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2019/03/12

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  • ■ テレワーク最終日

    「えーと・・・現代?」 「なんだ」 「明成さんは何を言ってるの?」 「聞いていなかった」 冷めた顔で簡潔に返され、たった三人しかいないこの空間と距離感でそんなはずないでしょ、と、 御影が突っ込むよりも早くに明成が静かに口を開いた。 「・・・現代、人の話を聞いていない悪い子には四つめの・・・」 「嘘だ、ちゃんと聞いてた。 あんたが、またどこぞから人参でもくわえ…

  • ■ 明成さんのトラップ

    「えっ、近衛さんが作るんですか!? ここ、レンジも電子ケトルもないのに?」 「レンジや電子ケトルなどなくても料理くらいできる。 ふむ・・・これは、普段よほど酷い食事しかしていないとみた」 あきれた口調でてきぱきと作業をしながら近衛が言う。 近衛の肩越しにちらりと見えた冷蔵庫の中には、それなりに食材が入っているようだ。 キッチンは同じ空間にあるため、慣れた様子で料理…

  • ■ 文明からの課題

    「・・・ボス、一体いつのまに・・・」 あまりに驚いて心臓がばくばくと大きな音を立てている。 気配が一切感じられなかった。 「続けろ」 赤い花の組織の王・・・文明(ふみあき)は、大きなベッドに腰掛け、低く言った。 「・・・」 突然そのように言われても。 何を弾けばいいのか、何を望まれているのか、わからない。 そういえば、この男はタンゴ調の曲が好きだっ…

  • ■ 調教/家族

    「あんたのせいで・・・ッ、あんたのせいで俺、おかしくなっちまったじゃねえか・・・ッ」 「凄む顔もすごく可愛いけれど、ちょっと落ち着こうか」 まるで幼子をなだめるようなその口調に祐季也のイライラがさらに募る。 「落ち着いてなんかいられるかよ! 大体、あんたはなんでそんなに落ち着いてんだよ!!」 「しっ、静かにしなさい。 ここは病院の駐車場だよ? ・・・まったく、…

  • ■ 窮地

    「・・・どうして外さなかった」 二人きりになった病室で、狼煙が言っているのはアレのことだろうとすぐにわかった。 「鍵はやっただろう」 たしかに鍵は受け取っていた。 すぐにトイレに行ってそれを外すつもりだった。 だが、実際に個室に入り南京錠に鍵を差し込んだまでは良かったが、 どうしても そこから先の、鍵を捻るという簡単すぎる作業ができなかったのだ。 「・・・わか…

  • ■ 征服

    「狼煙先生、俺、先生のことが好きです」 面と向かってそう言うと、教頭席で書類を片付けていた狼煙がふと顔を上げた。 そして、いつもどおりの冷めた表情と淡々とした口調でこう言った。 「・・・それで?」 その反応があまりに予想外で何と返せばいいかわからず、 勢いに任せて告白してしまった自分が急に恥ずかしくなってしまった。 しかも自分の年齢の倍近く離れた同性相手に、だ…

  • ■ 赤いルージュで色付く

    「ところで玲良さん、明成さんがあなたのピアノを恋しがってましたよ。 長期間赤い花のボスのもとにいると、あなたの繊細な感性が狂ってしまうとよく嘆いてます」 「・・・・・・ボスはきみの薬のおかげでかなり回復に向かっている」 「それはなにより、良かったです。 で、今の僕の話、聞いてました?」 「猫は?」 「は? 猫って・・・現代(げんだい)のことですか?」 「そうだ」 …

  • ■ 〝1回休み〟

    「そう・・・。 明成、きみが真剣に悩んで出した結論ならきっとそれが正解なんだろうと思う。 たとえ違っていたとしても、きみなら軌道修正できるって信じてる。 だけど・・・」 そこで不意に言葉を切った巽を、明成は静かに見つめた。 巽はおもむろに立ち上がり、ゆっくりと明成の座る椅子の前まで歩いてくる。 そして少し腰をかがめて鼻同士がくっつきそうな位置まで顔を近づけるとこ…

  • ■ チャームポイント?

    「心外だね、僕はそんな血液コレクターみたいな悪趣味なことはしないよ。 あれは単に採血が大の苦手な現代のとてつもなく嫌そうな顔を見たいだけ。 でも今日のは違うよ。 この子と、きみのを比較するため」 ・・・。 本当に面倒くさい男だ。 現代はこれ見よがしの大きな溜息をつく。 最初からそう言えば嫌がりもしないというのに、 なぜこの男は毎度要所要所の言動がいちいち回りくど…

  • ■ 玩具

    「おや、浮かない顔ですねー。 どうしたんです、せっかく病室まで教えてあげたのに。 園葉さん、ここぞとばかりに甘えてこなかったです?」 「噛み付かれた」 「ええっ!? なんと・・・そんなに面白いことが。 へえ・・・園葉さん、なかなかやりますね! そっかあ、そんなに追い込まれてたんですね、彼。 まあ、僕の出張中にあなたが彼を会議室に呼び出したってリークはありました…

  • ■ 脅迫

    「これ・・・園葉さんでしょう。 いやあ、僕、これ見てすごく興奮しちゃいましたよー。 ・・・エロすぎて」 そう言って眼前に見せられた動画に、佳紀里は固まった。 それは、紛れもなく佳紀里が撮影したものだ。 「公開してるSNSは気を付けないと。 いくら顔を出してないからといって人間の身体なんてそれ自体が固有のものですからね? あなたの手、結構特徴的なんですよ? それから…

  • ■ 超自然食拗らせ系

    「茶篠だ」 「下の名は?」 言いたくないからあえて苗字だけ答えたというのに、 男−−−近衛は、さも当然のように下の名を要求してくる。 「・・・秋一郎だ」 「ところで茶篠、そのオットマンもあの店で売るのか?」 「これは売らない」 「残念だ。 ちなみにそれがあるということは・・・、セットのラウンジチェアもどこかにあるな?」 「な・・・」 「どうしてわかったかって? ふふ、きみは口数は少ないが、行…

  • ■ キャラの名前

    「どうしてあんたがこんなところに・・・ま、まさかまた営業に戻ったとか言わないだろうな?」 なぜだかヨシの声が少し震えている。 「いや、戻ってはいない。 ��まだ�≠ネ」 意味深に微笑んで答えた近衛に、ヨシは明らかに血の気の引いた様子で固まっている。 どうやら二人は互いに面識があるようだが、一体どのような知り合いなのだろうか。 年齢はあまり変わらないように見えるが近衛…

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雪混じりの雨の夜、突然目の前に三日月が落ちてきた。
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