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2018/12/24

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  • 「佐伯裕子第八歌集『感傷生活』」を読む

    〇 口中に広がる笑い祖父に似るジョーカーいくどもわれは引き当つ〇 この風は上州生まれの祖母の息わたしが吹けば祖母も吹きくる〇 歳月はふっと消え去りゆきしかば「ふっ」という息の妙なる香り〇 眠るのは逃避と言われし若き日よ咎めし母も老いて眠りぬ〇 膝ついて母の靴ひも結ぶときもう歩かない靴に鈴あり〇 プラスチックの器のように砕けない娘とおりて母は退屈〇 いつまでも母が居るからいつまでもわた...

  • 「野上卓第一歌集『レプリカの鯨』」を読む

    〇 レプリカの鯨のあおく輝ける冬の晴れ間の上野公園 〇 アンモナイト億年かけて石となり小学生にさすられており〇 あおあおとしたたる光三輪山に満ちて世界は夏と呼ばれる〇 小劇場ジァン・ジァン閉じて十余年茶房となればたまに立ち寄る 〇 「この国」と吾が祖国さえ呼び棄つる気分になりしこの頃のこと〇 わが妻の絶対的なイノセンスこれは結構怖いものです 〇 美容院へ行ってきますと妻はでる覚えておこ...

  • 「木ノ下葉子「第一歌集『陸離たる空』」を読む

    〇 特急のパンタグラフの削りゆく西つ空より血汐したたる〇 真つ直ぐなものの基準としてあをき水平線を心に持ちつ〇 海面をのたうつ光のくるしみを凪ぎゐるなどとゆめのたまふな〇 母親に殺されたしと願はくは神のくしやみの燃ゆる音する〇 死ねばもう眠くないんだシャッターは引き上ぐる時意外と軽い〇 リスペリドン、クエチアピンにビペリデン、我を生かしてくれよ初雪〇 金魚掬ひのごとくささつと健康な自...

  • 高辻郷子の短歌

    〇 氷泥をだぶんだぶんと打ち上げて結氷を告ぐる海の肉体 『農の一樹』〇 砕土するめぐりに遊ぶ鶺鴒よ鬼にもなれる男ぞわれは〇 都会には住めぬ男ら火を囲み火よりも熱き言葉投げ合う〇 淡雪を全身にあびて立つ松よ愚直なる男を好きかお前は〇 殺気立ちているにあらずや雪の中ビート掘りせる男の背中〇 われはいま星に刺されて酔う男秋耕夜なべ終えしひととき〇 耕せる大地を覆い雪深しここは終の地譲れ...

  • 「田口綾子第一歌集『かざぐるま』「」を読む

    〇 非常勤講師のままで結婚もせずに、さうだね、ただのくづだね〇 また夜に家で会はうね、眠かつたら先に寝てゐていいんだからね〇 たましひの一部がふとん 労働はふとんを離れゐるゆゑ苦し〇 深皿を何度拭いてもとどまれる水滴、これは誰のさびしさ〇 正月と呼びえぬ年の初めにも駅伝はあり皆で眺めつ〇 洗はずに持ち帰る服ちちははの晩年に食ひこみすぎぬやう〇 それぞれの午後を過ごして常総学院が勝ちさ...

  • 不条理短歌へのアプローチ

    ① 物語性の欠如② 時間や空間の曖昧性③ コミュニケーションの不全④ アイデンティティーへの不安⑤ 上記四条件を満たした上でのプラスアルファー的要素とは何か?...

  • 古雑誌を読む(短歌・2018年10月号)

    特別作品30首 夏の影 睦月都(かばん)〇 空間は爛れてゐたりひとむらののうぜんかづら咲かせむがため〇 昼の陽に感情の底洗ひつつゆきかふ日々の靴が脱げさう〇 妹が帰らぬ夜のひとつあり真珠のやうに寂しかりけり〇 蟬声は軍事のごとく近づけり七月朔のうすき窓辺に〇 空想に蛇を飼ひつつ昼ありて夜はケーキをたべて眠らむ〇 家々の屋根とがらせて七月の町はひとでのやうにたゆたふ〇 夜の...

  • 『滝沢亘歌集 (国文社刊・現代歌人文庫 12)』を読む

    悲しみの底より清く湧く智慧をよすがとなして辛く生き来し鰯雲北にかがやきこころいたし結核家系われにて終る風落ちし冬樹のほとりしづかにて人亡きあとのごとく日が射す北風にのりて夜汽車の音ながし一つの時代まざまざと終ふ火に落ちし髪一すぢが玉なして灼け終へしとき寂しさは来つ一代で終るいのちにふと気付く唾涸れてたどりつきしベッドにサモンピンクの空は流れのごとくにてかく美しき日もさまざまに死すかすかなる貧血のし...

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