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2019/02/04

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  • お米を守る建築|板倉の知見あれこれ

    だいぶ更新が滞ってしまいました...。 今回は「板倉」という木の倉のお話。 クラというと、蔵と倉がある。 米倉、味噌蔵(倉)、衣装蔵。 これは石巻でお話を聞いていた時に聞いたキーフレーズ。クラには様々な役割があるものの、字は体をなしています。 蔵、とは土でできた堅牢なクラ。防御性に優れるためのが特徴。蔵は、基本的には財を守るのが主題。町屋の店蔵や豪農の衣装蔵、土佐漆喰が塗られている蔵などが代表例です。 対して、倉、とは木でできたクラ。起源は穀倉で、弥生時代に遡る。防虫性能の高い、生きるための資源を守るための技術。それが食物を守る倉。 これらはしまうものの他、地域性も反映しています。例えば、良い…

  • 重厚な屋根と堅牢な建築|対馬の石屋根

    以前の記事で書いたスレート屋根の地域・石巻市雄勝町は、実は日本の中で5指に入る有名な石を使った建築の産地。 石の建築で有名なのは、 ・宮城の玄昌石(スレート屋根) ・栃木の大谷石 ・長野の鉄平石 ・東京のコーガ石 があげられる。 今回はこれらの一つ、対馬の石屋根のお話。 日本と韓国の中間くらいにある対馬。島国では、島の中のものを使って建物を建てることが多い。奄美大島もそうだったが、だからこそ独特の島の建築文化が形成される。 対馬で形成されたのは、大きな石の屋根。島の中で取れる材でできた屋根は、同時に堅牢な建築構法も生み出す。柱は平柱という長方形断面のもので、床は少し上がった穀物をしまえる工夫も…

  • 中世から続く三陸沿岸のムラ|宮城県石巻市雄勝町大須浜集落その1

    東日本大震災から丸8年が経過した。 震災の爪痕は大きく、失われたものは多い。震災後、石巻で様々な活動をご一緒する機会に恵まれた筆者にとっても考えさせられることは多い。失われた人命が何よりの損失であり、最も大切なものであったことは論をまたないが、同時に美しい建築や集落が失われてしまったのも悲しい現実である。 三陸沿岸部は昔から津波被害に悩まされてきた地域であり、古くは江戸時代の慶長の津波、明治、昭和、チリ津波と続く。正確な記述は少なくなるが、その前も幾度となく被害を受けてきた地域である。 一方で、三陸沿岸部は世界三大漁場の一つに数えられる恵まれた漁場を有するため、古くから人が住み着いた地域であり…

  • 産業景観ータバコ産業が生み出した集落景観ー|福島県船引町

    日本の住居史は、竪穴式住居から始まる。その後も長らくこの住居形式が庶民の住居であった。中世の頃には掘立小屋のようなものが西日本を中心に出てきたと推測されている。この頃の居住の跡は柱のみで、穴を掘っていた時代と比べると、痕跡を発掘することはとても難しいが、一般的にはそのような家の造りであったと考えられている。ここまでが考古学とか歴史のお話。 建築は実体のあるもの。現存する最古の民家は室町時代のもので、3軒存在している。空間の特徴としては、大部分が土壁に覆われることによる暗い空間が指摘できる。建物を建てる技術的な側面と戦乱の世という文化的側面が、家のふるまいを閉鎖的にしていた。 その後、江戸時代頃…

  • 生きるための知見、ソテツバテ|鹿児島県奄美大島

    ソテツバテ。 これは、食糧難の時代を生き抜いた離島の知恵。台風銀座、奄美大島の文化的景観です。 離島の海岸沿い。台風がよく通る地域。 その昔、離島は食糧を得るのがとても大変。だから自給自足が大原則。生きるためにはもちろんコメが必要。だから稲作をする。でも、稲作の収穫は秋なので、その前に大変なシーズンがある。 それは夏場の台風。 もし台風がきたら、稲は全てなぎ倒される。その年の食糧がなかったら、一気に飢饉になる危険性がある。だから、大切な稲や畑を守るため、畑や稲の周りに風に強いソテツを植えた。 と、いうことでできたのがソテツに守られたバテ(ハタケ)、ソテツバテ。 ソテツバテの凄いのは、どれだけ守…

  • 飛騨の板倉|岐阜県種蔵集落

    飛騨に「種蔵」という集落がある。 山に守られ、棚田と板倉が織り成す美しい風景。 まだこんなに美しい地域があるんだ、と思う。 飛騨古川から更に北に行ったところ、川に沿った県道を登っていく。ムラは人の住むところだから、通常、ムラは道沿いに位置する。ちなみに道は車を手にした我々現代人が作り上げたもの。車ができる前には自然要素が交通の要衝だった。それは川であり、谷であり、尾根であった。道で繋がった集落は文化の交流があり、人や物が流通する。 一方、種蔵は県道から更に山に入って行ったところにある。県道からは見えないから秘境感が満載。車を使っても、奥地だなぁ、と感じるのだから、乗り物のなかった時代は、もっと…

  • 茅葺き民家のマド|茨城県筑波山麓の民家

    日本の民家、といって頭に浮かぶのはどこでしょうか? 白川郷?大内宿? おそらく茅葺の家は、なんとなく頭に浮かぶと思う。 今回は、そんな茅葺民家のマドに関するお話。 都市部に住んでいると気づかないけど、茨城の田舎に住んでた時は、身の回りに綺麗な茅葺があった。茅葺は、おそらく日本人の原風景であり、そして、山の近くに住んできた山間民族、日本人の特性な気がする。 でもそんな茅葺って、どんなものなんだろう?昔ながらの暮らしは、どんな風に営まれてきたのか? 今回は、開口部と言われるマドについて考えてみる。 東西南北の壁面におけるマド部分の割合を調べた結果が下の図。 左上の図からわかることは、今回調べた対象…

  • 火災からムラを守るイキグネ|茨城県大増集落

    茅葺民家は夏を涼しく、冬を暖かくしてくれる自然素材の家。 でも、だからこそ、火災にはめっぽう弱い。 今回は、火災でムラが焼けてしまい、その知見から常緑樹でぐるっと敷地の周りを囲った家が連続する集落のお話。 集落内を歩くとこのような景観。モチノキでできた高生垣は住居をすっぽりと隠している。見事に刈りそろえられた木々は、毎年住民たちによって整えられるという。 ではなぜこのような景観が形成されたのか? オオマスコマスコマリマスコンドモエタラコマリマス その理由は、この暗号みたいな地域に伝わるフレーズにある。 漢字にすると、 大増(小増)困ります。今度燃えたら困ります。 その昔、茅葺民家の集落は、火事…

  • 厳しい気候にみんなで対抗する「塊村」:福島県会津若松市北会津町

    今回は、集まって住む居住形態「塊村」のお話。 北会津町が立地するのは会津盆地。先の記事でも触れたように、盆地は、農耕を覚えた日本人が住み始めた土地。会津盆地の例外でなく、集落の起源を探ると、500年代や600年代はざらに出てくる。極めて歴史的強度の強い地域。 二日町集落。筆者撮影。 その中には、ポツン、ポツンと、緑に囲まれたムラムラが立地している。塊村は、寄せ合うように家々を連続させ、快適な住環境を成立させた地域。 実際に、冬の季節風を測ると、ガクンと集落内の風が弱まる。これは、連なった家や付属屋に加え、緑がムラを守っていることの効果。 もう一つ、面白いお話を。 盆地って、川に挟まれていたり、…

  • 厳しい気候から家を守る散居の知見。屋敷林と付属屋とカザライ。:山形県飯豊町

    今回は「散居」という居住形態の話。 日本の村は家の連なりかたで様々な呼び方がされる。 家がポツンポツンと離れて立地している居住形態を「散居」と呼び、対して、群をなすものは「集村」と呼び、その中でも道に面しているものを「路村」、塊を成すものを「塊村」などと呼ぶ。 先の記事でもあげたが、日本人は山の辺や谷地、海辺に住み始めた。これらが縄文に由来する住み方だとすると、農耕を覚えた日本人は、次なる居住地として盆地を求めた。更に、治水技術が向上すると平地に進出する。 日本で有名な散居村として、 ・砺波平野の散居村 ・出雲平野の散居村 ・長井盆地の散居村 があげられる。 上述のムラの立地を鑑みると、歴史的…

  • ムラはどこに形成されるのか:バイブルとしての「日本の景観」と「図説集落」

    災害大国日本。 その中で家が果たしてきた役割は大きい。家は人間を外敵から守るものであり、近代化以前は自然に寄り添って暮らしてきたものでもあった。人はどこに住み、どういう安全性を確保してきたのか。ということは、ムラを考える上での原点とも言える。 さて、日本人はどこから住み始めたのか? そんな問いを真っ当なロジックで噛み砕いて説明してくれている「日本の景観 ふるさとの原型」という書籍がある。土木と建築、ランドスペースを横断した良書である。 筑摩書房 日本の景観 ─ふるさとの原型 / 樋口 忠彦 著 背表紙から引用。 「どの人にも共通して好ましいと感じられる日本の風景を「水の辺」と「山の辺」さらに「…

  • 小さな浜の大きな背中のお話:宮城県石巻市桃浦

    集落を訪れ続ける理由。 それは、地域を愛する人々からお話を聞く幸せを蓄積したいから。 そして、美しい集落が継承されて欲しいという願いを込めて。 今回は桃浦のレジェンドのお話。 実はこの人、圧倒的な漁獲をしたこともある伝説の船長。 宮城に彼あり、と言われ、日本から3艘だけの遠洋漁業の船長に選ばれ、そしてその中でいちばんの漁獲をあげた、世界を股にかけた船乗り。 もう一つの逸話。 「戦時中、2艘でアメリカに向かう道中、自分の船はたまたま呼び戻されて延泊した。だけど同じ目的地に向かっていた仲間の船が米軍の水中爆弾の実験に巻き込まれてしまった。たまたま生かされたなぁ」とさらっと話してくれる。 そして、い…

  • 津波とムラ:岩手県陸前高田市広田半島・根岬集落

    地震大国の島国、日本。 水産資源に恵まれたこの国は、同時に津波と戦って来た地域でもある。 津波の被害を受けると色々な策を講じる。 明治時代、明治三陸津波の被害を受けた人々は高地に家を移したという。しかしながら、漁業の利便性を求めて人々は再び海の近くに住み始める。そして昭和の津波の影響を受ける。 そんなことを書いている本が、山口弥一郎による「津波と村」。 www.miyaishoten.co.jp 時代が流れてチリ津波後に防潮堤ができて、津波から守られていると感じた人は、三度海の近くに住み、今回の津波被害を受けてしまった。 一方で、明治の頃から津波被害の知見を伝え、海の近くに住まず、東日本大震災…

  • 大切なものを守る場所「クラ」の知見:宮城県石巻市北上川沿いと岐阜県安八町

    近年、身近なものではなくなりつつあるクラ。 自分にとっても原体験としては存在しておらず、例えば鑑定団などのテレビの世界で掘り出し物を見つけられたり、子供向けアニメの世界で閉じ込められたり、といったところが記憶にあるもの。 でも、古くから、クラは人々の生活に密接に関わってきた。山形出身の親に聞くとクラに閉じ込められた思い出が語られる。 クラと呼ばれるものには倉と蔵がある。今回はそれら2つのお話。 北上川沿いの板倉。木でできたクラ。 岐阜県安八町の土蔵(水屋)。土でできたみんなが思い浮かべるクラ。 コメグラ、ミゾグラ、イショウグラ。 これは3つ並んだクラの違いを聞いた時に住民から帰ってきたフレーズ…

  • ムラの共通項:三重県尾鷲市の石垣

    ムラ歩きで最も基本となる視点は、街の「共通項」探し。 一つのムラでおんなじような特徴が見られたら、それはそのムラの特色かもしれないし、隣り合ったムラでも一緒だったら、それはきっと地域規模での特色なのだろう。 同じ方向の屋根が並ぶ景観。筆者知人撮影。 屋根の方位で最も有名なのは白川郷の屋根の向き。現在の白川郷の屋根の方位はみんな東西を向いている。 それが南北になると...、 豪雪の白川郷では、片方の屋根だけ雪が残り、屋根が片方だけ急激に腐っていく。そして建築が朽ちてしまうから、現在の方位に落ち着いていると言われている。実際に一度間違った方位で移築された民家は、程なくして方位を揃えることになった。…

  • 漁村の方位:三重の漁村

    1月末に三重と和歌山の漁村を巡った。 東北の漁村はここ3年何度も回って、いろいろな建築を見てきた。 しかしながら、東南海地域に縁が薄く、いままでじっくりと見ることができていなかった。 せっかく昨年から名古屋に居を移したので、どっぷりと東南海の漁村の勉強も始めるか、と重い腰をようやくあげた。 新しい地域を訪れる前に必ず目を通すのが、民家・集落研究家のバイブルとでもいうべきこちらの書籍。 https://www.nanyodo.co.jp/php/detail_n.php?book_id=N0080618 しかしながら、こちらは農村の豪農の家や商家の家が多い。 そもそも漁村は、強い潮風の影響で、あ…

  • 漁師の家はどこに設けられるのか|宮城県・石巻市侍浜

    今回は家の立地の話。漁師の家はどこに設けられるのか?そしてどんな特徴があるのか? 今回の舞台は宮城県石巻市、侍浜。 石巻市は東日本大震災で大きな被害を受けた地域である。 筆者がちょうど大学を卒業するタイミングで東日本大震災が起こり、大学院に進学した2011年度から継続的に石巻を訪れ、復興支援のお手伝いをしてきた。名古屋に居を移した現在も定期的に訪れ続けている。 震災復興初期は、大変な状況にある人々に話を聞き、いろいろな図面を引いたり様々な活動をしてきた。一方で、土木が先導する復興に関する違和感も同時に感じた。 そこで目を向けたのが侍浜。 多くのムラが被害を受ける中、津波の被害が軽微で、集落景観…

  • ムラ・アイデンティティ

    集落の研究をしているものです。 このブログでは、集落をはじめとしたローカルな地域を「ムラ」と呼び(たまに都市の中のローカルなども扱います)、そこに見られる様々な知恵や工夫、文化の蓄積などを記録するものです。 地域を見ると、とても魅力的なエイジング(経年変化)があります。 先人の知恵や工夫は、普通に見ると見落としがち。 でも、ちょっと気づくと地域の魅力や特徴って、見えるようになるんです。 地域の美しさや面白さ、自分の気づきを記していきます。 ムラマニアによる、ムラの個性の記録。 そうして見えてくる個性の集積は、地域の景色を作っています。 そんな個性を伝えるブログ。 名付けて、 「ムラ・アイデンテ…

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