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2019/03/23

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  • ● 本:『傷つきやすいアメリカの大学生たち』(グレッグ・ルキアノフ+ジョナサン・ハイト共著)

    2018年原著刊行2022年草思社 この数年で10代の若者の間で、不安症、うつ病、自殺率が急増している。キャンパス文化が思想的に均質化され、研究者が真理を探究する能力や、学生が幅広い思想家から学ぶ能力が低下している。極端な右寄りもしくは左寄りの思想を持つ過激論者が

  • ● これぞプリマドンナオペラ ライブDVD : チェドリンスの『ノルマ』

    収録日時 2003年7月、8月劇場 新国立劇場(東京)キャスト ノルマ: フィオレンツァ・チェドリンス(ソプラノ) ポリオーネ: ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ(テノール) アダルジーザ: ニディア・パラシオス(メゾソプラノ) オロヴェーゾ: ジョルオ・スーリ

  • ● 映画:『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(竹林亮監督)

    2022年日本82分脚本 夏生さえり、竹林亮 日常タイムループSFコメディ――なんて、ジャンルあるのか? 小さな広告代理店オフィスをほぼ唯一の舞台とする低予算まるわかりの映画だが、面白さはウン十億円かけた超大作におさおさ負けていない。 どころか、「面白い映画ない

  • ● 本:『職業としてのAV女優』(中村淳彦著)

    2012年幻冬舎新書 ゲイである自分にとってAV女優は意識の蚊帳の外の存在。 その名を聞いたことがあるのは、小向美奈子と蒼井そらとANRI(坂口杏里)と小松千春くらい。 島田陽子や飯島愛や元WINKの鈴木早智子をAV女優と言っていいのかどうか・・・・。 むろん、ヘテロ男

  • ● 芸劇の死角? : オーケストラハモン 第48回定期演奏会

    日時 2024年4月7日(日)14:00~会場 東京芸術劇場 コンサートホール曲目 G.マーラー: 交響曲第2番「復活」指揮 冨平恭平ソプラノ 中川郁文メゾソプラノ 花房英里子合唱 Chorus HA'MON このオケ、1997年発足ということだが、はじめて聴いた。 これまでの48

  • ● 本:『大乗仏教 ブッダの教えはどこへ向かうのか』(佐々木閑著)

    2019年NHK出版新書 佐々木閑は、おそらく現在最も著名な仏教学者の一人であろう。 『科学するブッダ』(角川文庫)、『仏教は宇宙をどう見たか アビダルマ仏教の科学的世界観』(化学同人社)はじめ、一般向けの刺激的かつ啓発的な本をたくさん書いているし、NHK『100分で

  • ● 映画:『歌え若人達』(木下惠介監督)

    1963年松竹86分、カラー 神保町シアター開催中の『映画で辿る――山田太一と木下惠介』特集で鑑賞。 山田太一の脚本を師匠である木下が映画化した。 同じ寮に暮らす4人の男子学生の日常を切り取った青春ドラマ。 川津祐介、松川勉、三上真一郎、山本圭が扮する。 これが

  • ● 本:『カー短編全集2 妖魔の森の家』(ディクスン・カー著)

    1947年原著刊行1970年創元推理文庫(宇野利泰・訳) 表題作含む5編から成る。 ポオの短編を読むのははじめて。妖魔の森の家 扉ページの短い解説文で、「全作品を通じての白眉」、「ポオ以降の短編推理小説史上ベストテンに入る」と持ち上げられている。 「どんだけのもん

  • ● 仏教学の落とし穴 本:『ブッダという男――初期仏典を読みとく』(清水俊史著)

    2023年ちくま新書 ブックカバーにこう紹介されている。 これまでのブッダ理解を批判的に検証し、初期仏典を丹念に読みとくことでその先駆性を導き出す革新的ブッダ論。 まず、ここでいう「初期仏典」とはなにか? 律蔵と、経蔵の『長部』『中部』『相応部』『増支部』

  • ● 松子夫人の知られざるキャリア 映画:『懐かしのブルース』(佐々木康監督)

    1948年松竹75分、白黒 古本屋で見つけたDVD(700円)。 家計を助けるためキャバレー歌手となった元華族の娘・伸子(高峰三枝子)と、肺病で療養中の妻を持つ脇村(上原謙)の報われない愛を描く。 画質も音声も良くないが、高峰三枝子が歌う部分だけは別録りしたのか、音

  • ● 「このミス」1位は当てにならない 本:『飛蝗の農場』(ジェレミー・ドロンフィールド著)

    1998年原著刊行2002年東京創元社より邦訳(越前敏弥・訳)2024年新装版 飛蝗(ばった)と読む。 飛蝗を飼育している一人暮らしのキャロルの農場に、ある夜突然あらわれた身元不明の男、スティーヴン。 過去の記憶を喪失しているらしい。 キャロルは、自ら怪我をさせた彼

  • ● 倫子さま、下々を知る 映画:『せかいのおきく』(阪本順治監督)

    2023年日本89分、白黒(パートカラー) 黒木華(くろきはる)という女優の芝居をちゃんと観たのは、今やっているNHK大河ドラマ『光る君へ』が初めて。 これがなかなか良い。 黒木が演じているのは、左大臣源雅信の娘・倫子(ともこ)で、藤原道長(柄本佑)の正妻である。

  • ● 第77回日本アンデパンダン展に行く

    ひさァ~しぶりのアンデパンダン展。 友人の出品作を観るため、そして、3/23(土)に行われた北原恵氏(大阪大学名誉教授・美術史家)の講演『ジェンダーの視点から見た美術(史)』を聴くため。 アンデパンダン(INDEPENDENT)展は、日本美術会が1947年から開催している

  • ● オペラライブDVD : グルベローヴァの『ノルマ』

    収録日時 2008年1月、2月劇場 バイエルン国立歌劇場(ドイツ)キャストノルマ: エディタ・グルベローヴァ(ソプラノ)ポリオーネ: ソラン・トドロヴィチ(テノール)アダルジーザ: ソニア・ガナッシ(メゾソプラノ)オロヴェーゾ: ロベルト・スカンディウィッツィ

  • ● 英国式クリスマス 映画:『サイレント・ナイト』(カミーユ・グリフィン監督)

    2021年イギリス90分 キーラ・ナイトレイ主演のブラックコメディSF。 猛毒ガスによる人類破滅が数時間後に迫ったクリスマスイブ。サイモンとネル夫妻の屋敷に仲の良い友人らが集まる。 飲んで騒いで最後の夜を一緒に楽しむために。 猛毒ガスがなぜ発生したかはっきり説

  • ● 本:『「歴史の終わり」の後で』(フランシス・フクヤマ著、マチルデ・ファスティング編)

    2021年原著刊行2022年中央公論新社 ロシア大統領選でウラジーミル・プーチンが高い得票率で5選を決めた。 予想していたとおりの結果なので驚きはないものの、民主主義の砦である自由選挙制度がこのように悪用されてしまった事実に、慨嘆せざるをえない。 プーチンは、「

  • ● それは鉄道讃歌から始まった : ボヘミアン・フィルハーモニック 第9回定期演奏会

    日時: 2024年3月16日(土)14:00~会場: 神奈川県立音楽堂曲目:ドヴォルザーク: 交響曲第1番「ズロニツェの鐘」ドヴォルザーク: 交響曲第9番「新世界より」アンコール ドヴォルザーク:プラハ・ワルツ B99指揮: 山上紘生 神奈川県立音楽堂は桜木町駅から徒歩10分。

  • ● 鶯の身をさかさまに初音かな TVドラマ: 『横溝正史シリーズ・獄門島』

    1977年TBS系列で放送190分(全4回)脚本 石松愛弘監督 斎藤光正 金田一耕助=古谷一行シリーズの初期作。 『犬神家の一族』、『悪魔が来りて笛を吹く』、『女王蜂』など、1977~78年放送の作品は、総じて質が高い。 古谷一行は2005年までテレビで断続的に金田一耕助を演

  • ● ジパング現象 : 初春の京都・寺めぐり 3

    3日目は土曜日だったので、街中を避けて郊外へ足を延ばした。 栂尾(とがのお)に行くのは初めて。 街中からバスでちょうど1時間、北山杉の林立する谷深い山中に入る。 時折、桜吹雪と見まがうような雪が舞ったが、それもまた風情があった。3月9日(土)曇り、一時雪08:

  • ● 自転車で修学旅行 : 初春の京都・寺めぐり 2

    今回の旅の目的の一つを書き忘れていた。 八坂神社である。 2018年12月に最寄り駅の階段から転落して、左足かかとの骨を折って入院した。 無事手術を終えて退院する明け方、京都か奈良のどこかの古い泉で湧水を飲む夢を見た。 甘く美味しい水だった。 今年になって、

  • ● いざ、源氏ワールドへ : 初春の京都、寺めぐり 1

    いま時分の京都は比較的空いているはずと思い、平日からめて三日間の京めぐり。 天気は時折、小雨や小雪に見舞われたけれど、おおむね晴れた。 思ったほど寒くなく、上着一枚、不要だった。 今回の主目的は、風俗博物館と栂尾三尾(とがのおさんび)巡り。 前者は、NHK

  • ● 本:『神の灯』(エラリー・クイーン著)

    2004年鳩中文庫(大久保康雄 訳)『マッド・ティー・パーティー』1934年『ひげのある女』1934年『首つりアクロバット』1934年『神の灯』1940年 読んでいるかどうかさだかでない短編集だったが、全部読んでいたようだ。 どころか、『神の灯』はクイーン作品中1、2を競う有

  • ● 雨後の筍 : ニューシティオーケストラ 第82回定期演奏会

    日時: 2024年3月3日(日)会場: なかのZERO 大ホール曲目:ラヴェル: 古風なメヌエットコダーイ: ガランタ舞曲ラフマニノフ: 交響曲第2番指揮: 清水宏之 前回、中野駅に降りたのは 2023年7月のオーケストラ・ルゼル演奏会であった。 今回、南口を出て、目の前に聳え立

  • ● 本:『分断を乗り越えるためのイスラム入門』(内藤正典著)

    2023年幻冬舎新書 イスラムと上手に付き合っていくための方法を説いた本。 著者は1956年生まれの多文化共生論、現代イスラム地域研究を専門とする学者。 結論は明白であって、イスラム教を信仰する人々(ムスリムという)の価値観や考え方を理解するというのが大前提。

  • ● 驚異のVFX 映画:『バーフバリ』 (S・S・ラージャマウリ監督)

    インド映画第1部『伝説誕生』2015年、138分第2部『王の凱旋』2017年、141分 世界中で大ヒットしたボリウッド発の叙事詩的ヒーロアクション。 古代インドの大国マヒシュマティ王国を舞台に、王位をめぐる2人の王子バーフバリ(父)とバラーラデーヴァの従兄弟同士の対決、お

  • ● 本:『歴史の終わり』(フランシス・フクヤマ著)

    1992年原著刊行1992三笠書房より邦訳(訳・渡部昇一)2020三笠書房より新版刊行 この本が出版された時の社会の衝撃と反響には大変なものがあった。 書店の店頭に上下巻が山積みに置かれていた光景と、日本と世界の名だたる言論人を巻き込んで起こった議論の沸騰を覚えてい

  • ● 左翼風ミステリー??? 本:『バイバイ、エンジェル』(笠井潔著)

    1979年原著刊行1995年創元推理文庫 笠井潔のデビュー作にして、『サマー・アポカリプス』、『薔薇の女』、『哲学者の密室』、『オイディプス症候群』へと続く探偵・矢吹駆シリーズの第一作。 所はパリの中心街。 ある冬の朝、裕福で男好きな中年女性が自らのアパートメ

  • ● シンフォニア・ズブロッカ 第16回演奏会

    日時: 2024年2月24日(土)会場: すみだトリフォニーホール 大ホール曲目:リヒャルト・シュトラウス: 交響詩「ドン・ファン」ショスタコーヴィチ: 交響曲第7番「レニングラード」指揮: 金井 俊文 このオケを聴くのは2度目。 1度目は2016年7月パルテノン多摩。 指揮は

  • ● 芹明香という奇跡 映画:『㊙ 色情めす市場』(田中登監督)

    1974年日活83分、パートカラーR指定 神保町シアターに初めて行った。 小学館運営とは知らなかった。 昭和の古い映画を中心にプログラムを組んでいる劇場で、2/23まで『女優魂――忘れられない「この1本」』という特集をやっていた。 その一本が、芹明香(せりめいか)主

  • ● ミーハーの語源 映画:『雪之丞変化』(市川崑監督)

    1963年大映109分 これは市川崑の最高傑作と言っていい。 ソルティ的には、「市川崑の一本を選べ」と言われたら、市川雷蔵主演の『炎上』、『破戒』でもなく、岸恵子主演の『おとうと』、『黒い十人の女』でもなく、大ヒットした『ビルマの竪琴』、『犬神家の一族』、『細雪

  • ● 本:『うちの父が運転をやめません』(垣谷美雨 著)

    2020年(株)KADOKAWA2023年文庫化 田舎に住む78歳の父親の車の運転をどうにかやめさせようと骨を折る、都会に住む50代の息子の物語。 帰省するたびに、あちこち凹みや傷をつけている父親の車を見るにつけ、また、父親と同世代の男たちが運転事故を起こしたという近所の話

  • ● 半蔵門ミュージアムでブッダに会う

    半蔵門ミュージアムは、仏教系教団『真如苑』が運営している仏教美術館。 2018年4月にオープンしたのだが、存在を知ったのはつい最近である。 なかなか貴重で珍しい展示があるようなので、訪れてみた。 地下鉄半蔵門駅の真上、皇居まで徒歩3分という好立地。 現代的で

  • ● 映画:『奇蹟の人 ホセ・アリゴー』(グスタボ・フェルナンデス監督)

    2022年ブラジル108分 1955~1971年にかけて、200万人を無償で治療したブラジルの心霊手術師ホセ・アリゴーを描いたノンフィクションドラマ。 原題は、Predestinado, Arigo e o Espirito do Dr. Fritz 「運命、アリゴーとフリッツ医師の霊」 この医師の奇跡については、子

  • ● 映画:『フィア・インク』(ビンセント・マシャーレ監督)

    2016年アメリカ91分 原題は、Fear, Inc. B級ドタバタホラー。 感想を書くのすら億劫に思われる駄作。 『デスパレートな妻たち』に、メアリー・アリスの怪しい夫役で出ていたマーク・モーゼスが出演しているのが拾い物というくらい。 しかし、こんな映画に出なくても・

  • ● オペラライブDVD: グルベローヴァの『椿姫』

    ジュゼッペ・ヴェルディ作曲『ラ・トラヴィアータ』収録日 1992年12月場所 フェニーチェ劇場(ヴェネツィア)キャストヴィオレッタ・ヴァレリー: エディタ・グルベローヴァ(ソプラノ)アルフレード・ジェルモン: ニール・シコフ(テノール)ジョルジョ・ジェルモン:

  • ● 本:『社会はなぜ左と右にわかれるのか』(ジョナサン・ハイト著)

    2012年原著刊行2014年紀伊國屋書店(訳・高橋洋) SNSにおける「ネトウヨ V.S. パヨク」の中傷合戦に象徴されるように、右翼(保守)と左翼(革新)の分断と対立が、国内でも国外でも先鋭化しているように思われる。 アメリカの場合とくに顕著で、共和党陣営と民主党陣営の

  • ● 離被架 映画:『HUNGER/ハンガー 静かなる抵抗』(スティーヴ・マックイーン監督)

    2008年イギリス96分 北アイルランド紛争をテーマとするノンフィクション刑務所ドラマ。 『SHAME シェイム』、『それでも夜は明ける』のスティーヴ・マックイーン監督の長編デビュー作であり、両作で主役を務めているマイケル・ファスベンダーが、強い意志でもってハンガー

  • ● アルジェント風ホラー 映画:『ポスト・モーテム 遺体写真家トーマス』 (ベルゲンディ・ピーテル監督)

    2021年ハンガリー116分、ハンガリー語、ドイツ語 ハンガリー産ホラーを観たのは初めてかもしれない。 一般に、ホラー映画の質は、制作国の宗教や信仰と切り離せない関係にある。 キリスト教圏なら悪魔が、イスラム教圏ならジン(精霊)が、ユダヤ教圏ならゴーレムが、そし

  • ● 本:『曲がった蝶番』(ジョン・ディクスン・カー著)

    1938年原著刊行2012年創元推理文庫(訳・三角和代) 原題は The Crooked Hinge 邦題は直訳である。 蝶番(ちょうつがい、hinge)とはこれである。 曲がった蝶番が、トリックの要あるいは真相解明の鍵なのかと思って読み始めたが、全然関係なかった。 なんと、タイタニッ

  • ● 日日是好日 映画:『パーフェクト・デイズ』(ヴィム・ヴェンダース監督)

    2023年日本、ドイツ124分 1987年公開の『ベルリン・天使の詩』以来、実に37年ぶりにヴェンダース作品を観た。 ハリー・ディーン・スタントンとナスターシャ・キンスキー共演で大ヒットした『パリ、テキサス』の砂漠の青空の印象が強いせいか、「ヴェンダース=青色系」とい

  • ● 光る君の源 本:『紫式部の父親たち』(繁田信一著)

    2010年笠間書院表紙は、西原祐信画・藤原為時像 NHK大河ドラマ『光る君へ』は紫式部(演・吉高由里子)を主人公とする平安王朝ドラマ。 この時代が好きなソルティ、毎回興味深く視聴している。 貴族の華やかな生活ぶり、宮殿や寝殿造の構造やしつらい、十二単に代表される

  • ● ドキュメンタリー映画:『なぜ君は総理大臣になれないのか』(大島新監督)

    2020年119分 『日本改革原案2050』の政治家・小川淳也の32歳からの17年間を追ったドキュメンタリー。 最初の新型コロナ緊急事態宣言が解除された直後の2020年6月に都内2館で公開され、ツイッター(現・X)を中心とするクチコミで火がつき、全国に上映館が広がり、6ヶ月のロ

  • ● 清潔で優しい顔した・・・ 映画:『PLAN 75』(早川千絵監督)

    2022年日本、フランス、フィリピン、カタール共同制作112分 満75歳になった国民は、自ら安楽死を選ぶことができる。 ――という法律が決まった近未来の日本を描くSF社会派ドラマ。 高齢者介護施設における虐殺シーンから始まる。 高齢者に使われる莫大な社会保障費のせい

  • ● 逃散という生き方 本:『ザイム真理教』(森永拓郎著)

    2023年三五館シンシャ発行、フォレスト出版発売 コロナ禍に莫大な財政支出があったのは記憶に新しいところで、「いろいろ助かるなあ」と全国旅行支援を利用する一方で、「これで日本の借金がまた増えてしまった」、「日本もそのうちギリシアみたいに破綻するのではないか」

  • ● 映画:『ダーク・アンド・ウィケッド』(ブライアン・ベルティーノ監督)

    2020年アメリカ95分 原題もそのまま The Dark and the Wicked 「闇に潜む邪悪な何か」といったところか。 『シャドーマン』と同じような魔物系オカルトホラーである。 時たまこうした映画を観たくなるのはなぜ? 自らの“邪悪”と向き合えという無意識のお達し? 危篤

  • ● 本:『白い僧院の殺人』(カーター・ディクスン著)

    1934年原著刊行2013年創元推理文庫(訳・厚木 淳) 本作もカーター・ディクスン、またの名をジョン・ディクスン・カーのベスト10に上げられる名作。 雪と凍った湖に囲まれた屋敷で、ある朝、一人の有名な女優の他殺死体が発見された。 死亡時刻には雪はやんでおり、その後

  • ● お口くちゅくちゅ : 初期仏教月例講演会(講師:アルボムッレ・スマナサーラ長老)

    日時 2024年1月14日(日)13:30~16:30場所 学術総合センター内・一橋講堂(東京都千代田区)演題 「新たな一年を生きる」~日々是好日の生き方~主催 日本テーラワーダ仏教協会 月例講演会に参加したのは実に6年ぶり。 その間、体調不良があったり、2度の転

  • ● ウサギ小屋のメリット 映画:『シャドーマン』(ドリュー・ガブレスキー監督)

    2017年アメリカ95分 ホラーサスペンス。 都会からペンシルバニアの田舎町に越してきた医師とその妻子に降りかかる、恐怖と危険を描いたB級映画。 なんだかよくわからない映画である。 森の中の使われなくなったトンネルの中に何かが潜んでいて、そいつが村の子供たちを

  • ● 難しいけど面白い 本:『〈わたし〉はどこにあるのか ガザニガ脳科学講義』(マイケル・S.ガザニガ著)

    2011年原著刊行2014年紀伊國屋書店(訳:藤井留美) 原題は、Who’s in Chage ?  Free Will and the Science of the Brain すなわち、「責任」と「自由意志」に関わる脳科学の話である。 著者のガザニガは、1939年アメリカ生れの認知神経科学の第一人者。てんかん治療の

  • ● 自虐派の男たち : 新交響楽団第264回演奏会

    日時 2024年1月8日(月・祝)14:00~会場 東京芸術劇場コンサートホール(豊島区)曲目フランツ・シュレーカー: 『あるドラマへの前奏曲』グスタフ・マーラー: 交響曲第10番(クック版)全曲指揮: 寺岡 清高 新春一発目のコンサートは、モーツァルトかドヴォルザークあた

  • ● はつもうで @TAKAO-SAN

    年末年始は秩父でリトリート。 スマホもテレビも新聞もアルコールも人との会話も遠ざけて、瞑想と散歩と読書の4日間を送った。 元日の早朝に秩父神社に参拝し、生きとし生けるものの幸福を祈った。秩父神社社殿の東側に刻まれた「つなぎの龍」今年は君の出番だ!最近、境

  • ● 本:『日本改革原案2050 競争力ある福祉国家へ』(小川淳也著)

    2014年光文社2023年河出書房新社(改訂版) 著者は1971年香川県生まれの立憲民主党の国会議員。2020年に公開されたドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』(大島新監督)で広くその存在を知られるようになった。 ソルティは、タイミングが合わなくて『な

  • ● 海が割れるのよ~ 映画:『十戒』(セシル・B・デミル監督)

    1956年アメリカ232分 イスラエルによるガザ地区侵攻のニュースを観ていた老母から、「そもそも何が原因で闘っているの?」と聞かれ、答えに窮した。 それを答えるにはどこから始めないといけないのか? 第二次大戦後のイスラエル建国とパレスチナ難民? ナチスドイツによ

  • ● 本:『ナイフをひねれば』(アンソニー・ホロヴィッツ著)

    2022年原著刊行2023年東京創元社(山田蘭・訳) ホーソン&ホロヴィッツの虚実コンビの4作目。 今回はなんと、事件の記録者であるホロヴィッツが殺人の疑いで逮捕されてしまうという衝撃の展開。 救えるのはあの男(=ホーソン)しかいない! このアオリ文句に乗せられて

  • ● 2023年映画ベストテン

    今年は77本の映画を観た。 5日に1本だ。 NHK制作『雪国』、『宮沢賢治 銀河への旅』など、TVでも良いドラマやドキュメンタリーもあったが、ここでは劇場上映されたものに限定した。 以下、鑑賞した順に、(監督名、公開年)と共に挙げる。『ニューオーダー』(ミシェル

  • ● 本年ベストワン 映画:『異端の鳥』(ヴァーツラフ・マルホウル監督)

    2019年チェコ、スロヴァキア、ウクライナ169分、白黒言語 インタースラーヴィク、ドイツ語、ロシア語 2023年もあと少しで終わる。 例年のように、今年観た映画のベスト10を選定する頃だなあと思いつつ、見納めの一本を借りたところ、これが本年ベストワンだった。 映画の

  • ● 本:『十七歳の硫黄島』(秋草鶴次著)

    2006年文藝春秋新書 著者は昭和2年(1927)群馬県山田郡矢場川村(現・栃木県足利市)生まれ。数え17歳(満15歳)のとき自ら志願して従軍。昭和19年7月、海軍通信兵として硫黄島に派遣された。 本書は、クリント・イーストウッド監督『硫黄島からの手紙』、『父親たちの星

  • ● 我、童子のときには・・・ 映画:『イノセンツ』(エスキル・フォクト監督)

    2023年ノルウェー、デンマーク、フィンランド、スウェーデン117分 郊外のマンモス団地で繰り広げられる子供たちのサイキックバトル。 ――と言うと、大友克洋の漫画『童夢』を想起する人が多いと思う。 本作はまさに、フォクト監督が『童夢』からインスピレーションを得て

  • ● ロザリオの秘密 本:『仏教の謎を解く』(宮元啓一著)

    2005年すすき出版 死者を「ほとけ」と呼ぶのはなぜ? 釈迦は輪廻を否定したのか? みんなが解脱したらどうなる? 五重塔でもっとも大切な部分は? 懐石料理、精進料理の由来は? e.t.c. 仏教に関する“知らないようで”知らない数々の疑問を解き明かす。 仏教をほと

  • ● アベノクライシスを超えて 本:『国家民営化論』(笠井潔著)

    1995年光文社刊行2000年文庫化 現在の政局、3年前には想像つかなかった。 いや、昨年7月に安倍元首相が暗殺された直後ですら、ここまで元安倍派(清和会)や自民党が危機的状況(=ABE NO CRISIS)に陥ることになるとは思わなかった。 世の中は分からないものである。 希

  • ● 大林亘彦との出会い 映画:『泥だらけの純情』(中平康監督)

    1963年日活91分 ヤクザの下っ端のチンピラ青年とお金持ち令嬢の身分違いの純愛を描いた青春ドラマ。 梶原一騎原作・ながやす巧作画の『愛と誠』とよく似た設定だが、相思相愛への道のりはもっと単純で、殺傷シーンはあるものの任侠調でも劇画調でもない。もしろん、学園物

  • ● 映画:『ローズマリーの赤ちゃん』(ロマン・ポランスキー監督)

    1969年アメリカ136分 フランス生まれのポランスキー監督のアメリカ映画第一作にして、国際的にその名が知られることになったヒット作。 悪魔受胎系ホラー映画の金字塔でもある。 本作公開後に、ポランスキー監督の妻で女優のシャロン・テートは、カルト教団に襲われて惨殺

  • ● 礼節が美徳であった時代 映画:『暖流』(吉村公三郎監督)

    1939年松竹124分、白黒 20歳の高峰三枝子の無双のクールビューティぶりが記録された伝説的名画。 吉村監督は『安城家の舞踏会』で20代の原節子の神秘的な美も記録している。 ありがたいというか、うらやましいというか。ハイソな令嬢を演じる高峰三枝子 なにぶん戦前の

  • ● ACPにはまだ早い? 漫画:『老いる自分をゆるしてあげる。』(上大岡トメ・作画)

    2019年幻冬舎 40代後半で高齢者介護施設に就職したソルティが、数ヶ月働いてつくづく思ったのは、「年を取るってたいへんなんだなあ~」であった。 それまで一度も祖父母と一緒に暮らしたことがなかったし、当時は一人暮らしで、70代の両親の姿も盆正月に帰省する時しか見

  • ● 映画:『月』(石井裕也監督)

    2023年日本144分 とにかく暗い、とにかく重い、とにかく気が滅入る。 スペインのホラー映画のようなこの暗さはただごとではない。 実際、藪の中をうごめく蛇がでてきたり、雷鳴とどしゃぶりが不穏な空気をあおったり、暗闇を懐中電灯の光が跳ねたりと、ホラー映画の常套手

  • ● 元祖リベンジポルノ 本:『ユダの窓』(カーター・ディクスン著)

    1938年原著刊行2015年創元推理文庫(訳・高沢 治) 『三つの棺』『火刑法廷』など、このところカーター・ディクスンまたはジョン・ディクスン・カーの代表作をさらっている。 いまのところ文句なしのベストワンはこの『ユダの窓』である。 トリックの巧みさといい、謎解き

  • ● 杉村春子に「ババア!」と言った男 映画:『午後の遺言状』(新藤兼人監督)

    1995年日本112分脚本 新藤兼人 杉村春子(撮影時88歳)、乙羽信子(70歳)の最後の映画出演作であり、老いをテーマにした代表的な邦画の一つである。 作中で3人の老人が自死(うち2人は心中)するわりには、重くも暗くもなく、鑑賞後はどこかほのぼのした味わいが残るとこ

  • ● オペラライブDVD:ロッシーニ作曲『チェネレントラ』

    収録日時 2008年1月会場 リセウ大劇場(バルセロナ)キャストアンジェリーナ: ジョイス・ディドナード(メゾソプラノ)ドン・ラミーロ: ファン・ディエゴ・フローレス(テノール)ダンディーニ: デイヴィッド・メナンデス(バリトン)ドン・マニーフィコ: ブルーノ・デ

  • ● あの頃の生き方を 本:『転生の魔』(笠井潔著)

    2017年講談社2022年文庫化 主人公はアメリカ帰りの70代の私立探偵飛鳥井ナントカ(下の名前は不明)。 シリーズ4冊目となる本作で初めて接した。 タイトルに惹かれたのだが、残念ながら輪廻転生がテーマではなかった。 ミステリー作家としての笠井潔の力量は、名探偵矢吹

  • ● 戦争という名のオセロ名人 映画:『戦場のピアニスト』(ロマン・ポランスキー監督)

    2002年フランス、ドイツ、イギリス、ポーランド150分 ナチスドイツの行ったホロコーストの生き残りであるユダヤ系ポーランド人ピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマン(1911-2000)の体験記をもとに作られた作品。 カンヌグランプリや米国アカデミー賞の監督賞、主演

  • ● 本:『気づきの瞑想実践ガイド』(チャンミェ・サヤド―著)

    2010年原著刊行2018年サンガ発行(訳:影山幸雄、影山奨) 悟りに至る瞑想と言われるヴィパッサナー瞑想に関するわかりやすく丁寧なガイドブック。 マハーシ・サヤドー著『ミャンマーの瞑想 ウィパッサナー観法』(国際語学社1995年発行)、ウ・ジョーティカ著『自由への旅

  • ● ガラ携の脱皮

    寝る前にアラームセットしようとガラ携を手にしたら、画面が真っ黒。 「あれ? いつの間に電源切ったかな?」と思い、電源ボタンを押したが明るくならない。 電池切れかと思い、充電して寝た。 アラームはスマホを使った。(2台使いなのだ) 朝、ガラ携を確認したらま

  • ● 北関東のある町で 映画:『暴力の街』(山本薩夫監督)

    1950年大映配給111分、白黒 1948年に実際にあった事件をもとにした社会派映画。 有力な町会議員と警察とヤクザ組織が結託して街を牛耳り、ヤミ取引等の不正を行い、住民がおびえて暮らす某県東篠町。 一人の新聞記者の書いた告発記事がきっかけとなって、暴力団追放・行政

  • ● 仏教セミナー: 佐々木閑氏講演『これからの時代のためのブッダの教え』

    日時 2023年11月18日(土)会場 日本交通協会会議室(有楽町・新国際ビル内)主催 日本仏教鑚仰会 8年前中野サンプラザで聴けなかった佐々木氏の話。 ようやく目の前で聴くことができた。 『科学するブッダ 犀の角たち』、『仏教は宇宙をどう見たか』など、氏の本には

  • ● 言いっこなしよ! 本:『三つの棺』(ディクスン・カー著)

    1935年原著刊行2015年早川書房(訳・加賀山卓朗) これぞ本格推理小説の王道、これぞミステリー黄金時代の精髄。 寝不足覚悟で深夜まで早川ミステリー文庫や創元推理文庫に没頭した高校時代に戻ったような気にさせられた。 不可能犯罪(密室)、容疑者の群れ、名探偵と相

  • ● 「ウミウシ映画」殿堂入り :『MEN 同じ顔の男たち』(アレックス・ガーランド監督)

    2022年イギリス100分 観ているうちに「一体、なにこれ?」と頭の中が疑問符だらけになり、予想のしようもない明後日方向のシュールな展開にあぜんとし、見終えた後もなんと人に説明していいか分からない類いの、ジャンル分けを拒む映画――それがウミウシ映画である。Kevin

  • ● 本:『「ひかりごけ」事件 難破船長食人犯罪の真相』(合田一道著)

    2005年新風舎 ひかりごけ事件? 聞いたことない。 そもそもヒカリゴケって? ヒカリゴケ科ヒカリゴケ属のコケで、1科1属1種の原始的かつ貴重なコケ植物である。その名が示すように、洞窟のような暗所においては、わずかな光をよく反射するため金緑色(エメラルド色)に光

  • ● 映画:『共喰い』(青山真治監督)

    2013年日本102分 田中慎弥の芥川賞受賞作『共喰い』が原作。 昭和末期の下関市を舞台とする家族の破綻が描かれる。 性と暴力とさびれた田舎町とそこで鬱屈する青年という景色に、永島敏行が主演したATG映画『サード』『遠雷』を想起した。 つまり、昭和的感性の色濃い作

  • ● 9分の1のご来迎 特別展『京都・南山城の仏像』(東京国立博物館)

    行こう行こうと思いながら先送りになっていたこの催し。気がつけば会期終了目前だった。 混んでいるかもしれないなと思いつつ、11/11(土)の午後に出かけた。 南山城というのは、京都府南部、奈良県に接する一帯をいう。 緩やかな丘陵地を木津川が流れる心安らぐ地であ

  • ● 勝新の魅力全開 映画:『兵隊やくざ』(増村保造監督)

    1965年大映102分、白黒 日中戦争のさなか、満州の陸軍部隊に送られたタイプの全く異なる2人の兵隊の友情と、軍隊生活でのさまざまな理不尽な体験が描かれる。 若尾文子が従軍看護師を演じた『赤い天使』同様、増村監督らしいエグイまでのリアリズムが貫かれている。 往復

  • ● 沖縄のスピ現場 本:『野の医者は笑う』(東畑開人著)

    2015年誠信書房2023年文春文庫 著者は、白金高輪という都内有数の高級住宅地(白金マダムという用語さえある)でカウンセリングルームを開設している1983年生まれの臨床心理士。 大学院を卒業し晴れて臨床心理士資格を取ったあと、沖縄の精神科デイケアで4年間働いた。その

  • ● 両神山(1,723m)でその人と逢う

    簑山から見た両神山秩父市街から見た両神山小鹿野町から見た両神山 両神山は秩父の奥座敷にあるので、自家用車がなければ日帰り登山は厳しい。 公共交通機関利用組は、秩父市内か小鹿野町内のホテルに前泊して早朝のバスで麓に向かうか、あるいは麓にある民宿両神山荘に前

  • ● 映画:『タイムライン』(リチャード・ドナー監督)

    2003年アメリカ116分 『ジュラシックパーク』や『13ウォリアーズ』のマイケル・クライトン原作によるSF時代劇。 中世フランスの遺跡発掘に携わる現代の考古学者チームが、訳あって14世紀の英仏百年戦争の戦場にタイムワープして、絶体絶命のピンチに陥る。 スリルとロマン

  • ● フェア or アンフェア? 本:『火刑法廷』(ジョン・ディクスン・カー著)

    1937年原著刊行2011早川ミステリー文庫(加賀山卓朗・新訳版) ディクスン・カーは、アガサ・クリスティやエラリー・クイーンに並ぶ、言わずと知れた本格ミステリー黄金時代の大御所の一人で、早川ミステリー文庫(緑色の背表紙)や創元推理文庫などで数多くの作品が翻訳さ

  • ● ビッチな女子大生はいかにして改心したのか 映画:『ハッピー・デス・デイ』(クリストファー・ランドン監督)

    2017年アメリカ 原題は Happy Death Day 誕生日の朝を見知らぬ男の部屋のベッドで迎えた女子大生のツリーは、父親からのハッピー・バースデイ・メールも無視し、いつものようにビッチでジコチューな一日を過ごす。 キャンパスを我が物顔で歩き、男子学生に悪態をつき、

  • ● AC/秋の一日: 中央フィルハーモニア管弦楽団 第86回定期演奏会

    日時: 2023年10月29日(日)14:00~会場: 杉並公会堂 大ホール曲目:  チャイコフスキー: 歌劇「エフゲニー・オネーギン」作品24よりポロネーズチャイコフスキー: ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35シベリウス: 交響曲第2番ニ長調作品43ヴァイオリン: 岸本 萌乃加指

  • ● 映画:『おとなのけんか』(ロマン・ポランスキー監督)

    2012年フランス、ドイツ、ポーランド、スペイン80分 母親がアウシュビッツで殺される、ユダヤ人狩りを逃れるため諸国転々、妻がカルト教団に惨殺される、十代の少女への度重なる淫行、アメリカ追放・・・・。 ポランスキーの人生はどんな映画の主人公よりも、波乱万丈で苦

  • ● 小説の醍醐味 本:『被差別小説傑作集』(塩見鮮一郎編)

    2016年河出文庫 『被差別文学全集』の姉妹編で、刊行はこちらが先である。 被差別部落に関係した小説を集めて編んだ意義を、塩見は次のように述べている。 戦前の社会がどのような差別意識を持っていたのかを明らかにしようとした。いまなお無意識に同質の感性を引きつい

  • ● デカダンスの美 映画:『野獣の青春』(鈴木清順監督)

    1963年日活92分 「エースのジョー」こと宍戸錠を主役とする裏社会サスペンアクション。 この時代に日活で量産されたプログラムピクチャーの一つで、「すねに傷ある早撃ちのヒーローが、ヤクザ同士の抗争に巻き込まれ、美女との絡みや男の友情を経て、派手なドンパチが起こ

  • ● 本:『三竈島事件』(蒲豊彦、浦島悦子、和仁廉夫著)

    2018年現代書館 『日本海軍400時間の証言 軍令部・参謀たちが語った敗戦』(NHKスペシャル取材班編)の中で、聞き捨てならない発言があった。 海軍きっての国際派だった大井篤元大佐による、戦時中に海軍が行った捕虜や住民に対する虐待についての証言である。 昭和13年か

  • ● 映画:『ザリガニの鳴くところ』(オリヴィア・ニューマン監督)

    2022年アメリカ126分 フェミ色の濃いミステリードラマ。 アメリカの女性作家ディーリア・オーウェンズの同名小説が原作。 時は1969年。 舞台はアメリカ東南部ノースカロライナ州の湿地。 ある日、町の有力者の息子チェイスの死体が湿地の中で発見される。 容疑者として

  • ● 文学の力 本:『被差別文学全集』(塩見鮮一郎編)

    2016年河出文庫 著者の塩見は、江戸の穢多頭であった浅草弾左衛門、同じく非人頭の車善七に関する書をもつ、江戸の下層社会や部落問題についてのオーソリティ。 1938年生まれ。もとは河出書房新社に勤めていたらしい。 本書は、先立って刊行された『被差別小説傑作集』の

  • ● 川口隊長の初探検 映画:『浮草』(小津安二郎監督)

    1959年大映119分 本作は未見であった。 これほどの傑作を観ていなかったとは不覚。 小津作品の中ではあまり話題に上ることもないので、失敗作とは言わないまでも、凡作という位置づけなのかと思っていた。 なにより小津作品としては異色ずくめ。 制作はいつもの松竹では

  • ● 本:『念処経 ブッダの瞑想法』(宮本啓一訳)

    2022年花伝社 ソルティは、ブッダの瞑想法として知られるヴィパッサナー瞑想(マインドフルネス瞑想)を初めて10年以上になるが、肝心の原典を読んでいなかった。 本書は、『パーリ経典』(漢訳『阿含経典』)の経蔵中部に収録されている『念処経』(サティパターナ・スッ

  • ● 映画:『ケース39』(クリスチャン・アルバート監督)

    2010年アメリカ、カナダ109分 ホラーと思って借りたら・・・・ 独身のソーシャルワーカーであるエミリーは、長年両親に虐待されてきた少女リリーを救い出し、自ら引き取って育てることを決意する。 いたって真面目な社会派ドラマの装い。 あれ? GEOスタッフが間違えて

  • ● セルフ・ネグレクトと愚行権 本:『ルポ ゴミ屋敷に棲む人々』(岸恵美子著)

    2012年幻冬舎新書 家から7~8分歩いたところにゴミ屋敷がある。 建物の周囲はもちろん、2階のベランダや1階の屋根の上までさまざまな物で埋まっている。 家の中を覗いたことはないが、推して知るべし。 高齢男性が一人住まいしているようだ。 隣り近所に住んでいる人の

  • ● ショスタコ祭り: 新交響楽団 第263回演奏会

    日時: 2023年10月9日(月)14:00~会場: 東京芸術劇場コンサートホール曲目: ショスタコーヴィチ: バレエ組曲「黄金時代」ショスタコーヴィチ: 交響曲第9番ショスタコーヴィチ: 交響曲第12番指揮: 坂入健司郎 ショスタコーヴィチ(1906-1975)の初期、中期、後期の

  • ● 二本柳寛の墜落 映画:『拳銃無頼帖 不敵に笑う男』(野口博志監督)

    1960年日活84分 赤木圭一郎主演の拳銃無頼帖シリーズ第3弾。 舞台は金沢である。 60年代の金沢の駅や街中の風景が興趣深い。 ヒロイン役に笹森礼子を配し、宍戸錠、藤村有弘、二本柳寛などお馴染みのメンバーが出揃う中に、これが日活3作目となる吉永小百合が、いまだ

  • ● 蒲田で昭和と出会う :オーケストラ・ラルゴ第1回定期演奏会

    蒲田駅東口日時: 2023年10月7日(土)13:30~会場: 大田区民ホール・アプリコ 大ホール曲目: C.ニールセン: 序曲「ヘリオス」 Op.17J.シベリウス: 交響曲第7番 ハ長調 Op.105J.シベリウス: 交響曲第2番 ニ長調 Op.43指揮: 山上 紘生 Orchestra Largo(オーケストラ

  • ● ラミアの正体 映画:『スペル』(サム・ライミ監督)

    2009年アメリカ99分 サム・ライミ監督と言えば、80年代に『死霊のはらわた』で大ブレイクしたことが思い出される。 その後、作品を追っていなかったが、いまだ健在であった。 オカルトホラーとスプラッタとグロの3拍子による相も変らぬ趣味の悪さは、本作でも遺憾なく発揮

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