「のっぽのバンビ」が、犯人の巧緻な計画を崩す。女刑事、花房京子の犯人の追い詰め方は。香納諒一さんの「逆転のアリバイ 刑事花房京子」を読む。
「花房京子」シリーズの二作目。 このシリーズは、初めから犯人がわかっている 倒叙形式が採られている。 この形式は、古くは「刑事コロンボ」、そして、 国内ミステリーでは「福家警部補」など、 数多くの作品で見られる。 犯人の視点で物語は進むことが多いので、 思い入れは犯人側に傾くこともある。 通常は、真犯人は、アイツかコイツか、 動機は、殺害方法は、、、など、 刑事たちの捜査と共に、読者も、ヒリヒリする。 それとは異なり、 刑事たちが、犯人を追い詰めていく その緊張感が重要だ。 主人公の花房京子は、警視庁捜査一課の女性刑事。 だが、なぜだか、いつも一人で行動する。 作品では、所轄の刑事たちが補佐役…
江戸庶民の暮らしを支える火消。「一人も死なせるな」、ぼろを纏った男たちの物語が熱い。今村翔吾さんの「羽州ぼろ鳶組」シリーズを読む。
火喰鳥――羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫) 作者:今村翔吾 祥伝社 Amazon 夜哭烏――羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫) 作者:今村翔吾 祥伝社 Amazon 今、はまりつつある物語がある。 これまで楽しんだ時代小説も、捕物一辺倒だったが、 江戸の火消し、このシリーズは面白い。 これまでは、捕物帳の中に登場する町火消くらいしか知らなかったが、 武家火消というものが新鮮で、これほどワクワクする世界に これまで触れてこなかったのが、惜しいくらい。 人の生き方、男の生きざま。 武骨だが、真っ正直で、真正面からぶつかっていく、 その熱い心が直で伝わってくる。 男くさい、男ばかりの物語の中に、 加賀鳶の娘や…
シリーズ第3弾の剣持は、眠らない。町弁の業務を引き継ぎ、夜の都会を走り回る。新川帆立さんの「剣持麗子のワンナイト推理」を読む。
「剣持麗子」シリーズの第三弾。 やっぱり、「いい人」じゃん、と思う。 そして、故村山弁護士の業務を引き継いだり、 クライアントの犬の面倒をみたり、 また、別の件で、クライアントの家の床下に もぐりこまされたり、と、 一体、何やってんの、結構、お人好しなんだ、とも思う。 ま、大山淳子さんが描くところの、猫弁ほどのお人好しではないが。 だが、そういう受け取り方は、間違っているというか、 剣持に失礼なのか。 作品の中で剣持も言う。 「他人に何が分かるというのだ」と。 人間は、そもそも多面なのだ。 善いことをしながら、悪いことをする。 その反対も、またしかり。 剣持も、幾つもの顔を持っている。 だから…
お金至上の凄腕弁護士、剣持が、成功報酬・百数十億につられ、元彼の遺産相続をめぐる謎に挑む。新川帆立さんの「元彼の遺言状」を読む。
元彼の遺言状 作者:新川帆立 宝島社 Amazon TVドラマ化されると聞いて、 慌てて読んでみた。 濃厚なキャラの主人公、剣持麗子。 鼻っ柱の強さ、お金に対するスタンス、 相手が誰であろうと、行くときは行く押しの強さ、 こういう強めのキャラを持つ女性、 最近読んだ作品も登場したな~と思いながら。 キャラの強い女性が世の中に受け入れられてきたんだなと、シミジミ。 自分の性格の強さが分かっていそうな言動を見せながらも、 「いい人」ぶらない、潔さは、反対に気持ちがいいほど。 キャラの強さ、濃さが目立つけど、 死亡した、剣持の元彼の遺言が、 「自分を殺した犯人に全財産を譲る」という、 なかなかの面白…
ゾンビ、予言者、と来て、新たな敵は、巨人!剣崎比留子の推理は通用する?葉村は、ワトソンの使命を果たせるのか。今村昌弘さんの「兇人邸の殺人」を読む。
兇人邸の殺人 屍人荘の殺人シリーズ 作者:今村 昌弘 東京創元社 Amazon 「剣崎比留子」シリーズの三作目。 クローズドサークルを扱ったミステリーだが。 少々、異質だと思うのは、 シリーズの軸が、超人研究を行う班目機関の解明を 目的としているためか、 ゾンビだの、予知だの、超人だのといった異世界が登場すること、 そして、剣崎と葉村の関係性に、何か落ち着かない空気感があること。 二人の、相手に対する想いが、 関係をいっそう、複雑にしている。 お互いの「ホームズ」であることと、 「ワトソン」であること。 それに、こだわり過ぎる感があって、まるで、共依存だ。 この二人の「想い」が、謎の解明に、 …
元マル暴の刑事と、「なりすまし」刑事の凸凹コンビ。蓮見の事件、一応の決着を迎えたかと思いきや。加藤実秋さんの「警視庁アウトサイダー3」を読む。
警視庁アウトサイダー3 (角川文庫) 作者:加藤 実秋 KADOKAWA Amazon 「アウトサイダー」シリーズの三作目。 日本酒密造などの事件を片付けながら、 いよいよ、蓮見の父親の事件が決着を見る。 でも…、 陰謀を仕掛けた黒幕は別にいて…、ということで、 まだまだ、シリーズは続くようだ。 警察内部の陰謀、闇を取り上げる作品は多いが、 だましだまされで、どうしても重さが増し、 長々と続くと、疲れてくる。 主人公、蓮見のキャラは、今一つ、気が許せない部分があり、 惚れ込むほどの魅力を感じないのだが、 相棒となる架川は、マルボウ丸出しのいでたちや、 言動が、なんか、可愛らしい…。
紙の専門家、紙鑑定士・渡部が挑む謎は、紙、フィギュア、コスプレ…? 今回の相棒は、フィギュア作家。歌田年さんの「紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪」を読む。
紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪 作者:歌田年 宝島社 Amazon 「紙鑑定士」シリーズの第二弾。 ミステリーでは、刑事や私立探偵は別として、 様々な職業の人物が、名探偵役を振られている。 そのたびに、その職業にまつわる情報、蘊蓄が、 ミステリー小説だから、それほどの量ではなくても 紹介される。 作品の面白さとは別に、その蘊蓄、情報は、 興味深いものもある。 これまでにも、薬剤、特許、昆虫。。。と、 専門知識が披露されるので、 興味を惹かれたら、掘り下げてみるのもいいのだろうに、 根っからの怠け者で、なかなか、知識は増えない。 このシリーズの主人公、渡部の職業は、紙鑑定。 紙鑑定士とい…
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