chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • なぜ表面温度が高いの? 観測的な証拠によって潮汐ロックが証明された初のスーパーアースを加熱しているもの

    太陽以外の恒星を公転する“太陽系外惑星(系外惑星)”が初めて見つかったのは1995年のこと。これまでに発見されている系外惑星の多くが、恒星のすぐ近くの軌道を公転しているものでした。これらの系外惑星は、恒星から受ける潮汐力が大きいことから、地球の月のように公転周期と自転周期が一致し、常に同じ面を恒星に向けている“潮汐ロック”をしていると考えられています。ただ、系外惑星の潮汐ロックは、ほとんどの場合推定にとどまっている状況です。特に、地球より大きな岩石惑星“スーパーアース”では、これまで観測によって実証されたことはありませんでした。今回の研究では、スーパーアースの一つ“LHS3844b”について、NASAの赤外線天文衛星“スピッツァー”の観測データを惑星モデルに当てはめることで、潮汐ロックの証拠が見つかるかど...なぜ表面温度が高いの?観測的な証拠によって潮汐ロックが証明された初のスーパーアースを加熱しているもの

  • “ボイジャー1号”で発生していた読み取り不能なデータ送信の解決策は、破損メモリを経由せずにデータを読み出すこと

    NASAが1977年に打ち上げた惑星探査機“ボイジャー1号(Voyager1)”は、2023年11月から読み取り不能な状態のデータを送信するトラブルを抱えていました。今回、NASAが公式ブログ(2024年4月4日投稿)で公表したのは、このトラブルの原因を特定できたこと。原因は、問題が発生したコンピュータのメモリの一部が破損していことでした。問題解決には数週間から数か月かかる可能性があるものの、NASAは壊れたメモリを経由せずにデータを読み出せる方法を見つけられると、楽観的な見方をしています。図1.星間空間を航行するNASAの惑星探査機“ボイジャー”のイメージ図。(Credit:NASA/JPL-Caltech)星間空間を航行する老探査機“ボイジャー1号”が抱える問題1977年に打ち上げられたNASAの“ボ...“ボイジャー1号”で発生していた読み取り不能なデータ送信の解決策は、破損メモリを経由せずにデータを読み出すこと

  • 天の川銀河の起源解明へ! 外からやってくるガス雲の重元素量分布を世界で初めて作成

    宇宙における重元素量(※1)は、宇宙の進化を解明する上で必須の重要な値です。特に天の川銀河周辺における重元素の定量は、銀河系の起源解明におけるもっとも重要な課題の一つと言えます。今回の研究では、天の川銀河に落下するガス雲(高速度雲・中速度雲)(※2)の重元素量分布について、全天に渡る精密な地図を世界で初めて作成しています。※1.天文学では、水素とヘリウムよりも重い元素のことを“重元素”と呼ぶ。重元素は、恒星内の核融合反応や超新星爆発によってのみ合成されるので、銀河系内を循環するガスには多く含まれ、銀河系外から飛来するガスには少量しか含まれない。ただ、いずれの場合でも水素に比べればごく微量である。水素に対する重元素の割合は重元素量と呼ばれ、太陽表面で水素に対する質量比は約1%となる。※2.太陽系から観測され...天の川銀河の起源解明へ!外からやってくるガス雲の重元素量分布を世界で初めて作成

  • 大マゼラン雲に10個の低金属星を発見! 初代星の性質や初期宇宙の環境に関する見方が変わるかも

    宇宙で最初に誕生した恒星“初代星(ファーストスター)”の性質を知るには、今のところ初代星が放出した物質を取り込んだガス雲から生まれたと考えられている“低金属星”を調べる間接的な方法が頼りです。ただ、低金属星は10万個に1個程度という非常にまれな存在。なので、これまで性質が詳しく調べられたもののほとんどは、天の川銀河に属するものでした。今回の研究では、天の川銀河の衛星銀河“大マゼラン雲”に含まれる恒星を調査し、その中から低金属星を10個ピックアップして分析を行っています。その結果、大マゼラン雲の低金属星は、天の川銀河のほとんどの低金属星とは異なる元素の比率を持つことが判明しました。元素の比率の違いは、低金属星が形成された環境の違いを反映していると考えられます。なので、今回の発見は初期宇宙の様子探る重要な手掛...大マゼラン雲に10個の低金属星を発見!初代星の性質や初期宇宙の環境に関する見方が変わるかも

  • 観測史上2番目となる火星のL4トロヤ群小惑星を発見! 火星と同じ公転軌道を同じ距離を保ちながら運動する小惑星群の起源に迫る

    太陽を惑星が公転しているときに、太陽や惑星と比べて質量がずっと小さい小惑星などの天体が、太陽や惑星の重力に対して静止した状態を保てる5つの場所があります。その場所をラグランジュ点と言い、その中でもL4・L5付近を運動する小惑星のグループのことをトロヤ群と呼びます。トロヤ群は、惑星の公転軌道を移動する小惑星のグループのことで、太陽から見て惑星に対して60度前方あるいは60度後方の軌道に分布しています。ここでは、太陽と惑星の重力や小惑星のグループにかかる遠心力が均衡しているんですねーこれまでに発見された火星のトロヤ群小惑星は16個。その大半は火星に従うように公転しているように見える“L5点付近(公転する火星の後方)”に属していて、火星に先行し公転しいるように見える“L4点付近(公転する火星の前方)”に属する小...観測史上2番目となる火星のL4トロヤ群小惑星を発見!火星と同じ公転軌道を同じ距離を保ちながら運動する小惑星群の起源に迫る

  • 紀元前1万2351年に発生した史上最大の太陽嵐の痕跡を発見! 1年単位という非常に高い精度での炭素14濃度の決定が決め手

    太陽活動に伴う“太陽嵐”は、大規模なものでは現代の文明に致命的な影響を与えかねない現象です。そのような活動は過去何度も繰り返されてきたと見られていますが、過去の太陽活動を知るのは容易なことではないんですねー今回の研究では、年代測定で重要となる“炭素14”の濃度を調査。そこから、紀元前1万2351年からの1年間という非常に正確な年代の範囲内で、炭素14の発生量が顕著に増大した“三宅イベント(Miyakeevent)”があることを突き止めています。他の角度からの調査も合わせると、紀元前1万2351年の三宅イベントは知られている中で最大の太陽嵐の痕跡と見られています。今回の研究と校正によって得られた年代測定は精度が高く、これほど細かく年数を特定することができるという点も重要な成果と言えます。この研究は、エクス=...紀元前1万2351年に発生した史上最大の太陽嵐の痕跡を発見!1年単位という非常に高い精度での炭素14濃度の決定が決め手

  • うみへび座銀河団で謎の電波放射を発見! 銀河団が持つ巨大な重力エネルギーはどのように変換されているのか

    近傍銀河団の中に、これまで見つかっていなかった電波放射(※1)が見つかりました。※1.電波放射(シンクロトロン放射)は、光速に近い速度の荷電粒子(主に電子)が、磁力線の周りを円運動しながら進む時に放出される電磁波のこと。この発見は、低周波の電波観測の必要性とX線を放射する高温プラズマとの比較の重要性を明確にするとともに、銀河団の進化を解明する新たな道筋をつける成果になるようです。この研究は、名古屋大学素粒子宇宙起源研究所の中澤知洋准教授、理学研究科の大宮悠希博士、後期課程学生及び、国立天文台水沢VLBI観測所の蔵原昂平特任研究員をはじめとする研究チームが進めています。この研究成果は、Kuraharaetal.“DiscoveryofDiffuseRadioSourceinAbell1060”として、202...うみへび座銀河団で謎の電波放射を発見!銀河団が持つ巨大な重力エネルギーはどのように変換されているのか

  • 天体衝突シミュレーションで衛星エウロパ表面を覆う氷の殻の厚さに迫る! ヒントは氷殻の構造に強い影響を受ける多重リング盆地

    表面が厚い氷で覆われる木星の第2衛星エウロパでは、潮汐加熱によって内部に広大な海が存在すると考えられ、生命が存在する可能性がる天体として注目されています。今回の研究では、エウロパの表面“多重リング盆地”と呼ばれる地形に着目。国立天文台が運用する計算サーバを用いて天体衝突シミュレーションを行うことで、多重リング盆地の形成過程を調べ、エウロパの氷殻の厚さを導き出しています。計算の結果、“硬い層”と“もろい層”からなる少なくとも約20キロの厚さの氷殻があると考えると、多重リング盆地の地形をよく説明できることが明らかになりました。氷殻の厚さはエウロパでの生命居住可能性を議論する上で重要な情報となるので、今後の進展が期待されます。この研究は、アメリカ・パデュー大学の脇田茂研究員たちの研究チームが進めています。本研究...天体衝突シミュレーションで衛星エウロパ表面を覆う氷の殻の厚さに迫る!ヒントは氷殻の構造に強い影響を受ける多重リング盆地

  • 傾圧不安定波が極から赤道へと熱を運んでいることが観測から判明! これにより太陽の磁気活動の源“差動回転”が維持されている

    太陽の磁気活動の源“差動回転”の維持には、極が赤道に比べてわずかに暖かいことが必要となります。今回の研究では、観測されている慣性波の中でも、特に極域で時速70キロという大きな速度振幅を持つモードに着目。最新の数値シミュレーションを実施することで、傾圧不安定波が極から赤道へと熱を運ぶことで、極と赤道間の温度差を7度以下に抑える働きをしていることを突き止めています。どうやら、傾圧不安定波が太陽の自転分布に決定的な役割を果たしているようです。この研究は、ドイツ・マックスプランク太陽系研究所(MPS)の戸次宥丸人さんたちの研究チームが進めています。太陽の磁気活動の源“差動回転”太陽内部の自転速度は緯度によって異なり、極は約34日周期で比較的ゆっくり回転しているのに対して、赤道は約24日周期と速く回転していることが...傾圧不安定波が極から赤道へと熱を運んでいることが観測から判明!これにより太陽の磁気活動の源“差動回転”が維持されている

  • 地球型惑星が生命の存在に適した環境になる条件の一つ! 原始星周辺の氷の粒から複雑な有機化合物を発見

    私たち生命の起源を宇宙の視点から解明することは、宇宙生物学の目的の一つかもしれません。ビッグバン以降、水素やヘリウムといった元素が生成され、“恒星内部の核融合反応”や“超新星爆発などの激しい天体現象”を通じて、様々な原子や分子が誕生してきました。このように生成された原子や分子は、恒星の星風や超新星爆発によって周囲に放出され、やがて新たな世代の星に受け継がれていくので、宇宙の原子や分子は恒星の世代交代が進むとともに増えていくことになります。また、これらの過程で生じた炭素を含む有機化合物は、生命の基本的な構成要素になります。そのため、有機化合物から生命が誕生したシナリオを宇宙の歴史の中で作り上げることは、地球以外の惑星に知的な生命体が存在するのかを考える上で重要なヒントになるはずです。今回の研究では、ジェーム...地球型惑星が生命の存在に適した環境になる条件の一つ!原始星周辺の氷の粒から複雑な有機化合物を発見

  • 月の南極地域は科学的調査や有人探査計画で注目されているけど、月固有の地震“月震”のリスクは考えなくてもいい?

    地球唯一の衛星“月”は、太陽系全体を見渡しても5番目に大きな衛星で、周回している惑星との直径比・質量比は太陽系で最大になります。月と同程度の大きさの他の衛星は、地球よりずっと大きな惑星を周回していることを考えると、月は特別な存在と言えます。その月は内部が冷えることで徐々に収縮しているんですねー月の表面は固くもろい岩石でできているので、収縮によって表面には断層や崖が形成されています。今回の研究では、月の南極地域の地形から、月の表面を覆うレゴリスの斜面における崩れやすさを推定。過去に南極地域で発生したことが考えられるマグニチード5.3の月固有の地震“月震”の影響を調べています。(※1)※1.マグニチュードには複数の定義があり、後述するN9事象の規模は、リヒタースケールで約5、実体波マグニチュードで5.5以上と...月の南極地域は科学的調査や有人探査計画で注目されているけど、月固有の地震“月震”のリスクは考えなくてもいい?

  • ボーイングの新型宇宙船“スターライナー”の有人飛行試験は2024年5月6日に実施! ULAの“アトラスV”ロケットで打ち上げへ

    ボーイング社の商業用旅客機“ストラトライナー”や“ドリームライナー”に連なる名前が付けられた開発中の有人宇宙船“スターライナー(CST-100Starliner)”。NASAによると、早ければ2024年5月6日(アメリカ現地時間)に、有人飛行試験“CFT(CrewFlightTest)”による打ち上げを実施するそうです。(2024年4月2日発表)図1.2022年5月に実施された無人飛行試験“OFT-2”で国際宇宙ステーションに接近するボーイング社の新型宇宙船“スターライナー”。(Credit:NASATV)“スターライー”はスペースX社の“クルードラゴン”とともに、NASAのコマーシャルクループログラム(宇宙飛行士の商業輸送契約)のもとで開発がスタートした4人乗りの有人宇宙船です。初飛行は、2019年12...ボーイングの新型宇宙船“スターライナー”の有人飛行試験は2024年5月6日に実施!ULAの“アトラスV”ロケットで打ち上げへ

  • 太陽系の外側に広がるエッジワース・カイパーベルトはどこまで広がっている? 冥王星よりもずっと遠くでもチリは減少しないようです

    太陽系の外側には冥王星などの氷天体が無数にあり、それらが密集したエッジワース・カイパーベルトという領域を作っています。ただ、エッジワース・カイパーベルトがどこまで広がっているのかは、よく分かっていません。これまでの予測では、太陽から約75億キロを超えた距離で天体の密度が低くなり始めること。その場合、空間内にあるチリの量も少なくなるはずでした。今回の研究では、NASAの冥王星探査機“ニューホライズンズ”の観測データを分析しています。その結果、チリが減少すると予測された距離を超えても、ほとんど低下していないことを突き止めました。この結果が示しているのは、エッジワース・カイパーベルトが予想よりも遠くまで広がっている可能性があること。ひょっとすると、外側にもう一つエッジワース・カイパーベルトが存在するのかもしれま...太陽系の外側に広がるエッジワース・カイパーベルトはどこまで広がっている?冥王星よりもずっと遠くでもチリは減少しないようです

  • 爆発的に星を生み出す銀河のメカニズム解明へ! 分子の検出が星の進化の各段階の指標として使えるようです

    今回の研究では、アルマ望遠鏡を用いて銀河系外の爆発的に星を生み出している銀河“NGC253”の中心部を観測し、100以上の分子種を検出。その解析により、“NGC253”中心部には星の進化の様々な段階にある領域が混在している様子を、これまでになく詳細に描き出しています。また、得られた多数の分子種の分布図に機械学習の手法を適用。すると、これまで星の進化段階を知るための“指標”として使われてきた分子種に加え、いくつかの分子種が指標として使えることが明らかになりました。現在進行中のアルマ2計画により、広い周波数範囲の観測に要する時間は格段に短縮されるはず。このアルマ2計画の後押しを受けることで、今後より多くの指標分子の同時観測により、爆発的に星を生み出すメカニズムの理解が進むと期待されます。この研究は、国立天文台...爆発的に星を生み出す銀河のメカニズム解明へ!分子の検出が星の進化の各段階の指標として使えるようです

  • 木星の衛星エウロパの地下海に供給される酸素の量は少ない? 探査機“ジュノー”の観測データから分かったこと

    表面が3キロに及ぶ氷で覆われる木星の第2衛星エウロパ。この衛星では、潮汐加熱によって内部に広大な海が存在すると考えられています。潮汐加熱とは、別の天体の重力がもたらす潮汐力によって天体の内部が変形し、加熱される現象のこと。この変形を繰り返すことで、発生した摩擦熱により衛星内部は熱せられることになります。エウロパには、この潮汐加熱によって作られた地球の海水の2倍という大量の水をたたえた地下海が、氷の外殻の下に広がっているのではないかと考えられていて、生命が存在する可能性も指摘されています。さらに考えられるのは、地下海に表面の氷が分解して生じた酸素が供給されていること。地下海に酸素呼吸を行う生命がいれば、貴重な供給源となっている可能性もあります。でも、エウロパの酸素発生量を推定するためのデータが乏しく、推定さ...木星の衛星エウロパの地下海に供給される酸素の量は少ない?探査機“ジュノー”の観測データから分かったこと

  • 核融合反応を終えた天体“白色矮星”は冷えていくはず… 重い白色矮星の約6%でしか起こらない加熱プロセスを解明

    超新星爆発を起こさない比較的軽い恒星(質量は太陽の8倍以下)が、赤色巨星の段階を経て進化した天体が白色矮星です。赤色巨星に進化した恒星は、周囲の宇宙空間に外層からガスを放出して質量を失っていき、その後に残るコア(中心核)が白色矮星になると考えられています。標準的な恒星進化論で考えると、太陽は今から約70億年後(誕生から約120億年後)には赤色巨星になり、外層が地球を飲み込むほど膨張した後に少しずつ離れていき、最終的には白色矮星を残すと考えられています。一般的な白色矮星は直径こそ地球と同程度ですが、質量は太陽の4分の3程度もあるとされる高密度な天体。誕生当初の白色矮星の表面温度は10万℃を上回ることもありますが、内部で核融合反応は起こらず余熱で輝くのみなので、太陽のように単独の恒星から進化した白色矮星は長い...核融合反応を終えた天体“白色矮星”は冷えていくはず…重い白色矮星の約6%でしか起こらない加熱プロセスを解明

  • 増幅に頼らず極めてわずかな量のDNA分析に成功! 火星など極限環境での生命の発見を可能とする装置“MinION”

    現在の火星に生命は存在するのでしょうか?この疑問は、長年の探査を通して検証されていますが、現時点では火星の表面に生命の痕跡は発見されていません。ただ、探査機に搭載される分析機器には性能上の限界があるので、痕跡を検出できていないだけという可能性もあります。今回の研究では、わずかな量のDNAを分析する装置“MinION”を使用して、火星の土壌を模した物質でその性能を検証しています。その結果、“MinION”の精度であれば、最小で2ピコグラム(5000億分の1グラム)のDNAも検出できることが確認されました。この結果が意味しているのは、地球上で最も生命が少ない環境でもDNAを確実に検出できること。将来的な火星からのサンプルリターンミッションで求められる土壌分析の精度を満たしていると考えられます。この研究は、アバ...増幅に頼らず極めてわずかな量のDNA分析に成功!火星など極限環境での生命の発見を可能とする装置“MinION”

  • 過去の地球の公転軌道を予測することは想像以上に困難! 恒星の接近を考慮したモデルの検証で分かったこと

    地球の公転軌道は、長い時間の中で少しずつ変化することが知られています。過去に起きた極端な気候変動は、この公転軌道の変化が原因となっているのかもしれません。でも、公転軌道の変化を数学的に解析することは困難なんですねーこれまの研究でも、過去の公転軌道を正確に予測できるのは、5000万~1億年前までが限界だと考えられてきました。今回の研究では、正確な軌道予測を行うため、太陽系の近くを恒星が通過したことで、巨大惑星の軌道が乱される影響を考慮しています。その結果、5000万年より短い期間であっても、正確な軌道予測が困難なことを突き止めています。恒星が通過することは、これまでの計算ではあまり考慮されていなかったことでした。この研究により、地球の公転軌道を正確に予測できる期間は、さらに約10%ほど短くなるようです。この...過去の地球の公転軌道を予測することは想像以上に困難!恒星の接近を考慮したモデルの検証で分かったこと

  • 銀河全体の5%に満たないリング銀河を大量検出! 銀河の渦巻き構造とリング構造を検出するAIプログラムによる成果

    今回の研究では、市民天文学“GALAXYCRUISE”の分類データを活用し、深層学習アルゴリズムを用いて銀河形態の大規模分類を行っています。その結果、すばる望遠鏡が7年かけて構築した画像データベースから、40万天体に及ぶ渦巻銀河と3万天体ものリング銀河を検出することに成功しました。本研究の成果は、昨年報告されたGALAXYCRUISEの分類結果を活用した第一例。今後もこのような市民天文学と、すばる望遠鏡による競争的研究成果が続々と出てくることが期待されます。この研究は、早稲田大学、国立天文台、東京大学の研究者からなる研究チームが進めています。本研究の成果は、日本天文学会欧文研究報告書“PublicationsoftheAstronomicalSocietyofJapan;PASJ”に2024年1月29日付...銀河全体の5%に満たないリング銀河を大量検出!銀河の渦巻き構造とリング構造を検出するAIプログラムによる成果

  • 宇宙の膨張速度“ハッブル定数”を正確に算出できる! 銀河団“G165”での“Ia型超新星の観測”と“重力レンズ効果の地図活用”

    私たちの宇宙が膨張していることは観測から分かっています。でも、その膨張速度を表す“ハッブル定数”は、観測方法によってその値が異なるという大きな問題を抱えているんですねーこの問題は、“ハッブル緊張(Hubbletension)”と呼ばれ、現代宇宙論における大きな謎の一つとなっています。今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡で撮影された画像の中に、観測史上2番目に遠い“Ia型超新星”が写っていることを発見。その性質を元に、ハッブル定数を精密に測定できるのではないかとする研究結果を発表しています。研究チームでは、ハッブル定数の謎解きに繋がるという“希望”を込めて、このようなIa型超新星を“H0pe型超新星”と名付けています。この研究は、アリゾナ大学が設置したスチュワード天文台に所属するBrendaL.Fr...宇宙の膨張速度“ハッブル定数”を正確に算出できる!銀河団“G165”での“Ia型超新星の観測”と“重力レンズ効果の地図活用”

  • 恒星と思っていた天体は、約238億光年彼方にある観測史上最も明るいクエーサーだった! 明るすぎて遠くの天体と認識できず…

    クエーサーは、銀河中心にある超大質量ブラックホールに物質が落ち込む過程で生み出される莫大なエネルギーによって輝く天体です。銀河の初期形態とも考えられていて、100憶光年以上という遠方にあるにもかかわらず明るく輝いて見えます。これまでに約100万個も発見されているクエーサーですが、極めて明るいものはごく少数にとどまっています。今回の研究では、“J0529-4351”という天体がクエーサーであること。その明るさは太陽の約500兆倍、典型的なクエーサーの約200倍もあり、観測史上最も明るいクエーサーであることを突き止めています。“J0529-4351”は天体カタログの上では、99.98%の確率で天の川銀河にある恒星という誤ったラベル付けをされていました。このことから、すでに観測されているのに極端に明るいクエーサ...恒星と思っていた天体は、約238億光年彼方にある観測史上最も明るいクエーサーだった!明るすぎて遠くの天体と認識できず…

  • ブラックホールは実在する? 似た性質を持つ別天体“グラバスター”が入れ子構造になった“ネスター”を理論的に発見

    ブラックホールは現代物理学が破綻する領域なので、それを回避するための理論的な提案がいくつも出されています。その代表的な回避策の一つは“グラバスター(Gravastar)”です。今回は、アインシュタイン方程式を解くことで現れるグラバスターについて研究しています。その結果、グラバスターの中にグラバスターがある天体が存在可能なことを示しました。この入れ子構造は何重でも可能なもので、研究ではこの天体を“ネスター(Nestar)”と名付けています。ネスターが実際に存在可能かどうかは分かっていません。でも、この研究結果は重力に関する数学的な視野を広げることに繋がるはずです。この研究は、ライプツィヒ大学理論物理学研究所のDanielJampolskiさんとLucianoRezzollaさんが進めています。図1.今回の研...ブラックホールは実在する?似た性質を持つ別天体“グラバスター”が入れ子構造になった“ネスター”を理論的に発見

  • 宇宙の膨張速度を表すハッブル定数の不一致問題は依然として存在 ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡による観測から裏付けられる

    今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡を使い、計8個の“Ia型超新星”が出現した6個の銀河について、合計で1000個以上のケフェイドの光度と変光周期を高い精度で観測しています。観測の結果、ケフェイドの周期・光度関係の誤差を数百分の1に減らすことに成功。これにより、ケフェイドに別の星の光が混入しハッブル緊張が生じている可能性を否定することができていました。ただ、銀河までの距離は、過去にハッブル宇宙望遠鏡が“Ia型超新星”を観測して求めた値と、ほとんど変わらず…宇宙の膨張速度を表すハッブル定数の不一致問題が、依然として存在することが確かめられました。この研究は、アメリカ・ジョンズ・ホプキンズ大学のAdamRiessさんたちの研究チームが進めています。図1.渦巻銀河“NGC5468”。ハッブル宇宙望遠鏡の...宇宙の膨張速度を表すハッブル定数の不一致問題は依然として存在ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡による観測から裏付けられる

  • 後期宇宙と初期宇宙にS8緊張は見られないことが判明! X線天文衛星による宇宙の地図作りから分かったこと

    宇宙には無数の銀河ありますが、その大雑把な配置は初期宇宙のわずかな“デコボコ”に由来すると考えられています。でも、初期宇宙の観測結果から推定されるデコボコと、それよりも後の時代の観測結果から推定されるデコボコには大きな食い違いがあるんですねーこのことは、現代宇宙論の大きな謎の一つとなっています。デコボコに関連するパラメーターは“S8”と呼ばれているので、これは“S8緊張(S8tension)”と呼ばれています。今回の研究では、X線での宇宙の観測結果を元に、S8やその他のパラメーターを計算。観測には、X線天文衛星“Spektr-RG”に搭載されたX線宇宙望遠鏡“eROSITA”(※1)が用いられています。※1.“eROSITA”はロシア・ドイツのX線天文衛星“Spektr-RG”に搭載されたX線宇宙望遠鏡。...後期宇宙と初期宇宙にS8緊張は見られないことが判明!X線天文衛星による宇宙の地図作りから分かったこと

  • 超大質量ブラックホール周辺に分布するプラズマガスの構造を解明! 二つの半径が異なるリング状に分布し性質も異なっているようです

    宇宙に無数に存在する銀河の多くには、その中心部に太陽の100万倍以上の質量を持つ超大質量ブラックホールが存在していることが知られています。超大質量ブラックホールは、強い重力によって周囲のガスを集めることで質量を獲得し成長していきます。そのガスの分布や速度の情報は、超大質量ブラックホールの成長過程を理解する上で非常に重要なものなんですねーただ、未解明な点が多く残っていて議論が盛んな分野と言えます。今回、研究グループが発見したのは、超大質量ブラックホール周辺に分布するプラズマガスのこれまで知られていなかった構造でした。研究では、観測史上最大規模の明るさの変動を示した天体“SDSSJ125809.31+351943.0”の多波長時系列データを使用して、明るさの変動に伴う周囲のガスへの影響を調べています。その結果...超大質量ブラックホール周辺に分布するプラズマガスの構造を解明!二つの半径が異なるリング状に分布し性質も異なっているようです

  • 観測史上最も重く、最も接近した超大質量ブラックホールの連星を発見! 何度も合体することで成長してきたようです

    楕円銀河の中心に位置する超大質量ブラックホール連星の質量が、周囲の恒星の運動から求められました。この超大質量ブラックホールの連星は、これまで観測された中で最も質量の大きなもの。2つのブラックホールを合わせた質量は、太陽の280億倍にもなるようです。しかも、超大質量ブラックホール連星の間隔はわずか24光年…ブラックホール同士の間隔が直接測定された連星としては最も接近した天体でした。この超大質量ブラックホール連星は、なぜか過去30億年間にも渡ってこの間隔を保っているようです。この研究は、アメリカ・スタンフォード大学のTirthSurtiさんたちの研究グループが進めています。図1.2個の超大質量ブラックホールからなる連星(イメージ図)。超大質量ブラックホール連星の合体は長年予言されているが観測例はない。(Cre...観測史上最も重く、最も接近した超大質量ブラックホールの連星を発見!何度も合体することで成長してきたようです

  • 星のゆりかご“分子雲”に大質量星が存在すると、周囲の若い惑星系では惑星の形成において重要な影響を受けている

    今回の研究では、オリオン星雲に属する年齢百万年以下の誕生したばかりの原始惑星系円盤“d203-506”(※1)を観測しています。観測には、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡とアルマ望遠鏡を用いられました。その結果、誕生したばかりの年齢百万年以下の若い惑星系の形成に、近傍にある質量の大きな星が重要な役割を果たしていることを明らかにしています。この研究の成果は、フランス国立科学センター(CNRS)のオリヴィエ・ベルヌさんを中心に、東京大学の研究者も参加した国際共同研究チームによるもの。研究の詳細は、アメリカの科学雑誌“Science”に掲載されました。※1.原始惑星系円盤とは、誕生したばかりの恒星の周りに広がる水素を主成分とするガスやチリからなる円盤状の構造。恒星の形成や、円盤の中で誕生する惑星の研究対象とされてい...星のゆりかご“分子雲”に大質量星が存在すると、周囲の若い惑星系では惑星の形成において重要な影響を受けている

  • 超新星“SN 1987A”では中性子星が生成されていた! 重い恒星が一生の最期に起こす大爆発で残されたコンパクトな天体の正体

    1987年に観測された超新星“SN1987A”は、現代の天文学者が間近で観測できた“II型超新星”として、現在でも大きな注目を集めています。ただ、爆発から間もないことから多くの謎も抱えているんですねーその一つが、“SN1987A”によって生成された天体が中性子星なのか、それともブラックホールなのかという謎です。今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた“SN1987A”の観測データを分析。その結果、中心部の環境が中性子星以外では説明がつかない、という直接的な観測証拠を提示しています。この研究結果は、“SN1987A”や一般的な超新星爆発に対する新たな視点を提供することになるはずです。この研究は、ストックホルム大学のC.Franssonさんたちの研究チームが進めています。図1.ジェームズウェッブ...超新星“SN1987A”では中性子星が生成されていた!重い恒星が一生の最期に起こす大爆発で残されたコンパクトな天体の正体

  • 研究は研究者だけのものではない! 市民天文学者も貢献できる銀河分類のプロジェクト“GALAXY CRUISE”

    天文学者と一般市民が力を合わせ銀河の謎に迫る、国立天文台の市民天文学プロジェクト“GALAXYCRUISE(ギャラクシークルーズ)”から、初めての科学論文が出版されました。このプロジェクトでは、すばる望遠鏡の高感度・高解像度の画像と、市民天文学者による高い分類精度を組み合わせて、銀河が衝突・合体する際に銀河の中の様々な活動性が高くなることを明らかにしています。“GALAXYCRUISE”の分類結果は公開されているので、世界中の天文学者による利用で更なる発見がなされることが期待されます。本研究の成果は、日本天文学会欧文研究報告“PublicationsoftheAstronomicalSocietyofJapan;PASJ”に2023年9月26日付で掲載されました。図1.日本初の市民天文学プロジェック“GA...研究は研究者だけのものではない!市民天文学者も貢献できる銀河分類のプロジェクト“GALAXYCRUISE”

  • 衛星タイタンの場合だと、氷天体表面から地下海へ生命維持に十分な量の有機化合物を供給することは難しいようです

    太陽系には、表面を覆う分厚い氷の層の下に、広大な海が存在すると予想されている天体がいくつもあります。海というと生命の誕生や存在を期待させますよね。でも、液体の水の存在が“保証”されれば生命がいるかもしれないと考えていいのでしょうか?今回の研究では、天体表面に豊富な有機化合物を有し、地下に海があるかもしれないと考えられている土星の衛星タイタンについて、地表から地下へと輸送される有機化合物の量を推定しています。その結果、有機化合物の輸送量はグリシン換算で7500kg/年以下と、生命の維持には到底足りない量だと推定されました。今回の研究が示しているのは、有機化合物が豊富なタイタンでさえ生命の維持が困難なこと。他の天体では、より条件が悪い可能性を示唆しているようです。この研究は、ウェスタンオンタリオ大学のCath...衛星タイタンの場合だと、氷天体表面から地下海へ生命維持に十分な量の有機化合物を供給することは難しいようです

  • 太陽から遠く離れた天王星と海王星に3つの暗い衛星を発見! いずれも異なる場所で形成され現在の軌道に捕らえられた不規則衛星

    太陽系の惑星には大小様々な衛星が見つかっています。なかでも、木星や土星といった巨大な惑星は2桁以上の衛星を従えていますが、実際の総数がいくつなのかは分かっていません。今回、カーネギー研究所のスコット・S・シェパードさんたちの観測チームは、天王星の新衛星“S/2023U1”と、海王星の新衛星“S/2002N5”および“S/2021N1”の発見を公表しています。天王星は約20年ぶりに衛星が追加され、その総数は28個。海王星も約10年ぶりの衛星追加で、総数は16個になりました。さらに、海王星の新衛星“S/2021N1”は、太陽系のすべての衛星の中で、惑星から最も遠くを公転する衛星の記録を更新したそうですよ。図1.今回発見が公表された3つの新衛星。(Credit:ScottS.Sheppard,Magellant...太陽から遠く離れた天王星と海王星に3つの暗い衛星を発見!いずれも異なる場所で形成され現在の軌道に捕らえられた不規則衛星

  • ショートガンマ線バーストの駆動機構を解明! 中性子星合体により形成されたマグネター内部で強磁場が生み出されているようです

    今回の研究では、ドイツ・マックスプランク重力物理学研究所のスーパーコンピュータ“SAKURA”と理化学研究所のスーパーコンピュータ“富岳”を使用し、中性子星同士の連星による合体イベント“連星中性子星合体”に関する世界最高レベルの解像度の一般相対論シミュレーションに成功しています。その結果分かったのは、連星中性子星合体で形成される中性子星の一種“強磁場星(マグネター)”であれば、“ショートガンマ線バースト”を引き起こせる可能性があることでした。このショートガンマ線バーストは、ダイナモ機構と呼ばれる過程で駆動されるることも明らかになったようです。本研究の成果は、京都大学基礎物理学研究所の木内建太特任准教授(ドイツ・マックスプランク重力物理学研究所グループリーダー兼任)、同・柴田大所長/教授、東邦大学関口雄一郎...ショートガンマ線バーストの駆動機構を解明!中性子星合体により形成されたマグネター内部で強磁場が生み出されているようです

  • どの恒星の周りも公転していない自由浮遊惑星に連星は存在する? 候補の一つ“JuMBO 24”で観測データを得ることに成功

    どの恒星の周りも好転していない“自由浮遊惑星”は、どのように誕生するのでしょうか?これまでの理論では、惑星系内に破壊的な力学が働いた結果だと考えられてきました。でも、その場合には自由浮遊惑星は単独で存在することになるはずです。今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡による観測で2023年に発見されたばかりの連星関係にある自由浮遊惑星の候補、全42組を“カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)”で観測しています。その結果、唯一“JuMBO24”の観測に成功し、連星関係の自由浮遊惑星だという追加の証拠が得られることになります。このような連星関係にある自由浮遊惑星の誕生は、これまでの形成論ではうまく説明できないので、興味深い観測対象として注目されています。この研究は、メキシコ国立自治大学のLui...どの恒星の周りも公転していない自由浮遊惑星に連星は存在する?候補の一つ“JuMBO24”で観測データを得ることに成功

  • 鉄より重い元素の生成プロセスは“キロノバ”かも! 中性子星同士の合体で生成されたものが多いテルルやランタノイドの放射を観測

    天文学では、水素とヘリウムよりも重い元素のことは“重元素”と呼ばれています。その重元素は、恒星内部の核融合反応により生成され、恒星の死に伴い星間空間へと放出されます。なので、星の生と死のサイクルが十分に繰り返されていない初期の宇宙では、現在の宇宙に比べて重元素量が低かったと考えられています。ただ、恒星のエネルギー源となる核融合反応では、鉄(原子番号26)までしか生成されません。なので、鉄より重い元素が生成されるには、異なるプロセスが必要になります。中でも特に注目されているのは、超新星爆発や中性子星同士の合体といった超高エネルギーの天文現象です。その超高エネルギーの天文現象の一つに“キロノバ(Kilonova)”がありますが、その詳細な観測が困難なんですねー今回の研究では、観測史上2番目に明るいガンマ線バー...鉄より重い元素の生成プロセスは“キロノバ”かも!中性子星同士の合体で生成されたものが多いテルルやランタノイドの放射を観測

  • なぜ、火星の大気に含まれるメタンは1日という短時間で濃度が変化するのか?

    火星の大気には、わずかながらメタンが含まれています。メタンは自然現象だけでなく生命活動によっても放出されるので、その起源は注目されていました。ただ、火星のメタンには多くの謎があるんですねーその1つが、激しい濃度変化を示唆する測定結果です。そこで、研究チームが考えたのは、火星の大気構造の変化によって、メタンの濃度は1日以内の短時間でも変動するということ。研究では、比較的簡易なモデルではあるものの計算を実施。その結果は、これまでの測定結果を裏付けるものになりました。もし、この研究内容が正しい場合、日の出の直前にメタン濃度の激しい上昇が予測されるので、研究チームではこの時間帯に計測が行われることを期待しています。この研究は、ロスアラモス国立研究所のJohnP.Ortizさんたちの研究チームが進めています。図1....なぜ、火星の大気に含まれるメタンは1日という短時間で濃度が変化するのか?

  • 銀河とブラックホールはほぼ同時に誕生し、お互いの進化に影響を及ぼし合っている

    ほとんどの銀河の中心には、太陽の100万倍から100億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。その銀河は、その中心にある超大質量ブラックホールとともに進化をするとされています。それでは、その銀河と中心ブラックホールは、どちらが先に生まれたのでしょうか?これまでの定説は、銀河が形成された後にブラックホールが誕生したというものでした。今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡による宇宙初期の観測データとシミュレーション結果を組み合わせています。その結果、銀河とブラックホールは、ほぼ同時に誕生し、ブラックホールが銀河の星形成を加速したことが分かりました。これは、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の観測で示された初期の銀河が予想より多く存在する可能性を裏付ける成果といえます。この研究は、ソル...銀河とブラックホールはほぼ同時に誕生し、お互いの進化に影響を及ぼし合っている

  • 遠方宇宙に大量の活動的な巨大ブラックホールを発見! なぜ、宇宙誕生からわずか10~20憶年の時代に既に存在しているのか?

    今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の観測データを用いて、120~130憶年前の遠方宇宙に10個の巨大ブラックホールを発見しています。(図1)この数は、これまでの研究で予想されていた数と比べて50倍も高いもの。宇宙の誕生からわずか10~20憶年後の遠方宇宙に、すでに大量の巨大ブラックホールが存在していたことを示す重要な研究成果になります。この研究は、東京大学宇宙線研究所の播金優一助教を中心とする研究チームが進めています。本研究は、米国の天文学誌“アストロフィジカル・ジャーナル”に掲載されました。図1.研究チームが発見した、120~130憶年前の10個の巨大ブラックホールの疑似カラー画像。ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡もしくはハッブル宇宙望遠鏡で取得された3色の観測データを合成することで、画像に色を付...遠方宇宙に大量の活動的な巨大ブラックホールを発見!なぜ、宇宙誕生からわずか10~20憶年の時代に既に存在しているのか?

  • なぜ、小さな小惑星カリクローでは安定して環が存在するのか? 羊飼い衛星が1つ存在し、環との軌道共鳴状態にあることが条件

    カリクロー(Chariklo)は、環を持つことが知られている珍しい小惑星です。ただ、直径約250キロと小さいカリクローに安定した環がどのようにして存在しているのか、その理由は分かっていません。今回の研究では、シミュレーションを通じてカリクローの環が安定化する理由を探っています。その結果、カリクローに直径約3キロの衛星が1つ存在すれば、観測結果と一致する細い環が形成されることが分かりました。仮に衛星が存在するとしても、現在の観測技術では確認することは困難です。それでも、本研究の成果は、他の環を持つ小さな天体の観測に、役立つものなのかもしれません。この研究は、惑星科学研究所のAmandaA.Sickafooseさんとトリニティ大学のMarkC.Lewisさんの研究チームが進めています。図1、カリクローの環に接...なぜ、小さな小惑星カリクローでは安定して環が存在するのか?羊飼い衛星が1つ存在し、環との軌道共鳴状態にあることが条件

  • 表面を厚い水の層に覆われた惑星かも!? ハッブル宇宙望遠鏡が約97光年先の太陽系外惑星で水蒸気を検出

    モントリオール大学のPierre-AlexisRoyさんを筆頭とする研究チームは、うお座の方向約97光年先で見つかった太陽系外惑星“GJ9827d”の大気中に存在する水蒸気を検出したとする研究成果を発表しました。研究チームによると、“GJ9827d”のサイズは地球と比べて直径は約1.96倍、質量は約3.4倍。主星の“GJ9827”を約6.2日周期で公転しています。公転軌道が主星の近くになるので、表面温度は金星に近い約425℃と推定されています。主星の“GJ9827”は太陽と比べて直径と質量がどちらも約0.6倍、表面温度は約4030℃の橙色矮星(K型主系列星)で、“GJ9827d”以外に2つの系外惑星“GJ9827b”と“GJ9827c”が見つかっています。本研究の成果をまとめた論文は“TheAstroph...表面を厚い水の層に覆われた惑星かも!?ハッブル宇宙望遠鏡が約97光年先の太陽系外惑星で水蒸気を検出

  • 高速電波バーストの謎に迫るカギになる? マグネターの回転速度が上昇する双子のグリッチを発見

    今回の研究では、銀河系内の強磁場の天体(マグネター)“SGR1935+2154”をX線で高頻度に観測。2022年10月14日に発生した高速電波バースト(FastRadioBurst;FRB)の前後に、星の自転が急速に速くなるグリッチが2回起きたことを突き止めています。このことは、宇宙遠方で生じる高速電波バーストの発生機構を解明する上で、重要な一歩になる発見になります。宇宙の遠方から到来する謎の高速電波バーストは、2007年に発見が報告されて以来いくつもの事象が検出されています。でも、その放射源である天体や、その発生機構は現在まで明らかになっていませんでした。2020年に銀河系内のマグネターから高速電波バーストがX線のバーストと同時に検出されたことで、マグネターは高速電波バーストを放射する天体の正体として、...高速電波バーストの謎に迫るカギになる?マグネターの回転速度が上昇する双子のグリッチを発見

  • 保守的なハビタブルゾーンを公転する太陽系外惑星を発見! 惑星表面には大半の期間を通して液体の水が存在しているようです

    バーミンガム大学のGeorginaDransfieldさんを筆頭とする研究チームは、とびうお座の方向約137光年彼方に位置する恒星“TOI-715”を公転する太陽系外惑星を発見したとする研究成果を発表しました。この系外惑星は“TOI-715”のハビタブルゾーン内にあると見られていて、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡などによる追加観測に期待が寄せられています。この研究の成果をまとめた論文は、“MonthlyNoticesoftheRoyalAstronomicalSociety”に掲載されました。図1.保守的なハビタブルゾーンに位置すると見られる太陽系外惑星“TOI-715b”(右)のイメージ図。(Credit:NASA/JPL-Caltech)太陽よりも暗い恒星の保守的なハビタブルゾーンを公転する系外惑星今回...保守的なハビタブルゾーンを公転する太陽系外惑星を発見!惑星表面には大半の期間を通して液体の水が存在しているようです

  • ヴィルト第2彗星は複雑な起源を持っている? チリの分析で誕生直後の太陽系に関する多くの情報が得られる可能性がある

    NASAの“スターダスト計画”によって、“ヴィルト第2彗星”からチリのサンプルが採集されたのが20年ほど前のこと。実は、現在でもチリの分析が続いているんですねーセントルイス・ワシントン大学のRyanC.Oglioreさんは、数年もの歳月をかけてヴィルト第2彗星のチリのサンプルを分析しています。その結果、当初の予測よりも極めて多様な組成を持つことを明らかにしました。このことは、彗星そのものや、彗星の組成を通じて誕生直後の太陽系の様子を推定する研究に、一定の影響を与えるものかもしれません。図1.NASAの彗星探査機“スターダスト”によって撮影された“ヴィルト第2彗星”の核。(Credit:NASA&JPL-Caltech)故郷は太陽から遠く離れた冷たい場所太陽に近づくにつれ美しい尾を見せてくれる“彗星”には、...ヴィルト第2彗星は複雑な起源を持っている?チリの分析で誕生直後の太陽系に関する多くの情報が得られる可能性がある

  • 太古の温暖な火星環境では生命の材料分子が効率的に生成されていた! “大気の光化学モデル”を用いて発見

    今回の研究では、太古の火星大気に含まれる、アミノ酸などの生命材料分子の原料となる重要分子“ホルムアルデヒド”の生成量を推定しています。用いられたのは、“大気の光化学モデル”という、大気中の化学物質の反応と変化を計算するためのモデル。その結果、ホルムアルデヒド分子が太古の火星の温暖な時代に、継続的に生成されていたことが示されました。この研究成果は、東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻の小山俊吾大学院生、同・寺田直樹教授、同・理学研究科地学専攻の古川善博准教授たちの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌“ScientificReports”に掲載されました。図1.太古の温暖な火星でホルムアルデヒド(H2CO)が大気中で生成され、海の中で生命の材料分子に変換されるプロセスの概念図。(Cred...太古の温暖な火星環境では生命の材料分子が効率的に生成されていた!“大気の光化学モデル”を用いて発見

  • 遠い未来の地球でもまた起こる? 赤道さえも分厚い氷床に覆われる極端な氷期“全球凍結”

    地球はその歴史の中で、表面全体が氷河に覆われる“全球凍結(スノーボールアース)”が何度か起こったと推定されています。でも、なぜ全球凍結が起きたのか、またどのようにして“解凍”されたのかについてのメカニズムは、ほとんど分かっていません。今回の研究では、約7億年前に起こったとされる全球凍結レベルの極端な氷河期“スターディアン氷期”の発生原因を、地質記録とシミュレーションによって調査しています。その結果、分かってきたのは、火山からの二酸化炭素放出量が少なく、岩石の風化による二酸化炭素の吸収が多かったこと。これにより、大気中の二酸化炭素が現在の半分以下にまで減少したことが、スターディアン氷期が発生した原因だと推定しています。興味深いことに、この状況は遠い未来に地球で起こる状況と似ているようです。この研究は、シドニ...遠い未来の地球でもまた起こる?赤道さえも分厚い氷床に覆われる極端な氷期“全球凍結”

  • すばる望遠鏡による観測で銀河団を結ぶダークマターの“糸”を初検出

    かみのけ座銀河団から数百万光年にわたって伸びるダークマターの様子が、すばる望遠鏡によってとらえられました。宇宙の大規模構造を形作るダークマターの網の目状の分布が、これほどの規模で検出されたのは、今回が初めてのこと。宇宙の標準理論を検証する上で、このことは重要な観測成果になるはずです。この研究は、韓国・延世大学のJamesJeeさんたちの研究チームが進めています。本研究は、英国の科学誌“ネイチャー・アストロノミー”に2024年1月5日付で掲載されました。HyeongHanetal."Weak-lensingdetectionofintraclusterfilamentsintheComacluster"本研究は、国立天文台天文データセンターが運用するサイエンスアーカイブ“SMOKA”が提供するデータを利用し...すばる望遠鏡による観測で銀河団を結ぶダークマターの“糸”を初検出

  • 超新星爆発の直後に中性子星やブラックホールなどのコンパクト星が発生したことを示す直接的な観測証拠を初めて発見

    太陽より重い恒星が一生の最期に起こす“重力崩壊型超新星爆発”では、その後に高密度に潰れた中心核“中性子星”や“ブラックホール”のような“コンパクト星”が残されることが良く知られています。でも、これまで超新星爆発とコンパクト星が関連していることを示す、直接的な観測証拠はありませんでした。今回、2つの国際研究チームは“SN2022jli”という超新星爆発を観測。すると、ある独特な光度曲線(明るさの変化)をとらえることになります。この光度曲線の特徴から考えられるのは、超新星爆発によって誕生したコンパクト星が、膨張した伴星の大気を吸い込んでいること。超新星爆発とコンパクト星が関連していることを示す初の観測記録になるようです。図1.“SN2022jli”が発生した瞬間(イメージ図)。伴星は超新星爆発の影響を受けたも...超新星爆発の直後に中性子星やブラックホールなどのコンパクト星が発生したことを示す直接的な観測証拠を初めて発見

  • 宇宙に物質はどれくらい存在している? 銀河団を構成する銀河を利用して高精度に推定

    今回の研究では、銀河団(※2)の数の関係を、銀河団を構成するメンバー銀河(※3)を利用して高精度に推定。銀河団の質量と数の関係を数値シミュレーションによる予測値と比較した結果、宇宙に存在する物質とエネルギーの総量のうち物質が31%を占め、残りは暗黒エネルギー(ダークエネルギー)であることを突き止めています。この研究で開発された新手法は、最新の天体望遠鏡を用いて集まりつつある新しい観測データに対しても応用可能なので、今後宇宙の起源の理解が深まることが期待されます。※2.銀河団は数百から1万もの銀河が互いの重力の影響によって集団となったもの。※3.メンバー銀河とは、銀河団を構成する銀河で、銀河団の重力で銀河団の中を運動している。メンバー銀河の数とは銀河団ひとつの中に、どれくらいの銀河が存在するかを表し、銀河団...宇宙に物質はどれくらい存在している?銀河団を構成する銀河を利用して高精度に推定

  • 宇宙嵐の発達時には、地球起源のプラズマが内部磁気圏の主成分になっているけど、及ぼす影響は?

    地球周辺の宇宙空間はジオスペースと呼ばれています。ジオスペースには、稀薄ながらもイオンや電子などの荷電粒子(プラズマ)が存在しています。このイオンや電子は、太陽からやって来る太陽嵐と呼ばれるプラズマの状態に応じて、増えたり減ったりしているんですねーそして、大きく増えると、ジオスペースは“宇宙嵐(スペースストーム)”と呼ばれる状態になって、イオンや電子の増加に伴って激しく活動するオーロラがいろいろな場所で見えたり、高度100キロほどの電離層領域に強い電流が流れるなどします。特に強い宇宙嵐の場合には、人工衛星の機能障害、測位精度の低下、さらに地上での停電など、私たちの日常生活にも影響が及びます。このため、宇宙を安全に利用するためにも宇宙嵐を理解することは重要で、宇宙天気としても精力的に研究されています。地球起...宇宙嵐の発達時には、地球起源のプラズマが内部磁気圏の主成分になっているけど、及ぼす影響は?

  • 星間空間を航行する老探査機“ボイジャー1号”はデータ転送に未だ問題を抱えている… 地球から離れすぎて解決には時間が必要

    NASAのジェット推進研究所“JPL”が、惑星探査機“ボイジャー1号(Voyager1)”のデータ転送に関する問題に引き続き取り組んでいることをX(旧Twitter)に投稿しています。1977年に打ち上げられたNASAの“ボイジャー1号”は、10年以上も星間空間を飛行している探査機です。星間空間とは、銀河内の各々の恒星と恒星の間に広がる空間。太陽風勢力圏といった各恒星の影響が及ぶ空間は惑星間空間、各銀河の間の空間は銀河間空間と言い区別されています。“ボイジャー1号”は2012年に星間空間に到達し、“ボイジャー2号”は2018年に太陽風と星間物質がぶつかり合う境界“ヘリオポーズ”を通過し、星間空間に達しています。“ボイジャー1号”では、2022年と2023年に相次いでコンピュータ関連の問題が発生し、観測デー...星間空間を航行する老探査機“ボイジャー1号”はデータ転送に未だ問題を抱えている…地球から離れすぎて解決には時間が必要

  • 海王星の本当の色は、わずかに緑色を帯びた淡い青色だった! 撮影画像の情報を強調するため深い青色に変更されていた

    よく見る惑星の外観で、“天王星は空のような薄い青色”で“海王星は海のような深い青色”というイメージありますよね。でも、公開されている天体の画像には、様々な事情で補正がかけられていることがあります。なので、実際に人間の目で見たイメージを、正確に反映しているとは限らないんですねー今回の研究では、独自開発した惑星の色モデルに、ハッブル宇宙望遠鏡と超大型望遠鏡“VLT”の観測データを適用。これにより、天王星と海王星を肉眼で見た際の正確な“真の色”を確定しています。その結果、天王星と海王星の“真の色”は、緑色を帯びた淡い青色で、海王星の方がわずかに青色が強いことを除けば、ほとんど区別できないほどそっくりなことが分かりました。この研究は、長年持っていた天王星と海王星のイメージを変えるだけでなく、天王星の極地と赤道の環...海王星の本当の色は、わずかに緑色を帯びた淡い青色だった!撮影画像の情報を強調するため深い青色に変更されていた

  • 129憶光年彼方のクエーサーから強烈に噴き出す分子ガスを発見! 分子ガスのアウトフローが銀河の星形成を抑制していた

    今回の研究では、アルマ望遠鏡(※1)を用いた観測により、129憶光年彼方の銀河(※2)で明るく輝くクエーサー“J2054-0005”からの強力な分子ガスのアウトフローをとらえることに成功。そのアウトフローが、初期宇宙の銀河の成長に大きな影響を与えていた強い証拠を、世界で初めて発見しています。※1.日本を含む22の国と地域が協力して、南米チリのアタカマ砂漠(標高5000メートル)に建設されたのが、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(AtacamaLargeMillimeter/submillimeterArray=ALMA:アルマ望遠鏡)。人間の目には見えない波長数ミリメートルの“ミリ波”やそれより波長の短い“サブミリ波”の電波を観測する。高精度パラボラアンテナを合計66台設置し、それら全体をひとつの電波望...129憶光年彼方のクエーサーから強烈に噴き出す分子ガスを発見!分子ガスのアウトフローが銀河の星形成を抑制していた

  • Surface Pro Xを30か月使ったレビュー そろそろSnapdragon X Eliteが来そうなので…

    SurfaceRTのほろ苦い経験から、いろいろと買わない理由をつけて様子見してたけどやっぱり気になるWindowsonarm…我慢できずに購入したのは2年ほど前のことそろそろ、SnapdragonXEliteを搭載した新しいSurfaceが出そうなので今のSurfaceProXの使用感を簡単にレビューこんな感じで使っている軽いので、いつもカバンに入れて持ち歩くPCとして使用用途はこんな感じ文字入力(60%)、Web検索・翻訳(20%)、RAWデータの現像(10%)、その他(10%)Webで情報を集めて、考えをまとめてからの文字入力がメインあと、コンデジで撮ったRAWデータの現像13インチのタブレットは一覧性が良く読みやすいので、書籍や雑誌、マンガを読むことが多くなった雑誌は縦向き(単ページ表示)書籍やマン...SurfaceProXを30か月使ったレビューそろそろSnapdragonXEliteが来そうなので…

  • 現代宇宙論では説明がつかない直径約13億光年もある巨大構造物を発見! 現在の単純な宇宙論や宇宙原理は成立していない?

    私たちの宇宙について、広い目線で見れば天体や物質の分布が均質であるという“宇宙原理”が広く信じられています。でも、近年の観測では、宇宙原理に反すると思われる巨大構造物(宇宙の大規模構造)がいくつも見つかっているんですねーセントラル・ランカシャー大学のAlexiaLopezさんは、地球から約92億光年彼方の位置に、直径が約13億光年にも達する巨大構造物“ビッグ・リング(BigRing)”を発見したと、アメリカ天文学(AAS)の第243回会合の記者会見で発表しました。Lopezさんは2021年にも同様の巨大構造物“ジャイアント・アーク(GiantArc)”を発見していますが、両者は非常に近い位置と距離にあります。このことは宇宙原理に疑問を呈する発見になるようです。図1.今回発見された“ビッグ・リング”(青色)...現代宇宙論では説明がつかない直径約13億光年もある巨大構造物を発見!現在の単純な宇宙論や宇宙原理は成立していない?

  • H3ロケットの試験機2号機が打ち上げ成功! 1号機の失敗から1年以内という比較的早期の打ち上げを実現

    JAXAと三菱重工業は、2024年2月17日午前9時22分に国産基幹ロケットH3試験機2号機の打ち上げを実施しました。H3の第2段機体は所定の軌道へ投入され、搭載されていた2機の小型副衛星“CE-SAT-IE”と“TIRSAT”も地球低軌道への投入に成功。さらに、H3試験機1号機の打ち上げで失われた先進光学衛星“だいち3号(ALOS-3)”の質量を模したダミー衛星“VEP-4”の分離も確認されています。っということで、打ち上げは無事成功しました!宇宙開発における日本の存在感の維持H3ロケットは、これまで日本の主力ロケットだった“H-II”の後継機として、JAXAと三菱重工業が開発した新型ロケットです。毎年6機程度を安定して打ち上げることで、日本における宇宙輸送の基盤とするほか、民間商業衛星の打ち上げ受注を...H3ロケットの試験機2号機が打ち上げ成功!1号機の失敗から1年以内という比較的早期の打ち上げを実現

  • 約200億光年彼方の銀河“9io9”の磁場の観測に成功! 史上最も遠い固有地場の観測記録

    宇宙に存在するほとんどの天体には固有の磁場があります。磁場は個々の銀河にも存在していて、銀河の進化において基礎的な役割を果たしていると考えられています。でも、遠く離れた(古い時代の)天体の磁場を観測することは難しく、銀河における磁場の役割には多くの謎が残されていました。また、銀河の磁場が発生する理由もよく分かっていません。今回の研究では、アルマ望遠鏡(※1)による観測を通じて、地球から約200億光年彼方に位置する銀河“9io9”の固有地場を測定することに成功しています。これは史上最も遠い固有地場の観測記録になるそうです。※1.日本を含む22の国と地域が協力して、南米チリのアタカマ砂漠(標高5000メートル)に建設されたのが、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(AtacamaLargeMillimeter/...約200億光年彼方の銀河“9io9”の磁場の観測に成功!史上最も遠い固有地場の観測記録

  • 火星の赤道付近には大量の水の氷を含む厚い堆積層が存在している!? その量は火星表面を1.5~2.7メートルの深さで覆うのに十分

    今回の研究では、火星の“メデューサエ溝状層(MFF;MedusaeFossaeFormation)”と呼ばれる地域に、水の氷を含む厚い堆積層が存在する証拠を発表しています。堆積層の厚さは最大で3.7キロもあり、火星全体を厚さ1.5~2.7メートルで覆えるほど大量の水が氷として存在する可能性があるようです。この研究は、スミソニアン協会のThomasWattersさんを筆頭とする研究チームが進めています。研究の成果をまとめた論文は、“GeophysicalResearchLetters”に掲載されました。図1.火星のメデューサエ溝上層(MFF;MedusaeFossaeFormation)の位置を示した図。メデューサエ溝上層はオリンポス山(OiympusMons)の南西、赤道(Equator)のすぐ南に位置し...火星の赤道付近には大量の水の氷を含む厚い堆積層が存在している!?その量は火星表面を1.5~2.7メートルの深さで覆うのに十分

  • 世界初! 銀河形状の解析から初期宇宙を検証

    今回の研究では、現在世界最大規模の銀河サーベイ“スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)”から得られた約100万個の銀河の空間分布(分光データ)及び、個々の銀河形状(撮像データ)を同時に解析。これにより、宇宙全体の構造形成の種となった“原始ゆらぎ”に関する重要な統計的性質を制限することに成功しています。銀河形状の観測データを用いて初期宇宙の性質を探る研究は、この研究が世界で初めてのもの。今後の次世代銀河サーベイで得られる高品質なデータを活用した、さらなる精密な探査が期待されています。この研究は、マックス・プランク天体物理学研究所の栗田智貴博士研究員(2023年9月まで東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(KavliIPMU)大学院生及び特任研究員)とKavliIPMUの高田昌広教授が進...世界初!銀河形状の解析から初期宇宙を検証

  • 含まれる暗黒物質の量が少ないから? 天の川銀河の外側の回転速度は他の銀河より遅いことが判明

    銀河の回転速度は、重力の法則によって予測されるものとは異なることが知られています。このことは“銀河の回転曲線問題”と呼ばれています。銀河の回転曲線問題は多くの銀河で測定されています。でも、観測上の困難さから私たちが住んでいる“天の川銀河”では、正確な測定がこれまで実現していませんでした。今回の研究では、12万個以上もの恒星のデータを元に、3万個以上の恒星の移動速度を推定し、天の川銀河の回転速度を推定しています。その結果、銀河外縁部の回転速度が予想以上に遅いことが判明しました。この結果が正しい場合、天の川銀河の中心部には予想よりも少ない量しか“暗黒物質(ダークマター)”が含まれていないことになります。この研究は、マサチューセッツ工科大学のXiaoweiOuさんたちの研究チームが進めています。図1.天の川銀河...含まれる暗黒物質の量が少ないから?天の川銀河の外側の回転速度は他の銀河より遅いことが判明

  • 木星へ向けて! NASAの小惑星探査機“Lucy”が地球スイングバイのためのエンジン燃焼に成功

    NASAの小惑星探査機“Lucy(ルーシー)”は2月3日、地球への接近に向けて重要となるエンジン燃焼を成功させました。図1.NASAの小惑星探査機“Lucy(ルーシー)”のイメージ図。(Credit:NASA)“Lucy”は、2021年10月16日にユナイテッド・ローンチ・アライアンスの“アトラスV-401”ロケットに搭載され、ケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた探査機です。“Lucy”ミッションの主な目的は、木星のトロヤ群に属する小惑星の探査を行うこと。複数の小惑星を訪れることから、ミッションの期間は2021年から2033年までの12年間が予定されています。木星のトロヤ群とは、木星の公転軌道を移動する小惑星のグループ。太陽から見て、木星に対して60度前方あるいは60度後方の軌道に分布しています。す...木星へ向けて!NASAの小惑星探査機“Lucy”が地球スイングバイのためのエンジン燃焼に成功

  • 初期の宇宙で急激に酸素が増えていた証拠を発見! ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡が実現する長波長の赤外線観測

    今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の大規模観測データを用いて、宇宙誕生から5億年後にあたる133億年前の宇宙まで遡り、酸素の存在比を調査しています。その結果、宇宙の最初の5~7億年(131~133億年前)に存在する銀河の中で、酸素が急激に増えたことを裏付ける証拠を初めて得ることができました。このことは、地球や生命に欠かせない酸素が、宇宙の歴史の中でどのように作られてきたのかを明らかにするうえで、大変重要な成果といえます。この研究は、国立天文台の中島王彦特任助教及び東京大学宇宙線研究所の大内正巳教授たちの研究チームが進めています。研究の成果は、KimihikoNakajimaさんたちよる論文“JWSTCensusfortheMass-MetallicityStarFormationRelation...初期の宇宙で急激に酸素が増えていた証拠を発見!ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡が実現する長波長の赤外線観測

  • 銀河形成シミュレーションでは多くの計算が必要! 超新星爆発の複雑な広がりをAIを用いて高速に再現する手法を開発

    これまでの銀河形成シミュレーションでは、超新星爆発を組み込むと計算コストが極端に増大してしまい、“富岳”のような最新のスーパーコンピュータを用いても、銀河内での超新星爆発の影響を直接的に計算することは困難でした。そこで今回の研究では、これまでのシミュレーションに替り深層学習を用いて、超新星爆発の広がりを予測する手法を新たに開発。新たに開発された新技術によって、計算の効率やエネルギー消費の面で大きな改善を実現しています。この成果は東京大学大学院理学系研究科天文学専攻平島敬也大学院生、同・藤井通子准教授、同・理学系研究科物理学専攻森脇可奈助教、東北大学大学院理学研究科天文学専攻平居悠日本学術振興会特別研究員‐CPD(国際競争力強化研究員)、神戸大学大学院理学研究科惑星学専攻斎藤貴之準教授、同・牧野淳一郎教授、...銀河形成シミュレーションでは多くの計算が必要!超新星爆発の複雑な広がりをAIを用いて高速に再現する手法を開発

  • 宇宙誕生後3億~4億年という初期の宇宙に5つの銀河の存在を確認! なぜ理論予測を超える活発な星形成が起こるのか?

    今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の分光観測データを使い、134億光年彼方の宇宙に明るく輝く2つの銀河の正確な距離測定に成功しています。(図1)天体の観測史上最遠方である134億~135億光年彼方の宇宙では、これまでに3個の銀河が確認されていました。でも、その結果が理論予測と矛盾しているのかどうかは分かっていませんでした。今回、新たに2個の銀河が確認されたことで、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡打ち上げ前に出版されたどの理論予測と比べても予想以上に銀河の数が多く、初期の宇宙では短い時間で次々に星が誕生していることが分かりました。この結果は、初代銀河を含む宇宙初期の銀河の形成過程が、これまで考えられていた理論とは異なる可能性を示しています。この研究は、東京大学宇宙線研究所の播金優一助教を中心とする研究...宇宙誕生後3億~4億年という初期の宇宙に5つの銀河の存在を確認!なぜ理論予測を超える活発な星形成が起こるのか?

  • 金星の雲に含まれる紫外線吸収物質は2種類の硫酸鉄と特定

    金星を紫外線で見てみると、特定の波長で暗く見える斑点構造が見つかります。この現象が意味しているのは、雲の中に含まれている物質が紫外線を吸収していること。ただ、物質の正体はこれまではっきりと分かっていませんでした。今回の研究では、金星の雲の環境を再現するため、様々な物質が含まれた硫酸溶液を合成し、紫外線の吸収波長を調べています。その結果、2種類の硫酸鉄化合物だと、観測値を最もよく説明できることが明らかになりました。金星の環境は興味深い研究対象なので、この研究結果は金星の大気化学に関する大きな成果の1つになるはずです。この研究は、ケンブリッジ大学のClancyZhijjanJiangさんたちの研究チームが進めています。図1.金星探査機“あかつき”の紫外線観測データに基づいて作成された金星の疑似カラー画像。(D...金星の雲に含まれる紫外線吸収物質は2種類の硫酸鉄と特定

  • 国際宇宙ステーションへ向かう無人補給船“シグナス”運用20号はアンタレスでなくファルコン9ロケットで打ち上げ

    2024年1月31日2時7分(日本時間)、国際宇宙ステーションに向かう補給船を搭載したスペースX社のファルコン9ロケット(ブロック5)が、アメリカ・フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げられました。今回のミッション“NG-20”は、NASAの“商業輸送サービス2(CRS-2)”契約の下で実施されるもの。実験装置やクルーへの補給品など、合計3726キロの補給物資が国際宇宙ステーションに届けられることになります。図1.無人補給船“シグナス”運用20号機を搭載して打ち上げられたファルコン9ロケット。(Credit:NASA/KimShiflett)ただ、ファルコン9ロケットに搭載されていた補給船は“ドラゴン”ではなく、ノースロップ・グラマン社の“シグナス”だったんですねー“シグナス”補給船と言えば、...国際宇宙ステーションへ向かう無人補給船“シグナス”運用20号はアンタレスでなくファルコン9ロケットで打ち上げ

  • なぜ、宇宙最初の光“宇宙マイクロ波背景放射”の偏光は回転するのか? 未知の素粒子や新物理探索の手掛かりになるかも

    今回の研究では、“宇宙複屈折”と呼ばれる現象に対し“重力レンズ効果”を取り入れた精密な理論計算を実現しています。宇宙複屈折とは、直線偏光した宇宙マイクロ波背景放射(CosmicMicrowaveBackground;CMB,(※1))の偏光面が回転する現象です。※1.生まれたばかりの宇宙は、電子や陽子、ニュートリノが密集して飛び交う高温のスープのような場所で、電離した状態にあった。でも、宇宙が膨張し冷えるにしたがって、電子と陽子は結びつき電気的に中性な水素が作られる。この時代には、光を放つ天体はまだ生まれていなかったので“宇宙の暗黒時代”と呼ばれている。その後、宇宙で初めて生まれた星や銀河が放つ紫外線により水素が再び電離され、この現象を“宇宙の再電離”という。宇宙に広がっていた中性水素の“霧”が電離されて...なぜ、宇宙最初の光“宇宙マイクロ波背景放射”の偏光は回転するのか?未知の素粒子や新物理探索の手掛かりになるかも

  • 直径は10億光年もある? 超巨大な泡状構造を構成する超銀河団の集まり“ホオレイラナ”を発見!

    この宇宙に存在する銀河はランダムに分布しているのではなく、物理法則に従い規則的に分布していると考えられています。でも、銀河の分布に対する物理法則による影響はとても小さなものなので、観測で見つかる可能性は低いと考えられてきました。今回の研究では、これまでで最大規模の銀河分布図“Cosmicflows-4”を使用し、天の川銀河の比較的近くに存在する直径10億光年にも達する巨大な銀河の泡状構造を発見しています。さらに、この構造は、これまで別々の超銀河団(※1)として個別に発見されていた大規模構造を含んだもの。研究チームでは、ハワイの創世神話に因み、この構造を“ホオレイラナ(Ho’oleilana)”と名付けています。※1.超銀河団は、銀河群や銀河団が集まり形成されている銀河の大規模な集団。銀河群は50個程度以下...直径は10億光年もある?超巨大な泡状構造を構成する超銀河団の集まり“ホオレイラナ”を発見!

  • 2月中旬以降に運用再開に向けて再挑戦! JAXAの小型月着陸実証機“SLIM”は夜を迎えて休眠中

    “SLIM”の公式X(旧Twitter)アカウントによると、日本時間2024年1月30日~31日の運用をもって、JAXAの小型月着陸実証機“SLIM(SmartLanderforInvestigatingMoon)”が休眠状態に入ったそうです。“SLIM”は太陽電池パネルから電力を得ているので、着陸地点が夜の間は活動することが出来ません。また、“SLIM”は約-170℃まで温度が下がる月の夜を乗り越えるようには設計されていないんですねーこれにより、夜の間に電子機器が損傷する可能性もあります。月の昼夜は2週間ずつ続くので、JAXAは“SLIM”の太陽電池パネルに再び太陽光が当たるようになる2月中旬以降の運用に再挑戦するそうです。日没に伴う休眠前に“SLIM”の航法カメラで最後に撮影された画像(日本時間202...2月中旬以降に運用再開に向けて再挑戦!JAXAの小型月着陸実証機“SLIM”は夜を迎えて休眠中

  • 中性子星とブラックホールの中間に位置する天の川銀河の謎の天体を発見!

    重い恒星の寿命の最期に、その中心が“中性子星”になるのか、それとも“ブラックホール”になるのかは、中心核の質量によって決まると考えられています。でも、その境界線がどこにあるのかは、理論的にも観測的にも正確な位置はよく分かっていませんでした。今回の研究では、ミリ秒パルサー“PSRJ5014-4002E”の詳細な観測を実施。“PSRJ5014-4002E”に存在する伴星を発見しています。興味深いことに、この伴星の質量は太陽の2.09~2.71倍で、ちょうど中性子星とブラックホールの境界線に位置していました。発見者が“天の川の謎の天体(amysteriousobjectinMilkyWay)”と表現している正体不明の伴星は、天文学や物理学において注目されるはずです。この研究は、マックスプランク電波天文学研究所の...中性子星とブラックホールの中間に位置する天の川銀河の謎の天体を発見!

  • 120憶℃以上の環境では存在可能な原子核の総数が増える! 超高温環境での新たな原子核の性質が判明

    天文学では、水素とヘリウムよりも重い元素のことを“重元素”と呼び、水素に対する重元素の割合は重元素量と呼ばれています。その重元素は、恒星内部の核融合反応により鉄までの元素が生成され、恒星の死に伴い星間空間へと放出されます。なので、星の生と死のサイクルが十分に繰り返されていない初期の宇宙では、現在の宇宙に比べて重元素量が低かったと考えられています。一方、超新星爆発や中性子星同士の衝突(※1)といった、超高エネルギーの天文現象によって生成されると考えられているのが、金やウランなどの重元素です。その重元素の詳細な生成プロセスを理解することは、原子核全般の性質や、中性子星内部のような極端な環境を知ることに繋がる重要な研究になります。※1.太陽のおよそ8倍以上の質量を持った恒星が、進化の最終段階で鉄の中心核を作ると...120憶℃以上の環境では存在可能な原子核の総数が増える!超高温環境での新たな原子核の性質が判明

  • JAXAの小型月着陸実証機“SLIM”が運用を再開! 月の起源の解明に期待

    JAXAの小型月着陸実証機“SLIM(SmartLanderforInvestigatingMoon)”が2024年1月28日夜に運用を再開しました。この発表は“SLIM”の公式X(旧Twitter)アカウントによるもの。投稿によると、日本時間1月28日夜に通信を確立。早速、マルチバンド分光カメラによる科学観測を開始し、10バンド高解像度分光観測の初撮像(ファーストライト)まで終えています。“SLIM”は1月20日に日本初の月面着陸、および世界初となるピンポイント月面着陸に成功していました。でも、高度50メートル付近で2基のメインエンジンのうち1基を失い、当初の着陸目標地点から東へ約55メートル離れた地点に着陸。接地時の降下速度は1.4m/s程度と仕様範囲より低速でしたが、横方向の速度や姿勢などの接地条件...JAXAの小型月着陸実証機“SLIM”が運用を再開!月の起源の解明に期待

  • JAXAの小型月着陸実証機“SLIM”は片方のエンジンを失った状態で月面着陸を成功させていた! その結果や成果など

    JAXAは、2024年1月20日午前0:20(日本標準時)に小型月着陸実証機“SLIM(SmartLanderforInvestigatingMoon)”を月面面に着陸させ、地球との通信を確立。“LEV(LunarExcursionVehicle)”と呼ばれる2機の小型プローブの放出に成功しています。でも、着陸時の姿勢などが計画通りではなく、“SLIM”は太陽電池からの電力発生ができない状態に…バッテリーが過放電して探査機を失うリスクを避けるため、同日午前2:57には地上からのコマンドにより電源をオフにしています。ちなみに電源オフ時点でのバッテリー残量は12%だったそうです。ただ、着陸後に地上との通信を確立できていること、太陽電池だけが損傷するような状況は考えにくいんですねーこれらの理由からJAXAが判断...JAXAの小型月着陸実証機“SLIM”は片方のエンジンを失った状態で月面着陸を成功させていた!その結果や成果など

  • 表面を覆う氷の下に海を持つ太陽系外惑星は存在している? 一部は間欠泉活動の観測で見つかるかもしれない

    木星の衛星エウロパや土星のエンケラドスのように、太陽系にある氷で覆われた天体の一部には、地下に広大な海が存在していると予測されています。その中には、地下海の有力な証拠と考えられる間欠泉が確認されている天体もあるんですねー今回の研究では、似たような環境を持つ太陽系外惑星が存在する可能性を探るため、17の惑星について調査を実施。その結果、いくつかの惑星には氷の下に海が存在する可能性があることを突き止めています。また、“プロキシマ・ケンタウリb”や“LHS1140b”など一部の惑星では激しい間欠泉活動が起きている可能性があり、噴出した水や、水に含まれる分子の存在を望遠鏡で観測できる可能性があるようです。この研究は、NASAのゴダード宇宙飛行センターのLynnaeC.Quickさんたちの研究チームが進めています。...表面を覆う氷の下に海を持つ太陽系外惑星は存在している?一部は間欠泉活動の観測で見つかるかもしれない

  • r過程により生成された原子量260以上の原子核の痕跡を古い年代の恒星で発見

    鉄より重い元素が、宇宙でどのように生成されるのかはよく分かっていません。ただ、生成過程を調べるヒントの1つに、古い年代の恒星に含まれている元素の比率があり、生成過程を考察する上で注目されています。今回の研究では、天の川銀河にある42個の恒星の恒星元素存在量を詳しく調べ、元素の生成過程を推定しています。その結果、“r過程”によって原子量260以上(※1)の原子核が大量に生成され、その後の自発核分裂で銀や重いランタノイド(※2)などの中程度の重さの元素が生成されたことが分かりました。このことは重い元素の生成過程を調べる上で重要な発見になるようです。※1.原子核に含まれる陽子と中性子の合計数を原子量と呼ぶ。※2.ランタン(原子番号57)からルテチウム(原子番号71)までの元素の総称。液晶ディスプレイや永久磁石な...r過程により生成された原子量260以上の原子核の痕跡を古い年代の恒星で発見

  • 宇宙最大の爆発現象“ガンマ線バースト”はジェット内部を逆方向に進む衝撃波が放射に寄与していた

    今回の研究では、NASAが運用中の高エネルギーガンマ線天文衛星“フェルミ”と、広島大学宇宙科学センターが運用する東広島天文台の“かなた望遠鏡”を用いて、宇宙最大の爆発現象“ガンマ線バースト”を観測しています。観測では、ガンマ線と可視光線の同時観測に成功。さらに、ジェット内部を逆方向に進む衝撃波がガンマ線放射に寄与していることを確認しました。この研究成果は、金沢大学理工研究域先端宇宙理工学研究センター/数物科学系の有本真淳教授、東京大学宇宙線研究所高エネルギー宇宙線研究部門の浅野勝晃教授、広島大学宇宙科学センターの川端弘治教授、東北大学学際科学フロンティア研究所の當真賢二教授たちの国際共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌“Nature”系の天文学術誌“NatureAstronomy”に掲載されました。...宇宙最大の爆発現象“ガンマ線バースト”はジェット内部を逆方向に進む衝撃波が放射に寄与していた

  • なぜ、土星の衛星タイタンの湖には一時的に魔法の島が現れるのか? 原因は多孔質構造の有機化合物にあるようです

    土星の衛星タンタンの表面には、広大な液体メタンの湖が存在しています。この湖にはいくつかの島がありますが、中には一時的に観測された後に消えてしまう“魔法の島(MagicIslands)”も見つかっています。魔法の島がどのように出現するのかは、これまでのところ不明でした。今回の研究では、有機物の多孔質な塊がメタンの湖に浮かぶ条件を探索。その結果、魔法の島として観測される条件を満たしていることを示しています。この魔法の島は、地球の海で一時的に出現し、最終的に沈んで消えてしまう軽石でできた幻の島に似ているようです。この研究は、テキサス大学サンアントニオ校のXintingYuさんたちの研究チームが進めています。図1.タイタンのリゲイア海で観測された“魔法の島”。右上にある恒久的な地形と違い、一時的に出現したように見...なぜ、土星の衛星タイタンの湖には一時的に魔法の島が現れるのか?原因は多孔質構造の有機化合物にあるようです

  • なぜ、恒星が存在しない孤立した褐色矮星でオーロラが発生するのか?

    美しい天文現象“オーロラ”は地球以外の天体でも観測されています。オーロラは恒星から放出される電気を帯びた粒子“荷電粒子”と大気との衝突で発生する現象。なので、近くに恒星が無い天体でのオーロラの発生は、予測されていませんでした。今回の研究では、恒星の周辺を公転していない孤立した褐色矮星“W1935”に、オーロラと思われる赤外線の発光を観測しています。孤立した褐色矮星でオーロラが観測されたのは、今回が初めてのこと。この発見は予想外なことであり、その発生理由が注目されています。この研究は、アメリカ自然史博物館のJackieFahertyさんたちの研究チームが進めています。図1.赤外線で輝くオーロラを持つ“W1935”のイメージ図。(Credit:NASA,ESA,CSA&LeahHustak(STScI))恒星...なぜ、恒星が存在しない孤立した褐色矮星でオーロラが発生するのか?

  • 史上初めて撮影に成功したブラックホールの1年後を観測 明るく見える場所の変化は乱流状に振る舞う周辺の物質の影響

    国際研究チーム“イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)・コラボレーション”は、史上初の撮影に成功した楕円銀河M87の巨大ブラックホールについて、新たな観測画像を公開しました。今回公開された画像は、初撮影が行われた2017年4月の観測から約1年後の2018年4月に観測されたもの(※1)。この2018年の観測では、新たにグリーンランド望遠鏡がネットワークに参加し、またデータ記録速度が向上したことでM87ブラックホールの新たな姿が明らかになっています。※1.M87中心核の観測は、2018年4月21日、22日、25日、28日(日本時間)の合計4回行われた。新規参入のグリーンランド望遠鏡を含めて、地球上に点在する6か所8台の電波望遠鏡でM87中心核を観測している。1年後の画像では、2017年に観測されたものと...史上初めて撮影に成功したブラックホールの1年後を観測明るく見える場所の変化は乱流状に振る舞う周辺の物質の影響

  • 天の川銀河の磁場の三次元分布が初めて明らかに! 活発な星形成を引き起こすガスの集積過程が明らかになるかも

    天の川銀河の“いて座銀河腕”内部の磁場構造を初めて三次元的に解明。(Credit:UniversityofTokyo)今回の研究では、天の川銀河の渦巻き腕(注1)の一つ“いて座銀河腕”の内部の磁場構造を、三次元的に明らかにすることに世界で初めて成功しています。注1.天の川銀河は全体がゆっくり回転していて、回転する方向に巻き込まれるような渦巻構造をしていると考えられている(“渦巻銀河”と呼ばれる)。渦巻きの濃く見える部分を“渦巻き腕”と呼び、渦巻き腕にはガスや塵が多く集まっていて、この内部で盛んに新しい星が生まれている。研究では、いて座の天の川方向の184個の星を広島大学かなた望遠鏡(注2)を用いて精密に観測。注2.かなた望遠鏡は、広島大学東広島天文台が所有する口径1.5メートルの光学望遠鏡。可視光・赤外線...天の川銀河の磁場の三次元分布が初めて明らかに!活発な星形成を引き起こすガスの集積過程が明らかになるかも

  • 第2の地球を探すには? 大気中の二酸化炭素の少なさとオゾンの検出がカギになるようです

    地球のように生命に適した環境を持つ惑星を見つける方法はいくつも提案されていますが、そのほとんどが現状の技術では困難なものといえます。そこで、今回の研究では、地球のような環境の惑星を見つける新たな指標として、大気中の“二酸化炭素の少なさ”と“オゾンの検出”を提案しています。これらは惑星の表面に大量の液体の水、そして大気中に酸素が含まれていることを示す強力な証拠となるもの。ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡を駆使すれば観測可能だと、研究チームでは考えているようです。この研究は、バーミンガム大学のAmauryH.M.J.Triaudさんたちの研究チームが進めています。図1.“トラピスト1”惑星系のイラスト。惑星の表面に液体の水が存在するかどうかは、一般的に恒星からの距離に依存する。ただ、実際に液体の水が存在することを...第2の地球を探すには?大気中の二酸化炭素の少なさとオゾンの検出がカギになるようです

  • いよいよ月面着陸へ! JAXAの小型月着陸実証機“SLIM”が着陸降下準備フェーズに移行 1月19日23時からライブ配信あります

    JAXAは、小型月着陸実証機“SLIM(SmartLanderforInvestigatingMoon)”の月周回軌道投入以降の運用結果や計画を踏まえて、準備が整ったことを確認したので、2024年1月10日に着陸効果準備フェーズへ移行することを決定しました。すでに“SLIM”は、1月14日17時32分(日本標準時)に遠月点降下マヌーバ(※1)を正常に実施・完了。その後、高度約600キロの円軌道に予定通り投入されたことが確認されています。遠月点は軌道上で月から最も遠ざかる地点、近月点は軌道上で最も月に近づく地点。マヌーバは、宇宙機に搭載されている推進剤を噴射して、位置や姿勢を制御すること。現在、“SLIM”は正常に動作していて、今後は近月点降下マヌーバを実施し、2024年1月19日に近月点は高度15キロまで...いよいよ月面着陸へ!JAXAの小型月着陸実証機“SLIM”が着陸降下準備フェーズに移行1月19日23時からライブ配信あります

  • 空飛ぶ天文台“SOFIA”が金星の昼側で単独の状態で存在する酸素原子の観測に成功! なぜ、これまでの観測では見つからなかったのか?

    金星の大気中には“原子状酸素”という、単独の原子の状態となった酸素が存在すると考えられています。でも、これまでの観測では、太陽光のあたる昼側で原子状酸素は見つかっていませんでした。今回の研究では成層圏赤外線天文台“SOFIA”によって金星を観測。金星の昼側では、初めて原子状酸素を観測することに成功しています。その観測結果は、原子状酸素の発生に関する事前の予測と一致するものでした。この研究は、ドイツ航空宇宙センター(DLR)のHeinz-WilhelmHobersさんたちの研究チームが進めています。図1.金星探査機“あかつき”によって赤外線および紫外線で撮影された金星の合成画像。(Credit:KevinM.Gill)昼側では見つからない原子状酸素の謎金星は、約97%が二酸化炭素で構成された非常に分厚い大気...空飛ぶ天文台“SOFIA”が金星の昼側で単独の状態で存在する酸素原子の観測に成功!なぜ、これまでの観測では見つからなかったのか?

  • 初期の宇宙に、予想以上に窒素の比率が多い銀河を発見! 天の川銀河と比較しても3倍以上の多さになるようです

    今回の研究では、129億年~134億年までの宇宙にある3つの銀河で、炭素と酸素に対して窒素が異常に多いことを明らかにしています。研究では、ジェーズムウェッブ宇宙望遠鏡による赤外線観測で得られた非常に高い精度のデータを詳しく解析。すると、測定された酸素、炭素に対する窒素の存在比(※1)が、現在の太陽系はもとより、私たちの天の川銀河と比べても3倍以上になりました。※1.ガスを構成する炭素と窒素、酸素の原子の個数の比率を意味する。このことが意味するのは、これまで一般的に考えられていた“恒星の内部で元素が作られ超新星爆発で宇宙空間に拡散する”といった、元素の主な供給メカニズムとは異なるプロセスが初期の宇宙で起こっていること。ビッグバン直後の宇宙に新たな謎がもたらされたことになります。この研究は、東京大学宇宙線研究...初期の宇宙に、予想以上に窒素の比率が多い銀河を発見!天の川銀河と比較しても3倍以上の多さになるようです

  • 宇宙誕生の直後に生まれた非常に小さな原始ブラクックホールは恒星の中心部に存在している?

    宇宙誕生の直後、非常に小さな質量の“原始ブラックホール”が生成されたという説があります。でも、その実物は現在1つも発見されていないんですねーでは、仮に恒星が原始ブラックホールを捕獲し、中心部に保持して発見を難しくしているとしら…その恒星では、どのようなことが起き、その現象は観測可能なのでしょうか?今回の研究では、太陽の中心部に原始ブラックホールがあると仮定した場合に、どのような影響があるのかをシミュレーションしています。その結果、原始ブラックホールが小さい場合には、太陽に観測可能な変化を及ぼすことなく存在できることが分かりました。さらに、条件によっては恒星に変化をもたらすことも分かってきました。このことから、恒星の観測を通じて、間接的に原始ブラックホールの数を推定することができるようになるのかもしれません...宇宙誕生の直後に生まれた非常に小さな原始ブラクックホールは恒星の中心部に存在している?

  • ユナイテッド・ローンチ・アライアンスが新型ロケット“ヴァルカン”の打ち上げに成功! 次は“ドリーム・チェイサー”搭載へ

    アメリカの民間宇宙企業ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は日本時間2024年1月8日、新型ロケット“ヴァルカン(Vulcan)”初号機の打ち上げミッション“Certification-1(Cert-1)”に成功しました。ヴァルカンにはアメリカの民間宇宙企業アストロボティック(Astrobotic)の月着陸船“ペレグリン(Peregrine)”が搭載されていました。図1.ケープカナベラル宇宙軍基地第41発射施設から打ち上げられるヴァルカンロケット。(Credit:ULA)ヴァルカン初号機の打ち上げミッションに成功ペレグリンを搭載したヴァルカンロケットは日本時間の2024年1月8日16時18分(米国東部標準時同日2時18分)、アメリカ・フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地第41発射施設を離床。打...ユナイテッド・ローンチ・アライアンスが新型ロケット“ヴァルカン”の打ち上げに成功!次は“ドリーム・チェイサー”搭載へ

  • 準惑星エリスにも地下に海が存在する? 放射性元素の崩壊熱で氷の外殻に対流が生じているようです

    冥王星を惑星から外す大きな要因となった準惑星エリス(Eris)とその衛星ディスノミア(Dysnomia)のお話し。エリスは、海王星より外側を公転し、冥王星(Pluto)と同じような氷でできた準惑星。第10惑星と呼ばれていた頃もありました。ハッブル宇宙望遠鏡の“掃天観測用高性能カメラ(ACS)”が撮影した画像(2006年8月30日撮影)では、エリス(中央の明るい光点)や、ディスノミアに(その左やや下にある小さな光点)を確認することが出来ます。図1.2006年8月にハッブル宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能カメラ(ACS)で撮影された準惑星エリスとその衛星ディスノミア。(Credit:NASA,ESA,andM.Brown(CaliforniaInstituteofTechnology))エリスの直径は冥王星とほぼ...準惑星エリスにも地下に海が存在する?放射性元素の崩壊熱で氷の外殻に対流が生じているようです

  • なぜ、公転軌道が変化しにくい軌道共鳴の状態にある系外惑星の公転軌道が傾いているのか?

    惑星同士の公転軌道の傾きは、どのように生じているのでしょうか?このことは惑星科学における謎の1つになっています。有力視されているメカニズムの1つに、惑星同士の重力相互作用による公転軌道の変化があります。でも、このメカニズムの詳細については判明していない点があります。今回の研究では、太陽系外惑星“TOI-2202b”の公転軌道の傾きを測定。その結果、“TOI-2202b”の公転軌道の傾きが、約26度とかなり傾いていること分かりました。ただ、“TOI-2202b”は、公転軌道が変化しにくい軌道共鳴の状態にあると予測されているんですねーこのため、今回の研究成果は、重力相互作用によって軌道が傾くという仮説とは一致しない、とても重要な発見になるそうです。この研究は、イェール大学のMalenaRiceさんたちの研究チ...なぜ、公転軌道が変化しにくい軌道共鳴の状態にある系外惑星の公転軌道が傾いているのか?

  • 土星の衛星エンケラドスの地下海の水からアミノ酸の源として重視される“シアン化水素”を発見! 生命誕生の環境条件は存在する?

    厚い氷の層に覆われた海を持つ土星の小さな衛星“エンケラドス”。エンケラドスではプルーム(間欠泉、水柱)が観測されていて、地表にある割れ目から宇宙空間に向けて海水を噴き上げているんですねーそのプルームに含まれる物質は、NASAの土星探査機“カッシーニ”による観測から、その中には生命との関連が指摘されている炭素化合物がいくつか見つかっています。ただ、プルームを分析した機器の1つ“INMS(イオン・中性質量分析器)”のデータから推定される分子の種類の組み合わせは無数にあるんですねーなので、これまでの研究では議論の余地が少ないいくつかの物質が同定されているだけでした。そこで、今回の研究では、“INMS”のデータを分析。無数に考えられる分子の組み合わせの中から、最も妥当と思われるものを決定しています。この研究で一番...土星の衛星エンケラドスの地下海の水からアミノ酸の源として重視される“シアン化水素”を発見!生命誕生の環境条件は存在する?

  • 地球のマントル深部には原始の地球に衝突した天体“テイアの残骸”が眠っている? 月形成の原因ジャイアントインパクトの痕跡

    地球唯一の衛星“月”は、どうやって形成されたのでしょうか?長年の研究により、月が形成される原因として最も有力なのは“ジャイアントインパクト(巨大衝突)”説になります。この説によれば、、45億年前に火星サイズの天体“テイア”が、作られて間もない原始の地球に衝突。この衝突から生まれた破片が、かなり急速(おそらく数百万年強の間)に分離し、地球と月を形成したと考えられています。でも、この衝突の直接的な証拠を見つけることは困難なことなんですねー今回の研究では、地球のマントル深部に存在する巨大な塊“LLVP”が、ジャイアントインパクトで衝突した“テイア”の残骸ではないかということを、シミュレーションにより明らかにしています。この研究が正しい場合、どうやって形成されたのかが明らかになっていない月とLLVPの両方を説明で...地球のマントル深部には原始の地球に衝突した天体“テイアの残骸”が眠っている?月形成の原因ジャイアントインパクトの痕跡

  • 金星誕生から10億年間の活発なプレートテクトニクスが分厚い大気を作った? プレートテクトニクスは大気が濃くなり過ぎて停止した

    地球の内側を公転し、その大きさや質量が地球と似ていることから、しばしば地球の双子星と呼ばれる金星。でも、その大気や環境は地球とは全く異なっていて、金星には二酸化炭素を主体とする非常に分厚い大気があり、プレートテクトニクスは存在しないことになっています。同じ岩石惑星なのに、どうしてこのような違いが生じたのでしょうか?この謎は今も議論が続いているんですねー今回の研究では、金星の大気に関するコンピューターモデルを使用して、この謎を解明しようとしています。その結果分かってきたのは、金星のプレートテクトニクスは少なくとも10億年の間は活発でなければ、現在の分厚い大気を生み出すことができないということでした。このことは、「金星の分厚い大気はプレートテクトニクスがほぼ存在しなかったから存在する」っという、これまでの見方...金星誕生から10億年間の活発なプレートテクトニクスが分厚い大気を作った?プレートテクトニクスは大気が濃くなり過ぎて停止した

  • 銀河円盤内で地震のように垂直に運動する振動波を検出! ガスの流入により活発に星を作る銀河のダイナミックな成長

    今回の研究では、南米チリにある“アルマ望遠鏡”を用いて、宇宙が現在の年齢のわずか10%だった頃に存在する活発に星を作っている銀河“BRI1355-0417”を観測。銀河“BRI1355-0417”内の細かなガスの動きを調べ、銀河の平坦な円盤構造に地震のように垂直に運動する振動波(銀震)が形成されていることを明らかにしています。この振動運動は、外部から新たなガスが銀河に流入するか、他の小さな銀河との衝突によって生じると考えられます。どちらの場合もガスが円盤に流れ込み、星形成の原材料になります。この発見が示しているのは、ガスの流入により活発に星を作り、姿を変えている銀河のダイナミックな成長。宇宙初期の銀河成長の理解の手掛かりになります。この研究は、オーストラリア国立大学の津久井崇史さんが率いる国際研究チームが...銀河円盤内で地震のように垂直に運動する振動波を検出!ガスの流入により活発に星を作る銀河のダイナミックな成長

  • 同一の恒星を公転する全ての隣り合う惑星の公転周期比が、簡単な整数比となる6つ子の惑星系を発見

    宇宙と地上の望遠鏡を用いた連携観測により、かみのけ座の方向約100光年彼方に位置する、太陽の約8割の質量と半径を持つ恒星“HD110067”の周りで、6つ子の“トランジット惑星”を発見したことが、東京大学、アストロバイオロジーセンター、科学技術振興機構の3者が共同で発表しました。この成果は、東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻の成田憲保教授(同・研究科付属先進科学研究機構教授/ABC客員教授兼任)、同・福井暁彦特任助教たちを含む、多色同時撮像カメラ“MuSCAT”シリーズを開発した研究チーム(※1)によるもの。詳細は、英科学誌“Nauture”に掲載されました。※1.岡山県の188センチ望遠鏡(MuSCAT)、スペインのテネリフェ島の1.52メートル望遠鏡(MuSCAT2)、アメリカのマウイ島の2メー...同一の恒星を公転する全ての隣り合う惑星の公転周期比が、簡単な整数比となる6つ子の惑星系を発見

  • 2024年の年始めは“しぶんぎ座流星群”から! 見ごろはいつ? どこを見ればいいの?

    1年の最初を飾る流星群“しぶんぎ座流星群”は、8月の“ペルセウス座流星群”、12月の“ふたご座流星群”と並ぶ三大流星群のひとつです。でも、流星の出現数は年によってかなりムラがあり、どのくらい流れるかを予測するのが難しい流星群でもあるんですねーこのため、熟練した観察者によって1時間当たり100個程度の流星が見られた年もありますが、通常は1時間当たり20~50個程度の出現になります。毎年安定して多くの流星が出現する“ペルセウス座流星群”や“ふたご座流星群”と比べると、“しぶんぎ座流星群”は活動が活発な期間が短いことや、年によって出現数が変化しやすいことから、流星が多く見える年は限られてしまいます。“しぶんぎ座流星群”と放射点(2024年1月4日、5日3時頃の東京の星空)(Credit:国立天文台)月明かりの影...2024年の年始めは“しぶんぎ座流星群”から!見ごろはいつ?どこを見ればいいの?

  • 宇宙の夜明けに存在していたクエーサーになる直前のブルドッグを発見! すばる望遠鏡が見出した超大質量ブラックホールの急成長

    銀河の中心でまばゆく輝く、超大質量ブラックホールに物質が落ち込む過程で生み出される莫大なエネルギーによって輝く天体“クエーサー”は、どのようにしてできたでしょうか?このことは、現代天文学における大きな謎の一つになっています。今回の研究では、すばる望遠鏡の大規模サーベイ“すばるHSC戦略枠観測プログラム(HSC-SSP)”から、クエーサーの前身であるチリで覆われた銀河“ドッグ”を大量に発見。そのうちの8天体は、まさにチリを吹き飛ばしてクエーサーになろうとしている天体“ブルドッグ”であることを突き止めています。さらに研究チームでは、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡が見つけた遠方にある極めて赤い天体種族が、クエーサーになる直前のアウトフロー段階にいる“ブルドッグ”のような天体であることを明らかにしました。“ブルドッ...宇宙の夜明けに存在していたクエーサーになる直前のブルドッグを発見!すばる望遠鏡が見出した超大質量ブラックホールの急成長

  • 天の川銀河を公転している銀河の中で最もく暗い矮小銀河を発見! この小さな銀河には大量の暗黒物質が含まれているようです

    銀河全体の恒星の数や質量などを正確に測定するには、暗くて見えにくい恒星の集団も見つける必要があります。このような恒星の集団の多くは、本体の銀河を中心に公転している“伴銀河”の中に存在しています。今回の研究では、紫外近赤外光学北方サーベイ(UNIONS;UltravioletNearInfraredOpticalNorthernSurvey)のデータから、天の川銀河の伴銀河“おおぐま座矮小銀河III”を発見しています。分かってきた“おおぐま座矮小銀河III”の明るさは絶対等級で2.2等級。これは知られている中で最も暗い天の川銀河の伴銀河になるようです。この研究は、ビクトリア大学のSimonE.T.Smithさんたちの研究チームが進めています。図1.“おおぐま座矮小銀河III”を中心とした恒星の分布図。点線の...天の川銀河を公転している銀河の中で最もく暗い矮小銀河を発見!この小さな銀河には大量の暗黒物質が含まれているようです

  • 地球に似た惑星を見つけた場合、そこには恐竜並みに大きな生物がいる!? 恐竜がいた頃の地球は見つけ易いようです

    現在、地球の酸素濃度は21%です。でも、過去の地球の酸素濃度は様々な値に変化していました。仮に過去の地球と似た環境を持つ太陽系外惑星(系外惑星)を観測した場合、どのような観測データが得られるのでしょうか?特に注目されるのは、“バイオシグネチャー”(※1)に関連した大気分子を見つけられるかどうかです。※1.惑星を外部から観測したときに、生命が存在することの証拠と考えられる指標となるデータを示す。惑星大気中に酸素、オゾン、メタンなどの存在を示す証拠が一般的である。今回の研究では、地球に大型の生物が出現した“顕生代”の期間にほぼ等しい、5億年間の大気組成をシミュレーション。望遠鏡で大気の観測を行った場合の観測データを推定しています。その結果、分かったのは、酸素濃度が大幅に高かった今から3億年前~1億年前までの期...地球に似た惑星を見つけた場合、そこには恐竜並みに大きな生物がいる!?恐竜がいた頃の地球は見つけ易いようです

  • 誕生から約21億年しか経っていない時代の宇宙に棒渦巻銀河を発見! 銀河には考えられていたより数倍も速い形成過程があるのかも

    天の川銀河の中心部は、恒星が棒状に集まった構造をしています。このような構造を持つ銀河は“棒渦巻銀河”と呼ばれています。シミュレーションによると、棒渦巻銀河の形成には数十億年かかると考えらています。ただ、今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡の観測データから、誕生から約21億年しか経っていない時代の宇宙に、棒渦巻銀河“ceers-2112”を発見しているんですねー分析から分かってきたのは、“ceers-2112”が10億年以内に棒渦巻銀河になった可能性があることでした。これは棒渦巻銀河に留まらず、様々な銀河の構造形成過程の理論を書き換える可能性のある発見になるようです。この研究は、スペイン宇宙生物学センター(CAB)のLucaCostantinさんたちの研究チームが進めています。図1.天の川銀河との類...誕生から約21億年しか経っていない時代の宇宙に棒渦巻銀河を発見!銀河には考えられていたより数倍も速い形成過程があるのかも

  • 約22光年先の系外惑星“LTT 1445Ac”は地球サイズで岩石質だった! ハッブル宇宙望遠鏡による観測で分かったこと

    今回の研究では、ハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測データを元に、約22光年先に位置する太陽系外惑星“LTT1445Ac”の直径を算出しています。“LTT1455Ac”は、NASAのトランジット惑星探査衛星“TESS(TransitingExoplanetSurveySatellite)”の観測によって発見された系外惑星でした。推定される“LTT1445Ac”の直径は地球の約1.07倍、岩石質の惑星のようです。この研究は、ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)のEmiluPassさんを筆頭とする研究チームが進めています。研究成果をまとめた論文は“TheAstronomicalJournal”に掲載されました。図1.赤色矮星“LTT1445A”の手前を通過する系外惑星“LTT1445Ac”のイメージ...約22光年先の系外惑星“LTT1445Ac”は地球サイズで岩石質だった!ハッブル宇宙望遠鏡による観測で分かったこと

  • 高温のガスでできている太陽の直径はどうやって測るのか? 正確な直径算出は困難だけど今回は太陽の振動に基づいて算出

    太陽の直径はどのくらいあるのでしょうか?太陽の直径は測定することが困難なので、過去に様々な値が提唱されています。今回の研究では、太陽の直径を初めて“pモード”と呼ばれる太陽の振動に基づく計算を行い、太陽の直径を139万1560キロと算出しています。これは、光学的に直接観測された値よりわずかに小さいもの。一方、太陽の振動に基づく、これまでの手法の計算値よりわずかに大きな値でした。この研究は、東京大学の高田将郎さんとケンブリッジ大学のDouglasOwenGoughさんの研究チームが進めています。図1.2018年2月1日に撮影された太陽。太陽の直径は視覚的な太陽の縁と一致する光学的深さ基づいて定義されているが、測定方法によって異なる値が算出されている。(Credit:NASA,GSFC&SolarDynami...高温のガスでできている太陽の直径はどうやって測るのか?正確な直径算出は困難だけど今回は太陽の振動に基づいて算出

  • 恒星のすぐ近くを公転する惑星は大気観測に適している! 二酸化硫黄とケイ酸塩の存在が示す光化学反応と高温で強い大気循環

    恒星からの熱で膨張している系外惑星“WASP-107b”は、大気組成を詳細に観測しやすい太陽系外惑星の1つと言えます。今回の研究では、ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡を用いて“WASP-107b”を観測。これまでで最も詳細な大気組成のデータを取得しています。注目すべき発見として、二酸化硫黄と砂粒の雲の検出や、メタンの不検出があり、これらは従来の惑星モデルを書き換えるものになるそうです。この研究は、パリ・シテ大学のAchrèneDyrekさんを筆頭とする国際研究チームが進めています。図1.恒星“WASP-107”からの熱で大気が膨張している系外惑星“WASP-107b”のイメージ図。(Credit:LUCASchoolofArts(Belgium)-KlaasVerpoest(visuals)&JohanVan...恒星のすぐ近くを公転する惑星は大気観測に適している!二酸化硫黄とケイ酸塩の存在が示す光化学反応と高温で強い大気循環

  • 素早く超大質量のブラックホールを作るには? 初期宇宙で見つかったブラックホールは巨大で濃密なガス雲の重力崩壊から生まれた

    ほとんどの銀河の中心には、太陽の100万倍から100億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールが存在すると考えられています。ただ、超大質量ブラックホールの起源は多くの謎に包まれているんですねー長年の研究から、超大質量ブラックホールは小さなブラックホールが合体を繰り返すことで、形成されたとも考えられています。ただ、その“種”となる小さなブラックホールは、恒星の重力崩壊(※1)によって生じた軽いブラックホールという説と、初期の宇宙にあった巨大なガス雲の重力崩壊で生じた重いブラックホールという、2つの説が対立していました。太陽のおよそ8倍以上の質量を持った恒星が、進化の最終段階で鉄の中心核を作ると、鉄は宇宙で最も安定した元素なので、それ以上は核融合を行えなくなってエネルギーを作り出せなくなり、星は自身の重力を支えき...素早く超大質量のブラックホールを作るには?初期宇宙で見つかったブラックホールは巨大で濃密なガス雲の重力崩壊から生まれた

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、モバライダーさんをフォローしませんか?

ハンドル名
モバライダーさん
ブログタイトル
宇宙のはなしと、ときどきツーリング
フォロー
宇宙のはなしと、ときどきツーリング

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用