

  • 「あなたの死後にご用心!」…ボー元ネタ!?臆病な人間が裁かれる天国

    アルバート・ブルックス主演&監督&脚本。メリル・ストリープ共演の91年のコメディ。 Defending Your Life [DVD] Albert Brooks Amazon (海外版のDVDジャケ写はカルト宗教の広告みたいですが…) 「ボーはおそれている」のパンフレットにて元ネタ作品として解説されていたのですが、クライマックスのシーンが確かに激似。 自分の生前の行いがスクリーンに映し出され「天国行きに相応しい人間」かどうか判断される…相応しくない人間はもう1度生まれ変わって現生をやり直す… 結構ブラックな内容で、キリスト教というより閻魔大王の裁き、仏教の輪廻転生に近しいものを感じて、世界観…

  • 「ポゼッション」…怖いのに惹きつけられるイザベル・アジャーニの狂気

    イザベル・アジャーニ主演、ポーランドのアンジェイ・ズラウスキー監督による81年の作品。 ポゼッション 4Kリマスター版 [Blu-ray] イザベル・アジャーニ Amazon 「ボーはおそれている」のあるシーンを観てこの映画が思い出されたのですが… 終始異常な不安感が漂っているところ、変な人ばかり出てくるところなど、共通点は色々あって影響を受けた作品なのかも…と思いました。 夫婦の不和を描いたストーリーですが、イザベル・アジャーニの狂気が鬼気迫り過ぎてて訳も分からず恐怖に叩き込まれます。 親子関係と夫婦関係では血が繋がってて選べない親子関係の方が怖そうに思えますが、こちらはボーにはないドロドロ…

  • 刑事マルティン・ベック「バルコニーの男」…一気にシリーズものの広がりをみせる第3作目

    スウェーデン発、警察小説の金字塔とよばれる「刑事マルティン・ベック」。 昨年鑑賞した映画が面白かったので、原作小説を読んでみようとシリーズを順番に追っていますが、今回は3作目。 刑事マルティン・ベック バルコニーの男 (角川文庫) 作者:マイ・シューヴァル,ペール・ヴァールー,柳沢 由実子 KADOKAWA Amazon ストックホルムの公園で発見された女児の死体。 その僅か2日後には別の少女の遺体が発見され市民は戦慄。 捜査に乗り出すベックだったが、犯人を目撃していたのは強盗犯と3歳の男の子だった… 獲物を探すように早朝から往来をじっと見続けるバルコニーの男。〝犯人視点〟の大胆なオープニング…

  • 「アフター・アワーズ」…ボー元ネタ!?スコセッシの〝不思議の国のアリス〟

    「ボーはおそれている」の元ネタとしてパンフレットに挙げられていた作品。 マーティン・スコセッシによる85年のコメディだそうで… アフター・アワーズ 特別版 [DVD] グリフィン・ダン Amazon 時計のリューズになった首が捻られている、ちょっぴりホラーなビジュアルがユニーク。 仕事帰りのNYのサラリーマンが夜ソーホーに繰り出したものの、小さなトラブルが続いて中々家に帰れない…!! 自分も時々電車に乗り間違えて目的地まで辿り着かない…みたいな夢をみることがありますが、何もかも上手くいかない浮遊した感覚、どうにもならない焦燥感…まさに軽い悪夢を体験しているような97分。 ファンタジックな雰囲気…

  • 「ボーはおそれている」…過干渉な母親と父親不在の家庭で育った子供の生き辛さ

    アリ・アスター監督の最新作、前2作が好きだったので観に行ってきました。 上映時間3時間、普通に長かった(笑)。 個人的にはワンシチュエーションでしっかりホラー映画してた前2作の方が好み。 今回は主人公の精神世界を描いたドラマ要素が強めの作品でした。 ただこの監督の描く家族像は自分の家族とも重なる部分があったりして、ボーに共感もしつつ、クライマックスは観入ってしまいました。 (以下ネタバレ) ボーの住んでいるアパート周辺の治安が最悪、ゾンビものかよ!!な混乱状態でびっくり(笑)。 自分が常に攻撃されていると感じる人の意識ってこんな感じ?? 多分リアルを描いているわけではないんだろうなーと思いつつ…

  • 「ミュート・ウィットネス 殺しの撮影現場」…第2のヒッチコック!?出色サスペンス・スリラー

    「ファングルフ/月と心臓」のアンソニー・ウォラーが監督・脚本・製作を手掛けた95年のサスペンス・スリラー。 コメント欄で教えていただき、面白そうなので観てみました。 ミュート・ウィットネス 殺しの撮影現場 [DVD] マリーナ・スディナ Amazon 特殊効果を担当する口のきけない女性ビリー。映画撮影のためモスクワを訪れている最中、本物の殺人を目撃してしまう… 「裏窓」を想起させる、巻き込まれ型サスペンスのストーリー。 緊迫感が凄い前半とユーモラスな笑いとアクションが展開する後半と…途中でトーンが変わりますが、とても面白かったです。 (以下ネタバレ) 捻りが効いていて一気に引き込まれる冒頭。 …

  • 印象的な映画の食事シーンをあげてみる

    映画の中で度々描かれる食事シーン。 人物の内面を描写する重要な場面になっていることもあれば、特になんの意味もなく誰かがなんか食べてるだけのシーンもあったりして… 個人的に印象に残っている、映画の中の食事シーンをいくつかあげてみたいと思います。 ◆「フレンチ・コネクション」の高級料理vs安いピザ 麻薬取引を追跡するドイル。 あったかいレストランでステーキだのエスカルゴだのいいもの食べてる敵さんたちとは対照的に、手がかじかむような寒い中、突っ立ったまま相棒が持って来た差し入れピザに食らいつくドイル。 冷めたコーヒーをじゃーっと捨てる姿も… 執念の尾行を一層応援したくなってしまう名シーン。 ◆「殺し…

  • 映画「ゴールデンカムイ」…素晴らしい出来だったけど野間の勇姿がもっと見たかったッ…!!

    地雷に違いないと思っていたら、かなり評判がいいらしいので観に行ってきました。 隠されたアイヌの莫大な金塊の行方を追って、善玉悪玉混じっての三つ巴バトル… 原作は読んでいて、漫画の第1巻を読んだときは「続夕陽のガンマンみたいなのが始まった…!!」と頭から一気に引き込まれた作品でした。 二瓶鉄造のエピソードあたりで終わりかなと予想していたら3巻入ってすぐのところで終了、かなり序盤までの内容になっていました。 でもテンポはいいし、話が綺麗にまとまっていて、原作未読の人にも取っ付きやすそう。 金カム序盤からめちゃくちゃ濃かったよなあと思い出されて、全く退屈しない128分になっていました。 脚色もキャス…

  • 刑事マルティン・ベック「煙に消えた男」…スウェーデン至高の警察小説第2作目

    前作「ロセアンナ」に引き続き、「刑事マルティン・ベック」シリーズの第2作目を読んでみました。 刑事マルティン・ベック 煙に消えた男 (角川文庫) 作者:マイ・シューヴァル,ペール・ヴァールー,柳沢 由実子 KADOKAWA Amazon 猟奇殺人系の怖さが漂っていた前作と比べると、今作はより渋い印象。 冷戦時代、東側諸国であったハンガリーを主人公が訪れるストーリー…というと取っ付きにくそうな感じがしますが、政治色はなく、単純にサスペンスとしてしっかり楽しめる内容になっていました。 地味だけど、苦々しい人間ドラマ成分が濃いめ。今作もとても面白かったです。 ◇◇◇ 夏休みを取得して家族と出掛けたマ…

  • 「キルボット」…殺人ロボとショッピングモールで地獄の決斗!!80年代ゴキゲンB級映画

    今期のホラー・マニアックスシリーズ、知らないタイトルが沢山なのですが、ジャケ写が1番気になったのがこちら。 ホラー・マニアックス第14期 キルボット-HDリマスター版- [Blu-ray] ケリー・マロニー ,トニー・オデル ,ラッセル・トッド ,バーバラ・クランプトン Amazon ショートサーキットみたいなロボットがショッピングモールで人を殺しまくるホラーっぽいのですが…(原題:Chopping Mall) 77分の作品で驚きのテンポの良さ。 80年代らしい能天気さ、「ゾンビ」よろしくな夜のショッピングモールを爆走する非日常感、散りばめられた映画の小ネタ…とにかく楽しいゴキゲンB級映画でし…

  • 「バベットの晩餐会」を午前十時の映画祭で観てきました

    普段ホラー系が好きな自分がなぜか好きだった作品。 リバイバル上映ばっかり観てる気がしますが、映画館で初鑑賞してきました。 人生のとても厳しい部分を描いているはずなのに、観終わったあとには晴れやかな気持ちになる不思議な魅力。 晩餐会のシーン、食事は楽しまないと言っていた爺さん婆さんがたちが美味しそうに食べまくるところでは笑いが起きていて、自分も大いに笑って泣きながら観てきました。 ◇◇◇ 19世紀後半、デンマークの小さな村ユトランド。 牧師の父親の下で清貧な暮らしを送るマーティーネーとフィリパの姉妹が住んでいました。 求婚者と結ばれることもなく、持っていた才を仕事に活かすこともなく、献身的に村人…

  • 「ジャガーノート」…赤か青か!?70年代激渋パニックサスペンス

    「赤と青の線どっちを切るか!?」…爆弾処理ものの元祖として知られる作品ですが、ハリウッド映画の大作と比べると圧倒的に地味…!!地味なのに物凄い緊迫感…!! 吹替シネマ2021 ジャガーノート-HDリマスター版- [Blu-ray] リチャード・ハリス Amazon イギリス映画だからなのか、通常のパニック映画とは違う味わいで、乗客が大騒ぎせず静かに怯える姿がリアル。 静かな人たちが静かに役割を果たす姿にシビれますが、何より格好いいのは爆弾処理班の隊長、リチャード・ハリス。 百戦錬磨の出来る仕事人オーラを放ちつつも時折みせる脆さ、人間らしさが切なく、何とも味わい深いキャラクターでした。 ◇◇◇ …

  • 「悪魔のシスター」デジタルリマスター版を観てきました

    ブライアン・デ・パルマ監督の73年のサスペンススリラーが期間限定公開。 なんて渋いチョイス、同じデ・パルマなら「キャリー」か「フューリー」か「殺しのドレス」が劇場で観てみたかったなーと思いつつ、改めてみたらこちらも面白かった…!! ヒッチコックや以降のデ・パルマ作品との共通点をあれこれ考えるのも楽しく、ストーリーより映像が観ていてとにかく面白い。 地味ながらキャストの面々も皆ハマり役で魅力的でした。 ◇◇◇ テレビ番組のクイズショーから始まるオープニング。 覗き見している人を覗き見ているテレビの聴衆…をさらに覗き見している私たち…と虚構に虚構を重ねた三重構造がユニークで冒頭から一気に引き込まれ…

  • 「オルカ」…全てを失った男同士の対決に涙…!!

    年末に観た「カサンドラ・クロス」が素晴らしかったので、同じリチャード・ハリス主演のこちらも鑑賞してみました。 オルカ HDリマスター版 [Blu-ray] リチャード・ハリス Amazon ジョーズに便乗したアニマルパニックものかと思いきや、感傷的で繊細な人間ドラマ。 妻子を殺されたシャチの復讐劇で、動物を傷つけた主人公は自業自得…という厳しい見方もあるようですが、自分はこの主人公、愚かだと断罪できないものがあって胸にきました。 人生のままならなさ、罪悪感と向き合って背負いこむ誠実さを感じて、リチャード・ハリスの主人公がめちゃくちゃ切なかったです。 ◇◇◇ アイルランド人の漁師ノーランはシャチ…

  • 「殺人捜査」…エリオ・ペトリ監督の異色犯罪劇

    昨年みたモリコーネのドキュメンタリーで取り上げられていて気になっていた70年のエリオ・ペトリ監督作。 Indagine Su Un Cittadino Al Di Sopra Di Ogni Sospetto [Italian Edition] [Blu-ray] Florinda Bolkan Amazon アカデミー賞外国語映画賞を受賞しているそうですが、国内では未ソフト化。 観るのが困難な作品だと思っていましたが、八点鐘さんのブログで取り上げられていてなんとAmazonで配信されているとのこと。 wedplain15.hatenablog.com これは今観るしかない!!と早速鑑賞してみ…

  • 刑事マルティン・ベック「ロセアンナ」…スウェーデン至高の警察小説、第1作目

    昨年鑑賞した「刑事マルティン・ベック」の映画がとても面白かったので原作小説を手に取ってみました。 刑事マルティン・ベック ロセアンナ (角川文庫) 作者:マイ・シューヴァル,ペール・ヴァールー,柳沢 由実子 KADOKAWA Amazon 全10冊のシリーズ、自分が観た映画作品は7作目だったようですが、どうせなら順番に読んでみたい…1作目にあたるのがこの「ロセアンナ」でした。 「この本は警察官の基礎となる価値観、忍耐という美徳の物語である」…と後書きにあったけれど、全編貫くフリードキン映画のようなストイックさ。 北欧ならではの薄暗い雰囲気、少しずつ真相に迫っていく捜査のドキドキ感など「ドラゴン…

  • 「サスペリアPART2」4KレストアUHDBlu-ray/78年日本劇場公開版を鑑賞しました

    「サスペリアPART2」4Kレストア日本公開45周年記念UHDBlu-rayが昨年12月20日に発売。 4枚組のBOXの方は大ボリュームの内容で、なかなかイッキミできず特典含め少しずつの鑑賞になりましたが、ようやく目玉の部分を鑑賞し終えました。 21年に4Kレストア版が劇場公開された際にも観に行ったのですが、ダウンコンバートされたものだったらしく、さらに綺麗な映像になっていて驚き。 あまり鮮明になりすぎると「例のあのシーン」がネタバレになってしまうのでは…と心配でしたが、とても自然に溶けこんでいて、上手く撮られていたんだなーと改めて感心。 赤や黒の色が美しく、あの時代のイタリアの摩訶不思議な世…

  • 「カサンドラ・クロス」を午前十時の映画祭で観てきました

    コロナ禍で引き合いに出されることも多く、タイトルだけは知っていたのですが、ずっと未見だった作品を午前十時の映画祭で初鑑賞してきました。 パンデミックものかと思いきや後半は怒涛のアクション。まさに1粒で2度美味しい作品。 最後の橋のシーンは夏に観た「ミッションインポッシブル7」よりも迫力があって思わず声が出てしまいました。 ◇◇◇ ジェリー・ゴールドスミスの音楽が鳴り響く中、一切のセリフなくスタートする冒頭。 救急車の担架を上から追ったカメラアングルなど緊迫感があって一気に惹きつけられます。 細菌類に感染したテロリストが逃亡し国際列車に逃げ込むというシンプルなストーリー。 ワンちゃんのお皿から水…

  • 「マニトウ」…エクソシストからの呪術廻戦!?少年漫画的胸熱ホラー

    ある日女性カレンの首に謎の腫瘍が出来た。 胎児のように日に日に大きくなり、手術で除去しようとすると謎の超常現象が勃発。 なんと腫瘍は太古の呪術師・ミスカマカスが転生しようとする前兆なのだった… マニトウ HDリマスター特別版 [Blu-ray] トニー・カーティス Amazon 「グリズリー」のウィリアム・ガードラー監督による78年のホラー。 ストーリーだけみるとキワモノ感あり、「エクソシクト」亜流のB級映画かと思いきや、意外にしっかりした真面目な作り。 西洋の信仰が全く役に立たず、医者・占い師・霊媒師・呪術師が女性を救おうと集結。 先日鑑賞した「エクソシクト信じる者」とプロット的には共通する…

  • 「ミックス・ナッツ/イブに逢えたら」…自殺予防コールセンターのクリスマス

    ノーラ・エフロン監督、スティーヴ・マーティン主演の94年のコメディ映画。 全米で大コケ、最低映画と名高い1本らしいのですが… Mixed Nuts アーティスト:Martin,Kahn Columbia/Tristar Studios Amazon 自分は子供の頃、親がビデオを借りてきたのを一緒に観たのですが大爆笑だった記憶。 なにがそんなにウケたのか、1人だけ床を転がるほど笑っていて家族が驚いていました。 自殺を考える人の悩みを聞く〝いのちの電話〟のようなコールセンターが舞台。 世の中にはこんな仕事もあるんだーと新鮮で、設定だけでも惹きつけられるものがありました。 ◇◇◇ 人生相談所〝ライフ…

  • アルジェント主演「VORTEX/ヴォルテックス」を観てきました

    認知症を患う妻、心臓病を抱える夫。同時進行で映し出される老夫婦人生最期の〝死に様〟。人はどう死んでいくのか。ギャスパー・ノエ監督の新境地にして最高傑作。 ノエ監督の作品は観たことがないのですが、ダリオ・アルジェント映画初主演…!!というのに興味を惹かれて観に行ってきました。 見応えのある作品ではあったけれど、刺さったかというと微妙… 淡々とした中盤には引き込まれたけれど、冒頭と締めくくりがトゥーマッチな感じがして自分には合わなかったかも… スプリットスクリーンで画面が常に2分割されている状態で、一方の画面は夫を、もう一方の画面は妻を映し出すというかなり独特なスタイル。 画面酔いしたりはしなかっ…

  • 「ヘル・レイザー」4Kリマスター上映に行ってきました

    80年代幻想的恐怖ホラーが4Kリマスターを施されて帰ってくる…!! 12月8日から公開の「ヘルレイザー」をシネマート新宿さんで観てきました。 久々に観たけど面白かった…!! 特典付きの前売り券が売っていて2枚購入しておいたのですが、スチル写真全9種のうちランダムで2枚封入というオタク心をくすぐるアイテム。 紙封筒に入った大きめサイズでとっても仕様が豪華。これだけでもテンションが上がってしまいます。 「ヘルレイザー」、自分は子供の頃にレンタルビデオ店でピンヘッド表紙のジャケットをみて、とんでもなく怖そうな映画がある…!!とビビっていた記憶があります。 大きくなってから「ベルセルク」の元ネタらしい…

  • 「裸の十字架を持つ男」…全力でエクソシストなパロディ

    「エクソシスト」を盛大にパロディしたレスリー・ニールセン主演の90年のコメディ。 裸の十字架を持つ男 エクソシスト・フォーエバー【字幕版】 [VHS] ハピネット・ピクチャーズ Amazon 邦題とジャケ写は「裸の銃を持つ男」に便乗しまくりですが、原題は”Repossessed”。 「裸の銃〜」と比べてしまうと華やかさも切れ味も落ちますが、くっだらねーと言いつつ爆笑。 リンダ・ブレアがパロディに全力投球してくれていて迫力ある演技を再び披露。 「エクソシスト」ファンには楽しい作品になっています。 ◇◇◇ 1973年…少女ナンシーに取り憑いた悪魔を祓うため、やって来たイーデス神父。 (家の雰囲気も…

  • 「エクソシスト信じる者」…比べてゴメンなダメダメ映画

    アメリカで評判が悪かったそうで観るかどうか迷っていたのですが、近隣の映画館で回数多めで上映してくれていたので観てきました。 オリジナルとは別物と覚悟、あまり期待せずに臨みましたが…それにしても後半が酷くて、残念ながら大変ガッカリな作品でした。 ◇◇◇ ハイチの地を旅行中のヴィクターとソリーンの夫妻。妊娠中のソリーンは地元の祈祷師の祝福を受けますが、その後地震の被害に遭って重体になってしまいます。 夫ヴィクターは赤ちゃんの命か、妻の命かどちらかを選ぶことに… その13年後、ヴィクターは成長した娘・アンジェラと2人で暮らしていました。 亡くなった母に対し複雑な想いを抱いているアンジェラ。ある日キリ…

  • 「回転」…亡霊か妄想か、危ないエロスのゴシックホラー

    ジャック・クレイトン監督、デボラ・カー主演の61年のホラー映画。 TSUTAYA名盤復活コーナーで借りて以前観たのですが、心理的にゾクゾクくる怖さでとても面白かった。 回転 [DVD] デボラ・カー Amazon 上品な白黒映画なのにアブノーマルなエロスを感じてしまう… 善悪が曖昧な登場人物、幽霊は本当にいたのか考察の余地があるところなど、底知れない冷たさの残る作品でした。 ◇◇◇ 家庭教師として古い屋敷にやって来たミス・ギデンス。 愛らしいマイルスとフローラの兄妹にすっかり夢中になりますが、ある日塔から見知らぬ男が自分を見下ろしていることに気付きます。 次第にギデンスは自分にしかみえない幽霊…

  • 「神の左手悪魔の右手/影亡者」…無情な宿命のスタンドバトル

    空想の世界を行き来することができる不思議な能力を持った少年・想の活躍を描く楳図かずお先生のオカルトホラー。 神の左手悪魔の右手 (4) (小学館文庫 うC 4) 作者:楳図 かずお 小学館 Amazon 5つのエピソードから成っていて「影亡者(かげもうじゃ)」は最後に収録されているお話。 他エピソードの方が心理的な怖さやストーリーの奥行きは深かったように思いますが、こちらはシンプルな設定と圧倒的画力で強烈なインパクトが残ります。 なんでこんな怖い話思い付くんだろう…こんな風にいきなり世界がみえるようになったらどうしよう…思わず想像してしまい、童心に返らされるような恐怖がありました。 ◇◇◇ あ…

  • 「処刑教室/クラス・オブ・1984」…不良高校生vs教師、衝撃の全面対決

    「コマンドー」のマーク・L・レスター監督による高校を舞台とした82年のバイオレンスアクション。 処刑教室 [DVD] ペリー・キング Amazon 荒れまくりのアメリカの高校、おっかなさすぎる…!! 同系統の作品としてトム・ベレンジャーの「野獣教師」が思い浮かびますが、あちらほどアクションに振り切っておらず、主人公が強すぎない普通の教師なのがGOOD。 未成年ゆえ生徒がたやすく刑罰を逃れ、教師の方がジリジリと追い詰められていく展開にドキドキ。 スプラッタ映画ばりのクラマックスの〝処刑〟には仄暗いカタルシスも感じてしまいます。 ◇◇◇ 荒廃したリンカーン高校に赴任してきた音楽教師のノリス。 金属…

  • 「日の名残り」…自分を抑圧してきた執事の人生回顧が切ない

    真面目で鈍感な堅物執事と女中頭の感情を表に出さない静かな恋。 貴族の邸宅にて繰り広げられる外交会議。 2つの大戦の間で揺れ動いた激動の時代、時代遅れの遺物ともいえる執事の姿が去り行く時代への郷愁を感じさせる… 日の名残り [Blu-ray] アンソニー・ホプキンス Amazon 有名な作品ですが、初見。 歴史ドラマも含んだ奥深く重厚なストーリーでしたが、自分としては年取ってから人生を回顧することの恐ろしさみたいなものがひたひたと胸に迫ってきました。 執事・スティーブンスの″精一杯努力しているようで実は楽な方に逃げているところ”、自分にもあるかもと思ってグサグサと突き刺さるキャラクターでした。 …

  • 海外ドラマ「フレンズ」の思い出

    1994年から2004年に放送されていたアメリカのシットコム。 フレンズ-コンプリート シリーズ シーズン1-10[PAL][Blu-ray][Import] Whv Amazon 自分は完結後にレンタルで追った勢なのですが、最初こそ面白くても脱落してしまう海外ドラマが多い中、これは珍しく10シーズンを完走。 映画1本観る時間も気力もない疲れ切ったとき、アイスクリームを食べながらフレンズを観ると元気が出る…自分の心の友だった時期がありました。 各回22分で1話完結。6人のキャラクターを動かしながら複数のエピソードが同時進行、オチまで見事に構成されたシナリオが見事で毎回大爆笑。 今みると時代を感…

  • 「刑事マルティン・ベック」…スウェーデン製激渋サスペンスアクション

    スウェーデンの傑作ミステリを本国で映画化した警察映画の金字塔だそうですが… 刑事マルティン・ベック 超・特別版 [Blu-ray] カルル・グスタフ・リンドステット Amazon 「ドラゴン・タトゥーの女」のような犯人探し系ミステリを想像していたら後半全然トーンの違う作品になってびっくり(笑)。 フリードキンばりのリアリティある映像をみせてくれたかと思いきや、アメリカの刑事ものとは一味も二味も違う光景が可笑しかったり、他にはない雰囲気が面白い。 地味なのに人間味溢れる激シブの役者陣も素晴らしく、個人的にはブッ刺さる映画でした。 ◇◇◇ 脂汗を掻きながら見知らぬ天井をじっと見つめる中年男…冒頭の…

  • ダリオ・アルジェント自伝「恐怖」を読みました

    2014年にイタリアで出版、2019年に英語版が出版されていたというアルジェント初の自伝本・「恐怖」の日本語版がつい先日発売。 ハードカバー400ページ強、税抜3400円とボリューミーな内容でありますが、普通の人じゃないアルジェントの書く本が面白くないわけがない…!! テレビ作品も含め2009年の「ジャーロ」まで、監督した作品全てに言及されていますが、特に充実しているのは幼少期〜デビュー作・サスペリアあたりまで… 「おっ!」と引き込まれる劇的なエピソードを冒頭に持ってくるところもアルジェントらしく、ページを捲る手が止まりませんでした。 映画プロモーターのお父さんと写真家のお母さんに生まれ、芸術…

  • 「死んでいるのは誰?」…ヴェネツィアの迷宮彷徨うジャーロの傑作

    「サスペリアPART2」で出番は少ないながらも強い印象を残すトカゲ刺し少女、ニコレッタ・エルミが出演していることで知られる72年のジャーロ。 死んでいるのは誰? [DVD] ニコレッタ・エルミ Amazon 次から次に登場する怪しいキャラクター、曇天の暗い迷宮のようなベニス…「赤い影」「サスペリア2」よりもこちらが先に作られていることに驚き。 雰囲気を楽しむ系の作品かと思いきや、意外にドラマ性もしっかりあって素晴らしいジャーロでした。 ◇◇◇ 冒頭はフランスのスキー場。看護師の母親が娘と2人で雪遊びを楽しんでいましたが、目を話した隙に女の子は何者かに殺されてしまいます。 その4年後…ところ変わ…

  • 「ラストコンサート」…ベタだけど素朴で綺麗なラブストーリー

    70年代にヒットしたイタリアの恋愛映画だそうですが、監督が「エイリアン・ドローム」のルイジ・コッツィ、主演が「サンゲリア」のメナード医師…と何だかとても気になる布陣(笑)。 プレミアムプライス版 ラストコンサート HDニューマスター版 blu-ray&DVD BOX《数量限定版》 アーティスト:パメラ・ヴィロレージ ビデオメーカー Amazon 不治の病を抱えた少女と自信を失った中年ピアニストの愛を描く… ストーリーだけみると苦手な作品かも…と思ったのですが、くどくもなく辛気臭くもなく、普通にいい映画でした。 イタリア映画なのになぜか舞台はフランス、冒頭は美しいモン・サン・ミシェルの景色で幕を…

  • 「バーニング」…キャンプ時々殺人鬼、青春の光と影

    湖畔のキャンプ場を襲う巨大バサミを持った殺人鬼…!! バーニング HDリマスター版 [Blu-ray] ブライアン・マシューズ Amazon 「13日の金曜日」に便乗した81年のホラーですが個人的にはこちらの方が好き。 サマーキャンプの若者たちが生き生きしているのが魅力的、素人臭さが漂いつつも殺しのペースが意外で予想がつかなかったり、陽キャと相容れない陰キャの人生の悲哀が感じられたり… ありきたりなようで他とはちがう輝きのあるスラッシャームービーでした。 ◇◇◇ とあるキャンプ場…少年たちが嫌われ者の管理人・クロプシーの枕元にドクロを置く悪戯を仕掛けました。 ところが蝋燭の火が燃え移ってクロプ…

  • 「ひらいたトランプ」…カッコいいポワロと気弱だけど恐ろしい窃盗犯

    名探偵ポワロは夜ごとゲームに興じる悪い噂の絶えないシャイタナ氏のパーティーに呼ばれた。 ポワロを含めて8人の客が2部屋に分かれてブリッジに熱中している間、客間の片隅でシャイタナ氏が刺殺されてしまう。 なんと居合わせた客は殺人の前科を持つものばかりだった… 「オリエント急行〜」や「ナイルに死す」のような大作感はないけれど、コンパクトに美しくまとまっていて面白かった記憶があるのがこの「ひらいたトランプ」という作品。 ゲームのため8人の男女が集められますが、その内4人は「過去に殺人をして見事に逃げおおせた人間」。 もう4人は警官、ミステリ作家、諜報員、探偵…と捜査官にあたる人たち。 取り調べ的なもの…

  • パトリック2!?「Patrick still lives」…エログロ炸裂仰天イタリアンホラー

    リチャード・フランクリン監督の78年のホラー「パトリック」。 サイコキネシスの力を持った昏睡状態の青年と看護師女性のやり取りを描いたサイコホラー。 タランティーノのお気に入りとしても知られ、地味ながら秀逸な作品で好きだったのですが、なんとそれに便乗したイタリアンホラーがあるとのこと。 コメント欄で教えていただき、とても面白そうだったので気になって観てみました。 Patrick Still Lives [Blu-ray] Sacha Pitoeff Amazon 走っている車から投げ捨てられた酒瓶が顔に当たり、昏睡状態に陥ってしまった青年・パトリック。 その数年後…5人の男女がとあるウェルネス・…

  • 「ラッツ」…ネズミゾンビなイタリアンホラー

    この夏劇場で鑑賞してめちゃくちゃ面白かったマカロニゾンビ映画「ヘル・オブ・ザ・リビングデッド」。 監督のブルーノ・マッティと脚本家のクラウディオ・フラガッソがタッグを組んだ1984年のホラーがあるとのこと、パンフ解説によると監督自身が最高傑作と発言したとか。 国内版DVDは入手困難なアイテムと化していましたが、輸入版を購入して観てみました。 Rats: Nights of Terror [Blu-ray] Amazon 2015年に核戦争が勃発し五大陸は荒廃。 人類は地下に逃れた者とその後地上に再び出て暮らし始めた者とに分かれた。 核投下後の世界をAB(アフターボム)と呼び、現在はAB215年…

  • 「ナイルに死す」…人間の幸不幸は案外平等だという価値観

    社交界の花形であり財産家でもあるリネットと失業中のサイモンのハネムーンには暗雲がたれこめていた。 婚約者を奪われたジャクリーンが拳銃を手に2人の行く先々に現れ、いやがらせをするのだ。 同じナイル川観光船に乗り合わせたポワロは、そんな彼女の振る舞いを押し留めようと試みたが、やがて恐るべき惨劇は起こった… ナイルに死す (クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー,加島 祥造 早川書房 Amazon 後半の展開がてんこ盛りすぎてとっ散らかっている印象があったのですが、久々に読んだら味わい深い群像劇していて面白かった。 異国情緒&男女愛憎劇&殺人事件…非日常を味わうには最高のひととき。 クリステ…

  • 「BUG/バグ」…人生の不幸に理由を求めて狂う人

    フリードキンと「キラー・スナイパー」の脚本家トレイシー・レッツが初タッグを組んだ2006年の作品。 〝自分の身体に虫が埋め込まれている〟という妄想に取り憑かれた男女の話ですが、こういう人本当にいそう… 人間精神のバランス崩してしまうとここまで行ってしまうのかも…鬼気迫っていてめちゃくちゃ怖い映画でした。 BUG/バグ [DVD] アシュレイ・ジャッド Amazon オクラホマの安モーテルで一人暮らししている中年女性のアグネス(アシュレイ・ジャッド)。 10年前に6歳の息子が失踪、離婚したDV夫が最近仮釈放されたばかり。 度々かかってくる謎の無言電話に悩まされつつも、酒・タバコ・コカインで孤独を…

  • 「キラー・スナイパー」…衝撃のチキン、フリードキンのブラックコメディ

    ドキュメンタリー「フリードキン・アンカット」で取り上げられていて気になっていた2011年のフリードキン監督作。 キラー・スナイパー [レンタル落ち] Amazon 全盛期の作品に比べればずっと小粒ではあるけれど、善人不在の突き放したような冷たさ、リアルな暴力描写は健在。 年取ってからも元気にこんな映画撮ってたんだなーと嬉しくなるような作品でした。 麻薬組織に多額の借金をしたドラッグディーラーのクリス。 仲の悪い実母の生命保険金を手に入れようと名うてのヒットマン・キラージョーに殺しを依頼しますが、頭金を用意できず妹を担保に差し出すことに。 その後も想定外の事態に陥って… 冒頭から下半身マッパで主…

  • 追悼ウィリアム・フリードキン「恐怖の報酬」再上映に行ってきました

    先月亡くなられたフリードキン監督の訃報を受け、シネマート新宿さんが6日間限定で「恐怖の報酬」を再上映。 とても有難い企画で観に行ってきました。 愛情たっぷりのディスプレイ。 密林を再現してニトロまで設置…!! まるで一緒に酒場にいるような… 恐怖の報酒(笑)、コラボドリンクも洒落ています。 今回の上映はブーストサウンドシステム。 2018年の上映のときにはなかった音響機器が設置されたらしく超ド迫力の音。 爆破音も雨の音も縄が軋む音も身体を突き抜けてくるようで臨場感増し増し。 吊り橋のシーンは改めて観ても息が詰まるような迫力で、流木が流れてきて不気味な音が鳴り響くところでまたまたギャーッとなりま…

  • 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」…中年女性の精神の危機を描いた家族ドラマの傑作

    合う/合わないがキッパリ分かれるようで、どんなもんかと構えて観てみたらすごく面白かったです。 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス [Blu-ray] ミシェル・ヨー Amazon 別の世界線の自分を利用して戦うの、ジョジョ7部の大統領の能力を思い出したりして面白かったのですが、〝少しずつ何かが違っている無数の並行世界が人間には知覚できていないだけで存在している〟…多元宇宙論はロマンがあって天国地獄よりも面白そうだなあと現実逃避人間には心惹かれる題材です。 SF設定を利用しつつも中身は暗さをたたえた家族ドラマになっていて、特別な自分が無双する!!みたいなストーリーを予想してたら全…

  • 「トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン」…エクソシスト原作者による哲学的思索映画

    「エクソシスト」の原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティが原作・脚本・監督を務めた80年の作品。 前から気になっていたのを鑑賞してみました。 トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン HDマスター 《スペシャルプライス》 DVD ステイシー・キーチ Amazon 登場人物が哲学的な問答を始めるなど演劇的なトーンの作品。 作者の思想が強く打ち出されていて人を選びそうな作品ですが、中身としては真面目でしっとりした人間ドラマ。 「エクソシスト」との共通点も多く併せて観ても面白い作品だと思いました。 山奥に立つ古城の療養施設。そこにはベトナム戦争で精神に異常をきたした兵士たちが集められ治療が施されて…

  • 「エクソシスト ディレクターズカット版」午前十時の映画祭で観てきました

    劇場公開版の方が観てみたかったよ…と思いつつ、今週から午前十時の映画祭で2週間上映されている「エクソシスト ディレクターズカット版」を観てきました。 なにげにこの作品を映画館で観るのは3度目。 1度目は中学生の頃、ディレクターズカット版が公開されて、友達を誘ったのですが「怖いからやめとく」と断られて1人で劇場へ… ビデオでも観たことがなくてこのときが初見。お化け屋敷にでも入るような覚悟で恐る恐る鑑賞に臨んだのですが、思った以上に静かな作品で人間ドラマしていることにびっくり。 2度目の鑑賞は上京した大学生の頃、川崎チネチッタで「ゾンビ DC版」「死霊のはらわた」「エクソシストDC版」というとんで…

  • 「ナイト&デイ」…トム・クルーズの映画の中でこれが1番好き

    公開当時あまり評判がよくなかった気がしますが、自分が観たトム・クルーズの作品の中でこれが1番好きかも。 ナイト&デイ(エキサイティング・バージョン) [Blu-ray] トム・クルーズ Amazon 観ると元気が出る作品で何度か繰り返し観ています。 歳の離れた妹の世話をずっとしてきて自分のやりたいことは先送り、異国の地を夢見るも地元に残って暮らしてきた30半ばの女性。 ある日突然事件に巻き込まれて謎のイケメンとともに世界を駆け回る…!! 女性向けなろう小説!?みたいな薄いプロット、だがそれがいい(笑)。 こういうスター映画って本人のイメージを幾らか引きずるものかと思いますが、マット・ディロンと…

  • 「ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE」…熱量は感じられるけど空回り!?

    焦って観に行かなくてもまだまだ余裕で上映しているだろうと思って鑑賞を先延ばしにしていた「ミッションインポッシブル」の7作目を遅ればせながら観てきました。 このシリーズの熱心なファンというわけではなく、3と4は面白かった記憶はあるのに話の内容とかあんまり覚えてないというかなりいい加減な人間です(笑)。 自分が好きだったのは1と5で、1はデ・パルマ色がしっかりあるサスペンス。冒頭から容赦なく人が死ぬのが衝撃的で一気に引き込まれました。 5は1作目のスパイものの雰囲気を復活させ、チーム戦が板についたところ、悪役もヒロインも魅力的で最後にしっかり敵打ちするカタルシス…「報われない仕事だけど仲間がいて理…

  • 「アリゲーター」「アリゲーター2」4K&2Kレストア版観てきました

    新作も旧作も気になっている作品は沢山あるのですが、80年代パニックもののヒット作「アリゲーター」とその続編「アリゲーター2」を観てきました。 かわいいディスプレイ…!!(思いの外本編とリンクしてました) 2本まとめての鑑賞になりましたが、1はしっかり作られたアニマルパニックものとして見応え充分で大満足。 2は力が抜けるようなまったりB級映画でしたがなんか癒されました(笑)。 ちょこっと感想をまずは1作目から。 開始5秒で傑作の予感…!! 子供が露店で買って可愛がっていたアリゲーターの赤ちゃん。部屋に糞されたとイライラしたお父さんがワニをトイレに流してしまう… まったくタメがなくいきなり始まるス…

  • 「ジェーン・エア」1983年BBCドラマ版を観ました

    ツンデレおじさんと冷血イケメンにグイグイ迫られる乙女ゲーのようなときめき、ゴシックホラーのムードも堪らないイギリス名作文学「ジェーン・エア」。 以前2011年の映画版を鑑賞したのですが、1000ページほどある原作を2時間に圧縮。 ダイジェストのようでドラマが薄くなってしまい、キャストのイメージも違っていてイマイチ。 83年のBBCのドラマ版が出来が良いと伺ったので観てみました。 ジェーン・エア シャーロット・ブロンテ原作 [DVD] ティモシー・ダルトン Amazon こちらは前後編合わせて4時間。 映像や音楽は映画に比べると厚みに欠けていますが、ロチェスターとのロマンスに重点を置きつつ原作に…

  • 「死霊のはらわた ライジング」…気前のいいスプラッターと家族ドラマの悲哀

    日本劇場未公開だそうですが評価が高いようなので観てみました。 いやー、面白い!! 死霊のはらわた ライジング ブルーレイ&DVDセット(2枚組) リリー・サリバン Amazon オリジナルのエッセンスをしっかり継承しつつ、「エクソシスト」のような物哀しい家族の描写、「エイリアン2」のような母性愛、「シャイニング」もびっくりの血の洪水が拝めたりして見所てんこ盛り。 これ1作で独立して観れるのも素晴らしく、大満足の1本でした。 (以下ネタバレ) 冒頭からいきなりの頭皮引きちぎりに唖然。 タイトルバックが神々しくてあまりのカッコ良さにシビれました。 RPGのラスボスみたいでめっちゃ強そう、早くも勝て…

  • 「フリードキン・アンカット」…追悼ウィリアム・フリードキン

    ウィリアム・フリードキン監督が亡くなってしまった… 高齢と知っていてもショック、一時代が終わってしまったような感じがしてとても寂しい気持ちです。 後年の作品は観ていないのもあるしイマイチなものもあったように思うけれど、「エクソシスト」「恐怖の報酬」「フレンチ・コネクション」の3本が圧倒的に凄すぎる…!! 「恐怖の報酬」はこのブログをやるまで観ていなくて、なんで今まで観てなかったんだーと頭を床に打ちつけたくなるくらい面白くて、ド迫力の映像と異常な熱量にただただ圧倒されました。 「恐怖の報酬」を観た後すぐに最終版Blu-rayを購入したのですが、その中に特典映像として入っていたのが「フリードキン・…

  • 「トロル2 悪魔の森」…ベジタリアンに野菜にされる!!狂気炸裂イタリアンホラー

    「ヘル・オブ・ザ・リビングデッド」の脚本家クラウディオ・フラガッソが監督を務めた「トロル2」。 トロル2 悪魔の森 [Blu-ray] マイケル・ポール・スティーヴンソン Amazon アメリカでは〝最低映画〟としてカルト的人気を博すレジェンド作品だそうですが… 自分は真っ当なホラー映画として案外普通に楽しめてしまいました(^^)。 宣伝の都合上「トロル2」と名乗っただけらしく、最早トロルも出てこなくて代わりに登場するのはゴブリン。 安っぽい電子音が鳴り響く中、ゾンビのような恐ろしい容貌のゴブリンたちが沢山追いかけてくる… 冒頭だけでも前作と雰囲気が余りにも違いすぎて思わず吹き出してしまいまし…

  • 「トロル」…ホラーの繊細さと80年代の明るさ/真っ当な良ファンタジー映画

    先日鑑賞した「ヘル・オブ・ザ・リビングデッド」のパンフレットにて脚本家クラウディオ・フラガッソの手がけた作品の1つとして「トロル2」が挙げられていました。 昨年Blu-rayがリリースされたというのもあって気になっていたタイトル、まずは1の方をみてみました。 トロル [Blu-ray] ノア・ハザウェイ Amazon (1と2、スタッフ・キャスト何から何まで入れ替わっていて全くの別作品のようです) 1作目はチャールズ・バンド製作。脚本は「ドールズ」のエド・ナーハ、監督は「13日の金曜日Part7」のジョン・カール・ビュークラーが担当しています。 「ドールズ」のような真面目なおとぎ話要素を孕みつ…

  • 「ビヨンド・ザ・ダークネス 嗜肉の愛」…坊ちゃんと家政婦の上級者向け変態プレイ

    美しい恋人を剥製にして愛でる男… ビヨンド・ザ・ダークネス/嗜肉の愛 -HDリマスター版- [Blu-ray] キーラン・カンター Amazon B級イタリア映画を数多く手がけたジョー・ダマト監督による78年のホラー。 単なるネクロホラーに終わらず次々と飛び出す上級者向け変態プレイに絶句…!! 身勝手で病的な登場人物に感情移入は全くできないのですが、なぜか深い闇に惹きつけられてしまう…とても不思議な作品でした。 親の莫大な遺産を受け継ぎ森に囲まれた屋敷で暮らす青年・フランク。 フランクには美しい婚約者・アンナがいましたが、年上の家政婦・アイリスが2人の関係に嫉妬して呪殺してしまいます。 悲嘆に…

  • 「ヘル・オブ・ザ・リビングデッド」4Kリマスター版を観に行ってきました

    新宿シネマカリテで今月から開催されている映画フェス「カリコレ」。 80年製作のイタリアンホラー「ヘル・オブ・ザ・リビングデッド」が時を経て日本初公開だとのことで観に行ってきました。 満員の大盛況。初見ですがめちゃくちゃ面白かったです…!! ニューギニア奥地の化学プラントで事故が発生。漏洩したガスによって人々は生ける屍と化す。特殊部隊とTVリポーターが事件の真相を追ってジャングルの奥地へと進むが… 本作では「ゾンビ」「エイリアンドローム」の楽曲が流用されているとのこと。 聞き覚えのある曲が堂々流れてきてビックリ(笑)。 化学事故のシーンでは「ゾンビ」冒頭の物々しい曲が、特殊部隊が突入するシーンで…

  • 「ゾンビ大陸アフリカン」…ロメロリスペクトな正統派ゾンビ

    イギリス制作の2010年公開作品。 ゾンビ大陸 アフリカン [DVD] ロブ・フリーマン Amazon かなり低予算でつくってそうですが、スケール感はしっかり出ていて大自然をバックにゾンビが跋扈している画が新鮮。 走らないゆっくりゾンビにドキュメントタッチの硬派なつくり。ロメロを受け継いでいるともいうべき正統派ゾンビ映画で、地味だけど光る作品でした。 余計な説明をごちゃごちゃ入れず突然始まるストーリー。 アフリカで未知のウイルス感染が原因でゾンビが出現したらしく、米軍が基地を作って対応するもどうにもならず撤退。 エンジニアのマーフィー中尉は墜落した飛行機から唯一生還し車を見つけて移動を開始。 …

  • 「トマホーク ガンマンvs食人族」…タイトル詐欺!?真面目で硬派な西部劇アクション

    2014年製作、カート・ラッセル主演の西部劇アクション。 トマホーク ガンマンvs食人族 [DVD] カート・ラッセル Amazon B級感溢れる邦題からは想像もつかないとても真面目で硬派な作品。 後半の盛大な暴力描写にはビックリさせられましたが、70年代映画のような渋みを感じる作品で、とても面白かったです。 アメリカの小さな田舎町。ある夜複数の住人が忽然と姿を消し、体を八つ裂きにされた死体が見つかりました。 残された物品から犯人は穴居人とよばれる原住民からも恐れられる凶暴な種族だと推定されました。 攫われた村人を救うべく4人の男が足跡を辿り荒野を進みますが… 前半事件が起きるまでゆっくりペー…

  • 「モリコーネ 映画が恋した音楽家」…名曲オンパレード、甘くて優しいドキュメンタリー

    ジュゼッペ・トルナトーレ監督が手がけた映画音楽の巨匠・エンニオ・モリコーネに迫るドキュメンタリー。 劇場に観に行けなくて気になっていたのを遅れて鑑賞しました。 モリコーネ 映画が恋した音楽家 [Blu-ray] エンニオ・モリコーネ Amazon 157分と長尺。 多数の著名人のインタビューで構成されていて、モリコーネの繋がっていた人たちだから当然と言えば当然なのですが、ロックアーティストや同業者(ジョン・ウィリアムズやハンス・ジマーなど)も出演していて豪華な顔ぶれにびっくり。 ドキュメンタリーとしては単調で繋ぎが粗く、映画というより豪華な特典映像やテレビの特番を観ているような感じでした。 生…

  • 「悪魔の見張り」…映画「センチネル」の原作小説を読んでみた

    先日久々に鑑賞した77年のホラー「センチネル」が面白くて面白くて… 未読だった原作小説が今更気になったのですが、古本を安く手に入れることが出来たので読んでみました。 昭和63年発行、表紙はアンティークな感じですが、翻訳は非常に読みやすかったです。 アイデアだけ詰まった短かい小説なのかなと思っていたら、しっかり400ページあって、映画のシナリオは原作をほぼ丸々トレースした感じであります。 細かい部分で映画と違っていたところ、小説を読むと補足されて分かりがいいと思ったところがあったので、いくつか挙げてみたいと思います。 ◆恋人マイケルはめっちゃ悪い奴 映画だと終盤で悪い男だったことが発覚する主人公…

  • 「マッドボンバー」…爆弾魔vs暴行魔vs熱血刑事

    「デビルズゾーン」のチャック・コナーズが狂気の爆弾魔を演じた72年公開作品。未見だったのを鑑賞してみました。 マッドボンバー [Blu-ray] ヴィンセント・エドワーズ Amazon 特にストーリーが面白いわけではないけれど、濃ゆい顔の俳優陣をみているだけでドキドキ。 理屈なんてねえ!!感じろこの孤独感!!と言わんばかりの異様なオーラに呑み込まれる作品でした。 LAの街をウロウロする異様な風体の大男・ドーン。 目の前にいた男がゴミをポイ捨てすると拾うように注意しますが、凄まじい殺気…!! (こんな迫力ある人に睨まれたらとりあえず謝るしかない) 信号無視して歩道に突っ込んできた男にも激怒、車の…

  • アガサ・クリスティ「ゼロ時間へ」…恐怖の犯人と塞翁が馬的人生観

    子供の頃「オリエント急行殺人事件」の映画をテレビでみて、それからアガサ・クリスティにハマって読んでいた時期があったのですが、1番好きだったのがこの「ゼロ時間へ」と言う作品。 断崖絶壁に面した海辺の館が舞台なのですが、タイトルのイメージとも重なる昔の文庫版の表紙がカッコいい。 〝推理小説はいつも殺人が起きたところから始まるが、物語はその遥か前から始まっている。様々な要素が重なり合ってゼロ時間へ集約されるのだ…〟 冒頭でとある弁護士の口上が繰り広げられますが、殺人事件が起きるのは全体の3分の2を過ぎてから…という異色作。 どんでん返しあり、男女の恋愛ドラマありで、ポワロは登場しないけど、ポワロシリ…

  • 「ビデオドローム」4Kディレクターズカット版観てきました

    8年ぶりの新作が夏に控えているクローネンバーグ。そのプロモーションの一環なのか「ビデオドローム」の4Kディレクターズカット版が公開されるということで観に行ってきました。 ↑グッズとパンフはなかったけど、入場特典でアートなポストカードをいただきました♫ 「スキャナーズ」「ザ・フライ」「デッドゾーン」など分かりやすい作品が好きなボンクラ人間にとっては難解な印象しかなかったのですが、改めて劇場で観ると面白かったです。 冒頭で日本のポルノ映画を買い付けるかどうか協議してる会社の人たちや、本物の噂があるスナッフフィルムの存在など80年代ビデオブームが映し出されたようなムードに引き込まれてしまいます。 ケ…

  • 「センチネル」…孤独な地獄の番人、ラストの圧倒的寂寞感

    人知れず大きな役目を背負い、長い年月をたった1人で過ごしている… こういうキャラクターはアニメや漫画にも度々登場していて「セーラームーン」の時空の門扉を司るセーラープルートだったり、白面の者を封印していた蒼月須磨子だったり、「レイアース」の〝柱〟であるエメロード姫だったり…その労苦を想像すると何とも切ない気持ちにさせられます。 77年のホラー「センチネル」は序盤は「ローズマリーの赤ちゃん」を思わせるストーリーですが、選ばれし者として重荷を背負う主人公の姿に圧倒的孤独を感じる作品でした。 センチネル 特別版 クリスティナ・レインズ Amazon NYに住むファッションモデルのアリソン。弁護士の恋…

  • 「家」…顔に迫力のある俳優陣と恐怖演出が上手い屋敷ホラー

    お話的には短編ホラー漫画数十ページで終わるような内容なのに、迫力の俳優陣とジワジワ追い詰められていく恐怖描写が秀逸。 B級ホラーかと思いきや文学的な雰囲気も漂っていたりして、すごく好きな作品でした。 家 ―HDリマスター版― [Blu-ray] カレン・ブラック Amazon (※結末について言及しています) 善良な家族の生気と魂を吸い取って家が若返る…家主を変えながら邪悪な家が数百年生きていた…というオチ。 家族が徐々に崩壊していくところとか、ラスト15分が怒涛の急展開なところとか、今みると「ヘレディタリー」に少しテイストが似ている気がしました。 家がサラーっと新品のように美しくなるラストは…

  • 「華麗なる殺人」…イタリア製デスゲームはオシャレな男女の殺し愛

    「未来帝国ローマ」の特典映像にてルチオ・フルチが自分の親友だったと語っていたエリオ・ペトリ監督。 フルチが27年生まれ、ペトリが29年生まれと同時代を生きた映画人で、そんなペトリが65年に撮って時代を先駆していたというSFアクションがあるそうな。 華麗なる殺人 HDマスター版 [DVD] マルチェロ・マストロヤンニ Amazon 製作はカルロ・ポンティ、主演はマルチェロ・マストロヤンニとウルスラ・アンドレスと豪華。 近未来殺人スポーツをポップでお洒落に描いたSFアクション!!…ってどんな映画なんだ(笑)。 2079年。道徳の向上と暴力抑制のため政府主導で〝人間狩り〟のゲームが催されるようになっ…

  • 「片腕サイボーグ」…イタリアのユニバーサル・ソルジャーは驚愕の結末

    86年製作、「影なき淫獣」のセルジオ・マルチーノ監督がメガホンを撮ったSFアクション。 片腕サイボーグ [DVD] ダニエル・グリーン Amazon ジャケ写はマッドマックス亜流の雰囲気ですが、「ロボコップ」や「ユニバーサル・ソルジャー」を先取りしたかのような内容。 後半アクションの盛り上がりアリ、人間ドラマもちょいアリで中々の良作でありました。 近未来のアメリカ。環境保護活動家モズリー博士の暗殺ミッションを与えられた片腕サイボーグのパコ。 しかし任務の途中で突然自我に目覚めアリゾナに逃走。逃亡先のモーテルで追っ手たちと戦うことになります… 世界観やストーリーが頭に入って来にくい序盤。 どうや…

  • 「ガルシアの首」…ダメ男を徹底的にダメに描くペキンパーの誠実さ

    ペキンパーが唯一自分の撮りたいように撮れた作品だったという「ガルシアの首」、未見だったのを初鑑賞。 ガルシアの首 [Blu-ray] ウォーレン・オーツ Amazon 「ワイルドバンチ」のような格好よさは全くなく、ダメ男が一貫してダメなままで描かれているのがとても誠実で、その誠実さがグサグサ突き刺さってくるような作品でした。 若い妊婦が水辺で涼んでいる静かで美しい景色。 しかし娘は男たちに連れ去られ権力者である父親の下へ… メキシコの大地主エル・ヘフェは自分の愛娘を妊娠させた男・ガルシアに激昂し、その首に100万ドルの賞金を懸けました。 冒頭は西部劇のような昔の時代の雰囲気なのに、次の場面では…

  • 「F/X 引き裂かれたトリック」…特殊効果マンが魅せる異色サスペンスアクション

    85年製作、FXマン(特殊効果担当の男性)を主人公にしたサスペンスアクション。 F/X 引き裂かれたトリック [DVD] ブライアン・ブラウン Amazon 地味だけれど「ミッドナイトクロス」や「ボディダブル」のような映画製作の裏を覗いている気分になれるところが楽しかったりして、設定とアイデアがユニークな作品でした。 特殊効果担当としてハリウッドで成功を収めているロリー・タイラーはある日法務省の役人から奇妙なオファーを受けます。 その内容は、事件の証人として警察に勾留されている元マフィアの身を守るため、彼の偽造殺人を手伝ってほしいというものでした。 「自分の仕事は夢を売ることだ」と一度は依頼を…

  • 「ハイ・フィデリティ」…好きなモノこそアイデンティティ!!オタクの愚かさ、愛おしさ

    昨年新装版が出版されましたが、自分が学生の頃に読んだのは耳がハートの形をしたデザインが印象的なこの文庫本。 ニック・ホーンビィの本を読むのは初めてで、表紙がなんか洒落てるなーと興味を惹かれたのがきっかけでした。 大人の恋愛小説といいつつストーリーは恋人に捨てられた35歳のレコードショップ店長がひたすらウダウダしているだけ。 冒頭では「人生で辛かった失恋トップ5」をあげながら主人公ロブがこれまでの人生を振り返っていきますが、「ガールフレンドいっぱいいるし友達もいるしリア充やないかーい!」とツッコミながら読んでしまいます。 自分は音楽に全く詳しくないので主人公の言ってることはちんぷんかんぷん。 音…

  • 「未来帝国ローマ」…SFアクションに向かないフルチ

    フルチの作品の中で長らく未ソフト化だった「未来帝国ローマ」が待望のBlu-ray化。 未来帝国ローマ [Blu-ray] ジャレッド・マーティン,フレッド・ウィリアムソン,ハワード・ロス Amazon 気になっていたタイトルだったので嬉しい限りですが、なるほどこれは長らくソフト化されてなかったのも分かるかも(笑)。 後期の低予算作品でも拘りや工夫して撮られた戦いの跡が感じられることの多いフルチですが、今作はかなり雑な印象。 マッドマックス便乗企画を依頼されたもののSFアクションとは相性が悪かったのかなーと思う作品でした。 2079年ローマ。各テレビ局は刺激的なショーを毎夜放送し視聴率を競ってい…

  • 「食人族」4Kリマスター無修正完全版観に行ってきました

    劇場で滅多にみられる機会はないだろう…5月5日から全国順次公開の「食人族」4Kリマスター無修正完全版を観に行ってきました。 初日だからかもしれませんが夕方の上映回だというのに300以上ある席がほぼ満席、意外に若い人が多くかなりの盛況でした。まさかの人気にびっくり。 シネマートさんでは2Kプロジェクターでの上映でしたが、十分綺麗で股間もくっきり。大音量で大迫力でした。 自分はPOV形式の映画(主観カメラ映像)が画面酔いしたりしてあまり得意ではないのですが、この作品は以前DVDでみて平気だった記憶。 モキュメンタリータッチの作品もカニバル映画も普段あまり観ないのですが、この作品はさすがレジェンドな…

  • 「世界残酷物語」…イタリアのホラ吹きと行く世界一周旅行

    モンド映画の走りと呼ばれるイタリア映画を初めて観てみました。 グロい&暗いというイメージを大きく裏切り、妙な明るさのある作品でこんな映画だったのかとびっくり。 世界残酷物語 Amazon 世界の人々の風俗を捉えた映像が多数並べて描かれる記録映画調の作品…と聞くと凄い真面目そうですが、これ絶対嘘やろ、いい加減にナレーションつけたやろ、とツッコまずにいられない場面がたくさん(笑)。 全く内容を知らないアニメなどの映像に無理矢理アフレコをつけたニコニコ動画の〝ミリしら〟をみているような、そんな不思議な面白さがありました。 自分だったらレンタルビデオ屋のコメディのコーナーに置きたいです。 作っている方…

  • 「デビルズ・ゾーン」…悪夢のマネキン館、怖いけど切ないスローソンさん

    78年公開、チャールズ・バンド製作、「クロール・スペース」のデヴィッド・シュモーラーの初監督作。 「悪魔のいけにえ」的世界観に、人形ホラーと超能力要素も加味された盛り盛りの内容。 サイコな中年親父を演じるチャック・コナーズが素晴らしく、見応えのある作品になっていました。 デビルズ・ゾーン デジタル・リマスター版 [Blu-ray] チャック・コナーズ Amazon 田舎でドライブ旅行をしていた男女5人組。 車の故障で立ち往生してしまい、かつての観光地の看板に導かれ見知らぬ土地に足を踏み入れます。 開始早々襲われるのは給油所に立ち寄った男性メンバーのウッディ。 いきなりマネキンだらけの部屋に閉じ…

  • 「見えない恐怖」…イギリス製、仄暗い盲目サスペンススリラー

    主人公が盲目のサスペンススリラーといえば「暗くなるまで待って」とこの作品が思い浮かびます。 昔VHSの叩き売りで拾ってみたらアタリだった静かな良作。 冒頭エルマー・バーンスタインの曲が鳴り響くなか映し出される星マークが付いたブーツを履いた謎の男。 暴力映画をみたあとの軽い足取り、飲食店で足を投げ出す傍若無人な態度。 姿は映らなくても粗暴な性格が伺えて、自分を見ようとしない富裕層や女性に対する怒りや嫉妬の感情まで伝わってくるような、静かな演出が秀逸です。 一方盲目の主人公であるサラが住むのは広いお屋敷。視力を失った姪を引き取った叔父・叔母・いとこは良い人そうです。 しかしベンツに傷を付けられた叔…

  • 「ジャーロ」…いつもと違う冷淡さのアルジェント

    2009年のアルジェント監督作。 映像といい音楽といいラストの幕引きといい「らしくない」作品でファンサービスたっぷりだった「スリープレス」とは大違い。 以前観たときには物足りなく思われたのですが、改めて観るとこれはこれで味わいがあって悪くないかも。 陰鬱ラストに余韻が残る作品でした。 ジャーロ [DVD] エイドリアン・ブロディ Amazon 北イタリアの都市トリノで外国人美女ばかりを狙う誘拐殺人事件が続発。 犯人の手口は偽造タクシーを走らせ女性を隠れ家に拉致するというものでした。 冒頭トップバッターで犠牲になるのはなんと日本人女性。(雨の中タクシーに乗る姿が「サスペリア」っぽい) 監禁された…

  • 「デス・サイト」…控えめで明るめなアルジェントのネット中継殺人

    「ダークグラス」公開前にアルジェントの2000年代の作品を何本か観なおしていたのですが、この作品は地味だし盛り上がりに欠けるけどなんか好印象だった作品。 デスサイト [DVD] ARC Amazon 英語タイトルはThe Card Player。 オンラインゲームで人質の命をかけて犯人と対決するデスゲームものっぽい雰囲気の作品であります。 警察官のアンナのもとにある日謎のEメールが届きます。 メールを開くとポーカーゲームのオンラインサイトが開き、横のウィンドウには拘束された女性の姿が… ポーカーをして警察が勝てば人質を解放、負ければ殺すと告げる犯人。 アンナが勝負に乗ろうとすると署長が「異常な…

  • エラリイ・クイーン「九尾の猫」…アルジェントのトラウマ元ネタ!?サイコキラーものの先駆的小説

    昨年鑑賞したダリオ・アルジェントの「スリープレス」Blu-rayの特典映像にて、アルジェントはエラリイ・クイーン好きだと語られていました。 「スリープレス」は小説「Yの悲劇」にインスパイアされていたようですが、他にも着想を得た作品があるのかしら…ということでこちらの作品を読んでみました。 九尾の猫〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:エラリイ クイーン 早川書房 Amazon ちょっぴりジャーロっぽい雰囲気のお洒落な表紙、タイトルも「わたしは目撃者」の原題(Il gatto a nove code)と重なります。 クイーンの中では中期の傑作だそう。個人的には「Yの悲劇」よりとっつやすく…

  • アルジェント最新作「ダークグラス」観てきました

    御歳82歳のダリオ・アルジェントの最新作「ダークグラス」を観てきました。 新宿まで行ったのですがトークショー付きの回はオンラインで早々に売り切れ、「サングラスをかけて入場するともらえるステッカー」も配布が終了していました。 ノスタルジックなデザインが嬉しいポストカードはまだ配られていました。 グッズはパンフとTシャツを購入。 さらに前週に特別上映していた「サスペリア」のグッズがまだ販売していて、観に行けなかったけれどエコバッグとポストカードセットを購入させてもらいました。 カッコイイ〜♫ 劇場は席がしっかり埋まっていて若い人も多くてなんだか嬉しかったです。 ◇◇◇ 凄いときの作品と比べてしまう…

  • 「フィツカラルド」…ヘルツォーク密林映画、なぜか可愛いクラウス・キンスキー

    ドイツの巨匠ヴェルナー・ヘルツォークの82年監督作。 フリードキンの「恐怖の報酬」の特典映像で2大密林映画!?として名をあげられていたので観てみました。 フィツカラルド [DVD] クラウス・キンスキー Amazon (ジャケ写がもう凄い…!!(゚Д゚) 19世紀末南米ぺルー。熱心なオペラファンのフィツカラルドはエンリコ・カルーソーの歌を聴き感動し「自分が住む近くの密林にもオペラハウスを建てる!」といきなり決意。 寄付を募ったり製氷事業に着手するも上手くいかず、資金を得るため流行りのゴム製造に手を出すことに。 しかし売れ残っている土地は急流に阻まれた辺鄙な土地ばかり。 恋人モリーにお金を借りて…

  • 「赤んぼ少女」…悪行に自省的なタマミちゃんが可哀想で切ない

    昨年楳図かずお大美術展に行った際「赤んぼ少女」のタマミちゃんのグッズが売っていて目を引きました。 人気作らしくタイトルだけは聞いたことがあったのですが、未読だったので文庫本を購入。 楳図かずお画業55th記念 少女フレンド/少年マガジン オリジナル版作品集7 赤んぼ少女 (講談社漫画文庫) 作者:楳図 かずお 講談社コミッククリエイト Amazon 救いのない悲惨なお話でありつつ、独特の味わいがあって人気なのも納得の一編でした。 孤児院で育った少女・葉子は実の両親が見つかったと言われ、ある日新しい家に拾われて行きます。 豊かな生活に感激するのも束の間、屋敷の天井裏にはタマミという不気味な少女が…

  • 9歳の殺し屋!?90年代懐かしお子様サイコパス映画「マイキー」

    自分が子供の頃にみたお子様サイコパス映画といえば「危険な遊び」とこの「マイキー」の2本。 首がもげた人形を抱えた少年の写真に「チャッキーよりも怖い9歳の殺し屋、マイキー」などと煽りまくったキャッチコピー…ビデオパッケージはそんなんだった憶えがあります。 子供による殺人という重く暗い題材、イギリスでは公開禁止になったらしい曰く付きの作品。 けれど実際みるとそんなにシリアストーンしてなくてところどころ荒唐無稽で良い意味でB級映画。 子役の少年が名演技でこのジャンルの良作だったのではないかと思います。 冒頭からフルスロットル、パパ・ママ・妹の3人を一気にあの世送りにしてしまう恐ろしい子・マイキー。 …

  • 「野獣死すべし」…グロ描写炸裂!?ルチオ・フルチのギャングムービー

    フルチが「サンゲリア」と「地獄の門」の間に撮ったという80年公開のギャング映画。 同年公開の松田優作の主演映画となぜか同じタイトル、ハードボイルド路線のフルチだということですが… 話の合間に突然挟まってくるグロ描写に思わず笑ってしまう、フルチファンにはとても楽しい1本でした。 野獣死すべし [Blu-ray] ファビオ・テスティ Amazon ナポリの港町。闇タバコを密輸するミケーレ&ルカの兄弟は待ち伏せしていた警察に現場を押さえられてしまいます。 内通者の存在を疑ったルカたちは気鋭の若手ギャング・ペルランテに相談を持ち掛けますが、その帰り道に兄のミケーレが銃撃を受けて死亡してしまいます。 復…

  • 「ザンガディクス 鮮血の悪夢」…7人のマルコメくん殺人鬼と巨大な胎児

    (この記事投稿後2~3か月ほど更新お休みします) 92年オランダ・アメリカ合作のルドルフ・ヴァン・デン・ベルフ監督作。 中古VHSの叩き売りで発見、「アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭大賞受賞」の文字を見つけてお持ち帰りした1本。 思ったより話はまとまっていてイタリアのホラーとちょっと雰囲気が似ていたりで、なんかオモロかった作品でした。 冒頭…とある病院で医者が人工子宮による7つ子出産を成功させます。 その帰り道、突然謎めいた儀式を行う医者。 「もう解放してくれ」と彼が叫ぶと、突然水晶体に入った巨大な胎児が現れ、医者の身体はたちまち燃え尽きて死亡してしまいます。 その21年後…母親と2人…

  • 「サンタリア 魔界怨霊」…vsカルト集団!!絶望のオカルトホラー

    〝サンゲリア〟と〝サンタマリア〟を掛け合わせたような怪しいタイトルですが、ニューヨークに実在している宗教〝サンタリア〟を題材にしたという87年公開のオカルト・ホラー。 監督はジョン・シュレシンジャー、主演はマーティン・シーン。 じわじわ追い詰められていくような「ヘレディタリー」系の怖さ。生理的嫌悪を催すようなグロ描写があったりで、とても怖かった記憶のある作品です。 精神科の警察医カル(マーティン・シーン)はある日突然妻を事故で亡くしてしまいます。 ミルクが溢れて床が濡れて壊れたコーヒーメーカーが感電して目の前で妻が電気ショック死…このシーンが思いの外残酷でビビりまくります。 冒頭ジョギングする…

  • 「エイリアンドローム」…サンゲリア+エイリアン??イアン・マッカロックがカッコいい

    「サンゲリア」のイアン・マッカロック主演のマカロニホラーということで気になっていた作品のBlu-rayを鑑賞しました。 ホラー・マニアックスシリーズ 第13期 第3弾 エイリアンドローム -2Kレストア版- [Blu-ray] イアン・マッカロック Amazon 監督は「サイコファイル」などでアルジェントともタッグを組んでいるルイジ・コッツィ、音楽はゴブリンが担当。 SFホラーかと思ったら予想の遥か斜めを行く作品でめちゃくちゃ面白かったです…!! ある日NYに辿り着いた無人の漂流船。 調査員たちが乗船するとコーヒーと書かれた積荷の中から奇妙な緑色の卵が発見されます。 今にも孵化しそうな卵がいき…

  • 「プロジェクト・ヘイル・メアリー」…少年漫画的ロマンとなろう小説的高揚感

    「火星の人」(映画「オデッセイ」は自分はかなりイマイチだった)のアンディ・ウィアーの最新作で2021年のベストセラー「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を読みました。 プロジェクト・ヘイル・メアリー 上 作者:アンディ ウィアー 早川書房 Amazon ネタバレなしで読むのが最高の作品、読み始めると手が止まらなくて2晩で一気に読んでしまいました。 友情・努力・勝利の胸熱展開、主人公がチート級の頭の良さで極難を次々に乗り越えていく高揚感には少年漫画やラノベのような楽しさがあり、親しみやすいSFでした。 未来に対して異様に楽観的というか、人類は意外にしぶとい…「火星の人」も本作も昔読んだJ・Pホーガ…

  • 「俺たちは天使じゃない」(1955)…すんごいテキトーで謎にあったかいクリスマス映画

    「カサブランカ」のマイケル・カーティス監督とハンフリー・ボガートが再タッグを組んだコメディ作品。 ツッコミどころ満載ですが、掛け合いがとても面白く古い作品なのに爆笑して観てしまいます。 俺たちは天使じゃない (1955) [DVD] ハンフリー・ボガート Amazon ジョセフ(ボギー)、アルバート(アルド・レイ)、ジュールス(ピーター・ユスティノフ)の3人はある夜刑務所から脱走。 アルバートは毒蛇のアドルフをペットとして飼っていてオシャレなバスケットに入れて持ち歩いています。(動物可愛がる囚人あるある) 近くのフランス植民地の町に身を寄せた3人でしたが、どこもかしこも保釈中の囚人だらけ、「こ…

  • 「わらの犬」…大人しい男の怠慢と暴力の才能

    ニュースなどで何か事件があると「犯人は真面目で大人しい人でした」と報道されているようなことが時々あって、大人しい村の住民である自分は「大人しい奴のネガキャンやめてくれや、もし犯人がパリピやったら『犯人は賑やかなパリピでした』ってちゃんと言ってくれよな」などと下らないことを考えていました。 わらの犬 HDリマスター版 [Blu-ray] ダスティン・ホフマン Amazon 「わらの犬」は大人しいやられっぱなしだった男がゴロツキどもを一網打尽にするというようなストーリーで、暗さもありつつどこかカタルシスも感じてしまう作品です。 主人公が好意的に描かれているかというとそうでもなく、「主人公が楽な方に…

  • 「ワイルド・ギース」…英国のエクスペンダブルズ、70年代の寂寞感

    イギリスの名優が集まった78年公開のミリタリーアクション。 アフリカ前大統領救出のミッションを負った傭兵集団が依頼主に裏切られ現地に置き去りに… 基本はエンタメアクションしつつ70年代ならではの骨太さがあって見応えのある作品でした。 ワイルド・ギース HDリマスター版 ブルーレイ [Blu-ray] リチャード・バートン Amazon ベテラン傭兵のフォークナー大佐(リチャード・バートン)は大富豪エドワード卿に呼び出され、アフリカ某国の前大統領・リンバーニの救出を依頼されます。 独裁者の将軍に追い出されたリンバーニは表向きには病死と公表されていましたが、実は政府によって監禁されていました。 銅…

  • 「ワーロック」…ポンコツ魔法使いと逞しいヒロイン

    同じタイトルで西部劇の名作があるようですが、こちらは89年公開のファンタジーホラーのワーロック。 監督は「ガバリン」のスティーヴ・マイナー、脚本は「逃亡者」「アライバル」のデヴィッド・トゥーヒー、音楽はジェリー・ゴールドスミス…と意外に豪華な布陣となっています。 1691年ボストン。魔女ハンターのレッドファーンは悪名高い悪魔の手下・ワーロックをようやく捕まえましたが、サタンが時空の扉を開けて300年後の未来へ彼を逃してしまいます。 現代のLAに住むカサンドラの家に突然転送されたワーロック。 サタンから「3つに分断された悪魔の聖典・グリモワールを集めて世界を滅ぼせ」と命を受け現生で大暴れ。 そこ…

  • 「迷宮のレンブラント」…天才贋作画家が描いた本物の絵

    97年制作、ジョン・バダムの最後の映画監督作。 レンブラントの贋作を手掛けた画家が事件に巻き込まれる…設定だけでワクワクさせられてとても面白かった記憶のある作品です。 迷宮のレンブラント【字幕版】 [VHS] ポニーキャニオン Amazon 天才的な贋作の技術を持つ画家ハリー・ドノヴァン(ジェイソン・パトリック)はある日3人の美術商から55万ドルでレンブラントの贋作を描いて欲しいと依頼を受けます。 「レンブラントを描けるのはレンブラントだけだ」…はじめは依頼を断ったハリーでしたが、自分の個展がキャンセルになったことに苛立ち、仕事を引き受けることにします。 早速ヨーロッパに飛び徹底的にリサーチ、…

  • 「ゴーンガール」…臆病で繊細な原作小説のエイミーが好きだった

    原作→映画の順で鑑賞。映画も主演2人がハマり役で悪い出来ではなかったと思いますが、自分は原作小説の方が圧勝で面白かったです。 「夫と妻の独白が交互に進んでいく」というスタイルは映画も原作も同じですが、本ではフルで展開している「妻の日記パート」が抜群に面白い。 「損な役を押し付けられた可哀想な私」と言わんばかりのウジウジした感じ、漏れ出る自分大好きオーラ。 本音を奥深くにしまい込んだわざとらしさが鼻につくなあ…と思っていたらそれが一気に急転直下、上巻まるまる使った〝タメ〟が非常に長くすごい仕掛けだなあと驚かされました。 幼少期から両親の書く小説のモデルと比較されて育ったエイミーは、現実で自分が何…

  • 「未来惑星ザルドス」4Kデジタルリマスター版を観てきました

    SFカルトとして名高い74年ジョン・ブアマン監督作が今秋4Kリマスターとなって全国順次公開。 この監督の作品は「脱出」「エクソシスト2」しか観ていなくて高尚なイメージがあったのですが、直球シンプルなストーリーで素直に楽しめました。 2293年、戦争と環境汚染により地球は荒廃。 人類はボルテックスと呼ばれる理想郷に住むエリートたちと、彼らに支配されるブルータルス(獣人)の2つに分かれていました。 エリートたちは獣人たちにザルドスという恐ろしい猿の顔の偶像を信仰させ食糧を貢がせていました。 しかしある日信仰に疑問を抱いた獣人部隊の隊長ゼッド(ショーン・コネリー)がエリートたちの楽園に潜入し大波乱が…

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