大河ドラマ「光る君へ」の影響で、平安期の古典がちょっとマイブーム。というわけで、手に取ったのは平安時代末期に成立されたとされる説話集「今昔物語集」。本書は抄訳ですが、新訳だけあって訳文は読みやすいし、注釈も時として親切すぎるほどたくさんついていて、読んでいる途中でググって調べる必要が殆どないのは有難かった。 古代インド(天竺)や中国(震旦)を舞台にした話も少なくないが、やはり平安中期の本邦を舞台にした話が一番多いし内容的にも生き生きとして面白い。既読のものも含めて飽きることなく読めた。特に印象に残ったのは、 「武人のすぐれた機略で命を拾った法師の話」 ある法師が物忌みでかたく門戸を閉ざしている…