時は幕末。徳川家に江戸城の明け渡しが命じられる。官軍の襲来を恐れ、女中たちが我先にと脱出を試みるなか、大奥にとどまった『残り者』がいた。天璋院付きの呉服の間の『りつ』御膳所の『お蛸』御三の間の『ちか』御中臈の『ふき』静寛院付きの呉服の間の『もみぢ』身分も
第二次世界大戦後、仏印からほぼ着の身着のままの状態で帰国したゆき子は、敗戦した日本の現実に大きな虚無感を感じる。戦時中、義弟との不倫関係から逃れるためにタイピストとして仏印に渡ったゆき子は、農林省の富岡と出会い豊かな南国で生涯忘れえぬ恋に落ちていた。けれ
大正11年から5年間、日記風に書き留めた雑記帳をもとにまとめた、林芙美子の自叙伝。本書には、昭和5年に刊行されベストセラーとなった、「放浪記」「続放浪記」が第1・2部。戦後に刊行された「放浪記第3部」が第3部となり収録されている。私は時系列に沿って書かれ
先日読了した「恋歌」の主人公・中島歌子の弟子であった樋口一葉の、24年というあまりにも短い生涯を描いた長編小説。樋口一葉の全てがこの一冊に描かれているのではないかと思えるほど詳細であり、著者の一葉への熱い思いが伝わってくる素晴らしい作品だった。明治20年
明治36年。三宅花圃が、師・中島歌子の手記を見つけ、読み始めることにより物語は始まる。時は江戸末期、樋口一葉の師として知られる中島歌子(登世)は、江戸で商家の娘として裕福な暮らしをしていたが、一途な恋を成就させ水戸の藩士へと嫁ぐ。夫は尊皇攘夷の急先鋒・天
2冊とも、ずっと探していた作品。ようやく見つかり、とても嬉しい。まだ1作品目の「事始」を読んでいないのだけれど、これから読みたいシリーズなので続きを購入。ちくまの日本文学は、とても読みやすいのでお気に入りのシリーズ。今回は期限の迫った楽天ポイントで購入し
戦国時代末期。戦と凶作による貧しさに耐えかねた一家は夜逃げを決行するが、追手に見つかり5歳の少女ウメは両親と離れ離れになってしまう。生まれつき夜目の利くウメはひとり山中を生き抜き、石見国、仙ノ山と呼ばれる銀山の間歩で、天才山師・喜兵衛に拾われる。喜兵衛か
爆弾 呉勝浩ゆうじょこう 村田喜代子あの図書館の彼女たち ジャネット・スケスリン・チャールズ図書館 宮本百合子ポケットに物語を入れて 角田光代人間失格 太宰治木曜組曲 恩田陸コンビニ兄弟 町田そのこ以上8冊でした。今回のイチオシ本は「あの図書館の彼女たち
三浦しをんさんの日常を綴ったエッセイ。勿論期待どおりの面白さだった。揃って野球観戦にいくほど仲良しの家族なのに、それぞれがわが道をゆく故に漂うまとまりのなさに、なぜかほっこりしてしまう。特に私は、姉に暴言ばかり吐く安定の毒舌弟が大好きだ。古書店勤務時代の
コンビニ兄弟シリーズ第2弾。今回は短編3作品が収録されている。息子夫婦の頼みで自身の家を引き払い同居したものの、見知らぬ土地で孤独に苛まれ殻に閉じこもっていたおばあちゃんが、フェロモン店長との出会いで生活が一変する「恋の思考をグランマと」前作にも少し登場
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時は幕末。徳川家に江戸城の明け渡しが命じられる。官軍の襲来を恐れ、女中たちが我先にと脱出を試みるなか、大奥にとどまった『残り者』がいた。天璋院付きの呉服の間の『りつ』御膳所の『お蛸』御三の間の『ちか』御中臈の『ふき』静寛院付きの呉服の間の『もみぢ』身分も
前回の『篤姫』に引き続き、こちらも大河ドラマ『光る君へ』をより楽しむために読んだ。私には現代語訳でも読むのに苦労しそうなので、コミック版のこちらの作品を購入したのだけれど、これが大正解だった。絵で分かりやすくユーモラスに説明されているうえに、『紫式部日記
毎週楽しみに観ている、再放送中の大河ドラマ『篤姫』をより楽しむために、原作本となる本作品を読んだ。島津家分家に生まれ育った篤姫は、18歳で藩主斉彬の養女となる。学問好きで才覚・器量を斉彬に見込まれた篤姫は、斉彬の画策により近衛家へ更に養子縁組し、13代将
2018年に放送された大河ドラマ『西郷どん!』のドラマ原作本。昨年から大河ドラマを観るようになり、現在再放送中の『篤姫』も毎週楽しみに視聴している影響で購入した。ちょうど『篤姫』と同じ時代背景で、主要登場人物もほぼ一緒なので、スルスルと読み進めることが出
身分としきたりに縛られた下級武士たちの暮らしを描いた、時代小説短編集。8作品が編まれている。短編の一つに、大石内蔵助の妻・りくを描いた作品があると知り、本書を手に取った。先日読んだ『花影の花』とは、全く異なったりくの姿が描かれていたけれど、語り手に趣向が
こちらの4冊は楽天ブックスで購入しました。コミックスは、テレビで『光る君へ』に関係するコミックスを紹介していたのを観て、購入しました。柚月裕子さんの初エッセイは、最初図書館で借りて読んでいたのだけれど、何度も読み返したいと思い最後まで読まずに購入しました
スープ屋しずくの謎解き朝ご飯 巡る季節のミネストローネ 友井羊奇巌城 ルブラン女帝エカテリーナ 全3巻 池田理代子しあわせは食べて寝て 2〜4巻 水凪トリヨルガオ殺人事件 上・下 アンソニー・ホロヴィッツはなとゆめ 冲方丁花影の花 大石内蔵助の妻 平岩弓
大石内蔵助の妻・りくの生涯を描いた作品。赤穂浪士討ち入りから30年余り経っても、なぜ浅野内匠頭が『松の廊下事件』を起こしたのか理解できないりく。それは討ち入りを果たした内蔵助含む赤穂藩士たち全てが同じ気持ちだっただろう。しかし討ち入りせざるを得なかった。
大河ドラマ『光る君へ』をより楽しむため、長期積読本だった本書をようやく手に取った。恐らく『光る君へ』を観る前に読んでいたら、人物相関図が分からずに四苦八苦しただろう。基礎知識がある今、読んで本当に良かった。清少納言がいかにして中宮定子に仕えることになった
『カササギ殺人事件』から2年後。パートナーのアンドレアスと共にロンドンを離れ、クレタ島でホテル経営に四苦八苦しているスーザンのもとに、イギリスから裕福な夫妻が訪ねて来た。『8年前に起きた殺人事件の真相をある本で見つけた。』と、電話をかけてきた直後に謎の失
持病のために、週4回のパートで生計をたてている麦巻さとこ。家賃を抑えるために引っ越した団地の大家・鈴さんや、鈴さん家の居候・司と触れ合ううちに、他人の都合に振り回されない、自分自身を大切にする生活を手に入れていく。団地内での知り合いも増え、さとこの世界は
ドイツの田舎貴族出身のエカテリーナが、ロシアに嫁ぎロシアの皇太子妃となり、クーデターを経て女帝までのぼり詰め、その死までを描いている。本作品に登場する主人公のエカテリーナも、彼女の駄目夫・ピョートル3世も全く知らなかったけれど、最初から最後までとても面白
深夜の伯爵邸を襲った怪事件。秘書が刺殺され、秘密裏に絵画が盗まれていた。逃亡中に、伯爵邸に住んでいたレイモンド嬢により重傷を負わされたはずのルパンは、忽然と姿を消した。そしてルパンの手下により、レイモンド嬢が誘拐される。残された暗号の謎と、レイモンド嬢と
スープ屋しずくシリーズ第8作品目。早朝にひっそりと営業しているスープ屋『しずく』の店主・麻野に想いを寄せている常連客の理恵が、とうとう麻野に告白するシーンから物語が始まるという、驚きの展開だ。麻野から返事を『待ってほしい』と言われた理恵。春から冬へと季節
アンの青春 モンゴメリ空飛ぶ馬 北村薫本陣殺人事件 横溝正史応天の門 灰原薬 17・18巻武田百合子 天衣無縫の文章家しあわせは食べて寝て 水凪トリおまえさん 上・下 宮部みゆき以上7作品9冊でした。(コミックス2作品3冊含む)2月の1冊は『空飛ぶ馬』で
今月は、出先でフラッと立ち寄ったブックオフの品揃えが素晴らしくて、たくさん購入してしまいました。積読専用本棚に収まりきれずに床に積んでしまっているけれど、欲しかった本がたくさん手に入ったことが嬉しくて、本を見ながらニヤニヤする日々を過ごしています。先月は
『ぼんくら』シリーズ3作品目。上・下巻合わせて、1200頁超えの超大作だ。痒み止めの『王疹膏』で繁盛している瓶屋の主人・新兵衛が、寝間を襲われ斬り殺された。本所深川のぼんくら同心・平四郎は、将来を切望される若手同心の信之輔と調べに乗り出す。検分にやってき
キャリアウーマンで、次に引っ越しをする時は「マンションを買うとき」と、思っていた麦巻さとこ。けれど一生付き合わなければならない免疫系の病気に罹り、週4回のパートへの転職を余儀なくされる。家賃のもっと安い物件を探している最中、小さな団地で大家の鈴さんと司に
武田百合子さんのムック本。弟さんが語る幼少期の記憶からして、後の「武田百合子」としての土台が既に出来上がっている気がしてならない。苦しい戦後を必死に生き抜き、若き日に神田神保町の「らんぼう」で働いていた頃の、若き日の文豪たちと過ごした日々は、彼女の逞しく
藤原良房が表舞台から遠ざかったことにより、突如として不審な動きをみせる、右大臣・藤原良相とその姉である太皇太后・藤原順子。恐るべき彼らの真の目的は?そして相変わらずひとり隠密に動き回る、伴善男。少しずつだけれど、確実に「応天門の変」に近づいているのだと思
冒頭は、1995年4月矢野布美子の葬儀。かつて殺人罪で10年間服役した過去を持つ布美子が、死を目の前にしてノンフィクション作家・鳥飼に打ち明けた、今まで誰にも話さなかった大きな秘密と真実の物語が、時を遡って語られる。1970年。大学生だった布美子は、大学
柚木麻子さんによる名作案内。フランス文学・12作品日本文学・21作品イギリス文学・12作品アメリカ文学・12作品合計57作品、紹介されている。昨年読んだ、津村記久子さんの「やりなおし世界文学」から大きな影響を受け、ポツポツと世界文学を読んでおり、すっかり
経営者の父を持つ亜紀は、愛する夫とともに裕福で幸せな生活を送っていた。永遠に続くと思っていたその穏やかな日々は、夫が巻き込まれた「ある事件」によって、あっけなく終わりを告げる。愛し合いながらもきちんと話し合うこともなく離婚した二人は、10年後運命的な再会
1847年3月、物語は椿姫と呼ばれていた美しい高級娼婦・マルグリットの死後、彼女の借金返済のために行われる遺品の競売から始まる。生前の彼女をときおり見かけただけだった「私」は、ことの成行により「マノン・レスコー」という書籍を落札するのだが、後日「マノン・
まずは勿論「ココ・アヴァン・シャネル」。映画が素敵だったので、原作も楽しみです。「真珠の耳飾りの少女」も、以前観た映画が印象深かったので原作本を購入。楽しみにしていたのだけれど、本を開いたら本当に驚くほど字のフォントが小さくて、目がチカチカしてしまった。
普仏戦争に敗れた直後のフランス。プロシャ軍の支配から逃れるためルアン市を出発した10人は、乗合馬車にて道中を共にすることになる。ブルジョア・貴族・修道女・革命家。様々な身分階級の人々に混ざり、「ブール・ド・シュイフ(脂肪のかたまり)」と渾名されている、よ
若き日のココ・シャネルを描いた伝記映画。姉とともに孤児院で育てられた孤児のガブリエル・シャネル。昼は洋裁店で縫い子として働き、夜はナイトクラブで姉と歌を歌うことで細々と暮らしていた。彼女らの歌う曲名から「ココ」と呼ばれていた彼女は、ナイトクラブで出会った
瓜二つの美しい双子の兄妹ヴァイオラとセバスチャンは、乗っていた船が難破し離れ離れになってしまう。お互いに相手は死んだものと思っていたが、実はそれぞれ助けられていた。理由は不明だけれど、身分を伏せ男装をすることで身の安全を図るヴァイオラは、セザーリオと名乗
夕映え天使 浅田次郎富士日記(上)武田百合子彼女のこんだて帖 角田光代八本脚の蝶 二階堂奥歯欲望 小池真理子予告殺人 アガサ・クリスティー夫婦善哉 織田作之助若きウェルテルの悩み ゲーテ以上8冊でした。3月のイチオシ本は武田百合子の「富士日記(上)」です
1774年、ゲーテ25歳の時の作品。ゲーテ自身の絶望的な恋の体験をもとにした、書簡体小説。婚約者のいる美しい女性ロッテに激しい恋心を抱いたウェルテルは、一時は叶うことのない恋心を諦めようとロッテから遠ざかる。けれど視野が狭く思い込みの激しい彼は、新しい土
2007年に発見された未発表原稿「続 夫婦善哉」を含めた、著者の代表的な短編小説7作品が収録されている。『夫婦善哉』『続 夫婦善哉』浮気者で金遣いの荒い駄目亭主・柳吉と、働かない柳吉の代わりに必死に働き尽くす妻・蝶子。商売を始めるために、欲しい着物も買わ
集めている「坂の上の雲」。もう5巻まで揃えられたので、そろそろ読み始めようか。磯田さんの作品は、映画「殿、利息でござる」の原作本。映画は先日アマプラで観たのだけれど、とても面白かったので原作も楽しみだ。「壬生義士伝」も映画がとても良かったので、上巻しか置
ミス・マープルシリーズ長編第4作品目。ある朝住民の殆どが読んでいる地元新聞の個人広告欄に、殺人予告が掲載された。「殺人予告お知らせ申し上げます。10月29日金曜日午後6時30分より、リトル・パドックスにて。お知り合いの方のお越しをお待ちします。」これは本
図書館司書の青田類子が、電車でとある場所に向かいながら、過去を回想していく。類子は中学生時代、豊満な身体から溢れ出る性的魅力ゆえに女子生徒に嫌われていた美少女・阿佐緒と、生徒会副会長を務めみんなの人気者で、成績優秀の美しい少年・正巳と親しくしていた。類子
25歳の若さで自らこの世を去った女性編集者・二階堂奥歯氏の最期の2年間の日記と、生前近しかった穂村弘さん他13人の文章が収録されている。この本を購入しすぐに読み始めたのは、恐らく3年ほど前のこと。読み始めてすぐ、彼女と同い年で偶然にも学生時代に過ごした街
美味しい料理が物語を繋いでいく連作短編集。登場人物たちはごく普通の人々。OLや主婦、大学生などなど平凡な人たちが、日常に抱いた後悔や躓きを、料理を作り食べることによって、心に変化が生まれ前向きに進んで行く。前作の登場人物が次作の主人公になりどんどん物語が繋
富士山麓に建てた山荘で過ごした夫・武田泰淳との13年間の日々の記録。上巻は昭和39年7月から41年9月まで収録されている。昭和39年当時、少なくとも現在と比べものにならないくらい女性ドライバーは少なかったのではないだろうかと想像するのだけれど、百合子さん
初・浅田次郎は短編集から。6篇が収録されている。どの作品も、じんわりと心に沁み込んでくる読了感。好みだった。それだけに、帯の「最多涙小説」云々は要らないだろうと、モヤモヤ感が残る。私はこの6篇をただの一度も泣かなかったけれど、とても感慨深く読んだぞ。「泣
天地明察 冲方丁美しい距離 山崎ナオコーラ潮騒 三島由紀夫おそろし 三島屋変調百物語事始 宮部みゆきちゃんちゃら 朝井まかてあんじゅう 三島屋変調百物語事続 宮部みゆき戻り川心中 連城三紀彦泣き童子 三島屋変調百物語 宮部みゆき友情 武者小路実篤以上9冊
主人公・野島は脚本家の卵。ある日友人・仲田の妹の杉子と出会い、瞬く間に恋に落ちる。(片思いね)けれど彼の中には、女の人=結婚という身勝手な考え方が出来上がっており、杉子もまた彼の妄想の中では、自身の従順な妻となることを勝手に確信されていた。正直、野島がキ