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ミステリー小説を愛するフリーライターが、自作の小説を投稿しています。
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ブログ村参加:2018/07/28

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contaさんの新着記事

1件〜30件

  • 摩擦係数と荷重5-6

    マンションと病院が角に建つ交差点を右折。下り坂を下って道なりに進む。正面左手に、H駅に隣接する大型スーパーが見えてきた。 「事務所はH駅の周辺のどのあたりだ?」バックミラーで熊田は鈴木に尋ねる。 「駅のロータリーに入ってください」道路を横切る人を待ってロータリーに侵入する。「そのまま、進んでください」車は半円を描いてロータリーを出た。鈴木は携帯を見つめて進行方向を指さす。「そこの交番で曲がってください。その先の右手の建物です」 車は小さな交番を右手に、左折し10メートル直進。すると右手には、この地域には似つかわしくない3階建てのマンションらしき佇まいの事務所が目に飛び込んできた。車は静かに脇に…

  • 摩擦係数と荷重5-5

    二杯目のコーヒーを注文する。店内には賑やかに、夕食を摂る人々が集まりだす。一人の客がその大半であった。一人暮らしにおいての食費は自炊よりも外食の方が安いと言われる。果たしてそうだろうか。一から作る手間や出来上がるまでの時間が惜しいだけではないだろうか。大勢で食べるご飯は美味しいなんて幻想は、食べながら溜まった鬱憤や胸のつかえていた思いを吐き出したいだけであって味は一緒。独りが寂しいのはそれをどこかで望んでいるから。誰かと居たいのならいくらでもあなたをもてなしてくれる空間は存在する。ただ、そこに至るまでの経費、時間がもったいないまたは時間掛かり過ぎると思っているために行動に移さないだけ。心底、望…

  • 摩擦係数と荷重5-4

    「ここは喫煙席ですか?」カップを口元まで運び優雅にゆっくりと止まることのない動作で種田はコーヒーを飲む。鈴木が種田を見計らって言った。 「ここに灰皿がある」 「そういえば、入店時にタバコを吸うかと聞かれませんでしたね」 「全席喫煙席かな」鈴木が首を伸ばして前方の若者たちや背後の入口ドアを挟んだ席の並びを見渡す。「吸っている人もいますね」わずかに喫煙者と煙が2席後ろで確認できた。 「そうですか、ではどうぞお好きなようにしてください」大きい両目を閉じて種田は喫煙の許可を出した。 「いいのか?」 「私だけが同じテーブルについているわけではありませんから」そのセリフは車内で熊田が何度も種田から聞いた言…

  • 摩擦係数と荷重5-3

    行きに見かけた国道沿いのレストランに車は止められた。熊田からどこで何が食べたいとの要望を聞く機会は設けられないで独断で昼食場所はファミレスと決まる。刑事という職業に就いているからなのか、鈴木と種田は嫌な顔をひとつも見せずにいた。日々時間に追われている職種のために、食事に煩くはないのだ。食べられるだけでもありがたい状況を何度も体験して思考を書き換えたのだろう。 赤いビニールのシートに腰を落ち着ける。制服の店員がかしこまった物言いで水を出しがてらメニューを渡す。3人とも選択の時間が短く、店員が去る前に注文を終えた。 窓の外は徐々に日が傾き、駐車場から店までつかの間の外気温でさえ冷たいと風を感じた。…

  • 摩擦係数と荷重5-2

    「明日の仕事のために資料を作成しなくてはならないので」母親はためらうことなく瞬時の回答。後ろめたさが察知できない。 「大変ですね。では、7時に事務所でお待ちしています。はい、失礼します」 「4時か。まだ4時間もあるぞ」熊田は鈴木の開け放たれたドアを見やって投げかけた。 「僕に言われても困りますよ」鈴木の眉が中央による。 「相手の都合に合わせくてもいいだろうが、こっちは緊急を要するんだぞ」 「殺気を出したら悟られます」くるりとピンと伸びた姿勢で種田は助手席に乗り込む。微かにタバコの臭いが漂っているが、許容範囲だ。そうだ、警戒心を抱かせると本心を聞き出すのに苦労するのは目に見えていた。ただでさえ、…

  • 摩擦係数と荷重5-1

    「もしもし、相田さん?」 「なんだよ?こっちは忙しいんだ切るぞ」 「ああ待ってくださいよ、ちょっと調べてほしいことがあるんです。すぐに済みますからお願いします」 「ったく。で、なんだよ調べてほしいことって?」 「早手亜矢子の捜索願を調べて欲しいんです」 「捜索願?もう死んだのにどうして捜索なんかするんだ?葬式だって終わっただろうに」 「そうじゃなくて、早手亜矢子の母親の連絡先を知りたいんです」 「それと、捜索願とどうつながるんだ?」 「だから、捜索願の提出と、その時にまだ身元不明であった早手亜矢子の情報が合わさって身元が判明して、その時書いた母親の連絡先が知りたいんです」 「ああなるほど。最初…

  • 摩擦係数と荷重4-5

    「しかし、母親が関与している可能性があるということですか。そんなぁ風には見えませんでしたけどね」 「先入観を持たないほうがいいですよ」種田は窓を閉めながら答える。信号が青に変わる。 「でも、娘が亡くなったのには全くの無関係だからこそ、現場近くを通ったのを言わなかったんじゃあないか」 「守秘義務」 「そうです、職業は税理士ですからクライアントとの打ち合わせの類を外部に漏らしたくはなかったのでしょう。もしかしたら、警察が聞いてくるまでは言わないつもりだったのかもしれませんし」 「娘の死よりもか仕事を優先したのか?」 「うーん」 「娘が死んだのなら生きているクライアントが優先されます」種田の簡潔な答…

  • 摩擦係数と荷重4-4

    受付のもう一人の職員、店長と名のついた札を胸つけた人物がテーブルに置いたノートPC画面に指をさして言った。 「この方ですね」車の貸出時間は午後4時、借り主は早手美咲と明記されていた。 借り主の住所に見覚えのある鈴木が声を出した。「あれっ?これって一軒目の被害者の母親ですよね」 「苗字が一致しただけではないでしょうか」短絡的だと言いげに種田が言う。真実を確かめる熊田が問う。 「どうなんだ?」熊田と種田は振り返り、腰を浮かせディスプレイを覗きこむ鈴木に注目する。 「……住所が多分同じです」人からの注目を好まないタイプの鈴木は投げかけられた同意に自信をなくすと慌てて胸ポケットから手帳を取り出してメモ…

  • 摩擦係数と荷重4-3

    「廊下で今さっき戻ってきた奴から聞いたばかりだ」熊田たち以外にもどうやら動いている捜査員は存在しているようであるが、種田は会ってもいないし、見てもいない。「犯人がレンタカーを借りていたと仮定を立てると、遠くからの来訪となる。現場付近にレンタカーの営業所はない。すると遠方から走行が浮かび上がり、高速の利用も視野に入る。そう読んで、近くのインターで犯行時刻の前後で同じ車の往来を調べたところ、一台の車が引っかかった」高速の利用はそれぞれの目的により下り口周辺の滞在時間は異なる。もちろんほんの数十分でとんぼ返りする可能性もないことはない。一つの可能性として、現場に死体を捨ててすぐさま高速に引き返す一例…

  • 摩擦係数と荷重4-2

    被害者は女性、人間である。体には無数の傷と死因の鈍器による殴打。死亡推定時刻は午後9時から深夜0時にかけて。死体の発見は通報者と同一人物。思い出した、通報者の証言をもとに捜査を始めたのだった。そうだ。もし発見者の彼女が現場を通らないとすると発見は遅れた。 犯人は彼女に発見して欲しかったのだろうか。彼女の終業時刻を知っていた? 発見を恐れない場所に捨てた理由は見つかる時間が重要ではなかったから。それならば、どこに捨てようとも犯行を目撃されない場所ならばどこでも良かったと推察できる。しかし殺すことに意味を見出した犯人ならば、死体を隠していたほうが次の犯行にも挑みやすいだろう。どうして、リスクが生ま…

  • 摩擦係数と荷重4-1

    現場に残されたブレーキ痕からタイヤ及び車種の特定には至らず捜査は振り出しに戻り淡い期待も消えた。それ以降の先週はめぼしい収穫はない。そろそろ疲れの溜まり始めた熊田たちであったが時間通りに出勤してきた。今日は、直接現場には向かわずに署からの始まりらしい。 週があけた月曜日。 「おはようございます」種田が抑揚のない話し方で挨拶をする。 「はあー、おはよう」両腕でYの字を描いた鈴木がスプリングの軋む背もたれに体重を預けて大きなあくびをした。種田は空席を確認し、熊田及び部長の席が空いたままなのを入り口から見て取れたのだが、席に着きトイレや喫煙、その他別の用事で席をはずしているという選択肢をも排除した。…

  • 摩擦係数と荷重3-4

    「いいや、いい。ただの感だ。根拠なんてない。すまん。忘れてくれ」神は逃げるよう言うと素早く立ち上がり歩いていった。 灰皿を脇に寄せて種田は姿勢よく座り、窓の外、ほとんどが内部が映る景色で落ち着けた。 昔、姿勢が悪いと怒られた。 箸の持ち方が汚いと言われた。 挨拶がないといわれた。 笑えとも言われた。 遊べとも勉強しろとも本を読めとも言われた。 話すな。しゃべるな。うるさい。静かにしろ。 窮屈だった世界は押し付けの中にあって、私が取り戻せなくなる。忘れてしまったのだ。どうして私だけなんだろう。 感情が邪魔だった。いらないとおもったから捨てた。楽しくもうれしくも泣けどもその反対の悲しくもないならい…

  • 摩擦係数と荷重3-3

    早手亜矢子は特に目立つ行動を普段から取ってはいなかったようだ。つまりそれは、意外な行動を取らないと彼女から事件に結びつく線はかすかなでしかない。事件は被害者からは辿れないのかもしれないと鈴木は車のシートに落ち着けて思う。空はもうすっかり暗く、人の気配は消えていた。情報を求め、熊田と種田の2人は署に戻ってきた。夕方のラッシュに巻き込まれて大幅に余計な時間を消費し熊田のイライラが増していた。車内で長時間煙草が吸えなかったのが原因でもある。署に到着すると二階に上がるなり、熊田は喫煙室へ入っていく。そんな熊田をよそに種田は、会議室へ直行する。二件目の事件で人員が増えたために会議室にはまばらに捜査員の姿…

  • 摩擦係数と荷重3-2

    「付き合っている男性はいたと思いますか?」 「さあ」 「早手さんは車を運転しますか?」 「娘はしません」 「そうではなくて、お母さんは……」 「ああ、私ですか?はい、仕事が税理士なので車は頻繁に運転します」 「もう相当運転暦は長いでしょう」 「ええ、20年ぐらいです。それが事件と何かが関係があるのですか」 「いえ。すべて関係があるというわけではありませんがほんの些細なことが解決に繋がる場合もあるので」 「そうですか」 「刑事さんのいくつ?」 「は?私ですか、 才です」 「そう、……。娘の結婚式のドレスが、死んでから見たいと思ったの。いままでは期待なんてしていなかったのにいなくなるとみたくなった…

  • 摩擦係数と荷重3-1

    鈴木は早手亜矢子の自宅前で車を降りた。夕方。S市の中心街から電車で20分。最寄り駅に駅舎と運転所。運転所には様々な車両が留置され職員の自家用車も多数駐車されていた。 白い腰ほどの門扉。インターフォンを押す。遅れて、か細い声で返事。 「O署の鈴木と申します」 「……はい、どうぞ」出迎えはないようだ。鈴木は内側に手を入れて門の錠を外し、壁に沿った階段を昇り玄関の戸をあけ中に入る。「早手さん?」 「……お入りください」声はすれども姿は見えず、けれども落ち込んだ心情は感じられた。左右に広がる空間。右手に階段、正面左に続く廊下を進んだ。 「失礼します」ドアを開けるとリビングが飛び込んできた。リビングと続…

  • 摩擦係数と荷重2-5

    「もういただいています」 「そうですか。ごちそうさまです」 「またのおこしを」出しそびれたお金を熊田に差し出すが彼が受け取るわけもなく、すたすたと駐車場の車に乗る。鈴木は自分の車に乗り込むと、エンジンをかけて先に出てしまった。 「これ受け取ってもらわないと困ります」助手席のドアを開けたまま熊田にお金を手渡そうとする。 「おごると言っているんだ、素直に受け取れ」 「借りを作りたくはないので受け取れません」 「先輩としては当然、払うべきだろう」 「誰がそう決めたのです?絶対ですか、何か決まりでもあるのですか?」 「慣例だ」 「私に慣例は不要です。これを」 「まったく、融通が利かない」熊田がしぶしぶ…

  • 摩擦係数と荷重2-4

    熊田は美弥都が指摘した事実のみを見つめる、という言葉で事件をさらってみた。美弥都にその後の具体的な講釈を聞きたかったが鈴木の注文のために仕事が生まれてしまい、美弥都とは話せなくなった。 鈴木のアイスコーヒーの出来上がりまでに、カウンターとテーブル席の客が帰った。また、彼女の仕事が増えていく。一階には警察と美弥都だけの空間。再び熊田は美弥都へ質問を投げかけたが彼女は笑みをこぼすだけで返答は得られなかった。10℃後半から20℃弱の最高気温はこの時期の北の春には暑すぎる気候で、夜風を気にして上着を羽織れば日中は荷物になり、かといって薄着のままだと帰宅時には後悔する。鈴木は運ばれてきたアイスコーヒーを…

  • 摩擦係数と荷重2-3

    「事件についてなのですが」 「それはあなた方が考える事ではありませんか?警察に協力するのが市民の義務だなんて俗っぽいことは言わないでくださいよ」 「考えてはいますが、なにぶん頭が悪いので。どうも分からないことが多くて……」 「なにがわからないのでしょう?」熊田が話し切らないうちに美弥都が話す。「人はいつもわからないと言います。しかし、その中でどれくらいの人間が何についてわからないのかすら把握してはいません。事実だけを最初から見つめ直せば、曇った視界がいくらかは晴れるでしょう」 「抽象的」 「そうですね。ですが、すべてをこと細かく享受する義理も借りも私にはありません」目を伏せた美弥都の顔は仏像に…

  • 摩擦係数と荷重2-2

    事件か事故かまたは自殺かの区別、線引きはなされたのか。もしくは、線引き自体がそもそも捜査を混乱させているのではとも思っている。複雑に絡んだ糸が解いてみると一本ではなく二本も三本も絡み合っていた。これと似ている。決め付けての捜査はむしろ形を整えやすいが応用が利かない。普段の捜査には最適であっても、今回の事件、事故にはそぐわない。事実の積み重ねが手遅れとなる。 カランとドアベルが鳴り、女性が入ってくる。マスターと二、三言葉を交わしてカウンターの中へ。女性はここの従業員、日井田美弥都という。前に、彼女が事件に巻き込まれた関係で何度かここを訪れるようになった熊田たちと熊田の関係。彼女は髪を後ろで括る。…

  • 摩擦係数と荷重2-1

    暖簾が風に揺れる。雨から逃げるように二人は店内に駆け込んだ。 「いらっしゃい」今日は先日の女性の姿は見えない、声をかけたのはこの店の店主であった。年齢は50代ぐらい。熊田たちはカウンターに座るなりコーヒーを頼んだ。男女2名がテーブル席に一組、カウンターの位置口付近に老紳士が一名、二階にも席があるようだが一階からでは気配は感じられなかった。 「いませんね」種田が小声で話す。熊田が癖で煙草に火をつけた。 「そうだな」がっくりと肩を落とすわけでもなく熊田は澄まして答えていた。 「聞いてる」 「二件の事件に関連性は?」 「高いだろう、間隔が短い。それに、公に発表されていない点がいくつか類似する」マスコ…

  • air-j ソーラー充電器の使い方・発電量・使用感

    株式会社エアージェイが提供するポータルソーラー充電器7Wについて、モバイルバッテリー・スマートホンなどへの充電の仕方や、天候に応じた発電量、使用した感想などをまとめています。 ソーラー発電を手軽に始めたい方は、実際に使った感想を参考にして、air-j ソーラー充電器の購入を検討してみて下さい。 air-j ソーラー充電器のスペック air-j ソーラー充電器の使い方 air-j ソーラー充電器を太陽に向ける方法 ① 小物に立てかける方法 ②リングを利用した方法 air-j ソーラー充電器の発電量は? air-j ソーラー充電器の発電量【晴れ】 air-j ソーラー充電器の発電量【曇り】 air…

  • 摩擦係数と荷重1-5

    「ずいぶんとまともな答えが言えたな」 「そうですかねえ、」 「お前が言う信憑性のある証言の裏取りはとれたのか?」 「はい、その店に言って見ましたが目撃された正確な日時があいまいなので店員に顔写真を見せても覚えているものはいませんでした。彼女が訪れたのは最近ではないのかもしれません」 「……お前の見解は?」 「そうですね、判断が難しいです。けれど、確かなのは被害者から得られる情報からは犯人には結びつかないと思います」 「結論付けた理由は?」 「怨恨ではないとすると、通り魔のような無差別殺人と類似します。つまり、被害者に共通の狙われる要素は存在しない」 「分かった。次は、被害者の母親の落ち着きを待…

  • 摩擦係数と荷重1-4

    「なにもありません」額の汗を拭い種田がもう証拠品の捜索は必要ないと訴える。全身にはじっとりと気持ちの悪い汗を掻いていた。 「そうだな、もう体裁はこのぐらいで終わるだろう」熊田の言葉どおりに、2人が道路の歩道を分ける白線の内側の段差に腰を掛けると、ぞろぞろと曇ってきた空を見越すかのように制服の捜査員たちがバンに乗り込んでいく。数台に分けて車は現場を出た。別部署の現場での最高責任者が熊田に捜索の終了を告げた。誰に何を言われたとはなにもいわない。ただ、そういった命令が下っただけで私はそれに従っただけだと言いたげだった。 現場の保存は最小限に制限されて、見張りの制服警官が2名と熊田たちだけになった午後…

  • 摩擦係数と荷重1-3

    鈴木は到着後から40分前後で現場から去っていく。上層部から早急に二件の事件の関連と今後の対策、犯人の行動予測を報告するように伝えられていた。一件目から事件性を疑い増員をかけていれば、焦りを末端の熊田たちにまで露呈させる段取りの悪さが伝わらなかったはずだと、新しく駆けつけた捜査員に何度も同じ文言で事件のあらましを話しながら熊田は考えていた。スーツ姿の種田は上着を脱いでいた、情報を聞きにきた捜査員が種田を見ては彼女からきりっと睨まれていた。顔立ちは整い、眼鏡をかけている。いそいそと近寄って見ると、その機械的な口調と心まで凍ったような言動に振っていた尻尾はくるりと丸められて、まさに尻尾を巻いて逃げて…

  • 摩擦係数と荷重1-2

    明けて翌日。午前八時。快晴、ここ数日は晴れが多いと、たったの数日のデータだけで思ってしまう熊田であった。昨夜の現場に車を止めると、窓を開けておいしそうに朝食代わりに煙草を吸う。後方からエンジン音、収束。鈴木の車である。種田も同乗している。 「おはようございます」鈴木も熊田に釣られて上着のポケットから煙草を取り出して吸い始めた。種田が一緒であったのでおそらく車内では吸えなかったのだろうと熊田は思う。 「早手亜矢子の聞き込みは?」車にそっと体重を預けている熊田。重たい瞼は3人ともに共通している。 「これからです。何しろまだ朝早いですから、クリニックに行っても誰もいませんよ」鈴木は肩を竦めて言った。…

  • 摩擦係数と荷重1-1

    「こちらです」車を道路脇に止めて、2人は現場に降り立つ。場所は、昨夜の現場から直線距離にして2キロ弱の工場地帯、人気のない道路である。道路の中央には川が流れており落下防止の柵で囲われている。片側一斜線の中央に自然の分離帯。現場は野原と歩道の境目。真向かいには食品工場と金属加工の工場。空中に引かれた黄色のテープをくぐり2人はしゃがんだ鈴木に近づいた。 「どうしてお前がいるんだ?」熊田が尋ねた。 「聞き込みの帰りです。無線から現場近くにいたのが私だったようで、急遽駆けつけたんです」 「それで?」免許証を財布から取り出して熊田に渡すと鈴木が答えた。 「ええっと被害者は女性、重田さち、34歳、住所はs…

  • 空気には粘りがある6-2

    「すいません。後続車が運良く走行していなかったと仮定しても、投げ出されたのが事実であるなら犯人は複数ですね」 「崖の上から落とした可能性は?」 「それは無理だって熊田さんがおっしゃいました」 「そうだったかな、覚えてない」 「しっかりしてください。ちょっと仮眠を取られた方がいいのでは?」種田の声が高くなる。 「寝なくてもこうして座れるだけで体力は回復する」熊田が神の残していった灰皿を引き寄せて煙草を取り出した。ちらりと背後の種田を見やり、止まる。目が合う。厳しい目つきであったが許してくれそうな雰囲気を感じ取り、煙草に火をつけた。 「殺害した後に発見を示唆する犯行声明やその他の思想を誇示する文書…

  • 空気には粘りがある6-1

    熊田は軽い食事を、種田はコーヒーだけを飲み栄養と英気を養った。検死報告の結果がそろそろ出てきそうなので、二人は一度署へと戻っていく。現場は依然として保存状態を維持し、隣接する道路の通行にも若干のわずらわしさを残していた。 O市本部が熊田たちの所属する警察署である。狭い2階会議室で禁煙も省みずに煙草を吸っている鑑識の神が、ドアに背を向けて座り煙を吸っていた。 「禁煙ですよ、なんどいったらわかるんです」 「やっときたか」白い歯を見せた神の口元が緩む。 「すいません」軽く熊田は頭を下げる。真剣に謝っている様子はない。「それで、検死の結果は?」 「ああ、全身に付いた擦過傷はおそらく、現場に投げ出された…

  • 空気には粘りがある5-2

    「コートですか?」 「ええ、なんと言うか春らしい薄い水色のコートを出勤のエレベーターでみた記憶があります」 「クリニックに内に更衣室は?」 「あります。もちろん男女分かれています」つまり、彼女のコートが見られるのは行き帰りのエレベーターしかないと、言いたいのだろう。 「他に何か気づいたことは?」 「うーん、これと言っては何もないかな。それより彼女どうして亡くなったのです?」院長は探るように鈴木の目を覗く。 「他言しなとお約束していただけるなら、話してもかまわないです。でも、まだ、正直事件か事故かの判断はなされていません」 「普通の死に方じゃなかったんですね」 「まあ、そうですね」鈴木は曖昧にイ…

  • 空気には粘りがある5-1

    本日二度目の来院でも、やはり特有のにおいは出入りのたびに感じられる。鈴木はエレベーターを降りて受付に顔を向けたときに、待合室から声がかかる。 「刑事さん」院長の印象は鈴木が想像よりもはるかに若々しい。 「どうも、少し遅れてしまって……」居眠りをしていたとはいえず、咄嗟に言い訳を考えようとしたが院長の表情に鈴木への追求はにじみ出ていなかった。 「ちょうどですよ。さあ、いきましょうか」どこへ行くのかは打ち合わせにはなかったが、問いかけずに院長の後に続いて再び箱で地上に降りていった。 2人は、地下へと潜る。地下鉄の出口はこのあたりにはそこかしこにあり、クリニック近辺は改札口に近いこともあって、飲食店…

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