ナマケモノが絶滅してさ、名前が空いたらさ、僕がもらうよ
私は今、座り心地のいい椅子に行儀悪く腰かけて、目線の高さにレモンを掲げている。 何をしているのかと自問自答するならば、その答えは一つ。レモン観察だ。 事の発端は、レモン越しに見える掛け時計にある。私は強烈に重大な真理を知ってしまった。 深夜三時三十五分のこと。ぼうっと、見るともなしに時計を眺めていた。いつか誰かからもらった、木製で二針式の掛け時計だ。 長針が南南西に傾いて、「7」の足(と私は呼んでいる)の斜線とキレイに重なっている。 こういう瞬間・場面がなんとなく好きだ。例えばビルとビルの間にきれいに満月が収まっている瞬間。あるいは太陽が沈むときに、ぴったりなサイズの建物の奥に消えていく場面。…
2023/04/29 10:00