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オタ録ブログ https://www.otalog.jp/

あるオタクの思考と嗜好をキロクしたブログ。アニメ・マンガ・ゲーム・フィギュアを中心としたカルチャー雑記

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2019/04/17

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  • 2024年 冬アニメランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 早くも桜の咲き誇る季節となり,2024年冬アニメもすべての作品が放送を終了した。今回の記事では,恒例通り2024年冬アニメの中から,当ブログが特にクオリティが高いと判断した6作品をランキング形式で振り返ってみたい。コメントの後には,作品視聴時のTweetをいくつか掲載してある。なお,この記事は「一定の水準を満たした作品を挙げる」ことを主旨としているので,ピックアップ数は毎回異なることをお断りしておく。また,「中間評価」の記事では…

  • TVアニメ『葬送のフリーレン』(2023年秋-2024年冬)レビュー[考察・感想]:箱庭の中へ

    *このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読みください。 『葬送のフリーレン』公式Twitterより引用 ©︎山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会 frieren-anime.jp www.youtube.com 2023年秋から2024年冬にかけて放送された山田鐘人原作・アベツカサ作画/斎藤圭一郎監督『葬送のフリーレン』(以下『フリーレン』)は,美麗な作画と繊細な演出によって,近年のファンタジー系アニメの中でも群を抜いて高いクオリティを示した。表面的なルックのよさという水準を超え,作品の思想とアニメーションの技法を美しく共鳴させるこ…

  • 2024年 春アニメは何を観る?来期おすすめアニメの紹介 ~2024年 冬アニメを振返りながら~

    『終末トレインどこへいく?』公式HPより引用 ©︎apogeego/「終末トレインどこへいく?」製作委員会 www.animatetimes.com 2024年 冬アニメ振返り ①『アストロノオト』(オリジナル) ②『WIND BREAKER』 ③『狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF』 ④『怪獣8号』 ⑤『鬼滅の刃 柱稽古編』 ⑥『この素晴らしい世界に祝福を!3』 ⑦『SAND LAND: THE SERIES』 ⑧『終末トレインどこへいく?』(オリジナル) ⑨『戦隊大失格』 ⑩『響け!ユーフォニアム 3』 ⑪『無職転生Ⅱ ~異世界行ったら本気だす〜 第2クー…

  • TVアニメ『葬送のフリーレン』(2024年冬)第26話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『葬送のフリーレン』「#26 魔法の高み」のネタバレを含みます。 「#26 魔法の高み」より引用 ©︎山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会 frieren-anime.jp www.youtube.com 山田鐘人原作・アベツカサ作画/斎藤圭一郎監督『葬送のフリーレン』(以下『フリーレン』)各話レビューの第3弾として,今回は「#26 魔法の高み」を見ていこう。絵コンテ担当は斎藤圭一郎監督,原科大樹,岩沢亨,演出担当は『天国大魔境』(2023年)監督の森大貴である。戦闘シーンを中心に,〈対峙〉 の緊迫感を巧みに表現した話数である。 フリーレン vs コピーレン…

  • TVアニメ『ダンジョン飯』(2024年冬)第7話・第8話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『ダンジョン飯』第7話「水棲馬/雑炊/蒲焼き」と第8話「木苺/焼き肉」のネタバレを含みます。 第7話「水棲馬/雑炊/蒲焼き」第8話「木苺/焼き肉」より引用 ©︎九井諒子・KADOKAWA刊/「ダンジョン飯」製作委員会 delicious-in-dungeon.com www.youtube.com 九井諒子原作/宮島善博監督『ダンジョン飯』各話レビュー第2弾として,今回は宮島善博監督が絵コンテ,中野広大が演出を手がけた第7話「水棲馬/雑炊/蒲焼き」,および米森雄紀が絵コンテ,下平佑一が演出を手がけた第8話「木苺/焼き肉」を取り上げてみよう。この2つの話数では,作画面でも物語面でも随…

  • 2024年 冬アニメ 中間評価[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の現時点までの話数の内容に言及しています。未見の作品を先入観のない状態で鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 ついこの間,年が明けたばかりだと思っていたのだが,気づけば2月も終わろうとしている。2024年冬アニメもほとんどの作品がクール半ばまでの放送を終えた。ここで当ブログ独自の観点から注目の作品を振り返っておこう。これまで通り五十音順に(ランキングではないことに注意)注目作品をいくつか取り上げる。 なお「2024年 冬アニメは何を観る?」の記事でピックアップした作品は,タイトルを水色にしてある(2クール連続放送の作品に…

  • 2024年 冬アニメOP・EDランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 『僕の心のヤバイやつ』第2クールOPアニメーションより引用 ©︎桜井のりお(秋田書店)/僕ヤバ製作委員会 今回の記事では,現在放送中の2024年冬アニメの中から優れたOP・EDを紹介しよう。タイトルの下にノンクレジットの映像を引用してあるので,ご覧になりながら記事をお読みいただければ幸いである。なお,通常のランキング記事と同様,一定の水準に達した作品を取り上げるため,ピックアップ数は毎回異なることをお断りしておく。 6位:『アン…

  • 『葬送のフリーレン』フリーレン〈キャラ(クター)〉考察

    *この記事はネタバレを含みます。 『葬送のフリーレン』公式HPより引用 ©︎山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会 伝統的なファンタジーの舞台設定を用いつつ,穏やかな日常風景と細やかな心の機微を描く『葬送のフリーレン』。その独特な世界観を解釈するに当たって,主人公フリーレンのキャラ(クター)理解は不可欠である。今回の記事では,フリーレンの〈猫〉〈ずぼら〉〈オタク〉〈時間感覚〉といった成分に注目しつつ,このキャラ(クター)のユニークネスを分析したいと思う。 なお,本記事における〈キャラ〉と〈キャラクター〉という用語に関しては,以下の記事を参照頂きたい。 www.otalog…

  • TVアニメ『ダンジョン飯』(2024年冬)第3話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『ダンジョン飯』第3話「動く鎧」のネタバレを含みます。 第3話「動く鎧」より引用 ©︎九井諒子・KADOKAWA刊/「ダンジョン飯」製作委員会 delicious-in-dungeon.com www.youtube.com TRIGGER初のマンガ原作アニメとして注目される,九井諒子原作/宮島善博監督『ダンジョン飯』。すでに評価の定まった名のある原作をベースとしつつも,TRIGGERらしい躍動感を加味した優れた作品だ。今回の記事では,菅野一期が絵コンテ,中野広大が演出を手がけた第3話「動く鎧」を見てみよう。 躍動 構図 菅野一期と中野広大の技 作品データ 商品情報 躍動 TRIG…

  • 劇場アニメ『窓ぎわのトットちゃん』(2023年)レビュー[考察・感想]:僕たちの〈トットちゃん〉

    *このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読みください。 『窓ぎわのトットちゃん』公式HPより引用 ©︎黒柳徹子/2023映画「窓ぎわのトットちゃん」製作委員会 tottochan-movie.jp www.youtube.com 『窓ぎわのトットちゃん』(以下『トットちゃん』)は,黒柳徹子の自伝的小説を原作とするアニメーション映画である。実在の人物や出来事を扱ったリアリズムをベースとしつつ,子どもたちの身体運動をアニメーションならではの技法によって細やかに表象し,戦争前夜の日本における小さな〈自由〉を美しく描いた傑作だ。 あらすじ トットちゃん:自由な身体…

  • TVアニメ『姫様“拷問”の時間です』(2024年冬)第1話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『姫様“拷問”の時間です』「EPISODE #01」のネタバレを含みます。 『姫様“拷問”の時間です』「EPISODE #01」より引用 ©春原ロビンソン・ひらけい/集英社・国王軍第三騎士団 himesama-goumon.com www.youtube.com 今期ギャグアニメ枠の中でも特に注目される春原ロビンソン・ひらけい原作/金森陽子監督『姫様“拷問”の時間です』(以下『ひめごう』)。金森監督が絵コンテ・演出を手がけた「EPISODE #01」は作画と演出のクオリティが極めて高く,初手で本作の魅力を印象付けた優れた話数である。 凛々しい姫様とユルい姫様 トーチャーの食事:エロ…

  • 2023年 アニメランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品について簡単なコメントを付しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,下の目次から「ランキング表」へスキップするなどしてご覧ください。 2023年新作アニメの鑑賞数は,TVシリーズが58作品(『スパイ教室』『呪術廻戦』『ダークギャザリング』のように2クールにまたがる作品は1作品としてカウント),劇場版が22作品だった(『劇場版 美少女戦士セーラームーン Cosmos』など前後編に分かれているものは1作品としてカウント。TVアニメの劇場先行上映やOVAに相当する作品も「劇場版」としてカウント)。 以下,「TVアニメランキング(10作品)」「劇場…

  • 2023年 秋アニメランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 2023年の師走もあっと言う間に過ぎ,2023年秋アニメもほぼすべての作品が放送を終えた。今回の記事では,恒例通り2023年秋アニメの中から,当ブログが特にレベルが高いと判断した9作品をランキング形式で振り返ってみよう。コメントの後には,作品視聴時のTweetをいくつか掲載してある。なお,この記事は「一定の水準を満たした作品を挙げる」ことを主旨としているので,ピックアップ数は毎回異なることをお断りしておく。 www.otalog…

  • 2023年 TVアニメ話数ランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 今回の記事では,2023年に放送されたTVアニメの中から特に優れた話数を作品横断的に選び,ランキング形式で紹介したいと思う。原作に“解釈”を施し大胆に再構成したもの,逆に原作に忠実でありながら原作の持ち味をブーストしたもの,演出担当の個性を前面に押し出したものなど,どれも見応えのある話数である。各話数に関するレビュー記事も併せてご覧いただければ幸いである。 それぞれのタイトルは,水色=冬アニメ,桃色=春アニメ,赤色=夏アニメ,茶…

  • アニメと一緒に読んだ本 2023

    アニメを観る。キャラクターや物語のどこかに,一種の既視感がある。当然のことだが,創作において完全な“オリジナル”は存在しない。すべてのーーそう,文字通り“すべての”ーー創作が,過去の創作の部分的な模倣であり,再構成である。その模倣と再構成の手順が“オリジナル”なのだ。 頭の中の情報を検索する。大昔に読んだ本や大昔に観た映画がヒットする。確かに似ている。SNSで検索すると,他にも同じように感じている人が少なからずいる。見知らぬ人と同じ思いを共有できたことにささやかな喜びを感じる。 でも僕はたいていそこで満足できない。脳内であれSNSであれ,「検索」という行為はインデックスという表面的な情報をピッ…

  • 2024年 冬アニメは何を観る?来期おすすめアニメの紹介 ~2023年 秋アニメを振返りながら~

    『ダンジョン飯』公式Twitterより引用 ©︎九井諒子・KADOKAWA刊/「ダンジョン飯」製作委員会 www.animatetimes.com 2023年 秋アニメ振返り ① 『異修羅』 ②『うる星やつら 第2期』 ③『俺だけレベルアップな件』 ④『休日のわるものさん』 ⑤『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』 ⑥『ダンジョン飯』 ⑦『BURN THE WITCH #0.8』 ⑧『ぶっちぎり?!』(オリジナル) ⑨『僕の心のヤバイやつ 第2期』 ⑩『魔法少女にあこがれて』 ⑪『メタリックルージュ』(オリジナル) 2024年冬アニメのイチオシは… 2023年 秋アニメ振返り www.o…

  • 2023年 秋アニメOP・EDランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 『葬送のフリーレン』EDアニメーションより引用 ©︎山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会 今回の記事では,2023年秋アニメの優れたOP・EDを紹介する。タイトルの下にノンクレジットの映像を引用してあるので,ご覧になりながら記事をお読みいただければ幸いである。なお,通常のランキング記事と同様,一定の水準に達した作品を取り上げるため,ピックアップ数は毎回異なることをお断りしておく。 5位:『SPY×FAMI…

  • TVアニメ『呪術廻戦 渋谷事変』(2023年秋)第41話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変』「#41 霹靂-弐-」のネタバレを含みます。 「#41 霹靂-弍-」より引用 ©︎芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 jujutsukaisen.jp www.youtube.com 芥見下々原作/御所園翔太監督『呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変』各話レビュー第3弾として,今回は「#41 霹靂-弐-」を取り上げよう。絵コンテ・演出は,土上いつき,伍柏諭,山崎晴美の3名である。膨大なエネルギー量の破壊と徹底的なまでの絶望を個性あふれる演出技法で描いた傑作である。 廃墟を包含した街 モブの破壊 “赤”の破壊 穿たれた穴:生の零度 土上いつき,伍柏諭,山…

  • 2023年 秋アニメ 中間評価[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の現時点までの話数の内容に言及しています。未見の作品を先入観のない状態で鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 異常な酷暑に悩まされた今年も残りわずかとなり,2023年秋アニメはほとんどの作品がクール半ばまでの放送を終えた。ここで当ブログ独自の観点から注目の作品を振り返っておこう。これまで通り五十音順に(ランキングではないことに注意)注目作品をいくつか取り上げる。 なお「2023年 秋アニメは何を観る?」の記事でピックアップした作品は,タイトルを茶色にしてある。 www.otalog.jp 1. 『新しい上司はど天然』 2…

  • TVアニメ『薬屋のひとりごと』(2023年秋)第4話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『薬屋のひとりごと』「#4 恫喝」のネタバレを含みます。 「#4 恫喝」より引用 ©︎日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会 kusuriyanohitorigoto.jp www.youtube.com 中国風の王宮を舞台に薬屋の娘・猫猫が活躍する様を描いた日向夏原作/長沼範裕監督『薬屋のひとりごと』。ユニークなキャラ(クタ)ーと物語に加え,リッチな作画や演出が目を引く“上手い”アニメとして注目を集めている。今回の記事では,ちな演出回の「#4 恫喝」を取り上げよう。一見地味な話数に思えるかもしれないが,猫猫を中心とした人物たちの芝居を丁寧に演出しつつ,そのキャ…

  • TVアニメ『呪術廻戦 渋谷事変』(2023年秋)第37話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変』「#37 赫鱗」のネタバレを含みます。 「#37 赫鱗」より引用 ©︎芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 jujutsukaisen.jp www.youtube.com 芥見下々原作/御所園翔太監督『呪術廻戦 懐玉・玉折/渋谷事変』各話レビュー第2弾として,今回は「#37 赫鱗」を取り上げる。絵コンテ・演出は,ともにTRIGGER出身の荒井和人と砂小原巧。アニメオリジナルのシンボリックな演出を随所に散りばめ,渋谷というトポスとキャラクターたちを重ね合わせながら,原作の魅力を最大限にアンプリファイした素晴らしい話数となった。 渋谷-トポスという状…

  • TVアニメ『葬送のフリーレン』(2023年秋)第6話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『葬送のフリーレン』第6話「村の英雄」のネタバレを含みます。 第5話「村の英雄」より引用 ©︎山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会 frieren-anime.jp www.youtube.com 今回は山田鐘人原作・アベツカサ作画/斎藤圭一郎監督『葬送のフリーレン』(以下『フリーレン』)各話レビューの第2弾として,第6話「村の英雄」の演出を見ていこう。絵コンテ・演出は,『Fate/Apocrypha』や『天国大魔境』などに参加し,本作でもアクションディレクターを務める岩澤亨。Aパートのダイナミックなアクションに加え,Bパートの日常芝居が光った優れた話数であ…

  • 2023年 夏アニメランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 殺人的な残暑がようやく終わり,2023年夏アニメもほぼすべての作品が放送を終えた。今回の記事では,恒例通り2023年夏アニメの中から,当ブログが特にレベルが高いと判断した9作品をランキング形式で振り返ってみよう(今回は「中間評価」の記事では挙げなかった作品がランクインしている)。コメントの後には,作品視聴時のTweetをいくつか掲載してある。なお,この記事は「一定の水準を満たした作品を挙げる」ことを主旨としているので,ピックアッ…

  • TVアニメ『葬送のフリーレン』(2023年秋)第1〜4話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『葬送のフリーレン』第1話「冒険の終わり」第2話「別に魔法じゃなくたって…」第3話「人を殺す魔法」第4話「魂の眠る地」のネタバレを含みます。 第1話「冒険の終わり」より引用 ©︎山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会 frieren-anime.jp www.youtube.com 2023年秋アニメ最有望株として注目される,山田鐘人原作・アベツカサ作画/斎藤圭一郎監督『葬送のフリーレン』(以下『フリーレン』)。初回は「金曜ロードショー」の枠内で4話連続2時間スペシャルで放送され,作画,演出,音響,劇伴等あらゆる面において,斎藤率いるアニメ班の技量の高さを見せ…

  • 劇場アニメ『アリスとテレスのまぼろし工場』(2023年)レビュー[考察・感想]:生きよ,永遠のデュナミスたちよ

    *このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読みください。 『アリスとテレスのまぼろし工場』公式HPより引用 ©︎新見伏製鐵保存会 maboroshi.movie www.youtube.com 岡田麿里2作目の監督作品となる『アリスとテレスのまぼろし工場』(以下『まぼろし工場』)。本作には,内的・外的閉塞感や停滞感,そこからの離脱といった,これまでの岡田作品で描かれてきた自意識の問題がいっそう色濃く表れている。わかりやすいエンタメ要素で希釈することなく,いわば“岡田エッセンス”の原液を提示した本作は,決して口当たりのよい娯楽作品とは言い難いが,それだけに岡田…

  • 2023年 秋アニメは何を観る?来期おすすめアニメの紹介 ~2023年夏アニメを振返りながら~

    『葬送のフリーレン』公式HPより引用 ©︎山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会 www.animatetimes.com 2023年 夏アニメ振返り ① 『悪魔くん』 ②『新しい上司はど天然』 ③『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』 ④『カミエラビ』(オリジナル) ⑤『薬屋のひとりごと』 ⑥『シャングリラ・フロンティア』 ⑦『進撃の巨人 The Final Season 完結編(後編)』 ⑧『葬送のフリーレン』 ⑨『PLUTO』 ⑩『星屑テレパス』 ⑪『ミギとダリ』 2023年秋アニメのイチオシは… 2023年 夏アニメ振返り www.otalog.jp w…

  • 2023年 夏アニメOP・EDランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 『ホリミヤ -piece-』OPアニメーションより引用 ©︎HERO・萩原ダイスケ/ SQUARE ENIX・「ホリミヤ -piece-」製作委員会 2023年夏アニメも早くも終盤の話数に差しかかっている。最終的なランキング記事の前に,ここでOP・ED のランキングを発表しておこう。タイトルの下にノンクレジットの映像を引用してあるので,ご覧になりながら記事をお読みいただければ幸いである。なお,通常のランキング記事と同様,一定の水…

  • 『あの花』『ここさけ』『空青』:岡田麿里脚本〈秩父三部作〉における〈回帰〉と〈離脱〉のアンビバレンス[考察・感想]

    *この記事は「リアルサウンド」に掲載された記事を加筆・修正したものです。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』『空の青さを知る人よ』のネタバレを含みますので,必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読み下さい。 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』より引用 ©︎ANOHANA PROJECT 今秋(2023年9月15日(金)),岡田麿里監督・脚本『アリスとテレスのまぼろし工場』が公開される。本作には,閉塞感や停滞感といった,岡田自身が抱えていた自意識の問題が強く反映されており,それは彼女のこれまでの作品の多くで反復され敷衍され深化されてきたテーマでも…

  • 劇場アニメ『アリスとテレスのまぼろし工場』(2023年)試写レポート[考察・感想]

    この記事には,公式に発表されている情報以外のネタバレはありませんが,事前情報や先入観がまったくない状態で鑑賞されたい方は,鑑賞後に本記事をお読みください。 『アリスとテレスのまぼろし工場』公式HPより引用 ©︎新見伏製鐵保存会 maboroshi.movie www.youtube.com 2023年8月某日。残暑という名の酷暑に痛めつけられながら,僕は都会のビル街を足早に歩いていた。向かうは日比谷のワーナー・ブラザーズ試写室。とある方のご好意で,先から期待していたある劇場アニメを試写する機会をいただいていたのだ。 その作品は岡田麿里原作・脚本・監督『アリスとテレスのまぼろし工場』。なにせ「岡…

  • 劇場アニメ『特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜』(2023年)レビュー[考察・感想]:“開く”ユーフォ,“呼吸”するマリンバ

    *このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読み下さい。 『響け!ユーフォニアム』公式HPより引用 ©︎武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会 anime-eupho.com www.youtube.com 『ユーフォ』シリーズ4年ぶりの新作となった武田綾乃原作/石原立也監督『特別編 響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜』(以下『アンコン』)。部長という立場になった黄前久美子が,「アンサンブルコンテスト」参加に向けて奮闘する姿を描いた短編映画である。これまでのシリーズから制作メンバーの異同はあるが,その優れた描写力は相変わらず健在だ。 あらすじ 「無…

  • 2023年 夏アニメ 中間評価[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の現時点までの話数の内容に言及しています。未見の作品を先入観のない状態で鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 日本列島では相変わらず終わりの見えない酷暑が続く中,2023年夏アニメはほとんどの作品がクール半ばまでの放送を終えた。ここで当ブログ独自の観点から注目の作品を振り返っておこう。これまで通り五十音順に(ランキングではないことに注意)注目作品をいくつか取り上げる。 なお「2023年 春アニメは何を観る?」の記事でピックアップした作品は,タイトルを赤色にしてある。 www.otalog.jp 1 『AIの遺電子』 2 …

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    最近、スパムコメントが増えてきたので、コメントを非表示にさせていただきます。記事へのご意見等は「はてなブックマーク」にお願いいたします。

  • TVアニメ『わたしの幸せな結婚』(2023年夏)第6話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『わたしの幸せな結婚』「第六話 決意と雷鳴」のネタバレを含みます。 「第六話 決意と雷鳴」より引用 ©2023 顎木あくみ・月岡月穂/KADOKAWA/「わたしの幸せな結婚」製作委員会 watakon-anime.com www.youtube.com 2023年夏アニメの中でも高い評価を得ている顎木あくみ原作/久保田雄大監督『わたしの幸せな結婚』。とりわけ小出卓史が絵コンテ・演出を手がけた「第六話 決意と雷鳴」は,クール折り返しのここぞという話数で美麗な作画と巧みな演出を繰り出し,美世,香耶,清霞らメインキャラクターの魅力をいっそう際立たせた。その優れた演出術を詳しく見ていこう。…

  • TVアニメ『呪術廻戦 懐玉・玉折』(2023年夏)第29話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『呪術廻戦 懐玉・玉折』「#29 玉折」のネタバレを含みます。 「#29 玉折」より引用 ©︎芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 jujutsukaisen.jp www.youtube.com 芥見下々原作のTVアニメ『呪術廻戦 懐玉・玉折』は,監督が第1期の朴性厚から御所園翔太に交代し,演出方針が大きく変化したことでも注目を集めている。今回の記事では,絵コンテ:御所園翔太/演出:なかがわあつしによる「#29 玉折」を観てみよう。五条&夏油の回想編である「懐玉・玉折」の最終話とあって,様々な演出技術が披露された見所の多い話数となった。 距離 モブ=das Man,あるいは“サル…

  • TVアニメ『スキップとローファー』(2023年春)レビュー[考察・感想]:ブルー&イエロー,キャラメル&塩。

    *このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読みください。また,TVシリーズ以降の物語に関するネタバレ(原作第5巻)もありますのでご注意ください。 『スキップとローファー』公式HPより引用 ©︎高松美咲・講談社/「スキップとローファー」製作委員会 skip-and-loafer.com youtu.be 高松美咲原作/出合小都美監督『スキップとローファー』(以下『スキロー』)は,2023年春アニメの中でも最も注目された作品の1つと言っていいだろう。典型的な美形キャラや恋愛メインのストーリーといった“売れ筋”要素に頼らず,キャラ(クター)の魅力や繊細な心情描写で…

  • TVアニメ『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』(2023年夏)第1話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『天国大魔境』「#10 アキラ オブ ザ デッド」のネタバレを含みます。 「#1 アキラ オブ ザ デッド」より引用 ©︎麻生羽呂・高田康太郎・小学館/「ゾン100」製作委員会 zom100.com www.youtube.com 麻生羽呂・高田康太郎原作/川越一生監督『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』の放送が始まった。当ブログでは当初から注目していた作品だが,監督の川越が絵コンテ・演出を手がけた第1話は,巧みなレイアウト,強烈な色彩,ハイセンスな劇伴と,きわめて情報量の多い演出によって期待を上回る仕上がりになっていたと言える。その卓越した技を詳しく見ていこう(…

  • 2023年 春アニメOP・EDランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 以前,当ブログのアニメレビューでは「OP・ED」という評価項目を設けていたのだが,作品全体を評価するに当たり,オープニングとエンディング自体を得点化することにあまり意味がないと判断し,現在は項目から外してある。しかしその一方で,OP・EDが本編の解釈に影響するほど強い印象を持つことがあるのも確かだ。よって2023年春アニメから「OP・EDランキング」を記事にすることにした。タイトルの下にノンクレジットの映像を引用してあるので,ご…

  • 2023年 春アニメランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 2023年春アニメもすべての作品が放送を終え,すでに夏アニメの放送が始まっている。今回の記事では,恒例通り2023年春アニメの中から,特にレベルの高かった10作品をランキング形式で振り返ってみたい(今回は「中間評価」の記事では挙げなかった作品がランクインしている)。コメントの後には,作品視聴時のTweetをいくつか掲載してある。なお,この記事は「一定の水準を満たした作品を挙げる」ことを主旨としているので,ピックアップ数は毎回異な…

  • “Big Change”ーある天才酔いどれアニメーターの話:第206回アニメスタイルイベント「ANIMATOR TALK 磯光雄」レポートに代えて

    「デンスケ」のTシャツを着たその男は,少々はにかんだ笑顔を浮かべながらも,唯一無二のオーラをたっぷりと纏いながら登壇した。雑誌「アニメスタイル」が企画するトークイベントである。 『電脳コイル』公式Twitterより引用 ©︎磯 光雄/徳間書店・電脳コイル製作委員会 磯光雄。『機動戦士Zガンダム』でデビューした後,『機動戦士ガンダム0080ポケットの中の戦争』第1話冒頭の伝説的な作画で鮮烈な印象を残しつつ,「フル3コマ」「磯爆発」など独自の表現技法を繰り出して日本のアニメ表現に革命をもたらした。『電脳コイル』『地球外少年少女』では原作・監督・脚本を手がけ,その卓越したストーリーテリングで多くのフ…

  • 2023年 夏アニメは何を観る?来期おすすめアニメの紹介 ~2023年春アニメを振返りながら~

    『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』公式Twitterより引用 ©︎麻生羽呂・高田康太郎・小学館/「ゾン100」製作委員会 www.animatetimes.com 2023年 春アニメ振返り ① 『AIの遺電子』 ②『アンデッドガール・マーダーファルス』 ③『いきものさん』(オリジナル) ④『五等分の花嫁∽』 ⑤『呪術廻戦 懐玉・玉折』 ⑥『SYNDUALITY Noir』(オリジナル) ⑦『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』 ⑧『ダークギャザリング』 ⑨『Fate/strange Fake -Whispers of Dawn-』 ⑩『無職転生 Ⅱ ~異世…

  • TVアニメ『天国大魔境』(2023年春)第10話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『天国大魔境』「〈#10〉壁の町」のネタバレを含みます。 『天国大魔境』「〈#10〉壁の町」より引用 ©︎石黒正数・講談社/天国大魔境製作委員会 tdm-anime.com www.youtube.com 今回の記事では,石黒正数原作/森大貴監督『天国大魔境』各話レビュー第3弾として,絵コンテ・演出:五十嵐海による「〈#10〉壁の町」を取り上げたい。TRIGGERに籍を置く五十嵐の演出回とあって,デフォルメやパースをキツめに利かせるなど,極めてユニークな話数となった。また原画担当の個性をあえて際立たせた演出方針も,この話数に独特な風格を与えている。 デフォルメ 分散型アニメーション…

  • TVアニメ『スキップとローファー』(2023年春)第9話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『スキップとローファー』第9話「 トロトロ ルンルン」のネタバレを含みます。 『スキップとローファー』第9話「トロトロ ルンルン」より引用 ©︎高松美咲・講談社/「スキップとローファー」製作委員会 skip-and-loafer.com www.youtube.com 今回は高松美咲原作/出合小都美監督『スキップとローファー』各話レビュー第2弾として,第9話「トロトロ ルンルン」を取り上げたい。久しぶりに家族のもとに帰郷したみつみの安堵感,素朴でパストラルな情景描写,それと対照的な志摩の仄暗い心情などが丁寧に配置された名話数である。 距離:リチュアル 安堵:主観≒客観 憂鬱:陰と陽…

  • TVアニメ『天国大魔境』(2023年春)第8話の演出について[考察・感想]

    *【注意!】この記事は『天国大魔境』「〈#08〉それぞれの選択」のネタバレを含みます。また,今後の展開を暗示する書き方をしている箇所もありますので,事前情報がまったくない状態で今後の話数を楽しみたいアニメ勢の方は,最終話までご覧になった後に本記事をお読みになることをお勧めいたします。 『天国大魔境』「〈#08〉それぞれの選択」より引用 ©︎石黒正数・講談社/天国大魔境製作委員会 tdm-anime.com www.youtube.com 今回の記事では,石黒正数原作/森大貴監督『天国大魔境』各話レビュー第2弾として,絵コンテ:藤田春香/演出:仲野良による「〈#8〉それぞれの選択」を取り上げたい…

  • 2023年 春アニメ 中間評価[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の現時点までの話数の内容に言及しています。未見の作品を先入観のない状態で鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 当初から期待作の多かった2023年春アニメもほとんどの作品がクール半ばまでの放送を終え,評価も大方定まってきたと思われる。ここで当ブログ独自の観点から,目立った作品を振り返っておこう。これまで通り五十音順に(ランキングではないことに注意)注目作品をいくつか取り上げる。 なお「2023年 春アニメは何を観る?」の記事でピックアップした作品は,タイトルを桃色にしてある。 www.otalog.jp 1 『ウマ娘 プリ…

  • 『スキップとローファー』岩倉美津未〈キャラ(クター)〉考察

    *この記事はネタバレを含みます。 『スキップとローファー』公式HPより引用 ©︎高松美咲・講談社/「スキップとローファー」製作委員会 今期(2023年春)の学園アニメの中でも大きな注目を集めている高松美咲原作/出合小都美監督『スキップとローファー』。絶妙なキャラクターメイキングと繊細な演出・芝居が光る良作だ。今回の記事では,本作の主人公・岩倉美津未の〈キャラ(クター)〉を分析してみたい。ポイントは〈内面キャラ〉〈黒沢ともよ〉〈土地の記憶〉である。 なお,本記事における〈キャラ〉と〈キャラクター〉という用語に関しては,以下の記事を参照頂きたい。 www.otalog.jp 〈キャラ〉としてのみつ…

  • 劇場アニメ『プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第3章』(2023年)レビュー[考察・感想]:壁,力,愛

    *このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読み下さい。 『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』公式HPより引用©︎ Princess Principal Film Project pripri-anime.jp www.youtube.com 『プリンセス・プリンシパル Crown Handler』シリーズ3作目となる第3章では,アーカム公(リチャード)という“新たな力”が本性を現したことで,アルビオン王宮内の情勢はいよいよ混乱を極め,ノルマンディー公という“壁”が彼ら/彼女らの前に立ちはだかる。己の正義を貫こうとする「白鳩」たちにとって,…

  • TVアニメ『スキップとローファー』(2023年春)第1話とOPアニメーションの演出について[考察・感想]

    *この記事は『スキップとローファー』第1話「 ピカピカ」のネタバレを含みます。 『スキップとローファー』ノンクレジットOPより引用 ©︎高松美咲・講談社/「スキップとローファー」製作委員会 skip-and-loafer.com www.youtube.com 高松美咲原作/出合小都美監督『スキップとローファー』は,田舎の中学から東京の高偏差値高校に進学した天然才女・岩倉美津未を中心に繰り広げられる学園コメディである。監督の出合が画コンテ・演出を手がけた第1話「ピカピカ」は,爽やかな画作りと繊細な演出が光るたいへん優れた話数であり,SNS等でもすでに高い評価を得ている。詳しく見ていこう。 青,…

  • TVアニメ『天国大魔境』(2023年春)第1話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『天国大魔境』「〈#01〉天国と地獄」のネタバレを含みます。 『天国大魔境』「〈#01〉天国と地獄」より引用 ©︎石黒正数・講談社/天国大魔境製作委員会 tdm-anime.com www.youtube.com 石黒正数原作/森大貴監督『天国大魔境』は,「大災害」によって廃墟と化した世界を舞台に,異形の化物と戦いながら「天国」を探し求める2人の若者の姿を描いたポストアポカリプス作品である。すでに第1話から優れた作画と演出で視聴者を魅了し,SNSを大いに賑わせている話題作である。今回の記事では,その「〈#01〉天国と地獄」の演出について詳しく見ていく。 天国と地獄 地獄の中の“日常…

  • 2023年 冬アニメランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 2023年冬アニメもほぼすべての作品が放送を終えた(たいへん残念なことだが,一部COVID-19の影響で放送延期となった作品もある)。今回の記事では,恒例通り2023年冬アニメの中から,特にレベルの高かった7作品をランキング形式で振り返ってみたい。コメントの後には,作品視聴時のTweetをいくつか掲載してある。なお,この記事は「一定の水準を満たした作品を挙げる」ことを主旨としているので,ピックアップ数は毎回異なることをお断りして…

  • 2023年 春アニメは何を観る?来期おすすめアニメの紹介 ~2023年冬アニメを振返りながら~

    『【推しの子】』公式Twitterより引用 ©︎赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会 www.animatetimes.com 2023年 冬アニメ振返り ① 『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』 ②『王様ランキング 勇気の宝箱』 ③『【推しの子】』 ④『カワイスギクライシス』 ⑤『君は放課後インソムニア』 ⑥『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』 ⑦『この素晴らしい世界に爆焔を!』 ⑧『地獄楽』 ⑨『事情を知らない転校生がグイグイくる。』 ⑩『スキップとローファー』 ⑪『天国大魔境』 ⑫『贄姫と獣の王』 ⑬『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』(オリジナル) ⑭『山田くんとL…

  • TVアニメ『お兄ちゃんはおしまい!』(2023年冬)レビュー[考察・感想]:バッグに付けたマスコットのように

    *このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読みください。 『お兄ちゃんはおしまい!』公式Twitterより引用 ©︎ねことうふ・一迅社/「おにまい」製作委員会 onimai.jp www.youtube.com ねことうふ原作/藤井慎吾監督『お兄ちゃんはおしまい!』(以下『おにまい』)は,男→女というTSFのギミックを巧みに用いつつ,ガールズトークのカジュアルな楽しさを描いた作品である。12話という小品ながら,日本アニメが培ってきた〈日常系〉ジャンルの魅力を凝縮した秀作となった。 あらすじ 〈日常〉と〈変身〉 害虫から美少女へ 日常と〈日常〉 『おにまい』の…

  • TVアニメ『お兄ちゃんはおしまい!』(2023年冬)第9話のクリスマスシーンの演出について[考察・感想]

    *この記事は『お兄ちゃんはおしまい!』「#09. まひろと年末年始」のネタバレを含みます。 「#09. まひろと年末年始」より引用 ©︎ねことうふ・一迅社/「おにまい」製作委員会 onimai.jp www.youtube.com ねことうふ原作/藤井慎吾監督『お兄ちゃんはおしまい!』(以下『おにまい』)の各話レビュー第3弾として,絵コンテ・黒沢守,演出:秋山泰彦による「#9. まひろと年末年始」のクリスマスシーンに注目してみたい。クリスマスらしいきらびやかで美しいシーンであると同時に,巧みな構図とスマホカメラによる相互的な視点を導入した,たいへん見応えのあるシーンである。 シンメトリー/アシ…

  • 劇場アニメ『THE FIRST SLAM DUNK』(2022年)レビュー[考察・感想]:「新しい生命」

    *このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読みください。 『THE FIRST SLAM DUNK』公式Twitterより引用 ©︎I.T.PLANNING,INC. ©︎2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners slamdunk-movie.jp www.youtube.com 原作者・井上雄彦が自ら脚本・監督を務めた劇場アニメ『THE FIRST SLAM DUNK』。当初,声優陣の一新と主役の交代によって大きな物議を醸した本作だが,その洗練されたアニメーション,繊細な芝居,類まれなドラマメイキングによって,結果として…

  • 2023年 冬アニメ 中間評価[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の現時点までの話数の内容に言及しています。未見の作品を先入観のない状態で鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 2023年冬アニメもほとんどの作品がクール半ばまでの放送を終えた。新型コロナウイルス感染拡大の影響により,一部の作品は放送延期の憂き目をみているが,ひとまずここまでの段階で目立った作品を振り返っておこう。これまで通り五十音順に(ランキングではないことに注意)要注目作品をいくつか取り上げる。 なお「2023年 冬アニメは何を観る?」の記事でピックアップした作品は,タイトルを水色にしてある。 www.otalog.j…

  • 絵/画を“読む”快楽

    もっぱらアニメに関する記事をものしている僕だが,美術展の類にはそこそこの頻度で足を運ぶようにしている。要はビジュアル・アート全般が好きなのだ。 ちなみに僕は,それ自体がアート作品として成立している絵画を〈絵〉,アニメやマンガのように,作品全体の構成要素として機能している視覚要素を〈画〉と読んで区別しているが,かといって〈絵〉と〈画〉がまったく別世界のメディアであるわけではない。〈絵〉も〈画〉も,結局は視覚を通して何らかの意味(あるいは無意味)を伝達している。だから僕には,アニメもマンガも絵画も同じ“視覚芸術嗜好”という関心の平面で捉える瞬間がたびたびある。美術展を鑑賞することと,アニメを観るこ…

  • TVアニメ『お兄ちゃんはおしまい!』(2023年冬)第4話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『お兄ちゃんはおしまい!』「#04. まひろとあたらしい友達」のネタバレを含みます。 「#04. まひろとあたらしい友達」より引用 ©︎ねことうふ・一迅社/「おにまい」製作委員会 onimai.jp www.youtube.com 今回の記事では,ねことうふ原作/藤井慎吾監督『お兄ちゃんはおしまい!』(以下『おにまい』)の各話レビュー第2弾として,柿木田隼人が絵コンテ・演出を手がけた「#4. まひろとあたらしい友達」に注目してみたい。前回取り上げた伊礼えりの第4話と比べれば,構図や画角といった点では比較的おとなしめの作りだが,丁寧な日常芝居が目を引く優れた話数である。 変身その1:…

  • 『THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE』ブックレビュー[書評]:「痛みを乗り越え,一歩を踏み出す」

    THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE (愛蔵版コミックス) 作者:井上 雄彦 集英社 Amazon 2022年に公開された劇場アニメ『THE FIRST SLAM DUNK』は,原作者の井上雄彦自身が監督・脚本を務め,自作の大胆なリメイクに挑んだ作品として大きな注目を集めている。今回紹介する『THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE』(以下『re:SOURCE』)は,井上による作業過程やインタビューを掲載した一種の制作資料集である。映画を鑑賞しただけでは見えてこない試行錯誤の跡を知ることで,『THE FIRST SLAM DUNK』という作品の理解をいっ…

  • TVアニメ『お兄ちゃんはおしまい!』(2023年冬)第2話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『お兄ちゃんはおしまい!』「#02. まひろと女の子の日」のネタバレを含みます。 「#02. まひろと女の子の日」より引用 ©︎ねことうふ・一迅社/「おにまい」製作委員会 onimai.jp www.youtube.com 現在(2023年冬)放送中のねことうふ原作/藤井慎吾監督『お兄ちゃんはおしまい!』(以下『おにまい』)は,“お兄ちゃんが妹になる”というTSF設定の妙に加え,OP/EDを含めた卓越したアニメーション技術がコアなファンの間で話題となっている。とりわけ伊礼えりが手がけた「#02. まひろと女の子の日」は,構図や芝居などの点でひときわ見応えのある話数となった。詳しく見…

  • 温故“創”新:「新しい命」への待望

    新年明けましておめでとうございます。 ラーメン屋に行ってラーメンを注文したら,ミラノ風豚骨パスタが出てきた。 などということが仮にあったとして,僕はそういう状況がさほど嫌いではない。というよりも,積極的に評価すらしたい。ましてそれが美味であれば。 昨今,昭和時代のアニメ作品のリメイクが増えている。おそらく理由は単純で,この時代の作品をリアルタイムで楽しんでいた世代の視聴者層が分厚いからだ。しかし過去作品を何らかの形でリサイクルする場合,どうしても付きまとう問題がある。過去作品に忠実であるべきか,それとも新機軸を打ち出すべきか。忠実と新機軸の配分をどうすべきか。 多くの視聴者に注目されるべく,無…

  • 2022年 アニメランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品について簡単なコメントを付しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,下の目次から「ランキング表」へスキップするなどしてご覧ください。 2022年新作アニメの鑑賞数は,TVシリーズが48作品(『SPY×FAMILY』『サマータイムレンダ』など2クール作品は1作品としてカウント),劇場版が27作品だった(『劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM』など前後編に分かれているものは1作品としてカウント。OVAに分類される作品でも,劇場で先行公開したものは「劇場版」としてカウント)。 以下,「TVアニメランキング」「劇場アニメラ…

  • 2022年 秋アニメランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 今年も早年の瀬となり,秋アニメもほぼすべてが放送を終えた。期待作の多かった今クールの作品をみなさんはどうご覧になっただろうか。今回の記事では,恒例通り2022年秋アニメの中から,特にレベルの高かった10作品をランキング形式で振り返ってみたい。コメントの後には,作品視聴時のTweetをいくつか掲載してある。なお,最終話の評価によって,「2022年 秋アニメ 中間評価」ではピックアップしなかった作品が含まれることをお断りしておく。ま…

  • アニメと一緒に読んだ本 2022

    アニメは楽しい。それは間違いない。アニメという媒体は,それ自体で十分に楽しめる媒体だ。しかしその隣に,映画や音楽や書物などの別の媒体を置いてみよう。おそらく,単に楽しいだけだったアニメの中に,様々な含意や暗示や示唆が潜んでいることに気づくだろう。それは制作者が意図したことかもしれないし,まったくそうではないかもしれない。しかしそのようにして発見した細部をきっかけに作品の“読み”を広げていけば,通常の見方をしただけでは思いもよらない解釈に至る可能性が生まれる。言ってみれば,アニメと非アニメとの化学反応だ。だから僕はアニメと一緒に本を読む。アニメというビジュアルメディアのすぐ隣に,書物という文字メ…

  • 2023年 冬アニメは何を観る?来期おすすめアニメの紹介 ~2022年秋アニメを振返りながら~

    『REVENGER』公式HPより引用 ©︎REVENGER製作委員会 www.animatetimes.com 2022年 秋アニメ振返り ① 『アルスの巨獣』(オリジナル) ② 伊藤潤二『マニアック』 ③ 『大雪海のカイナ』(オリジナル) ④ 『吸血鬼すぐ死ぬ2』 ⑤ 『スパイ教室』 ⑥ 『NieR:Automata Ver1.1a』 ⑦ 『High Card』(オリジナル) ⑧ 『Buddy Daddies』(オリジナル) ⑨ 『火狩りの王』 ⑩ 『REVENGER』(オリジナル) ⑪ 『LUPIN ZERO』 2023年冬アニメのイチオシは… 2022年 秋アニメ振返り www.otal…

  • TVアニメ『モブサイコ100 Ⅲ』(2022年秋)第8話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『モブサイコ100 Ⅲ』「08 通信中② 〜未知との遭遇〜」のネタバレを含みます。 「08 通信中②〜未知との遭遇〜」より引用 ©︎ONE・小学館/「モブサイコ100 Ⅲ」製作委員会 mobpsycho100.com www.youtube.com 第1期(2016年)と第2期(2019年)に続き,大きな注目を集めているONE原作/立川譲総監督『モブサイコ100 Ⅲ』。特に先日放送された「08 通信中②〜未知との遭遇〜」は,宇宙人との遭遇という突飛な物語として元々人気があった上に,第2期の伝説回「05 不和〜選択〜」を担当した名アニメーター・伍柏諭が腕を振るったとあり,SNSでも大…

  • 劇場アニメ『すずめの戸締まり』(2022年)レビュー[考察・感想]:“girl meets herself”ー廃墟の中で,彼女は彼女と出会う

    *このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読みください。また『雨を告げる漂流団地』と『ぼくらのよあけ』の内容にも一部触れておりますのでご注意ください。 『すずめの戸締まり』公式Twitterより引用 ©︎「すずめの戸締まり」製作委員会 suzume-tojimari-movie.jp www.youtube.com 新海誠監督『すずめの戸締まり』は,ラブストーリー,ロードムービー,マスコットキャラ,妖怪バトルなど多くのエンタメ要素を盛り込みながら,これまで以上に高いポピュラリティを獲得することを狙った作品だ。しかし同時に本作は,同監督の『君の名は。』(201…

  • 2022年 秋アニメ 中間評価[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の現時点までの話数の内容に言及しています。未見の作品を先入観のない状態で鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 今年も残すところ一月半。2022年秋アニメもほとんどの作品がクール半ばまでの放送終えている。今回も,現時点までの当ブログ最注目作品を五十音順に(ランキングではないことに注意)いくつか取り上げてみたい。 なお「2022年 秋アニメは何を観る?」の記事でピックアップした作品は,タイトルを茶色にしてある。 www.otalog.jp 1 『異世界おじさん』 2 『機動戦士ガンダム 水星の魔女』 3 『サイバーパンク エ…

  • アニメを“書く” ーグーテンベルクの比較的小さな銀河系の中でー

    近所の町の本屋がおしゃれスーパーになっていた。また一つ,町から活字文化が姿を消した。 …というのはやや感情的に過ぎるノスタルジーかもしれない。以前と比べれば電子書籍の比率は(当初の予想より限定的とは言え)増しているだろうし,そもそもニッチ分野の書籍ならネットで買う方がはるかに便利だ。一般的な町の書店が減少し,店主の趣味を全面に押し出した超個性的な書店だけが生き残る,というのは必然的な流れなのだろう。そう言えば,かの槙島聖護だって「紙の本を買いなよ」とは言ったが,「町の本屋で買え」とは言わなかったのだ(もっとも,読書の感覚体験を重視する彼は,そのように主張してしかるべきなのだが)。 とは言え,現…

  • TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく』(2022年秋)第1〜3話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『ぼっち・ざ・ろっく』「#1 転がるぼっち」「#2 また明日」「#3 馳せサンズ」のネタバレを含みます。 「#3 馳せサンズ」より引用 ©︎はまじあき/芳文社・アニプレックス bocchi.rocks www.youtube.com はまじあき原作/斎藤圭一郎監督『ぼっち・ざ・ろっく』は,隠キャ生活を脱出すべくギターを始めたぼっちこと後藤ひとりが,コミュ障を克服しながら女子高生ガールズバンドとして活躍していく姿を描いた“きらら枠”TVアニメである。ユニークな構図・デフォルメ・モーションなどによって,ぼっちのコミカルなキャラを豊かに演出した本作は,アニメーションの楽しさを改めて教えて…

  • TVアニメ『Do It Yourself!!』(2022年秋)すてっぷ①(第1話)とすてっぷ②(第2話)の演出について[考察・感想]

    *この記事は『Do It Yourself!!』すてっぷ①とすてっぷ②のネタバレを含みます。 『Do It Yourself!!』オープニングアニメーションより引用©︎IMAGO/avex pictures・DIY!!製作委員会 diy-anime.com www.youtube.com 現在(2022年秋)放送中の米田和弘監督『Do It Yourself!!』は,ものづくりを通して新たな価値を見出す女子高生たちの姿を描いたオリジナルアニメである。キャラクターのデザインやモーションなどが丁寧に作り込まれている一方で,大胆な舞台設定と構図で人間関係を暗示するなど,ユニークな技が冴える良作だ。原…

  • 2022年 夏アニメランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第12話「黄金」より引用©︎つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス「烈日の黄金郷」製作委員会 秋が急激に深まる中,今年の夏アニメも最終話の放送がほぼ終了し,すでに秋アニメの放送が始まっている。ここで恒例通り,2022年夏アニメの中から特にレベルの高かった7作品をランキング形式で振り返っておこう。 www.otalog.jp www.otalog.jp 7位:『ちみも』 6位:『組長娘と世話係』…

  • TVアニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』(2022年夏)レビュー[考察・感想]:「憧れ」ー禁忌と聖性の彼岸へー

    *このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読みください。 『メイドインアビス 烈日の黄金郷』公式Twitterより引用 ©︎つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス「烈日の黄金郷」製作委員会 miabyss.com www.youtube.com つくしあきひと原作/小島正幸監督『メイドインアビス 烈日の黄金郷』(以下『黄金郷』)は,2017年夏に放送された第1期テレビアニメ,および2020年に公開された『劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明』の続編であり,原作第6巻から10巻までの内容を基にしている。前作にも増して過酷さと残酷さを極める物語は,本作のライト…

  • 『メイドインアビス 烈日の黄金郷』ファプタ〈キャラ(クター)〉考察

    *この記事はネタバレを含みます。 『メイドインアビス 烈日の黄金郷』公式HPより引用 ©︎つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス「烈日の黄金郷」製作委員会 終盤の話数に入り,ますます苛烈さを極めていく『メイドインアビス 烈日の黄金郷』。この最終局面で,完全に主役を食う大立ち回りを演じているのが「成れ果ての姫」ファプタである。今回の記事では,この類まれな〈キャラ(クター)〉の魅力を分析してみよう。ポイントは久野美咲の演技である。 なお,本記事における〈キャラ〉と〈キャラクター〉という用語に関しては,以下の記事を参照頂きたい。 www.otalog.jp 〈キャラ〉としてのファプタ 幼女と魔獣 …

  • 2022年 秋アニメは何を観る?来期おすすめアニメの紹介 ~2022年夏アニメを振返りながら~

    『モブサイコ100 Ⅲ』公式Twitterより引用 ©︎ONE・小学館/「モブサイコ100 Ⅲ」製作委員会 www.animatetimes.com 2022年 夏アニメ振返り ① アキバ冥途戦争(オリジナル) ② 異世界おじさん ③ うる星やつら ④ 永久少年 Eternal Boys(オリジナル) ⑤ 機動戦士ガンダム 水星の魔女 ⑥ ゴールデンカムイ 第四期 ⑦ サイバーパンク エッジランナーズ(オリジナル) ⑧ SPY×FAMILY 第2クール ⑨ TIGER & BUNNY 2 Part2(オリジナル) ⑩ チェンソーマン ⑪ ヒューマンバグ大学 -不死学部不幸学科- ⑫ 不滅のあな…

  • TVアニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』(2022年夏)第10話「拾うものすべて」の演出について[考察・感想]

    *この記事は『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第10話「拾うものすべて」のネタバレを含みます。 第7話「欲望の揺籃」より引用 ©︎つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス「烈日の黄金郷」製作委員会 miabyss.com www.youtube.com つくしあきひと原作/小島正幸監督『メイドインアビス 烈日の黄金郷』各話レビュー第2弾として,今回は第10話「拾うものすべて」を取り上げてみたい。ミーティに二度目の別れを告げるナナチ,過去の記憶を失ったままファプタの暴走を止めようとするレグ,レグを過去へと連れ戻そうとするファプタ。この三者に共通するのが,〈涙〉の演出である。 当然のことだが,涙の…

  • 「メイドインアビス展〜挑む者たちの軌跡〜」レポート[感想]:主線と一次的欲求が紡ぐ物語

    *このレポートにはネタバレはありませんが,『メイドインアビス』の内容に関する言及があります。先入観のない状態で鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 『メイドインアビス』公式Twitterより引用 ©︎つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス「烈日の黄金郷」製作委員会 art.parco.jp 現在放送中のつくしあきひと原作/小島正幸監督『メイドインアビス 烈日の黄金郷』。前作に引き続き,原作の過酷な描写を誠実に映像化するアニメスタッフの力量が高く評価されており,2022年夏クールの中でも大きな話題となっている作品の1つだ。「メイドインアビス展〜挑む者たちの軌跡〜…

  • TVアニメ『リコリス・リコイル』(2022年夏)第9話「What's done is done」の演出について[考察・感想]

    *この記事は『リコリス・リコイル』「#9 What's done is done」のネタバレを含みます。 「#9 What's done is done」より引用 ©︎Spider Lily/アニプレックス・ABCアニメーション・BS11 lycoris-recoil.com www.youtube.com 足立慎吾監督『リコリス・リコイル』の各話レビュー第2弾として,今回は「#9 What's done is done」を取り上げてみたい。総作画監督の山本由美子以下,作画班の技術が遺憾なく発揮された美麗な作画,主人公・錦木千束のキャラ(クター)を的確に表現した各種シーンなど,語りがいのある名…

  • TVアニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』(2022年夏)第7話「欲望の揺籃」の演出について[考察・感想]

    *この記事は『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第7夜「欲望の揺籃」のネタバレを含みます。 第7話「欲望の揺籃」より引用 ©︎つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス「烈日の黄金郷」製作委員会 miabyss.com www.youtube.com つくしあきひと原作/小島正幸監督『メイドインアビス 烈日の黄金郷』は,前作の劇場版『深き魂の黎明』に続く,「深界第六層」の物語を描いた続編である。今回取り上げる第7話「欲望の揺籃」は,第六層でリコたちを迎える「成れ果ての村」の呪われた成り立ちが語られる重要な話数だ。『深き魂の黎明』以上に視聴者を戸惑わせる壮絶な物語だが,その詩的で隠喩に満ちた語り口は…

  • 2022年 夏アニメ 中間評価[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の現時点までの話数の内容に言及しています。未見の作品を先入観のない状態で鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 2022年夏アニメもほとんどの作品が第6話までの放送を終え,およそクールの折り返し地点に達している。今回も,現時点までの当ブログ最注目作品を五十音順に(ランキングではないことに注意)いくつか取り上げてみたい。 なお「2022年 夏アニメは何を観る?」の記事でピックアップした作品は,タイトルを赤色にしてある。 www.otalog.jp 1. 異世界おじさん 2. サマータイムレンダ 3. ちみも 4. メイドイン…

  • 『リコリス・リコイル』錦木千束〈キャラ(クター)〉評価

    *この記事はネタバレを含みます。 『リコリス・リコイル』OPアニメーションより引用 ©︎Spider Lily/アニプレックス・ABCアニメーション・BS11 今期(2022年夏)もっとも注目されるオリジナルアニメ『リコリス・リコイル』。その優れた脚本力と,物語と緊密に連係した〈キャラ(クター)〉の作り込みは,近年のオリジナルアニメの中でも抜きん出てレベルが高い。今回の記事では,主人公「錦木千束(にしきぎちさと)」の〈キャラ(クター)〉の魅力を掘り下げてみよう。 なお,本記事における〈キャラ〉と〈キャラクター〉という用語に関しては,以下の記事を参照頂きたい。 www.otalog.jp 〈キャ…

  • TVアニメ『よふかしのうた』(2022年夏)第4夜「せまくない?」の演出について[考察・感想]

    *この記事は『よふかしのうた』第4夜「せまくない?」のネタバレを含みます。 第4話「せまくない?」より引用 ©︎2022コトヤマ・小学館/「よふかしのうた」製作委員会 yofukashi-no-uta.com www.youtube.com 板村智幸監督『よふかしのうた』は,『だがしかし』(原作:2014-2018年/TVアニメ:2016年,2018年)で知られるコトヤマの同名マンガを原作とするTVアニメだ。エイロマンティック気味の主人公・夜守コウが,吸血鬼の七草ナズナとの出会いを通して,"恋"と"自由"の意味を模索していくコメディ作品である。端々に見られる昭和風味の設定は,観る人を選ぶ可能性…

  • TVアニメ『リコリス・リコイル』(2022年夏)第3話「More haste, less speed」の演出について[考察・感想]

    *この記事は『リコリス・リコイル』「3 More haste, less speed」のネタバレを含みます。 「3 More hast, less speed」より引用 ©︎Spider Lily/アニプレックス・ABCアニメーション・BS11 lycoris-recoil.com www.youtube.com 足立慎吾監督『リコリス・リコイル』は,高校生に扮した少女たちが犯罪者を処分するというハードボイルドな設定と,それと対照的な「喫茶リコリコ」での日常的な風景を描いたオリジナルアニメだ。その華やかなルックと豊かな人物描写は多くの視聴者の心を捉え,今期もっとも注目されるオリジナルアニメとし…

  • アニメの〈キャラ(クター)〉評価のために

    ✳︎この記事は『メイドインアビス 烈日の黄金郷』に関するネタバレを含みます。 今後,当ブログでは,アニメ作品に登場する優れた〈キャラ(クター)〉を紹介する記事シリーズを展開していく予定である。そのためのいわば下準備として,〈キャラ〉〈キャラクター〉という言葉について整理しておこう。 伊藤剛の「キャラ」「キャラクター」概念 〈キャラ〉〈キャラクター〉評価事例 ① キャラ性:高/キャラクター性:低 ② キャラクター性:高/キャラ性:低 ③ キャラ高/キャラクター高 伊藤剛の「キャラ」「キャラクター」概念 僕らは何らかの作品の登場人物に言及する際,"キャラクター"と呼ぶこともあれば,"キャラ"と呼ぶ…

  • 平面と奥行きのdis/con-cord:「平家物語の彩 The Heike Story Illuminated」レビューに代えて

    平家物語の彩[いろ] 作者:でほぎゃらりー HeHe Amazon 2022年冬クールを大いに賑わせた山田尚子監督の『平家物語』。このほど,本作の背景美術を厳選して収録した美術画集が出版された。一見,よくあるタイプのアニメ美術画集だが,そこに収められた彩り豊かな美術を一覧し,制作者たちの言葉に耳を傾けた時,本作の中に,アニメの表現特性をめぐる一つの問題がーささやかではあるがはっきりとした形でー潜んでいたことがわかる。 〈日常〉としての京都 平面と奥行き 複数の主体と個の主体:2つの『平家物語』の語りの特性 書誌情報 〈日常〉としての京都 A5版程度の小ぶりな画集には,アニメ『平家物語』を美しく…

  • 劇場アニメ 映画『ゆるキャン△』(2022年)レビュー[考察・感想]:大自然の中心で「ゆる」く集う△

    *このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読みください。 アニメ『ゆるキャン△』シリーズ公式公式Twitterより引用 ©︎あfろ・芳文社/野外活動委員会 yurucamp.jp www.youtube.com あfろの同名マンガを原作とし,2018年(第1期)と2021年(第2期)にTVアニメ化された『ゆるキャン△』。今回の劇場版は,TVシリーズで高校生だった主人公たちの約10年後の姿を描いたオリジナルストーリーだ。時の経過とともに様々なものが移ろいゆく中,"キャンプの楽しさ"という素朴な価値観を大切に受け継ごうとする彼女たちのひたむきな姿を描いている。 …

  • 2022年 春アニメランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 『かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-』公式Twitterより引用 ©︎赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会 真夏を先取りする酷暑の中,今年の春アニメもほぼすべての作品が最終話を迎えた。恒例通り,2022年春アニメの中から特にレベルの高かった8作品をランキング形式で振り返っておこう。なお,今回は以前掲載した「2022年春アニメ 中間報告」でピックアップした作品からほとんど異同はない。 www.otalog.…

  • TVアニメ『かぐや様は告らせたい -ウルトラロマンティック-』(2022年春)第12話・第13話の演出について[考察・感想]

    *この記事は『かぐや様は告らせたい -ウルトラロマンティック-』第12話と第13話のネタバレを含みます。 ©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会 kaguya.love www.youtube.com 『かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-』(以下『かぐや様ウルトラ』)が最終回を迎えた。原作の人気が高く,かつシリーズの3期目ということもあって,当初から注目度の高かった作品だが,蓋を開けてみれば,期待を軽々と超える出来栄えだった。おそらく近年の学園ラブコメの中でも抜きん出た傑作となったのではないだろうか。特に1時間スペシャルで放送された第12話「かぐや様は告りたい②」「かぐ…

  • 2022年 夏アニメは何を観る?来期おすすめアニメの紹介 ~2022年春アニメを振返りながら~

    『ユーレイデコ』公式HPより引用 ©︎ユーレイ探偵団 www.animatetimes.com 2022年 春アニメ振返り ① 異世界おじさん ② Engage Kiss(オリジナル) ③ 賭ケグルイ双 ④ 組長娘と世話係 ⑤ KJファイル(オリジナル) ⑥ シャドーハウス 2nd Season ⑦ ちみも(オリジナル) ⑧ BASTARD!!―暗黒の破壊神― ⑨ ブッチギレ!(オリジナル) ⑩ プリマドール(オリジナル) ⑪ メイドインアビス 烈日の黄金郷 ⑫ ユーレイデコ(オリジナル) ⑬ よふかしのうた ⑭ リコリス・リコイル(オリジナル) ⑮ RWBY 氷雪帝国 2022年夏アニメのイ…

  • 劇場アニメ『犬王』(2022年)レビュー[考察・感想]:〈有〉を語り継いだ物語

    *このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読みください。また,レビューの都合上,手塚治虫『火の鳥 太陽編』の内容にも触れていますのでご注意ください。 『犬王』公式Twitterより引用 ©︎2021 “INU-OH” Film Partners inuoh-anime.com www.youtube.com 湯浅政明監督『犬王』は,古川日出男の『平家物語 犬王の巻』(2017年)を原作とし,監督の古巣であるサイエンスSARUにて制作された劇場アニメーション作品である。時代考証を敢えて逸脱した楽曲の使用,独自の身体表象,過去と現在を接続した表現など,独創性の高…

  • 「Febri」がおもしろい!①

    febri.jp 「Febri」の記事がおもしろい。 当ブログの記事をお読みになる方には説明不要かもしれないが,「Febri」は2010年に一迅社より創刊され,当初は紙媒体の雑誌として刊行されていた。クリエーターのインタビューを中心に,原画や絵コンテの分析なども交えた意欲的な雑誌として評価も高かったが,2020年に紙媒体としては休刊し,現在ではWeb媒体のマガジンとして運営されている。 Web に移行してからの「Febri」は,紙媒体時ほど記事のバリエーションはないものの,各方面のクリエーターのインタビューや作品の特集記事などを矢継早に公開し,資料価値の高いメディアとしてこの分野でのプレゼンス…

  • 2022年 春アニメ 中間評価[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の現時点までの話数の内容に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 2022年春アニメもほぼすべての作品が折り返し地点に差しかかろうとしている(『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争 シーズン2』は5月23日よりNetflixにて配信予定なので,本記事執筆時点では未配信。評価は後日変わる可能性がある)。今回の記事では,現時点までの当ブログ注目作品を五十音順に(ランキングではないことに注意)いくつか取り上げてみたい。 なお「2022年 春アニメは何を観る?」の記事でピックアップした…

  • 「輪るピングドラム展」レポート[感想]:今ここに"実在"するキャラクターたち

    *このレポートにはネタバレはありませんが,『劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM[前編]君の列車は生存戦略』に関する言及があります。先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 「輪るピングドラム展〜運命の至る場所〜」公式HPより引用 ©︎2021 イクニチャウダー/ピングローブユニオン penguindrum-exhibition.com 去年(2021年)放送10周年を迎えた幾原邦彦監督の傑作TVアニメ『輪るピングドラム』(以下『TV版ピンドラ』)。これを記念して『劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM』…

  • 「平家物語 アニメーションガイド」レビュー:多声体としてのアニメ『平家物語』

    平家物語 アニメーションガイド (単行本) KADOKAWA Amazon 今年(2022年)冬クールにTV放映された,山田尚子監督『平家物語』。先日,この作品の魅力を振り返るためのガイドブックがKADOKAWAから出版された。豊富なインタビュー,的確なアニメーション解説,各話の演出意図など,『平家物語』をより深く知るための情報が詰め込まれた,たいへん優れたガイドブックだ。ここではその際立った特徴をいくつか紹介しよう。 ポイント①:アニメーション解説 ポイント②:絵コンテ・演出担当のコメント ポイント③:多彩なインタビュー 書誌情報 ポイント①:アニメーション解説 本書は「月刊ニュータイプ」編…

  • プチプチノイズとともに生きる:ヴァイナルの諸行無常

    元々のきっかけは夏目真悟監督『Sonny Boy』(2021年)だった。このアニメは物語もさることながら,楽曲の使い方がとてもいい。作品にすっかり惚れ込んだ僕は,アニメ視聴後,さっそくサントラCDを購入した。 落日飛車,VIDEOTAPEMUSIC,ザ・なつやすみバンド,ミツメ,Ogawa & Tokoro,空中泥棒,カネヨリマサル,toe,銀杏BOYZ。国内外の個性豊かなアーティストたちの楽曲を聴きながら,パンチの効いたあれやこれやのシーンを思い出す。一つひとつの曲の粒立ちがいいので,そうした聴き方が一際楽しい。 しかし楽曲にはたいへん満足したものの,何かが物足りない。そう,ジャケットだ。す…

  • TVアニメ『SPY×FAMILY』(2022年春)「MISSION:01 オペレーション〈梟〉」の演出について[考察・感想]

    *この記事は『SPY×FAMILY』「MISSION:01 オペレーション〈梟〉」のネタバレを含みます。 『SPY × FAMILY』公式HPより引用 ©︎遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会 spy-family.net www.youtube.com マンガ原作のアニメを観る上で最も面白いポイントは,"いかに原作を忠実に再現したか"というよりは,"いかに原作を解釈したか"だと思う。例えばアニメ化に際しては,しばしばコマとコマの間の動きや時間経過,背景の白抜き部分などを補填する必要があり,その部分がアニメ特有の"解釈"となることがある。また当然,声優陣の声の演技や劇伴なども原作に…

  • 2022年 冬アニメランキング[おすすめアニメ]

    *この記事にネタバレはありませんが,各作品の内容に部分的に言及しています。未見の作品を先入観なしで鑑賞されたい方は,作品を先にご覧になってから本記事をお読みください。 『平家物語』公式HPより引用 ©︎「平家物語」製作委員会 2022年最初のクールである冬アニメも,ほぼすべての作品が最終話を迎えた。今回の記事では,2022年冬アニメの中から,特にレベルの高かった7作品をランキング形式で振り返る。 なお,最終話までの評価によって,以前掲載した「2022年冬アニメ 中間報告」ではピックアップしなかったがランクインした作品,逆にビックアップしたが最終的にランクインしなかった作品が含まれることをお断り…

  • TVアニメ『平家物語』(2022年冬)レビュー[考察・感想]:〈日常〉を見る,〈無常〉を語る

    第十一話「諸行無常」より引用 ©︎「平家物語」製作委員会*このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読みください。 『平家物語』公式HPより引用 ©︎「平家物語」製作委員会 heike-anime.asmik-ace.co.jp www.youtube.com 山田尚子監督『平家物語』は,古川日出男の現代語訳をもとにしつつ,山田独自の感性でこの軍記物語を再解釈したアニメ作品である。オリジナルのキャラクター「びわ」という観察主体を導入することにより,『平家物語』に内在する叙情的な側面を際立たせることに成功した傑作だ。 あらすじ 〈見る〉を観る 「びわ」を呼びだす…

  • 2022年 春アニメは何を観る?来期おすすめアニメの紹介 ~2022年冬アニメを振返りながら~

    『SPY × FAMILY』公式HPより引用 ©︎遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会 www.animatetimes.com 2022年 冬アニメ振返り ① 阿波連さんははかれない ② インセクトランド ③ エスタブライフ グレイトエスケープ(オリジナル) ④ かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック- ⑤ 攻殻機動隊 SAC_2045 シーズン2 ⑥ 古見さんは、コミュ症です。 2期 ⑦ サマータイムレンダ ⑧ SPY×FAMILY ⑨ TIGER & BUNNY 2 ⑩ であいもん 2022年春アニメのイチオシは… 2022年 冬アニメ振返り www.otalog.jp…

  • TVアニメ『王様ランキング』第2クール(2022年冬)第二十一話「王の剣」の演出について[考察・感想]

    *この記事は『王様ランキング』「第二十一話 王の剣」のネタバレを含みます。 『王様ランキング』公式Twitterより引用 ©︎十日草輔・KADOKAWA刊/アニメ「王様ランキング」製作委員会 osama-ranking.com www.youtube.com 『王様ランキング』という作品には2つの意味での驚きがある。1つはその奇想天外なストーリー。個々のキャラクターの根本の目論みが最後まで明かされずにいるため,その意外かつ先の読めない行動に毎話,意表を突かれる。それがとてつもなく楽しい。 そしてもう1つは,もちろんアニメーション技術である。本作はアクションシーンを中心に,カメラワークや構図の取…

  • 劇場(OVA)アニメ『地球外少年少女』(2022年)レビュー[考察・感想]:Boys & Girls In the Middle of Nowhere

    *このレビューはネタバレを含みます。必ず作品本編をご覧になってからこの記事をお読み下さい。また同監督の『電脳コイル』の内容についても言及していますのでご注意ください。 『地球外少年少女』公式Twitterより引用 ©︎ MITSUO ISO/avex pictures・地球外少年少女製作委員会 chikyugai.com www.youtube.com 『電脳コイル』(2007年春・秋)以来15年ぶりとなる,磯光雄監督オリジナルアニメ『地球外少年少女』。20世紀の映像作品に頻出した〈宇宙〉という舞台を入念にバージョンアップしつつ,人とAIとの関わりや人の進化・未来といった壮大なテーマの中で,少…

  • 「東京人」2022年3月号 特集「新版画と東京」について:新版画・シティポップ・アニメーション

    月刊「東京人」 2022年3月号 特集「新版画と東京」 [雑誌] 作者:東京人編集室 都市出版 Amazon 東京都の魅力を紹介する月刊誌「東京人」の2022年3月号で,アニメファンにとって興味深い特集が組まれている。その名も「新版画と東京」。近年,展覧会が開かれるなどして俄に注目が集まっている「新版画」だが,意外にもアニメ・マンガ・イラストなど現代のジャンルとの親和性が高い。この特集では,新版画の歴史的成り立ちや代表的な画家についての詳細な解説に加え,アニメ監督のイシグロキョウヘイ,マンガ家・イラストレーターの江口寿史,アニメーション美術監督の山本二三らと新版画との出会いが扱われている。ファ…

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