わが畏友のブラボー氏からお借りしたフランス映画のDVD『女だけの都』を観る。1935年制作の白黒のコメディで、監督はジャック・フェデー、主役は監督の妻であるフランソワ・ロゼー。時代は17世紀初頭、謝肉祭目前のフランドルの小都市にスペイン軍が凱旋するということで、殺戮・略奪の恐れがあり国中が右往左往してしまう。世俗的に生きてきた男たちの臆病ぶりに敢然と立ちあがった女たちの物語である。圧巻は主役のロゼーが敵軍の将校を手玉に取る豪胆さが見ものだ。また、フランス映画の重鎮で司祭役の「ルイ・ジューヴ」は、あくが強くなりすぎる手前で、演劇くささを見事にとめてみせる絶妙さでワルを演じきった。男は凡人、女は度胸