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  • 夏の始まりは模試と共に

    夏の始まりは模試と共に

    最後の夏が始まった。 はは、まるでもう世界が終わってしまうみたいじゃないか。 そうだ、こんな世界は明日にでも滅んでしまえばいいのに…

  • 理転初学者の化学と物理の参考書

    理転初学者の化学と物理の参考書

    えっと、化学のコーナーは…ここか。少し遅れて後ろからやってくる、小百合とみずきの会話が聞こえてくる。「理転したこと、先生や親にちゃんと言えたの?」 「はい。なんとか言えました。相田さんにも相談に乗ってもらって…」そう。あいつがね…。 と囁く声が聞こえてくる。「まあ伊達に年を食ってるわけじゃないって事かしらね」 「おい聞こえてるよ。おい小百合さーん」コイツの軽口には慣れたもんだ…

  • 理転初学者の数学参考書

    理転初学者の数学参考書

    俺たちは、シャレオツカフェの近くにある、街一番の大きな本屋に向かった。うむ、可愛い女の子を連れて街中を闊歩するのも悪くない。 市内で一番大きな本屋の5階に参考書コーナーがある。 誰もいないエレベーターに乗り、やけに満足気に5階へと舞い降りた俺だった。

  • 理転初学者の物理と生物

    理転初学者の物理と生物

    「相田さん、また相談があります」 「え、また?」 「はい。安心してくださいね。今度はただの勉強の相談です」よかった、この前のように人生観を語らなければならぬような相談がそう何度もあってはこちらもたまったものじゃない。俺は今日は疲れているので、復習するくらいで特に何も予定がない今度の日曜日ならば、と快く了承した。

  • 理転はいつも突然に

    理転はいつも突然に

    それはゴールデンウィークに行われた合宿が終わって間もない頃のことだった。「相田さん、ちょっと相談があるんですけど…」合宿によって、一種の戦友的意識が芽生えたみずきから真面目な顔でそう言われた。 「ん?俺に…?…いいけど自習が終わってからでいいかな?」 「はい。」 「夜11時を超えちゃうけどいいの?」 「はい。お願いします」 一度、何でも相談していいよ、とは言ったが、まさか俺なんかに本当に相談があるとは…。 まあ年端もいかぬ若い少女のことだ、色々悩みがあるに違いない。 俺でいいなら存分に相談に乗ってあげよう。 女の子の相談ってやつは、とりあえず共感して相槌を打ってればいいんだよな。 「ピザまん2…

  • 合宿最終日

    合宿最終日

    「……のぼる……のぼる!」 「……ん……ゆりっぺ?……」 「誰が死んだ世界戦線だよ。天使ちゃんいねーよ」机に頭を突っ伏して寝ていた自分に気付く。 外はもう明るい。「やば…。寝ちゃってたのか」 「いや、俺たち結構頑張ってたと思うぜ。久しぶりだよな、こんなに勉強したの」前の席でみずきが俺と同じような格好をして寝ている。 小百合はいない。「とりあえず顔洗って来いよ。もうそろそろ朝メシの集合時間だぜ」 「…そうだな」俺は翔太の忠告を受け入れ、洗面所へ向かった。顔を洗ったけどまだちょっと眠いな… コーヒーでも買ってくるか… ここの施設に来た時、確か外に自販機があったはずだ。外に出てみると、確かに自販機が…

  • 合宿2日目

    合宿2日目

    「……のぼる……のぼる!」 「……ん……ここは……β世界線……?」 「α世界線だよ。まだこの世界線にやり残したことあんだろ。そろそろ起きろよ」合宿2日目の始まりである。 部屋の外にある共同洗面所で歯磨きをしながら眠い目をこする。

  • 合宿1日目

    合宿1日目

    『ヴォーン、キキィーン、ガタッ』知らない天井だ。 俺は眠りから目を覚ました。異世界‪​───‬ではないらしい。眠い目をこすり、記憶を遡る。そうだ、合宿に来たんだった。ここはそう、合宿を行う施設へ向かうマイクロバスの中であった。前日に高揚してあまりよく寝ることができなかった俺は、バスの窓に寄りかかり寝ていたのである。隣には翔太が英単語帳を手に広げつつ目を閉じて眠っていた。窓から差し込む太陽の光が翔太を穏やかに照らす。こいつ、寝顔かわいいな。 少しイタズラでもしてやるか。 どんなイタズラをしてやろう。グヘヘ。「あなた、何ニヤニヤしているのよ」後ろから小百合の声が聞こえた。「お、お前こそなんでこっち…

  • 合宿‼︎

    合宿‼︎

    ある日『学習塾 マウンテン』に通う浪人生が全員集められた。全員で14人で、小百合、みずき、翔太もその中に含まれる。もう塾に通い出して一ヶ月が経つ。 見慣れた面子である。

  • 模試が終わってみんなでBBQ

    模試が終わってみんなでBBQ

    『ワイワイ、ガヤガヤ』マーク模試が終わった後、『学習塾 マウンテン』のみんなでバーベキューがあった。塾の近くの河原で行われたそれは、花見の時と同様に、小学生から中学生、高校生、浪人生が一堂に会する不思議な空間であった。

  • 模試前日

    模試前日

    今日は土曜日。 明日はマーク模試がある。 少し緊張するな… 高望みかもしれないが9割くらい取れたりしないかな。そんなことを考えながら帰宅の途についた。模試の前日であるから早めに帰ることにしたのである。

  • みんなで花見

    みんなで花見

    件の浪人決起会が行われてからすぐの事だった。またしても、よっちゃん先生が「相田くん。今度、塾のみんなで花見をするからね。絶対来てね。」と言う。絶対、とは。まるで俺が強制されなければ、約束をすっぽかすような人間であるみたいじゃないか。‪​───‬事実、そのとおりであった。同窓会に行ったこともなければ、成人式、クラス会、友人や親戚の冠婚葬祭にすら理由を付けて欠席してきた自負が、俺にはある。欠席のプロとしてメディアに取り上げられてもおかしくないな。

  • 浪人決起会

    浪人決起会

    まだ寒さの残る頃であったか、よっちゃん先生がこう言った。「相田くん、明日の夜は塾に来てね。浪人生を全員集めて決起会をするから。」俺は渋々頷いたのだったが、しかし、浪人生の決起会とは何をするのだろうか。 この塾のことである、並一通りに催されるわけではないことは確かだ。 きっと志望校や所信表明をすることには違いないだろう。俺には不安があった。俺が理三志望ということをみんな受け入れてくれるだろうか。 体良く受け入れはするが、きっと心中に思う事はあるだろう。『なんであなたがあの理科三類に!?』そう思うと気が気でなかった。 いっそ休んで逃げてしまおうか、などと考えてみるが、気がつくと『学習塾 マウンテン…

  • 塾について

    塾について

    ここ『学習塾 マウンテン』での授業は、自分の出たい授業に出て、また自習で全て済ますこともできる。テキストは、全て入試問題から抜粋されており、普段は暗記一辺倒になりがちな勉強を演習で補う事ができる。塾は比較的少人数なので、先生は授業中にバンバン生徒に当てる。 非常に能動的に参加できるため、授業が苦手だった俺も、一日に一つか二つ授業を受けることにした。何よりも、テキストの問題を解いて、それをすぐ添削してくれるのがとてもいい。塾の方針は 『なんでも質問オッケー!気になることを聞いちゃおう!』 であるらしく、勉強法はもちろん、市販の参考書の質問にも答えてくれる。自分の未熟さが露呈されることを拒んで参考…

  • 勉強計画part2

    勉強計画part2

    「青チャートは1日20題やってきてね。英単語は1日100語。アップグレードは1日50問。月曜から金曜までの5日間やれるとして、日曜日に範囲内から無作為に選んだ問題からテストするからね」 「分かりました」特にキツいと思わなかった俺は、快く了解した。 なんと言ったって、数学と英語だけ勉強すればいいのである。 そして一週間が経った今日、テストが行われた。

  • 最低の出会い

    最低の出会い

    『学習塾 マウンテン』には面白いイベントが多々ある。 例えば、塾に通っている小中高、浪人生を全員集めて花見をしたりバーベキューをしたり、などといったことである。 これは、俺がまだ塾に通って間もない頃のことである。

  • 勉強計画part1

    勉強計画part1

    「ところで、確認なんだけど、今年のセンター試験は8割なかったのよね?」 ハキハキとしていて聞き取りやすいアルトボイスが俺の耳に届いた。 俺の今年のセンター試験の点数は以下の通りである。 国語 120点 英語 170点 数学 160点 理科 170点 社会 60点 ‪​───‬900点中、680点 ところがどっこい、これが現実です。 国語で大きく失敗したということもあるが、他の教科も医学部受験生としてふさわしいものではない。 「うーん、基礎的な理解に少し抜けがある人がそのくらいの点数取っちゃうのよね」「おっしゃる通りです」「基礎のおさらいからやり直してみよっか」「……そうですね」 率直に言って、…

  • 東大…理三…?

    東大…理三…?

    「おはようございまーす」「おっ、早速来たね。よしよし」 俺は『学習塾 マウンテン』に通うことを決めたのだった。 ここは、元々は英語塾だったらしい。なるほど、それでマウンテンか…。いや、何がそれでか分からないが。 学生の要望に応えて、数学、その他科目も教えることになったとのことだった。 「それじゃあ早速、一緒に勉強計画を立てようか」「はい。お願いします」「それで…志望校は理三で本当にいいの?」「はい。頑張ります」「そうこなくっちゃね!」

  • 塾に行ってみたpart2

    塾に行ってみたpart2

    こんな情けない人生を歩んでいても、自分が他者に勝る、唯一にして最高に幸福だと思える点が一つだけある。それは、理解のある親がいることである。「再受験するので大学やめます」 「そう。あなたの好きなようにしなさい」この一言でどれだけ救われたことか。 この一言を言える親が一体この世にどれだけいることか。 俺もこう言える親になりたい。ちなみに生活費すらも全て親に出してもらっていることは内緒である。 受験に携わっている大人には、理解のある人が多いのではないか。そう信じて俺は『学習塾 マウンテン』のドアを開けた。「いらっしゃーい。こちらにどうぞ。」陽気な笑みを浮かべて彼女は俺を迎い入れた。 着ていたコートを…

  • 塾に行ってみたpart1

    塾に行ってみたpart1

    外に出ると暖かい日差しが頬を照らした。 コートはいらなかったな。そんなことを思いながら、お気に入りの安物中華自転車、その名も『ゴールドシップ』に乗って道を駆ける。現在、『学習塾 マウンテン』に向かっている最中である。

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