chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
化学徒の備忘録 https://www.syero-chem.com/

化学に関することを記事にしています。大学レベルの内容が多いですが、高校や中学レベルの内容もあります。また化学であれば、無機化学、有機化学、生物化学、分析化学、物理化学、量子化学、電気化学など幅広い分野の内容の記事を書いています。

化学徒
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2019/06/05

arrow_drop_down
  • パルス法・パルス吸着法

    パルス法 パルス法は、試料に気体分子をパルス状 (断続的) に導入し、導入した気体の量と排出された気体の量の差から 、試料の金属量や活性点量を測定する方法である。 パルス法は気体分子の吸着を利用する方法と触媒反応を利用する方法がある。 パルス吸着法は、一酸化炭素 (CO) 、水素 (H2) などの分子が、金属表面に不可逆的に吸着することを利用する。吸着に使用する分子の名前から、COパルス法などのように呼ばれる場合も多い。 気体分子の導入を始めた段階のパルスでは、金属による気体分子の化学吸着によって、気体の排出量は導入量よりも小さくなる。しかし、パルス状の気体分子の導入を繰り返すと、全ての金属表…

  • ラマン分光分析法とラマン散乱現象

    ラマン分光分析法 ラマン分光分析法は分子振動に由来するラマン散乱スペクトルを測定する分析方法である。 分子振動による散乱スペクトルを測定するため、赤外吸収法と類似した測定方法である。 レーザー光を試料の局所部分に照射し、散乱ラマン線を測定することで、局所的なラマン分光を行うことができる。これをラマン顕微鏡 (ラマンマイクロプローブ) という。 ラマン散乱現象 分子に光を照射しラマン散乱が起きる場合は、照射光である電磁波と分子の振動の相互作用によって分子の双極子モーメントがうなり現象を起こす場合である。 励起光の電場をとする。また、分子の双極子モーメントをとする。光の電場中における分子の双極子モ…

  • 原子散乱因子の位相差

    原子散乱因子 原子にX線を照射すると、X線の散乱が生じる。特にX線の波長 (エネルギー) が散乱によって変化しない散乱は弾性散乱といわれる。そして、この散乱されたX線の強度は原子散乱因子に比例する。 まず原子に照射するX線の波数ベクトルをとする。波数ベクトルとはX線の進行方向を向き、大きさが波長の逆数のベクトルである。 そして弾性散乱によって、散乱するX線の波数ベクトルをとする。 弾性散乱はX線の波長は変化しないため、X線の波長をとすると、波数ベクトルの大きさは次の関係が成り立つ。 次に、 原子の中心 (原子核) Oからだけ離れた位置Rに位置する電子によってX線が散乱されるとする。 このとき、…

  • 結晶の格子と基本単位格子・基本並進ベクトル・並進対称性

    格子と基本単位格子とは 結晶を原子や分子の配列の繰り返しと考えることができる。これは具体的には、原子や分子の配列のうち1つの区間を考え、その区間の繰り返しによって結晶が構成されていると考えている。この1つの区間である単位構造が繰り返し配列されているものを格子という。 結晶中がある単位構造の繰り返しで構成されているとき、面積もしくは体積が最小となる単位構造を基本単位胞もしくは基本単位格子という。 結晶の3次元の基本単位格子を 上下左右前後に繰り返し重ねていくと、結晶全体が再現できる。この基本単位格子の大きさを表す定数が格子定数である。 基本単位格子のどこか一つの点を格子点という。 基本並進ベクト…

  • ウィグナー・ザイツセルとブリルアンゾーン

    ウィグナー・ザイツセル ウィグナー・ザイツセル (Wigner-Seitz cell) とは、格子の格子点同士を結ぶ線分を垂直に二等分する面で囲まれた領域のことである。 結晶格子のウィグナー・ザイツセルは基本単位格子である。 ブリルアンゾーン 逆格子空間におけるウィグナー・ザイツセルをブリルアンゾーン (ブリュアンゾーン、Brillouin zone) という。つまり、逆格子点同士を結ぶ線分を垂直に二等分する面で囲まれた領域がブリルアンゾーンである。特にブリルアンゾーンの中でも最小のブリルアンゾーンを第一ブリルアンゾーンという。 ブリルアンゾーンは逆格子空間の基本単位格子である。

  • 原子によるX線の散乱と原子散乱因子

    原子によるX線の散乱 原子は正の電荷をもつ原子核と、負の電荷をもつ電子から構成されている。 一方でX線は電磁波であるため、振動する電場をもつ。そのため、原子にX線を照射するとX線の振動する電場が荷電粒子を振動させる。この振動された荷電粒子が波源となって新たなX線が生じる。 そのため、原子にX線を照射するとX線が散乱されたように見える。 このとき生じるX線の[強度は荷電粒子の振動の加速度が大きいほど強くなる。そのため、質量が小さい電子はX線によって強く振動し、散乱されたX線も強くなるが、質量が大きい電子はX線を照射しても、あまり振動しないため散乱されたX線の強度も小さい。 よって、原子によるX線…

  • 胃のレントゲン写真の撮影でバリウムを飲む理由

    病院の検査ではレントゲン写真が使われる。 このレントゲン写真はX線を物質に照射し、透過したX線の透過像を撮影したものである。そのため、レントゲン写真は物質のX線の透過しやすさや吸収しやすさが反映される。そして、X線が物質に吸収された部分は白い影となってフィルムに撮影される。 一般的に電子を多くもつ原子ほどX線を吸収する。逆に電子が少ない原子はX線をあまり吸収しない。 そのため、水素H、炭素C、窒素N、酸素Oなどの原子はあまりX線を吸収せずに透過する。 一方でカルシウムCaなどは電子を多くもつためにX線を吸収する。 そのため、レントゲン写真を撮影すると、水素H、炭素C、窒素N、酸素Oで構成されて…

  • 固有X線のKα1線とKα2線 

    L殻の電子がK殻に移動する際に発生する固有X線がKα線である。 このKα線にはKα1線とKα2線がある。 まず、L殻には2s軌道のL1準位、2p1/2軌道のL2準位、二重に縮退した2p3/2軌道のL3準位が存在する。 このうち、L1準位からK準位への電子の遷移は禁制遷移である。 そして、2p1/2軌道のL2準位からK準位への電子の遷移の際に放出されるKα線がKα2線、2p3/2軌道のL3準位からK準位への電子の遷移の際に放出されるKα線がKα1線となる。 また、終状態の全角運動量を考えると、Kα1線が放出される過程は、Kα2線が放出される過程はである。 この終状態の多重度の比はKα1:Kα2 …

  • 特性X線とモーズリーの法則

    特性X線 (固有X線) 気体や金属に高エネルギーの電子などの粒子を当てると、物質の構成原子のエネルギー準位の低い内殻電子が原子外にはねとばされる。その結果、内殻電子が存在した軌道に空きが生じる。その内殻の空きへエネルギー準位の高い外殻の電子が入ってくるとき、エネルギーの差分のX線が放出される。このX線が特性X線である。固有X線、示性X線ともいう。 特性X線は各元素固有の線スペクトルを示す。これは、エネルギー準位の差が、各元素によって異なるためである。 K殻の電子が抜け、そのK殻へ電子が入ってくることに起因する固有X線はK系列といわれる。同様にL殻へ電子が入る固有X線はL系列、M殻へ電子が入る固…

  • X線回折法(XRD法)

    X線回折法 (XRD法) X線回折法 (X-ray diffraction法、XRD法) とは結晶や粉末にX線を照射し、そこで起きるX線の回折像やパターンを解析することで、結晶の原子の配列や分子の構造を調べる方法である。 結晶や分子にX線を照射すると、X線は結晶を構成する原子内の電子によって弾性散乱される。この散乱されたX線の強度は、X線の干渉によってブラッグの条件を満たす場合に、強度が強くなる。 ブラッグの条件とは、結晶にX線が入射したときに、格子面間隔を、X線の波長を、X線が結晶に入射する角度である視射角を、整数をとすると、次の式で示されるブラッグの条件を満たしたときのみブラッグ反射が起こ…

  • 連続X線・白色X線と単色化の原理とシリコン結晶の関係

    連続X線・白色X線 電磁波のうち、波長が0.01 nm~数十nmの電磁波をX線という。 X線の中でも、制動放射やシンクロトロン放射によって発生する連続スペクトルを示し、光のような広帯域のX線を連続X線もしくは白色X線という。そして、この白色X線から特定の波長やエネルギーのX線成分を抜き出すことを分光や、単色化という。放射光を利用した実験では、放射光の中の特定の波長のX線を利用していることが大半である。 白色X線の単色化 放射光の単色化は主にシリコン (Si) 結晶によるブラッグ反射を利用して行われる。 結晶にX線が入射したときに、格子面間隔を、X線の波長を、X線が結晶に入射する角度である視射角…

  • X線回折・ブラッグ反射とブラッグの条件

    X線回折・ブラッグ反射 X線が原子に当たるとX線は散乱される。そのため、多くの原子の集団にX線を入射すると、それぞれの原子によるX線の散乱が起きる。 このとき、散乱されたX線は、X線の波としての性質により干渉が起こり、X線の強度の強め合いや打ち消し合いが起こる。そのため、散乱されたX線の強度は干渉によって、各原子の散乱強度の単純な足し合わせにはならない。 特に結晶のように原子がX線の波長程度の間隔で周期的に配置されているものにX線が入射されたとき、X線の干渉の影響が顕著に現れ、これをブラッグ反射やX線が結晶の影に回り込むことからX線回折という。そしてX線回折やブラッグ反射が起きる条件をブラッグ…

  • 動的共有結合化学を用いた正四面体の分子かごについての論文解説動画の紹介

    www.youtube.com 今回は、Chemistry Wednesday (けむすい) さんによる論文解説動画を紹介します。 この動画は、動的共有結合化学 (Dynamic covalent chemistry, DCC) に関する論文*1を紹介している動画です。 動的共有結合化学 (DCC) とは、結合が非常に強いといわれる共有結合を可逆的に解離させたり結合させたりすることを活用する化学です。 この論文では、有機分子によって形成された正四面体のかごの頂点の部分の結合を解離させたり結合させたりしています。 動画では論文についてイントロダクションから、どうやって正四面体かご状の分子を合成し…

  • 香水の香りの物質についての解説動画の紹介

    www.youtube.com 今回はもろぴーさんの動画の紹介です。 この動画の内容は、一言でいうと”香水に含まれている成分について”の解説です。 香りは、香りの素となる香りの分子と鼻の粘膜にある嗅細胞の相互作用によって感じるといわれています。動画では、この香りの分子についての解説が行われています。 この動画で改めて、わたしが勉強したことの一つは次の内容です。 ”合成香料”は”悪”ではない! 合成されたものは体に悪そうという印象は抱きがちですが、たしかに分子として考えると合成した分子でも天然の分子でも同じ分子ならどちらが悪いということはないですよね。 もう一つ動画を観て気に入った言葉は次の言葉…

  • 錯体の配位数

    錯体の配位数 錯体にて、中心金属原子に配位する原子または原子団の数を配位数という。 中心金属を取り囲み、中心金属と配位結合している原子や原子団を配位子という。その配位子の数は配位数となる。 金属イオンの種類によるが、配位数は2、4、6などである場合が多い。しかし配位数は2~12などのものもある。一定の原子価状態では一定の配位数をもつが、2種類以上の配位数をもつものも多くある。 配位数が2の場合は直線形型、配位数が4の場合は正方形型や正四面体型、配位数が6の場合は正八面体型をとる錯イオンが多い。

  • 結晶の配位数と充填率

    最近接原子と配位数 結晶を考える。このとき結晶中の、ある原子の中心から別の原子の中心までの距離を最近接原子間距離という。 例えば、単純立方構造では最近接原子間距離は格子定数となる。 また、結晶では、ある原子を中心として最近接原子間距離に位置する原子の数を配位数という。 イオン結晶では、一方のイオンが反対電荷のイオンに接触して取り囲まれている。このとき配位数は陽イオンと陰イオンの半径比で決定される。 例えば、塩化ナトリウム結晶では、ナトリウムイオンを中心とすると、その周囲に6個の塩化物イオンがある。そのため結晶学的には、塩化ナトリウム (NaCl) 中のNaの配位数は6、Clの配位数は6である。…

  • 塩化ナトリウムのマーデルング定数の近似値の計算

    塩化ナトリウムのマーデルング定数の近似値の計算方法 塩化ナトリウムのマーデルング定数を近似的に求める。 ここでは第三近接イオンまでのマーデルング定数への寄与について考える。 まず、塩化ナトリウムの構造のCl-イオンを原点とする。また、最近接イオンとの距離をとする。 このとき原点のCl-イオンの最近接イオンは()、()、()に位置する6個のNa+イオンである。 Na+イオンの電荷はであるため、最近接イオンであるNa+イオンによるマーデルング定数への寄与は次のようになる。 次に、原点のCl-イオンの第二近接イオンは()、()、()、()、()、()に位置する12個のCl-イオンである。このCl-イ…

  • 回折格子の格子定数

    回折格子の格子定数とは、隣り合う二つのスリットの中心から中心までの距離である。 一方で、結晶格子の単位格子の大きさを表す定数のことも格子定数という。

  • 結晶格子の格子定数:大きさを定める定数

    格子定数とは 格子定数 (lattice constant, lattice parameter) とは、結晶格子の単位格子の大きさを表す定数である。 格子定数は単位格子の三つの稜 (辺) a、 b、 cの長さと、三つの稜 (辺) a、 b、 cがなす三つの角α、 β、γの6つで表される。一般的にa軸とb軸がなす角をγ、b軸とc軸がなす角をα、c軸とa軸がなす角をβで表す。 また、稜 (辺) a、 b、 cの長さは単位はnm (10-9 m) もしくはÅ (オングストローム、10-10 m)、三つの角α、 β、γの単位は° (度) で表される。 格子定数 ただし、結晶系によって、格子定数のパラ…

  • 導体・半導体・絶縁体:電気伝導性による分類

    物質は電圧をかけた場合の電流の流れやすさである電気伝導性によって導体、絶縁体、半導体の3つに分類することができる。 導体 導体 (conductor) は電気をよく通す物質である。金属の電気伝導性は高く、金属は導体として知られている。また、金属のように電気を運ぶ電荷担体が電子である電子伝導体以外にも、電気を運ぶ電荷担体がイオンであるイオン伝導体や、電子とイオンの両方が電荷担体である混合伝導体がある。 www.syero-chem.com 絶縁体・不導体 絶縁体、不導体 (insulator) は電気を通さない物質である。 イオン結晶や有機化合物は絶縁体である場合が多い。 www.syero-c…

  • 電子軌道の遮蔽と有効核電荷・貫入とは

    遮蔽とは 原子は原子核とその周りの電子によって構成されている。 そして原子核と電子の間にはクーロン力が働き、電子は原子核に引き寄せられている。 まずHe原子を考える。He原子は、1s軌道に2個の電子を持っている。そして、この1s軌道の電子は原子核の+2の正の電荷によるクーロン力を感じることになる。 次にLi原子を考える。Li原子は、1s軌道に2個の電子、2s軌道に1個の電子を持っている。この1s軌道の電子が感じる原子核の+3の正の電荷によるクーロン力は、He原子の場合と同じように考えることができる。 しかし、2s軌道の電子が感じる原子核の正の電荷によるクーロン力は、内側の負の電荷をもつ1s軌道…

  • バーチャルケミストYouTuberの"ゆれあ"の自己紹介動画

    www.youtube.com バーチャルYouTuber、通称VTuberも多くなってきたのではないでしょうか。 新たな化学系のVTuberが誕生したようですので、ここで動画とともに紹介いたします。 今回、紹介している動画は、バーチャルケミストYouTuberのゆれあさんの自己紹介の動画です。 舎密 (せいみ) ゆれあさんは物理化学専攻の大学院生ということで、今後、物理化学に関する様々な動画をアップロードしてくれることを楽しみにしています。 わたしは大学の物理化学といえば、エンタルピーやエントロピー、ギブズの自由エネルギーといった高校ではほとんど耳にしなかったような単語がどんどん登場したり、…

  • マーデルング定数:イオン結晶の静電ポテンシャルを表す定数

    マーデルング定数 マーデルング定数とは、イオン結晶の結晶構造によって定まる結晶格子の静電ポテンシャルを定める定数である。 結晶内のあるイオンを原点とし、クーロン力による反対符号イオンとの引力、同符号イオンとの斥力を無限遠まで順次計算すると、ある一定の値に収束することが予測されるが、その値がマーデルング定数となる。 このマーデルング定数は、イオン結晶の内部におけるイオン間の静電相互作用を計算する際に使われる。 マーデルング定数は、イオン結晶の結晶構造によって異なる。例えば、塩化ナトリウム構造では1.7476、塩化セシウム構造では1.7627、閃亜鉛鉱構造では1.6381となる。 イオン結合では、…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、化学徒さんをフォローしませんか?

ハンドル名
化学徒さん
ブログタイトル
化学徒の備忘録
フォロー
化学徒の備忘録

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用