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ブロガー、アフィリエイター、ライター。マルチクリエイター目指し楽しく生る。 興味の範囲が広がれば人生は面白い。 戸籍制度により60歳になりましたが、死ぬまで30歳。 楽しく生る方法、一緒に探しましょう。

マサ セイコウ
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2019/04/30

1件〜100件

  • 超ショートショートの不思議な世界 ヒーローになりたい

    「ヒーローになりたい」 地球に行ってヒーローなりたいだって? ダメダメ、やめておいた方がいいって。 地球侵略をもくろむ凶悪怪獣なんかと戦ったら、それこそ一生台無しになるよ。 この前、地球侵略にやって来た巨大怪獣と戦ったヒーローがいたの覚えてる? 彼のその後なんて悲惨なものだよ。 うっかり都心で怪獣と戦っちゃったから、ビルや道路はもうメチャクチャになったんだ。 その保障問題で、人間たちともめちゃってさ。 結果として、今後三十年もの間、地球侵略に来るであろう異星人や宇宙怪獣に対して無償で戦い続けなければならなくなったんだ。 しかも、人間に害を及ぼさない場所を見つけてね。 でもさ、地球侵略に来る奴ら…

  • 超ショートショートの不思議な世界 就活

    「就活」 何だい君たち、コンビニに急に押し入ってきたりして。 包丁とか手に持っちゃってさ。 金を出せだって? 無いよ。 レジ開けろって? ほら、そんなに入ってないだろ、三千円しかないって。 それでいいの? 君たち三人だろ、一人千円だぜ。 しかもその包丁自腹で買ったんだろ、準備する時間だって必要だったろうし。 この金持って逃げたら一生犯罪者になっちまうんだぜ、千円じゃ絶対に割に合わないだろ。 だったらこのコンビニで働かないかい、時給千円以上出す。 夜間は割増、食事付きだよ。 この方がもっと手早くお金稼げるし、リスクもゼロだよ。 今人手が足りなくてさ、三人も来てくれると助かるんだよ。 わかったって…

  • 超ショートショートの不思議な世界 女の願い

    「女の願い」 神様、私は不老不死の両方なんて贅沢は望みません。 人間いつかは死ぬものですから。 でも、女ですもの、死ぬまでの間、ずっと美しく若く、そう「フロウ」でいたいのです。 私の残りの人生は、あと六十年とおっしゃいましたよね。 その間、今の若さを保ちたいのです。 不死なんて贅沢は望みませんから、せめて「フロウ」のまま生きていたいのです。 本当ですか神様、私の願いを聞いてくれるのですか。 ありがとうございます。 その日から、私は「不労」でもいいように、お婆さんになり介護施設のベッドの上で暮らすようになってしまった。 神様の勘違い、許せません!

  • 超ショートショートの不思議な世界 副業時代

    「副業時代」 「副業でウェッブライター始めたの」 「私は家庭教師、得意の語学力を副業でも役立てるの」 「将来のこと考えると、会社の収入だけじゃ不安ですものね。女性だって頑張って経済的に自立して、安心して生活したいから副業は大事よね」 「ところでユミはさっきから黙って聞いているけど、何か副業始めたの」 「うん、私ね、今月から主婦始めたの」

  • 超ショートショートの不思議な世界 この橋・・・

    「この橋・・・」 この橋の真ん中に、立て看板があるぞ。 でも字が小さくて見えないよ、もっと近づいて見てみないと。 それにしても不親切な立て看板だな、こんなに小さい字で書いてあるなんて。 思いっきり近づかないと読めないじゃないか、おまけに気になるし。 なになに? 「このハシ通るべからず」 なーるほど、このハシ通ったらダメなんだ。 だから小さい字で真ん中に立て看板を立てたんだね。 字を読もうと思って、橋の真ん中歩いてきちゃったよ。

  • 超ショートショートの不思議な世界 医学vs呪い

    「医学vs呪い」 私は自他ともに認める名医だ。 どんな病でも、どんな怪我でも私は絶対に治すことが出来るのだ。 しかし、そんな私の余命はあと一か月。 こればかりはどうすることもできない。 私は呪い殺される運命なのだ。 多額の保険金が掛けられた男性を、大怪我から見事に救い出したのだが、その後、彼の妻からメールが来た。 余計なことしてくれた、あなたを呪い殺してやる。 世界的に有名な黒魔術師に依頼して、一か月後に私を呪い殺すという。 私は医学の分野以外は素人同然なのだ。 そして一か月が経過した。 私は生きている。 私は私の体のありとあらゆる部分を治療し、様々な器官を入れ替えてきた。 その結果、どうやら…

  • 超ショートショートの不思議な世界 食品サンプル

    「食品サンプル」 博士からメールが来た。 「お歳暮に送ってもらったタコ、とても美味しかった。どこで取れたタコなのか教えてください。ところで私にお願いしたいこととは何ですか?」 その後、博士の体調は全く問題ないという。 お願いしたいことの返事はこれで十分だった。 火星で発見された、地球のタコに似た生命体。あまりにも大量に存在しているため、人間の食用に適するかを調べてもらうために、博士にサンプルを送ったのだ。 それをお中元と勘違いして・・・ 返事を返さねば。 「お送りしたタコ、火星で取れたものです。おかげさまで、近日中にはスーパーの店頭に並ぶようになるかと思います」 それにしても毎度のことながら、…

  • 超ショートショートの不思議な世界 公園の時計台

    「公園の時計台」 郊外の、各駅停車しか停まらない駅のすぐ裏にその公園はあった。 小さな公園なのだが、静かだし、適度に木が生い茂り木陰もある。 穏やかでゆったりとしたひと時が過ごせるので、近隣の人々には人気の公園だ。 日曜日には木陰で読書する人や、ベンチに腰掛けて昼寝をする人、砂場で遊ぶ子供たちなど、眺めているだけでも心落ち着く、特別な場所なのだった。 そんな公園の片隅に、小さな時計台がある。 ひっそりと目立たぬように建っているのだが、いつからかその針は三時十二分で止まったままだった。 いつから止まっていたのか誰も知る人はいない。 そんなある日、公園に時計を修理する職人がやって来た。 時計を修理…

  • 超ショートショートの不思議な世界 学校の怪談、ヒロシ君

    「学校の怪談、ヒロシ君」 それでは出席を取ります。 アキオ君、ミドリさん、ノボル君・・・ 新学期、席替えも終わって新たな気持ちでスタートだ。 もうすぐ僕の名前が呼ばれるぞ、大きな声で返事をしなくちゃ。 ヒロシ君。「ハイ」 あれ、僕はトシオ君のはずなんだけど。 きっとこの机の落書きのせいだ。 ヒロシって名前が彫ってある。 でも、いくら消そうとしても消えないんだよこの落書き、困ったなぁ。 そうなんだ、この机を使う人は誰でもみんなヒロシ君になっちゃうって、昔から言われているんだよ。

  • 超ショートショートの不思議な世界 時間よ止まれ

    「時間よ止まれ」 時間を止める、簡単な方法って知っているかい? 魔法の言葉があるんだよ。 もしかすると、君も子供の頃に使ったことあるかもね。 純真な心を持つ子供は知っているのさ、時間を止める魔法の言葉があることを。 思い出してごらん、魔法の言葉。「ダ・ル・マ・サ・ン・ガ・コ・ロ・ン・ダ」 この言葉で時間を止めたことがあっただろう。

  • 超ショートショートの不思議な世界 タイムリープする方法

    「タイムリープする方法」 昔、アメリカの一人の少年がデロリアンを使ってタイムリープした。 昔、日本の少女が坂道を自転車で駆け下りてタイムリープした。 今僕は、谷底に向かってダイブすることでタイムリープを体験しようとしている。 準備はできた。 失敗は許されない、命取りになってしまうから。 よし、タイムリープだ、谷底に向かってダイブ! 真っ逆さまに僕の体は落ちて行く。 僕の周りで、ものすごいスピードでゴウゴウと音を響かせ時間が流れる。 もう少しで地面に激突って時に、突然時間が泊まり、今度は一気に戻りだす。 体が浮き上がるように戻されて、数秒前の世界に。 そこからまた谷底に向かって落ちて行く。 戻る…

  • 超ショートショートの不思議な世界 ピンチはチャンス

    「ピンチはチャンス」 某中堅食品会社の社長室に、営業部長たちが血相を変えて飛び込んできた。「社長、大変です。我が社の新製品に、カビが生えていたと消費者からクレームが入りました」「大変です、クレームは一件だけではありません。SNSでも騒ぎが拡散されて世間に広まっています。食品会社として、致命的な事態です」 会社始まって以来の大惨事だ。 会社の幹部は会議室に集まり、対応策を議論する。 しかし、会社の信用は地に落ちることは誰が見ても確実だった。 その時、普段は目立たないネットオタクの社員が会議室に名案を持ち込んだ。 そして、ネットに匿名での書き込みが。「あなたは毎日、カビも生えないような有害な食品を…

  • 超ショートショートの不思議な世界 製品倉庫の回転率

    「製品倉庫の回転率」 「何だ、この在庫の山は」 倉庫にうず高く積まれた製品在庫をみて、社長は激怒した。「君たちはよく考えながら仕事をしているのか。真面目に働け、必死になって働け。倉庫の回転率を上げるのだ、いつまでも倉庫の中に製品を眠らせておくな」「わかりました。不良在庫を持たぬよう、倉庫回転率を上げるために社員一丸となって早速行動に移ります」 部長の掛け声とともに、社員たちは早速行動に移った。 社長の命令を守るために、必死になって徹夜で作業を行った。 次の朝、いつもの朝礼が終わると、部長は社員たちと徹夜で作り上げた新たなシステムのスイッチを入れた。 社員一同見守るなか、倉庫はものすごい勢いで回…

  • 超ショートショートの不思議な世界 死ぬときは

    「死ぬときは」 「結婚指輪を私の指にはめる時に、あなたは私に、死ぬときは一緒だよって約束したじゃない」 そう言って、亡くなった夫の体を前に涙する彼女。 周りの人たちは、そんな彼女になんと声を掛けたらよいのかわからないでいた。「あなたに高額の保険金を掛けて谷底に突き落とした時も、ブレーキの壊れた車を運転させた時も、無事に笑って帰って来たじゃない」 そんなことは誰もが知っていたのだ。「スナイパーを雇って命を狙ったって、俺は不死身だよって笑って許してくれたじゃない」 危険な目にあったことは数限りなかったはずだ。「それなのに、あなたの愛の深さに気が付いて、これからはずっと一緒に長生きして暮らそうと心に…

  • 超ショートショートの不思議な世界 ここだけの話

    「ここだけの話」 地球人と新たな交渉事を円滑に進めるためには、ネゴシエーションは絶対に必要だ。 このような地球人の性質をよく研究していた異星人は、事前に、秘密裏に地球の代表者と接触をもって、平和裏に友好的な関係を結べるよう前打ち合わせを重ねていた。 初めての異星人との遭遇、そして交流開始。それは地球人にとって今までに経験したことのない重大なことなのだから、なおさらである。 極秘裏な事前交渉にあたっていた地球の代表者は、ここだけの話として、地球の各国の要人にその内容をリークした。 各国の要人も、このような重大なことは、ここだけの話として側近たちに伝え、側近たちはここだけの話として・・・・・。 こ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 副作用

    「副作用」 先生、予想外に大変な検査結果です。 この新薬、とんでもない副作用が現れます。 副作用は治験者全員に確認されました。 やはり販売申請は見合わせた方がよろしいかと。 問題ないって、なぜです? 先生、副作用を隠して売り出すのですか、そんな危険なことをしたら・・・。 画期的な効果が期待できると評判の新薬が発売されてしばらく経つと、世の中は平和になり、幸せな家庭が増えていった。 そう、新薬はストレスを緩和し、心を穏やかにする薬。 研究開発者がかくにんした副作用は、人を愛する心を持つようになること。 ストレスに満ち溢れていた世界から、争いごとや様々なハラスメントが消えていく。 素晴らしい副作用…

  • 超ショートショートの不思議な世界 スナイパー

    「スナイパー」 新しい依頼だ。 ターゲットは25歳の会社員男性。 どこからどう見ても平凡な、どこでも見かけるような男だ。 しかし、彼には悪いが依頼を引き受けた以上は仕方がない。 俺の標的になってもらう。 もちろん俺は、来た依頼を全て受けているわけではない。 標的となる人物の事前調査はしっかり行って、受けるか否かを返事をしている。 依頼を受けた場合は、俺の手によって必ず依頼された相手の心臓を撃ち抜かねばならないのだから。 人の人生が関わっている。簡単に依頼を引き受けるわけにはいかないのだ。 今回のターゲットは、調査の結果、ぜひとも俺の手によって仕留めなければならないと判断したのだ。 俺は標的の心…

  • 超ショートショートの不思議な世界 同居人

    「同居人」 「ただいま」 新しく引っ越した一人暮らしのマンションに帰る。「おかえりなさい」 と女性の声、気のせいだ。幻聴に決まっている。 幽霊が出るということで、格安の家賃で借りることのできたマンション。 しかし科学者の卵である俺は、科学的に証明できないことなど絶対に信用しない。 もちろん幽霊の存在など認めることはできないのだ。 机に向かってパソコン作業、ふと窓ガラスに目を移すと、俺の後ろに若い女性が立っている様子が映っている。 幻覚だ、最近仕事のし過ぎで疲れているからこんなものが見えるのだ。「疲れているのね、今日は早く寝たら」 窓ガラスに映る女性が耳元でささやいた。ように聞こえた。 確かに疲…

  • 超ショートショートの不思議な世界 見た目以上に恐ろしい

    「見た目以上に恐ろしい」 無限の宇宙を連想させる神秘な香り、コスミック・ローズ。 新たに発売された香水です。 人類が初めて到達した生命体が存在する惑星、しこから持ち帰ったバラから抽出したフレグランス。 地球上の女性をあっという間に虜にしてしまった。 しかしみなさん、地球上のバラとそっくりだったからって、バラだと思い込んでしまったのは間違いなのです。 人類が持ち帰ったバラらしき生物は、実は恐ろしいものだったのです。 その香りで獲物の感覚を麻痺させて、養分として体内にじっくりと取り組むのです。 地球人の感覚では想像もできないくらいに恐ろしい生物なのに、香水として爆発的人気のコスミック・ローズ。 地…

  • 超ショートショートの不思議な世界 寿司ネタ

    「寿司ネタ」 大将、この寿司うまいね。でもさ、このネタの魚って捕獲が禁止されているだろ。 えっ、秘密のルートがあってそこから仕入れているの? 秘密だよって、大丈夫、誰にも言いやしないよ。こんなに美味しいものが食べられるんだから。 秘密の裏メニューがまだたくさんあるの? 食べさせてよ。 いやー、どれもこれも最高に美味いよ。 捕獲禁止の天然記念物や絶滅危惧種ばかりだもんね、大将の仕入れルートはすごいんだね。 とっておきがあるの? 絶滅した魚で握った寿司だって? すごいネタだよそりゃー。 大将、何を大笑いしているの? えええー、全部ウソだって? 誰も食べたことない魚のネタだから、何出したって本当の味…

  • 超ショートショートの不思議な世界 いつもの光景

    「いつもの光景」 通勤電車の中、見つめていたスマホ画面から顔を上げ、何気なく周囲を見回してみる。 座席に座っている人、吊革につかまっている人、全員スマホ画面を眺めている。 もちろん僕もその中の一人だ。 でも、なんだか奇妙な光景だな。 そう思った時、電車は駅でもないのにふいに停まり、扉が開く。 えっ、異星人が乗ってきたよ。 でも誰もスマホから目をそらさないから気付く人などいない。 その後も電車は駅でもない所に停まり、その度に妖怪やチョンマゲ姿の人や、まるで異世界の住人みたいな人たちが乗ったり下りたり。 ようやく駅に停まると、流れる社内アナウンスを聞いて人々はスマホから顔を上げ、今度は何事もなかっ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 覚えているの?

    「覚えているの?」 「昨日食べた晩御飯覚えている?」 スマホを眺めながら晩御飯を食べていた僕に、妻がいきなり聞いてきた。 何を食べたっけ、思い出せない。「私が作った晩御飯、感謝して食べていないから何も覚えていないのよ。あなたはいつもスマホばかり見ているから」 言われてみればその通り、何も反論できない。 そんな僕に、妻の怒りは増すばかり。「あなたみたいな人に、晩御飯作っても何も張り合いが感じられないわ。何を作ってもどうせ興味もなさそうだし。いつもスマホばかり眺めているんだから」 僕は妻の怒りに委縮してしまって、ますますスマホから目をそらすことが出来なくなってしまう。「そんなことだから、あなたは自…

  • 超ショートショートの不思議な世界 不思議なチョーク

    「不思議なチョーク」 この白いチョーク、空き地の横にある小さな文房具店で買ったんだ。 とても不思議なチョークなんだよ。 道路にこうやって線を引くでしょ、そうすると線のあちら側とこちら側で世界が分かれるんだよ。 試しにあちら側へ行ってごらん。 次にこちらに戻って来て。 違うでしょ。 何が違うかよくわからないって? そんなことないよ、きみの感性鈍いんじゃないの。 あちら側に立つと太陽に顔を向けることになるでしょ、こちら側は太陽を背にするでしょ。 やっとわかった? 当たり前のようなことだけど不思議でしょう、僕はそう思うんだ。 どうして笑うの?

  • 超ショートショートの不思議な世界 マジックショー

    「マジックショー」 人気のマジックショーが商店街にやって来た。 マジシャンが、人が一人やっと入れるくらいの箱の中を観客に見せている。 もちろん空っぽだ。 さあ、どなたかこの中に入ってくださる方は、とマジシャン。 観客は戸惑っているので、マジシャンは前列のきれいなお姉さんの手を取ってステージに。 そして箱の中に入ってもらう。 ワン、ツー、スリー、とお決まりの掛け声。 箱を開けると、観客の予想通り中は空、お姉さんの姿はない。 古典的なマジックだ。 それでも会場からは大きな拍手、今日もマジックショーは大成功。 えっ、消えたお姉さんはどこに行ったのかですって。 お知りになりたい? 異星人の宇宙船の中に…

  • 超ショートショートの不思議な世界 自己満足

    「自己満足」 我が社の技術力の粋を集めて開発した、画期的な商品をご紹介します。 このヘルメットです。 強度は抜群、どんな衝撃からも頭部を守ります。 それだけではございません、耐圧も気密性も耐熱性も抜群で、どんな深海でも宇宙空間でも地底のマグマの中だって快適に活動できるのです。 お値段は少々お高いです。しかし、過酷な作業環境を、安全で安心な環境へと変えてしまうことができるのです。 ご質問はございますか? ヘルメット以外の装備についてはですか? 弊社はヘルメットの専門会社ですので、他の装備につきましては他社様のものをお使いいただくということで。 他社様で深海や宇宙空間、地底のマグマの中でも対応でき…

  • 超ショートショートの不思議な世界 エキストラ

    「エキストラ」 次のシーン撮影入ります、エキストラの方々準備お願いしまーす。 歩行者の方々と、君は荷物の役ね。 映画好きの僕はエキストラのバイトに応募した。 待ち時間が多くて時給は割に合わないけれど、貴重な体験だ。 大好きな俳優と、例え一瞬でも同じ映画に出ることができるのだから。 僕に与えられたのは荷物の役、しっかり荷物としての重量感を表現しなければならない。 何重にも梱包されて、いよいよ出番だ。 あっ、どこかに運ばれている感覚だ、しっかり荷物らしく演技しなければ。 もう長いこと運ばれているな、どこまで行くのだろう。 それにしても長いな、約2時間の映画なのに一日以上運ばれているんだけど。 いっ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 潜む

    「潜む」 ある朝、僕はどうしても会社に行くことができなくなってしまって、ベッドのマットレスの中に身を潜めた。 これからこの場所で生活することに決めたのだ。 スマホ一つ持っていれば何とかなるだろう。 マットレスの中は暗くて、狭くて、ヌクヌクしていて、居心地がよく、心休まる場所だった。 世の中、僕みたいにどこかに潜む人がたくさん現れているらしい。 会社の同僚の中には、机の引き出しの中にこもって生活を始めた人や、部長なんかは応接室のソファの中に潜り込んで生活を始めたと連絡がきた。 こうなってくると、ゴミの収集も大変だ。回収した粗大ごみの中に誰か潜んでいるケースも数多くあるらしい。 今の世の中、どこに…

  • 超ショートショートの不思議な世界 個性の時代

    「個性の時代」 ある朝起きてみると、僕に尻尾がはえていた。 狐のしっぽみたいに茶色く太い尻尾だ。 ズボンがかなり窮屈だったけど、尻尾がはえちゃったのだから仕方がないか。 街に出ると、こんな現象は僕にだけ起こったわけではないようだ。 像みたいな耳がはえている人、昆虫のように六本の手足を持った人、魚の尾びれをお尻から出している人。 みんな大変そうだな。 それからは人間の体の変化は頻繁に起こるようになっていった。 今では僕には九本の尻尾がはえている。 しかしそんなことは気にならないし、隠す必要もない。 だって現代は個性の多様化が重視される時代、人と同じじゃつまらないでしょ。

  • 超ショートショートの不思議な世界 巨大遺跡は

    「巨大遺跡は」 古墳ブームだ。 仁徳天皇量が世界遺産に登録された。 前方後円墳、このように美しく巨大な古墳が大昔に作られていたなんて。 日本の古墳だけではない。エジプトのピラミッドやナスカの地上絵など、昔の人はどうやって作り出したのだろう。 本当のことを教えてあげましょう。 太古のロマンという人も多いけれど、実は地球は一つの巨大なリモコンスイッチ。 前方後円墳は鍵穴で、リモコンのセキュリティを解除する際に使われる。ナスカの地上絵は、ほらリモコンにチャンネルや電源なんていう文字が書いてあるでしょ、あれなんです。 各地の巨大遺跡は押しボタン。 いま、誰かがこのリモコンを操作しようとしているのです。…

  • 超ショートショートの不思議な世界 新しい惑星

    「新しい惑星」 この惑星で確認された大きな噴火口から、マグマと思しき液体が大量に噴出されるのが確認された。 規則的に、一定の期間で大量に宇宙空間まで噴出される。 噴火口の反対側にある地表に確認された巨大なクレバスにも、これまた定期的に巨大な隕石らしい物体が宇宙空間から現れては吸い込まれていく。 新たに発見されたこの宇宙空間には、巨大な太陽を中心として、その周りをこれと同じような惑星が無数に回っている。 この空間を発見し、観測を始めた科学者たちは思った。 本当に不思議な天体だ。 天体だって? 宇宙空間には、人類が想像もつかないような空間が幾多も存在するのだ。 突拍子もないことに、この惑星たち一つ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 見なかったことに

    「見なかったことに」 突然、ガツンという衝撃が僕の体に走った。 そして地面にたたきつけられる。 キャーという悲鳴が周囲から聞こえる。 どうやら僕は、信号無視をしてきた車に跳ね飛ばされたらしい。 僕にぶつかった車はフロントが大きくへこんでいる。 若い男が青ざめた顔で運転席から降りてくる。 この状況はまずい、僕は急いで自分の体を点検した。 右腕の皮膚が大きくはがれている。 持っていたハンカチで、急いでその部分を隠す。 そして大声で周りの人たちに叫んだ。「僕は大丈夫、今のは見なかったことにしておいて」 そういって、駆け足でその場を離れた。 危ないところだった、危うく僕が人間界に送り込まれたロボットだ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 七夕の空

    「七夕の空」 「ママ、天の川きれいね」 七夕の夜、私は娘と二人で夜空を見上げていた。「織姫様と彦星様のお星はどこかな」 娘は夢中になって夜空を眺めている。「あっ、流れ星だ」 長い尾を引いて夜空を流れ星が横切った。「お星さまきれいだねー、毎日こんな夜空見られたらいいのになぁ」 そう、今日の夜空は七夕の日限定の特別企画なのだ。 私たち親子の住む地下都市では、実際の夜空など見ることはできない。 私が幼いころに勃発した最終戦争で使用された多くの核兵器の影響で、地表は放射能で汚染されつくしてしまったからだ。 生き残った人類は、各地に巨大な地下都市を建設して避難生活せざる負えなくなってしまった。 地表の除…

  • 超ショートショートの不思議な世界 教育

    「教育」 大きなあくびをして、思い切り体を伸ばして、ああ今日もよく寝た。 ちゃんと栄養バランスを考えた食事も用意されているし、よしよし満足。 さて朝の散歩だ、付き添いを頼むよ。 いつもの場所で、いつもの顔見知りとすれ違う。 軽く挨拶。 おや、あちらから見慣れない顔が歩いてきた。 付き添っている者もなんだか危なっかしい、まだ新人のようだ。 時々グイと付き添い用の器具を引っ張る、それじゃ痛いだろう。 すれ違う時に、心配だから声を掛けてアドバイス。「お前も若いし、付き添い人も新人のようだ、これからしっかりと根気よく教育するんだぞ、俺だって付き添い人をここまで教育するのに一年以上かかったんだ、頑張れよ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 この子誰の子

    「この子誰の子」 他人に自分の子供を無断で預けて育てさせるのが、無責任な行為ですって? あなたたちに言われる筋合いはないわ。 あなたなんか旦那さんに黙って、血のつながっていない子供を育てさせているでしょ。 モラルが地に落ちた人間と、私たちを一緒にしないでよ。 私たちは、神様に特別にこの特権を与えられたのよ、あなたとは違うわ。 その代わりに私たちは、人々のために夏を告げる歌を歌わなければいけないの。 あなたは人々のために何をしているといえるの? ほらごらんなさい。 さぁ、私は歌わなければならないわ。 青空に、カッコーの鳴き声が響き渡る。 夏の到来だ。

  • 超ショートショートの不思議な世界 呪いの言葉

    「呪いの言葉」 「おかしい、なぜ誰も私を恐れないのだ」 私は長い間、棺の中に封印されて閉じ込められていたミイラ男だ。 この時代に入り、やっと発掘されてこの地に運ばれ、学者という者が棺の封印を解いてくれた。 今宵私は、数千年の眠りから目覚め、棺から出ることができたのだ。 棺に閉じ込められる前には、私は人々にとって恐怖の存在だった。 人々は悲鳴を上げて私から逃げ回ったものなのに。 しかしなぜだ、この世界の人間たちは誰も恐れない。 私と目が合うと、ピースサインをする若い女性までいるではないか。 中には腕を取って頬を寄せ合い、平たい板で光を当てる小娘までいる。「スマホ撮ろうよ」 何のことだ? しかしま…

  • 超ショートショートの不思議な世界 ツボに壺

    「ツボに壺」 なになに、腰が痛くてたまらないですと? 大丈夫、私に任せなさい、すぐに楽にしてあげます。 ここは評判の整体院、先生の腕は確かですから。 腰の痛みに効くツボはここなんです、ほらこんなに凝っている。 それでは治療を始めますね。 腰のツボにこの壺を乗せてと、これで10分お待ちください。 いかがですか? 痛みがなくなったでしょう、良かったですね。 ツボが何かに吸い付かれるように刺激されて、とっても気持ちがよかったですって? そうなんです、あなたのツボを治療したのは、壺の中に入っているタコなんですよ。 ツボを刺激するには、壺のなかのタコが一番なんです。 何といっても八本の腕を持つ、世間に評…

  • 超ショートショートの不思議な世界 神様ビジネス

    「神様ビジネス」 もう何かに頼って生きることはやめにしよう。 僕は僕の力で生きていく。 僕は今までの人生を振り返って、両親や苫立ちに頼って、流されるままに生きてき。 もうそんな人生にピリオドを打つんだ。 自分の人生は自分で切り開いて、自分に力で生きていくんだと、一大決心をした。 でも、どうやって? 僕は手っ取り早く、神様になることに決めた。「僕は神様だ」 と、声高らかに宣言したのだ。 宣言してしまえば、もう行動するしかない。 今日から僕は、誰が何と言おうと神様になったんだ。 何の神様になったのかって? 自力で生きていく神様だよ。 宣言したからには、神である僕の存在を世間に知ってもらわなければな…

  • 超ショートショートの不思議な世界 理想の住まい

    「理想の住まい」 「やはり都心のマンションがいいよね、夢は高層マンション」「高層マンションって高層階になればなるほど住んでみると何かと不便で不安なところもあるらしいから、高級住宅街の低層マンションなんかが住めたら最高だよな」「いやいや、都心から少し離れても、郊外の広い一戸建てだよ。ゆとりある暮らしがしたいと思わないかい」「みんな知らないのかい、そんなの危険が大きすぎる。そのような物件は最近清潔で住みにくくなっているんだ。やっぱり狭くても独身一人暮らしのあまり掃除されていない部屋が最高だよ」 都会の下水溝の壁に張り付きながら会話しているゴキブリたちでした。

  • 超ショートショートの不思議な世界 ガラポン

    「ガラポン」 商店街で見つけたリュックサック、かっこいいなぁ。 でも三万円もするんじゃ、今の僕にはとてもじゃないが手が出ない、夢のまた夢か。 そんな時、商店街の夏の大感謝祭で福引券ゲット、商品にあのかっこいいリュックサックがあるじゃないか。 よし、ここは一発当ててやるぞ。 祈りを込めてガラポンを回す。 銀の玉出てくれ、ガラガラポン! 赤い球、続いてまた赤い球、残りあと一つ。 ガラガラ、ポトリ、あっ、金の球かぁ、がっかりだよ。「カランカランカラン、大当たりが出ました。金賞は商店街で使える五万円の商品券です、お兄さんおめでとうございます」 あーあ、僕の欲しかったのは銀賞のあの三万円のリュックサック…

  • 超ショートショートの不思議な世界 ツチノコ遭遇

    「ツチノコ遭遇」 ツチノコを前にして、俺たちはにらみ合っていた。 ついに発見したツチノコ。 すでにブームは過ぎ去ってしまっていたが、日本国内のUMA発見に人生の全てを掛けている俺は、現在もツチノコに関する情報を集め捕獲することに執念を燃やし続けているのだ。 そして今日、長年の苦労が報いられる時が来た。 以前目撃情報のあった山中で、念願のツチノコを発見したのだ。 装備は完璧、捕獲は問題ないと思われたのだが、突然思わぬ強敵が現れた。 そいつも間違いなくツチノコを狙っていた。 俺たちはツチノコを挟んでにらみ合う。 相手は俺にこのチャンスを譲る気持ちなど全くなさそうだ。 俺にしたって相手に譲る気持ちな…

  • 超ショートショートの不思議な世界 子供たち

    「子供たち」 私はミュージシャンとして、血のにじむような努力を重ねて今の地位を築いた。 そして金も名誉も手に入れた。 だが、これらはいくらあっても物足りない。私はまだまだのし上がり、誰もがうらやむ存在になりたいのだ。 そのためだったら何でもやる。 そんな私のところに曲を作ってほしいと依頼が来た。 世界の子供たちを救済するための曲。 願ってもない依頼じゃないか、これで私の知名度は世界的なものになるだろう。 曲ができ、まずは私が歌ってみる。素晴らしい出来栄えだ、世界的大ヒットは間違いない。 本番は、世界各国からオーディションで集められた子供たちが歌う。 ところが、子供たちがいくら練習しても心に響く…

  • 超ショートショートの不思議な世界 ヒーローの時代

    「ヒーローの時代」 僕はどうしてもヒーローになりたかった。 この世の悪を倒して平和を守り、子供たちに夢を届けるのだ。 現実問題、そのようなことを周りの人に話してもバカにされるだけだ。 テレビや漫画の見過ぎだとか、幼稚な夢だ、もう少し大人になれよとか。 ある日僕は悪者に襲われ殺されそうになって物陰で震えている親子を見つけ、とっさに助け出すことに成功した。 その日から、僕は平和を守る本当のヒーローになることを決心したのだ。 ヒーローとして危険な場所を毎日見回り、おびえている子がいれば助け出した。 平和のために毎日働き続けることにより、少しずつではあるが人々も僕のヒーローとしての活躍を認めてくれるよ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 空を飛びたい

    「空を飛びたい」 僕は空を飛んでみたいと思い続けていた。勉強している時とか何かに集中しなければならないときに、特にこの気持ちが強くなる。それだけ僕の飛びたいという願望が強い証拠なのだ。これだけ強い気持ちを持ち続けてきたのだから、絶対に空を飛べるはず。 僕は実行してみようと決心した。 よく晴れた日の午後、僕は大空を見つめて深呼吸。思い切り地面を蹴って飛び上がった。 体が軽くなり、全身に風を受ける。見事に飛ぶことに成功したのだ。 見下ろすと、遥か彼方ですっかり小さくなってしまった僕が手を振っている。 えっ、そうすると今、空を飛んでいるこの僕って? 僕の中にはもう一人の僕がいて、そいつはいつも空を飛…

  • 超ショートショートの不思議な世界 霊体離脱

    「霊体離脱」 今の世の中、うかうか霊体離脱もできなくなってしまったよ。 この間久しぶりに霊体離脱をしたんだ。 そう、昼寝をしている最中にね。 フワッと体が浮き上がる感じがして、眼下に寝ている僕が見える。 もう少し上空に浮き上がってみようかなと思った瞬間、昼寝している僕の目が開いて起きだし動き始めたんだ。 えっ、マジ? 驚いて僕は後を追っかけたよ。 目覚めた僕は、普段と変わらない生活を始めた。 僕の魂はここにあるのに、僕の体は一体だれが動かしているんだ、って思った時、僕の体は空中に浮かんでいる僕を見つけて思いっきりアカンベーをしたんだ。 誰かが僕の体を乗っ取って僕に成りすましちゃったんだ。悪さを…

  • 超ショートショートの不思議な世界 校舎

    「校舎」 その場所に小学校の校舎が建っている。 ずっと昔から建っている。 校舎が建ったばかりの時には子供たちの声で活気づいていた。 時と共に子供の数は減り、校舎から子供たちの声は消えてしまった。 周囲には住む人もいなくなった。 それでも校舎は建っていて、時より廊下を走る座敷童の姿が見られた。 さらに時は流れて、校舎はダム湖の底に沈んだ。 それでも崩れることなく建っている。 湖底で人目に触れることのなくなった校舎を、今は魚たちが使っている。 そして、たまに河童の子供たちも遊びにやってくる。 校舎って、そんな場所なんだよね。

  • 超ショートショートの不思議な世界 社会の法則

    「社会の法則」 最近手先が不器用になったと思っていたら、いつの間にか右手の指が七本になっていた。 座り難くなったと思ったら、尻尾がはえていたし。 やたらとお腹がすくと思ったら、どうやらもう一つ胃袋ができてしまったらしい。 最近体中に余分なものができて、思うように活動できなくなってきた。 周りを見渡すと、僕だけのことではないみたいだ。 どうして余分なものが体に増えてきたのだろう。 そう思いつつ、今日も会社に出勤する。 会社での僕の仕事って、本当に会社の役に立っているのかな。 僕の勤めている会社って、本当に社会に必要とされているのだろうか。 でもさ、沢山の役に立たないものや余分なものが沢山あるから…

  • 超ショートショートの不思議な世界 見極めてから

    「見極めてから」 地図の上から突然アメリカが消えた。 続いてロシア、EU諸国。 次々といろんな国が消えていく。 アフリカ大陸もなぜかそわそわし始めた。 日本はというと、こんな事態になってもじっと動かない。周辺諸国の状況を見極めてということらしい。 しかし、その周辺諸国も消えてしまった。 もうそろそろ起こるらしいと感じた国、はすでにいなくなってしまった。 現在、地球上には日本が存在するだけ。 これでは周辺諸国の動きを見極めようにも見極めるための国がない。 いつになったら動くのだろう、日本。

  • 超ショートショートの不思議な世界

    「キツネとタヌキ」 やった、高学歴高収入のイケメンをゲットしたわ。 エステに流行ファッション、高い化粧品。お金をかけて努力した甲斐があったというものよ。 これで結婚までこぎつければわたしの勝ち。 その先の裕福な生活が保障されたも同然ね。 でも、気を抜いちゃだめよ、どんな時でも私の素顔は見せられない。この美貌、最新の美容技術を努力して習得した結果なのだから。昼も夜も、どんな時でもこの美貌を保たままでいないと。彼が私の素顔を知ったら捨てられてしまうかも。 すごい美人を手に入れたぜ。 こんな美人はめったにお目にかかれない、絶対に手放すものか。 田舎の両親が残してくれた財産のお陰で、高級メンズエステに…

  • 超ショートショートの不思議な世界 地獄の生活

    「地獄の生活」 浪人生活はまるで地獄のような一年だった。 何としても超一流大学に合格して、今まで心配をかけてきた両親を喜ばせてあげたい。 僕がこの大学に合格すれば、両親だって鼻が高いだろう。 いよいよ合格発表だ。 壁に張り出された合格者の受験番号。 あった、僕の番号だ。 これで地獄のような受験生活から解放される。 早速両親にも連絡だ。 合格したよ。 両親はこの言葉に喜んでくれると思ったのだが・・・ そうか、これから両親は四年の間、高い学費と僕の一人暮らしにために、今以上に働かなければならない。 僕に代わって地獄の日々が始まるのだ。

  • 超ショートショートの不思議な世界 平和のために

    「平和のために」 相手のパンチが先に俺の顔面にクリーンヒットしたら俺の負け、俺のパンチが先に相手の顔面にクリーンヒットしたら俺の勝ち。 格闘技のルールはいたって単純、だから観客も興奮する。 この試合、ハードパンチャー同士の試合だから、勝負は一瞬で決着するだろう。 緊張の中、ゴングが鳴った。 俺たちはしばらくにらみ合った。 そして相手の右三角筋が反応した瞬間を見逃すことなく、俺は右ストレートを繰り出した。 大歓声のなか、試合終了のゴングが打ち鳴らされる。 結果はどうであれ、これでまたしばらくの間は世界が平和でいられるのだ。 人間はどうしても争うことが止められない生き物らしく、どこかで誰かが戦って…

  • 超ショートショートの不思議な世界 美女を前にして

    「美女を前にして」 色白のグラマーな美人が私に手招きをする。 見るからに健康美の引き締まったボディを持つ美女も私を誘惑する。 今日はどちらの誘いに乗るべきか。 モテる私はいつも悩んでしまうのだ。 優柔不断といわれてしまえばそれまでなのだが、こんなにも魅力的な二人の女性から誘惑されてしまったら、この世に悩まない男性なんていやしないだろう。 いつまでもグズグズ悩んでいるわけにもいかない。周りの人々の視線だって気になる。 ここはひとまず、私はこのような状況は手馴れています、みたいな余裕の態度でさらりと決めてしまわなければ。 それにしても決断できない。 えーい、この際目をつぶって決めてしまえ。 私はエ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 未来のために

    「未来のために」 過去の歴史を変えようとしている組織がある。 その情報を入試した我々は、さっそく調査を開始した。 ご存じの通り、過去を変えることは未来を変えることにつながる。どんな小さな出来事であっても、過去の歴史を変えることは許されないのだ。 私は組織の一人を追って、彼が逃げ込んだ時代に私はトリップし、追い詰めた。 彼は私に消される直前に、偶然通りかかったその時代の一人の青年に銃の引き金を引いた。 大変なことになってしまった。 青年を死なせるわけにはいかない。 私は青年を私の時代に連れてきて、最新医療技術を駆使して命を救い、そして元の時代に送り届けることに成功した。 良かった、歴史を変えるこ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 時を超えたロマンス

    「時を超えたロマンス」 私は時空調査員の研修期間を終えて、仕事で初めて過去にタイムトリップすることになった。 目標時点(地点ではないのですよ)は戦国時代。 もうワクワクドキドキ、過去の世界の素敵なイケメンに巡り合って、恋が芽生えちゃうかも、そうなったらどうしよう。 そんな私を見ている先輩調査員たちは、なぜかにニヤニヤ。 中には、素敵なイケメンに出会えるように協力してあげるわよ、なんて冷やかすベテランの調査員まで。 早速先輩調査員とタイムスリップ、速やかにその時代の人々の中に紛れ込む。 ゲッ、期待と裏腹なにこの時代、イケメンなんてどこにいるの? 道行く人々は誰もみな身長低いし、老けて見えるし。予…

  • 超ショートショートの不思議な世界 土偶

    「土偶」 その土地から、奇妙な形の土偶が次々と発見された。 縄文時代に作られていた土偶とも異なる特徴を備えている。 しかも、出土される全ての土偶は破壊されることもなく、ほぼ完全な形で出土されるのだ。しかも前衛芸術家でも作れないほどの奇抜な美しさを持っている。 さらに驚くべきことに、時代を鑑定した結果、縄文時代よりはるか以前、1万年以上も前のものであることが判明した。 世紀の大発見だ。太古の昔にこのような手の込んだ土偶を作る技術を持った種族がいたなんて。 土偶の分析はさらに進んだ。 そして衝撃の新事実が発表された。 土偶と思われていたものは土偶ではなかった。土ではなく、カニやエビの甲羅などと同じ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 軽い気持ちで始めて見たら

    「軽い気持ちで始めて見たら」 もう疲れたよ、くたくただ。早くこの遊びから解放してよ。 この遊びがこんなにもハードだなんて。 しかも、まさかこんなことになるだなんて・・・「暇だなぁ」 てことで、僕は散歩に出ることにした。 その時ふと頭にひらめいたことがあったんだ。この散歩では絶対に右にしか曲がらずに進んで家に戻ってこよう。 単純な遊びのつもりでスタートしたんだ。 でも、進むにつれて次第に単なる遊びじゃなくなってきた。僕は真面目にルールを守って、ひたすら黙々と歩くようになってしまったのだ。 心のどこかでもうやめて帰ろうよと思う僕がいるのだが、その言葉を打ち消して自分で決めたことは最後までやり通すん…

  • 超ショートショートの不思議な世界 いたずら狐

    「いたずら狐」 目的地はもうすぐなのに、なかなかたどり着くことができない。 目標としている高層ビルもしっかりと見えているのに、なぜか角を曲がるとまた離れた位置に戻ってしまう。 昔の人の話では、キツネやタヌキに化かされて同じところをぐるぐる回って帰れないっていうことがあったらしいけど、ここは都会のど真ん中で、僕はスマホのナビを見て歩いているんだ。「面白いなぁあの青年、スマホ眺めながら首傾げているよ。かわいそうだからもう一周この場所を回ってもらってから解放してあげようか」 都心のとある神社、赤い鳥居の陰から笑いをこらえている狐の姿が。 そう、お稲荷さんに住むいたずら狐です。彼たちだっていつまでも昔…

  • 超ショートショートの不思議な世界 恐怖感

    「恐怖感」 夜遅くまで一人で起きていると、わけなく突然怖いという感覚に襲われるときはないかい? 僕はたまにあるんだ。 そんな時は、読んでいる本を閉じて、部屋中の電気をつけて、テレビもつけて、大声で独り言を話すんだけど、どうにもこうにも怖いという感覚は通り過ぎてくれない。 もちろんこんな時には布団をかぶって寝てしまうなんてできやしない。目も頭もギンギンにさえわたっているからね。 話している今がまさに、恐怖を感じているその時なんだ。 お酒でも飲んで気を紛らわせようか。 そんな時、どこからか声が聞こえてきた。「おまえ、臆病だな。そんなに怖がるなよ」 突然誰なんだよ、僕の恐怖感はマックスになり体は動か…

  • 超ショートショートの不思議な世界 地上の標的

    「地上の標的」 夜空に弓のような月が浮かんでいる。 上弦の月だ。 月の上が欠けたり下が欠けたり。地球の影だとわかっているけど、太古の昔から月も忙しいよな。 それにしても、月は弓の形になって何を狙うつもりなのだろうか。 ふとそんなことを考えたりもして。 夜空を見ながらの散歩も楽しいよな。「クソッ、せっかく弓を引く準備が整ったというのに、標的がクルクル目まぐるしく回り続けるからなかなか定まらない。そんなことをしているうちにまた期をのがしてしまった。次の下弦の月になるまで待たなくちゃ」 月がそうつぶやいた。 月は太古の昔から、地球上の標的に向かって矢を射ろうとしているのだが、地球の自転速度が速すぎて…

  • 超ショートショートの不思議な世界 痛い!

    「痛い!」 街を歩いていたら、可愛い女の子が手を振っている。えっ、僕を手招きしているの? ふらふらと近寄って行ったら・・・突然体にものすごい痛みが走り、グイグイとすごい力で引っ張られる。やめてくれ、僕は涙を浮かべながら抵抗するが、そんなことはお構いなしだ。 そして突然空が割れて巨大な手が出現し、僕の体をむんずと鷲掴みにして引き上げた。 どうやら僕の体には針がめり込んでいるらしい。その巨大な手は僕の体から針を外すと、また元の世界に戻したのだ。 頭上から「ナイスファイト、サンキュウー」と声が降ってきた。 痛みとめまいで意識がかすむ中、僕は街中でうずくまってしまった。 一体何が起きたのか。 僕はそこ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 パーティ券

    「パーティ券」 今日もパーティがある。高額のパーティチケットを会社が購入しているので行かねばならない。 三日連続だ。 本当に頻繁にパーティが開催される。もちろん開催者の目的は資金調達。パーティ券を購入しないと、社会貢献活動に非協力的な会社といわれSNSで話題が拡散されてしまう。会社運営に支障が出るのだから仕方がない。 パーティというと、ひと昔前までは政治家だけのものだったが、最近は様々な団体が設立され、資金調達のためにパーティ券は販売し始めた。本当にたちが悪い。 今日のパーティは、なになに?「世の中から不要なパーティをなくすために立ち上がった団体」 の開催するパーティだってさ。

  • 超ショートショートの不思議な世界 貧困問題解消

    「貧困問題解消」 都心の、とある公園に貧乏神が住みついた。 ブルーシートと段ボールで住処を作り、昼間から何処かで集めてきた酒を飲んで気ままに過ごしている。 景観を損ねるのだが、何しろ相手が貧乏神、下手に取りつかれたら大変だ。人々は気づかぬふりをして通り過ぎる。 中にはご機嫌を取ろうとして、こっそりとお供えとしてお酒や食べ物を置いていく人も現れた。できることならこの公園から出ないでほしいのだ。 そうなると、貧乏神にとっても公園はますます暮らしやすい場所になってくる。 そしてある日、貧乏神は二人に増えた。そして三人四人と日に日に増えていく。お供えのお酒や食べ物も量が増え、どんどん高級になっていく。…

  • 超ショートショートの不思議な世界 「ボーッ」としている

    「「ボーッ」としている」 頭の中が「ボーッ」としている。 脳細胞にとっては「ボーッ」とする時間は大切なことなのだ。 なんでも、脳のあちらこちらに記憶された情報を「ボーッ」としている間に結び付けているそうなのだ。「ボーッ」としている僕の頭の中でも、脳細胞が懸命に働いて情報を結び付ける作業をしているのだろうか。 そうだとしたら、僕はあとどのくらい「ボーッ」としていたらよいのだろうか。 目の前の空は青いし海も輝いている。 今日も僕は海辺で「ボーッ」と景色を見つめている。 僕はいつ活動を始められるのかな、いつになったら脳細胞がよし動くぞと言い出すのかな。「ボーッ」としながらその時をひたすら待っている僕…

  • 超ショートショートの不思議な世界 泥のように

    「泥のように」 パパは私たち家族のために、朝早くから夜遅くまで一生懸命働いている。 家に帰ってくると、「疲れたー」といってベッドに倒れ込むようにして眠ってしまう。 今日も夜遅くに仕事から帰ってくると、ベッドに倒れ込んで泥のように眠ってしまった。 そして気が付くと、パパが寝ているベッドが茶色く泥に汚れ始めている。パパは本当に泥になって眠ってしまったのだ。 ママはそっとしておいてあげなさいと言うのだけど、泥になったパパの体はだんだん崩れていく。 次の朝起きてみると、ママは泥になったパパを一生懸命こねていた。そして泥の塊からパパを作ると、日光で乾かし始めた。 「しっかりと泥をこねて作らないと、乾かし…

  • 超ショートショートの不思議な世界 安心安全のため

    「安心安全のため」 毎日毎日新しい規則が増え続けている。学校でも会社でも、この街でもそして国でも。 大人たちは、何か問題が起こると安心安全を確保するためと新しい規則を作る。それを守らない人がいると罰則も作る。 僕は規則に従って「行ってきます」といって玄関を出た。学校までの道は両側にずらっと道路標識が並んでいる。一つ一つをしっかり守って通学しないと、道路に立っているおまわりさんに怒られて、学校にまで連絡が行ってしまう。 でも、こんなにたくさんの道路標識を覚えることなんて不可能だ。僕はカバンから最新の標識ハンドブックを取り出して、一つ一つ確認しながら慎重に学校に向かって進む。 学校のホームルームで…

  • 超ショートショートの不思議な世界 廃墟ビルの謎

    「廃墟ビルの謎」 街の一角にお化け屋敷と呼ばれる廃墟がある。 使われなくなって荒れ果てた小さなビルで、撤去されることもなくその場に建ち続けている。 街の景観を損なうから解体してほしいという要望が出ているのだが、持ち主が不明で何もすることができないらしい。 夏には若者たちが肝試しと称して踏み込むので、中は荒れ放題だ。 夜、人気もなくなった街の一角にあるそのビルから、ブーンブーンという低い音がかすかに聞こえてくる。 住む人などおらず、インフラ設備も全てストップしているビルの地下にある配電盤が、また今日も動き始めたのだ。 それに気付く人などいるわけもない。 でも、どうして?

  • 超ショートショートの不思議な世界 オーバーアクション

    「オーバーアクション」 テレビ画面にいきなり宇宙人が映った。 どのチャンネルも同じ宇宙人が映っている。 地球上のテレビ全てをこの宇宙人がジャックした模様だ。 宇宙人は、必死に我々に何かを伝えようとしているように見える。 オーバー過ぎるゼスチャーを交えて大声で話をしている。もちろん地球人にその意味など解らない。 ただ言えることは、地球人からは想像もつかない容姿の生き物が、見たこともないオーバーアクションで、聞いたこともない音声で、何かを必死になって語っている。その様子はまるで最高のコメディーのように見えるのだ。 地球上の人々は、テレビ画面に映る宇宙人を見て涙を浮かべて大笑いした。 それでも宇宙人…

  • 超ショートショートの不思議な世界 見知らぬ花

    「見知らぬ花」 広場の上空に飛行機が飛んできた。 濃い緑色をした飛行機だ。近づくにつれて高度を下げてくる。 そして、見ている僕たちのすぐ上を通り過ぎると、飛行機からたくさんのパラシュートが開いて降下し始めた。その下には人間みたいなものがぶら下がっている。また一機、また一機と飛行機はやって来て、そこからたくさんのパラシュートが次々と降下する。 でも、模型飛行機のような小さな機体から何が降りてきたのだろう。 僕たちが広場で見たことを大人たちに話しても、誰も信じてはくれなかった。 それからしばらくすると、広場は見たこともない花で覆いつくされた。 同じような花、があちらこちらで大量に咲き始めたらしい。…

  • 超ショートショートの不思議な世界 おばあちゃんちの見えない子

    「おばあちゃんちの見えない子」 田舎のおばあちゃん、大好きだよ。 でもね、おばあちゃんの住んでいる古い家には絶対に何かいるんだ。 広い玄関の隅とか、納戸の奥とか、仏壇の部屋とか。 言葉ではうまく説明できないけど、絶対に何かがいるよ。 別に怖いとかは思わないんだけど、僕が泊まりに行くと、必ずなにか感じるんだ。 去年の夏休みにおばあちゃんの家に泊まりに行ったときに、おばあちゃんに思い切って聞いてみたんだ。 「この家、何かいるでしょ」 そうしたらおばあちゃんは、 「おやあの子が見えるのかい、それは得したねぇ」 と笑って答えてくれた。 この家には見えない子供が住んでいるのかな? もしかしたら僕と遊びた…

  • 超ショートショートの不思議な世界 宇宙時代の黒船

    「宇宙時代の黒船」 限定された空間でうまく生きて行く方法、僕たちは物心ついた時から教え込まれてきた。 しかし、歴史はものすごい速さで流れ、変化していく。 人間の尺度では想定外の事が頻繁に起こる。 チョンマゲ頭に刀を差していた日本人が洋装になったのだって150年ちょっと前の話。ペリーが黒船で日本にやって来て、あっという間に変わってしまった。 人間が生きている限定された空間もそれと共に膨張する。 企業活動も国境なんて関係なくなったのは最近の事だ。 今と同じ価値観のままの生活がずっと継続して続くなんて保証などどこにもない。 今までの価値観なんてある日突然ぶち壊されてしまう。本当にそんなことは一瞬で起…

  • 超ショートショートの不思議な世界 巨大宇宙船

    「巨大宇宙船」 巨大な、想像を絶するように巨大な宇宙船が空を横切り始めた。 地球の感覚からは想像もつかない大きさで、宇宙船を建造した知的生命体においては、地球人と比較して大きさと時間の概念も大きく異なっているのだろう。それに生命体という概念も。 宇宙船の船首が見え始めたのが40億年前、今ようやく半分が通り過ぎようとしている。 地球の感覚からすると、すでに存在しているのが当たり前の光景となってしまっている。 全て通り過ぎるまであと40億年。 地球上では今、巨大宇宙船の下で科学者たちが地球外生命体を真剣に探している最中なのだ。

  • 超ショートショートの不思議な世界 宝くじ

    「宝くじ」 さあ今月の宝くじ当選者は、あなた、あなたに決定です。一週間以内に賞品を受け取りに来てください。来ない場合には次回に繰り越しとなります。 当選者の方現れませんね、繰り越しですね。来月は倍の賞品となります。 全宇宙に存在する惑星を対象とした宝くじ、当選しますと生命誕生、劇的進化、素晴らしい文明社会など多数の賞品のなかからいずれかご希望の品をご提供させていただきます。今回受け取りに来られなかった地球は、なんと三回目の当選だったのでしたが。初回は40億年ほど前に当選され、生命誕生の賞品をお受け取りになられました。その後、自力で進化の道を歩まれている途中、2度目の当選は6千6百万年前で、哺乳…

  • 超ショートショートの不思議な世界 宣戦布告

    「宣戦布告」 ついに人類は異星人の存在を突き止めた。 巨大なパラボラアンテナが宇宙の果てから送られてきた規則的な信号をキャッチしたのだ。発信している星は数億光年かなたにあることが分かった。 しかし、現在の科学ではその内容を判読することはできない。それでも科学者たちは返事を送ることにした。彼らの考えた友好的な信号を断続的に送ったのだ。 そして数年後、規則的な信号を解読することに成功した科学者たちは青ざめた。 解析した彼らの信号パターンを科学者たちが返信した信号に合わせてみると、友好的な内容どころか・・・ 「やーいやーい屁のカッパ、悔しかったら攻めて来い」 という内容になってしまうのだ。 すでに信…

  • 超ショートショートの不思議な世界 幻のカレーパン

    「幻のカレーパン」 その店の名物カレーパン、店主の気まぐれで作るから、いつ店に並ぶかわからない。並んだとしてもあっという間に売り切れてしまう。 カレーパンが好きな僕も一度は食べてみたいと恋焦がれているのだ。 時には丸一日店の前で粘って待っていたこともあったが売り出されることはなかった。あと一人というところで売り切れてしまったこともあった。なんとしても手に入れたい。 この店のカレーパンを手に入れたいと思って何年の月日が流れたことだろう。しかし、手に入る時は本当に一瞬なのだ。 偶然その店の前を通りかかった時、店主が焼きたてのカレーパンをもって奥から出てくるのが目に入った。 僕はついに幸運と巡り合っ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 脱皮

    「脱皮」 子供の頃に遊んでいた公園を久しぶりに訪れてみた。 こんなに狭かったんだ。記憶にある公園は探検するには最高の場所で、ジャングルジムやブランコ、大きな木も沢山あってとても広い場所だった。当時住んでいた家から一人でここに遊びに来るのにも遠いから勇気が必要だったのだが、今歩くとほんの一分しかかからない。 心なしか公園の風景も色あせて見える。 やっぱり子供っていうのは別の世界に生きている生き物なんだよな。 僕たちの心は時の経過と共に脱皮を繰り返して少しずつ違う形へと変化して行くのだ。昔に戻ることはできない。 今度僕の心が脱皮した時には、世界はどのように変わって見えるのだろう。

  • 超ショートショートの不思議な世界 鏡の世界の自分

    「鏡の世界の自分」 鏡の向こうの世界には僕の住むアパートの部屋が映っている。時刻は朝の6時、僕の姿はまだ見えない。あと少しすれば、寝ぼけ眼で鏡をのぞきにやって来るはずだ。 きた、鏡の奥から僕が現れた。あれ、右目が真っ赤に充血しているぞ、これは想定外だ。でも時間がない、このまま演技するしかない。 僕は鏡の向こうの僕の姿を忠実に鏡の中で再現する。歯を磨いて顔を洗って。目の充血だけは正確に映すことができず気になったが、大きな問題にはならないだろう。 そうして鏡の向こうの世界の僕は部屋を出て行った。 僕が会社から帰ってくるまでしばしの休憩。 鏡っていうのも大変なんだよ。

  • 超ショートショートの不思議な世界 メールの山

    「メールの山」 メールの山にうんざりだよ。 スマホに毎日大量に届くメール、ほとんどがダイレクトメール。その山の中から必要なメールを探し出すのに一苦労。 そんなことだから、問題のメールをすぐに見つけることができなかったんだ。 未来の僕からの封書のメールがきて読んでみたら、不幸のチェーンメールに注意しろって書いてあった。 そこでスマホの中の大量メールの山から不幸のチェーンメールをやっとの思いで見つけ出したのがついさっきさ。このメールを受け取って三日以内に3人以上に転送しないと不幸が訪れるって。 でももう遅い、期限はとっくに過ぎてしまっている。 問題の不幸って、もしかしたら階段踏み外して足をくじいた…

  • 超ショートショートの不思議な世界 パレット上の人生

    「パレット上の人生」 このパレットに水彩絵の具を出して、画用紙に絵を描いて仕上げてください。 絵を描き始めてから仕上がるまでの時間があなたの寿命となります。画用紙に描かれる絵があなたの人生。 どうしました、パレットの絵の具が混じり合って変な色になってしまったから洗いたいですって? ダメです。それはできません。 描き始めてしばらくすると、パレットの上の絵の具は混じり合って汚い色になってしまうものなのです。その絵の具で描かれる絵も同じ。 だって、子供の頃ってみなさん汚れというものを知らないでしょ。大人になるにつれて汚れて行くのは仕方のないことです。それが人生ですから。

  • 超ショートショートの不思議な世界 子供が足りない

    「子供が足りない」 今ならもれなくプレゼントが付いています。お得ですよ。 はいあなた、今度は女性に生まれ変わりたいですって、わかりました。プレゼントに二重まぶたをお付けします。 えっ、モデルさんみたいな長い脚もつけてくれって、わかりました、特別におまけします。 あなたは男性に、わかりました。女性を虜にする憂いをたたえた瞳に、奮発してオペラ歌手顔負けの美声もつけちゃいます。 どうですか、プレゼントの大盤振る舞い、今だけですよ、早く生まれたもの勝ちです。 ここは天国、新しく人間界に生まれようとする魂を募集しているのだけど、希望する魂が年々少なくなってきているのだ。 そこで神様が考えたのがプレゼント…

  • 超ショートショートの不思議な世界 悪魔になりたい

    「悪魔になりたい」 ある晩悪魔が僕にところに現れてさ、僕の望みを一つ叶えてやるから死んだら僕の魂をよこせっていうんだよ。 この話ってよく聞くパターンだよね。 そこで僕は、お前以上の能力を持つ悪魔にしてくれって言ったんだ。 僕の望みを聞いた時の悪魔の顔っていうのは見ものだったよね、情けない表情して目には涙を浮かべてさ。 もちろん約束通り悪魔にしてもらったよ。 そして悪魔の世界に行って他の悪魔たちにいろいろ聞いてみたんだけど、僕のところに来た悪魔は新米で、しかもできも悪かったみたいだ。僕の望みを叶えた後はこっぴどく叱られたみたいだけどね。 今の僕のかい? 悪魔たちから、生まれながらの悪魔じゃないの…

  • 超ショートショートの不思議な世界 地獄の鬼の憂鬱

    「地獄の鬼の憂鬱」 天国と地獄の違いって知っているかい? 死後、天国は善人が行く極楽、地獄は悪人が行く無限に苦しみを受ける場所、それ間違いだから。 人間界に悪いイメージが広がっちゃって地獄も迷惑しているんだよね。 昔、地獄をほんの一瞬垣間見た人間がイメージを膨らませて恐ろしい場所だって言い広めてしまったのが原因なんだよ。地獄だなんて言葉も悪いよね、誰がつけたんだよ。 確かに鬼はいるし血の池みたいな場所はあるよ。でも、鬼は地獄に来る人間を案内するガイドなんだ。それに血の池と呼ばれている場所は、効能豊かな赤い色をした天然濁り湯の温泉なの。 ここに落ちてきた人は最初に鬼のガイドにより温泉に案内される…

  • 超ショートショートの不思議な世界 妄想アイランド

    「妄想アイランド」 毎日満員の通勤電車に詰め込まれて会社に向かう。サラリーマンは辛いよな。 自由が欲しいよ、何もかも全てを自由にできる自分だけの国、もちろん僕は国王でわがまま贅沢のし放題。 満員の通勤電車の中でいつも一人、そんな妄想をしてニヤニヤしているんだ。 僕の妄想力があまりにも強烈だったから、ある日神様がその思いをキャッチしてくれて僕の望みを叶えてくれるという。大きな島を一つ僕に与えるから理想の国家を築くがよいと言われたんだ。 しかしもらった島、何もない。一から自分で作りなさいっていうのかい。 そんなの無理だよ、神様でもあるまいし。 この島もらうくらいなら、やっぱり今のままの平凡なサラリ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 布団人間張り付けの刑

    「布団人間張り付けの刑」 まだ寝ていたいよ、あと五分でいいから、ダメならせめてもう一分。 僕は子供の頃から朝はずっとこんな調子。最後にはあわてふためいて飛び起きて、朝食も食べずに身支度整え駅に猛ダッシュ。 子供の頃よく思ったんだ。起きるのが嫌だ、布団の中でずっとヌクヌクしていたい、このまま布団人間になってしまいたいなんてね。 布団人間だなんて笑っちゃうよな。でも子供の発想力って面白いと思うよ。 布団人間って今考えるとオネショしちゃったらどうなるんだろうね、お母さんによる張り付け日光浴の刑が待っているよな。あの子オネショしたってみんなにばれてしまう。子供の頃はさすがにそこまでは考えなかったな。 …

  • 超ショートショートの不思議な世界 夢の中の僕

    「夢の中の僕」 夢の世界、そこは空想の世界であって実在はしない世界、眠っているときにだけ現れる。 たのしい世界の時もあるし悲しい世界の時もある。想像もできないような不思議な世界も。 その日僕はとてもリアルな夢を見た。学校の部活動で体を思う存分動かして家に帰るとベッドに倒れこむようにして眠ってしまった。そして夢を見た。 夢の中の僕は眠っていて夢を見ている。その夢は起きている世界にいる僕の夢だった。 だとしたら、この僕は夢の中で存在している僕なのか? 本当の僕って、いったいどこにいるのだろう。 本当の僕が目覚めたときに、今の僕はどうなってしまうのだろうか。

  • 超ショートショートの不思議な世界 仮想世界

    「仮想世界」 僕も限りなくリアルに近い仮想世界を作ってみよう。 外出することが無くなった今、僕はそう考えた。 外出自粛、会社も在宅ワークとなり家からからほとんど出なくなった、おこもり生活がもうどのくらい続いているのだろうか。 そんな僕の唯一の楽しみはネットサーフィン。外出できない代わりに旅行記事を読んで気を紛らわせる。 毎日たくさんの記事がアップされるから飽きることはない。 これだけたくさんのネット記事を毎日読み漁っていると、僕自身がまるで本当に旅をしている感覚になり、仮想体験記事だって書くことができそうだ。そこで記事を書いてみることにした。もちろん仮想体験上で旅した経験をもとに。 ネットから…

  • 超ショートショートの不思議な世界 都市伝説

    「都市伝説」 日本の東北地方では最近よく河童が目撃され、九州ではイッタンモメンが空を飛んだというニュースが報告されている。 アメリカではビッグフット、ネス湖ではネッシー、ブラジルではチュパカブラスも頻繁に現れているらしい。 そして世界中の大都市では、いたるところで人間が目撃されている。 もうこれは都市伝説。 ずっと未来、地球上を人間の次の生き物が支配した時のお話です。

  • 超ショートショートの不思議な世界 バグ

    「バグ」 さて、新しいプログラムをアップデートする時が来たね。 小学校に入学した子供たちを見ながら神様がつぶやいた。 人はそれぞれの年代ごとに、神様が新しいプログラムを脳にアップデートしてくれるのだ。 でも、時々バグが発生して脳細胞が暴走してしまう人が現れる。そうなってしまった人は神様でも修復不能。 脳細胞の中でプログラムにバグが発生してしまった人たちは、その後一生そのバグと向かい合って生きていかなければならない。 世界的な文学賞を受賞した作家は答えた。創作のアイディアは、突然頭の中に降ってくるのだと。世界的な数学者も物理学者もアーティストも答えは突然頭の中に降ってくると、皆同じことを言う。 …

  • 超ショートショートの不思議な世界 ユキダルマ

    「ユキダルマ」 白い火山灰が降り積もる、フワフワ フワフワ。 もうだいぶ以前から、地球は人間活動が環境に及ぼした影響と地殻変動が活発になったことにより、気象が激変してしまっていた。 火山活動の影響で。この街には年に数回真っ白い火山灰が降り積もる。人々はもうそれが当たり前の事として生活を送っている。 娘が防塵マスクを着けて屋外で遊んでいる。火山灰を水で固めて丸い球を作り重ねている。 「ねえパパ、なんでこの丸い人形、ユキダルマっていうの?」 ユキダルマ? 昔、まだ地球環境が今みたいに著しく破壊されていなくて、地殻変動もそんなに活発じゃなかった時期、寒くなると大気の水蒸気が氷の結晶となって地上に降っ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 地球防衛軍

    「地球防衛軍」 僕はみっちゃんと喧嘩をした。つまらない意地の張り合いだった。でもごめんねって言えなかった。帰り道、落ち込んでいた僕は道端に転がっていた銀色の灰皿のようなものを思い切り蹴とばした。灰皿のようなものはカーンと大きな音を立ててガードレールにぶつかり川に落ちた。 畑に落ちていた銀色のペンのような物体をカラスが見つけ、くわえて空に舞い上がりアスファルトの道路に落とした。ペンのような物体は転がってグシャッと音をたてて車に轢かれた。 水中を進む金色に輝く小さな物体、それめがけてブラックバスが猛然とアタックし飲み込んでしまった。 ここは宇宙空間、地球侵略をたくらむ母船に地球偵察に旅立った宇宙船…

  • 超ショートショートの不思議な世界 侵略者

    「侵略者」 もうそれは人々にとって当たり前の光景になっていた。 その花は最初に地球にやって来た時は、ひっそりと街の片隅で小さな花を咲かせているだけだった。 そして少しずつ時をかけてその数を増やしていった。 その花の存在は、人々の意識の片隅に無意識のうちに入り込んでいったため、今こうして大量に増殖しても注意を払う人はほとんどなく、季節の当たり前の光景としてとらえていた。 朝日に向かって一斉に花を咲かせるその集団、植物に見えるが実は地球の知的生物とは全く違うタイプの異星人たちで、集団で一つの意思を持っているのだ。 その者たちの地球侵略は着実に、そして確実に進んでいる。 しかし人間は誰も気にとめない…

  • 超ショートショートの不思議な世界 特殊能力

    「特殊能力」 僕には1時間先がわかる特殊能力がある。 1時間先と言っても、身のまわりの出来事ではなく、新聞などで扱われる世界の動きだ。 そのことに気が付いたのがひと月前の大統領選挙だった。 一時間前に僕の脳裏に勝利宣言する新大統領の姿が映ったのだ。 その後も国際規模の犯罪や事故など1時間前に脳裏に映し出される。 しかし、それで僕の何が変わるっていうんだい、何ができるっていうんだい? お金もコネクションもない平凡なサラリーマンに1時間先の未来が分かったところで何もできないし、何の得にもならない。 1時間後に爆破テロが起こるって? どこなの国がミサイルを発射するって? そんなことが分かっても、だか…

  • 超ショートショートの不思議な世界 バトルゲーム

    「バトルゲーム」 僕はこの世界に流れ着き、勇者として育てられた。 そしてついに旅立つ時が来た。僕を育ててくれた村の人々を苦しめるモンスターたちが潜む、悪の要塞を滅ぼす旅に出ることにしたのだ。 途中、僕は共に戦う仲間を三人見つけなければならない。そのための秘密のアイテムは旅立つ時に受け取っていた。腰に付けた丸い秘密のアイテムを駆使して悪の要塞に着く前に仲間をゲットするのだ。 最初に知恵者をゲットすることに成功し、次に僕に忠義を尽くすファイター、さらに飛翔能力抜群の戦士。三人の仲間をゲットして、いよいよ悪の要塞に乗り込む時が来た。 いきなり壮絶なバトルがスタート。 僕たちそれぞれの特技を生かしてモ…

  • 超ショートショートの不思議な世界 宇宙空間

    「宇宙空間」 僕たちはみな宇宙空間の中で暮らしている、と真面目に話すと皆からバカにされるんだ。 考えてみてくれよ、この地球だって宇宙空間に浮かんでいるじゃないか、だからこの場所だって宇宙空間の一部なんだぜ。だから僕たちは宇宙空間に住んでいるんだ。 宇宙空間は時間軸や距離の概念が僕たちの今の考え方では通用しないくらいに複雑に入り組んでいるんだ。そのことを意識できない人たちには信じられないだろうけど、複雑に入り組んだ空間を利用して、沢山の異星人たちが星々の間を絶えず行き来している。この地球にだって大勢の異星人が来ている。 地球人のみんな、固定観念を捨てて新たな気持ちでこの世界を眺めてみてよ、僕たち…

  • 超ショートショートの不思議な世界 スローモーション

    「スローモーション」 都会に住んで、毎日忙しく暮らしていた僕は、ある日周りの動きが急に早く感じ始めた。 動きは日ごとに早くなっていく。 道行く人々は短距離走者が全力疾走するような速さで動き回り、走る車もF1レース並みの高速走行だ。話す言葉も倍速以上で再生されている感じで聞き取れない。もちろん仕事も置いてきぼりだ。 だめだ、もうついていけない。胸が締め付けられるような緊張感、息切れもするし頭が痛い。 僕は一人、都会を逃げ出し遠く離れた山の中に逃げ込んだ。 そこでは時間が普通に流れていた。都会で生活していた時のように、胸が締め付けられるような緊張感やストレスも感じない。 鳥や虫の声を聞き、爽やかな…

  • 超ショートショートの不思議な世界 写真地図

    「写真地図」 僕は写真地図を見るのが好きなんだ。 今日もパソコンのディスプレイに映し出される写真地図を眺めて世界旅行を楽しんでいた。 ディスプレイには十年以上も前に起こった化学工場の大事故で被害を受けた、広大な立ち入り禁止区域の赤茶けた不毛の大地が広がっていた。痛ましい事故の影響が未だにこの場所では続いている。 ところが、その赤茶けた大地の中になぜか緑に覆われた地域があるのを発見した。拡大してみると、畑や建物も確認できる。人々が生活をしている集落があるらしい。 どうしてここだけが? 聞いたことがある。現代文明を拒絶し続けて生きる人々が住む村が存在すると。 そう、僕が見つけた場所こそが、現代もな…

  • 超ショートショートの不思議な世界 「見えない何か」

    「見えない何か」 新しい家を買った。 引っ越したその日に娘が「ねえ、この家何かいるよ」といった。 よく見ると、リビングの片隅の壁に張り付くようにして「何か」がいる。形は分からないが気配を感じるのだ。 その「何か」は、そっとこちらをうかがっているようだ。俺たち家族が友好的なのかどうかを心配そうに観察しているようにも感じる。 こちらもしばらく観察していたが、「何か」はそこから動くわけでも悪さをするわけでもなさそうだ。 「大丈夫、悪いものじゃないからね」 俺は妻と娘にそう言うと、怖がらないようにそこにあるものを置いた。 それから毎日、俺たち家族はそこで手を合わせる。 「神様、今日も一日よろしくお願い…

  • 超ショートショートの不思議な世界 「挑戦者」

    「挑戦者」 俺は無敗の格闘技チャンピオン、誰も俺を倒すことはできない。 格闘技界の英雄である俺は数十年勝ち続けている。地位も名誉も金だって十分すぎるほど手に入れた。それに歳も取ったことだし、負けた時が引退するときと決めているのだが、いまだに俺に勝てそうな挑戦者は現れない。 今日の試合も俺の圧勝だった。さすがにこの俺といえども勝つことに疲れを感じるようになってきた。誰か早く俺を倒して引退させてくれ。 願いとは裏腹に俺より強い相手は依然として現れない。 さすがにしびれを切らせた俺は、次の挑戦者を自ら指名することにした。 俺を引退に追い込む最強の挑戦者は、昨日の無敗のチャンピオンのこの俺だ。

  • 超ショートショートの不思議な世界 「俺はネッシーだ」

    「俺はネッシーだ」 俺はネッシー伝説を信じて疑わない。 誰が何と言おうとネッシーはこの湖に実在しているのだ。 ネッシーの姿を求めて日々この湖の畔を探し歩いている俺なのだが、残念ながらその姿や痕跡を見つけたことはまだない。 最近ネッシーの目撃情報が頻発していると話題になっている。メディアも頻繁に取り上げるようになってきた。ネッシーブームの再来だ。 ブームの影響で湖を訪れる人が増えてきた。今までは俺一人の世界だったのに、湖畔を歩いているときにネッシー探しの人にばったり出くわす時もある。 そのような中、俺は未だにその姿を見ることができないでいた。こんなにネッシーに恋焦がれているのになぜ会えないのだ。…

  • 超ショートショートの不思議な世界 「逆浦島」

    「逆浦島」 ある日僕は海岸を散歩中に乙姫様を拾った。 乙姫様の話しによると、近年海洋汚染が一段と進み、深海にある竜宮城は人間の捨てるゴミで埋もれてしまってもう住むことができないくらいに汚れてしまったのだそうだ。そのため、仕方なく竜宮城を捨てて逃げてきたというのだ。 僕は海を汚してしまった人間の一人として申し訳なく思い、行く当てのない乙姫様を家に連れて帰った。 そして一緒に暮らすようになったのだが、地上の生活環境も食べ物も乙姫様にとっては汚染されていて体に悪いようで、急激に老け込んでしまった。 そしてひと月もしないうちに老いて亡くなり塩水になって海に帰ってしまったのだ。

  • 超ショートショートの不思議な世界 「初登頂」

    「初登頂」 今までの苦労が報われる瞬間が迫っている。 あともう少しで僕は人類史上初めてこの山の頂に立つことができるのだ。 だが、途中で何者かがこの山の頂に向かって登っていることに気が付いた。足跡が点々と山頂に向かって続いているのを発見したのだ。その足跡は人間のものにしてはあまりにも大きなものだった。 そして僕は登頂寸前にその足跡の主の姿を確認した。 足跡の主は頂きに立ち、登ってくる僕を恐ろしい顔をして見つめていたのだ。 雪男だ。まさか実在していたなんて。 あともう少しで僕は人類史上初めてこの山の頂を征服することができるのだが、地球上の生物で初めてこの山の頂に立っている雪男はその場所をどいてくれ…

  • 超ショートショートの不思議な世界「事故物件」

    「事故物件」 家賃格安のアパートを見つけた。 事故物件なのだ。なんでもこの部屋で若い女性が自殺し、その幽霊が出るのだそうだ。 しかし僕はそんなことは気にしない。いやむしろ期待してこのアパートの部屋を借りたのだ。なんといっても、この僕は彼女いない歴イコール僕の年齢、デブで不細工のせいで世の女性たちからキモイと避けられ、恋愛とは全く無縁の男なのだ。たとえ幽霊といえども若い女性と二人で話がしてみたい。 引っ越したその夜、さっそく女性の幽霊が現れた。僕一人の部屋に、幽霊といえども若い女性がいるなんて、僕は嬉しくて天にも昇る気持ちになった。 しかし次の日から幽霊はパッタリと現れなくなってしまった。 彼女…

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