傑物の至言-26 芥川龍之介
我々の生活に必要な思想は三千年前に尽きたかもしれない。我々はただ古い薪に新しい炎を加えるだけであろう。 矜誇、愛慾、疑惑――あらゆる罪は三千年来、この三者から発してゐる。同時に又恐らくはあらゆる徳も。 物質的欲望を減ずることは必しも平和を齎《もたら》さない。我々は平和を得る為には精神的欲望も減じなければならぬ。 芥川龍之介『河童』「阿呆の言葉」から 凡ゆる歓喜、苦悩、混迷がひとり自分が人間として生きていることで生じ、人間が二人以上の間で大きくなるのは何千年前から不変であると、芥川は喝破した。 『河童』を発表したのが1927年 この約3000年前、エジプトでは第20王朝が終わった。 その後ペリシ…
2019/05/29 14:34