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如月愛斗
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2019/05/12

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  • 北へ~運命と共に~ 4章 7話 譲れない思い

    「砦にいる時話をしたはずだ。砦だけではない、山から下りる時にも言ったな? リト」 怒ったような顔でキトが言うけど、僕は納得できない。このままセナの傷を放置すればそこから腐っていってセナは死んでしまう。今すぐに治療しないと! 助けることが出来る能力を持っているのに助けないなんてことできない。「このまま放置してたらセナが死んじゃうよ!」「分かっている。だが、ここで上級魔法を使うことは許可出来ない」「じ...

  • 北へ~運命と共に~ 4章 6話 完治していない怪我

    岩の中に戻ると部屋の中はシンとしていた。机の上に置かれたカップから湯気が出て揺れている。僕はシヴァさんの隣に座るとシヴァさんの顔を見上げた。 僕の顔を見て悲しそうに笑ったシヴァさんはここにいる皆を代表して先ほどの話を僕とキトに分かりやすく教えてくれたのだろう。僕達が草原で捜索をすればいろいろな町や村を訪れることになるかもしれない。この先のことなんて分からないけど、砦や草原の色々な現状を知っておい...

  • 北へ~運命と共に~ 4章 5話 獣性

    誰も一言も発さない中、静寂を破ったのはシヴァさんだった。「獣性の強いものは、村や町で差別の対象になることがあります。今では法が改訂されて獣性の強い者を差別してはならないとありますが、この法律が出来たのは二十年前の話です。なので、未だに砦から遠いところでは差別する者もいるのです」「差別? なんで?」「それは、彼らの姿と力にあります」 姿と力? シヴァさんに向けていた顔をそっとバエクさんに向けて見る...

  • 北へ~運命と共に~ 4章 4話 大岩の中で暮らす人

    整備されてない踏み固められただけの道を歩く。 町を出た僕達は、馬車には乗らずにそのまま歩きで一人で暮らしているという人のところへと向かっていた。その人が住んでいる場所は人が住める場所ではないらしく、歩きでしか行けないのだとロササさんが言っていた。 僕の胸ほどある草に覆われ人が一人通るのがやっとな道は、反れた瞬間魔物に襲われるから絶対反れるようなことがあってはいけないとロササさんに注意された。ホノ...

  • 北へ~運命と共に~ 4章 3話 ホノメの町の薬師

    門で門番さんに馬車の中を検分されてから僕達はホノメの町の中に入った。通りは人が多く歩いているからか、馬車の速度は来た時とは違ってとてもゆっくりと進んでいく。 建てられている建物も人の着ている服もどこか違う。砦では色とりどりの服を着ている人が多かったけど、ここでは麻でできた簡素な服を着ている人が多いみたいだ。建物も岩で出来た頑丈なものではなく、木で出来た暖かみのある家。 通りに面しているのは大体が...

  • 北へ~運命と共に~ 4章 2話 戦闘

    車体を軋ませて馬車が止まった。あれから数分経って着いた場所には案の定キトが屠ったと思われる魔物が頭を貫かれて倒れていた。脳髄がそこかしこに飛び散りぴくりとも動かない骸たち。「これは、すごいわね」「なんだ、これは……」「すっごっ! 兄さんにあれ出来る?」「メイスでぼこぼこにするのは得意だけど、あれは無理かな」「キトさんは皆を驚かせる達人ですね」 顔を顰めたヨハナさんが魔物の死体に近づいてから座りまじ...

  • 北へ~運命と共に~ 4章 1話 ルベイラ草原

    「この草原はルベイラ草原って言うのよ。昔、全ての神様がこの地を作りあたし達に日々の糧を与えた。ルベイラはベーナの昔の言葉で豊穣って言う意味。そこからとったと言われているわ」「そうなんだ」 がたがたと音をさせて馬車が走る中、僕はヨハナさんから草原のことを聞いていた。ヨハナさんが話してくれる内容は興味深いことが多く為になる。魔物のことだって本には載っていないことなど教えてくれて面白い。戦闘中にゴブリン...

  • 北へ~運命と共に~ 4章 プロローグ 道なき道

    いったい何日旅をして来ただろうか。リリは野宿しようと入った洞穴の中で周りを見渡した。ここにいる者の顔は皆疲労が濃く青い。砦を出る決心をしてから幾日か。指を折って数えたがすぐにやめた。数えたところでどうにもならない。北の奥地にあると聞いた安住の地には未だ辿り着けていない。「リリ」「何だ? ネネ」「砦に帰らない?」 着火の魔道具など便利なものは高価で準備できなかった。焚火をつけていたが、その火はすで...

  • 北へ~運命と共に~ 幕間 そのころのヨト親子

    キト様とリト様を見送り、まだ地面に蹲りお祈りをしているジト様を見る。必死に祈っている姿は鬼気迫る様で少し怖い。「行こうヨル。財務館での仕事がある」「ジト様はいいの? 父さん」「いいんだ。一日放っておけば明日には元のジト様に戻ってくれるだろ。キト様とリト様が戻られた時に少しでも休んで頂けるように書類をこなしておきたい」「はい、父さん」 父さんと歩き始めて振り返るとジト様はまだ神に祈っていた。 **...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 エピローグ 北へ

    「リト様、魔物避けの香木は持ちましたか?」「持った」「匂い消しはつけてます?」「付けたよ」「保存食と薬は鞄に入れましたか?」「入れたよ」「着火の魔道具と明りの魔道具は入れてます?」「それはキトが持つって言ったでしょ? ジト」「ああ、そうですね。そうでした。……それから――」「ジト、そのくらいにしておけ。何時間やるつもりだ。これ以上皆を待たせる訳にはいかない」「……あ、申し訳ありません。キト様香木は?」「...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 33話 保護された子

    「皆逃げて!」 風を纏い弓を引き絞り魔力を乗せて風の矢を放つ。俊敏な動きを見せる魔物にはどの風の矢も当たらないけど、ボクは力の限りに闘っていた。山での戦闘経験は少ないけど、狩には自信があったし、友達の中ではボクが一番の魔弓の腕をしてたから。 どんなことがあったとしてもボクが皆を守ってみせる。だから――「早くにげてーーー!」「セナッ!」「いいから皆逃げて! ボクが相手をしている間に! 早くっ!」 囮を...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 32話 伝えたい事

    会議はとっくに終わっているのか僕とシヴァさんが戻った時には和やかに皆で話をしているみたいだった。シヴァさんの背中に隠れて会議室の中を覗いてキトをこっそり見るとキトが僕に笑いかけてくれた。 「リト」 賑やかな会議室の中なのにキトの声だけを僕の耳は捉えた。「リトさん、お話するんでしょう?」 シヴァさんに背中を押されて前に出されると隠れる所が無くなって困ってしまう。後ろにいるシヴァさんを振り返るとシヴ...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 31話 シルヴァリオ

    息切れを覚え足が止まる。とろとろと中央通り歩いてどこに行こうかと迷う。今はまだヴィヌワの保護区に帰りたい気分じゃない。こう言う時ってどこに行けばいいんだろう。「リトさん、あまりフラフラしては危ないですよ」 誰かにぶつかりそうになって避けると頭上から声がかかった。顔をあげて相手を見ると会議室においていったはずのシヴァさんだった。「シヴァさん…………ふぇっ……」「リトさん戻りましょう?」 今はまだどこにも...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 30話 二人だけの兄弟

    「駄目だリト」 キトのいつもと違った迫力に怯みそうになるけど、拳を握って叱咤する。砦で待っているより皆をこの目でこの鼻でこの体で探したい。砦で皆の安否に戦々恐々となったまま待っていることなんて出来ない。 僕は神子だ。「絶対行く!」「遊びでいくのではないのだ! リト!」「知ってるよ! でも皆が心配なんだ!」「駄目だと言っている! リトに何が出来る! 戦う術も無い! 獣を捌く時でさえ震えていると言うの...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 29話 見つかった痕跡

    捜索を開始してからすでに三日は過ぎただろうか。忽然と姿を消した十三人はいまだに見つかっていない。目撃情報も無く、匂いも音もしない。そんな中ヴィヌワの僕達が出した結論は考えたくないことだった。「何らかの形で精霊様が干渉しているのは間違いない」 断言したキトの言葉に僕は耳を伏せた。「精霊がそこまでするでしょうか? 精霊と言うものは本来自分勝手な生物です。それに、我々にその姿は見えません」「例えその姿...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 28話 動かない魔道具

    雑然としている場を離れ種族存続機関のロビーの端にある何却かある椅子に座る。「紹介するわね。こちらは種族存続機関調査隊の総隊長シドウよ」「おう。俺が調査隊総隊長のシドウだ。よろしくな」 軽く片手をあげて紹介されたシドウはヨハナが持ってこさせた茶を啜るとがははと笑った。「シドウ、こちらがワ村出身でヴィヌワを纏めているキトちゃんとリトちゃんよ」「そんなのは知っている」「知っているのは分かっているけど、...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 27話 消えた匂い

    ヨハナの母親が持ってきてくれた料理はどれも美味しそうなものばかりだ。乳白色をしたスープには大きな肉や野菜がごろごろと入っていて見目も色鮮やかだ。メインの肉はこんがりと狐色に焼かれていて添えられたパンはリトが大好きな胡桃のパンによく似ている。「しっかり食べてお昼からもお仕事頑張るのよ。皆さんもおかわりは沢山ありますから遠慮しないでおかわりしてくださいね」 にこにこと笑ってからそう言うと盆を持って店...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 26話 風の音

    捜索隊は六十一組に編成されることになった。探索の魔道具を持った三十一組と原始的だけどヴィヌワの聴覚とルピドやリオネラの嗅覚で捜索をする三十組。僕はと言うと足手まといになるから捜索隊は辞退したのだけど、キトがいい機会だからと風音の修練をするようにとキトと一緒になって捜索することになった。 ワ村から砦に来る間にやった時、耳が音を拾いすぎて頭痛がして気持ち悪くなった時の記憶が蘇る。「リトは全ての音を拾...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 25話 種族会議

    「えーっと? 今日の会議はなんでしたかね?」「今日の会議は行方不明者の捜索の為の緊急会議よ。ポメメさん」 会議が始まってもまったりとした空気が流れたままだ。トナーさんの従者と言う人がお茶を皆に配るとそこかしこで談笑が始まる。 ヴィヌワの会議はもっと殺伐としていて、言葉の応酬があるのに……。なんだろう。この空気。「あー、そっか。それね。えー、またお金掛かっちゃうんです? 警備隊はどの位の人数出すつもり...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 24話 紹介

    ヨハナさんが応接室に戻ってきたのは一時間ほどたってからだった。息を切らせて戻ってきたヨハナさんがテーブルに置いてあった冷めてしまった花茶をがぶがぶと飲む。「遅かったな。ヨハナ」 ヨハナさんが腰に手をあててふぅと大きく息を吐くと少しだけ咳をした。「遅くなってごめんなさいね。ちょっとゴタゴタしちゃって。……それよりね、大変なことが分かったの。キャリロの若者も何人か行方が分からなくなっている子がいたの」...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 23話 砦内

    「ヒキ参りました。キト様、何用でございますか?」 急いで来たらしいヒキは息を整えてから顔を上げてキトの前に跪く。ヒキは五十三歳だけど、まだ若者には負けんと言って狩を現役でしている者だ。二の腕は僕の何倍も太く、ヴィヌワにしては珍しい程の筋骨粒々な体躯。若い時に負った頬の傷は回復魔法で治さず、おじーさんを守った証で名誉の傷だと誇りにしている。「来たかヒキ。ヴィヌワの若者が何人か行方不明になっている。人...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 22話 行方不明

    視線だけ動かして横を見る。穏やかな顔で眠るシヴァさんは、婚姻の儀が終わるまでユシュさんとトールさん、他のヴィヌワの護衛の人と共に護衛館に住んでいたけど、夫婦と言うものは一緒の屋根の下に住むのが当たり前だから婚姻の儀が終わった翌日、大きな鞄一つを持って引越してきた。 寝室で一緒に寝るようになったけど僕の発情期が来ていないからまだ番になっていない。でも、シヴァさんが傍にいるだけでも幸せ。「えへへ」 ...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 21話 気になること

    「ああ。次から次へと……まったく……」 財務館の執務室でキトが椅子に座るなり唸るように吐き捨てる。ヴィヌワ保護区に来てかれこれ四ヶ月になるだろうか。 僕の婚姻の儀も終わり、豊作を願う祭りも終わったと言うのに、次から次へと問題が起こって最近ではキトも僕もシヴァさんも、それにキトの補佐をしている村長達もてんてこまいで、主に僕とキトの世話係りをしているヨトも借り出されているし、ヨトの傍について勉強しているヨ...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 20話 噂

    「ねぇねぇ二人とも。聞いた? あの噂」「噂?」 探索者ギルドで出されていた依頼を終わらせ、中央通りを悠然と歩いていた。同じ村の出身ではないけど、何かと馬が合い一緒にいる二人がボクの言葉に振り返る。ボクの護衛の人は片眉を上げ、ス村の出身のリリが訝しげにボクを見る。リリの護衛の人は、視線だけを辺りに飛ばしているのを見る限り、周りを警戒しているんだと思う。「噂って?」 もったいぶるボクに焦れたのか、メ村...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 19話 銀細工工房シリカ

    「それで? 今日は何を買いに来たんだ?」「今日この店に来たのはこの髪飾りの石を外して欲しいからです」 エイクさんとシヴァさんが話している間に僕はきょろきょろ回りを見る。 玄関を開けて入った瞬間に外と中の世界が変わった。ドアはどう見ても砦で一般的とされているドアで、入ったら廊下があるんだろうって思っていたけど、全然違った。 ドアを開けて入ったらすぐに広々とした部屋が広がっていて、ドアの横には雑多なも...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 18話 お出かけ

    「さ、行きましょうか。リトさん」 朝食を食べ終えて部屋に戻った僕は、お出かけする為に少しだけおしゃれをする。最近僕と同年代の子の間で服にブローチと言う銀細工で出来た装飾をつけるのが流行ってるらしい。僕はシヴァさんからもらった物を襟あたりにつけると声をかけてきたシヴァさんに振り返った。 夫婦になった僕とシヴァさん。婚姻の儀で使った頭に飾っていた銀細工の髪飾りを加工しなおす為に、ついている赤石と青石を...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 17話 神子

    かちゃりと音がしキトとシヴァさんとジトを伴ったヨトが居間に入ってくる。キトとジトの顔は少しだけ青くヨトは体が震えている。 一体何があったんだろう? シヴァさんは険しい顔をしているし……。「何かあったの?」 壁の時計を見ればヨトが二階に上がってから十分は経っている。 ちらりと僕を見たキトが顎でソファーを指し示し僕に座るように促した。「俺は朝食の準備をしております」 お辞儀をしたヨトが離れるとキトがソ...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 16話 巣立ちを妨げる者

    居間の壁にかけてある時計を見るとすでに僕がここにきてから三十分は経っている。 キトとシヴァさんは何の話をしているんだろう? 気になるけど、盗み聞きするようなはしたないことはしたくない。「リト様、もうすぐ朝食が出来ますからね」 ちらちらと時計を見ている僕に気をそらすようにヨトが声をかけてきたけど、どうしても二階でキトとシヴァさんが話しているのが気になる。 シヴァさんは、僕の夫なのに。「むぅ」 ゆ...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 15話 稀有な能力

    ふと疑問が頭をよぎった。リトさんの魔力が完全に回復しないのは、あれほどの儀式をしているからではないのか? 「リトさんの魔力が回復しないのは儀式をしているからではないのですか?」 向かいのソファーに座っている二人を見れば何を言われたのか分かっていないようできょとんとしている。「リトさんの魔力、八割しか回復していないといいましたよね? 魔力が回復しないのは、上位精霊を地に降ろしているのからなのでは?...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 14話 風神に愛されし子

    一つ咳払いをしたキトさんが組んでいた腕をといて頭をぽりぽりと掻く。「リトの様な魔法を使える者はヴィヌワの中でもリト以外いない。三千年前からこれまでリトみたいな能力を持って産まれた者は数百年に一度と古い文献に書かれてある」「リト様の前に能力を持って産まれた方は五百年前、その前は七百年前でございます。それ以前は文献が古すぎる為、文字がかすれて読めませんでした」「……」「そしてもっとも特徴的なのが、莫大...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 13話 魔法

    リトさんが出て行ったドアを見ていたキトさんが振り返り、私の姿を目に入れると私にソファーに座るように促した。 私の真向かいに足を組んで座ったキトさんは誰の目から見ても美しい。リトさんが言っていたが、保護区内のヴィヌワや護衛についているルピドやリオネラは私を見ていたのではなく、キトさんを見ていたのに違いない。私に向けられる視線は恐怖以外はない。 ルピドやリオネラが見惚れる程の美貌を持っているキトさん...

  • 明日の投稿

    こんばんは。如月愛斗です。11月の投稿、下書き状態のままで予約投稿するの忘れておりました。他のサイトには投稿していたのですが……。他投稿サイト、ムーンライトノベル、fujossyにはすでに11月はじめからの小説を掲載してある状態です。他サイトに投稿しておいて自分のサイトには投稿していないなんて・・・。明日の14日19時から1時間おきに、11月はじめから今までの掲載分を投稿していきます。掲載分が終わればまた...

  • 投稿ミス

    こんばんは。如月愛斗です。申し訳ございません。3章15話の投稿日を間違えておりました。明日の19時に投稿することになっていたみたいで・・・。他サイトとの兼ね合いもあるので、明日の15話の話はそのまま19時に投稿し、16話は20時投稿します。本当に申し訳ありませんでした!指指し確認大事><...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 12話 幸せな朝

    ちゅんちゅんと聞こえる鳥の囀りで目が覚めた。横にいるシヴァさんの寝顔を覗き込む。寝ている顔も息を呑むほど美しい。 体を動かし肘をつけて頬に手をやるとじーっと見る。昨日の夜の事を思い出しただけで顔が真っ赤になるほどだ。寝ようとしてベットに二人で横になって話をしながら何度もキスを繰り返した。触れるだけのキスを何度も何度も。「えへへ」 新枕が成功したかどうか怪しいけど、これで僕とシヴァさんは夫婦なんだ...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 11話 新枕③

    「私は今日は触れ合いだけで済ませるつもりだったんですよ?」 右手で顔を覆ったシヴァさんのその言葉に僕は少なからずショックを受けた。 やっぱり、僕、子供っぽいのかな……。「いいえ。私の目に映る貴方はとても魅力的な人です。勘違いしないでくださいね?」 あれ? 僕声に出して言っちゃったのかな? 不思議に思ってシヴァさんをそのまま見つめるとくすりと笑って答えを出してくれた。「思いっきり声に出ていましたよ?」...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 10話 新枕②

    ノックの音にびくりとして振り返る。ドアの外から聞こえてくる訝しむような小さなキトの声に「開いてます」と声をかけたら遠慮なくドアが開いた。 キトの後ろに僕と同じようなローブ姿のシヴァさんにぽーっと見とれてしまう。 贅の限りを尽くして絹蜘蛛の最高級の糸で織られた白布と金糸のその衣装を着たシヴァさんは、小さな時に物語で見たどこかの王子様に見える。廊下にある窓から入る光がシヴァさんの銀髪をきらきらと煌か...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 9話 新枕①

    「こんな格好恥ずかしいよぉ。シナ」 視線を下に向けため息を零す。絹蜘蛛の糸を織って作られた今着ている衣装は、新枕用の衣装だって聞いたけど、これは本当に恥ずかしい。 膝まであるゆったりとした服なのだけど、前を細い紐で縛るだけで動く度に肌が見えているうえにズボンもはいてないからすーすーするし、衣装自体が透けているから着ている意味があるのか分からない。それに下着だと渡されたものは三角の形をして布の面積も...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 8話 婚姻の儀②

    種族存続機関の庭につき、魔方陣と祭壇のある場所までつくと僕は降ろされた。 ヴィヌワ保護区からここに来るまでに多種多様な種族の人が僕とシヴァさんが通る道沿いにずらっと並んでいた。それは中央通りだけでなく、どこの保護区の門も開いていてそこから覗いている人の姿もあった。 特にルピドやリオネラは何かに期待しているような顔で僕達二人が通り過ぎるのを見ていたのが印象的だった。ヨハナさんが言っていた事が今ここ...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 7話 婚姻の儀①

    窓から入る風がリビングのカーテンを揺らし僕が着ている衣装の裾をふわりと広げる。 胸元が少し開いた白いシャツと白のパンツ。僕の背丈よりも長い淡い翠と金糸で出来たローブ。頭には赤石や青石が散りばめられた銀細工で出来た髪飾り。 この日の為にヴィヌワの皆が糸を紡ぎ機を織って縫い、染色して作ってくれたのだ。銀細工はヴィヌワでは作ることが出来ないからキャリロに頼んで作ってもらった。 ヴィヌワの婚儀の衣装は色...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 6話 ヴィヌワの未来

    あの会議から二日。とても不思議な事が起こった。 反対していた老人や村長達が掟を廃止することに賛成したのだ。何が起きたのか分からなかった僕はキトに教えてもらった。 キト曰く、掟を守るよりもヴィヌワを纏める者とヴィヌワの若者達の離反、僕と言う存在がいなくなることの方が怖いのだそうだ。だから、賛成するしかなかったのだろうと言っていた。キトの言ってる事はまだ難しいことが多くて分からない部分もあるけど、キ...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 5話 亡くなりし運命達

    こつりこつりと足音をさせながら婆様が歩く。大量に汗を流している者の背を撫で、椅子に座って青い顔をしている村長の肩にぽんと手を置きながら歩いてくると、僕の横に立って僕の頭を撫で肩に手をおいた。「リト様は先日の夜命を落としかけた」 目を見開き村長同士で顔を見合わせる。しんとしているこの部屋には婆様の声しか聞こえない。「それを救ったのがここにいるルピドの青年、シヴァである」「そうだった、としても……」 ...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 4話 三十二年前

    静まり返る中キトが硬い口調で話始める。「今まで言ってこなかったがな、お前と俺の母はヴィア・ヴィヌワだ」「……」 お母さんがヴィア・ヴィヌワ?「違いますぞ! リト様! キト様の戯言に付き合う必要などありません!」 声を張り上げ言ったエ村の村長を見るとその額には一筋の汗が流れていた。「お静かに願います」「静かに等できるか! キト様のしていることは先代のワ村の長の決め事を破る行為だ!」 おじいさんの決め...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 3話 会議

    会議館に入りキトに勧められるまま席に座る。 大きな木で出来た円形の机にそれに沿うように並べられた大量の椅子。何十人と入っても大丈夫な部屋。この部屋は砦でのヴィヌワの決め事を決める時に何度も使われてきた。 一番奥の席にキトが座りキトの隣に僕が座る。何故だが分からないけど、ジトはキトの後ろに立ち、シヴァさんもそれにならうように僕の後ろに立った。 後ろを振り返ってみればシヴァさんがふわりと笑う。その笑...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 2話 ヴィヌワと言う種族

    ぼすんと音をさせてキトが居間のソファーに座った。向かい側に座っているキトはとても疲れた顔している。「掟を廃止する」とキトが言ってから四日。毎日毎日キトは会議館でヴィヌワの村長達を集め会議と言う名の話し合いをしている。 掟を捨てる事とヴィヌワのこれからについて話合っているけど、話し合いはキトの思うようにいっていないらしい。掟を捨てる事に賛成している者が圧倒的に少なく、反対する者ばかり。それもそうだ...

  • 北へ~運命と共に~ 1話 暗躍する者

    SIDE ??? 赤い絨毯が敷きつめられた広い部屋の玉座に座っている男は、グラスを片手に持ち足元にいる茶金の髪を撫でて指を絡めた後その者の前に手を差し出した。手を差し出された者は赤い舌を出して男の手をチロリと舐める。 淫靡な舐め方にくすりと笑うと男は目の前にいる男に顔を向けた。「イル(王)、伝令の者より連絡が届いております」「ほう、で?」「伝令の報告によりますと、ヴィヌワとキャリロの者数名がナーゼ砦から...

  • 予約投稿

    こんばんは。如月愛斗です。本日更新する予定だった。北へ~運命と共に~の3章1話、予約日を間違えており、急遽明日の19時に予約投稿いたしました。呼んで下さっている読者様、申し訳ありませんでした><...

  • 北へ~運命と共に~ 3章 プロローグ 安住の地へ

    SIDE ??? 腰の下まである茶色の髪を揺らしながら、その男は目の前に聳える巨大な壁に手を掛けた。 計画が頓挫してしまうかもしれない今、もうこの手段しかないのだ。 自分の住んでいた村は魔物の襲撃時に壊滅は免れたが、それでも村に入り込んできた魔物の血走った目が、荒い息遣いが、目の前で亡くなっていく者の凄惨な状況が忘れられない。 襲撃から五ヶ月近く経つと言うのに、今でも夢に出てくるのだ。自分を助ける為に...

  • 北へ~運命と共に~ 幕間 あの日の君⑤

    ハナナの歌を聞きながら歩く。距離は後一キロ位だろうか。彼に会えるのが嬉しいと思う反面、どう言う顔をすればいいのか分からない。 会えると思って急ぎ足になったが、その足はだんだんと遅くなっていった。「キト君、来てるんでしょ? 入っておいでよ」 広場の入り口についた時歌がやみハナナが声をかけてきた。かさりと音をさせて広場に入る。そこには俺に笑顔を向けるハナナがすでに敷物の上に荷物を広げて待っていた。「...

  • 北へ~運命と共に~ 幕間 あの日の君④

    俺がつくよりも早くに来ていたハナナは見るからに元気そうだ。その様子に俺は息を吐くと足音をさせ広場に入る。「こんにちは、キト君」「こんにちは」「遅かったね。今日は来ないと思ったよ」「出掛けにリトが泣いてな」「リト君よく泣くね」「そうか?」「キト君から聞くリト君の話ってだいたい泣いてるかお菓子食べてるかの話しか聞いてないよ」「そうだった、か?」 首を傾げてハナナを見るとハナナはくすくすと笑い広げた荷...

  • 北へ~運命と共に~ 幕間 あの日の君③

    背中の重みを耐え前に顔を向ける。最近では朝には霜が降り家の前の水溜りには氷が出来ていた。そろそろ雪も降り始めるだろう。そう考えたら今年の行商はこれで終わりだろう。 ハナナに会えなくなるのは寂しい気もするが来年の春に会える。「……………と」 いつもの拓けたところにはすでにハナナが来ているらしい。ここからでは何を言っているか聞こえてこないが、一人ぶつぶつと何か言っている。「こんにちは」「わっ! びっくり...

  • 北へ~運命と共に~ 幕間 あの日の君②

    背中にある背負子を降し敷物を敷いて荷物を並べ始め空を見上げる。秋も深まり山の木々は枯れもうすぐ冬が来る。吐く息もいくらか白くなっている。 「こんにちは」 荷物を並べている途中ハナナの声が聞こえてきた。足音だけしていたから今日は歌は歌わずに来たらしい。「こんにちは。今日は歌は歌わなかったんだな」「歌?」「先日歌っていただろ?」「聞こえてたの?」 頷くと顔を真っ赤にして恥ずかしそうに顔を横に向ける。...

  • 北へ~運命と共に~ 幕間 あの日の君①

    セレンの向かい側のカウンターの中にいるハナナを見る。 大きな緑の宝石のような瞳と、小麦色の髪と大きな可愛い耳。笑うと笑窪が出来るのは昔と変わらない。 香る匂いはあの頃とは違い、微かにセレンの匂いが漂っている。「……」 そうか、彼は……。 幸せそうに微笑むハナナを見ながら俺はあの短い日々を思い出していた。*** 行商用の背負子を背負いじーさんに荷物を確認してもらいながら、俺はジトの抱っこ紐の中ですよ...

  • 今後(雑記)

    こんばんは。如月愛斗です。北へ~運命と共に~をお読み頂きありがとうございます。今日の19時に更新したお話で2章は終了です。次の月曜日、9月2日の19時に更新を予定しておりますお話は幕間と称してキトの過去のお話になります。9月2日から9月16日の間幕間を入れ、それから9月19日から3章になります。3章からは残酷、流血、嘔吐、グロ、エロ、様々な描写が入ってきますので、どれも苦手だなと言う方は、幕間でお読みになるのを止...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 エピローグ 新しい風

    SIDE キト「ヨトにヨル。二人ともどうした」 ヨトがツカツカと俺が座っているスツールの前まで来るとほっとした様に息を吐いた。「探しましたよ、キト様。見つかって良かった」「シヴァ様のおられる所は僕達には分からないのでユシュさんに連れて来てもらったんです」 それでユシュを伴っていたのか。ユシュを見ると僅かに眉が動いただけだった。「……ジトは……」「ジト様は家におられます」 顔を目の前のグラスに戻すとヨトが...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 26話 家族になる

    SIDE キト リトを抱え直し膝に乗せ俺の肩に頭を置く。そのまま背をとんとんと叩けばむにゃむにゃと言葉になっていない寝言を言った。首に手をやり熱を測ったが熱は出ていないようだ。「ねぇ、キト君」「なんだ?」「ヴィヌワ保護区を本当に追い出されたらどうするの?」「先ほど言った通りの事をするだけだ」「ま、飲みながらでも話をしようか」 目の前にコースターとグラスが置かれ顔を上げてハナナを見れば視線を彷徨わせなが...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 25話 僕の運命

    ゆっくりと目を開け、僕の視界に飛び込んできたのは嬉しげに笑うシヴァさんだった。 やっと会えたことが嬉くて僕も笑ってシヴァさんを抱きしめようとした。けど腕が思うように動かなくてどうしてだろうと顔を腕の方に向けると体ごと毛布に包まれていた。「良かった。リトさん」「良かったリト。心配したんだぞ? 危うく死ぬところだった」 不思議に思って顔を上げたときシヴァさんが呟くように言うのと同時にキトの声も聞こえ...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 24話 僕を呼ぶ声

    SIDE シヴァ 大事そうに抱えている毛布から白く長い耳が見える。聞かなくても匂いで分かる。あの毛布に包まれているのはリトさんだ。甘い金木犀の香りと共に死の香りが鼻につく。 立ち上がりふらふらと近づき毛布の中を覗きこむ。案の定、青白い顔のリトさんが見えた。「そうなんだろう? シヴァ」「……」「そうだと言ってくれ」「あ……わ、私は……」「違うのか?」「わた……私は……」 何も言わない私に落胆したようにため息を吐く...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 23話 決断

    SIDE キト「シヴァだ」 顔を上げてジトに告げるとジトは青い顔を更に青くさせ拳をぎゅっと握った。「シヴァさんはルピドではありませんか!」「そうだ」「ルピド、ルピドなぞ!」「ではどうする? このままリトを死なせるか?」「……そ、それは……」 死なせはしない。 俺がこの手でリトをここまで育ててきたんだ。 小さく産まれたリトは体が弱く、乳の変わりに栄養価の高い果実水を飲ませてもあまり飲まず、飲んでもすぐに吐き...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 22話 運命との邂逅

    SIDE キト 読んでいた書類から目を離して眉間を揉む。 ヴィヌワ保護区に住み始めてからこれまで、決めることがいっぱいで大変だと言うのに、薬師のばーさんから出された書類を見て俺はため息を吐いた。「キト様、少し休憩されてはいかかですか?」「そうするか」「花茶を淹れてまいります」「コーヒーが飲みたい」「この時間に飲まれると寝れなくなってしまいますよ」 ジトがキッチンに行く背を見て壁に掛けてある時計を見れば...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 21話 種族が違う

    窓に手をかけて外を見る。ぽつりぽつりと規則的に置かれた街頭には今は灯りが点いていた。 キノリ採りから帰ってきて僕は早めに寝ると言って自室に入ったのに眠れない。このまま眠らずに夜を明かせば体調がおかしくなってしまう。それは分かっている。なのに眠れない。「はぁ」 考えても仕方ないの無い事だ。僕とシヴァさんが番になることは万の一にもありえない。 僕がヴィヌワじゃなくてシヴァさんの様にルピドだったら番え...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 20話 僕はヴィヌワ、貴方はルピド

    背負子を下ろしたキトが僕の顔を見て笑った。「皆、少し休憩してからキノリを採ろうか」「「はい」」 翌日。僕とキトとジトとヨトは護衛達を連れて山に入っていた。毎日毎日書類と睨めっこしてばかりでは体がなまると言ったキトの言葉で山に入る事になったのだ。「キト様、リト様どうぞこちらにお座りください。シヴァさんもトールさんもどうぞ。ビャクさんとアクエさんはこちらにどうぞ」 きょろきょろと周りを見ていた僕にヨ...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 19話 香る感情

    SIDE シヴァ「リトっちなかなか気づかないっすね」 任務が終わり護衛館へと歩く私の隣でトールがぽつりと呟いた。首を傾げる私に向けてはぁと溜息を吐くと肩を竦め首を横に振る。「本当に運命なんっすか?」「リトさんと私の事ですか?」「そうっす」 訝しげに見るトールを睨みつける。「私が間違っていると言いたいのですか?」「人は誰でも間違いをすることがあるっす」 運命の番を間違える訳がない。あの香りを嗅いだ時、喜...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 18話 運命の番

    「コーヒー、ここに置いておきますね」「あ、ああ。ありがとう」「リトさんは香茶でよかったですよね? 砂糖、ここに置いておきますね」「うん、ありがとう」 キトの机の上にコーヒーを置いたシヴァさんがそのまま僕が座っている席にも香茶の入ったカップを置き、その横に砂糖の入った器を置いて僕の隣の席に座った。 護衛がついて一週間。 シヴァさんは財務館で働くキトと僕と他数名の村長の世話を甲斐甲斐しくしてくれ、書類...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 17話 気になる存在

    翌日の夕方。僕とキトは調査隊詰め所に来ていた。 昨日僕達が帰った後にもう一人の護衛の人が決まったらしい。香茶をテーブルの上に置きヨハナさんが別室にいるルピドの人を連れてくると言って応接室を出て行った。 テーブルの上には置いていかれた香茶と読んで欲しいと言われた書類。 キトが香茶を飲みながら書類に目を通し、僕はその隣に座りキトから廻された書類に目を通していた。だけど、そわそわしてなんだか落ち着かな...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 16話 香り

    SIDE シヴァ 団長と並び中央通りを歩く。私の後ろにはトールがきょろきょろと視線を彷徨わせながら歩いていた。今年十八歳になるトールはまだ番をみつけていない。私が番を見つけたのを間近で見て、自分も欲しくなって探しているのだろう。「それにしてもびっくりしたっすね。副団長が番を見つけるなんて」「シヴァの番は現れないのではないかと言われていたからな。私の大叔父みたいに生涯独身を貫くものだと思っていた」 十五...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 15話 私の運命

    SIDE シヴァ 十五歳で成人してから十一年の間ずっと探していた私だけの番。 他が自分だけの番を見つけていく中、私だけのところには現れなかった。 幸せな番達を見て卑屈になった事も寂しい思いをした事もある。 その私だけの番が目の前にいる。 なのに、何故貴方は他の男の腕の中にいる? 『グルル』 思わず出してしまった声に反応したセレン団長が私を睨みつけた。その目は余計な事をするなと言っている。 あの日、嗅い...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 14話 顔合わせ

    セレンさんの横に座りトールさんにも近くの椅子を勧めるとヨハナさんが口を開いた。「改めて紹介するわね。こちらがセレンさん。で、そこに座っているのがトール君よ。セレンさんは探索者ギルドの中でも一位二位を争うほど実力派揃いの月狼団を率いている人なの。トール君はそこの団員さん。こう見えても団の中では三位くらいの実力を持っているわ。勿論、一番の実力者はセレンさん。二番目の人は今日はいないけど、シヴァと言う...

  • 記事修正

    2章13話、ルピドの女にて抜けた箇所があった為、修正いたしました。前半の一部ががばっと抜けていた箇所があり、読まれた方は頭に???が浮かんだことだと思います。申し訳ありませんでした。今後このような事がないよう、精進してまいります。これからもこのブログを読んでいただけると嬉しいです。それから、誤字脱字、感想などコメントで頂けると嬉しいな~なんて思います(o´ェ`o)ゞエヘヘこの記事も読んで下さりありがとうござい...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 13話 ルピドの女

    「絶滅? 何を言っている? 女がいなかったらどうやって我々は繁殖するのだ」「だって、だって、本に書いてあったよ。ルピドとリオネラの女の人は絶滅したって。だから僕達ヴィヌワやキャリロは子供を産まされる為に産み腹にされるって」「あー……なるほどね。リトちゃんが前に産み腹にされるって言ってたのはそう言うわけね。貴方達、どんなことを聞いて育ったのか知らないけど、ルピドの女性が絶滅したなんてデマよ。現にこうし...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 12話 ヴィヌワ保護区

    六日に渡った御魂送りは無事終わった。 キトの舞いを見た僕は、やっぱりキトはすごい人だと改めて思った。詠唱の文言もそうだけど、精霊降しの舞はとても華やかで心躍る舞だった。風だって僕の時みたいに荒れてなかったし…… 僕は一つだけ文言を間違えていた、とキトに指摘された。『僕は請う』ではなく『我は請う』なのだと。 全部終わってから指摘するのではなくて途中で言って欲しかったって思ったけど、でも立派だったと...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 11話 御魂送り

    準備は五日目になってやっと終わりを見せた。 なんと他の種族も手伝ってくれたのだ。キャリロ族が装束の裁縫を、ルピドやリオネラが魔物の体内にある魔石をとってきてくれ、ベーナが棺を作るのを手伝ってくれた。 ヨハナさんが「ヴィヌワの葬儀は興味深いものが多いからね」と言っていたけど、僕達はこれが普通なのだ。 御魂送りをする時の護衛もルピドとリオネラと数人のベーナ族がついてくれるらしい。 これから六日間に渡...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 10話 準備

    「さぁ、皆じーさんを送り出す準備をしよう」 キトのその言葉に皆が動き出した。今回の御魂送り(みたまおくり)はおじいさんの為のものだから執り行うのはキトだ。僕は神官の仕事はまだしたことが無いから、多分補佐をすることになる。「しまったな……こんな事なら神官服を持ってきておくのだったな……」「我々も突然連れて来られたので葬儀の物は持ってきておりません。聖杖(せいじょう)もありませんし」「聖杖の変わりは魔弓の...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 9話 笑顔で送り出そう

    探索者ギルドを出て中央通りをゆっくりと歩く。僕が指差して色々聞くのに対して、ヨハナさんは嫌な顔をしないで答えてくれる。 「あそこの店の串焼きは美味しいのよ。仕事が終わってあの店の串焼きをつまみにエールを飲むのが最高なの」「エール?」「麦で作られたお酒のことね。リトちゃんの村にもお酒はあったでしょ?」「麦で作ったお酒はないけどキノリって言う果実で作ったお酒はあったよ。キトとおじいさんが夜によく飲ん...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 8話 探索者ギルド

    SIDE キトヴィヌワ保護区への道を歩きながら少し後ろをちらりと見る。リトの後ろを歩いているのは先ほど護衛につくと紹介されたベーナ族だ。 ユシュと言うこの強面でヨハナより大きなベーナ族はなんとヨハナの番らしい。寡黙で近寄りがたい感じがするが、リトを見ている眼差しは優しく、ルピドやリオネラが横を通り過ぎる度にびくつくリトを見てその大きな体で見えないように隠してくれるのはありがたい。 この種族存続機関第一...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 7話 力が弱い、それがヴィヌワ

    SIDE キト お腹がいっぱいになり俺の膝を枕に寝てしまったリトの額に触れる。 どうやら熱は出ていないようだ。そのままその手でリトの頭を撫で顔に掛かっている髪を払いのける。くすぐったかったのかリトが寝ながらくすくすと笑った。「ふふ よく寝てるわね。それにしてもこの子本当に十五歳?」 ヨハナの言葉に顔を上げ俺は頷いた。「リトは産まれた時小さかったし、体が弱かったのもあって小食なんだ」「そう。あたし十歳位...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 6話 噂の真相

    イライラとしたようにヨハナさんが指を置いている腕をとんとんと叩いて感情の分からない顔でキト見た。「いるけど、貴方達を山に帰す事は出来ないわ」「何故だ」「今、山はとても危険なの。ベーナ族で調査しただけでも魔物の被害にあってる村は一つや二つじゃないの。キャリロ、ヴィヌワ関係なくほとんどの村が被害にあっているのよ。そんな危険な場所に帰せるわけ無いでしょう。それにね、魔物の一部には魔物避けの木の効果が効...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 5話 調査隊第二隊副長ヨハナ

    ベーナ族の人に連れられて来たのは門の側にあった小さな一軒の家だった。 言われるままに奥へ奥へと進み、入った部屋には大きな椅子と大きなテーブル。部屋の隅には小さな棚が置かれてあってその棚の上に花の挿してある壷がある。 「どうぞ、そこに座ってちょうだい」とベーナ族の人に勧められて二、三人は余裕で座れそうな低くてふかふかと柔らかい大きな椅子に座る。こんなの村で見た事無い! ワ村にある木と獣の革で作られ...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 4話 ナーゼ砦

    メルルとウルルと別れてから五日、僕とキトはナーゼ砦が見える所まで来ていた。 ワ村からここまで、道形に進み魔物に襲われることはなかったけど、キトの真似をして広範囲の音を拾い続けていたら、気持ち悪くなってしまって一日ほど野営地で時間を潰してしまった。 僕の様子にキトは少し気持ちが浮上しているようだったけど、メルルとウルルの話を聞いてから塾考してる事が多かった。「リト、フードを被れ。それから俺の手を離...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 3話 魔物被害

    話を聞き終わった二人が顔を見合わせ、キトを見て僕を見る。そして再度キトに顔向けた。「ルピドが村人を連れ去ったって言ったけど、本当にそうなの? 僕達のニナ村にも何回かルピドの人が来たよ。ナーゼ砦の使者として。ま、ベーナ族の方が来ることが多かったけど。僕達キャリロやヴィヌワを保護する為に動いてるって聞いた。だからそれ何かの間違いじゃないの? それよりさ! 僕達ベーナともルピドとも取引してるでしょ。と...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 2話 メルルとウルル

    野営地で手早く昼食をすませ「少し休憩していこう」って事になって地面に敷いた敷物の上でキトに魔物の事や僕が不思議に思っていたことを質問していたらキトが急に顔を上げ耳を前後左右に忙しなく動かしはじめた。「キト?」 人差し指を口の前に持っていき「しっ」と言って黙り込み、まだその耳はピルピルと動いている。何かあるのか、と僕も耳を澄ませ音を聞いて驚いた。僕達以外の人の話し声が聞こえてくる。その声はまだ遠い...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 1話 狩

    SIDE キト 村から出てそろそろ昼になるだろうか。リトを連れて村を出たはいいがその歩みは俺が思っていたよりも遅かった。「キト! 見て見て! あそこ山羊の親子いるよ!」 こんな風にリトは今まで図鑑でしか見てこなかった獣や草花、薬草があれば指を指して嬉しそうに報告してくる。 その気持ちは分からないでもない。俺も初めて村の外に出た時はリトみたいに興奮したものだ。 村の中では加工された物しか見れない。村の解...

  • 北へ~運命と共に~ 2章 プロローグ

    胸に秘めたこの想いはきっと成就される事はないだろう。 引き裂かれるような胸に手を置いて僕は前を見据えた。「リト……?」「何でもないよ、キト」 僕はちゃんと笑っている事ができているだろうか? 声は、震えていないだろうか? 涙は、出ていないだろうか? 耳は、動いてないだろうか?「どうした? リト」「何でもないったら」 首を傾げるキトに顔を向けて僕は微笑む。 何て事は無い。ヴィヌワとして僕は正しい選択を...

  • 北へ~運命と共に~ 1章 6話 北へ吹き抜ける風

    「落ち着いて聞いてくれ」 食事の途中でキトがすごく真剣な顔をして僕を見る。僕はゴクリと咀嚼していた物を飲み込んでキトの言葉を待った。「今この村には俺とお前しかいない」「…………え?」 僕とキト以外、いない……?「リトが発情期の間に村を見て回ったんだが、残っている者は誰もいなかった」 持っていたスプーンがスープの入った皿にぽちゃんと落ちたのをそのままに僕はキトの顔だけを見ていた。「ルピドに連れ去られてしま...

  • 北へ~運命と共に~ 1章 5話 突然の発情期

    熱い。熱い。体が熱い。 欲しい。欲しい。 熱を覚ますアレが欲しい。「………………と」 埋めて。埋めて。ぼくの中に埋めて。 何を? 分からないけど、埋めて。「……………と……………りと」 だぁれ? ぼくを呼ぶのはだぁれ? あなたがぼくにアレをくれるの?「リト!」 お願いだから、ぼくにちょうだい。「駄目だ! リト!」 伸ばした手を叩き落されてはっとして顔を上げた。「にぃちゃ、ぼく、びょうき? おなかがあついの」...

  • 北へ~運命と共に~ 1章 4話 誰もいない村

    SIDEキト 「……ゆ、り……」 一言呟いてくたりと凭れ掛かってきたリトの重みに顔を覗きこむ。暗くて分からないが、気絶しているのは間違いないだろう。片腕にリトの頭を乗せ首筋に手を当てる。「……」 首筋の温度に思わず顔を顰めた。精神的な疲労で熱を出してしまったのか。 それにしてもゆりとは何だ?「……」 まぁ、いいか。 体の弱いリトがこのままここで過ごすのはよくない事だ。すぐにでも寝室のベッドで寝かせてやりたいが...

  • 短編 春に泣くはる

    空を仰ぎ見ているその人は、とても綺麗な人だった。桜吹雪が舞う裏庭の片隅の喫煙所で、ただ空を見上げているその人。 大きな花びらが降る中、屋根も何もない喫煙所で空を見上げてタバコを燻らせている姿が本当に綺麗で、そして儚く見えた。 目を離してしまったら消えてしまいそうだと思った僕は、その人をずっと見つめていた。 桜の花びらがその人の頬に当たってはらりと地に舞い落ちる。その光景が泣いているように見えた僕...

  • 短編 20年目の・・・

    居間のテーブルに朝食の味噌汁椀とだし巻き玉子と焼き鮭の入った皿を乗せながら俺は壁に掛けてある時計を見た。 時間はもう六時、そろそろあいつを起こさないと。 ドスドス足音をさせ廊下を歩き書斎に入り部屋の大惨事に顔を顰める。昨日の夜中に帰ってきてそのまま書斎で寝てしまったのだろう俺の恋人、笠原静琉(かさはらしずる)がガーゴガーゴとイビキをかいて平和そうな顔をして机に突っ伏して寝ていた。「静琉、時間だ。起...

  • 北へ~運命と共に~ 1章 3話 ルピド族、襲来

    「ルピドが……ルピド族がこの村目掛けて来ております!」 村に駆け込んで来たヨトが膝に手をつき苦しそうに息を吐きながら言った言葉に広場にいる村の皆が凍りついた。「……え」 誰もが言葉を発する事ができないまま何秒経っただろうか。村人の一人の思わず出てしまったのだろう驚きの声におじいさんがはっとした顔をし、ヨトがいる広場の端に歩いていく。「どの位近くにきておる」「すでに村から五百メートルのところまで……」 ヨ...

  • 北へ~運命と共に~ 1章 2話 成人の儀

    家を出てから村の真ん中にある広場に向かう。祭事があれば村の真ん中で行われる。成人の儀も婚姻の儀も御魂送り(みたまおくり)もすべてここの広場で行うのだ。 進行は全部村長であるおじいさんと補佐のジトだけど。キトも勉強の為に今まで何回か執り行った。そのうち僕もやることになるのかな、と思っていたところで広場につき、村の皆が声をかけてきた。 大昔は村人だけで五百人は越えていたらしいけど、今は五十人にも満たな...

  • 北へ~運命と共に~ 1章 1話 ワ村のリト

    窓から入ってくる風が僕の頬を撫ぜていく。 居間の椅子に腰掛けた僕の目の前で、キトが僕の髪を結い上げていた。 赤い石を散りばめた赤く長い紐を織り込む右側頭部の編みこみはヴィヌワ族の成人の証だ。キトの右側頭部にも同じ証がある。僕は大人になれた事が嬉しくてふふっと笑った。 ヴィヌワの星読みの大婆(おおばば)に僕は十歳にならずに黄泉國(よもつこく)に旅立つだろうと言われていた。だけど、僕は今日で十五歳。今日...

  • 北へ~運命と共に~ 1章 プロローグ

    遠い遠い昔、神様は海に囲まれた平らな大地に二足歩行で歩く五つの獣の種族を作りました。 兎を祖に持つヴィヌワ族、鼠を祖に持つキャリロ族、熊を祖に持つベーナ族、狼を祖に持つルピド族、そして獅子を祖に持つリオネラ族。 五つの種族は緑豊かな平らな大地でそれはそれは仲良く幸せに暮らしていたのです。 ですがその幸せも数十年、数百年と経てば薄まっていくものです。平和な世界は平凡になり平凡が退屈を作ってしまいま...

  • 「オレ、魔法使いにはなりたくねぇぜ?」10話「お前ぇの唾液は甘ぇな。」

    リクの家に来て玄関のところで我慢できなくなって、そのままヤろうとしたらリクに怒られた。リクの父ちゃんも母ちゃんもまだ帰ってくる時間じゃないからって言ってもそうゆう問題じゃねぇって怒ってたけど、リクの部屋に入って宥める様にリクの唇に可愛くちゅってやったら、機嫌が治った。「ん、はっ…んん」貪るようにリクの口内を蹂躙して溢れ出たリクの唾液を啜る。「お前ぇの唾液は甘ぇな。」「今のお前の唾液は変な味するけど...

  • 「オレ、魔法使いにはなりたくねぇぜ?」9話「男だろ!オレっ!」

    ずんずん歩いてリクがいる教室を目指す。「はぁ…どうすっかな…」リクのいる教室はもう目の前。この、このドアを開けたらリクがいる。屋上で奮い立たせた気持ちはここに来るまで萎んじまって、かなり緊張してる。「もしよ…もし、だよ…」リクに拒否られたら?男ってのは快楽に弱い生き物だから今までのセックスだって快楽の為のセックスだった、て言われたらオレ…「いや…」好きでもねぇヤツに抱かれる男なんているか?それも何回も。...

  • 「オレ、魔法使いにはなりたくねぇぜ?」 8話 「オレはあいつが好きなんか?」

    イライライライラ、教室にある自分の机に座って気持ちを落ち着かせようとしても足の貧乏揺すりが止まんねぇ。リクの事は考えないようにしてるんだけど、どうしても考えてイライラが止まんない。こんなにイライラすんのいつぶりだ?「小学校ん時以来か?」リクは小学校の時に同級生の男子から苛められていた。容姿が良くて女子にチヤホヤされてるのを見た男子が羨ましいって気持ちと、妬ましい気持ちで苛めてた。オレはその頃からリ...

  • 「オレ、魔法使いにはなりたくねぇぜ?」 7話 「なんか・・・ムカつく」

    「あ、あ、あ、あ…あ……あああああっ」オレはリクとのセックスに嵌りに嵌った。高校に行ってリクを見てるだけで発情するし、高校終わって家に帰ったら即効リクの部屋かオレの部屋でセックス三昧。ヤればヤるだけリクの感度が上がって、最近じゃ乳首だけでイきそうになってる。これが、アレだ。調教ってやつだな。ってうんうん1人で考え事しながら腰揺すってたら、リクが大きな声を上げて果てた。「待てっまだ…」「オレまだイってね...

  • 「オレ、魔法使いにはなりたくねぇぜ?」 6話 「つーか、エロっ。」

    ここだったか?オレはリクのケツの穴を解しながら、さっきからずっと探してる場所があった。リクに攻められた場所。そ、前立腺だ。リクのケツの穴を解すのは案外時間が掛かった。ま、ケツの穴っつーのは出口であって入り口じゃねぇから解すのに時間が掛かるのは当たり前か。1本だった指は今3本になって、もしかしたら4本いけるかも?けど、そんなのしたら痛そうだしやんねぇ。いや、こっち側だったか?背中側の腸壁をさぐってたの...

  • 「オレ、魔法使いにはなりたくねぇぜ?」 5話 「まだ終わんねぇぜ。」

    うつ伏せで力尽きたオレの横にリクがどさって仰向けに寝転んで腕を目んところにやってはぁはぁ荒い息を吐いてる。セックスって男だったら100メートルを全力疾走下くらいの運動量だってどっかで聞いたっけ。リクの部屋にあるベットはシングルの1人用だから狭い。180ある身長の男2人が並んで寝転んでるからマジで狭ぇ。けど、そんなのが気にならない位、オレは気になる事があった。ちょっと赤くなってる首筋と、上下に動いてる胸に汗...

  • 「オレ、魔法使いにはなりたくねぇぜ?」 4話 「・・・人体の神秘ってやつだな。」

    「…」さっきからコイツ何やってんだ?人の腹撫で繰り回したり、背中に手を這わせてきたり、乳首抓ったりひっかいたり。だいたい女じゃねぇんだから乳首なんて何ともねぇだろ?リクのやつ何がしてぇんだ?「なぁ、リク」「あん?」「お前ぇさっきから何やってんの?」「あん?愛撫だろ、愛撫。」愛撫、ね…愛撫ってアレだろ?セックスするときに相手を興奮させるやつだろ?男のオレが受けても何ともねぇんだけど…あ、うん。触ってる...

  • 「オレ、魔法使いにはなりたくねぇぜ?」 3話 「オレ、処女じゃねぇしな。」

    買い物から帰ってきて風呂入って、ケツの穴の中も綺麗にして、今2人でさっきのサイトを見てる。ケツの穴の洗浄は、もうしたくねぇな…湯が入ってくるときのあの気持ち悪い感じ。腹の中に入った湯を出すのに何回もトイレに行った。ま、出すときは爽快だったけど、湯が中に入って来るときと、出したいのを我慢してトイレにいくのは、はっきり言って地獄だった。サイトにはいろんなことが書いてあって、勉強になる。と、オレはすごい気...

  • 「オレ、魔法使いにはなりたくねぇぜ?」 2話 「0.02ってなんだよ…」

    オレはリクの背中を見ながら今すごく不快な思いをしている。リクのノパソから流れてくる音。パンパンって音とグチュグチュって音は、まぁよしとしよう。だけど低い男の喘ぎ声だけは許せねぇ。なんか、耳が汚れんだけど…。リクがアナルセックスの事を調べるって言ってから1時間ずっとこの低い喘ぎ声とパンパン音。リクが見てるのは男同士でヤってるホモのエロビデオ。リクはそれをガン見して勉強するって言ってたけど、ホントに勉強...

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