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吾亦紅 https://burnetfish.blog.fc2.com/

-われもこう- 思いを綴る自由詩のサイトです 詩・写真詩をメインに短歌・俳句なども載せています

橘あきら
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2019/03/28

1件〜100件

  • ベス

    その人の私信にふれるたびに 彼女を評した作中の言葉とともに 若草物語の三女を思い浮かべる あの子が他人に優しいのは 優しくされたい裏返しなのだ 遠慮がちに丁寧に つぶつぶと 心のうちを綴りながらも 時に自己を卑下するその人は ぼくを認め 好意的な顔の裏では 同じように誰かに好かれたい 自分を認めてほしいという 仄かな望みがあるのではないか どのような理由からであれ 慎み深く他人に優しいことは 美徳...

  • 夜の香-句

    夜気せまり 金木犀の ときがくる...

  • 三日月-歌

    ...

  • 夢の中でぼくたちは

    明け方の夢の中で ぼくは 知らない街を歩いていた 道を進んでゆくうちに 昔 住んでいた街だと 何とはなしに気がついた いいこともあったけれど あった筈なのだけれど 悪いことに塗りつぶされて 消せない記憶は奥底に 封じ込めて生きてきた 懐かしいとも訪れたいとも 思っていなかった街で 何をしろというのだろう 途方に暮れるぼくの右手に やわらかい毛がさわり まるくて細くてあたたかい ぼくの猫のしっぽが ...

  • あなたは知らない

    あなたが天秤にかけていたことを 間抜けなわたしは気がつかずに 無様なほどにひたむきで 愛をまっとうしようとしていた どうすればあなたに 罰を与えられるのでしょう わたしが奪われた分だけは あなたが欺いた分だけは わたしを面白半分に壊して 時折 思い出しては 利用しようとしたあなたを 心の中で何度 殺したでしょう 愛のかけらも残さずに 指を一本一本 折ってゆくように 無慈悲だったあなたを 心の中で何...

  • ケーキ

    個人でやっているような 洋菓子屋が閉まっていた ちらっと覗いた店内は 片づけられて何もなくなり 廃業したのだろうかと 二度ほど食べたことのある ケーキはおいしかった残念に思っていたら 改装していただけのようで また明かりが灯っていた 勝手に潰れたことにした 詫び料代わりに購った ケーキは おいしかった...

  • 遺恨

    あなたは ぼくを逆に 憎んでいたのだろうね 意のままにならないのは 自分のせいではなく ぼくのせいなのだと ぼくを陥れて 貶めて 我ながらうまくやったと ほくそ笑んで それでも あなたは ぼくを 憎んでいたのだろうね どこまでも ぼくの影が ちらつきながらついて回る 赦しを乞う代わりに あなたは ぼくを逆に 恨んでいたのだろうね...

  • さがなき人

    配慮も遠慮もなく手をのばす人 「ひと口ちょうだい」という 言葉に隠して他人のものの 美味しいところを持っていく人 周りのクリームや飾りを つつき回して自分の匙の上に ミニパルフェを作る人 残りがひとつしかない箱菓子 八宝菜の海老や鶉の卵 ショートケーキの苺 フルーツパフェのメロン ビーフカレーのかたまり肉 あんみつの白玉団子 まだ手をつけていない クリームソーダの アイスクリームを崩す人...

  • 箱庭

    もう言葉なんて 残っていないと思った 世の中には才能も 影響力もある人たちが しのぎを削っていて 自分が書いても 意味はないと思った いつ消してしまおうか 残っている凡作を 啄むように並べつつ そのうちに幾つも 幾つも浮かんできて 未だ迷いながらも ここで自分なりの 意匠を凝らしている...

  • 金木犀

    数多の困難を乗り越えて 枯れることのなかった ふるさとの金木犀の樹は 今年も花をつけただろうか 背のびをして手に入れた 小さな橙色のしずくは 手のひらでいつまでも香り 大切なものを亡くした 幼いぼくに約束をくれた 春は桜 秋は金木犀 猫が眠る場所にせめて 花があることが ひとりになったぼくの 慰めで救いだった...

  • 友人

    かつて 友人と呼べた人も 何とはなしに 縁が遠くなり 今のぼくに 友人はいない 何の不自由もないけれど 時たま 考えてしまう 自分は 実は空気が読めず 嫌われていたのではと だから その時その時には 仕方なく つきあっていても 離れれば せいせいされる ぼくは そんな人間なのかと 際限のない 思考の泥沼に はまり込みそうになる でも今のぼくは とても のびやかで 淋しくもないし 誰にも迷惑はかけて...

  • 亡羊

    吹けば飛ぶようなちっぽけなことが いろいろと積み重なってきて 苦しいなあ 生きるのがつらいなあ でも人から見ても自分から見ても たぶん大したことではないし もっと重いめに遭ってもちゃんと 立ち直って生きられる人もいる 安定した心が持てなかったから 友だちもいないし集団生活も嫌いで 無理をして加わってもなじめない 書いても書いてもみじめになって 小さな経験しかしてこなかったのに 偉そうなことばかり言...

  • 差別

    ぼくは自分を差別のない人間だとは思っていない 基本的には何の偏見も持っていないとしても 自分を攻撃してきた者や好ましくない者に対して その人の学歴や職業や人種といったものを あげつらって鬱憤を晴らすことは決してないと これまでもしたことは一度もないと胸は張れない 完全に差別のない人間はいないと思っているし 完全に差別のない社会は創れないとも思っている 日常のそこかしこに無意識の差別の芽は存在して ...

  • ぺらぺら

    他者の苦しみを 自分のものさしではかり 断じる人は嫌いだ 「止まない雨はない」と 薄っぺらな言葉を並べ 悦に入る人は嫌いだ 「いつか」では遅いんだよ もう耐えられないんだよ したり顔にいみじう はべりけるお前が 今すぐ止ませてみせろ 角礫に降られている者も いることに至らない その浅はかさが嫌いだ...

  • なき友へ

    遠慮のない口を利いて 仲が悪そうに見えたけど けっこう楽しかったね あの頃の笑っている あんたの夢をみるとまだ 目ざめると苦しいけど わたしばっかり生きてて ごめんって思うけどでも生きてるってだけで いいとは限んなくて あっちこっちぐらついて 痛い思いもしながら 何とかやっているけど あんたの分までは絶対に 生きられないから あの頃のようにここで 憎まれ口を叩いておくよ...

  • どうして此処へ来るの あなたの居場所は 他にいくらでも 気を引くために 誰にでも手をのばすの 何かが侵蝕されかけて わたしは唇を結ぶ 指で拭うと広がり 服について取れない 穢れた花粉のよう わたしの感情は 理性では制御できずに 今日も下唇を噛む...

  • いじめられやすい人-220823

    そんなつもりはないんだろうけどさ 「いじめられやすい人の特徴」とかってさ 「いじめられる側にも落ち度がある」って 言ってるように聞こえるのは ぼくだけかな 「いじめられない人の特徴」もあったけど そんなもん あまり関係がなくないかな 「いじめられやすい人」「いじめられない人」 どちらの特徴も ぼくにはあったよ 嘘をつかなくても 清潔にしてても 自分にぶれない軸がしっかりあっても いじめられる時には...

  • 残骸

    払いのけて 部屋中に散らばった 残骸に 命は宿っていない 面影を求めては 寂しくないと かき集めて かき集めて 壊れたのは 誰だったのか 絞め上げたくなるほどに 血の味がするほどに噛んで 求めたのは こんなものじゃない 指先にふれるかたさは 冷たくて容赦がない もう函の底など見なくてもいい 惑わされて 欲を深くして 甘さを知らない頃には 戻れない 失って おめおめと生き続けた 私こそが 残りものだ...

  • 「頑張れ」

    「頑張れ」という言葉を 毛嫌いする人が多くなった 「頑張れ」と声をかけるのは 誤りなのだ 禁句なのだと 非難する人が多くなった 明確な自殺願望を打ち明けられ 「頑張れ」と雑に返す者は いないだろうと思うし そんな人間に最期の心を 委ねる者もいないだろうと思う どちらかというのなら 「頑張れ」という 言葉そのものではなく そこに込められた適当さに 自分で何とかしろと 突き放されたような感覚に 心を折...

  • ねえ

    ねえ 一分間だけ 深呼吸して待っていて ねえ 三分間だけ 思い出して待っていて ねえ 十五分間だけ ここに来て待っていて あなたを止められるほど ぼくは強くはないから 何もしてあげられないけど どうせ最期になるのなら それくらいの寄り道 かまわないでしょう? ねえ 三十分間だけ 噛みしめて待っていて あふれそうになる心を 何とか押しとどめて もう少しだけ 頑張って ねえ 今じゃなくても もうちょっ...

  • 救う

    ...

  • 教室

    階段のそばを 通りかかると 「落ちて死ねばいい」と 囁いていた あなたは わたしなんて 見ていない トイレの個室のドアを叩き 濁った声を 張り上げて 罵っていた あなたは わたしなんて 見ていない 転ばそうと 足を出されたり すれ違いざまに 小突かれたり そのたびに 心が腐ってゆく 無表情に やり過ごしていた わたしなんて あなたは 知ろうとも していなかった...

  • 犬と買い物

    いいものを買っちゃったよ 寝そべって見上げる犬に お気に入りになりそうな 手に入れたばかりの品々を うきうきと見せびらかす 半分寝ているぼくの犬は まったく興味がなさそうに それはよかったですねと 浮かれる飼い主を無表情に 目だけで追っている お前のおもちゃも買ったのに ふくれっ面をしてみせて ケージの中に手をのばすと はいはいとでも言いたげに ちらっと指を舐めてきた...

  • 汚れているくせに この上なく 清廉な姿かたちに見せて 優しい声をしていて 笑ってしまう のべられた手を 握ることができない 脆い自分を隠して 裏切らないことだけを よすがにしてきた こんなに醜いのに こんなに賤しいのに こんなに憎んでいるのに いつもいつでも 微笑んでいるように 見えてしまうこの顔が嫌い 歯を剥きだして すぐに元に戻すと 能面のような つるりと清潔な顔が映る...

  • 記憶

    ...

  • 音楽

    そばにいる人間の言葉や 社会の通念といったものは 何でも気に入らず 受け入れない者に届けるために 音楽はあるのかもしれない だから他者に届けられる 選ばれた人たちには 躓かずに歌い続けてほしい...

  • ふたとせ

    「重陽の節句」と 思い浮かべると 気にかけて挨拶に赴いたところを 返り討ちのような目に遭ったことを 思い出してしまうけれど 菊花茶を淹れて ひと口 つまらぬことなど忘れてしまおう 琥珀の熱い茶に溶かして 飲み下して もはや 異なる世界線の住人 もう縁の切れた人の無病息災など 願う必要は ないのだから 湯気を指に巻くように くるくると 自分の書きたいように 書けばいい 自分の心に 素直に生きればい...

  • 嫌な人

    こじつけるように 自分の真似をしていると 大っぴらにふれ回り 賛同者を集めては 運営に告げ口をする人と 同じ場所にいたくないと 思いはしたけれども 直接の関係はないのだし これも仕事のうちだと 割り切ったつもりで 母親であるからといって 人格を陶冶されるとは 限らないのだなと その人や周りにとっては 痛くも痒くもない縁を こっそりと切っておいた...

  • 押し売り

    全容は知らないけど 誰かが言っていた ポジティブの 押し売りは 嫌われる 標語にして大きく 貼り出しておきたい あのひとの額にも お札のように ぺたりとね...

  • 忌むもの

    ...

  • 映画

    好きだったけれど 亡くなってしまった俳優が 出演している映画を観る 画面の中では変わらずに 少し若いその人が 生き生きと動いている 渋い声も口元の深い皺も 何も変わらず 見ることができる 悲しみはすでにない 作品の中で その人は 生き続けていて 今もぼくを魅了する...

  • 顔を両手ではさんで 鼻と鼻をくっつけて ぎゅうと抱きしめたら あたたかくて臭くて ぱたぱたと尾を振る 乾いた音が聞こえて お前がいればもう ぼくは 何もいらない...

  • 残暑の散歩

    「涼しくなったねぇ」と 真夏の間は あまり行けなかった いつもの夜道を 二人で歩く お前は何だか とてもはしゃいで 嬉しいのかと 思っていたら 珍しく ぐいぐいと引っぱって 見たくもないものが見えてしまい 「ひっ」と喉の奥で悲鳴が出た 生きている虫 死んでいる虫 大きな大きなバッタが 道の端に お前は 虫を追うのを少し緩め 泣き出しそうな 主人を見上げる その白目が 闇にくっきり映え ぼくはリード...

  • 嫌悪感

    目をつけられていると 勝手に思い込んで 切り捨てにかかった 嘘を吐かれては困ると 電話を受けたぼくに 執拗にくっついてきて 聞き耳を立てていた 自分の勘違いだったと 判明すると途端に また仲よくしようと 晴ればれと言われ この人の思考回路は どうなっているのかと 振り払おうとしても離れず 吐息がかかるほどに 密着された体温が ひたすら気持ちが悪かった...

  • 小包

    同期の彼らが 次々と 親からの 贈り物を 無邪気に 報告してくる こんな物 送料の無駄 半ば 迷惑顔な人もいて それも 家庭の円満さを ぼくには 感じさせた ほしい物は すべて 自力で手に入れたけれど 心は こわれかけた 泣きながら 頼んでも あの人は 何もせず それが 親の愛ではない そう 言い切った...

  • 不可解理論

    他者に自分を理解させようと そのために 自分をぐいぐい 押しつけてくる者は 理解してもらえたら 必ず 好きになってもらえる筈と どうも 考えているらしい その前提が 傲慢ではないか そもそも 理解してほしいと 思うのなら まず自分が 理解する努力をして 初めて 理解されるものではないのか...

  • 家族

    2度目ともなれば 流石に お前にも 原因があるだろうと 身内にすら 言い放つ人間は 1度目も 同じことを言っている 自分にも理由があるかもしれない 自分の方が悪いのかもしれない 本人が いちばん自問自答して 奥歯が砕けるほどに 噛みしめて それでも 何もしようとはせず 大げさにしたがると 決めつけて いじめではないと うそぶいて そんな人間ほど 何かにつけて 家族 家族と 言いたがる...

  • 憎む時

    守られて 自分のことだけを 考えていられる人を そうできるなら すればいいと 静かに 肯定しながらも 羨ましく 妬ましく 憎む時が ぼくにもあった 動けなくなって うずくまる その背を さらに蹴る人の 余裕も 容赦もない 醜い声を 聞きながら 傷に隠れて 逃避している人を 甘えを許されて 休んでいる人を よろよろと 立ち上がり歩く その横目で 眺めながら 羨ましく 妬ましく 憎む時が ぼくにもあっ...

  • かつての友

    裏切った者と 裏切られた者と どちらが つらいものだろう どちらが のちのちまで 思いを 引きずるものだろう わざわざ かかわってきて 暴露して 置き去りにした者が どのような その後になるのか 知らなかった筈もない あなたに そこまで恨まれる 何かがあるとは 思えなかった 自分の方が 上に立ったと 追い落としたと ほくそ笑んで 満足したからこそ あなたは 自分は成功したのだと 何食わぬ顔で 知ら...

  • 鼓舞

    ...

  • 言葉

    何度か困った後に きつく聞こえぬよう さらりと注意した その私のひと言は 弱った背中を容易く 崖から落とした 私は悪くないと 因果関係などないと 誰もが言うだろう おそらく その人も 傷ついてはいない 恨んでもいない けれど 心は折れた あの時でなかったら 後悔を 今も抱く 言葉というものは そういうものだろう...

  • 真摯な人(自称)

    自分の意に添う反応だけを求め 虚構を綴り 半ば信じ込む 善良であろうと努めぬ割には 好い人と見做されることを好む 他者への寛容さを掲げながら 道徳的に間違っていると 他者を糾弾し批判ばかりする 思い通りにならないと悟った途端 屁理屈を捏ねて切り捨てて 被害者面をする肥やしにする 人当たりの良さに一旦は騙されて 気がついて離れてゆく人も 見る目がなく 偽りの言葉を 信じて 欺かれ続ける人も 都合が悪...

  • 夜のあんこ玉

    遊んでもらえるかと 夜中の期待が外れて 諦めてまるくなった あんこ玉のような尻 ジャジャーンと突然 おもちゃを出して 喜ばせたくなるけど 飼い主は明日もある もう夜も遅いから さっさと寝ちまおう 歯ブラシをくわえて 鼻歌を歌っていたら 寝ていた筈のお前が じーっと見ていた...

  • 青田風-句

    ...

  • 魔法の枕詞

    ...

  • 時間

    無限にあると勘違いして あたら無駄にする若者も 散る自らの時間ばかりを やたら尊重する年寄りも 時間は誰にとっても 等しく貴重なものだ...

  • 戦後

    負けいくさに命を賭けさせられた 屍の上に私たちは咲いている 無益な辛苦と忍耐を強いられた 涙を受けて私たちは咲いている 腹いっぱい食えるしあわせを 安らかに眠れるしあわせを 今いちど噛みしめて花ひらこう つらい時には誰と比べることなく 自分がつらいのだと叫べばよい いつの世も狡く太く生きる者と生きられない者がいる 弾きたかった分まで弾こう 描きたかった分まで描こう 読みたかった分まで読もう そう誓...

  • 夏の午後-句

    風死して 子供も蝉も 居らぬ午後...

  • 星空

    ...

  • 子供の戯言

    ねえ ぼくは大切だったんでしょ ぼくのこと好きだったんでしょ ぼくだって 大好きだったよ でも一緒にいられなくなって 誰もぼくを大切にしてくれない 誰もぼくを守ってくれない ねえ お願いだから ぼくを傷つける人たちを やっつけてきてよ お前の小さな牙と爪で あの人たちをやっつけて ぼくを守ってよ お願いだから お願いだから どうして お前はいないの どうして ぼくはひとりなの こてんぱんにやられて...

  • 弁当

    今はもう思い出せないほどの 些細な行き違いと呼べる あの人の思い通りにしなかった ぼくへの嫌がらせ 今回は弁当作りの放棄 あれを使うな これを使うな 冷凍食品でごまかせなくて 自分で全部一から作った 作れなかった日は バターロールをくすねて 弁当箱に詰めていたら お前それどうしたんだよと きみの目が痛かったから ピアノの下に潜んで食べた へーえ続いているんじゃない 自分で作れるんなら 最初からあて...

  • 恋の終わり

    別れを切り出した側が これからも友だちでいたいと 一方的に求めるのは やましさを誤魔化すためか まだ 利用価値があるからか いずれにせよ ろくな理由ではない...

  • 花火

    小雨がそぼ降る週末の夜に 軽快な音をたてて恒例の花火が 今年も打ち上げられている 大きな音も平気なぼくの犬が 花火に誘われて出てきた たぶん近所に住む家族連れに 敵意まるだしでうなったから 花火どころじゃなかった 散歩から帰る頃にはもう 花火は終わっていたけれど 来週は晴れて涼しかったなら 人のいない いつもの道で 一緒に花火を眺めようね 家族連れが視界から消えて けろりとしたぼくの犬は ぼくを見...

  • 三回忌

    ...

  • 夏の思い出

    手をつなぐこともないまま 防波堤に 並んですわり 足を ぶらぶらさせながら 駄菓子の飴を 知らなかった ぼくに驚きながら きみは ぼくの分まで 練ってくれた かじるなよと 念押しされて ほいと 差し出された飴は 口に入れると じんわり甘くて 陽光の眩しさに 目を細めて 海風に 髪をなびかせながら ぼくたちは 黙って飴をなめた 今はもう 同じしあわせを みることは 叶わないけれど ドームグラスに 閉...

  • 夕立-句

    雨一過 しとる夕べに 蝉がなく...

  • 夏の贅沢

    虫害であらかた食べられてしまった アップルミントが小さな葉を増やし 猛暑にもめげずもりもりと復活した さすがにもうだめかもしれないと 半ば諦めかけていたというのに 他のミントよりは小ぶりながらも 一人前のミントの顔で鎮座している 摘芯を兼ねて摘んだ柔らかい芽を ゼリーで固めたフルーツが 表面に敷かれたケーキの上に載せる オレンジとピンクと透明に黄緑 有名パティシエのケーキでもなく 名のある陶芸家の...

  • 終わらない波

    ...

  • はらぺこ青虫

    ほんの数日で元気をなくした アップルミントの茎に まるまるとした青虫が数匹 シャリシャリという音が 思わず聞こえてきそうなほど それはそれはおいしそうに 柔らかい葉を貪っていた うちは青虫さん御用達の サラダバーではないもので すみませんねぇと言い訳して 泣きそうになりながら 割り箸でつまんで捨てた...

  • いちばん

    ぼくの猫は ぼくだけが好きだったから 冷たくする家族は 見ていなかったから だからぼくも 猫のことが好きだった ぼくには猫だけ 猫にはぼくだけ あの人は 兄がいちばん大切だといつも ぼくはどうでもいいと 言っていて ぼくは 誰のいちばんにもなれなかった 猫は喋れなかったけど いちばんだって ぼくがいちばん大切だって解ったから だからぼくも 猫がいちばんだった 今でもぼくには ぼくの猫だけ 決めてい...

  • 散歩-句

    帰り路を 犬と急ぐ 走り雨...

  • ある死

    引き取ってきた 植物の一鉢が この暑さで 終わりを迎えた 葉は 青々としているけれど しんなりと下を向き 虫がたかり 根元はもう 腐ってしまった 一時は 次々と葉を繁らせて 元気になったかと 思われたのに 最後を迎えるのが ぼくの家で 本当に よかったのだろうか たとえ植物であっても 死は いつでも 心を打ちのめす...

  • 川風-句

    息をつく 一瞬の涼 橋の上...

  • ぼくの犬ころ

    きみは変わった人間だと 無愛想な人だと思われがちで 時には 性格が悪い人だと 誤解を受けることも多い 無条件にちやほやされなければ 否定されたと感じる輩には 大きな悪意すら抱かれる きみの望むように干渉せず 構わずにおいてやり たまに 名前を呼ぶと きみは 犬ころのように 駆けてくる あれほど 叩きに叩かれて 言い争って 逃げだそうとして また ぼくの元へ帰ってきた 今 きみは穏やかな顔つきで ぼ...

  • いちばん

    ぼくは 自分がいちばん 大切な人間だけれど それの何が悪いと 内心 開き直っても いるけれど 結局は 誰だって自分や 家族以外は どうでもいい ぼくが 無関係な誰かのため 尽力したところで その誰かや その家族は ぼくを 助けてくれるのか 誰も ぼくのことを いちばんには しなかった だから ぼくは自分を いちばん 大切に考える 誰にも 責めさせない おためごかしは うんざりだ...

  • ここで

    ...

  • 悟る時

    逝くには若すぎた その人の歳まで 自分はあと何年だろうかと 思いやり 逃れたいあまり 踏み越えようとして 空の青さを噛みしめる 次の日が やって来ないとも 限らないけれど 何ものにもなれずとも また 何ごとかを 為すことがなくとも 道半ばで 自ら閉ざすことになっても その苦痛も憎悪も迷いも 快不快も すべては 自分のものなのだから ただ 今を自由に生きればよいのだ 死にたかろうと 生きたかろうと ...

  • Taker-6

    ...

  • Splash

    真っ白いシャツで 踊りながら 甘い声で歌う そのひとは 我ながら 惜しかったと 今は 笑っているかもしれない 他の誰かのために 思いとどまり 生きていける人は それでいい けれど そうできなかった人も もう 取り返しがつかないのなら それでもいいと わたしは思う 第三者であるわたしは あなたを 惜しみ 悼みはするけれど あなたの 自身の命の選択を 糾弾する権利など 誰にもない...

  • Taker-5

    ...

  • 自由

    地球の歴史に くらべれば ひとの人生は 一瞬なのだから 精一杯 生きるべきなのだと よく説諭の如く 言われるけれど 他方から見れば 短い時でも その間にも いろいろあるもので 本人は 一瞬とは感じ得ない 体感もできない 悠久の流れなど 引き合いに出されても 私の知ったところではない つまらん人生だと 自嘲しながら 手に入らぬものを 嘆きながら 不幸とは呼べぬ不幸に 身を浸し おのれの時間を 無駄に...

  • Taker-4

    ...

  • 注意

    人の外見によって 注意しなかったり 注意しても 仕方を変える人間がいると 外から揶揄することは 容易いけれど 人は結局 外見で決まるところは大きい 人を選んで 勝手な主観や正義感から 鬱憤を晴らすように 注意するなら それはもう 注意ではないと思うけれど 揶揄する人間も 言いやすい対象を選び 他を見回しながら 大丈夫そうだと 判断した途端に 饒舌になるのだから つまりは誰しも うわべしか見ていない...

  • Taker-3

    ...

  • チュー犬

    ケージから出て 遊んでいる間も 名前を呼んで チューをねだると そのたびにやってきて 鼻をつける おもちゃを くわえているから あんまり 的中率はよくないけれど とりあえず チューはしてくれる かつてぼくの猫と 過ごしたような 穏やかで甘やかな 大人の時間を もしくは ぴしっと忠実な飼い犬を 実は 期待していたのだけれど チューをねだられて 見上げる お前は楽しげで 笑っているようで それもまあい...

  • Taker-2

    ...

  • 20220708

    ...

  • Taker-1

    ...

  • ひとつひとつ

    何年もねちねちと嫌がらせを働き 蹴落とそうとし続けた彼女から ひとつひとつ奪ってやった 彼女が自らの虚栄のために 足を踏み入れたばかりの世界 彼女が充実した青春のために 必死になってこぎつけた出会い 私から切り離されていると見做し 彼女が安心して寄りかかったものを ひとつひとつ奪ってやった 傍目には邪気などまるでなく たまたま知っている話題に乗って 雑談に興じたとしか見えないけれど 実は私の方が詳...

  • 鳥-句

    ...

  • 助け合い

    自分が 困る立場にある時に 迷惑をかける側でいる時に 助け合いだの お互い様だの 言い出す人間を信用しない そういう人間の多くは 自分が浮き上がりたいだけで 相互扶助など尊んでいない 自分が困っている時には 助けてもらうのが当然でも 自分が迷惑をかける時には 容認してもらうのが当然でも 他人が困っている時には たとえ それがかつて 助けてくれた人であっても そういう人間は素知らぬ顔で 自己責任だの...

  • お喋り

    他人とじかに接することが あまり得意ではないから 来てくれた人たちの場所へ行っても 何も言わずに帰ってくる 私もマックよりモス派だな ポテトはモスがいちばんだよね うわぁこの写真すごくきれい プロみたいだなあ ふむふむと読みながら 心の中ではテンション高めに 独り言ちて はしゃいで 束の間の女子会気分 そして反応薄くてすみませんと 楽しいお喋り土産を抱いて 自分の場所に帰ってくる...

  • veil

    ...

  • 剥がした蓋に 薄くついている ヨーグルトや アイスクリームを 人前で べろべろと舐めるのは いかがなものかと 思うけれども 一瞥もくれずに 捨て置いて すぐに 中身に匙を入れる人を 顔には出さずに 感心しながら それはそれで どうなのかと 少しだけ もやりとする...

  • 世界

    自分を中心に 世界が 回っていると 思っている 幼い頃から ことあるごとに あの人は 言い続けた だから 目立たないように 隅っこにいないと 怒られる 嫌われるのは 自分が 分不相応に 目立ったから 今も 自分の世界だ何だと つくって 大切にしてはいても 何処かで たかがお前ごとき いい気になるなと 声がする そのたびに 小さな自信は 揺らいで もっと小さくなり どこかの誰かの世界を 目にして オ...

  • クリームパン

    我に返ったお母さんは今ごろ 何を思って硬い床にいるのだろう あなたが送ったLINEでしょうと 突きつけられたとして 今の彼女が正視できるだろうか 贄にされ助からなかった子は おかしくなってしまった 母を恨んだのだろうか その状況下をつぶさに知らず 関係者でもないぼくには 決めつけて責める権利などなく ただ海を眺めるような眼で 感情を揺らさないように前を向く ぼくが この手に持っている ふわふわのクリー...

  • 幻影

    ...

  • 距離感

    「それひと口ちょうだい」と さして親しくもないのに ねだってくる人が好きではない 「ひと口」が一個や一枚の つまんで食べるお菓子だったり 取り皿に分けられる場合なら 生理的な嫌悪感はないけれど そういう人は得てして 人の飲み物に直に口をつけたり ケーキにフォークを刺しての 「ひと口」をねだってくる ただフレンドリーなだけで 邪気のない人もいはするけれど 「嫌だけど断ると角が立つ」 複雑な思いをする...

  • 狭量

    時間を巻き戻せたとしても 相手あってなのだから あれこれ考えたとて うまくことを運ぶ自信はない ぼくの言葉を横から盗って 自分の話にしないで ぼくの思惟に相違する自論を 何度も語ってこないで 自分ばかり理解させようと 押しつけてこないで 悪意のない相手だからと 伝えることが難しいからと 黙って怒りを蓄え続けた さらりと受け流すことも やんわり切ることも できなかった癖に ひとには言っておいて 「そ...

  • いつの間に打つけたものか 膝頭に赤紫の痣ができていた どこかの島のような広がりに 皮膚の皺の形のとおりに 赤黒い線が幾つも入り 時間を経て周りは黄色に 中は青みを帯びてきた 押しても痛くはない痣を 赤と紫と青の混じる痣を 惚れぼれと愛しく私は眺めた 数日後 私の痣は終には 暗いセピアに枯れて それでも赤黒い線だけは そのまま残っている それは私の身体に咲いた 血の混じる吐物の如き 美しい紫陽花でも...

  • 七月の贈り物

    草丈ばかり伸びていた ミニトマトの黄色い花が 短く咲き終わったあと 花と同じ萼に守られた 見落としてしまいそうな 小さな丸い実が現れた 鳥や虫にやられるのか 無事に口に入れられるか 五分五分かもしれない うだるような暑さの中で 飽かず見つめている 小さく青い トマトの実...

  • 紫陽花-句

    空梅雨も 季節を忘れじ 八仙花...

  • 冷蔵庫

    食べものがいっぱい詰まった 冷蔵庫を眺めるのが好きだ これ全部 お腹いっぱい 自分だけで 食べていいんだ 誰も助けてくれなくても こんなに たくさんあるから 絶対に絶対に 困らない ふふっと冷気を楽しんで ぼくは急いで冷蔵庫を閉める...

  • 書記

    本来ならもっと派手で 上と見做される役職に就く 立場であった筈のぼくが 地味な役職に決まった時 あの人は珍しく訊いてきて それが周りの評価だとか やっと分相応になったとか 自分の身の程が解ったかとか 得意げに言っていたけれど 自分で希望したのだと 伝えると意外そうな顔をして それでもさらに腐すことを 決して忘れなかった 親ならどちらかといえば 他人の子を押しのけてでも 自分の子を上にと願うものと ...

  • あなたと ぼくとでは 著しく違っていたのだと 今さら 同じものに触れて 受けとった珠を 掌で包み 熱を感じながら 思い知った 価値のあるものから 安直な感動だけを得て 省みることのないあなたは やはり ぼくたちは 出会うべきではなかった ぼくは この珠を大切に 持ち続けて 糧とする そう思えた瞬間に すべて 風が吹き流した気がした...

  • 雷鳴

    七つ時に突如 降り出した雨が 夜空を白く煙らせている中を 青い縁に彩られた真っ白い霆が 極太のリボンの如く横に走る カーテンを開けて窓を覗き 思わず悲鳴を上げるぼくの横で まったく動じない犬が眠る 断続的に轟く雷鳴と雨音の中 快適な温度に調節された 安全が約束されたぼくの部屋は 其処にいられる幸せを思う...

  • 対にいるもの-2

    ぼくが 何かを持っていても ぼくに 何かの利用価値があっても 恩恵には 与りながら 怪我をしても 熱を出しても 面倒な顔で 時に怒鳴りつけた 恵まれることを許さずに 足を引っ張って 引きずりおろし いつも せせら笑っていた 一生分の 呪いと歪みを背負って たとえ あの人が死んでも ぼくは 生きるしかない...

  • 対にいるもの-1

    ぼくが 何も持っていなくても ぼくに 何の利用価値がなくても そんなことは 関係ないと ただ 愛してくれたのは ぼくの猫だけだった 痛いくらいに 頬を舐めて 顔に近づこうと 身体を伸ばして 決して 爪を立てない足先で 束の間の 大きな幸せをくれた...

  • 紫陽花-句

    ...

  • Ranger

    夏の夜の散歩では不意に 顔に蜘蛛の糸が絡みついてくる うわ 口に入ったと 必死に腕を振る飼い主を 何をしているのやらと 少々 訝しげに犬が見上げる いつの頃からだろうか 彼らはレンジャー部隊なのだと 救助活動は行わないけれど 自前の細く強い糸で 空中を徘徊して小虫を捕獲する 今夜もお疲れさまです 彼らの糸に引っかかるたび 払い落としながら 心の中で そうつぶやく...

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