服従の心理②
『服従の心理』(2008.11・ストランレー・ミルグラム著・山形浩生翻訳)からの転載です。でも読者は、この実験についてもう少し詳細を知る必要がある。二人の人物が、記憶と学習に関する研究に参加すべく、心理学の研究室にやってくる。一人が「先生」役に指名され、一人が「学習者」役となる。実験者は、この研究は罰が学習に与える影響を調べるものだと説明する。学習者は一室に通されて、椅予にすわらされ、両腕は動きすぎないように縛りつけられ、手首に電極がつながれる。そして、対になった単語の一覧を覚えるよう言われる。まちがえたら電撃が与えられ、それかだんだん強くなる。実はこの実験の本当の関心対象は、先生役のほうだ。学習者が縛りつけられるのを見たあとで、先生役は主実験室につれていかれ、大げさな電撃発生器の前にすわらされる。大きな...服従の心理②
2022/07/31 07:59