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2018/12/07

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  • 白い犬〈配られたカードで勝負するしかないのさ

    私は、現代日本っつー、恵まれた時代と国に生まれたおかげで、癌になっても(とりあえずは)治してもらうことができた。50年前だったら、他国だったら、私はとっくにのたれ死んでるんだろうと思うと、首の皮一枚でつながったような幸運に、申し訳ないような安堵するような、心が凍るような気分になる。癌がst1で発覚したのも、ルーワイ手術なるものが技術として確立されてたのも、そしてそれを受けることができたのも、私は運がめちゃくちゃ良かっただけだ、と。で、だ。じゃあその幸運に感謝して、日々精一杯生きてるのかというと、コレがそうでもない。仕事したり遊んだり、映画見たり、家事したりサボったり、、たらたらと生きてる。なん…

  • 胃癌になると貧血になる。バタフライ・エフェクト

    ずいぶん体調も良くなったけれど、未だに、たまーに胃の鈍痛やら立ちくらみに襲われる。風邪気味とか寝不足とか、理由がはっきりしてれば良いのだけど、思い当たるフシがなかった日にゃ「なんでだ何が原因だ何をしたってんだ」と八つ当たりしたい気分になる。癌になって以来、人間ってわかりやすくて、かつ、平均的な因果を求める動物だとつくづく思う。癌になったから貧血になる、とか、40代女性だからピロリ菌保有してた、とか。んで、安易な方法で解決策を求める。貧血だけど、コレを食べれば大丈夫。オールオッケー、とか、ピロリ菌飼ってたけど、もう排除したから大丈夫。オールオッケー、とか。考えてみれば、何だって、誰だってそうだ。…

  • 来年はタピオカのない世界が訪れるだろう

    術後は、体調不良に悩まされた。私はまあ、言うてもリサイズ(胃全摘出でなくて)しただけなので、そこまで酷くはなかったけれど、不意に、でもしょうっちゅう来る軽い貧血はしんどかった。薬を飲むほどではないし、大人しくしてるとすぐ治るのだけど、「あーそろそろ貧血になるな」という予想もままならずに不意打ちされ続けると、すごく疲弊する。「胃癌を取り除けたんだから、この程度の不調は仕方ないよなあ」って、だましだまし、不調と付き合ってきた。ところで、術後はまあ聞いてもいないのに、色んな人にいろいろな健康法を勧められた。病院やら、サプリやら、健康茶やら、整体やら、スピリチュアル的なもろもろやら、、見るからに胡散臭…

  • 疑わしきは罰す、それが医療の世界(胆嚢は冤罪によって処されました

    癌手術から1年1ヶ月。3ヶ月毎の検診を除けば、ふつうの生活と変わらない。アルコールもまあ、たまに飲む分には飲めるし。整体に通うようになってからは、立ちくらみもずいぶんマシになった。ほんと、あれが、たった1年1ヶ月前のことだなんて、、 1年1ヶ月前は、あんなに生きるか死ぬかってギリギリで、手術当日は、「あーもー、死んだらもう知るかww」くらい開き直っていたというのに。今じゃすっかり、健康ボケしてる。胃カメラ(麻酔あり)さえ怖いです。とはいえ、私が健康ボケしてようがしていまいが、再発率は変わらないわけで、ある日突然急落下する可能性だってあるわけです。 覚悟なんてのは、まあ、、宣告直後からすればよい…

  • 何事もなかったように突如更新する私

    胃癌の手術を受けてから1年と1ヶ月。無事、1年と1ヶ月経過した。ほんともう、あんなに大ごとだったのに、喉元過ぎればって奴で、、今はもう、普段は再発率が15%程度あることすら忘れてる。いやあ、人間って自分だけは大丈夫と思う動物っていうより、大丈夫と思ってないと人生が混乱する動物なんですよね。 あと、4年。4年逃げ切れば、便宜上、完治と言える。たまに、ごくたまにだけど、次の検診のときに再発が発覚したら、と、体がスッと冷たくなる時がある。ほんとに問答無用で、余命宣告される可能性だってあるわけだ。なんかね、胃癌というか、病気全般に言えるのかもしれないけど、寄生獣みたい。私の場合、胃だから「イー」ってと…

  • 胃癌(st1)あるあるなど2

    胃のサイズも当社比1/3となれば、まあちょっとした不具合くらいはあって当然だし、その「たいしたことないけどしょっちゅう胃腸不良になる」状態自体にも慣れた。「体調どう?」と聞かれて、ん?こないだのインフルのことかな、などと素で勘違いするくらいには。ただ、たまに過剰(私的に)に心配されることもある。枕詞のように体調を心配されたりすると、「大丈夫ですよー」と言いつつ、不安になったりする。あれ…?私、復活してるよね…?みたいな。そういう時に限って、「休職してのんびりしてさ、ストレス溜めない方が良いんじゃない」なんて、ぐうの音も出ない正論を言われるものだから、焦る焦るwそりゃそうなんだけどさー…。心配し…

  • 胃癌(st1)あるあるなど

    術後4ヶ月もすると、胃癌だったことなぞすっかり忘れてしまっている。2〜3ヶ月ごとの検診もデフォルトになって、特筆することもないというか、特筆するような事態(再発)を一番恐れてるんだけど、私のなんてことない日常を読んでくれてる人がいるので、コッソリ、更新していこうかなと思います。今でこそ「癌になる」というのは「花粉症になる」レベルでよくあることだと認識してるのだけど、ついこの間までは、それはもう余命宣告のようなものだった。実際、病理が重ければ余命宣告コースだったわけで、st1だと判明するまでは、確かに死の気配を身近に感じていた。「生命は生まれた時から死に向かっている」ていうのはその通りなのだけど…

  • 3ヶ月ぶりのガガガ検査

    退院後の3ヶ月検査に行ってきました。久しぶりの病院は、なんか懐かしかった。「あーそうそう、放射線科行くときいっつも迷ってたっけ」「造影剤の注射は1回は失敗するのがお約束」「CTスキャンはいつもガガガガガってうるさかったなあ」癌発覚当時は重苦しい気分を引きずりながら院内をさまよってたけど、なんだか感慨深くさえあった。久しぶりに先生に会った。相変わらず優しい感じで「良かったですね、心配ありません」といってくれて、心がじんわり暖かくなった。病院帰り、入院中に病室の窓から眺めていた港のそばを通った。あと5年。あと5年、これを繰り返す。先は長いけど、あの「心配ありません」を聞き続けられますように。 ↓読…

  • 癌とタバコと

    私は喫煙歴20数年で、人生の半分はタバコくわえてたわけです。妊娠・授乳中は禁煙してたけれど、癌になっても結局手術前日までは喫煙してた。喫煙者はみんなそうだと思うけど、実際に癌になるまでは「喫煙は癌になる可能性を10%高めます」て言われたところで響きゃしないわけで、、。そんな微妙な数値で禁煙しようと思うくらいならハナから吸ってないし。でも胃癌になって、生存率とか再発率とか、客観視できる根拠が数値しかないと実感して以来「10%の重み」みたいなものを、こう、手に取れそうなくらいに感じるようになった。私が5年後も、生きていられる確率は96%くらい。私が5年後も、再発せずにいられる確率は85%くらい。禁…

  • 映画:古今東西ゾンビ映画

    映画にしても何にしても「いちばんにやった奴が偉い」のは当たり前なんですけど、ゾンビ映画で言えば「いちばんに作った奴」はロメロ監督になるんでしょうか。そもそものゾンビの元祖は、病人だったり密教だったりするのかもしれませんが、「コミュニケーション不可、視力聴力嗅覚あり。動きは不安定で、人間を食べる」つー設定を確立したのはすごいですよね。ところでゾンビといえば「なぜ人間を食べるか」「噛まれてどのタイミングでゾンビになるか」というテーマには各説あると思うけど、私の中では「欠損パーツ補填説」で決着がついてます。欠損パーツ補填説とは、ざっくりいうと、「ゾンビ(死人)後は体が腐って欠損していくため、同成分で…

  • 食事情その2

    術後3ヶ月も経つと体内配置も安定してる。食生活に不自由はなくて、ごくたまに逆噴射するくらい。肉も野菜もパンも、大福とか甘いものも普通に食べてる。でも一応、消化に良さそうなものを食べるようにはしてる。なんか脂っこい肉とか、野菜でも根菜とか、そういう消化に時間がかかりそうなものを食べると、小腸にくるんですよね。術前までは胃にもたれてきてたんだけど、今は腸にくる感じ。さすがに「小腸の中を未消化物がウゴウゴしてるのがわかる」ってほどじゃないけど、胃じゃないどこかがもたれてる感じ。今まで小腸の動きなんて気にも止めてなかったけど、胃が小さくなってからは、痛くなるのも消化不良おこすのも硬くこわばるのも、全部…

  • 食事情その1

    もともと肉と豆と野菜中心の食生活だったし、生前の母からは、遺言のように「タンパク質を食すべし」と繰り返されてきたので、術後の食生活もそんなに変わることはなかった。術後すぐの頃は、栄養士さんに言われた通りの食材を調理していたけど、だんだん自己流に戻ってきた。八百屋とスーパーを回って、なんとなく緑系の食料が一番多い感じに買ってきて、緑・黄緑・白・赤(肉)or青(魚)に差し色(オレンジとか紫とか)を、ごちゃっと混ぜて料理してる。なんかこう…。全体的にごちゃごちゃ感があるんよね、私の作るものって。炊き込みご飯は、コメに対する具材の比率が1:1だし味噌汁は、もうそれ汁じゃなくない?てくらい具材てんこもり…

  • ドラマ:死霊のはらわたリターンズ

    監督:サム・ライミcast:ブルース・キャンベルレイ・サンティアゴダナ・デロレンゾあらすじ:あれから30年。酔ったはずみでうっかり死霊たちを復活させてしまったダメ中年・アッシュは、新たな相棒たちとともに、チェーンソー片手の血みどろバトルを繰り広げる。海外ドラマも好きです。映画「死霊のはらわた」は別に好きでもなんでもなかったんですけど、このリターンズときたら…!!もー好きな海外ドラマベスト3です。あとは2つモンクさんとブレイキングバッドです。アッシュのダメな中年親父っぷりも本当に好きなのですが、あとのふたりのキャラも良くって、リターンズ2でパブロが死んだときはマジで泣きそうになりました。それから…

  • 長寿遺伝子 vs 癌遺伝子

    母の癌が発覚した時は、すでにst4だった。詳しいことは知らない。というか、母自身「ああ、末期癌ってことは長くないってことね」という理解があれば、詳細はどうでもよかったんだと思う。私はもともと見た目も体質も母似なのだけど、引き継ぎついでに、40〜50代で癌になる遺伝子も引き継いだもよう。まあ、二人とも喫煙者だったことも関係あるとは思うが。反して父は、超・長寿家系。爺ちゃん婆ちゃんとも100歳近くまで元気で長生きしてくれたし、父方の親族はみんなマジで元気。「癌ってなんぞや」てくらいみんな元気なので、私の胃癌なんか、ほんとにめちゃくちゃ心配してくれた。再発の可能性がある今、ここへきて、その長寿系遺伝…

  • 露骨にウイルスに舐められる

    たまにズンと落ち込むものの、普段は、ほぼ術前と変わらない生活を送ってる。まあ、胃のリサイズをしたくらいのものなので、再発さえしなければ実際大したことないんだと思う。ただ、本当に風邪をひきやすくなった。ウイルスから見ればカモネギというか、「あいつ、胃が小さいから狙い目」みたいになめられてるんだろう。術後3回くらいは風邪ひいた。年始は子供にインフルもらったので、正月駅伝は、急患の待合室で見る羽目に。術前までは、家族が全滅しても私だけはインフルにかからなかったのに…。とはいえ、発熱39度で買物行くっつー発想は胃癌あるあるだと思う。(胃癌にくらべたらインフルごときwと思ってしまう)↓読んでくれたら嬉し…

  • 「ベイビー地獄で会おうぜ」

    40代日本人女性、ピロリ菌持ちからの胃癌st1。胃の2/3を切除、ついでに胆嚢も。術後の5年生存率は96%、再発率は15〜6%。胃癌の教科書があれば、3ページ目くらいに出てきそうな、それくらいよくある病例。そんな自分の状態にはとっくに慣れたし、普段は忘れてる。たまに、そういえば私5年後無事でいられるのかなって思うくらい。術後、2ヶ月ちょっと。いろんな感情やら体調やらを含めて、胃癌だったことにはすっかり馴染んでる。ただ、置いていくことのできない荷物を抱えてる気分なのだ。「生きてるだけで〜〜」って書いたような罪悪感も、それから、もし、この先余命宣告されるような事態に陥ったとして、「みっともない死に…

  • 胃の仕事量に比べて小腸ときたら…

    胃が1/3残ったおかげで、体の回復は早かった。術後2週間くらいは食事のたびにグロッキーになったりしていたけど、それも徐々に少なくなった。普通の和食ならだいたいOK、オイル系パスタとか揚げ物は、術後2ヶ月以上経った今でも、ちょっとヤバめ。たまに、冷たいものを勢いよくあおったりすると反射的に逆噴射しそうになるけど、1/3の胃はがんばってくれている。それにしても、今さら私が言っても仕方ないのだけど、人体の構造的に小腸に比べて胃の負担が大きすぎるんじゃないかと思う。小腸はゆっくりゆっくりと栄養を吸収するので、身長の3倍くらいの長さなのです。って、ちょっと、盛ってんじゃないの。もう少し吸収力をあげて短め…

  • 映画:ジャスティス・リーグ

    監督:ザック・スナイダーcast:バットマン(ベン・アフレックスーパーマン(ヘンリー・カヴィルワンダーウーマン(ガル・ガドットフラッシュ(エズラ・ミラーアクアマン(ジェイソン・モモアサイボーグ(レイ・フィッシャーあらすじ:DCコミックのヒーローたちが集結。強大な敵を前に、一匹狼の彼らがチームとなって熱い戦いが始まる。 マーベルのアベンジャーズはどうにも、どうみてもコスプレ大会なのとアイアンマンがぐいぐい出てくる感じがどうにも、アレだったんですけど、もーこれは好きです。バッドマンとかアイアンマンって所詮人間じゃないですか、キン肉マンで言えばジェロニモじゃないですか。それをチーム戦で俺が俺がって出…

  • 新年早々、内臓霊のはなし

    「胃潰瘍でさ、ちょっと胃の検査に行ったら胃癌が見つかっちゃって。なんかね、40代から多いんだって、そういうの。胃潰瘍から胃癌が見つかるの。でもst1だから、切り取って5年再発しなかったら一応完治なんだって」胃癌になって、いろんな人に自分の病状を説明するとき、こういう言い方が一番サラッと伝えられる気がする。とはいえ、相手の反応はバラバラだ。同年代〜年下は、癌に馴染みが薄いので、本当にビックリされる。まあ逆の立場でもビックリすると思う。同年代〜年上だと、まあ、ある程度病気なれしてるので「まあ、st1なら大丈夫なんでしょ」て感じだ。こういう反応は、こっちとしてもラクだったりする。一番斜め上だったのが…

  • 映画:凶悪

    監督:白石和彌cast:山田孝之、ピエール瀧、池脇千鶴、リリー・フランキーあらすじ:ジャーナリスト藤井の元に、ある凶悪事件の死刑囚・須藤から手紙が届く。面会に訪れた藤井は、須藤自身の余罪とともに、隠されていた首謀者の存在を聞かされる。その首謀者は、「先生」と呼ばれる男だった。 元になる実話があると思うとひたすら胸糞悪いのだけど、映画としては良作です。山田孝之パートでモタつくものの、スピーディな展開にぐんぐん引き込まれます。あと、見た人全員が思うであろう、キャスティングの秀逸さよ。ピエール瀧も良いのだけど、リリーフランキーの「致命的に良識と良心が欠落した人間」ていう先生のキャラが、妙にリアルで……

  • なんということでしょう。下腹部がタヌキです。

    退院して、ムリしないように日常に戻っていった。ダンピング症状もあまりなかったし、体も動かせるようになった。傷は痛いけど、まあ術後初日の激痛に比べたら、かすり傷みたいなものだ。下腹部の違和感を感じたのは、退院初日の夜だった。これは本当に、なんと表現すればいいのか、、こう、下腹部周辺が、重力に従ってだるんと垂れているのだ。筋肉が落ちたとか、そういう感じでもない。こう、本来股におさまってるものが、モロン、と、、思わず吹き出したけど、笑ってる場合じゃない。痛みはないけど、明らかに股間に何かがある。「何かあったらいつでも来院してください」とは言われたけど、なんて言えばいいのか。「胃癌 股間 垂れる 術後…

  • 退院の日。久しぶりにアパートの畳の匂いを嗅ぐ

    手術の前日に入院して、術後きっかり10日で退院した。10日ぶりのシャバはあたりまえだけど、何も変わってなかった。入院の時に着てきたコートがほんのすこし肌寒かった。私の胃が10日前より小さくなったってだけ。もしかしたら5年後、私が生存してないかもしれないってだけ。胃癌を告知された時はあんなに動揺したっていうのに、客観的に変わったのはたったそれだけ。夫は仕事で子供も幼稚園だったので、ひとりでのんびり帰宅した。久しぶりのアパートの部屋は、まあ仕方ないけど若干荒れていたので、ざっくり片付けて掃除する。畳にゴロンと横になって、深呼吸した。癌になったけど、とりあえず切り抜けられた。ほっとしたし、それなりに…

  • 映画:動物世界

    監督:ハン・イエンcast:リー・イーフォンチョウ・ドンユイマイケル・ダグラスあらすじ:友人に裏切られ多額の借金を背負ったカイジは、謎の組織に捕獲され逃げ道のないギャンブル船・エスポワールへ乗船。騙し合いと駆け引きが明暗を分ける「限定ジャンケン」に挑む。 退院した日にネットフリックスで見たのがコレ。別に面白くないならそれでも良いし、なんか派手なやつが見たかったんです。退院記念に。端的にいうと、圧倒的良作…!!原作と違って、カイジがえらくイケメンな理由(病気の母とか大事な幼馴染とか)でエスポワールに乗るんだけど、でもまあそんな好青年エピソードはどうでもいい。とにかく、映像がエキセントリックで緩急…

  • 胃癌(st1)の生存率と再発率を医師に聞いてみた

    ネットやら専門書やらで調べたけど、「胃癌手術後の5年生存率」という統計はあっても「再発率」のエビデンスは見つけられなかった。数十年にわたって術後患者の動向を追うだけでも大変なので、生存状態まではデータ化してないのかもしれない。(私が探しきれなかっただけかもしれません)どうしても気になったので、退院前日、主治医に「再発率の割合」を聞いてみた。その時の主治医の答えは、「5年後に亡くなってる人はつまり再発したということ。ただ、再発後、治療して生存している人は亡くなってる人よりも多い。亡くなってる人の割合が4、5%なら、それに+10%くらいの割合が再発&生存と考えられる。さらに、このデータ自体が10年…

  • よくあることなら大抵のことには慣れる

    入院する時、4人部屋を選んだ。スペースはゆったりしていたし、子供と夫がたまに寄るだけだったので、ひとり過ごす分にはちょうど良かった。病室のカーテンは防音効果ゼロなので、同室の患者さんの病状はなんとなく聞こえてきた。私より若い患者さんもいた。私の入院中、入れ替わっていったけれど、癌じゃなくてもみんなどこかしら悪かった。看護師さんたちは毎日、患者の状態の引き継ぎをしていて、何人かの看護師さんがローテーションで私の傷の具合、血圧などを記録していった。体調が良い日は、病院1Fの癌情報コーナーに行って、専門書を読んだりした。1Fのロビーは、相変わらず人が多かった。1週間以上も病院で過ごしていると、多かれ…

  • 廃液とトネガワと回復していく体

    胃を切ると傷口の周辺から廃液がでる。それを管から体外に排出していくのだけど、この管は退院ぎりぎりまで抜けなかった。「もう止まってきてもいいんですけどねー」と言われつつ、ダバダバなので、管を抜いて穴を塞いでもらった。ところでこの廃液だけど、なんていうか、、色が、逆に綺麗なのだ。すごくビビッドっていうか。ものすごく気持ち悪いのだけど、こっそりグラスに入れられてフルーツジュースて言われたら絶対飲む。それくらい綺麗な色。しかも、日替わりでオレンジだったり柘榴だったりする。術後1週間。しょうもない想像をできるくらい、私の体は回復していった。↓読んでくれたら嬉しいです(*´Д`*) にほんブログ村 4コマ…

  • 生きてるだけで丸儲けなんて思えない

    2018年秋、st1の胃癌になった。 この、私ことかせんの「かせん癌事件」は、私と私の周りにとってはスクープだったのだけど、他人にとっては違う。いつぞや、どこかのダムの迷い猪がニュースになったけど、あの手この手で逃がそうとする密着報道も、さすがに3日以上経った日にゃ「知らねーよ食っちまえよ」と大多数の日本国民が思ったであろう。私の癌事件も、その猪事件さながらです。でも、私が今さらその癌事件を、わざわざ不特定多数の人に公開してるのは、事件の顛末じゃなくて、事件後の思いを誰かに聞いてもらいたいからなのだと思う。ちょっとずつ書いていきたいので、読んでくれたら嬉しいです。 癌になるまでもなく、誰だって…

  • 胃「今日も休み?」腸「今日も休み?」私「米汁(十分粥)いきまーす」

    術後5日から、流動食が始まった。お湯に、米やら味噌やらを溶かした生ぬるい汁をすすると、身体中からぶわっと汗が出た。胃と腸がパニック起こしてるのがわかる。「無理せず残していいですよ」という看護師さんの言葉に甘えて、半分残す(美味しくない)。ケミカルな味のする栄養補助飲料を、時間をかけて飲みこんだ。幸運なことに、胃痛はあっても逆流症状や吐き気がなかった。退院してからも、ダンピング症状に悩まされることはなかった。消化器官というか、体質的なものが大きいのだと思う。食事内容的には、もともと淡白で薄味なものが好きだし、毎日自炊なので不自由を感じなかった。↓読んでくれたら嬉しいです(*´Д`*) にほんブロ…

  • 映画:ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

    監督:トーマス・ヤーンcast:ティル・ジュワイガーヤン・ヨーゼフ・リーファースあらすじ:病院で偶然同室になったマーティンとルディは、共に余命短い末期患者だった。ふたりは病室で葉巻を吹かしながら、どうせな死ぬ前にら海を見ようと意気投合。病室を抜け出して車を盗み、死に向かってひた走っていく。 癌になって思い出したのが、昔見たコレ。「死ぬ前にしたい10のこと」の男版ロードムービーです。(または「コーヒー&シガレット」に次ぐ禁煙なんてやってられっかムービーです)こっちもお伽話っぽくて好き。男版は、死ぬ前の欲求がすごくわかりやすいというか可愛げあるというか。どうせ死ぬんだし海見ようぜー女と寝ようぜー。…

  • プレゼント・ニュー・ストマック!!

    術後2日。痛みのピークが過ぎる。初日、あれがほんとに山場だった。3、4日と過ぎると、痛みはまあきついけど動けるようになった。脊髄の管(麻酔用)が抜け、左手の甲の点滴も抜け、私は少しずつ身軽になっていった。3日ぶりに看護師さんに髪を洗ってもらった。嗅ぎ慣れたシャンプーの匂いに、胸がいっぱいになった。ああ、日常が戻って来たんだなって。家族と仕事先、2人の友人には状況を伝えた。すごく心配してくれてありがたかったのだけど、お見舞いは遠回しに断った。誰かが私のことを気にかけてくれてるというだけで、充分だった。ところで入院中に誕生日を迎えた。5年前は、母(癌。鬼籍)の病室で迎えたし、去年は、子供(気管支。…

  • そりゃあ胃を切ったけど、こんなに痛いもんかね

    術後初日。もうろうとしてた意識がはっきりしてからが、まあきつかった。どこが痛いですっていうレベルじゃない。もう、どこもかしこも痛い。まず元凶の切り貼りされた胃が痛い。腹腔鏡差込口×5箇所が痛い。横腹から出た管(ドレーン)が痛い。寝すぎて首も肩も腰も痛い。動かしてもじっとしてても痛い。唇はカッサカサ。なんか関節も痛い。全然関係ないひざも痛い。なぜだ。あと、手術の2、3日前に風邪をひいてたのだけど、コレがほんとうに曲者。咳をするとめちゃくちゃ痛い。くしゃみも痛い。そもそもあくびしても痛い。もうどうしろと。唇は相変わらずカサカサだし。「風邪とかいまさらwこっちは癌だっつーの」と馬鹿にしきってたのが悔…

  • 生還

    目が覚めた時、薄暗い病室で寝ていた。医師も看護師も、待ってくれていたはずの家族もとっくに引き上げていて、窓の外が真っ暗だった。ちょっと混乱した。というか、痛い。体が痛い。唇カッサカサ。口の中の水分吸い取られてるんだけど。私リッツでも食べた?たまに来てくれる看護師さんに、時間を聞こう時間を聞こうと思っていたのだけど、浅い眠りを繰り返して、何も聞けないまま朝を迎えた。後日聞くと、手術は9時間くらいかかったそうです。胃と胆嚢を切り取って、胃から腸へのルートをつなぐ。それから切り取った臓器周辺の癌細胞検査、転移の可能性があった肝臓のレントゲン検査もすべて終了して、ちゃ、ちゃ、と6箇所の傷を塞ぐ。アクロ…

  • 映画:もののけ姫(病室にて)

    入院3日目に、金曜ロードショーで久しぶりに鑑賞しました。 設定が複雑で置いてけぼりになるけど、まあ、雰囲気で追っていきました。ナウシカもだけど、もののけ姫の登場人物たちも、みんなすごい自己主張してくるなー。もっとこう、人(動物)の話聞けないもんかね。「人間たちが攻撃してくるから応戦してるだけ」っつー狼が一番共感できるわ…。だいたいね、人の話聞かないから、争いごとがどんどん大きくなって無駄に大勢死んで、生き残りが少なくなったらちょっと静かになって、したり顔で「またイチからやり直しましょう」って、自家発電おこすんでしょう?術後の腹痛を抱えながら見たので、すごく大人気ない感想になりました。 にほんブ…

  • 手術の日

    手術当日。これで私の胃に棲みついた癌は、胃の2/3と周辺リンパ節、胆嚢を道連れに、きれいさっぱりなくなるはず。再発やらなんやら心配事はまだまだあるけど、とりあえずこの手術が終われば、すこし前に進める。放心したような気持ちで手術台に寝そべった。手と背中に点滴の管を通され、心電図をぼんやりながめる。ブレーカーが落ちたように、唐突に意識が飛んだ。 にほんブログ村 4コマ漫画 にほんブログ村 胃がん

  • さよならスモーキングライフ

    入院前日。検査ラッシュのさなかは感情も忙しかったのだけど、とりあえず手術の余地はあることがわかってからは、気持ちは落ち着いていた。明日から入院、手術だと思うと、やっとあやふやな状態から解放されるという安堵があった。じりじり待つのはもうごめんだった。夜中眠れなくて、なんとなくアマゾンで子供の新しいスニーカーを買ってみたりした。本当にどうなるかはフタ(腹)を開けてみなきゃわからないけど、幸運を祈ってボストンバッグに中間管理職トネガワの新刊を入れておいた。手術が終わって、呑気にトネガワなんぞが読めますように。 にほんブログ村 4コマ漫画 にほんブログ村 胃がん

  • デロリアンに乗りながら

    胃癌告知からの、怒涛の検査ラッシュ。初めてのMRIは、ちょっと面白かった。音も光もにぎやかで、なんか20年前のSF映画みたい。音質の悪いヘッドホンからクラシックが聞こえてきたけど、いっそのことバックトゥザフューチャーのテーマでも流せばいいのにとか思ってた。うん。現実逃避です。そして相変わらず、死への恐怖→この世への未練→投げやり の、ローテーションはまわる。気持ちが麻痺したところをみはからって動く。「死ぬ前にしたい10のこと」の映画のように、やっておきたいことをリストアップした。検査結果によってはハードモード(手術の余地なし)もありうるけど、とりいそぎ、ノーマルモード(手術の余地あり)と仮定し…

  • 映画:死ぬまでにしたい10のこと

    監督・脚本:イザベル・コヘット製作:ペドロ・アルモドバルcast:サラ・ポーリースコット・スピードマンデボラ・ハリーマーク・ラファロアルフレッド・モリナあらすじ:23才のアンは働きながら、夫と2人の娘とトレーラーハウスで暮らしていた。貧しくも幸せな暮らしの中、癌が発覚。突然、余命2ヶ月を宣告される。手のほどこしようのない病状を受け入れたアンは、病気のことを誰にも打ち明けず、「死ぬ前にしたい10のこと」を一つずつ叶えようとしていく。ペドロアルモドバル大好きです…!!「神経衰弱ぎりぎりの女たち」が一番好きだけど、一番衝撃受けたのは「トークトゥーハー」です。で、これ。「死ぬ前にしたい10のこと」。製…

  • 真綿で首を締められるような

    舞台が総合病院に移った。初めての診察は、まあ、内科で言われたことと同じ。全身検査をして病状を確かめつつ、癌の発生箇所が胃だけなら2/3の摘出手術をしましょう、という流れ。冷静にしてたつもりが、不安で不安でやっぱり涙ぐんでしまう。先生は優しく、なんでも話してくださいと言ってくれた。これから数日かけて検査する、、ということは、st1なのか4なのかわからない状態で、じりじりと結果待ちするということでもある。余命宣告されたいわけじゃ全然ないけど、この「どうなるかわからずに待つしかない状態」てのは、本当にきつい。単純な死の恐怖と、この世への未練(おもに子供)と、もー知らんという投げやりな気持ちが、ローテ…

  • 爆弾投下

    診断は、やっぱり胃癌。しかもスキってた。(スキルス性)いちばん知りたいのはその先なのだけど、開腹してみないと、正確なstとレベルはわからないとのこと。ただ、大きな病院で精密検査をすれば予測はつけられると。結局その日は、はっきりしたことは何もわからず。紹介状を用意してくれて、翌日朝一に診察を予約してくれた。院長先生はすごく優しくて、うつむいて涙ぐむ私に「私たちは完治を目指しますから」と言ってくれた。その頼もしい言葉を胸に、なんとか気を落ち着けると夫と仕事先にラインした。明日からちょっと病院に通います。ちなみに胃癌です。サラッと、なるべくサラッと、軽い感じでラインしたつもりだけど、「胃癌」という単…

  • グーグルの検索履歴が一気に禍々しくなった

    来院の日。電話の時点で胃癌なのは明らかなので、これからのことを決めなきゃならない。一夜漬けでひととおりググってみると胃癌の場合、ざっくりと初期癌はイージーモードst1〜2はノーマルモード(スキルス性だとちょっと難易度高め)st3以上はハードモードて感じ。余命でいうと、私が40なので、3〜40年。めっちゃ振り幅広い、広すぎ。いくらググったところで、予測もできない。「よくわかんないけど、胃癌」と言われても夫も困るだろ、てことでとりあえず情報をもうすこしもらうまでは、黙っておくことにする。ところで私には5才の子供がいる。だから、取り乱すな。冷静に。落ち着け。ひたすら自分に言い聞かせながら診察を受けた…

  • 「悪いもの」

    内視鏡検査から10日。ほんの束の間の平和が脆くもくずれたのは10月3日だった。仕事中、知らない番号から電話があった。その時私は、タバコを吸いながらスマホでラインか何かを見ていた。慌てて電話に出ると、内科の院長先生からだった。もうこの時点で嫌な予感しかしない。「突然の電話ですみませんね」と、おもねるような優しい声で言われた。「先日の内視鏡検査の結果ですが、、生検の結果悪いものが見つかりまして。早急に、明日にでも来院できますか?」悪いもの。悪いものて。もうそれ癌以外になんかあんの?できればご家族にって言ってるし…。(告知程度なら一人で受診してもOKのようです)とにかくお礼を言って電話を切ったけど、…

  • 胃癌確定の日

    2018年の春に、市の癌検診に行った。母が末期の癌で亡くなっていたし、40才になって、こう、自分の身繕い?というか、一度自分の状況整理をしておこうと思ったのだ。検査結果は白。ほっとした。40才もがんばっていこうって思ったのが、5月のことだった。今年の夏は暑かった。ほんっと猛暑だったし、在宅仕事もまあまあ忙しくて、子供が寝てから明け方までパソコンを触ってる日もあった。慢性的に寝不足&不摂生。あと、暑い。8月頃から胃痛が続くようになった。市販薬じゃ手に負えず、やむなく近くの内科を受診したのが9月だった。胃炎にしては胃痛の期間が長いってことで、胃の内視鏡検査(麻酔あり)をすることに。内視鏡検査の結果…

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