わが先達の作家・高尾五郎さんが自費出版で刊行した『三百年かけて世界を転覆させる日記1』(発行所・草の葉ライブラリー、印刷製本・amazon)を読む。アメリカの代表的な詩人・ホイットマンは、詩集も売れず、困苦の中の仕事に従事しながらも、既成の概念や現実にとらわれない発想と行動とで、「アメリカの一つの精神の核」を構築した。日本にも夏目漱石がホイットマンを紹介したり、有島武郎がその詩集を翻訳したりして、白樺派の文芸運動にも影響していく。ホイットマンの「言の葉」に刻まれた魂や行動力に惚れ込んだ高尾五郎さんは、そこに表現された雄渾な世界を「草の葉ライブライー」として自前で刊行して受け継ごうとしている。しかしながら、ホイットマンの詩が読まれなくなり、ホイットマンの詩が消えていっている現実がある。スマホの発展にもかかわ...売れる本しか刊行できない出版システムを打ち砕く