くっ、息ができない
それは一瞬の出来事で、くっと、引きつられたように息が吸えなくなった。次にすぐ喉のあたりに焼けるような痛みを感じた。洗顔ネットを使って作った手のひらいっぱいの泡をこすりつけて顔を洗ってるときに、口の辺りについた泡の雲を飲み込んでしまったのだった。口の前に落ちてくるタイミングで口を開けて息を吸ってしまって、まるっとそのまま、大きな泡が気管に入ったと理解するまでのスピードはおそろしく早かった。人は考える葦である? 裸でいるのが可笑しくなってきた。裸でいるときにこんなに頭を働かせることはそうそうない。うわごとを言うか、水が滴ってるかだった肌色を見ながら、服を着てないそのまんまの我が身がこんなに頭を使い…
2020/08/27 02:28