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2018/12/01

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  • ときどき旅に出るカフェ

    世界各国のスイーツやドリンクを味わえるカフェ・ルーズが舞台の『ときどき旅に出るカフェ』。日本人の口に合うもの、けれど出来る限り異国の味を伝えられるように、というコンセプトで店主の円(まどか)が作るスイーツは食欲だけではなく好奇心が刺激される。その国風に姿を変えたお料理はひとつの文化であり素晴らしいものだと思う。でもカフェ・ルーズのような店があれば、円の元同僚の瑛子のように、足繁く通って未知の味にチ...

  • ダブル

    予想もつかない意外な展開、というわけでは無いけれど、ミステリーを読む醍醐味、これからどうなるんだ??というスリルを味わいながら読めました。2人の心理的駆け引きと物語の展開が話の軸となっていて、登場人物それぞれの想いはわりとあっさり描かれている。さらりと読めるけれど、登場人物たちの心に思いを馳せるとじんわり来たりざわっとしたりする。お互いに疑いながら惹かれ合う乃々香と多恵。ごくふつうの、親近感を感じ...

  • 白銀の墟 玄の月

    十二国記はどの話も、胸にぐっと迫ってくる。その中でも、最も待ち望んでいた戴国(たいこく)の話の続き。最初はもったいなくて少しずつ読んでいたけれど、ラストに向かうにつれ、どうなるんだー!と一気読み。読む前から、きっとそうなるなーと思っていた通り。『白銀の墟 玄の月』(しろがねのおか くろのつき)は、予想していた通り重たくて、辛くて、それでも希望がある物語だった。十二国記の最初の物語『月の影 影の海』も...

  • ・からまる ・眠りの庭

    千早茜さん、『魚神』以来、久しぶり。2冊続けて読みました。『からまる』 あれ、千早茜さんてこんなんだっけ?というのが最初の印象。 『魚神』は最初から最後まで妖しく美しい世界のイメージだった。 『からまる』は、登場人物たちの夢の情景などの 美しくも不穏なイメージから入って行って、 あ、こんな感じだったな、と読み進んでいくうちに、 その妖しい世界はあくまで登場人物たちの 生活のほんの一部であることが分...

  • きりこについて

    きりこは、ぶすである。なかなか衝撃的な一文で始まる物語。読み進むにつれ、きりこが、周囲の人が、きりこの愛猫ラムセス2世が、たまらなく愛おしくなる。自分で自分をぶすだと思っていなかった、きりこ。きりこが自ら気づくことができた物の見方こそ、物事の真実、本質、だと思う。「うちは、容れ物も、中身も込みで、うち、なんやな。」「今まで、うちが経験してきたうちの人生すべてで、うち、なんやな!」言葉にすれば単純...

  • 嘘ばっか

    佐野洋子さん。童話でもどことなく、話も挿絵もシュールで毒があって、そこに子供の頃から妙に惹かれてた。小学校の教科書に載っていた「おじさんのかさ」とか、友だちの家にあって行く度に読んでいた「100万回生きたねこ」とか、いい子になってね、って意味合いがまったく感じられない、毒があるけど愛もある物語が印象的。「嘘ばっか」はその最たるもの、毒のある童話の集合体。昔話を佐野洋子さん風にアレンジしたもの。佐野洋...

  • 蜜蜂と遠雷(みつばちとえんらい)

    クラシック音楽はまったく知らないし、登場人物たちのように情熱を傾ける何かがあるわけでも、音楽の才能があるわけでも無い。そんな人にも、ピアノコンクールを舞台にしたこのとびきり厚い小説を面白く読ませる恩田陸さん、すごいな、と思う。演者それぞれの演奏の違いが言葉で見事に表せている。クラシックは知らなくても音楽を聴くことは好きなので、彼らの演奏を聴いてみたくなった。天才、と呼ばれる若者たちの心情には、なる...

  • 笹の舟で海をわたる

    主人公の左織と、不思議な縁からその義理の妹となった風美子。2人は戦中に生まれて疎開を経験し、その後の日本の移り変わりを体験してきた女性たち。今の時代から見ると左織は考え方が古臭く、周囲に流されてきた女性、という印象だ。対して風美子は力強く、欲しいと思ったものを勝ち取っていく女性。現在の女性からすると手本とすべきは風美子であり、左織はひと昔前の女性…という単純な図式だけで表せるものだろうか、となんとな...

  • ジャンプ

    失踪なんてちょっとした歯車の掛け違えで起こるのかもしれない。「人生なんて簡単なことで変わってしまう」というテーマには心を揺さぶられた。…なんだけど、どうにも主人公が好きになれないんだよなあ。山本文緒さんの解説「この物語の主人公・三谷に感情移入できるかできないかで、共感派と反発派に分かれたようだ。」私はできなかったほう。付き合いたての彼女、みはるが一晩帰って来なかったのに出張に行き帰ってからも出社し...

  • ふる

    今まで読んだ西加奈子さんの小説は登場人物がかなり個性的、現実にはなかなかいないだろう、という強烈なインパクトの持ち主たち。(そんな人々でも、どこかほんの少し自分や周りの人々に似ているところがある気にさせられるんだけど)『ふる』の花しす(かしす)は、不思議なものが見える人。西加奈子さんが書きたかったという“いのち”にほかの人より近い人。だから自分とは明らかにちがうんだけど、彼女の人との関わり方は、こん...

  • あひる

    3編を読んで、望遠鏡を覗いているような気持ちになった。なかなかピントが合わない望遠鏡。覗いているうちにふと、くっきりした情景が見えてくる。それは知らない誰かの日常。淡々とした中に起こる、経験したことは無いはずだけど、どこかで似たような思いを味わったことがある気がする、そんな情景。見ているうちにまたピントが合わなくなる。登場人物たちがどうなるか全く分からないまま、ふっと情景が切り替わる。あ、終わりか…...

  • 授乳

    村田沙耶香さん、初。3つの短編はみな、若い女性が主人公。話自体はわりとグロテスク、嫌悪感を感じてもおかしくない。なのに私はするすると、何が起こるんだろう…とドキドキしながら読んでしまった。嫌悪感を感じる小説もあるのに、どうしてだろう。3人の主人公は皆、自分自身の内なる世界を守ろうとして外界を拒絶している。自分以外の他者に対する嫌悪感、そして、理解できないがゆえの恐怖、がある気がした。彼女たちは自分が...

  • 俵万智:史上最強の三十一文字

    思えば「サラダ記念日」には驚いて、短歌(みたいなもの)を作ってみたこともあったなあ…そこから趣味になる、というまでには至らなかったけど。最近また短歌に興味が出て来て、そこにこの大特集。やっぱり原点かも、と思って読了。収録されている数々のインタビューや評論を読んで、そうか俵万智さんの短歌の特徴はその明るさ、人生に対する肯定感にあるのか、と納得した。淋しさや苦しさをも含み、根本的に人生に対しすべてを前...

  • 神様

    9つの短編が入った川上弘美さんの『神様』。そのお話はどれも、ちょっぴりヘンなものがごく普通に、日常の延長として淡々と受け入れられている不思議世界、という感想。川上弘美さんのほかの小説にも感じられるこの何でも静かに受け入れていく感じ、それまで自分の周りにあるものとは少しちがっていても自身の一部としてさりげなくしっかりと受け止める感じ、好きだ。考えてみれば、私が本を読む理由はそこにあるのかもしれない。...

  • 村上海賊の娘

    本屋大賞、吉川英治文学新人賞ダブル受賞の和田 竜さん『村上海賊の娘』主人公は戦国の世に瀬戸内海を席巻した村上海賊家、中でも村上家の名を世に知らしめた村上武吉の娘、景(きょう)。自分の腕に自信満々で実際それだけ強くて乱暴者の姫様、でも素直で飾らなくて、実はとってもロマンチスト…というのが、物語の最初の頃の景の印象。景の父親がそう思っていたように、最初の頃の景は二十歳と言えどまだ子供、という感想。しかし、...

  • 白いしるし

    バイトをしながら絵を描いている夏目。その恋はいつでもまっすぐで激しい。32歳になった彼女は、これまでの中でもとびきり激しい恋をする。ほとんど狂気とイコールである恋を。西加奈子さんの小説は何冊か読んでいる。共通して、登場人物の性格が極端で現実味には少々欠けるかもしれない、という印象。けれど、彼らのどこかが、自分やよく知っている人のある部分を思い切り強調したもののように思える。ふだんは自分の目にすら触れ...

  • 12星座の恋物語

    星座による運勢ってつい見ちゃう。良ければ喜んで悪ければちぇって思って、そしてわりとすぐ忘れてしまう。星座占いは自分にとってそういうもので、星座による性格診断って、自分も周囲の人に関してもあんまりピンと来たことが無い。『12星座の恋物語』を読んだのは星座による性格占いに興味があったからではなく、角田光代さんが12星座×男女=24人の性格が異なる人の物語を描いていることが面白そうだったからです。予想通り、短...

  • 火花

    話題の『火花』、繊細で真摯で、どこか煌めきがある小説、という感想。理屈っぽくてよく入って来ないところはあるのだけれど、それは「この小説が」というよりも「この主人公が」理屈っぽい、という印象。主人公の徳永、こんなに難しいことを頭の中でこね回していたら苦しいだろうに…と思うけど、彼にとってはそれが自然なことなのだろう。真剣に命がけで何かを追及する、ということがどれだけ茨の道であるか。自分が思い描いてい...

  • 営繕かるかや怪異譚

    小野不由美さんの短編は『十二国記』シリーズなど短くても胸にずしんと残るものが多くて、そういう迫力を期待してしまう。『営繕かるかや怪異譚』、その点で少し物足りなく感じてしまった。面白くないわけでは全く無い。家に起こる怪異がそれを理解し想像力を働かせることによってさらりと解決する…という作りはなんとも奇妙で面白い。今より少し前の時代には怪異が身近なものとして存在したのだ、奇妙なことではあるけれどそれほ...

  • さくら

    西加奈子さんの『さくら』、色々な感想を読んでみると好き嫌いがずいぶんはっきりと分かれる物語のよう。優しくて暖かくて好き、という意見と、むしろ不快、という意見。自分は一読して暖かい気持ちになったので不快という意見を初めは意外に思った。でも、否定意見に納得できるところもある。登場人物の性格が極端でリアリティに欠ける、出来事があまりに悲惨すぎる、など。確かに…と思いつつも、私自身は『さくら』になぜか惹か...

  • 私のなかの彼女

    長い時をともに過ごしてきた和歌と仙太郎。それぞれの仕事へのスタンスがちがってくると同時に2人の生活と感情にもすれちがいが起こってしまった。角田光代さんの『私のなかの彼女』は女性である和歌の立場で書かれた物語だから、読了後すぐは和歌の気持ちで、仙太郎はひどい男、という感想だった。あり得ない誤解をし、傷つく言葉を投げ、あっさりと去って行った男だ、と。けれど、和歌は悪くない!とも言い切れない、もやもやと...

  • 地下の鳩

    アンソロジーの一遍として読んだ西加奈子さん、単独で読むのは初めて。夜の繁華街で生きる人々の物語である「地下の鳩」と「タイムカプセル」、少しつながっている2つの短編から成る『地下の鳩 』は初めて読んだ『東と西1』の「猿に会う」とはちがい、ギリギリで生きる人間の姿が少し毒々しく描かれている、という感想。きれいな表現じゃなくてちょっと気後れするけれど、「みっともなくても 情けなくても 後ろ暗くても たくま...

  • 東と西1

    『東と西1』は6人の作家さんが日本のどこかをテーマに描いた小説集。それぞれの「東」と「西」が描かれていて興味深い。しかし、とにかく奇妙で、ちょっと入り込みづらかった。いしいしんじ 『T』とにかく奇妙、としか言いようが無い。いしいしんじさん特有の深い優しさ、感じられないことも無いけれど、奇妙さが勝っていて大好きな作家さんだけに戸惑ってしまった。引き込まれるけれど、この話を最初に読んでいたらいしいしんじ...

  • 小さいおうち

    戦前に生まれ、その生涯のほとんどを“女中”として生きた女性、タキさん。彼女にとって最も懐かしい慕わしい、赤い屋根の“小さいおうち”で美しい奥様と過ごした日々を描いた手記が中島京子さん『小さいおうち』の中心となっています。タキさんが描く戦前から開戦直後の東京は、生き生きと輝いている。歴史を知る私たちは、こんなに呑気だったの?と驚くけれど、一般庶民はお料理やお出かけ、新しい着物や子供の受験、なんかに一喜一...

  • どこから行っても遠い町

    とある町の人々を主人公とした連作短編集。あるお話の登場人物がちがう話でも登場したり、少しずつ繋がっていてなるほど、ちがう角度から見るとこうなるのか…と興味をそそられる。『どこから行っても遠い町』の主人公たちはみな、平凡だ。ごく普通に、当たり前に日々を生きているだけ…なんだけど、他人から見るとちょっと不思議な秘密を抱えているように思える。けれど本人にとっては気が付いたらこうなっていた、という自然な姿で...

  • 丕緒の鳥(ひしょのとり)

    読んじゃうのがもったいなくて、ずっと積読しておいた十二国記の短編集、ようやく読了。十二国記の長編はその国の「王」を描いているけれど、『丕緒の鳥』の主人公たちは役人であっても国政には手の届かない位置にいる人々や、ごく当たり前の商家の娘…つまりはごくごく、普通の人々。ごく普通の彼らが、強く逆らえない存在である“国”や“自然”に対峙し、非力さを痛感しながらも必死に前を向いて生きようとする姿が胸を打ちます。以...

  • 七夜物語

    日常生活からふと異世界へ入り込み、冒険をして、帰ってくる。その間に少年少女たちは強く成長している…川上弘美さんの『七夜物語』は子供の頃に憧れた海外の童話を思い出させる、ロマンチックな雰囲気があるなあ、という感想です。そんな雰囲気がありながらも、主人公のさよと仄田(ほのだ)くんが暮らす日常は少し昔の懐かしい日本だし、彼らが冒険する「夜の世界」にもどこか日本的な緩やかさがありました。曖昧なものは曖昧な...

  • 千年の森をこえて

    表紙の絵や帯の言葉からふんわりほのぼのしたイメージで読み始めたら、最初からちょっと暗くて緊張感溢れる雰囲気でちょっと予想外、という感想。でも、千年の森で起こるできごとやそこに息づくものたちの不思議な怖さ、美しさにいつの間にかもっと見ていたいような気持ちになっていきました。キャシー アッペルトさんの『千年の森をこえて』に登場するのは、愛を知っている、犬と猫たち。愛を歪めてしまった、古くから生き続ける...

  • アカネちゃんのなみだの海

    子供のころ読んだ「モモちゃんとアカネちゃん」シリーズ。最初の「小さいモモちゃん」はほのぼのとかわいかったけど、巻が進むに連れ、重くて暗いできごとが描かれるようになっていって。でもそんなできごとも、悲しいだけではなく希望があるものとして、静かに優しく語られている。だからこそその重みがじんわりと心に沁みていく、そんな感想をずっと持っていました。モモちゃんシリーズ、最終巻が20年も!前に出ていたのを知って...

  • 麦ふみクーツェ

    いしいしんじさんの物語には、いつだって優しさがあふれている。その優しさは、大切なものを失う悲しみや、それでも立ち上がり歩いていくたくましさ、自分が自分であることの苦しみ、喜び、そういったものがすべて詰まった、ほんとうの優しさだと思う。『麦ふみクーツェ』の語り手は「ねこ」と呼ばれる少年。自分を「変てこ」だと感じ続けている「ねこ」には、彼にだけ見える存在、クーツェがいた。とん、たたん、とん、と不思議な...

  • スプートニクの恋人

    『スプートニクの恋人』、久しぶりに再読しました。インタビュー集『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』で村上春樹さん自身が『スプートニクの恋人』について語っていた、「とにかく全部ネジを締め、余計なものはすべてはずして、自分が納得いくものだけを」詰め込んだ文体を味わいたかったから。“文体を味わう”ことが最初の目的だったけれど、読み進むうちにやっぱり話の世界に夢中になっていた。この結末の無いような不思議...

  • 美食日記―美味しい生活、おいしい時間

    つい先日読んだ『こっこさんの台所』の冒頭は 元々 食べるよりは作るほうが好き。『美食日記―美味しい生活、おいしい時間』の冒頭は、と言うと 「私、食欲の奴隷なんです」…同じく“食”をテーマにしたエッセイなのに、なんて違い!そして私は圧倒的に、確実に、明らかに、後者側なんです。イラストレーターの柿崎こうこさんの“食”にまつわる様々な話。ビューティマニアで美に関する本が多い柿崎こうこさんだけど、食べることも大...

  • 八日目の蝉

    角田光代さんの小説って、時にくらくらするほどのリアルさを感じることがある。4月に映画が公開される『八日目の蝉』、まさしくそういう小説でした。ここに描かれている事件が実際に起こったら、「信じられない」という感想を抱くだろう。だけど、第1章の主人公・希和子は“不可解な事件を起こした不可解な人物”では決してない。“娘”との生活にすべてを賭けている希和子と、何も知らない彼女の“娘”。2人の姿は、犯罪だとか、正しく...

  • ずぼらな青木さんの冷えとり毎日

    高山なおみさんの『日々ごはん』で紹介されていた『ずぼらな青木さんの冷えとり毎日』。コピーライターの青木美詠子さんが体の冷えと戦う様子を面白おかしく綴ったエッセイ、という気軽なイメージでなんとなく読み始めてみたら……体の冷えって真剣に取り組まなきゃいけない問題なんだ!とゆうか私自身、当たり前になり過ぎてさほど気にもしなくなってた手足の冷たさも肩凝りも、冷えとりすれば解決するのか?!…って、気がつけばわ...

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