〇 とりかへしのつかぬ過誤なり今帰仁の沖に傷もつジュゴンのむくろ (埼玉県)酒井忠正 馬場選の首席。 「過誤」とは如何ならむ? 「過誤」と言って済ませるなんて飛んでも発奮! 是は明らかに連合政権に拠る憲法違反の犯罪であり、単なる過誤ではありません。〇 比良八荒おさまり琵琶湖は深呼吸さざ波たちは夏じたく語る (大津市)隈元直子 佐佐木選の首席。 「波たちが夏じたくを語る」なんて嘘を言うな!なんて...
〇 十六夜の月中空に光りつつ雪ふりをれば人をしのばす〇 敗戦国の少年としてかたくなに育ちきいまだに消ゆることなし〇 街の底泡だつごとく点り来てつづまりに人は夜の灯に憩ふ〇 上山の茂吉の蛍とぶ道を恋しき光身に沁みあゆむ〇 佐太郎の生年越えていよいよに独りとぼとぼと遠き道行く〇 汽水湖のゆゑに潮目のあらはにて雨曇るした波ひかりあり〇 彼岸花咲きて茂吉の赤の冴ゆ墓までの道墓よりの道〇 競ひ合ふ蛍ら同時に...
〇 ふたたびの東京オリンピックまた清き日本にされゆく作業 一戸伸衣〇 自転車のサトセルに片方結び付け縄跳び少女が入れと誘ふ 松繁美吉〇 ホスピタル待合室の電光板株価のやうに待ち順番号 同〇 四分割の肺腑の画像を無造作に医師は描き出しマウスを這はす 同〇 銀紙をぷつり飛び出すハルシオン受胎告知の夢を見るのだ 林恵津子〇 クレパスや色えんぴつの肌色は平成時代になくなりました ...
〇 折り込みチラシ七百グラム新聞は六百グラム元日の朝 各務邦子 「短歌人」2019年3月号より 「折り込みチラシ七百グラム」+「新聞は六百グラム」=千三百グラム! 病の床に在る、作者の体重は如何ほどでありましょうか?〇 病みてのち身の丈を知る日常に八つ手の若木枝広げたり 各務邦子 「短歌人」2019年4月号より 「八つ手の若木」は、これから益々「枝広げたり」して、身の丈を伸ばして行くのに!...
〇 三月に百十歳を無事迎へ母は五月の改元を待つ (西宮市)小田部桂子 結果的には平成年間最後の「三月に百十歳を無事迎へ」としても、大正・昭和・平成と三代に亘る百十年間には、震災・戦火・不景気・近親者の死没などと、必ずしも「無事」とは言えない苦難の日々が在ったものと思われます。 それはともかくとして、西宮市の小田部桂子さんのお母堂様に於かれましては、この三月の百十歳のお誕生日、真にお目出とうござい...
〇 いかなごの親でも子でもなきわれがくぎ煮の姿勢で不漁を詫びる (宝塚市)萩尾亜矢子 「いかなご」は三年から四年かけて二十㎝くらいまで成長するのであるが、未だ体長十cm程度の一年魚が、集魚灯を用いた敷網漁や定置網漁、船曳網に拠って捕獲されて「くぎ煮」にされるのである。 「いかなごの親でも子でもなきわれが」という上の三句の叙述は、其処の辺りの塩梅を面白可笑しく捉え、ユーモアセンスに溢れた表現となっ...
〇 ユーミンと竹内まりや聴く朝は昭和がしみる平成が行く (新居浜市)高津美代子 人さまざまであり、好みの問題ではありましょうが、「ユーミン」と「竹内まりや」を同列に扱うのは如何でありましょうか? また、「昭和がしみる」と言い、「平成が行く」とも言う! こうした欲張りな表現は、「改元に便乗して何が何でも入選しよう」とする、自らの軽薄さを暴露しているだけの事である。 嗚呼!永田選の首席。 ナベツネ...
短歌総合誌「短歌研究」三月号の<恒例企画>は、「現代代表女性歌人・140人作品集」と銘打っての豪華版である。各人7首ずつ、総計980首の秀作を読むことが出来るとなれば、私・鳥羽散歩としても勇躍、全980首の短歌作品を、目を皿のようにして読まざるを得ません。 春日真木子(水甕)年を経て棘うしなひし柊がまろき人語に囲まれてゐる 尾崎左永子(星座)いづれ巨大地震の起る列島に永く生きたるも恵のひとつ 松...
〇 光にも質量があり一輪車ゆっくりあなたの方へ倒れる〇 酢水へとさらす蓮根のうす切りの穴を朝の光がとおる〇 蝶を踏む足裏の柔さ光にはひかりの色の繊毛がある 〇 日のひかり底まで差して傷ついた鱗ほどよく光をはじく 〇 エレベーターあなたがあなたであることの光を帯びて吸い上げられる〇 粘膜のような光を載せたまま昼を眠っている海だった〇 三月の真っただ中を落ちてゆく雲雀、あるいは光の溺...
〇 半身をけむりのやうになびかせて秋の夜ランプの精出で来ずや〇 戻りなさいと言へばランプの内に消ゆる薄むらさきの秋の恋ごころ〇 筋書きの濃きミステリを読みさして駱駝のまつげふと思ひたり〇 手下ひとり欲しくなりたり月の夜にコンビニおでん買ひにゆくとき〇 土井さんのくちびる赤し男なら「憲法と結婚した」とは言はれず〇 君よりも君の辺にゐしとほき日のわれが愛しも花蘇芳咲く〇 ストローで作りし...
〇 はるぞらのどこかチカッとひかりつつあけつぱなしの文房具店〇 ときどきはもんしろ蝶も出入りする文房具店だれかゐますか〇 文房具のにほひなつかし交換も一つおまけもなし人生は〇 さくらみな葉ざくらとなり新しき遠近感の街を歩めり〇 かなしくてすずしくて雨の街をゆく 亡き人はもう雨に濡れない〇 椿見れば椿に見られわれに棲む死者もつぎつぎ眼をひらくなり〇 夕焼けの空に穴ありわたりゆく先頭の鳥...
〇 新元号「令和」と決まる 敢へて言ふ「令和」の<令>は<冷>にはあらず 鳥羽散歩〇 新元号「令和」と決まる 敢へて問ふ<れい>の一字は<零>にあらずや〇 新元号「令和」と決定 案ずるに<令和>の<令>は<励>にも通ず〇 新元号「令和」の<令>は<冷>ならず <零>にも<霊>にも<励>にもあらず〇 新しき元号決まる 出典は万葉集の詞書なりと〇 初春のつき令令と輝きて民和やかに国は栄へ...
「作品Ⅰ・A」欄の佳作〇 「鷺唯雄大人命」となりたまう師を見送りぬ秋雨の中 (千葉)愛川弘文〇 魂のしっぽを放してしまうゆえ風船も師も旅立ちにけり〇 担任の我が叱らる 授業料納めぬままに生徒辞めれば〇 ケン・ソゴルは俺だったのだ 授業中けだるく窓の外を見ていた〇 「不祥事悉皆根絶研修」味気なく木枯らし一号吹かぬまま過ぐ〇 スナフキンの旅は人生そのもので修正孤独 皆スナフキン〇 眩しさの向こ...
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