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  • 神の力

    神を認めなければ生きることの意味は全然ない。人生の背後に神を認めないなら生きることに意味はない。 永遠の力を認めないならこの世は闇である。運転手は交差点で事故ばかり起こしていなければならぬ。暗黒の中で事故や殺人や誘拐などの犯罪が頻繁に起こるであろう。やはり整然とした力が働いているのである。人間がこの世を動かしているのではないのである。 神がこの世を動かしているのである。

  • カトリック教会

    かえってダンスの仲間たちの方がタカシには優しかった。冗談を言ったり、世話話をしたり、お菓子をくれたり、お茶を飲んだり、そうしたコミュ二ケ―ションは教会でも必要な気がした。カトリック教会にはそうした仲間たちの暖かさはなかった。 教会には神はいなかった。けれど佳子の手紙のベルナデッタの話は軽視出来なかった。神への信仰の芽生えはやがて実生となってゆくに違いなかった。神の存在を認めなければ生きることに…

  • カトリック教会

    カトリックに聖母出現などの奇跡が起きているのだが、神父たちの話はこの件については冷淡で、タカシはこの無関心さには驚いた。 信者たちと話をしても熱意を感じず、共通点もタカシは見いだせなかった。タカシは教会にいくことをやめた。 教会の中に神はいないと思った。

  • 神父との会話

    神父と話をしてもベルナデッタの奇跡についてはあまり関心がないように思えたし、神父の信仰についても熱いものは感じなかった。 惰性的に信仰生活を送っているようで、そうした態度の中に心の深さは見なかった。ミサに参加する信者たちの中に真摯なものを見るが 彼らと話をしても真に迫るものは感じなかった。 教会と言うものにタカシは失望した。そこでタカシは神を見ることはなかった。かといって神を認めないなら生きるこ…

  • 佳子の手紙

    「信仰は人生の目標であり、神を見つけることが人生の目的です。。そうしなければあなたが経験しているような深いニヒリズムに陥るでしょう。 神を求めてくださいね。そこに救いがあります。 佳子より ベルナデッタの事はタカシは知らなかった。洞窟の中で聖母に出会ったというのだが、どうなものかなとタカシは首を傾げる。 佳子が…

  • 佳子の手紙

    出現した聖母は「この世での幸せは約束しない」とベルナデッタには言いました。その予言どうりにベルナデッタは病気に苦しみました。 ぜんそくの病気はひどくなり、病気との闘いでした。 1879年4月16日、ベルナデッタは35歳の若さで亡くなりました。30年後に墓が開けられましたが、ベルナデッタの遺体は腐敗していませんでした。聖母の出現は真実として受け入れられました。私たちの人生の背後に神は隠れています。その神を見…

  • 肘に火傷を負った若い女性

    けれど彼女はあまり気にしない様子で、口元には笑みさえ浮かべていた。嫁入り前の娘が腕に火傷を負うのは大変なショツクだと思うのだが。彼女はにこにこしているのである。これには正一郎も驚いた。彼女の明るさは天性なのか。天性だとしても苦しみを外に現わさない性格は素晴らしいと思った。自分もいつもこうしてにこにこしていたいと正一郎は思った。

  • 佳子からの手紙

    洞穴の入り口の野ばらや雑草が怪しく揺れています。ベルナデッタが不思議に思って見ていると、穴の中に美しい女性が現れました。 聖母の出現です。町の人たちは最初はベルナデッタの話を信用しませんでした。検事や警察、県知事ら権力者の弾圧をベルナデッタは受けます。 ベルナデッタはひるみません。人々はやがてベルナデッタの言葉を信じるようになります。 聖母の出現なんて現代の常識では信じられないことですが、ルルド…

  • 佳子からの手紙

    「野間タカシ様 あなたの手紙を読みました。タカシ君の気持ちはよく解ります。誰でもそんな不安は持っていますよ。けれども人生は無意味ではありません。 夢のような人生の背後に神は隠れています。神が解りづらいなら偉大な知性と言い換えてもいいかもしれません。 神は観念的な存在ではなく実在するものです。真剣に求めれば出現します。私の体験からも言えることです。 これはフランスで起きた事件ですが、ルルドと言う所…

  • 佳子への手紙

    自分は一体どこへ向かっているのだろう。まるで難破船のように暗い海の上をさすらっている。このまま行くとダメになってしまうような気がする。あなたは僕のような気持になったことはありませんか。すべてが無意味に思えて困ってしまう。 生きる意味が本当に分からないのです。このまま生きてもしょうがないと思うこともあります。 何だかつまらないことを書いてきましたが、あなたなら今の僕の気持ちが分かるかもしれません。…

  • 佳子への手紙

    目の前に深い霞がかかっているような感じなのです。現実は混とんとしていてどうしていいのかわからないのです。 目的とか目標が必要なのでしょうが、今の僕には何も持てないのです。夢がないわけではありませんが、今の僕にはとても実現できそうにもありませんし、自信もありません。深い霧の中で孤独だけが冴えています。 いつも一人ぼっちと言うか、寂しい気持ちでいっぱいです。あなたは僕のような気持になったことはありま…

  • 栂野佳子へ手紙

    机の前でタカシはぼんやりしていたが、やがてタカシは筆を執った。 [拝啓 栂野佳子様 最近、変な気分なのです。現実が陽炎のように思えて。実在感がないと言うか。すべてが夢のような気がして。仕事に身がはいりませんよ。 もともとよく解らなかったが、いまはもっととひどくなったと言うか。孤独に耐えなければならないの…

  • ニヒリズム

    実感とか実像とか実見とか実物とか、実のつくものは本当はこの世にないのではないか。 すべては幻影であり、心のよりどころとなるものは何もないのではないか。深い悲しみだけが露呈する。 人生って一体何だろう。何もない、何もない。現実は混沌としており、暗鬱な梅雨空のようである。 何に頼ったらいいのか、縋りつきたいのだが縋りつくものがない。

  • 虚しさ

    虚しい、すべてが虚しいとタカシは思った。東京の生活は外面的には華やかで、便利で、金さえあればなんでも買えるし、素敵な異性にも会える。けれどもそれは虚飾に満ちた生活であり、接触するすべてのものが幻覚であり、幻聴であり、幻像である。 つまりすべてのものが実在するものとは感じられず夢の中の出来事のように思える…

  • 本当の仕事

    どうもおかしいと思った。自分の心の奥底からくる声が違っているというのである。本当の仕事がどこかにあるのではないか。 それがどんな仕事なのか、タカシには分らなかったが今の仕事に本当の喜びはないのである。 会社の命令に従って動くのはいいけれど、こうした生活を続けることによって自分の本質が失われていくような喪失を痛くタカシは感じていた。

  • 三島事件

    三島事件は忘れようにも忘れがたく深い傷を心に残した。いっも自分の仕事が、心の底で思っているものと違っているので 三島事件はタカシにそれでいいのかと言う疑問を提起したのである。 毎朝、電車に乗って会社に行って取材で飛び回る生活。そこには喜びも生きがいもなかったのである。会社の命令どうりに 動くだけで歯車の…

  • 三島的ニヒリズム

    中山が言うようにこの事件は早く忘れた方がいいのである。けれど天人五衰の中で門跡が元恋人の事を知らいないと答えた 本多の驚きはタカシの驚きでもあったのである。本多は記憶も何もない所へ来てしまったのだが、このニヒリズムはタカシのニヒリズム でもあったのである。人生の中にある夢のような幻のような感じをタカシは…

  • 三島事件

    「午後の曳航の中にある華やかさは、しかしそれは滅びへと向かう華やかさ。やはりニヒリストではなかったかと思います」 「神を信じていなかったことは事実だね。信仰があればあんなことはしないだろうと思うよ。今度の事件で三島はファンを減らした思うよ。 毒をまき散らして死んだからね。でもこの事件は忘れた方がいいね。…

  • 三島由紀夫の自殺

    「潮騒にしても仮面の告白にしても、金閣寺にしても、美徳のよろめきにしても、宴の後にしても人間が良く描けていると思うのですが だから今度の事件は僕の理解を超えるのです」 「肉体の衰えを気にしていたと思うね。美しいうちに死にたいと言うか、それが三島の美学だったと思う。短絡だと思う。 目に見えない部分が大切だと僕は思う.老いることを三島は恐れていたように思うけど,老いることも素晴らしいと思う。 長く生…

  • 三島由紀夫の自決

    「豊饒の海の最後の巻の天人五衰の中で,門跡が元の恋人を知らないと言って本田は驚くのですが、記憶も何もないところに 来てしまったという言葉の中に深いニヒリズムを覚えるのですが」とタカシ。 「三島はニヒリストかもしれない。太宰治を嫌っていたが同じようなニヒリズムを感じるね。虚しさを感じるね。 …

  • 三島由紀夫の自決事件

    「新風連の影響か。日本刀を持ち出したのは。随分古めかしいスタイルだな。ふんどしをしたり、男気を強くだすためにか。 現代の世の中からいきなり侍がとびだしたような滑稽さだよ。自衛隊を二つに分けようと言ってみたり、国粋主義者だよ。 我々の常識から判断すると、狂っているよ」と中山。

  • 中山から電話

    貴公子の一人、中山から電話があった。 「先日の三島の割腹自殺、驚いたよ。何で自決しなきゃならんのかね。馬鹿々々しいと言うか、あれほど人間の見える男が なんで自衛隊の駐屯基地に乱入しなきゃならんのかね。三島の文学が色あせて見えたよ。 世間の常識からみれば、狂っているよ。頭のいい男なのだが、稚拙な部分があっ…

  • 三島由紀夫の自決

    自衛隊のバルコニーで演説をぶつなどと言う行為は文学者のやる行為ではありません。 作家として実に豊かな才能を持っていたのですから、今度の事件は本当にがっかりしました。 あなたは今度の事件をどう思いますか? あなたも僕と同じように失望したと思います。あれだけ人間が良く見えた三島…

  • 三島由紀夫の自決

    今の自衛隊と昔の軍隊ではかなりかけ離れていますし、今の自衛隊はサーラリマン意識が強いですから クーデタ―を呼び掛けても時代錯誤といいましょうか、ピントが外れているような気がします。 あれだけ素晴らしい作品を書きながら、世間知らずと言いましょうか、あの事件は受け入れることができません。 どこかで歯車が狂っ…

  • 三島由紀夫

    豊饒の海、最後の巻の中で門跡が元恋人の清顕を知らないと言うので本田は驚く。 この庭には何もない。記憶もなければ何もないところに来てしまったという表現の中に深いニヒリズムを感じるのです。 太宰治を三島は嫌っていたが、同じような深いニヒリズムを感じて驚きます。 初期の作品からは想像も出来ない行動です。どこで狂ってしまったのか。剣道をやるようになってから神風連に惹かれたのかもしれません。 日本刀と神風…

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