小生の数年間にわたる緻密な観測によると、フィリピン人は概してネコを愛でる民族のようです。2024年現在フィリピンの人口は1億人をゆうに超えていますが、猫の人口はそれより多いに違いません。足の向くままにマニラの街なかを歩き回っていると、必ずと言っていいほど野良猫に出くわします。ショッピングモール周辺、カフェの入口、駅の改札機の上、人が集うところ必ず猫ありといった感じです。彼らは普段から比国人達の寵愛をうけているせいか、やたらヒトに慣れています。ちょっと歩き疲れたので道端の敷石に腰を下ろすと、近くで丸まっていた一匹がイソイソと近づいてきて、やれ腹をなでろと仰向けになるわ、やれ抱いてくれと腕に前足を乗せてくるわで、野生動物に自ずから具備されているべき警戒心が一片も感じられません。おまえ野良猫の沽券はないのかと諭したくなる体たらくぶりです。いっぽう我が家の保護猫コウタローはというと、もう5年近く飼い猫をしているくせに、小生が近づくだけで脱兎の如く逃げていきます。施設から引き取った救世主に対して、そんな態度ばかり取ってるといつかバチが当たるぞと説教していますが、所詮は猫なので聞く耳を持ちません。