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2019/05/31

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  • 1104 残せる人生

    値千金で、感謝せざるを得ません。これほどすばらしい鼓動でも、一度止まったら終点。例え、栄耀栄華を極め、いかなる名声を得ようとも、間違いなく止まる宿命を帯び、ただひたすら打ち続ける。これしかなく、無意味に打たせれば、白髪とシワが増えるだけ。しかし、精神には終点がありません。音楽や芸術の世界、生き方など、先人達が残してくれた思想や、素晴らしい作品に、何百年後でも感動させられ、小さな事でもいい、自分の子供にだけでもいい。何かを残せる人生を、歩みたいものです。一人ぼっちで寂しい時、人生の嵐が襲い掛かり、苦しい時、そっと胸に手を当て、生まれた時と変わらない、清らかな響きで打ち続ける、鼓動との対話を試みてみましょう。今まで、何十年間、動き続けたのだろうか?精神が全てを休め、ぐっすり眠っている間も、暗闇、孤独、何のそのと打ち...1104残せる人生

  • 1103 値千金

    そして長い人生を考えた場合、我々の鼓動は、一分間に七三回打つとすると、一日に十万回以上、八十歳まで生きるとして計算すると、なんと三十億回以上も打つ事になります。体内に張り巡らされた血管の総延長と、片時も休む事なく、三十億回以上も血液を送り続け、回収する作業。しかも酸素やビタミンなどの量を調節し、八十年も打ち続けるのです。地球を何周するのだろうか?生涯、どれだけのエネルギーを生み出すのだろうか?いかに技術が進んだ現在でも、部品交換なしに八十年間、動き続ける機械を作る事は不可能。己の持てるパワーの偉大さ、改めて考えさせられます。脳死という言葉がありますが、脳が死んでも鼓動は続いており、逆は成り立ちません。不幸にして道半ば、やむなく止まる事を宣告され、残る鼓動をどう使うべきか、と思案に暮れる人生があるかと思うと、朝の...1103値千金

  • 1102 どう対応すべきか

    この一方通行のスケール上で、家族や人生を考えると、子供の進学や成人の時、自分は何歳で、子供達と、どのような会話が必要か。教育資金が、一番必要な時期に、どう対応すべきか。定年時、家族の年齢や状況が、どうなっているか。位置付けが、よく理解出来、今後の展開等、色々な新しい事が、発見出来るかと思います。人生は不確定要素があり、完璧とはいきませんが、決して後戻りの出来ない、一方通行のスケール上で、物事を考え、人生の目標なりを設定する事により、毎年繰り返す事柄と、五年や十年、生涯を通して貫く事が、年代ごとに計画され、己の人生が、より良きドラマとして演出出来、かなりの精度で、人生の青写真なり、予測なりが出来るのではないだろうか。1102どう対応すべきか

  • 1101 東京でハブジャンプ

    ハブが出るはずもない、アスファルトに覆われた東京のど真ん中で、子供の頃から、命に関わる本能として覚えた、見事なハブジャンプが出てしまったのです。改めて、ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!(黒島は今、ほとんど牧場となり、ネズミも激減、そのため、ハブもほとんどいません)我々の日常は、朝晩寝起きし、時計は回転して元に戻り、一年が終ると、また新しい年を迎える、が繰り返されています。人生もまた、繰り返しの連続のように錯覚しがちですが、繰り返し以外にも、子供の誕生や親との別れ等、繰り返す事の少ない事もあり、人生が成り立っています。人生を80歳まで、生きられると計算し、80センチの物差しに置き換えて見ましょう。物差しの10ミリを12か月単位に置き換え、仕事や結婚の経歴、上段には親の年齢で、下段には女房や子供達の年齢を...1101東京でハブジャンプ

  • 1100 怒鳴られる

    これは、子供の時から、親に教えられなくても、自然に出てくる行為。それが出来なければ、猛毒を持ったハブに、間違いなく噛まれていた事でしょう。上京して間もない頃、歩道を横断中、なにげなしに足元を見た瞬間、ハブが現れ、思わずガニ股、ハブジャンプ!。自転車で横を通り過ぎようとした、おじさんと、もろにぶつかり、怒鳴られました。まっすぐ歩けば、いいだろうに!わざと、やったんだろう!謝るしかありません。前方には誰もいない、すれ違う人もなく、見通しの良い歩道。いきなり、思いっ切りガニ股で、横っ跳びに出る行為は、自転車めがけ、体当たりをして来た、としか思えないはずで、怒鳴らない人は皆無でしょう。「ハブが出たので、ハブジャンプをしたのですが・・」と説明しても分かってもらえません。よく見ると、ハブではなく、ネクタイが落ちており、それ...1100怒鳴られる

  • 1098 好奇心

    不思議に思い聞くと、風で感じるとの返事。魚の臭いがする訳でもなく、どうしてだろう?再度尋ねると、海から吹いて来る風の温度で、北上する黒潮の水温を体感。近海を、どの魚種が回遊して行くのか、当てるとの事である。また、ある虫が発生すると、ある魚種が近海に集まっている、と言う虫との間違いない関連もあります。小さな島、周りの海から吹いて来る風、虫などの情報は、生きて行く大事な知恵でした。ひかるが子供の頃、島の収入源は、サトウキビ生産で、サトウキビは、ネズミの格好の餌。ネズミが繁殖し、その天敵として、猛毒を持ったハブが、大繁殖していました。ハブは、脱皮をするので、皮を見ると、どれくらいの大きさか、ハブの棲家が、どの近辺かは、子供同士の情報交換で察知出来ます。しかしハブは、かなりの行動範囲を持っているので、常に心の準備が必要...1098好奇心

  • 1099 画

    ガニ股。1099画

  • 1097 ペア性器

    また、ハブの性器は、メスには二つ、オスには四つあります。数が合わないので、疑問に思いますが、オスの性器は、ペアになっており、しかもイボイボ状。ペアでメスの性器へ挿入し、交尾。蛇体は絞め縄の如く、もつれ喰い込み、飲まず食わず、執念深くエキスをむさぼりあう。その姿はすさまじく、犬や牛馬の交尾とは比較にならず、ゾクゾクとさせられます。しかし、ハブは害のみにあらず。初夢にハブを見ると、大金が転がり込む、金運の女神、とも言われています。興味は、海へも向けられます。魚のヒレに切れ目を入れた場合、まともに泳げるか実験。必死に、尾ビレで舵を取るにも、ほろ酔いチドリ泳ぎ。残酷な事をしてしまった、と後悔させられました。ある時、父が空を見上げ、急に、今日は、ハトッシ(方言魚名)が、大量に捕れる日だと、漁へ出かけ、間違いなく、言った通...1097ペア性器

  • 1096 臆病な生き物

    一度、人間が巣を見つけ、近づいた気配が感じられると、警戒し、二度と巣には戻りません。多分、人間の匂いを感じるのでしょう。我が子より、我が命を大事にする、臆病な生き物。普段は、楽しく飛び回っているスズメやひばり達、台風の時どうするのだろうか。台風を避け、遠くへ逃げるはずは無い。台風を避け、数十キロ先の島へ逃げ、翌日その島へ舞い戻って来る事は、とうてい考えられません。それが証拠に、台風が過ぎ去った翌日には、元気よく飛び回っているのです。その疑問は解けました。小鳥達は、危険が迫った時、岩穴で台風が過ぎ去るのを、じっと待っているのです。彼らは、どうしたら尊い命を守れるか、心得ていたのです。我々も、小鳥の生き方に見習うべきではないだろうか。時代のうねりや大きな組織力で、一人で立ち向かっては、どうしようもない事が、しばしば...1096臆病な生き物

  • 1095 似た者同士

    また、大空を飛び交う、ひばりを観察すると、巣へ入る時、直接巣には入りません。わざと別な場所へ降り、茅の根を這って近づき、巣に入ります。直接巣に入ると、カラスに巣の場所を狙われ、卵や雛を食べられる為、知恵を使っているのです。しかし、巣から出る時は、直接飛び立ちます。頭隠して、尻隠さず、の格言通り。やる方もやる方、気付かない方も気付かない方。どちらも、似たもの同士。間抜けな鳥もいます。ニワトリを野生化させた場合、卵を産む度に、必ず喜びの大声を「コケコッコーコケコッコー」と上げます。カラスはその大声で、卵が生まれた事と、巣の場所を確認、労せずして、栄養満点な卵を頂戴。ニワトリの馬鹿さ加減は、見て居られません。他にも無責任な鳥がいます。野生のハトは、人間に見つからないよう、細心の注意をし、場所を考え巣を作ります。野生の...1095似た者同士

  • 1095 似た者同士

    また、大空を飛び交う、ひばりを観察すると、巣へ入る時、直接巣には入りません。わざと別な場所へ降り、茅の根を這って近づき、巣に入ります。直接巣に入ると、カラスに巣の場所を狙われ、卵や雛を食べられる為、知恵を使っているのです。しかし、巣から出る時は、直接飛び立ちます。頭隠して、尻隠さず、の格言通り。やる方もやる方、気付かない方も気付かない方。どちらも、似たもの同士。間抜けな鳥もいます。ニワトリを野生化させた場合、卵を産む度に、必ず喜びの大声を「コケコッコーコケコッコー」と上げます。カラスはその大声で、卵が生まれた事と、巣の場所を確認、労せずして、栄養満点な卵を頂戴。ニワトリの馬鹿さ加減は、見て居られません。他にも無責任な鳥がいます。野生のハトは、人間に見つからないよう、細心の注意をし、場所を考え巣を作ります。野生の...1095似た者同士

  • 1094 三十本の矢

    色々な問題があったとしても急ぐべきか、直接自分が実行すべきか、部下に振り分け、実行させて大丈夫かどうか、即座に判断し、指示して行けば問題にはなりません。大事な事は、三十本の矢を描き、時差処理をして行く。このような事は、決してコンピューターには出来ず、そこが知恵を使う人間の、偉大な要素ではないだろうか。子供の好奇心、色々な事に、疑問を感じます。ひかるは、野生のハトを生け捕り、飛べないよう羽先を切り、ニワトリ同様、飼い慣らそう、と実験。難なく飼い猫に食べられてしまい、小さなウズラですら、野良猫に襲われても逃げ切れるのに、何んでいとも簡単に食べられるのだろうか、と考えさせられました。やはり、空を飛ぶ鳥は空で生き、たとえ小さなウズラでも、地上で生きる代々の知恵が備わっているのだなぁと感心。1094三十本の矢

  • 1093 調査を継続

    将来、大きくなる問題でも、今は処理が出来ない、という場合は、担当者を置き、調査を継続。後で経過を知らずに荒治療するのと、知っていてやる事では、処理方法に大きな差が出て来るのは当然。男の働き盛り三十代、ひかるは八十人の部下を任され、下請けや外注を含めると、百数十人の仕事を処理していました。だいたいが十五から、二十班に分かれ、国内外取材、翌日以降の予定や下見、打ち合わせや段取り等、同時進行。他にも兼務が多く、電話は鳴りっぱなし、客は順番を待っている状況。目の回る忙しさでした。これ程多くの問題をどう整理し、同時処理しているのか、コツを教えて欲しいと言われましたが、問題処理に、前記した通り、知恵を使っていた事が分からなかったようです。1093調査を継続

  • 1092 時差処理

    そして、30通りの問題すべてが矢と成り、自分の方へ向かって来ますが、すべての問題には時間差があり、その時間差を利用し、一つ一つ処理して行く。100問題があったとしても、決して、処理不可能と言う事はありません。今は小さな問題でも、将来は大きな問題になる場合もあり、それに対しては、今の内に手を打っておけば、大きくならずに済ます。今は大きな問題でも、時間が解決し、消滅する問題もあるかと思います。良きリーダーに成れる人は、問題点を見つけられるか、処理出来るか、将来、伸ばすべき芽を見つけられるか、そして、育て大きく出来るか、という事へ、知恵をいかに絞り出せるかが、大事な要素ではないだろうか。数年後に、大きな問題に成る、と判断したならば、担当者を置き、現状のまま大きくするな、と指示。今は小さくても、将来大きな芽にしたい場合...1092時差処理

  • 1091 背に涙・・・

    母はいつまでも、生まれ育った南の空をじーっと見つめ、他を向こうとはしません。懐かしい古里、遠い昔の事を思い出しているのだろうか。首に抱き付く、か弱い両手にこもる力、島を手繰り寄せているのです。大きくあえぎ、高まる息遣い、首筋に二つ、熱く伝わる、母の涙。翌年、死に水も取れない、心を通わせる事すら出来なかった、永遠の別れとなり、生涯、拭う事叶わず、消す事の出来ない、涙を背負い続ける人生となってしまいました。・・親不孝詫びる息子の背に涙・・生きていく中、誰もが持って生まれた財産、知恵を使わない方はありません。基本的な知識は、学校なり、本を読む事で得られますが、知恵は見方、考え方、立場や状況等で、十人十色。絞り出せば出す程、無尽蔵に出て来ます。親子や将来に関する問題等、少なく見ても、一人30以上の問題があるかと思います...1091背に涙・・・

  • 1090 三歩歩んで立ち止まる

    母子の心さえ通わせられないアルツハイマーの怖さ。これ程辛くて、寂しい世界があるだろうか・・母の好物を、思う存分食べさせると、脅えが和らぎ、手を握れるようになりました。そして、足腰の弱った母を背負い、散歩に出た時、あまりの軽さにつんのめり、三歩歩んで立ち止まる。ランドセルの重さにしか感じられません。全ての記憶を失った母に心は通じず、長き別離を償う、無言の歩み・・南国の陽射に、汗ばむ背中。涙は止めどなく、踏み出す影へ、七つ・・八つ・・・・海を見下ろす丘の上、洗剤の如く押し寄せる白いさざ波。波の足音は、ザザザーサー、ザザザーサーと浸み、身や心、砂浜までも洗い清めて行きます。はるばる長い旅路を渡って来たのだろうか、風は優しくすれ違い、「風の渡り来る南、生まれ育った島、我が家があるんだぞ、風の行く先、東京があるんだぞ」と...1090三歩歩んで立ち止まる

  • 1089 母は母

    子供の頃、怒られもしました。叩かれもしました。しかし、常に温かく見守る眼差しがあり、愛がありました。命ある限り、我が身に限って、母の愛が閉ざされるなんて・・まさかこのような親子の再会になるとは、一度も想像しなかった・・夢だに、見なかった・・母の元、一つ屋根の下で生活出来たのは、15歳迄。人間、いくつになっても、母は母。もっともっと甘え、お母さん、といっぱい呼んでやりたかったのに・・話したい事が、背負いきれない程、沢山あるのに・・母の事を思い出さない日は、一日たりとてなかった。母とて、一日たりとも忘れなかっただろうに・・・会える日を、一日千秋の思いで待ち続けた母子。何んで無情にも、鉄の扉が降りてしまったのだろうか。子供達との離別生活、会いたい一心が高じ、アルツハイマーになったのだろうか。待たせ過ぎた!許してくれ・...1089母は母

  • 1089 母は母

    子供の頃、怒られもしました。叩かれもしました。しかし、常に温かく見守る眼差しがあり、愛がありました。命ある限り、我が身に限って、母の愛が閉ざされるなんて・・まさかこのような親子の再会になるとは、一度も想像しなかった・・夢だに、見なかった・・母の元、一つ屋根の下で生活出来たのは、15歳迄。人間、いくつになっても、母は母。もっともっと甘え、お母さん、といっぱい呼んでやりたかったのに・・話したい事が、背負いきれない程、沢山あるのに・・母の事を思い出さない日は、一日たりとてなかった。母とて、一日たりとも忘れなかっただろうに・・・会える日を、一日千秋の思いで待ち続けた母子。何んで無情にも、鉄の扉が降りてしまったのだろうか。子供達との離別生活、会いたい一心が高じ、アルツハイマーになったのだろうか。待たせ過ぎた!許してくれ・...1089母は母

  • 1088 画像

    懺悔の丘。1088画像

  • 1087 恐怖の白衣?

    母は晩年、アルツハイマーとなりました。上京させるべく父を説得するにも、「母の面倒は自分が見る」の一点張り。やむなく、石垣島の療養施設へ入所させました。アルツハイマー特有のものなのか、白衣の医者や看護婦、薬を極端に拒んだとの事ですが、東京のひかるの所へ行けるんだ、と言うと、素直に病院や薬も受け入れ、見知らぬ人を捕まえ、東京のひかるの所へ行くんだと、口走っていたとの事。日増しに容体が悪化している、との連絡に帰郷。しかし、あれだけ待ち望んだ対面は、まさかと思われる再会となってしまいました。すでにひかるの面影は、母の記憶の領域に、跡形もなくなっていたのです。お母さん、帰って来たぞ!ひかるだぞ!と声をかけるにも後ずさりをし、部屋の隅へ逃げ、脅えて睨む、拒否する眼差し。妖気すら漂う、一度も見た事のない視線でした。ひかるが帰...1087恐怖の白衣?

  • 1086 コタツで映画

    映写機の爪の噛み具合をニ、三度確認。3秒前!2秒前!1秒前!スタート、オン!・・大成功!!遂に魔法の箱へ辿り着いた。見果てぬ夢だと思っていたのに・・熱く込み上げるものがあり、私と同じ映画館に行けない子供達が、テレビで映画を観ることでしょう。体が不自由な人で、映画館に行かなくても、家で映画が観られる。病院で療養中の人も・・お年寄りで映画館に足を運べない人も・・山間部の人も・・島の人も・・この映画を、何百万人もの人が観ているのだろうか。少しは世の役に立っているのでは・・夢を追い続けて来た事は、間違いではなかった。遥か南の島、南十字星を眺め、ランプの灯りで過ごした子供の頃が思い出され、映画が観れなくて悔しかった事。数々の失敗をし、パスポートを握り締め、親と別れた事。貧しくて辛かった東京での生活等が、走馬灯の如く通り過...1086コタツで映画

  • 1085 目は一つ

    テレビカメラの目は一つです。真実以外は写さない!偽りや、まやかしは決して写さない!テレビマンとしての心構えが求められています。そしてテレビは、自らの巨大な影響力を考え、巨象が踏みはずすことのないよう、勇み足のないよう、見つめ直す時期に来ているのではないだろうか。その昔、「歌は世に連れ、世は歌に連れ」と言われました。現在、「テレビは、世に連れ、世を写す鏡」となっています。慎重なる番組作りをしてほしい・・・・・目は一つ、狙う真実、正義の目!・・入社5年目、放送局では心臓部門の「テレシネ」職場へ配属されました。放送開始から終了まで、交代制宿泊勤務がある、映画やアニメ、大量のコマーシャルなどを送出する職場。数10台もの映写機がずらりと立ち並び、指定された映写機へ素材を装填。魔法の箱の心臓部は、ミスが即全国へ流れ、緊張感...1085目は一つ

  • 1084 ジェットコースター

    また、ジェットコースターへ乗る時は、落下物、小物などは、持ち込めません。我々が取材する場合は、施設責任者と十分にチェック、間違っても素人が、真似をしない事です。ねつ造テレビや、やらせテレビ事件などが、後を絶ちません。テレビはわずか50年で、街頭テレビの時代から家庭へ入り込み、大きな影響力を持つ情報機関に育ちました。子供達はテレビで育ち、教育にまで影響しかねません。往年のテレビマンが退き、安直に考えるようになったのだろうか?競争原理、視聴率主義が強すぎるためなのだろうか?情報量が多くなり、不良品が出たのかは分かりませんが、気になる事件。何があったとしても、人々の興味を無理に引く事のないよう、自然に共感され、興味を持たれ、納得してもらえる番組作りをしてほしいと、つくづく思うこの頃。1084ジェットコースター

  • 1083 至難の技

    また、テレビマンの世界は、視聴者には考えられない、過酷な職場でもあるのです。ジェットコースターの後ろ向き乗り、後ろ向き走りや、高所恐怖症の解消は勿論。野球中継などでは、どこへ飛ぶかも知れないホームランボールを、一瞬たりとも、見逃す事は許されません。小さなファインダーに望遠レンズ、当たった瞬間の初速度は想像出来るかと思いますが、球を捉え続けるのは、至難の技で、かなりの熟練を必要とします。また、一、三塁にランナーが出、一打同点の時などは、盗塁をするのか、先にホームを突かせるのか、両監督の腹の内を読み、全スタッフが瞬時に連係プレー。臨場感溢れる内容を放送。他のスポーツのルールやマナーは勿論、政治経済、芸能界や水中撮影など、あらゆる分野の勉強。そして、張り込み取材にいたっては、忍耐あるのみ。ジェットコースター後ろ向き乗...1083至難の技

  • 1082 事故取材

    思い出したくない事件もあります。雄巣鷹山日航機墜落事故。取材活動の帰社後、スタッフの食欲が進まず、落ち込みが、激しかった事には参りました。真夏の出来事、犠牲者と、泣き崩れる遺族の姿が、あまりにも多過ぎ、山全体を覆う臭気と、霊気中での取材。生々しい現場を見、精神的に受けたショックが、大き過ぎたのです。食べ物を見ても、衣服を焼き捨てても、風呂に何度入っても、あの臭気が鼻にこびり付き、色々なシーンが蘇って来るのです。遺族の事を考えると生々しいことを書くと不謹慎ですが、何気なく見ると木の枝に肉片がぶら下がっていたり・・ほんとうにスタッフの脳の構造が破壊されかねないのです。極力対話をし、冥福を祈り、元気をとり戻させる迄には、1カ月必要でした。世の悲惨な出来事でも、いち早く、正確に伝えるのがテレビマンの務め。二度とあのよう...1082事故取材

  • 1081 禁止用語

    聞いただけで、金切り音が、奥歯から後頭部へ引っ吊る感じがし、一晩中、凍て付き、お願いだから、このセリフだけは、絶対にやめてもらいたい.と思いますが、これは、自分だけの問題ですので仕方がありません。せめて、我が家のテレビだけは、このセリフを禁止用語とし、スピーカーから出ないよう、改造出来ないものか、と考える、寒がりやの小心者。他にもテレビの裏側には、色々なエピソードがあります。鉄塔での高所取材時、スタッフが、本番終了までは無事でしたが、いざ降りる段になり、下を見た瞬間、高所恐怖症が走り、降りるに、降りられなくなりました。下から声をかけるにも、見向きもせず、ボンドで貼り付けたのではないか、と思われるくらい、ベッタリしがみ付き、ワナワナと震える姿は、人間セミその物、お笑い番組のシーンのようで、笑ってしまいそうですが、...1081禁止用語

  • 1080 墜落寸前

    氷や雪など、無縁の世界で育った人間が、冷凍倉庫へ入れ、と言われると、冗談抜きに、どうしても浮かんで来るのは冷凍人間。恐怖を感じ、拒否反応は間違いなく出て来ます。もし皆さんが、これから乗る飛行機が、間違いなく墜落する、と分かっていても、乗らざるを得ない場合の事を想像すると、タラップを登る靴は、30キロにも感じるのではないだろうか。ドアにしがみ付き、墜落寸前に、飛び降りたい心境になるかと思います。ひかるにとって、冷凍倉庫は、このような間違いなく死ぬのではないかと、恐怖を感じるところで、今だに零下30どという言葉は、身震いがするセリフ。嫌な番組に、冬の天気予報があります。予報官が、「シベリアから、零下30度の寒気団が南下し・・・・・・」1080墜落寸前

  • 1079 画像

    天気予報1079画像

  • 1078 美顔人「ビガント」

    思わず拍手喝采、乾杯!乾杯!と言いたくなる、素敵な女性には、「ビガント!、ビガント!」と賞賛しようではありませんか。現実は、オバタリアンなる言葉が流行っており、残念至極。もし、オバタリアンと呼ばれる行動があったとしたら、即、反省すべきではないだろうか。日本女性として、ビガント姿。子供達に、見せつけよう。世界へ、見せつけよう。オバタリアンと、呼ばれるな!オバタリアンと、呼ばせるな!オバタリアンと、さようなら!冷凍人間?テレビ界就職直後の昭和40年、晴海に新設された、零下30度という、冷凍倉庫取材に遭遇。当時は、冷蔵庫自体の普及率は低く、冷凍室付の冷蔵庫は未発売。冷凍という言葉すら殆んど使われていませんでした。冷凍倉庫自体も、初めての開業で、大きな話題として、取り上げられたのだ。常夏の地で育ったひかるには、零下30...1078美顔人「ビガント」

  • 1077 麗婦人

    辞書には、貴婦人、麗婦人という呼び方はありますが、普段、素直に呼ぶには、ゴロ合いが、あまり良くありません。素敵な日本女性を表現する、大事な言葉が、近代化から、取り残されているように思われます。これで良いのだろうか?女性の社会進出が著しい昨今、公式な場所やパーティー等で、素敵な女性に乾杯、と言う気持ちを表現出来る、総称が必要ではないだろうか。女性議員は、すぐにでも実現すべきで、実現の暁には、第1号の総称で呼ばれる事でしょう。そして、しかるべき国語として定め、教育にも取り入れ、外国にもアピール。小中学生の女の子達が、大人に成った時、あの総称で呼ばれるような、素敵な女性に成りたいと、自分を磨き、実現出来た時、本当に、幸せを感じるのではないだろうか。個人的な提案ですが、清らかで、品位のある、美しい心の素敵な女性、美顔人...1077麗婦人

  • 1076 因果応報

    己の子の個性を一番知っている親が、その個性を後押しすることで、立派な人間に成るのです。「子供は、親の背中を見て育つ!」このままでは、どんな大人が出来上がるのだろうか。因果応報は、巡り巡って来る。苦労して育てあげた子供達に将来、オバタリアンと呼ばれ、平気でシルバーシートを占領する、大勢の娘さんが出来たのでは、皆さんが、結果的に辛い思いをするのでは無いだろうか。娘よ!貴方は、素敵な女性になれる!決っして悪い点は、真似する事なかれ!一歩引く、貴方の心美しい・・・そして、女性は世の宝。女性無しに世の中成り立たず、男女雇用機会均等法も出来、議員や管理職等、女性は、世の中を動かす大きな力となっています。そして、所狭しと活躍する、素敵な女性が、大勢見られるようになって来たのも事実です。日本は、美を重んじる国柄。昔の男尊女卑の...1076因果応報

  • 1075 台無し

    娘時代は、そうでも無かったはずなのに、自分さえ良ければいいのか、と聞きたくなり、切符を買う時、乗り物に乗り込む時も品のない素行に度々会い、やはりオバタリアンだと認めざるを得ない場面に出会うのは事実である。何も先んじたからとて、長生き出来る訳ではなし。飛び抜けて幸せとも言えないだろう。綺麗な衣装を纏い、化粧をしたとしても台無しで、悲しい限りだ。おそらく、バーゲンやスーパーの限定品売り出し等で、早い者勝ちの行動が、何時の間にか身に染み付いているのであろう。大売り出しは、直接財布に影響が出るのでやむを得ませんが、他での押しのけ、へし分け出る行動は今日限り止めて貰いたい。娘が母親の行動を見て育ち、子孫末代まで引き継がれて行くのか、と思うと、空恐ろしくなります。道徳や人生を教えるのは、親の努め。なまったれ親が事あるごとに...1075台無し

  • 1074 二つの給料袋

    妹は生涯、片足補装具で生きるしかありません。補装具でも仕方ない、しっかり自分の人生を歩んで欲しい・・・決っして忘れない、あの時の笑顔を。「兄ちゃん!私、給料袋を、二つ貰えるように成ったのよ・・・」現在、不愉快な言動ではあるが、オバタリアンが定着しています。電車がホームに近づくと、周りをキョロキョロ、ソワソワ見、前の席が空くならともかく、所かまわず、空席を取らないと、人生が大損するかの如く、席を立つ人とぶつかり会いながらでも、席を確保する姿。降りる流れに平気で逆らう姿。1074二つの給料袋

  • 1073 障害者自立

    しかし、見事に合格、「電卓のおかげだった」と、お礼の連絡に、心から祝ってやりました。あえて妹の事を記したのは、障害の有無に関係なく、平等に与えられた、この元気に打ち続ける鼓動がある限り、自身の置かれている立場や状況を正面から見つめ、鼓動に負けない、強い心、唯一最良の道を選択して行けば、素晴らしい人生が送れるものと確信し、体の不自由な人達が、一人でも多く障害を乗り越え、社会の一員として胸を張り、堂々と生きて行って欲しい、と願うからである。おそらく我が家は、福祉の光の届かない、日本南端の、最も貧しい家庭だったでしょう。障害者と両親が、貧しさゆえ、2千キロという壁を乗り越えられず、会う事叶わぬ状況下、幸せを求め続けた、家族の絆、障害者の励みになれば、と・・・最近、自分で決断し、実行する妹の姿を見る時、「この妹に幸多か...1073障害者自立

  • 1072 特級

    しっかり自信をつけ、笑顔が戻った妹に、1番辛かったのは、何んだったんだと聞くと、体育の時間が1番辛かった。何度体育の時間がなくなればいい、と思ったことか、と小さな声での呟き。島の広い運動場、友達が木登りをし、飛び回る姿、一人で見ているのは辛かった事だろう。手術の傷跡が多く残る足を「よくも私の足、魚の腹わたを取るように、あっちこっち切り開いてくれたもんだ」と笑って言っていました。東京での生活、銭湯へ行くしかありません。傷跡の多く残る、麻痺した足を人前にさらす事は、辛かっただろうに・・・耐えるしかなかったのです。あれから何年か経った後、今度は、一級国家試験の更に上級、特級に挑戦するとの事で、ルートやパイ、微積分などの入り組んだ、ややこしい計算式を、どうしたら解けるのか教えて欲しい、と持ち込まれた。特殊な電卓をプレゼ...1072特級

  • 1071 技能検定試験

    でも大事な時は、必ず相談をしてきたので、こんどのことは、たいした事はないだろう、とあまり心配はしませんでした。数ヶ月経過後、妹が、縫製技能検定試験、国家試験に合格したので、祝ってやって欲しいと、友人からの連絡。受験のため、部屋中問題を張り、教材などで、足の踏み場もなく、人を部屋に入れる状況でなかったとの事でした。その内、母校の東京都身体障害者職業訓練校から、後輩達のため、週二日の実技指導と講義を引き受けて欲しい、と言われている、との相談。10年以上もお世話になっている縫製制会社だけど、最悪の場合は、やめる事を覚悟し、講師の仕事を受けるべきだ、とアドバイス。学校側からも縫製会社に口添えがあり、会社勤めと講師の仕事を両立。一級縫製技能者、という事で、会社や得意先からも信頼され、サンプル品や高級品の縫製からサイズ直し...1071技能検定試験

  • 1070 神さま・・・

    片方の足でペダルをこぐ乗り方を必死に練習。遊び盛りの姿を見、何んでこんな目に会うのか。完全にマヒした足、妹は、いつも男の子のように、ズボンを履くしかありません。他の女の子同様、スカートを履かせてやりたい・・何んで、スカートが履けない体になったんだ!何んで3歳の女の子が、杖をついて歩かなければならないんだ!何んの罪も犯していないのに・・・何んで幼い女の子に、過酷な試練を背負わせるんだ・・・何んで、不公平な扱いをされなければならないのか・・・神様がいるなら助けて欲しい・・・妹のマヒした足を見るたび、動作を見るたび、涙が止まりませんでした。ひかるより妹のほうが、悔しい思いを数千、数万倍した事でしょう。不自由な体での行動範囲はわずが、車を自由に乗り回し、本当の足代わり、見聞きする喜びは、人生最大の喜びだった事でしょう。...1070神さま・・・

  • 1069 行動範囲

    無口で必要な事以外はしゃべらない、兄にすら一度も笑顔を見せなかった妹が、車庫入れで失敗した事や、S字カーブで踏み外した事など、笑顔でしゃべりまくっており、30年以上も背負って来た何かが吹っ切れた様子。このきっかけが自信となり、妹の人生は大きく展開していきました。車を購入、地方出身の同僚達と、お盆やお正月に友人の田舎へ同行。色々な土地や人との出会いや、見聞あり。車が本当の足代わりとなり、あっという間に、日本全国が行動範囲になったのです。やっと走り回れる3歳時、「兄ちゃん、遊んでくれ」と、追いかけていた姿が、思い出されます。突然、引き付けを起こす程の高熱にうなされ発病。妹は自分の2本の足で、元気に歩いた記憶は無いでしょう。小さな島には松葉杖とてなく、竹すらありません。まっすぐな木を与えると、船の櫂を漕ぐようについて...1069行動範囲

  • 1068 奨励制度

    夢見る少女心のショックは大きく、お互い気まずい無言の一時があり、「帰る!」と一言残し、トコトコ出て行きました。その後、数年間の音信不通があり、ひかるの方から連絡、「運転免許を取ったらどうだ」と持ちかけると、どうせ「障害者なのでしょ」と、蚊の泣くような小さな声での返事。やはり数年もの間、その一言が、忘れられなかったのでしょう。「障害者が免許を取得する場合、東京都には奨励制度があるし、大丈夫だ」と説得すると、長期休暇が取れそうにもない、との事。会社の方には、兄からお願いしよう。長年働き、休暇の目的もはっきりしている事だし、理解してもらえるはずだと。妹は最後に、全ての段取りは、自分一人でやってみる、と言って納得しました。数ヶ月後、「取れた!免許が取れた!」と、弾んだ声で連絡があり、祝ってやりました。よほど嬉しかったの...1068奨励制度

  • 1067 乙女心

    ひかる24歳。妹が上京するとの事。友人、及び親戚がなく、優しい言葉をかけてくれる人も居ない、厳しい東京で生きて行けるのだろうか。片方の足は完全に麻痺しており、パスポート持参。15歳の少女である。しかし、妹は余り干渉されない東京で、ひっそり生活したかったのでしょう。小さな島、偏見の中で育ち、生きる全て、唯一の頼りは、兄だったのでしょう。幸いにも東京都の身体障害者職業訓練校へ入学、卒業後、訓練校の紹介で縫製会社へ就職。会社の寮へ入れました。数年後、同業他社へ転職した同僚から、「今までより条件が良いので来ないか、との誘いに乗りたい」との件で、相談。無計画で、衝動的な行動に、思いっ切り叱ってやりました。元気な友達は、あっちこっち転職するかも知れない。お前は障害者なのだから、他人の真似事はするな!じっと我慢しろ!と。妹は...1067乙女心

  • 1066 極限状態

    台風に嫌という程痛めつけられようとも、島を出たくとも出れない。引っ越しをする事など、とても考えられず、前にも行けず、後へも引けない、極限の状態にあり、ただ只、じっと時を過ごすしかない。これしかない!幼い頃抱いた失望感が無くなり、以後、立派な父に見えるようになりました。また台風は、殆んど雨を伴いますが、子供の頃、雨のない、からっ風台風が襲いました。台風通過後、しぶきで覆われた島全体が焼け野原の如く枯れてしまい、家畜はおろか、人間さえも生存が危ぶまれる状況。もし、本土を雨を伴わない台風が襲った場合、しぶきは風に乗り、海岸線より数キロ内陸部まで運ばれ、枯れ野原化、膨大な塩害が出る事でしょう。台風の雨は、しぶきを洗い流してくれる、人間や自然にとっては、大事な恵みの雨なのです。この地方では、島全体を焦土と化す、からっ風台...1066極限状態

  • 1065 自然

    単純過ぎる答えの様ですが、登山者に、何んで山に登るのかと聞いたとしても、山が有るからだという答えの如く、岩と波がある限り、千年先も、1万年先も、只、「これしかない!」と繰り返す。自然の摂理だったのです。そして、台風が過ぎ去った翌日、父が畑を見回るのについて行きました。大切に丹精込め、育て上げた作物は、揺さぶられ、薙ぎ倒されています。うつろな眼差しで、何やらブツブツ呟き、根本に盛土する父の姿を見た時、哀れで、かわいそうに見え、反面、怒りを覚えました。台風は、間違いなく毎年来る。近所の人達は、このような生活に見切りをつけ、歯が抜けるように、島から出ていく中、何んで父もそのような生活を求めないんだろうか。この父は、馬鹿じゃなかろうか、と言いようのない失望感に襲われました。しかし上京後、必死に生きる中で、父の本当の気持...1065自然

  • 1064 鬼の顔

    そして台風通過後、一面に油を流し込んだような穏やかな水平線。嵐の前の静けさ、という諺がありますが、嵐の後の静けさの方が、はるかに静かです。なぜ、あれだけ熾烈な戦いをするのか?静かにしていればいいのに・・・なぜ無意味な戦いをするのか?普段は遊園地であり、色とりどりの熱帯魚達が見せてくれる、アニメの世界。穏やかで、母のように優しい海が、何んで異様な音を出し、激しく、恐ろしい海に変わるのだろうか?激しさと静寂さが目の前に繰り広げられる時、静と動、鬼の顔と母の顔。この相反する変化に疑問を感じ、この二つの顔の持つ意味が、どうしても理解出来ませんでした。しかし後日、過酷な試練を味わった時、自分なりの答えが出せたのです。本当に苦しい時にとれる方法は、背を向けるか、前へ進むか、この二つしかないはずだ。背を向ける事は簡単ですが、...1064鬼の顔

  • 1063 巨大台風

    海鳴りは耳をつん裂き、雨は天から降らず、横から殴りつけ、風雲波は三つ巴となり、巨大な洗濯機が渦巻き、暴走するが如く、自然の猛威を見せつけ、荒れ狂い、小さな島は恐れ慄き、震えているかのよう。人間の存在は、あまりにも小さく、地面を這い、神とて何んら頼りになりません。そして三つ巴となった風雲波の怒りの挑戦を受けて立つのもまた、大自然で、どれ程痛めつけられようとも、負けるものか、と受けて立つのは、岩でした。人工的に作られた防波堤に叩きつける波は、30メートルものしぶきをあげ、音も想像出来るかと思いますが、大自然の熾烈な戦いは、えぐれた岩の横腹に、下からしゃくり上げる時、しぶきは粉末状に、前方へ飛び散るだけ。搾り出れる音も、これまた想像も出来ない、炸裂、唸り声の異様な合体音。巨大な鯨が、押し潰され、もがき苦しみ、訳の分か...1063巨大台風

  • 1062 難問

    ひかるが中学生の頃、人生最大の難問にぶつかりました。島の生活や子供達にとって、海は切っても切り離せない重要な存在。都会の子供達が、公園や遊園地で遊ぶように、海と魚は、遊園地や動物園であり、熱帯魚と戯れ、遊んで育ちました。しかし、一度台風が荒れ狂うと、恐ろしい海に変化します。瞬間最大風速、70メートルの台風が暴れ狂った時の事を想像してみてください。普段は、波と岩が何気なく、仲よく調和しており、さざ波が、えぐれた岩の横腹をくすぐり、今は、眠たいから、くすぐるのはやめてくれよ、と戯れているように見えますが、一度台風が襲い暴れだす時、目の前に現れた姿は、凄まじいものでした。木々は否応なしに揺さぶり、ねじ伏せられ、風雲は、摩擦のあまり、雷音稲妻と化し、海は、怒涛のうねりを片時も休む事なく送り続け、攻撃の手を緩めません。1062難問

  • 1061 試練

    このままいけば、日本の放送業界は、儲けの大半をごっそり、アメリカへ上納する事になる。反米感情の激しいひかるにとって、とても許しておけるものではない。早速立ちあがったが、とても一人の力で太刀打ち出来るようなものではない。それこそ、死闘と呼ぶにふさわしい試練が待ち構えている。しかしひかるは、3年をもって、日本からアメリカ製VTRの影を抹殺する。そして、5年後には、日本のVTRが、全世界の放送局を独占したのである。また、日本のVTRが軌道に乗るやいなや、「日本の野球中継を、アメリカ大リーグ野球中継に負けない番組にしたい」という話が、ひかるに持ち込まれた。アメリカと聞くだけで、「やってやろうではないか!」と即座に行動開始。やっと野球にスローVTRが一台導入された時期だと言うのに、一気にスローVTR6台を導入し、当時、誰...1061試練

  • 1060 VTR

    ロケーションを多用した番組作り、ひかるにとって、それ自体は朝飯前の仕事だ。並行して、大きな壁が目の前に立ちはだかったのである。それは、VTRの問題だ。当時日本では、アメリカアンペックス社のテープ幅2インチVTRが導入され、独占していた。勿論、ローカル局では買えない代物で、キー局に5、6台納入されていたから、NHKも含め、国内には30台前後が導入されていたであろう。なんといっても、目玉が飛び出る程の値段で、日本のメーカーでは、パテントなどがあって、真似の出来ない。極めつけは、可搬型のVR3000という、旅行トランク大の機種で、アンペックス社とNASAが軍事偵察機搭載用に開発したという、当時の最先端技術が集約された機械だ。キー局すら持てず、パビックという会社とひかるの八峯テレビしか持っていないため、ドラマロケやスタ...1060VTR

  • 1059 熱意

    どうせなら、半端でない覚悟を持って、一気に攻めよう、それしか道はない」と説いたのである。いや、間違いなく、説教だった。あまりの熱意に社長は、反省をした。飛び出した連中は、折あらば、更に社の弱体化をさせよう、取って代わるべく、虎視眈々と狙っている。それに比べ、注目もされず、黙々と仕事をし、管理職の機会を与えられなかったこの男が、本気で社を憂い、例へどのような事があっても、最後まで残って踏ん張ると言い切る。「飛び出したい人は、飛び出せ!自分は最後まで残る、看板は俺がはずす!」と不動の姿を見せるひかるを見直したのである。逞しく、一回りも二回りも大きく脱皮した姿で、全社員に号令を発したのである。社長は、自分の人材登用が間違っていた・・とそして最後に言った。責任は、すべて社長である自分がとる、社長の采配すべて任せる、存分...1059熱意

  • 1058 パスポートから解放

    そして、パスポートを焼き捨てた時、本土の同期の連中と論争も出来る、ケンカも対等に出来る、と目に見えない鎖の呪縛から解放されたのである。そんな事は多分、体験した人にしか分からない事であろう。そんな時、窓外族から、社の中心へ戻るはめになったのだ。そしてひかるは暴走した。今度はいい意味での暴走だ。同期の連中は、管理職として登用され、会社の経営にまで携わり、後輩達からは、一目もニ目もおかれていた。それが、徒党を組んで会社に反旗を翻したのである。ひかるにとって、その行為は許せなかった。今まで従いて来た後輩たち、女房子供もいるだろうに・・自分の利益ばかり考えていいものか!と頭へ来たのである。社の中心に座ると、ひかるは重役や社長を論破した。そして社長には、三日三晩、いやと言われても追いかけ回し。「取り巻く状況は最悪だ、しかし...1058パスポートから解放

  • 1057 帰れ!

    その内ママさんも女の子も米兵のテーブルへ、ドル紙幣を胸へ入れ、きゃっきゃ、と騒いでるのである。そのはしゃぎぶりを聞いていると、ムラムラと反米感情が湧きあがってきた。日本の女も女だ、お前ら売春婦か!、とどなりつけたかったが、その怒りは米兵へ向かった。いきなり米兵の所へ行き、胸ぐらをつかみ、「ヤンキーゴーホーム!」、と怒鳴り付けたのである。上司がいたので、壊した備品代は払ってくれた。そして翌日から「この男は、外人の居る所に、決して出入りさせるべからず、外人に近づけるな」という、お振れが社内へ回った。そういう事があってから、ひかるは自分の感情がコントロール出来なくなる事を恐れ、極力部下はいない方がいい、と一人黙々仕事をしていたのである。事実、酒の席で喧嘩、空手のヌンチャクを振り回し、相手を怪我させ、即ブタバコ、即会社...1057帰れ!

  • 1056 米兵

    ひかるは、入社早々ある事件を起こした。友人、上司と府中駅前の飲み屋へ行った時の事である。スナック風の飲み屋で、4人で楽しく飲んでいた。店はママさんと、若い女の子が一人手伝っているだけで、小ぢんまりした店であった。かなりアルコールも回った頃、米兵のお客が二人入って来た。近くに調府基地があり、その近辺は結構米兵がいたらしい。思春期を沖縄で過ごし、敗戦後、米兵はやりたい放題。勝ち誇った米軍による犯罪、本土では報じられない事が日常茶飯事起きていた。犯人は沖縄の裁判所で裁く訳にはいかない。勿論、日本の法律も通用しない。米国へ送還され、どういう処罰が下されたか知る権利もなかったのだ。当然、この地区で青春時代を過ごした連中は、否応なしに反米感情が、叩き込まれていたのである。米兵が入ってくると、ママさんの態度は一変、目いっぱい...1056米兵

  • 1055 魔法の箱

    当時、テレビ局はカラー放送、ネット局充実へと殆んどの資金、人材が当てられ、番組の内容がスタジオ中心で、マンネリ化している事に気が付く人はいなかった。ひかるにとって、テレビは単なるテレビでなく、何時までも魔法の箱であって欲しい。テレビには、団欒があり、子供達はテレビで育ち、教育にまで影響しかねない。新しい知識を得る場でもあり、遥か彼方の山や川、望遠鏡ですら見えない風景や景色がある。行った事もない、国や場所で営まれる人々の生活も垣間見られる。ふるさとがあり、夢があったり、人々は生涯、どれくらいテレビと対面するのだろうか・・子供の頃見た、魔法の箱、テレビは未来永劫、魔法の箱だ。テレビの、命は番組です。知性、感性、人間性にあふれる番組を作り、感動、興奮を、お茶の間へ届けよう。そして、テレビに恋した男が贈る言葉。テレビは...1055魔法の箱

  • 1054 番組、ねるとん紅鯨団

    タケシの番組でロケを担当させたMカメラマンを、ねるとんに起用、ロケの経験が豊富で、他のカメラマンとの連携がスムーズに行ったのである。勿論オールロケで、これ程充実した内容の番組が出来る、という事で、業界では予想以上の評価を得る事になったのである。労使問題で青息吐息だった会社が、誰もが目を疑う活況ぶりだ。当然、業界では注目され、後にフジテレビ100%子会社と成って行く。アナウンサーの早稲田出身、露木氏はじめ、東大、慶応出身者が周りにゴロゴロいるが、ひかるは益々異彩を発揮していく。威張る事なく、腰が低い、テレビの命は番組だ!、と茶の間を意識。人間として生まれ、一番愚かな事、一番の不幸は、せっかく親から貰った知恵を、使う事なく、墓場へ持っていく事だ!とひかるの口癖は響き渡っていた。1054番組、ねるとん紅鯨団

  • 1053 低コスト

    こんな時間帯に、中継車を使って、番組を作るなんて、とても考えられない・・・・といわれたのである。この番組は、スタジオで番組を作る以上の、素晴らしい画が、低コストで、茶の間に届けられたのである。ロケの場合、だいたいバッテリーは5、6個持っていく。ねるとんは、4チェーン必要なので、照明やVTRなどを含めても、30個前後あれば十分だ。他にも、海外や国内ロケがあるが、トータル的には問題なし。このシステムは、威力を発揮したのである。スタジオの音楽番組やドラマなどは、台本があって、ディレクターが、カット割りを決めていく。重要な仕事である。ロケの場合、いちいちカット割りなぞ言っていられない。カメラマンが、全体的な画の構成、流れを把握していく必要がある。かなり高度な能力を必要とされるが、バッテリーの問題が解決され、番組内容に集...1053低コスト

  • 1052 4分割画面

    編集時に、スタートマークを揃え、同時にスタート、4分割画面に、それぞれの画をはめ込んで編集ポイントをチェックする。早い話が、4画面を見て、タッチをしていけば、面白い表情が、リアルに編集出来るというシステムだ。もちろん、素人相手なので、従来のストップ、スタートを繰り返していたのでは、とても表情が硬く画像にならない。まかり間違い、演技をつければ、完璧なやらせになってしまう。勿論、常に当時では、最高倍率の望遠レンズ、高感度のカメラを用意、かなり離れた距離から、カップルをねらう。カップルは、近くに人もいなければ、カメラの影もないので、普通の恋人が恋を語るように語る。皆さんが、テレビを見、その状況は知っているだろう。編集も、例えば、プロポーズシーンで、別の男が、まった!誰が見たとしても、生放送、あるいは、それ以上の内容だ...10524分割画面

  • 1051 電光石火!

    恐るべきは、このBP90なるバッテリイー、あらゆるロケの電源として使われ、なおかつ、30年をたった今でも活躍中。ひかるの着想、電光石火の決断が、ロケの電源を統一、安定させたのだ。このバッテリーは照明やVTR,音響機材など全てのロケ機材の電源に使われ、各メーカーが統一電源で機材開発、設計が出来、日本の映像業界が世界の先駆者に成ったのは言うまでもない。いち早く電源を統一、投資リスクを軽減できた業界は五十年以上もアメリカの放送NTSC方式から脱却。デジタルのスカイツリー時代を築いて行ったのである。ねるとんでは、今までにない,まったく新しい多重ロケ方式が採り入れられた。常に、4台のカメラとVTRが対になっており、同時にスタートさせ、テープが終わるまで、一切ストップをさせない。4台のカメラVTRが回っている状態で、映画で...1051電光石火!

  • 1050 改革実行!

    ロケを採り入れた番組を作りたい、誰もが考えうる発想だが、具体化するには何らかの着想が不可欠だ。当時のロケ、一番の難点はバッテリー問題だった。ひかるもカーバッテリー等、あらゆるバッテリーを考え、実験したが、やはり無理だった。試行錯誤、明けても暮れても実験中、小型弁当箱大、きゃしゃに見えるが、ビニール樹脂でコーティングされた物が目に止まった。テストをすると十分行ける代物だ。ひかるは、これで放送業界を一変させられる、と小躍りした。BP90という型名で、早速チャージャーを分解、誰もが驚く75連のフローティング式チャージャーを部下を動因し、一月もたたない内に完成させたのである。メーカーが4連式を得意になって売り込みに来たが、75連を見せると、腰を抜かさんばかりに驚いた。こんな事をする人など、想像も出来なかったであろう。タ...1050改革実行!

  • 1049 苦境

    しかし、ひかるは苦境に立たされれば立たされる程、頭を使う。次から次と、誰もがあっと驚く奇抜な策を行使、放送業界全体をも覆すリーダーシップを発揮して行くのである。二度にわたり、管理職が有能な社員を引き連れ独立、残された社員が殆んど組合員、会社の存亡すら危惧され混乱。当然、沈静化するまで待とう、何んとか無難に切り抜けよう、と守りに徹するのが普通である。しかし、ひかるは全く逆の発想だ。こういう時だからこそ、打って出る、しゃにむに攻撃態勢を取り、社内の目を組合騒動からそらせ、一丸にする。攻撃目標も、生半可でないどでかい目標を掲げる、という発想だ。当時のテレビはドラマやクイズ花盛りで、スタジオ、局内中心で作られている。ロケを大量に取り入れ、山や川、家の中まで入り込み、外部の映像を茶の間へ届けよう、番組作りの土俵を強引に外...1049苦境

  • 1048 本土復帰

    20代後半、沖縄が本土復帰をする。ひかるは大事にしていたパスポートを焼きすてた。ひかるの中で何かが吹っ切れたようだ。そしてちょうどその頃、社内には、一大異変が起きていた。第一期入社の同期の連中は、管理職として、各部門を統括していたが、よりによって、その連中が、束になって、会社を辞め、別会社を設立し、従来の仕事をそっくり持って独立していったのだ。労使問題でガタガタしているとはいえ、発注先であるフジテレビ゙が、設立されたばかりの、資本の入っていない独立会社へ翌日から仕事を廻す。明らかに契約違反であり、フジテレビは、ひかるの会社を潰しにかかった、と解釈されても仕方のない事情であった。取り巻く周りからもかなり注目されている中、唯一残った第一期生、ひかるは、社のどまん中へ担ぎ出されてしまったのである。1048本土復帰

  • 1047 焼き鳥屋

    カラー放送も軌道に乗り、毎年新入社員が大量に採用され、社内は活況を呈していく。しかしひかるは、冷暖房完備、皆んなが好むスタジオの仕事より、外の中継の仕事を自ら好み、王、長嶋選手の活躍していた当時の野球中継、ファイティング原田のボクシング中継、コント55号の萩本欽一とは、関東近辺の公開場をドサ回りをしていた。たっぷり汗をかき、焼き鳥屋で仲間と酒を飲むのが、一番の楽しみだ。年々増える社員に、同期の仲間達は、主任、課長、部長へと次々に出世していくが、ひかるには、全く無縁であった。窓際族というよりは、むしろ窓外族。課会や部会、全体会議があっても、外回りのため全く出席しない、出社しても機材室へ直行、機材をまとめ、そのまま中継で、帰って来るのが夜遅いから、管理職や上司と顔を合わせる場がないのだ。しかし、上司の批判を焼き鳥屋...1047焼き鳥屋

  • 1046 倒産

    東通は、TBSから社長が送り込まれ、経営陣もTBS色が強かった。第一事業所がTBS内に置かれ、第二事業所が、フジテレビ内に置かれた。頭が良く、入社試験の成績の良い奴が、TBS内第一事業所に、配属されたと言れたが、たぶん事実であろう。TBSはドラマ制作に力を入れ、ドラマのTBSというイメージで、フジテレビは、ピンポンパンなど子供番組がヒット、母と子のフジテレビというイメージで、両局とも快調に業績を伸ばしていった。そして、お互いがライバル局として見るようになり、第二事業所は、後に100%フジテレビ子会社化していくのである。バブル時、東通の経営陣が、巨額の資金をゴルフ場開発に注ぎ込み、バブル崩壊と同時にあっけなく倒産した。新聞紙上を賑わせ、昨日まで社長と崇めた社長を、今度は社員が放送カメラを持って犯人扱いで追い回すと...1046倒産

  • 1045 巨人戦

    年間、140試合とすると、70試合は、日本テレビが放送する。残りの70試合が、五つの球団、14試合ずつ分割されるという事だ。横浜は、TBSと資本関係にあり、横浜対巨人戦14試合は、必然的に放送する。フジテレビは、ヤクルトとの資本関係で、ヤクルト巨人戦14試合を、必然的に放送する。それ以外に中日、阪神、広島もそれぞれ14試合ずつ権利がある。例えばフジテレビだと、ネット系列の関西テレビが、阪神や広島などと交渉し、放送権を獲得する。それを、関西テレビ発、フジテレビ系列で全国放送するという訳だ。勿論、名古屋にもネット系列の局があるので、そこ経由で放送するという事。TBSと、フジテレビ系列で、年間、だいたい55本くらい、半々で放送する。残りの15試合をテレビ朝日やNHK、はたまた日本テレビの系列局で争奪戦するという形にな...1045巨人戦

  • 1044 TV界、就職状況

    ひかるは、難なくテレビ界に就職出来たのである。(TV界が、これ程急発進、急展開する事は、誰も予測出来なかったのである)求人広告で目を引いたのは、赤井電気という、中堅企業であった。待遇が、他の会社に比べ、格段に良かったのである。クラスの秀才達は、その赤井電気に殺到した。15年前後、新聞の見出しに、赤井電気倒産の記事を見た時、胸をなでおろした。会社更生法で、存続はしたようであるが、就職した、ずば抜けて頭の良かった友人達の顔が、頭をよぎったのである。ひかるは、さほど頭がよくなくて良かった。幸運であったと、しみじみ感じたのである。また、頭がよくなくて良かったと思われるような幸運が、これから先、何度もひかるに訪れるのである。野球放送は、巨人戦を中心に編成されている事は言うまでもない。野球ファンの5割は巨人ファンと言われ、...1044TV界、就職状況

  • 1043 民放

    民放では、巨人戦、プロレスの放送権を持つ日本テレビは、後から開局したTBSやフジテレビに比べるとダントツである。TBS、フジテレビは、日本テレビと比べると、横綱と序の口の勝負で、とても歯がたたない。そこで、なんとか日本テレビに対抗出来ないものか、と考えたあげく、手を組み、両社で資本を折半し、カメラマンやオーディオマン、映像マン、照明など、番組制作技術スタッフプロダクションを設立したのである。その会社は東通という会社で、後にカラー放送が始まり、バブルの時代になると破竹の勢いで伸びていく。その後、日通、電通に迫り、日本の3通と呼ばれるまで急成長していくのである。昭和40年、ひかるは、その東通の第1期生として華々しく入社したのである。ひかるが夜学卒業時、求人板には、今の名だたる家電メーカー、東芝や日電、松下やソニーな...1043民放

  • 1042 TV創世期

    昭和30年代、NHKに続き、4チャンネルの日本テレビ、6チャンネルのTBS、8チャンネルのフジテレビ、10チャンネルのテレビ朝日、12チャンネルのテレビ東京の順に、民放は開局していった。NHKは、ニュースが主体で、民放は、王、長嶋選手が活躍する野球放送、力道山が活躍するプロレス中継が、横綱的存在の番組であった。世相も、戦後の混乱期を脱しバブルの助走時代、人々は工場で汗、油まみれに働き、野球放送とプロレス放送を見ることによってストレスをはらしていた。当然まだ白黒放送で、放送時間も、現在みたいに、一日中放送しているわけではない。夜のゴールデンタイムと昼メロが主で、昭和30年代後半になると、朝のモーニングショーがヒットし、その後、午後3時代の番組も放送されるようになったのである。1042TV創世期

  • 1041 真夏のオーバーコート

    また地震や緊急の災害時、持ち出す物は色々有るかと思いますが、オーバーコートが一番役に立つのではないだろうか。コートを羽織る事により、風雨が凌げ、見通しの良い場所でも、下着などの着替えが簡単に出来、家の役目さえするのです。咄嗟の災害時、真夏でもオーバーコートを持ち出す、心の準備が大事かと思います。昨今は、粗大ゴミと陰口される父親像ですが、世の中平和過ぎ、父親の出る幕が少ないからとて、粗末にされたのではたまりません。何か一大事が起きた時、それなりに、毅然として立ち向い、頼られるのが、主の役目。今一度、それぞれの父親像を考えてみる必要が、あるのではないだろうか。1041真夏のオーバーコート

  • 1040 闇夜のあぜ道

    避難場までは、1キロくらいあり、風速70メートルの逆巻く突風は、前後左右から揺さぶって吹き、決して同一方向から、均一的に吹いて来ません。会話は嵐の中へ千切れ飛び、痛い程叩き付ける雨に、目も開けられず、風圧で、息をする事すら苦しく、顔をあげておられません。大人ですら、進むのが困難な状況である。闇夜の畦道、吹き飛ばされ、足に纏わり付き、やっとの思いで、避難場へ到着。不安な一夜を過ごしました。抗し難い、大自然の力とは言え、コツコツと築き上げた我が家が吹き飛ぶ。翌日からの生活を思い巡らし、家を後にする時、父親の気持ちはどのようなものだったのだろうか。南国の真夏、殆んど着る事の無いオーバーコートを着、荒れ狂う嵐に悠然と立ち向い、家族を守る。父の背中はあまりにも大きく、凛々しい姿として瞼に焼き付けられ、ひかるが生きていく中...1040闇夜のあぜ道

  • 1039 画像

    台風1039画像

  • 1038 避難

    父は、「台風は我が家を直撃する。この分だと屋根が吹き飛び、危険なので避難をする」と、ため息を残し、立ちあがりました。母は、「この嵐の中、どうやって避難所まで、行き着くのか」と、脅え声。(台風は目に向かって、左回りに風が吹き、一点にいて、刻々変わる、風向きと風力で、台風の目がこちらへ向かって来るのか、逸れて行くのか判断出来ます)具体的に北東の風が東になり、時間経過で強まり北東の風に戻ってきた場合、間違いなくこちらをめがけ直撃体勢に入っている事になります。父が、オーバーコートを出すよう、指示。風があるとは言え、南国の汗ばむ真夏。なぜ、オーバーコートが必要なのか?雨具代わりに使うのだろうか?答えはすぐ、出ました。母が大事にしまってある、一着しか無いオーバーコートを出すと、無造作の中にも、襟元をきつく絞り、ベルトをしっ...1038避難

  • 1037 最高の出会

    若い時代、多くの素敵な出会いや恋をし、色々な所へ行き、苦労もいとわず、冒険もし、多くのシーンを脳内に焼き付けておく事が、老後をより楽しく、幸せに過ごす、秘訣ではないだろうか。若い時代、人生のアルバムを、脳内いっぱい貯金し、周りの人々へ、幸せ貯金を放射出来る、年寄りになりたいものです。そのおじいちゃんも、人生をまっとうした、との便りを受け、ひかるは幸せエネルギーの放射を、体いっぱい受けられ、最高の出会いだったと、感謝しています。ひかるが小学校へ入る前の出来事で、瞬間最大風速70メートルくらいはあったでしょうか。大型の台風が、島を直撃。平たんな島は、風圧をまともに受け、遮る物は何も有りません。電気は無く、真っ暗闇の真夜中、轟音渦巻く風の音、激しく叩き付ける雨の音、そして、家がギシギシとマッチ箱を揺するが如く、激しく...1037最高の出会

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    [感謝の気持ちと一緒に]お父さん日本一日本酒飲み比べセットちょいボトル6本父の日2019年限定ラベル...内容量:180mL×6本福光屋ショップタイムショップタイム

  • 1036 脳内アルバム

    何んでそれ程までに、幸せを周りに放射出来るのだろうか?体力的には、庭の散歩がやっとで、寝ている時間が大半のおじいちゃん。不思議な力を感じ、その場を離れるのが勿体無く、ついつい色々な話をし、時を過ごしてしまいました。「今にも天国から、迎えが来るかも知れない」と平気でしゃべっている姿からは、死に対する不安が、微塵も感じられません。どうしてなのだろうか?話を聞くと、おじいちゃんの人生は、子だくさんの為、苦労は多かったが、楽しみも多かったとの事。大勢の子や孫の結婚や出産、名前を覚える事。進学や就職などの便りや写真が、脳内いっぱい詰め込まれていたのです。そして、脳内に詰め込まれた、写真やストーリーを寝ながらでも、瞬時に引き出し、何回でも再現し、毎日が映画を見ているように、楽しく過ごしていたのです。そうです、脳内に焼き付け...1036脳内アルバム

  • 1035 罪のない恥

    日本国教育を受けた人がいきなりこの字を見せられ、たなし、と読む人はいるのかな?以後、地名や人名には、注意をするようになりました。恥は、かけばかくほど、度胸がつきます。大いに、恥はかきましょう。罪のない恥を・・・・ひかるが、南の島へ帰郷した際、ある85歳のおじいちゃんと、ゆっくり話をする機会が有りました。おじいちゃんは、10人もの子だくさんで、孫やひ孫を数えると、40人は、いるとの事。子供達は、高校がないので、一度島を離れますが、もう二度と島には帰って来ません。おばあちゃんと二人っ切りは、淋しそうに見えるのですが、私は一番幸せ者だ、と自慢。事実、温和な丸みのある、幸せが滲み出ているのが、感じられます。1035罪のない恥

  • 1034 チャーハン

    「この男、笑わせてくれるではないか!」と今なら言えますが、当人は、何んで笑われたのか、皆目見当がつきません。訳を聞くと怒られ、「お前、それでも日本人か?」と言われた時には、頭に来て、むかつきました。当時はパスポートを携えての身分で、沖縄人が一番聞きたくない言葉で切れる瞬間。しかし、そこは、忍々の、人生修行の場。焼飯とチャーハンは、同じだったのでした。カラスの、白け鳥!失敗談には事欠かず、西武新宿線の「田無」に用事が有り、切符売り場で、「デンブ」ください、と言うと、怪訝な顔をされ、ニタッとした後、そんなものは無いと、そっけない返事。からかわれているような気がし、田舎っぺ根性、ふつふつ、むらむら。二言、三言、やりあいましたが、読み方が「たなし」だと言われ、開いた口が、塞がりません。1034チャーハン

  • 1033 またまた、大失敗

    上京直後、組み立て配線工として働いていた時、またまた、大失敗です。昼食には、出前をとっていました。食べ物の名前は、初めて聞くものばかりです。周りの注文を見聞きしながら覚えていこうと考え、真似をする事に決めこみました。初日は、天丼、ラーメン、チャーハン、焼飯と、みんなが注文するのを聞き、唯一知っているメニューで、焼飯を注文。その日は、無事に何事も、起こりませんでした。翌日、例によって、みんなが注文をした後、中身は知らないけど、しゃれた名前なのでチャーハンを注文。みんなが取った後に残った物が、チャーハンだろうとの考え。待っていると、残っているのは、前日と同じ焼飯。「誰か注文を間違えた人はいませんか!?」、と大声で聞きました。誰も間違えていないとの事。「君、何を注文したのだ?」と聞かれたので、「誰か注文を、間違えてい...1033またまた、大失敗

  • 1032 画像

    焼き飯1032画像

  • 1031 大失敗

    大盛に盛られた、どんぶり飯を期待していただけに、裏切られた時の腹の立つ事、立たない事!娘を呼びつけ、「これは、大もりではない!」と一括。田舎ものだと馬鹿にされないぞ、だまされないぞ、という剣幕で劣等感が爆発したのです。親切に、ツユのお代わりまでしてくれた娘は、あっけにとられ、精神異常者ではないか、という恐怖の眼差しで、奥の方へ逃げていきました。周りの雰囲気は、皆さんの想像にお任せしましょう・・主人が出てきたので、一言、二言文句を言いました。日曜日の昼の混雑時、主人はケンカもできず、呆れ果てるばかり。ひかるは、上げ底メニューで、客をだます、悪徳食堂の悪徳主人に、客を代表して文句を言ってやった、思い知らせてやったと、正義感に燃え、肩で風を切り、堂々と店を出て行きました。「神様!この男に罪はない、単なる無知だ!救いの...1031大失敗

  • 1030 あれ~

    前席の高校生だと思われる女の子が、あれ~と甲高い声を出し、椅子を軋ませ逃げ出す。周りの客は、針でつっ突かれたかの如く、一斉に注目。見るとテーブル上は、運悪く、ツユが前の方へ流れています。娘が飛んできて、ツユを拭き、お客に誤り、調理場から、もう1本ツユを持ってきました。こぼしたものと勘違いをしたのです。さて、2本目です。どうするか??あまりの出来事に、多くの客も、野次馬気分で立ち上がっての見物。前の女子高校生はすでに避難し、どうしてよいのか分からず、恥ずかしさと冷や汗。当人は完全に、舞い上がっています。店全体の視線を一身に受け、仕方なく、そばを一本ずつ、ツユに浸しながら食べていると、隣の客が親切に教えてくれましたが、時すでに遅し。周りの雰囲気からして、何が何んだか食べた気がしません。さて、次は下のご飯だぞ!はやる...1030あれ~

  • 1029 画像

    おおもり1029画像

  • 1028 つゆ壺

    ツユ入れを、フタだと思い、伏せたまま、お盆の上へ置きました。さて、その後どうやって食べるのか?ハシでツユを確認。そばを1本1本、ツユ壺に入れて食べるのか?試しに1本やってみましたが、どうも具合が悪い。腕組みをし、しばらく考えました。どうしても、周りの視線が気になります。過疎の村で、外食とは関係なく育ったひかる、食事作法を知らず、オロオロ上目使いに、周りを伺う様子。自信のない人は、特に目立ちすぎます。思案のすえ、見事な閃き。ツユを上からかければ、その下にあるはずのご飯にも味が沁み込み、旨いだろう。そうやって食べるんだ、と考え、思いっ切り、バサーとかけてしまったのです。1028つゆ壺

  • 1027 おおもり

    メニューで一番、腹いっぱいになりそうなのは、読み方からして、「大もり」でした。注文をし、どうも、周りの視線が、興味深げに、じろじろと、ひかるを見ているのに、嫌な予感。ほどなく「大もり」が来ました。ひかるの考えでは、「大もり」といえば、どんぶりに、大盛に盛られた、どんぶり飯を想像していましたが、目の前に出てきたものは、意に反する物。だけどいいや・・・おそらく、そばの下に、ご飯がたっぷりあるだろうと、一人合点し、空腹から湧き出る食欲と、生唾を飲み込む。さあー食べようか!初めての食べ物、食べ方が分かりません。大もりの下に、お盆があるのですが、隣の客には敷いてありません。注文を運ぶお盆を忘れ、そのうち取りに来るだろうと気を使い、お盆を横に置き、器を直接テーブルに置きました。さらに、ツユ壺の上に、ツユ入れがかぶせてあるの...1027おおもり

  • 1026 願望

    毎日が、ひもじい思いをし、夢にまで食べ物が出てくる上京当時の出来事。一度でいいから、腹一杯ご飯を食べてみたい、という願望を叶えるべく、アルバイトのお金が初めて入った時、思いっ切り食べようと心に決め、外食をすることにしました。子供の頃から、外食の経験がほとんどなく、今日は腹一杯食べられる。自分の稼いだお金で、思いっ切り食べよう、という期待に胸をはずませ、店に入りました。日曜日の昼時で、ほぼ満席の状況。何を食べようか?壁に貼ってあるメニューを、ひと通り往復して見ました。だいたいのお客は、椅子について注文を考えます。壁の前をウロウロし、しかも顔色が浅黒く、栄養失調ぎみの飢えた目。変な男がはいって来た、と他の客が注目しているのは、視線で感じられます。女子高校生と思われる、女の子二人との相席でした。店は、母親と、娘なので...1026願望

  • 1025 コップ酒

    何んとしても、テレビの仕事に就きたい。この一途な夢は、現在の番組制作技術プロダクション、(株)東通(現、八峯テレビ)に入社し、実現しました。面接試験時、身元保証人が、本土にいないことを指摘され、保証人ではなく、本人を信用して欲しいと要請。採用は無理かと思いながらも寒い中、郵便受けの前で待ち続け、採用通知を受けた時の喜びは、天にも昇る思いでした。そして、辛かった過去を振り返り、いつもはパンの耳をふやかして食べる、食器代わりのコップ酒、ひとりでしみじみ飲み乾しました。別れの杯を交わした、父の顔が、はっきり浮かんできます。後戻りは、できない!前へ、進むしかない!1025コップ酒

  • 1024 財産

    今でも辛い時は、傷跡を見、あの時の痛かった事、情熱をぶつけて頑張っていた時のことを思い出しながら過ごしており、以後、どのような試練が襲いかかろうとも耐えていける、という自信がついたのは、大きな財産になりました。都内は交通渋滞で、定刻に会社へ戻れません。神田の会社から、蒲田のテレビ専門学校まで、駅の改札やホームを一目散に、走りまくります。1分1分が大事で、ドロボウが、逃げ、走りまくっているように見えた事でしょう。夕食の時間がなく、15分間の休憩時間に食堂へ走ります。食堂のおばさんが、私の駆け込みを知っていて、食事を用意してあり、それを胃袋に流し込み、寮へ帰ると12時、このリズムが続きました。休みの日は、街頭テレビを見るのが唯一の楽しみ。どんなに辛くても、魔法の箱の中味は、必ず解明しよう、と自分に言い聞かせ、無事卒...1024財産

  • 1023 指が腐る?

    早速、翌日から職探し。皿洗いや組み立て配線工、自転車での配達など経験しましたが、日給が5百円程度と安く、生計を維持するには無理がありました。そこで、日給8百円で、なんとか生活可能な、トラックの助手の仕事を見つけ、会社の寮へ入れてもらいました。毎日、鈴や亜鉛のインゴットを満載し、配達周りの力仕事でしたが、運転手は、荷物には何一つ手をつけず、栄養不足と、睡眠不足の体には、過酷な仕事でした。過労のためなのだろうか。腰がふらつき、ときどき目まいが襲います。作業中、荷物に指をはさみ、潰してしまいましたが、病院へ行く金もなく、休めば食べていけません。潰れた指を手袋で隠し、なにげない様子で、翌日も働き続け、あまりの痛さに、指が腐るのではないかと、心配でしたが、いつの間にか治りました。人は、過酷などん底生活の中、己の体につけた...1023指が腐る?

  • 1022 古本屋

    売りたくない気持ちは山々、そうかと言って、飯を食べずに過ごすわけにもいかない。ある一軒の古本屋に入り、買ってくれと頼むと、今はその本ありますから、とのことで、この本屋を出る。この場になって、自分ではよく分からない程の、本に対する未練が出てきて、そのまま帰ることにした。やっぱりどんな事があっても、参考書だけは、今後、売るようなことはしないようにしよう。仕方ないので、今日は朝から食パン1個で、1日中過ごす。腹の虫がグーグーなっている。ペンさえも、いつもと違い、ふらふら千鳥足、残る2日間の我慢だ。明日の仕事は元気でいこう。12時記す」ひかるにとって、パンの耳は、本当の命の源で、どれ程ありがたいと思ったことか。1日をパン1個で過ごした日が、どれほどあったのだろうか。絶えるかもしれない、命の恐怖に、何かを残したい、毎日の...1022古本屋

  • 1021 鼓動との葛藤

    身も心も一心同体、体全体で苦しんでいるはずが、孤独、寂しさ、辛さは、精神だけの問題にすぎず、鼓動は平常通り、淡々と打ち続ける。ひかるにとっては、生まれて初めての悟りで、自分の精神が、いかにひ弱いのか、情けなくなりました。強い心が欲しい・・よーし、生きのびて見せる!自分にとって、後戻りは出来ない。辛くても前へ進むしかない。こう心に固く誓いました。以後、生涯、精神と鼓動の葛藤が続くように成ったのです。現在の飽食時代、パンの耳で過ごす事など、考えられないかも知れませんが、日記に、昭和40年当時の状況を見ることができます。「3月29日、月曜日、今日は朝から会社は休み、給料日は目の前だけど、どうしても金が不足。しかたないので、電子工学、図解パルス工学、電気論の3冊、2000円相当を古本屋に売りに行った。1021鼓動との葛藤

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  • 1020 孤独

    翌日もパンの耳が貰え、コッペパンを買わずに済んだ分、今度は牛乳を買いました。牛乳にパンの耳を浸して、食べるのです。更に初めての冬は、心身共に堪えました。常夏育ち、冬用の衣類はなく、敷布や毛布も有りません。畳の上に、掛け布団1枚で寝る始末。安アパートのため、隙間風は自由に往来、明け方はとても寒くて、眠れません。少しでも体温を逃さないよう、膝を抱え込み、体の表面積を最小限にし、ガタガタ震えているだけ。猫の気持ちがよく分かりました。今考えると、栄養状態は極度に悪く、凍死寸前の状態だったのです。食べ物が欲しい・・。着るものが欲しい・・。誰か話し相手が欲しい・・。頼る人が、一人でもいてくれれば・・・お金はみるみる底をついて行き、孤独、辛さに、このまま生き続けられるのだろうか?不安のどん底に、陥りました。父が、やっとの思い...1020孤独

  • 1019 街頭テレビ

    見果てぬ夢がある限り、命を張って生きてみよう。いつの日か、我が家で映画が観られる時が来る・・と。(若い人には、街頭テレビが理解出来ないかと思いますが、50数年前、テレビは超高価で、各家庭にはまだ普及しておらず、大きな駅前に、競馬場の場外モニターの如く設置され、庶民はそれで、テレビを楽しんでいたのです)ひかる19歳。パスポート持参で、貧しい中での上京。頼る人とて無く、バイトに夜学。バイトの金が入ると、ラーメンを箱ごと買い込み、コッペパンとの連続。食べ物さえ確保するのが大変な時期でした。いつものパン屋へ行った、ある日の出来事。顔色は浅黒く、頬は痩せこけ、明らかに上京したての田舎顔、手はズボンのポケットへ入れ、十円玉を数え、買えるかどうか思案中。目は卑しくも、買えるはずのない、美味しそうなケーキの方へ行ってしまいます...1019街頭テレビ

  • 1018 超たまげ~

    また、右を向いても目、後ろを向いても目、だらけ。東京の人の多さには、これまたびっくり、超たまげ~島の住人は、200人程度で、殆んどの人が、顔見知り。例え知らない人でも、道ですれ違う時は、挨拶を交わしながら、すれ違います。東京の人、一人一人に挨拶をしていたのでは、前へ進めません。挨拶は止めました。大勢の人が行き来し、ピルへ吸い込まれていく様子を見た時、これはアリンコの世界だと直感。家の庭に数えられないくらいのアリ達が、それぞれの巣を作り、せっせせっせかと働き、食べ物を蓄えていた姿にそっくり。東京の人々が一段と小さく見え、何んで人間がアりンコになってしまうのだろうか、と考えさせられました。そして翌日、魔法の箱としか思えない、テレビを一刻も早く見たいと、早速新橋駅前の街頭テレビを見に行きました。黒山の人だかりで、全て...1018超たまげ~

  • 1017 大パニック

    急に走り出す事を、全く想定していなかったので、心の準備が出来ておりません。いきなりバランスを崩し、「どうなっているんだ!あーあー!」と見事に転倒。瞬間、恐怖と驚きで、頭の中は大パニック、「止めろ!止めろー!」と絶叫してしまったのだ。周りは何事が起きたのかと、一斉に注目、総立ちになりました。昔の電車、急発進、オーバーランは、日常茶飯事。電車は何事もなく走り出しているのです。四つん這いになり、起き上がる時、総立ちで見ている人々の視線の冷たさ。田舎者!バカ!トンマ!いい加減にしろ!と言いたげな視線は、今でも忘れられません。車内の、今にも吹き出したい気持ち、我慢しながら見ている視線を、一身に受け続ける事は、なんとも気まずいもので、恥ずかしさを通り越し、居たたまれない雰囲気。追われるように、次の駅で飛び降り、後続電車に乗...1017大パニック

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    <ahref="https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=35FAHW+59C3MY+7JY+6GJWX"target="_blank"rel="nofollow"><imgborder="0"width="300"height="250"alt=""src="https://www24.a8.net/svt/bgt?aid=190510052318&wid=012&eno=01&mid=s00000000979001085000&mc=1"></a><imgborder="0"width="1"height="1"src="https://www14.a8.net/0.gif?a8mat=35FAHW+59C3MY+7JY+6GJWX"alt="">ショップタイムショップタイム

  • 1016 画像

    発電車(ちなみに、徳島の読者より、我が県に電車が無い、沖縄にはモノレールがあるではないか、との指摘をうけた。ひかるが上京時、モノレールはなかった)1016画像

  • 1015 自動ドア

    昭和38年4月、1週間も船に揺られ上京。沖縄は全国で、唯一電車のない県ですが、島には、車や耕運機すらなく、電車という乗り物は、初めての体験。けたたましく責め立てるベルに、前の人に連られ、急いで乗り込みました。すると、あまりにもタイミング良く、待っていたかのように、ゴロゴロ、とドアが背後で閉まったのです。生まれて初めて見る自動ドア。好奇心旺盛な少年は、ドアに目が付いているはずだ・・ドアの目がどこに付いているのか、と探しておりました。次の瞬間、電車は走り出したのです。自然の息吹と共に、伸び伸びと育った、少年の初めての電車。1015自動ドア

  • 1014 生き別れ

    今更、船から飛び降り、戻るわけにはいかない・・戻れない・・親子の全てを断ち切った!木の葉のような橋渡船の父に、最後の別れを一言。「許してくれ!息子は亡き者と、諦めてくれ・・!」心底絞り出す言葉は、声になりません。千切れんばかりに手を振り、今後の無事を、ひたすら願うしかありませんでした。船は、全ての未練を断ち切り、一路北へ・・・この船の進む先に、ロマンがある・・そして、テレビがある・・過酷な試練が、刻々と近づいているのも露知らず・・ひかるは、帆先へ立ち、目を大きく見開き、未来を見つめるだけでした。(これから先、ひかるはテレビ界で縦横無尽に活躍、結果的に、両親の死水は取れなかった)1014生き別れ

  • 1013 画像

    別れ船・・1013画像

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  • 1012 蛍の光

    妹は棒切れを突いて、ピコタン,ピコタン追いかけ、「兄ちゃん、行かないで・・」と泣きじゃくる。「兄ちゃん、必ず帰るから」と諭し、心を鬼にする。年老いた両親と、体の不自由な妹を島に残し、旅立つ息子は、親不幸なのだろうか・10歳の遊び盛りに、足の不自由な妹の遊び相手は、誰がするのだろうか・・いつまでも、いつまでも、元気に暮らして欲しい・・・夕陽は周り一面を真っ赤に染め、西の海へ深々と物悲しく沈んでいきます。なびく髪、風さえも赤く染められ、心に滲み渡る蛍の光。大海原に落とす夕陽の涙は、今生の別れを惜しんでいるのだろうか・・無常にも二度目の汽笛は、空と海へ途切れ、鳴り渡るドラの音に、一段と激しく身を揺するエンジン。溢れる涙に、視界はこぼれ落ちて行きます。未練の糸なのだろうか、夕日に赤く染まった海面に尾を引く、白い航跡。橋...1012蛍の光

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