「おまえの計画は失敗したらしいな」 圭抄が何の報告をしにきたのか、男はすでに知っているようだ。 「群雨なら、やってくれると思ったのですが・・・」 「なぜ断られた?」 「さあ・・・。 彼の考えが、僕にはわかりませんでした。 でも彼の性格なら、花と近衛明成の名を出せば絶対にやるはずなんです。 なのに・・・」 −−− やめておこう。 何を考えているのか全く読め…
コダワリ派女の面倒くさい日常のくだらない話と主にpixivに掲載中の自作妄想小説の解説や進捗状況なんかを日々つらつらと書き殴っています。
「えーと・・・現代?」 「なんだ」 「明成さんは何を言ってるの?」 「聞いていなかった」 冷めた顔で簡潔に返され、たった三人しかいないこの空間と距離感でそんなはずないでしょ、と、 御影が突っ込むよりも早くに明成が静かに口を開いた。 「・・・現代、人の話を聞いていない悪い子には四つめの・・・」 「嘘だ、ちゃんと聞いてた。 あんたが、またどこぞから人参でもくわえ…
「えっ、近衛さんが作るんですか!? ここ、レンジも電子ケトルもないのに?」 「レンジや電子ケトルなどなくても料理くらいできる。 ふむ・・・これは、普段よほど酷い食事しかしていないとみた」 あきれた口調でてきぱきと作業をしながら近衛が言う。 近衛の肩越しにちらりと見えた冷蔵庫の中には、それなりに食材が入っているようだ。 キッチンは同じ空間にあるため、慣れた様子で料理…
「・・・ボス、一体いつのまに・・・」 あまりに驚いて心臓がばくばくと大きな音を立てている。 気配が一切感じられなかった。 「続けろ」 赤い花の組織の王・・・文明(ふみあき)は、大きなベッドに腰掛け、低く言った。 「・・・」 突然そのように言われても。 何を弾けばいいのか、何を望まれているのか、わからない。 そういえば、この男はタンゴ調の曲が好きだっ…
「あんたのせいで・・・ッ、あんたのせいで俺、おかしくなっちまったじゃねえか・・・ッ」 「凄む顔もすごく可愛いけれど、ちょっと落ち着こうか」 まるで幼子をなだめるようなその口調に祐季也のイライラがさらに募る。 「落ち着いてなんかいられるかよ! 大体、あんたはなんでそんなに落ち着いてんだよ!!」 「しっ、静かにしなさい。 ここは病院の駐車場だよ? ・・・まったく、…
「・・・どうして外さなかった」 二人きりになった病室で、狼煙が言っているのはアレのことだろうとすぐにわかった。 「鍵はやっただろう」 たしかに鍵は受け取っていた。 すぐにトイレに行ってそれを外すつもりだった。 だが、実際に個室に入り南京錠に鍵を差し込んだまでは良かったが、 どうしても そこから先の、鍵を捻るという簡単すぎる作業ができなかったのだ。 「・・・わか…
「狼煙先生、俺、先生のことが好きです」 面と向かってそう言うと、教頭席で書類を片付けていた狼煙がふと顔を上げた。 そして、いつもどおりの冷めた表情と淡々とした口調でこう言った。 「・・・それで?」 その反応があまりに予想外で何と返せばいいかわからず、 勢いに任せて告白してしまった自分が急に恥ずかしくなってしまった。 しかも自分の年齢の倍近く離れた同性相手に、だ…
「ところで玲良さん、明成さんがあなたのピアノを恋しがってましたよ。 長期間赤い花のボスのもとにいると、あなたの繊細な感性が狂ってしまうとよく嘆いてます」 「・・・・・・ボスはきみの薬のおかげでかなり回復に向かっている」 「それはなにより、良かったです。 で、今の僕の話、聞いてました?」 「猫は?」 「は? 猫って・・・現代(げんだい)のことですか?」 「そうだ」 …
「そう・・・。 明成、きみが真剣に悩んで出した結論ならきっとそれが正解なんだろうと思う。 たとえ違っていたとしても、きみなら軌道修正できるって信じてる。 だけど・・・」 そこで不意に言葉を切った巽を、明成は静かに見つめた。 巽はおもむろに立ち上がり、ゆっくりと明成の座る椅子の前まで歩いてくる。 そして少し腰をかがめて鼻同士がくっつきそうな位置まで顔を近づけるとこ…
「心外だね、僕はそんな血液コレクターみたいな悪趣味なことはしないよ。 あれは単に採血が大の苦手な現代のとてつもなく嫌そうな顔を見たいだけ。 でも今日のは違うよ。 この子と、きみのを比較するため」 ・・・。 本当に面倒くさい男だ。 現代はこれ見よがしの大きな溜息をつく。 最初からそう言えば嫌がりもしないというのに、 なぜこの男は毎度要所要所の言動がいちいち回りくど…
「おや、浮かない顔ですねー。 どうしたんです、せっかく病室まで教えてあげたのに。 園葉さん、ここぞとばかりに甘えてこなかったです?」 「噛み付かれた」 「ええっ!? なんと・・・そんなに面白いことが。 へえ・・・園葉さん、なかなかやりますね! そっかあ、そんなに追い込まれてたんですね、彼。 まあ、僕の出張中にあなたが彼を会議室に呼び出したってリークはありました…
「これ・・・園葉さんでしょう。 いやあ、僕、これ見てすごく興奮しちゃいましたよー。 ・・・エロすぎて」 そう言って眼前に見せられた動画に、佳紀里は固まった。 それは、紛れもなく佳紀里が撮影したものだ。 「公開してるSNSは気を付けないと。 いくら顔を出してないからといって人間の身体なんてそれ自体が固有のものですからね? あなたの手、結構特徴的なんですよ? それから…
「茶篠だ」 「下の名は?」 言いたくないからあえて苗字だけ答えたというのに、 男−−−近衛は、さも当然のように下の名を要求してくる。 「・・・秋一郎だ」 「ところで茶篠、そのオットマンもあの店で売るのか?」 「これは売らない」 「残念だ。 ちなみにそれがあるということは・・・、セットのラウンジチェアもどこかにあるな?」 「な・・・」 「どうしてわかったかって? ふふ、きみは口数は少ないが、行…
「どうしてあんたがこんなところに・・・ま、まさかまた営業に戻ったとか言わないだろうな?」 なぜだかヨシの声が少し震えている。 「いや、戻ってはいない。 ��まだ�≠ネ」 意味深に微笑んで答えた近衛に、ヨシは明らかに血の気の引いた様子で固まっている。 どうやら二人は互いに面識があるようだが、一体どのような知り合いなのだろうか。 年齢はあまり変わらないように見えるが近衛…
「ブログリーダー」を活用して、ザクロさんをフォローしませんか?
指定した記事をブログ村の中で非表示にしたり、削除したりできます。非表示の場合は、再度表示に戻せます。
画像が取得されていないときは、ブログ側にOGP(メタタグ)の設置が必要になる場合があります。
「おまえの計画は失敗したらしいな」 圭抄が何の報告をしにきたのか、男はすでに知っているようだ。 「群雨なら、やってくれると思ったのですが・・・」 「なぜ断られた?」 「さあ・・・。 彼の考えが、僕にはわかりませんでした。 でも彼の性格なら、花と近衛明成の名を出せば絶対にやるはずなんです。 なのに・・・」 −−− やめておこう。 何を考えているのか全く読め…
クリスマスパーティという名の食事会が始まり、 明成がかけたBGMは、自らが演奏したチェンバロを録音したもののようだった。 この家の中で何度も聞いたことのある曲ばかりだったため、現代にもすぐにわかった。 何から何まで自分の手で皆をもてなしたいのだろう。 それにしても安心する味だ。 早瀬のパンも、ガード下の蕎麦屋も美味いが、やはり今は明成の料理が一番口に合う。 本当はこの…
�@基本データ 名前:青海早瀬(おうみはやせ) 年齢:34歳 体型:長身、均整の取れたやや細身の身体 血液型:A型 初登場:無明ヶ丘熱帯魚シリーズ�@モノクロームの熱帯魚 代表作:無明ヶ丘熱帯魚シリーズ�A恋歌はエーゲに吹く風の如く 特記事項:少林寺拳法黒帯 ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む)
�@基本データ 名前:絹澤巽(きぬさわたつみ) 年齢:43歳 体型:中肉中背の痩せ型 血液型:A型 初登場:グリーンアンバー 代表作:椅子とヒュッゲな友人 特記事項:明成さんの大親友 ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です。 ★top 脩 ☆bottom 明成 --…
�@基本データ 名前:逢沢馨(あいざわけい) 年齢:35歳(本来陰陽師がいたころの人間なのであくまで肉体年齢) 体型:高身長で鍛え抜かれた強靭な肉体 血液型:A型 初登場: 勾玉の契-ギョクのちぎり- 代表作: 勾玉の契-ギョクのちぎり- 特記事項:陰陽師の家系(ただし本家ではなく分家) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A…
「仕事帰りだったのか。 ということは、連絡をよこしてくれたときはまだ会社にいたのか」 部屋の中に入るよう手で指示しながら、高階はスーツ姿の廿楽を見て言う。 「うちの秘書に説教されてね」 騙しの効かない視線に肩をすくめて言うと、短く「そうか」とだけ返ってきた。 しかしこういう対応の仕方は嫌いではない。 お陰で本題に入りやすくなった。 小さな深呼吸をひとつして、実は…
�@基本データ 名前:廿楽瑞貴(つづらみずき) 年齢:33歳 体型:中肉中背の痩せ型 血液型:AB型 初登場:無明ヶ丘熱帯魚シリーズ�@モノクロームの熱帯魚 代表作:仔ぎつねはいつも嵌められる ほか 特記事項:過去世で紫威に名前を付けた ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあく…
�@基本データ 名前:黒鶫一史(くろつぐみいつし) 年齢:27歳 体型:高身長、細身 血液型:B型 初登場:“ブルーダイヤ”(宝石シリーズ�@) 代表作:黒曜石の瞳 特記事項:明成の過去世の息子本人で魔物とのクォーター ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断で…
�@基本データ 名前:瀬音御影(せおみかげ) 年齢:31歳 体型:中肉中背の範囲でやや痩せ型 血液型:A型 初登場:無明ヶ丘ガード下シリーズ�A氷水晶編 代表作:仔鹿はキッシュに翻弄される 特記事項:医師の免状保有 ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です。 …
少しずつ意識が霞み始める中、志信が本当に最後の手段として、 生存維持用に温存していたエネルギーのリミッターを解除しようとした まさにそのとき、 またシュンッ、シュンッという独特の銃声が二発聞えた。 「グッ!?」 直後、志信の目の前の王がうめき声をあげ、その頭部の中心に小さな穴が開いていることに気付く。 「明成!?」 どうやら明成が再び黄泉の銃で王を撃ったようだ…
「それはそうと、明成。 ついさっきあちらで面白い話を耳にしてきた」 「なんだ。 あなたの言う面白いは、大抵全く笑えな・・」 「志信が王になることをやめたらしい」 ・・・ほら、やっぱり。 明成は視線で文明に話の続きを促した。 あまり聞きたくないが、しかし聞かないわけにはいかないだろう。 「神門就任への目処は立ったみたいだが、本人は最初それすら拒否したという話だ。 …
�@基本データ 名前:郡雨志信(むらさめしのぶ) 年齢:45歳 体型:高身長、着痩せ型の筋肉質(※鍛錬によるもの) 血液型:A型 初登場:予め手放された財産 代表作:藍の花 特記事項:裁きの王、藍の花(あいのはな) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です…
�@基本データ 名前:近衛文明(このえふみあき) 年齢:47歳 体型:高身長、超着痩せ型のしっかりと鍛え抜かれた筋肉質な身体 血液型:O型 初登場:八重の芥子 代表作:シリウスの復讐 ほか 特記事項:闇の王(赤い花の王) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断…
�@基本データ 名前:近衛明成(このえめいせい) 年齢:43歳 体型:高身長、着痩せ型のしなやかな筋肉質、やや日本人離れしたスタイル 血液型:B型 初登場:“シナモンパイライト”(宝石シリーズ�B) 代表作:Karma-約束の時間- ほか 特記事項:光の王 ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む)…
少しすると明成は香りの良いハーブティを持ってきた。 目の前で透明なガラスのカップに注がれる。 最後に垂らしたのははちみつのようだ。 慣れた手つきから、日ごろからこうしてティータイムの習慣があることがわかる。 とてつもなくまめな男だ。 一体いつ仕事をしているのか心底謎だ。 「というか、あなたはあれから自分が三日三晩高熱で寝込んでいたことは知っているのか?」 正面の一…
�@基本データ 名前:鴻月静思(こうづきせいし) 年齢:35歳 体型:平均的身長、痩せ型 血液型:AB型 初登場:花は赤いルージュで色付く 代表作:深海の王 特記事項:青銅の花(どうのはな) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です。 ★top 董/羽角/現代…
�@基本データ 名前:眞塩玲良(ましおあきら) 年齢:33歳 体型:平均的身長、痩せ型 血液型:AB型 初登場:Frühling-春- 代表作:花は赤いルージュで色付く ほか 特記事項:白銀の花(ぎんのはな) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBはあくまで身体的判断です。 ★top 一史 …
�@基本データ 名前:高階現代(たかしなげんだい) 年齢:29歳 体型:やや低身長(成人男性の平均枠内)かなり痩せ型、華奢 血液型:B型 初登場:無明ヶ丘ガード下シリーズ�@茶屋編 代表作:八重の芥子 ほか 特記事項:黄金の花(きんのはな) ------------------------------------------------------------------------------------------ �A絡み(比較的ライトも含む) ※TorBは…
文明の言葉を険しく神妙な顔で聞いていた志信が、少し躊躇いがちに口を開く。 「・・・これは、先日会った こちらにいる私の師が言っていたことだが・・・。 この惑星には各世界を守り統べる王の存在が必要で、 そして、その王たちには花の力と癒しが欠かせないものなのだと。 だから花はいつの時代も王を探し求め、そして王は自らの花を見定め…
「苦戦しているようだな」 カウンタの奥からボルドーの瞳をしたオーナーソムリエが姿を現す。 その口調はどこかほんのりと楽しげに聞こえる。 紫威(むらさき)という名で、かなり高次元の魔物だ。 「紫威・・・。 なぜ文明は、この指輪を渡せと言わないんだ・・・」 組んだ両手から顔を上げずに問うと、 紫威は項垂れる志信の目の前に濃い赤紫が揺れるワイングラスを置いて言った。 …
「では、桜乃くんは私と設定の認識合わせをしておこうか」 「はい」 モヒートをもう一口飲んで、公央(きみちか)は頷いた。 「今回の上司と部下の設定は、これにも記載のとおり、もともと恋人未満の微妙な関係だ。 もちろんこの部分は、作品とともに掲載される文章で少し書かれるだけで、 実際に撮影するストーリーの内容には含まれない。 ただ、ごく普通の部下ではなく、そうい…
「どうした?」 ん? と問いながら耳たぶを甘噛みされ、そこから全身に甘ったるい痺れが広がっていく。 「うぅ・・・あなたは、昔から意地が悪すぎるんですよ・・・っ」 「表面を取り繕い本性を隠して相手の懐に入るのは簡単だが、 これから長く付き合っていこうと思う相手にそんなことをしても意味がないだろう。 互いに本性を見せ合い本音で語らなければ本物の信頼関係など築けな…
「すごいな、やはりきみのセンスも独特で素晴らしい。 きみはどちらかというと、洗練されたシャープな印象のものが好きなんだな」 動きやすいラフな服装でやってきた近衛はどこか無邪気な瞳で倉庫の中を見渡している。 ほとんど全身ジャージのような格好なのに、それでも品のある紳士にしか見えないから憎たらしい。 所詮住む世界の違う人間だとはわかっているが、 同じ男として、どこか…
「それはそうと、明成、おまえは気が付いていたか? 現代の中の あのパンドラの箱・・・。 あれが、本人の強い自己暗示だけで鎖されていたわけではないことに」 「・・・いや」 またもやほんのりと意地の悪い笑みを浮かべて問われ、明成はうんざりしながら首を横に振った。 「というか、そもそもわからない単語が多すぎる。 地下組織のグループに、オークションに、プレートに、…
「さあ、今日は僕の奢りです。 どんどん食べてジャンジャン飲んでくださいね!」 両手に花というのは本当に気分がいい。 どちらもかなり個性的な花だが、しかしとても美しいということには変わりがない。 一史はご機嫌な調子で、両隣を交互に見ながらにっこりと笑って言った。 しかし。 「嫌だ、奢りなんてお断りだよ」 「私も結構」 ・・・。 「せっかくセッティングしたのに、二…