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どうなってんの? マントル細胞リンパ腫闘病記 https://www.aboba.net/

脾臓摘出・生検の結果、判明した病型は標準治療も定まっていないマントル細胞リンパ腫(MCL)だった…。MCLと闘う50代オバさんの記録。

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2019/06/24

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  • 冬の花火

    しばらく間が開きましたが闘病記を続けます。◆2015年12月11日(金)東京はすごい雨だ。かと思えば突然雲が切れて流れて青天に。思えば今回の入院は、今日の天気のようにドラマチックな展開だった。初日は幹細胞が採れず、カテーテルを抜去したあと血が止まらず一晩仰臥位安静に。二日目は脱血異常のため途中で採取中止。そして、三日目にして移植可能な量がポンと採れた。3クールの2回と合わせて通算5回の採取。そして高熱で採取には至らなかったが4クールでもG-CSFは大量投与されていた。まさに試行錯誤の連続。この病院でなかったら、M先生が主治医でなかったら、採取は到底不可能だっただろう。さて、幹細胞は採れたが、ま…

  • ネクサス web交流会/Zoomの利用方法

    闘病記をちょっとお休みして、お知らせ&ご案内です。 新型コロナウイルスの影響で催し物や会議は中止ばかりですね。反対にテレワークなどでweb会議が注目を集めています。リンパ腫の患者会グループ・ネクサス・ジャパンでもリアルの患者会が全国で次々と中止になり、その代わりにZoomを使ったweb交流会が予定されています。 【開催要項】 日時 : 2020年3月6日(金)10:00~11:30(開場9:30)会場 : 「ZOOM」を用いたWebミーティング会費 : 無料対象 : リンパ腫の患者または家族の皆さま(定員20名) group-nexus.jp 参加したい方は2020年3月5日(木)午前10時ま…

  • メメント・モリ

    今はもう無い築地場内市場。2015.12.10 早朝 病室にて撮影 誰からも見えないところで、わたしは深い感動の中にいた。この入院中、わたしは毎朝――止血のため仰臥位安静だった日を除いてだが――ベッドのそばの大きな窓の前で夜が明けるのをわくわくしながら待っていた。淹れたてのコーヒーと音楽を用意して。眼下に広がる鮮魚市場はまさにゴールデンタイム。活気にあふれた人々が行き交い、ターレや店の照明が明るくきらめく。その向こうに立ちはだかる都会のビル群のシルエット。さらにその向こうには刻々と色を変えるドラマチックな夜明けの空――。日が昇りきるまでのほんの30分ほど、壮大な舞台にわたしはすっかり心を奪われ…

  • 求めよ、さらば…/day6 幹細胞採取3日目

    ◆2015年12月10日(木) day6 幹細胞採取2日目(通算5回目)朝の血液検査でCD34陽性細胞が確認された。今日採れなければこのミッションも終了だ。Uさんに見送られ、看護師さんと一緒に歩いてIVRセンターへ。いつぞやの美人ドクターが待っていて、今日は首(内頸静脈)にカテーテルを入れると言う。首は初めてだったが、ドクターは自信をもって「安全ですよ」と。たしかに穿刺はスムーズで、あっという間に終わった。 返血ラインは昨日同様、血管ハンターY先生が一発で入れてくれた。そして付き添いは今日もI先生だ。今日でもう通算5回目、毎回お昼ご飯を抜いて…。仕事とはいえ、不満げな顔ひとつ見せず、淡々と付き…

  • 鬼コーチのしごき/day5 幹細胞採取2日目

    ◆2015年12月8日(火) day5 幹細胞採取2日目(通算4回目)朝。血液検査でCD34陽性細胞が確認され、採取することに。まず、寝たきり状態のままベッドに横づけされたストレッチャーに乗り移らねばならない。身体を起こさないように腕と脚を使ってなんとか横移動する。病室を出るとき、今日もUさんが「しっかりね」と言って手を握って見送ってくれた。まるで大手術に向かう患者の家族みたいだが、少々弱気になっていたわたしにはUさんの存在がすごく心強かった。IVRセンターでカテーテル(脱血用)を入れてもらう。昨日は右鼠径部、今日は左だ。今日入れるのはシングルルーメンで、昨日より細いらしい。採取室に行くと、Y…

  • 流血事件!?/day4 幹細胞採取1日目

    ◆2015年12月8日(火) day4 幹細胞採取1日目(通算3回目)予定通り朝早くにシャワーを浴び、朝食を済ませ、9:10にIVRセンターへ向かう。病室を出るときにUさんがわたしの手を取り、激励してくれた。なんだかジンと来た。IVRで鼠径部にカテーテルを入れてもらい、車椅子で採取室へ。今回入れたカテーテルは、マルチルーメンといって管の中が2つ(もしくは3つ)に分かれているもの。透析などで使われる、結構太いカテーテルで、脱血と返血を1本で行うらしい。 採取室に行くと、今回もI先生が待っていた。そしてまたしてもお昼ご飯抜きで付き添ってくれるのだった。採取中はずっとパソコンに向かって仕事をしたり携…

  • 採取開始前夜と予後因子 Ki-67

    ◆2015年12月6日(日)朝G-CSF(ノイトロジン)投与。夕方はWBC高値のため中止。◆2015年12月7日(月)朝もWBC高値のためG-CSF中止。夕方I先生がやってきて、「幹細胞が意外と出てます」とのこと。水曜から採取の予定だったが、前倒しで明日から行うことになった。ノイトロジンを投与、輸液(ラクテック)も開始となった。明日は朝いちばんにシャワーを浴び、IVRセンターで鼠径部にカテーテルを入れてから採取室に向かうことになっている。今回は脱血だけでなく返血も同じカテーテル(マルチルーメン)で行うらしい。結構太いのが入りますよー、とのことだった。ま、ここまで来たら何でもござれだ。 注)ここ…

  • 再入院と寛解宣言

    ◆2015年12月4日(金)幹細胞採取のための再入院日。今回はベッドの空きがなく、差額ベッド代が必要な窓際に陣取ることに。4人部屋では初めての窓際だが、大きな窓から見える景色は最高で、なるほどこれなら有料でも惜しくない。今回は抗がん剤治療がないので少々お気楽だ。ご機嫌で荷ほどきをしているところへ主治医のM先生が登場。先日のPET/CTの結果と合わせて1~4クールの評価が出たのだ。M先生は、これまで見たことないほどいい笑顔でこう言った。「寛解と言って良いでしょう。病気はしっかりコントロールされている状態です」 「寛解」は病気の症状が一時的あるいは継続的に軽減した状態、または見かけ上消滅した状態を…

  • かながわ血液がんフォーラム「リンパ腫体験談」動画公開

    おくればせながら…新年あけましておめでごうございます。旧年中は当ブログをご訪問くださり、ありがとうございました。本年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。さて、お知らせがあります。わたしが体験者として登壇させていただいた かながわ血液がんフォーラム「リンパ腫体験談」と「質疑応答」の動画が公開となりました。ご興味のある方はぜひご覧ください。 www.start2be.org しかし。この動画、わたしは昨年のうちに確認のために見せていただいたのですが、トークが絶望的に下手でびっくりでした(もっとうまく喋ったと思っていたのに…)まぁ参加者の皆さんの笑いがとれていたのでいいことにしよう。皆さん、あ…

  • 治療効果判定 検査いろいろ

    いつのまにやら今年も残り少なくなりました。しばらくお休みしていた闘病記を再開します。4コースのCHASERが終わって退院したところからーー。 ◆2015年11月11日(水) 退院から4日後。これまでに受けた治療効果判定のため、通院にて大腸内視鏡検査を受ける。この日はたいそう混んでいて、10時すぎに腸管洗浄剤を飲み始め、検査が開始されたのは夕方4時近くだった。 診てくれたのは治療前の検査のときとは違う医師だったが、「治療前の状態は確認していますよ」とのこと。7月、衝撃を受けた内視鏡検査。あのときと同じ暗い検査室の中で、患者本人もモニターを見ながら検査は進められていく。「治療の効果がしっかり出てい…

  • S口文庫 ◆患者学 その他編◆

    またまた長らくお待たせしました。どうしても紹介したい本が1冊どうしても見つからず、いったいどこに行ったのやら… 発掘したら後日追加することにします。やれやれ。今回はS口文庫リンパ腫以外の本を紹介します。患者学・死生学など(1-8)、眼科・顔面神経麻痺・免疫など(9-13)です。患者学に関する本を読み始めたのは、退院後です。わたし自身は幸い医療者とのコミュニケーションに苦慮する場面はまったくなかったのですが、患者学について学ばずにいられないようなできごとが身近に起きました(その話は今後闘病記に書きますが)そんな理由もあって、患者学関係の本は医療者向け・患者向けを選ばず読んでいました。これらの本は…

  • S口文庫 ◆リンパ腫編◆

    お待たせしました。S口文庫のブックリストを掲載します。今回はリンパ腫関連の医療専門本(1~9)と一般向け書籍(10~13)です。書名には内容がわかる発行元などのリンクを張っていますが、アマゾンで検索すると中古でかなり安く買えるものもあります。また、わたしが持っている本は治療時の2015~6年当時に発売されていたものが多いので、新版の発行を確認したものについてはコメントの最後に記載しています。 1. 悪性リンパ腫治療マニュアル 飛内賢正/木下朝博/塚崎邦弘(編)南江堂2015年9月1日定価7,600円 (税別)-------------------------------------入院中ずっと…

  • わたしの闘病スタイル八箇条

    お待たせしました。かながわ血液がんフォーラム「リンパ腫患者の集い」の体験談テーマ、「わたしの闘病スタイル八箇条」について説明します。最初にお断りしておきますが、人によって闘病スタイルはさまざま。これはあくまでもわたし自身の八箇条です。ひと様に押しつける「べき論」の類ではありません。軽~い気持ちでご覧ください。 わたしの闘病スタイル八箇条 自分の病気を知ること 医師との信頼関係を築くこと 自分の闘病環境を自分で作ること すべてに治療を優先すること 出来る限り病院食をしっかり食べること 自分のことはできる限り自分でやること メンタルの管理をすること 良い仲間を作ること 以下、簡単に解説します。フォ…

  • 報告/かながわ血液がんフォーラム「リンパ腫患者の集い」

    会場の横浜情報文化センター(旧横浜商工奨励館)は「横浜市認定歴史的建造物」のひとつ※フォーラムは新館オフィスビルで開催されました 昨日、かながわ血液がんフォーラム「リンパ腫患者の集い」が無事に終了しました。定員54名を超える参加者で会議室はいっぱいでした。(会議室セッションではぶっちぎりのトップ予約数だったそうです)このセッションの講演のお話をいただいたのは7月でした。話したいことは山のようにあります。最も伝えたいメッセージは何か、時間をかけて考え、準備しました。昨日の講演では、しゃべりはヘタだけど、会場のあたたかい雰囲気に押されて、準備したことはやり切れた。ちゃんと伝わった、と思います。体験…

  • 諦めない主治医

    ◆2015年11月3日(火) 4コース/day22抗生剤の点滴もデノシンだけ、あと一息だ。病室にやってきたM先生が「今週末退院です」という。そして、「退院後、検査と評価の後、もう一度入院して幹細胞採取してみますか?」わたしはびっくりしてパンダ椅子から飛び上がり、「ほんとうですか!? …やる。やる、やります!」と叫んだ。M先生は「もちろん、私の一存では決められないし、再チャレンジしても採れない可能性もあるけど」と言う。やるならば今回は G-CFS単独投与で、1週間~10日程度とのこと。他の先生方や移植科との調整をする前に、わたしにやる気があるかどうか確認に来られたらしい。わたしが大喜びしているの…

  • おば患は見た!

    ◆2015年10月29日(木) 4コース/day17熱はまだ続いているが、普通食に戻してもらったおかげで食事は食べられるようになった。血糖値はもうすっかり落ち着いていたが、主食は半分にし、おかずは完食。やはり、ちゃんと栄養をとっていると元気だ。解熱剤が効いている間は、起きて普通の生活ができる。◆2015年10月30日(金) 4コース/day18昨日夕方38.1℃出たが、それ以来熱が上がらない。いつも熱発するときはゾクゾクと寒気が来て、布団をかぶってブルブル震えていると、急に顔が熱くなって熱が上がるのがパターンなのだが、この日の夜は寒気のあと顔が熱くなりそうでならず、結局熱は上がらず。このときわ…

  • 治療の壁

    ◆2015年10月22日(木) 4コース/day10昨日白血球が1,500になったと思ったら、今日は100に急降下!強い骨髄抑制だ。すぐにアイソレーター(簡易無菌室)がベッドに取り付けられた。一瞬ホームレスのビニールテントが頭に浮かんだが、高貴な人の天蓋ベッドで脳内上書きした。頭側のパネルは大きなフィルターになっていて空気感染を予防するのだが、なかなかの轟音がする。一日中、音は夜中も途切れない。同室の患者さんたちに「うるさくてすみません」と断りを入れると、みんな一様に「まったく気にならないよ」と返してくれる。治療に必要なんだからお互い様、ということなのだが、嫌な顔ひとつする人がいないことがあり…

  • おそるべしデキサメタゾン

    ◆2015年10月13日(火) 4コース(CHASER)/day14コース一日目、今日はリツキサンの日。これから例によってデキサメタゾン(ステロイド)が4日間連続で入る。血糖値が上がるのは必然、毎食後と眠前は血糖値を測定して高ければ問答無用でインシュリンである。夕食前の血糖値測定の数値を見たらなんと580!ええー、そんな高いの!? もちろんおやつは食べてないですよ。しかし看護師さんの顔が引きつっている。「この数値だと、昏睡状態になっても不思議じゃないですよ」と怖いことを言うが、自覚症状の無さはもっと怖い。まったくなんともないのだ。コースが進むにつれて血糖値は上がりまくり。薬が抜けてくると血糖値…

  • 父の闘病記

    4コースに進む前に、ちょっと寄り道を(またかいな。しかも長いです)この闘病記を読んでくださっている方は、わたしがもともと前向きで、常に病気に対してファイティングポーズがとれるタフな人物に思えるかもしれないが、実はそうではない。わたしの闘病スタイルには模範となる存在があった。それは父だ。母は厳しく父は甘い家庭で育ったわたしは、完璧なお父さん子だった。父は中学時代に祖父が亡くなったため、苦学生で働きながら大学を出た。アルバイトを掛け持ちしながらも登山や車に熱中したり、遊ぶことも忘れなかったようだ。会社に入り、ヨット部に入部。さらにスキーや登山、後年はゴルフに夢中だった。出世は同期で一番遅かったが、…

  • がん専門病院の歯科診療

    ◆2015年10月8日(木) 3コース/day22朝、3コース評価のための造影CT検査。さて、来週からの4コースを前に、今週末は2泊3日で帰宅することになった。が、その前に少々解決しておきたいことがある。それは歯(口腔)だ。ちょっと気になる怪しいところもあるし、自家移植に進めたとしたら口腔に不安があるのはマズい。もし治療が必要となったら、4コース後~自家移植前のタイミングしかないが、どの程度時間がかかるか早めに見当をつけておきたい。M先生と翌週の打ち合わせをしていて、その話をすると「あっ、そうだね!すぐ院内の歯科に予約を入れておこう」と請け合ってくれた。本来なら予約から数日かかるという歯科の診…

  • かながわ血液がんフォーラム「リンパ腫患者の集い」について

    闘病記をちょっと中断してお知らせです。2019年11月9日(土)11:00-18:30 横浜情報文化センター 6・7階にて「かながわ血液がんフォーラム」が開催されます。 https://www.cancernet.jp/27036 当日は、血液がん各疾患について、専門の先生方によるセミナーや患者の集いが開催されます。会場は大ホールと大小会議室があり、大会議室で行われる「リンパ腫患者の集い・体験談を聞こう」のセッションで、グループ・ネクサス・ジャパンの会員として体験談をお話をさせていただくことになりました。--12:30~13:30 リンパ腫患者の集い・体験談を聞こう増田 真彦 (心愛の会)坂口…

  • 肉まんとカツカレー

    二日目の幹細胞採取が終わった夕方。同室のTさんが「ねぇ、美味しい肉まんがあるんだけど」と言う。 Tさんはリンパ腫の患者さんで、わたしより一回り以上歳上。家に家政婦さんがいるようなイイトコの奥様なのだが、まったく気取りのない最高に楽しい人だ。強い抗がん剤をドカドカ入れる日、院内コンビニでファミからを買ってきて食べたという伝説の猛者である。もちろん、悪心などまったくなしで元気そのものだった。で、話を戻して肉まん。Tさんはグルメさんで病院食が苦手。味覚障害ならぬ「病院食障害」らしい。で、ご家族が毎日銀座で美味しそうなものを調達して届けていた。しかし、量が多くて食べきれないので、食欲旺盛なわたしにおす…

  • 病気に負けるな

    わたしという人間は、良いくじも引くが悪いくじも引く。だいたいこの病院に入院して以来、ラッキーが続きすぎたのだ。MCLは治癒が難しい病気だ。であれば、治療の目標は寛解を得て少しでも長く続けること。血液がんの薬は日進月歩なので、寛解が維持できれば良い薬が出てきて、さらに生きながらえる希望が持てる。実際、このときにはすでにBTK阻害薬のイブルチニブが米FDAで承認を受けており、日本でも2014年から再発MCLで治験が開始されていた。治療成績が良いことから、承認も確実だった(注:現在イブルチニブはすでに日本でも承認済みです)わたしが持っている本にはどれもたいてい「初発~2ndの治療後、寛解状態で自家移…

  • プアなモビライザー

    ◆2015年10月1日(木)3コース/day15幹細胞採取一日目。朝、グラン投与。シャワーを浴びてからIVRセンターへ。鼠径部に脱血用カテーテルを挿入(大腿静脈穿刺)し、車椅子で採取室へ行くと、技士さんとI先生が待っていた。結局I先生は昼食抜きでずっと付き添ってくれることに。 10時に開始、予定では13:30終了。幹細胞採取は血液を取り出し、血球成分分離装置を通して身体に戻す体外循環が行われる。その際使用する血を固まりにくくするクエン酸により、しびれを感じる(低カルシウム血症、テタニー症状)ことがある。採取中は何度も唇や指先などにしびれがないか確認されたが、幸いなにも起こらず。途中、担当の看護…

  • アンドロイド先生?

    ◆2015年9月22日(火)3コース/day6前コースと同じくday6で味覚障害。10日間ほどのガマンだ。そして、本日よりG-CFS(グランシリンジM300)が投与される。今クールで自家移植のための幹細胞を採取するが、グランを大量投与されると骨髄中の造血幹細胞が末梢血(血液)へ動員される。それを「血球成分分離装置」にかけて幹細胞を採取するのだ。グラン投与は採取が完了するまで続く。じゃんじゃん動員されますように!◆2015年9月24日(木)3コース/day8副担当医のO先生がやって来て、「実は、血液腫瘍科にいるのは今度の日曜までなんですよ」という。ええー、それは残念。O先生は入院以来毎日3回も回…

  • 闘病環境改善計画

    ◆2015年9月16日(水)明日からの3コースに備えて、CVカテーテル挿入。今回もIVRセンターで問題なく入れてもらった。前回は管を固定するために縫った後が少し疼いたが、今回は慣れたのか痛みも違和感もほとんどない。今日はもうやることないし、と病室で片付けなどしていたら、主治医のM先生がやって来て、わたしの顔を見たとたん、プッと噴き出した。そして取り繕うように「いや、S口さんがあんまり楽しそうだから」と言ってハハハと笑った。どうやら入院生活楽しいなオーラが出ていたらしい。M先生はS口文庫をチェック。そして「今度いい専門書が出ますよ」と。おお、M先生のおススメとあらばゲットせねばなるまい。本のタイ…

  • パンを踏んだむすめ

    ◆2015年9月15日(火)再入院の日。荷物は前日宅配便で病院に送ったので、例によって手荷物はPCのみで家を出る。そして事件は起きた。マンションのエントランスにあるほんの三段ほどの階段を降りようと一歩踏み出したとたん、わたしは膝下からすぅっと地面に吸い込まれるように落ちていった…

  • 2コース後 検査週間

    ◆2015年9月7日(月)2コース/day21。2コースCHASERの最終日。というか、もう2コース自体は終わっているので、今週は検査週間だ。この日は造影CT。その前にまず、CVを抜去することになった。シルバーウイークがらみで今週末一時退院になるが、CVを家で管理するのはちょっと大変だ。カテーテルの先端が凝固して塞がってしまうのを防ぐためにヘパリンという薬を注入したり、シャワー時にフィルムで保護したり。というわけで、副担当医のT先生が病室で抜いてくれた。T先生はわたしと同じ九州出身。患者思いのとても優しい先生だ。「CV抜くの、なんだか名残惜しいです」と言うと、T先生が「名残惜しいの!?」とびっ…

  • はじめての患者会

    ◆2015年9月5日(土)2コース/day19。この日、リンパ腫の患者会グループ・ネクサス・ジャパンの東京お茶会がこの病院内のレストランで開催されるので、参加することにした(現在、会場はレストランではなく院内の別の施設に変更)。お茶会(交流会)は会員でなくても参加できるが、どうせこれからお世話になるのだから、と会員申し込みと会費の振込みはすでに済ませていた。患者会ははじめてなので楽しみだ。 14:00。会場で受け付けを済ませると、すでにたくさんの人が集まっていた。この日は東京、神奈川、千葉、埼玉など関東近辺を中心に65名の参加者があったようだ。にぎやかな会場は老若男女入り交じり、皆さん元気そう…

  • 無菌室撤収

    7月に入院して40日ほどを快適な個室(無菌室)で過ごしていたが、ついに明日大部屋に移動だ。治療も順調だし、血球の戻りも早く、本人はご飯モリモリ食べて元気いっぱい。他に個室が必要な患者さんがいれば、一番に出される患者なのは明らかだ。わたしもこの高級ホテル並みの環境は若干申し訳ない気がしていたので、これでいいのだ。ちょっと、いやホントはかなり名残惜しいけど。夜、これまで独り占めだった大都会のビル群の夜景を堪能して眠りについた。◆2015年9月2日(水)2コース/day16。朝食後、大部屋に移動。4人部屋だが、ひとり分のスペースはかなりゆったりしている。が、個室にいたときに荷物が増えすぎて、収納に難…

  • 脱・キューピーヘア

    ◆2015年8月27日(木)2コース(CHASER) の day10。白血球減少期。早速この夜、37.6℃の微熱。前回と同じく熱発してすぐ気が付いたので、抗菌薬(マキシピーム、トブラシン)の点滴を開始してもらう。熱さましにカロナールを飲んだら、翌日には平熱に。抗菌薬の点滴はday14まで。◆2015年8月28日(金)2コースの day11。U-18ベースボールワールドカップが大阪にて開幕。代表チームのメンバーには甲子園で活躍した中京大中京の上野(投)くん&伊藤(捕)くんも参加!また当分楽しい野球観戦の日々である。この日は対ブラジル、14-0で快勝。◆2015年8月31日(月)2コースの day…

  • 味覚障害とフレーバードティー

    2015年8月23日(日)2コース(CHASER) の day6。day4で投薬が終わり、点滴棒から解放された。そしてG-CFS注の開始。さて、この日から味覚障害が始まった。前コースでは2週間程度で症状は軽減、コースの終わりの外出時にはほとんど気にならなくなっていた。一時的(可逆的)な副作用なので、あまり気にしすぎないようにしている。 ただ。味覚障害がひどい時は大好きなコーヒーがまったく飲めない。水さえ甘くてまずいので、味や匂いの強い飲み物はNGだ。あぁ、憩いのコーヒータイムが…そんなとき、お茶好きな義妹(夫の弟嫁)が白桃烏龍(ティーバック)を送ってくれた。烏龍茶に白桃の香りがつけてあるフレー…

  • ケモブレイン?

    前回書こうと思っていたのに忘れていた件。 わたしが以前乗っていた車はマークⅡだった。と思っていたのだが、廃車の書類を見たら「チェイサー」と書いてあってビックリした(マークⅡとチェイサーは兄弟車)。死ぬまで違う名前で呼ばれるなんて、かわいそうに。美しい野生、チェイサー!(誰も知らんか…)ちなみに、チェイサーの前はローレルですがわたしはヤンキーじゃないので念のため(どちらも父のお下がり車です)そういえば、仮面ライダーにもチェイサーっているらしい。どうでもいいか。2015年8月19日(水)2コース(CHASER) の day2。レジメンによると、この日は休薬日。しかしリツキサン後の予備日で何も問題な…

  • レジメンと仲良くなろう(CHASER編)

    2015年8月18日(火)2コース(CHASER) の day1。本日はリツキサン。3回目なので、もう慣れたもの。と思っていたら、夜、軽い動悸が。リツキサンのせいか、寝不足ぎみだったせいか。翌朝にはなんともなかったが、念のため看護師さんに報告しておく。さて、2~4コース CHASERのレジメンを紹介しよう。 ※わたしは医療者ではなく、一患者に過ぎません。ここに書いたことは自分の闘病のために調べたものなので、参考程度にとどめてください。ご自身の病気について考える際は、必ず主治医ほか医療者にご相談ください。 投与日はCyclophosphamide がday3。Cytosine arabinosi…

  • レジメンと仲良くなろう(CHASER編)

    2015年8月18日(火)2コース(CHASER) の day1。本日はリツキサン。3回目なので、もう慣れたもの。と思っていたら、夜、軽い動悸が。リツキサンのせいか、寝不足ぎみだったせいか。翌朝にはなんともなかったが、念のため看護師さんに報告しておく。さて、2~4コース CHASERのレジメンを紹介しよう。 投与日はCyclophosphamide がday3。Cytosine arabinoside がday4,day5。Etoposideはday3,day4,day5。 Dexamethasoneはday1,day3,day4,day5,day15。これは合計するとかなりの量になりそう。R…

  • 記録は便利

    2コースCHASERの記憶を辿る前に、ちょっとひと息。現在、2019年7月。4年も前の闘病記を書けるのは、もちろん詳細な記録を取っていたからだ。 学生時代はノートを書くのがすごく苦手。授業のノートなどはヒドイものだった。しかし半年に渡る入院治療ともなると、しっかり記録をとっておかないと後できっと必要になるはず。そう思い、入院前にミドリのトラベラーズノートを買っておいた。中のリフィルは週間フリーバーチカル(スケジュールを縦長に記録。見開きで1週間分)。昔、この形式で出張予定を管理して慣れていたので使ってみた。これが闘病記録として良い仕事をしてくれたので紹介しよう。 汚い字で恐縮です。(だ)はだん…

  • 週末のリフレッシュ

    2015年8/13(木)。1コース(R-high-CHOP)の day17。ついに来るべきものが来た。脱毛だ。 洗髪していたら、ゴソッと抜けた。引っ張れば引っ張るほど抜けてキリがない。が、わかっていたことなので動揺はない。薬が抜ければ、またいずれ生えてくるのだから。それより気になるのは、後遺症となって残る元に戻せない症状だ。今のところはなさそうだが。とはいってもハゲ散らかした頭を人に見せるのも何なので、院内コンビニに売ってた使い捨てのヘアキャップを使うことにした。色も茶色で目立たずいい感じ。あらかた抜けるまで、これを一日1枚取り換えることにした。2015年8/14(金)。1コースの day18…

  • 1コース R-high-CHOPの評価

    2015年8/11(火)。1コース(R-high-CHOP)のday15。今日はリツキサンの日だ。2回目なので投与時間は前回よりだいぶ早い。昼食後に始めて16時には終了した。1コースはday21まであるが、薬の投与はこれでおしまい。白血球も上がったし、次コースまでゆっくりリラックスして過ごすのみ。と思っていたら、明日は早くも1コースの評価のためのCTや骨髄穿刺などの検査予定が入った。効果が認められなかったら治療変更になってしまうのでちょっとドキドキだが、先生方は回診の度に「順調ですよ」と言われるので、まぁ大丈夫だろう。 2015年8/12(水)。1コースのday15。朝の採血で白血球がドカンと…

  • 熱発対策

    花火見物が終わり、夫を見送って早めに就寝。夜中、ふと目が覚めて何の気なしに体温を測ってみると… あれ、微熱がある。体温計は37.7℃ を示していた。もう一度測りなおしたが、37.8℃ だ。入院以来37℃ を超えたことはなかったので、どうやら熱発らしい。悪寒や頭痛はなく、気分はいたって普通だが、37.5℃ を超えたらすぐ言うようにとのことだったので、躊躇せずナースコールする。体温計を見せると、わかりました、と看護師さんはすぐさま採血→血液培養(血培)を行った。血液培養検査は小さなガラスのボトルに血液を注入し、検査室で培養して血液中に微生物がいないかを調べる。微生物がいる状態を菌血症というらしい。…

  • 東京湾花火

    2015年8/8(土)。1コース(R-high-CHOP)のday12。白血球減少期のため、day8 にG-CFS注再開、以来毎日投与されている。day11に白血球が1,000/μl になったので、そろそろ感染症に要注意だ。この週のはじめ、担当の看護師K野さんが「今週の土曜日、東京湾花火があるのご存知ですか?この部屋からバッチリ見えますよ」と言う。K野さんは仕事が丁寧確実かつ速いデキるナースである。しかも美人。「エアコンの効いたお部屋で、ゆっくり花火をお楽しみください」素敵な笑顔でそう言い残して部屋を出るK野さんの背中を見送りつつ、まるでコンシェルジュつきの高級ホテルだなぁ、とウットリする。東…

  • ドクターはチェックマン

    2015年8月2日(日)。1コース(R-high-CHOP)のday6。本日よりG-CFS注(グラン)で白血球を増やす。 8/3(月)day7、白血球減少期だが、前日のグランが効いて白血球高値。したがってこの日はグラン中止。G-CFSを注射すると、その夜は高頻度で骨痛、腰痛やだるさなどが起きるらしい。しかし昨夜、骨痛やだるさはまったくなかった。この症状が出ると「痛いけど、骨髄が頑張ってるんだな、と実感する」とリンパ腫患者さんのブログなどによく書いてあるが、どうやら私の場合は症状が出ないようだ。でも白血球はしっかり上がっていたので、まぁいいか。主治医のM先生と担当医のT先生(チーフ)は一日1回、…

  • ダメージは0?

    2015年8月1日(土)。1コース(R-high-CHOP)のday5。day2 から続いていた輸液がやっと終了、10時に点滴棒から解放された。今のところ副作用が軽いのでとても楽だが、地味に辛いのが尿量測定(尿測)だ。なにせ輸液がジャンジャン入っていたのでトイレ頻回。6時間で尿量が600cc以下の場合&夕方体重を測ってday1より1.5kg増えていたら、利尿剤が注射される。その後はもう1時間おき(ヘタすると30分おき)のトイレパレード。回数にして一日20回は軽い。その度に毎回紙コップに受けて量を記録するのだ。やれやれ。しかし、逆にいえばそれくらいしか辛いことがない。吐き気 なし。口内炎 なし。…

  • ネクサス・ジャパン MCL対象 オンライン交流会開催

    闘病記をちょっと中断してお知らせです。悪性リンパ腫の患者会グループ・ネクサス・ジャパンでは、ZOOMを使ったオンライン交流会を催されています。2019年7月11日(木)つまり今週の木曜の夜、マントル細胞リンパ腫(MCL)の方とそのご家族を対象としたオンライン交流会があります。【開催要項】 日時 : 2019年7月11日(木)19:30~21:00(開場19:15)会場 : 「ZOOM」を用いたWebミーティング会費 : お一人500円(グループ・ネクサス・ジャパン会員は無料)対象 : マントル細胞リンパ腫の患者または家族の皆さま(定員20名)家からでも、病院からでも、旅先からでも。PCでもスマ…

  • 夜中のうがい

    2015年7月31日(金)。1コース(R-high-CHOP)のday4。朝起きると、吐き気やだるさはない。が、左手薬指と小指、それに舌下左側にかすかなしびれがある。朝食を食べると、軽い味覚障害も出てきたように感じた。しかしまだ気のせい、と思える程度だ。点滴はソルデムA(輸液)のみ。プレドニン20錠を朝と昼半分づつ飲む。本日の予定はこれだけだ。あとはシャワーを浴びてのんびりするだけ。ヒャッホーイ。担当の看護師さんが口内炎にならないようにと、口腔ケアについて色々教えてくれた。歯磨きは朝起きぬけが一番大事。あとは毎食後。そして、夜中トイレに行くタイミングでうがいをすると良いですよ、とのこと。うがい…

  • 荒野の三悪人

    2015年7月30日(木)。1コース(R-high-CHOP)のday3。 朝、プレドニン(経口薬)を20錠を渡される。20錠 !? ずいぶん多いなぁ。とても 小さい薬で、ミントタブレットのフリスクに似た感じだが、かなり苦みがあると看護師さんに説明を受けた。これはちょっと飲み方に工夫が必要だ。 プレドニンは副腎皮質ステロイド薬で、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用のほか、この薬自体リンパ系腫瘍細胞の細胞死を誘導する作用があるらしい。飲み薬だけど、結構大事な薬なのだ。免疫が低下するので、感染に注意が必要。血糖値が上昇するので、測定して上がりすぎていれば一時的にインスリンが必要になる。ムー…

  • レジメンと仲良くなろう(R-high-CHOP編)

    2015年7月29日(水)。1コース(R-high-CHOP)のday2(2日目)。 今日は抗がん剤はなし。お昼から輸液が開始され、これは day5 まで続く。その間は点滴棒がお供である。 午後には担当の薬剤師のTさんが挨拶に来られた。親切で相談しやすい雰囲気だ。ここでの治療は薬がメインなので、薬剤師さんの存在は大きい。 さて、ちょっと順序が逆になってしまうが、次にすすむ前にこの療法の全体像について書いておこう。 ※わたしは医療者ではなく、一患者に過ぎません。自身の闘病のために調べたものなので、あくまでも参考程度にとどめて、治療に関する内容はご自身の主治医他医療者に確認をお願いします。 わたし…

  • トップバッター その名はリツキサン

    1回の表、チーム R-Hi-CHOP の攻撃。 バッター 1番 リツキサン。バッチ来いやー! リツキサン(一般名:リツキシマブ)は 分子標的薬。B細胞性リンパ腫細胞に発現しているCD20抗原というタンパク質に結合し、結合した細胞を破壊(溶解)することでこれらの細胞の増殖を抑える薬である。 リツキサンはマウス由来成分を含んだ抗体医薬品で、皮膚のかゆみ、蕁麻疹(じんましん)、息苦しさなどのアナフィラキシー症状が出ることがあるらしい。 もうひとつ心配なのが腫瘍崩壊症候群。腫瘍が急速に死滅(崩壊)するときに起きるらしい。尿酸が増える、カリウム・カルシウム・リンなどの電解質のバランスが崩れる、血液が酸性…

  • CVカテーテル挿入

    2015年7月27日(月)。明日からいよいよ1コース目の抗がん剤治療が始まる。 本日の予定はひとつだけ。薬物を注入するために、中心静脈という心臓に近い太い静脈にCVカテーテル(略してCV)を挿入する。入れる場所は鎖骨下だ。これを入れておけば、点滴のたびに血管に針を刺さずに済む。治療中に頻繁に行う検査のための採血もカテーテルから簡単に行える。 中心静脈穿刺は動脈誤穿刺などのリスクがあるが、担当医のO先生は説明時に 「専門医がいるから心配いりませんよ」と笑顔で言っていた。 この病院にはIVRセンターがある。 O先生の言う専門医とは、CVの専門ではなく、エコーなどで体の中を透かして見ながら細い医療器…

  • 4. わたしの闘病環境 その2

    治療を成功させるためには何が必要か。自分にできることは何か。 窓の外にひろがる景色を眺め、お気に入りの音楽を聴き、心底リラックスしつつ考えた。 まず、自分の病気を知ること。「知らない、わからない、こわい」は一番の敵だ。 つぎに、治療や検査を嫌がったり不安がったりしないこと。 どんなことにもリスクはあるが、調べたり、ドクターに聞いたりして理屈がわかれば、むやみに不安がることもないだろう。 そして、もっとも大事なのは、治療に専念することだ。 長期にわたる入院生活。いろいろ考えたが、お見舞いは夫と姉夫婦のみとさせてもらうことにした。白血球が0に近くなるような強い抗がん剤を使う無菌室での治療で、感染症…

  • 3. わたしの闘病環境 その1

    金曜夕方一時帰宅となり、夫と大型量販店へ。買ったのはノートPCだ。あのすばらしい環境に唯一足りないものはPCだけ。用途は医療サイトで調べものをしたり、ニュースを見たりなので、高スペックなものはいらない。タブレットでも良いか、と思ったが、細かい調べものをするときにはやはりキーボードが欲しい。体調が悪くて横になってるときにはiPhoneがあるし。 というわけで、アジア系メーカーの格安ノートPCをポケットWi-Fiとセットでゲットした(現在院内はフリーWi-Fiになっているが、当時はまだポケットWi-Fiが必要だった)。家に帰り、メーラーの設定などは技術系の夫が頼まなくても全部やってくれた。 日曜夕…

  • 2. Kがん病院 入院

    2015年7月23日(木)。Kがん病院に入院。夫と姉が付き添ってくれた。 手続きが終わり、病棟へ。治療が始まったら無菌室(個室)とのことだったが、とりあえずこの日は4人部屋へ案内された。看護師さんに採血、担当医のO先生に全身状態のチェックをしてもらう。 驚いたのは、医療スタッフ全員が「よくお調べだそうですね」「お詳しいそうですね」と笑顔で声をかけてくることだ。主治医のM先生からの情報だろう。患者が病気について知ろうとすることに対して医療スタッフが好意的なのは、わたしにとって何よりありがたい。 4人部屋の他の患者さんは全員穏やかで話しやすい人たちだった。たまたま魚好きな人が揃っていたので、魚談義…

  • 1. 入院準備

    友人が電話の向こうで泣いている。「死んだらいかん」と言ってしゃくりあげた。 Kがん病院への入院を明後日に控えた夜だった。酔っぱらって電話してきて、最初は笑いながら話していた。しかし、しばらくすると酔いも手伝ったのか、それとも手伝ってもらったのか。あんまり泣くので、当事者のわたしが言うのもおかしな話ではあるが、友人が気の毒になった。 この友人はわたしに何かあると、いつもわたしより先に泣く。わたしがたいていのことで泣かずにいられるのは、彼女のおかげかもしれない。 半年も家を空けるとなると、いろいろと準備も必要になる。うちでは家事分担はあまりやっていなかったので、夫が困らないようにゴミだしルールを表…

  • ご無沙汰です

    最後に更新してから2年以上が経過した。 その間リンパ腫は寛解を続けているものの、いろんなことがあった。そのいろいろに対応しつつ過去を振り返って闘病記を書くのは意外と難しく、すっかり時間が経ってしまった。 もし更新をお待ちくださった方がいらしたら、申し訳ありません。 本編はここから。ここから面白くなるんですよ! …と、公言して自分にはっぱをかけるのであった。 さて、続編のはじまり、はじまり。

  • 春のベランダにて

    長かった冬もそろそろ終わり。球根からつぼみが顔を出し、ハーブが花芽をつけて春一歩前の気配が漂う。ベランダに出て剪定ばさみを手に植物の手入れをしていて、ふとこんなことを考えた。 命にかかわる病気を経験するのは「摘心(てきしん)」に似ているな、と。園芸に親しむ人ならご存知と思うが、摘心は茎の先端(成長点)を摘んで、枝分かれを促す行為だ。結果、枝数が増えてこんもりと茂った株になり、花も実も収穫が増える。しかし、摘心するのは勇気がいる。必要なことだとわかっていても、今日芽が出るか明日出るかと見守ってきた苗の先端を自ら切り取ってしまうのだから。それでも意を決してエイヤッと摘み取る。 あのまままっすぐ、自…

  • 3. 大腸内視鏡検査

    家に帰ったわたしは、日経メディカルの記事と、JCOG(ジェイコグ)(日本臨床腫瘍研究グループ) のサイトからJCOG0406の実施計画書をプリントアウトした。これには大まかなレジメン(薬剤の種類や量・期間・手順など)も載っており、自分がどんな治療を受けるのか把握することができた。この二つのプリントは入院中ずっとわたしのお守り代わりになった。 それにしても、なぜ、M先生はあんなに焦っていたのか。理由は翌日明らかになった。 7月16日(木)。大腸内視鏡検査。 前日は検査食を食べ、当日下剤でおなかを空っぽにして内視鏡検査室へ向かう。この病院には内視鏡科専属の専門医がたくさんいて、主治医のオーダーに従…

  • 2. 運命の治療法

    Kがん病院の初診から、また検査と診察の日々が始まった。 ・7/ 2(初診日)CT ・7/ 7 胃内視鏡 ・7/ 9 骨髄穿刺、心臓超音波 ・7/10 PET/CT ・7/15 再診 ・7/16 大腸内視鏡 家からKがん病院までは電車で1時間半ほどかかる。何度も通うのは骨が折れそうなものだが、この時点でなんの自覚症状もなく、体調良好なわたしは通院を楽しんでいた。 というのも、病院の近くに市場があり、検査の後は散策・買い物ができるのだ。市場の近くには、これまた以前から行きたかった鶏肉専門店「宮川食鳥鶏卵」があった。博多出身で、肉といえば「かしわ」で育ったわたしは、保冷袋に保冷剤を詰めて病院へ行き、…

  • 1. Kがん病院 初診

    2015年7月2日(木)。Kがん病院、初診。 紹介状や病理標本などの資料一式を受付で提出し、外来の診察室へ向かう。大きな病院のわりに、あまり待たされない。受付のシステムがよくできているように感じた。セカンド・オピニオンも含めると相当な患者数だからこそ、システムも練られているのかもしれない。 名前を呼ばれ、診察室に入る。 診察デスクの前に担当のM医師が座っていた。その奥にボブヘアの看護師さんがひとり控えていた。 M先生の第一印象は "あったま良さそう!" であった。キリッと上がった眉、まだ若そうだが絵に描いたようなエリート、に見えた。 軽い問診のあと、横になり触診。頸、腋、鼠径部など。 あれ、ま…

  • 2. 難敵

    やっと敵の正体が見えた。それは予想していたよりずっと難敵であることがわかった。家に帰るなり、すぐに手持ちの本やネットでマントル細胞リンパ腫について調べた。 日本では悪性リンパ腫の約 3% を占め、高年層の男性 (男女比2:1) に多い → 3% のうち、男女比 2:1 なら女性は 1% ってこと? 患者の5年生存率は30%未満、予後不良の病型 標準治療が確立していない 骨髄、消化管(食道‐胃‐小腸‐大腸)に浸潤する頻度が高く、診断時に80%以上は進行した病期(Ⅲ、Ⅳ期)である →わたしも骨髄に浸潤しているのでⅣ期。 脾腫が4割弱に認められ、腹部膨満感が主症状になることもある →まさにわたしがこ…

  • 1. 不意打ち

    入院中、N医師に確定診断が出るまで退院後1か月以上かかる、と言われていた。もともと生検に時間がかかる上、この病院に月1で来院する病理の権威の先生にも診てもらうため、とのことだった。 時間はかかっても、ていねいに診てもらえるのは何よりだ。脾臓摘出前の診察で、N先生には「生検しないと正確にはわからないが、おそらく脾辺縁帯リンパ腫ではないかと思います」と言われていた。病気の進行が遅いので、脾臓を取ったあとは経過観察になるだろう、病気が進行したときに抗がん剤治療をしましょう、とも。わたしとしても脾臓がかなりゆっくりペースで大きくなったという実感があり、脾臓の腫れ以外に自覚症状はまったくなかった。脾辺縁…

  • 6. 退院

    週明け。月曜のイケメン回診で、K先生は「うーん、まだ炎症の値が高いね。退院の判断は当日(明日)の朝だね。抗生剤も明日の朝まで入れましょう」という。でも、後ろの方にいる他の先生たちが「なんか元気になってるよね」とヒソヒソ話しているのが聞こえた。ほんの数日前「感染症じゃないんですか」と大騒ぎしたからなぁ。お恥ずかしい。この様子なら、たぶん予定通り明日退院だろう。 19日(火)朝。病室をすべて片づけ、荷造りを済ませて回診を待つ。イケメン集団がやってきて、うしろの方の先生たちが「あっ、もう片付けてる」とクスクス笑っている。K先生は「まだ炎症の値が高いけど、おそらくこれはリンパ腫から来ているものだろうと…

  • 5. バッハを聴く

    K先生の「退院」の一言で、身体の中からむくむくと生きる意欲のようなものが湧いてきて、カラカラに乾いた喉が水を欲するように音楽が欲しくてたまらなくなった。 それまでテレビもiPhoneも光ってるものを見るのがつらくて、最低限しか見ていなかった。音もあまり耳に入れたくなくて、テレビのニュースは音なし。音楽もまったく聴いていなかったのに。 イヤホンを装着し、iPhoneに入れていたバッハの「マタイ受難曲」プロローグの合唱と最終合唱を再生する。わたしはクリスチャンではないし、こんなときにキリストの受難をテーマにした曲を聴くのは変かもしれない。しかし、なぜか学生時代から数年に一度、わたしの中でマタイブー…

  • 4. イケメン回診

    外科病棟の朝は早く、回診はいつも7時前後である。 この病院の外科のドクターはみなとても若く、とくに主治医K先生のチームは「顔で選んだのか?」と勘繰りたくなるくらい顔面偏差値が高い。まわりのおババ患者はみな「イケメン集団」と喜んで回診を心待ちにしていたが、わたしは正直どうでもよかった。それより、そんな若くて腕のほうはダイジョウブか、と青息吐息で案じていた。 手術から5日目、土曜朝の回診。カーテンを開けて先生方がゾロゾロと入ってきた。K先生は手早くウインスローうしを抜去。うしよ、ありがとう。さようなら! と別れを惜しむ間もなく、 「抗生剤点滴は週明けまで。退院は火曜日かなぁ。まだ炎症の値が高いので…

  • 3. ウインスローうし

    翌日も熱は下がらず。なんとか尿のカテーテルはとれてトイレには行けるようになったが、呼吸の苦しさも痛さもまったく良くなる気配がない。うつらうつら眠って目が覚めると相変わらず「うーん、うーん」とうなっている。ICUに移ります、と言われるのを今か今かと待っているのに、そんな様子は一向にない。 同室の患者さんにおしゃべりなおばちゃんがいて、お見舞いの人と話をしていた。カーテンごしに聞くともなしに耳に入ってきたのは 「歌舞伎役者のナントカさんは手術はうまくいったんだけど、熱が下がらなくてね、感染症で亡くなったんだよ」 というおばちゃんの声だった。これがわたしの耳元でささやいているかのようにハッキリ聞こえ…

  • 2. 院長回診

    朝がやってきた。長く苦しい夜がやっと明けた。 しかし痛みは相変わらずで熱もある。リカバリー室にいるのは手術当夜だけで、翌日は元いた病室に戻されると聞いていたが、こんな状態で大丈夫なのだろうか。死ぬんじゃないのか。病室よりICUに連れていってくれまいか。 などと青息吐息で考えていたら、看護師さんがやってきて「これから院長の回診ですから」という。月に1回だか2回だか、めったにないことらしく、看護師さんはセカセカと緊張ぎみだ。しかし、こちとら院長だろうが王様だろうが大臣だろうが、誰が来ても苦しいことに変わりはない。どうでもいいよ。それどころじゃないんだよ。 しばらくすると、部屋にたくさんの人の気配が…

  • 1. 入院・手術

    2015年5月8日(金)。夫の付き添いでK病院外科に入院。 脾臓っ子(夫命名)の摘出手術は翌週月曜だ。すぐに入院・手術のオリエンテーションを受け、執刀医のK医師と面談する。 K医師はハーフっぽい優しい顔立ちのイケメンで、見るからに若い。診察してくれたベテランのM医師が切ってくれるんじゃなかったのか… と軽く落胆する。命を預けるなら見た目より実績である。 が、話しをはじめた若いK医師はまったく物おじしない堂々とした態度で、テキパキとわかりやすく説明してくれた。どうもそれなりの経験を積んでいるようだ。これなら大丈夫だろう。心の中でGOサインを出す。夫も良い感触を得たようだった。 説明中、K医師は「…

  • 6. 外科受診と検査の日々

    2015年3月18日(水)。 血液内科の初診から数日後、同病院の外科を受診した。診てくれたのはベテランのM 医師。外科部長・消化器病センター長らしい。声とリアクションが大きく、いかにも外科医という感じ。 第一声、「手術するとなると、連休明け、5月10日の週になりますね」5月…。あと1か月半もある。それまでに脾臓が破裂しないだろうか。しかし、この病院の外科はとても混んでいるのだそうだ。仕方ない。 M 医師としても、これほど大きくなった脾臓は取るしかない、という見解だった。病理組織診断もないとなれば、摘出した脾臓で生検するしかない。術式は開腹。脾臓が大きいからね、と M医師。とにかく、これからでき…

  • 5. 転院 はじめての血液内科

    翌週。U病院の紹介状を手に、K病院の血液内科に向かった。初診を担当してくれたN医師は、年のころは私と同じくらい、白髪交じりの穏やかな印象の医師である。N先生は、この病院でのわたしの主治医となった。初診のこの日、たっぷり時間をとって問診、診察をしてくれた。「血液のデータからいって、悪性リンパ腫は間違いないでしょう」とN先生。「リンパ腫の場合、型によって治療法が違うので、生検で型を調べなければならないんですが、あなたの場合、首や脇などのリンパ節が腫れてない。腹腔内のリンパ節は少し腫れているけれど、反応性かもしれないし、お腹の深いところにあるので開腹しないと取れない。やはり脾臓を摘出して生検するしか…

  • 4. 内科受診

    悪性リンパ腫の疑い、と告げられた翌週。同じU病院にて造影CT、エコー検査を経て、内科を受診した。名前を呼ばれて診察室に入ると、F医師はわたしを見るなり「あらっ、お元気そうですね!」と意外そうな表情で迎えてくれた。脾臓の痛みが治まり、自覚症状はまったくない状態だったからだ。 F先生は物腰の穏やかな、タレントの田中律子似のなかなか素敵な女医さんである。問診、触診のあと、「脾臓がものすごく大きくなってますね。これはね、重いですよ」重い、と言われてそんなに重篤な状態なのかと一瞬怯んだが、続けて「5~6kgはあるんじゃないかな」と。重量のこととわかって、ちとコケる。「一番大きいところで26cmくらい。ラ…

  • 3. おれは白鳥(夫のこと)

    話は逸れるが、夫とわたしは趣味の釣りが縁で知り合い、17年前に結婚した。 子供には恵まれなかったが、趣味が同じなのでケンカのネタもなく仲良くやってきたといえるだろう。 夫はなかなか豪快な人で、海上を走る遊漁船のミヨシ(前方)に仁王立ちして、船頭さんがたまたま見つけたメカジキに銛を撃って命中させたことがある。 週末、休日はほぼ海の上にいるので色黒。というか赤銅色。とても普通の会社員には見えない風貌だ。結婚してもきっとやりたい放題で家庭を顧みず、奥さんはさぞ苦労するだろうなぁ。と、結婚前は他人事のように考えていた。しかし、実際結婚してみたら夫は家庭人としては結構まともだった。真面目に働くし、浪費は…

  • 2. 最初の告知

    2015年3月はじめ。左上腹部の痛みが強くなり、日によっては仕事どころか歩くのもつらくなってきた。 見かねた上司の強い勧めで、仕事を早退して大腸ポリープを取ったU 病院へ。診てくれたのはポリープを切除した医師ではなく、若いがしっかりした感じのA医師だ。軽い問診のあと、ベッドで触診すると、「あれっ」と顔色を変えた。「すぐCT取りましょう。あと血液検査も」検査後、CT画像と血液検査の数値を見ながらA医師はこう言った。「脾臓がすごく大きく腫れています。身体の中のリンパ節もポコポコ腫れていて、血液は血小板が少ない」すこし間をおいて、とても言いにくそうに、こう続けた。「これは…リンパ腫の疑いがあります」…

  • 1. ことのはじまり

    2014年夏。職場の健康診断で便潜血陽性を指摘される。9月末の内視鏡検査を経て、11月に一泊入院にて大腸ポリープ1個を切除。 せっかくだから、と胃にも内視鏡を入れたが、軽い胃炎とのことだった。大腸のほうは、後日の診察で医師より「ガンになる可能性のあるポリープでしたが、きれいに取りきれていますよ。よかったですね」と笑顔で言われ、一安心。 夏あたりから気になっていた左上腹部の痛みについて訊くと、「少し憩室気味ですね」とのこと。治療が必要なほどではなく、次は念のため一年後に検査をしてくださいと言われ、めでたく無罪放免となった。…はずだった。

  • プロフィール

    自己紹介。 1961年生。九州は福岡、博多の出身。現在は関東の海沿いの町に在住。 既婚、子供はなし。以下、冗長なので興味と暇のある方だけどうぞ。 子供の頃は魚やザリガニを捕りに川へ出かけるのが日課だった。先祖は博多の下級武士で、鯨で稼いでこい、と長崎五島に遣らされた。廃藩置県後そのまま五島で捕鯨の網元を営み、相当羽振りが良かったそうだが、祖父の代から博多に戻っている。 中学高校は私立の女子校。のびのびとした環境で、音楽(合唱)と美術に明け暮れる日々だった。地元の大学の芸術学部へ進学。大学を卒業してからステンドグラス工房、美術館の監視員、広告プロダクションで丁稚(バイト)、テレビ局のコンピュータ…

  • ようこそ

    R&Bに「What’s Going On」という大ヒットした名曲がある。マーヴィン・ゲイが繊細な高音で反戦を歌い上げるこの曲は、日本語にすれば「何が起きてるんだ?どうなってんの?」という意味だ。 このブログは、マントル細胞リンパ腫(MCL)という血液がんの闘病記である。病気に無縁だったわたしがこの病気だとわかったときの心境は、まさにWhat’s Going On、どうなってんの!?であった。 悪性リンパ腫には多くの病型がある。MCLは高齢者、しかも男性に多い。ジイさんの病気である。それが、なんの因果かオバさんのわたしが罹ってしまった。 2015年、Ⅳ期でMCL発覚。初発の治療で寛解して自家移植…

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どうなってんの? マントル細胞リンパ腫闘病記
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