日本から流れ寄ってきた若者たちとおなじフラット(アパートのこと)の3階に、ルミ子とあたしは大きなトランクを放り込み、とりあえず洋服ダンスに衣服を吊るした。 …
日本から流れ寄ってきた若者たちとおなじフラット(アパートのこと)の3階に、ルミ子とあたしは大きなトランクを放り込み、とりあえず洋服ダンスに衣服を吊るした。 …
地下鉄のベーズウォター駅で降り、でっかいトランクを引きずりながら、「ポーチェスターストリート」というところへやってきた! ひとつの通りの右手、手前から終わり…
「ロンドンは安いって言っていたじゃない!」とルミ子が言う。 フ~ン、そうだったかなぁ?「パリは高いし‥‥ねぇ、ロンドンへゆこうよ」とまたルミ子が言う。 それじ…
パリに一週間ぐらい逗留したと思っていた‥‥けれど‥‥ いや、案外2~3日だったかも??? ルミ子とアタシのパリ滞在は‥‥明日からどうするか‥‥わからない間の…
パリの、サンジェルマンの、いちばん安いホテルに泊まった。 部屋には、トイレみたいな【ビデ】がデ~~~ンと在って‥‥多分、多分、あのあたりの安ホテルは‥‥娼婦…
パリ? ルミ子もアタシも、生まれてはじめてだ! でも‥‥少しは知っている! 世界のパリ‥‥小説で読んだ。映画で観た! 多分‥‥日本と違う! でも‥‥何が…
1970年4月5日‥ 初めてのパリは、凱旋門で待ち合わせた友人のスッポカシからはじまった。 待ち合わせた沢田画伯は、一時間待っても、とうとう現れなかった! …
はじめてパリを訪れた日‥‥1970年4月5日でした。 はじめてのパリ、4月5日のパリは、いやぁ、寒かった! 凱旋門で待ち合わせた知人が、約束を裏切ってスッポ…
2023(令和5)年2月20(月)晴れ 暖かくて春の陽射し♪ しごと部屋から見る空は、雲ひとつなく晴れわたっている! 春は「光」から! 春が微笑みながらや…
わぁ、2022(令和3)年 も 終わりがすぐソバになった! 今年一年も、コロナ禍下の、夏の暑さには勝負負け ザマシタ!!! コロナがはびこって以来、毎年、夏は…
ロベルトは戸惑ったようにつったっていたが、やがてテーブルをまえに座ると、うるんだような大きな青緑色の瞳で、何かを訴えるようにわたしを見つめた。しかし、何も…
では! ロベルトと、別れの時がきたのだろうか! くるべき時が迫っているのが、わたしには信じられなかった。この甘美なときが、未来永劫つづくとでも思っていた…
いまわたしの脳裏から、店内の風景は消え去っていた。大柄なオトコたちはいなくなり、頭上にまわる大きな扇風機だけが、わたしの瞳の端っこに奇妙な絵を描いていた…
ふと、ロベルトを連れてホテルを取ろうか、と思った。もしバスが出そうにないなら、暖かいシャワーを浴び、汗と埃でくたくたになった体を洗い流して、ゆっくりとベッ…
どのくらい時が経ったのだろう。ふと思い出して、かたわらのロベルトを見降ろすと、彼もまた呆然と口を開けたまま、驚愕に満ちた眼差しを、ヒシとばかり死者に投げか…
「誰かが死んだンだって・・・・」 予想外な言葉だった。ヘエーッと言ってロベルトを見ると、凍りついたようなロベルトの顔には表情がなく、放心したように唇が半開きに…
そのまま、しばらく時間が過ぎた。張りつめていた緊張が弛緩したように、群衆の輪がゆるんで、うんざりしたようなため息が聞こえてきた。 と、そのうちにまた、ひ…
(三) いったい何分が、いや何時間が経ったのだろうか? 突然、周囲が、どっという喚声でざわめき立った! はっとして我にかえり、わたしはとっさに、…
「ジャポンって、知っている?」 「ン、ン」 と少年は、立てた人差し指を横に振った。 「あなたが
「ジャポンって、知っている?」「ン、ン」 と少年は、立てた人差し指を横に振った。「あなたが立っている、ちょうどその反対側にあるのよ」 少年は驚いたように、青緑…
もちろんわたしは自分で働き、自分で得た金銭で旅をしている。そのかぎりにおいて、人からとやかく言われる覚えはない。しかし、この少年をこのまま見捨てるのは、人間…
哀切の思いよりも、いまは・・・・妬ましい思いに駆られて少年を見つめながら、わたしは、自分がいまだ知らない体験を乗り越えてきた少年に対して、畏怖の念にも似た敬…
幸か不幸か、いまだかつてわたしは自分の身のまわりで、身近かな人の死にあったことがなかった。祖父は三才のときに死んだが、身近かな存在ではなかったし、まだ幼な…
フイに、冷ややかな石だたみの感触がわたしの背筋を這いのぼってきた。さっき街をぶらついたときに見た、庇(ひさし)というほどの屋根の出っぱりもない壁づくりの四…
少年に背を向けられ、ひとりぽっちになってみると、思いだしたように不安が波立ちはじめる。この先、ここにいる大勢のオトコたちと、どうやって空席を奪い合うのだ…
飽かず眺めつづけるわたしの視線を、少年は憮然として受けとめていたが、さすがに当惑したように目線を落として、またボソボソした声で言った。「どうしても描いて…
飽かず眺めつづけるわたしの視線を、少年は憮然として受けとめていたが、さすがに当惑したように目線を落として、またボソボソした声で言った。「どうしても描いてく…
振りむいた少年の顔は、椅子に座っている私の顔とほとんどおなじ高さにあって、透きとおるほど白く細っそりとして、綺麗な顔立ちだった。 少年はやがて、ズボン…
(三) 大勢の異人種のオトコたちの間で、わたしはたった、ひとりぽっちだった。だれも話しかけてくるものはいなかった。これまで通ってきたブラジルとは、まったく様…
それにしても‥‥こんな小さな街から、どうしてこんなに大勢のお客が途中乗車するのだろう。さっぱり分からない。悪い夢でも見ている気分だ。見わたせば店内は男…
とっぷりと暮れた夜の暗闇の下、見ず知らずの街をたった独り不安にまみれてうろついた末、ようやくたどり着いた「国際バスの停車場」は、中華料理店の通りに交差する…
おやまぁ、こんなところを『国際バス』が通過するのだろうか? とても不安になったが、考えてみれば、こんなへんぴな街から国際バスに乗る人など、いないのかも…
「街道筋」でバスを降ろしてもらうと、あたりは人家の明かりひとつ見当たらない。コンクリートづくりのプラットフォームらしきものはあるが、わたしの背の丈ほどの雑…
ヒコーキはありません、という言葉だけがはっきりと聞こえた。 なんですって!と、今度はわたしの方が青くなった。 「ヒコーキはない? どうしよう!」 す…
(二) 地図を開くまでは知らなかった「リオ・グランデ」は、ブラジル南部最大の都市ポルトアレグレの「となり町」である。隣町とはいえ50…
広大な南米大陸の旅である。旅の途上、訪ねる街々をゆっくり堪能しようと思えばヒコーキに乗る方がいい。しかし‥‥バスの方が、移動の料金はずっと格安だし、それに・…
ウルグァイとの国境も近くなったからか、街中には、壁面に白いコテの跡を残したスペイン風のレストランなどもあり、サンバに代わって、独特の歯切れのいいタンゴが聞こ…
(一) ペロゥタスという名の街はわたしにとって、不案内な旅上の手違いから偶然たちよることになった、ほんのバスの乗りつぎ地点にすぎなかった。 それは、南…
すっかり秋が深まりました!皆さま、いかがお過ごし???わたくし、久しぶりにまた、ブログを開始しようと思い立ちました♪ 実は‥‥今年もコロナ禍下の猛暑に焼かれ、…
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日本から流れ寄ってきた若者たちとおなじフラット(アパートのこと)の3階に、ルミ子とあたしは大きなトランクを放り込み、とりあえず洋服ダンスに衣服を吊るした。 …
地下鉄のベーズウォター駅で降り、でっかいトランクを引きずりながら、「ポーチェスターストリート」というところへやってきた! ひとつの通りの右手、手前から終わり…
「ロンドンは安いって言っていたじゃない!」とルミ子が言う。 フ~ン、そうだったかなぁ?「パリは高いし‥‥ねぇ、ロンドンへゆこうよ」とまたルミ子が言う。 それじ…
パリに一週間ぐらい逗留したと思っていた‥‥けれど‥‥ いや、案外2~3日だったかも??? ルミ子とアタシのパリ滞在は‥‥明日からどうするか‥‥わからない間の…
パリの、サンジェルマンの、いちばん安いホテルに泊まった。 部屋には、トイレみたいな【ビデ】がデ~~~ンと在って‥‥多分、多分、あのあたりの安ホテルは‥‥娼婦…
パリ? ルミ子もアタシも、生まれてはじめてだ! でも‥‥少しは知っている! 世界のパリ‥‥小説で読んだ。映画で観た! 多分‥‥日本と違う! でも‥‥何が…
1970年4月5日‥ 初めてのパリは、凱旋門で待ち合わせた友人のスッポカシからはじまった。 待ち合わせた沢田画伯は、一時間待っても、とうとう現れなかった! …
はじめてパリを訪れた日‥‥1970年4月5日でした。 はじめてのパリ、4月5日のパリは、いやぁ、寒かった! 凱旋門で待ち合わせた知人が、約束を裏切ってスッポ…
2023(令和5)年2月20(月)晴れ 暖かくて春の陽射し♪ しごと部屋から見る空は、雲ひとつなく晴れわたっている! 春は「光」から! 春が微笑みながらや…
わぁ、2022(令和3)年 も 終わりがすぐソバになった! 今年一年も、コロナ禍下の、夏の暑さには勝負負け ザマシタ!!! コロナがはびこって以来、毎年、夏は…
ロベルトは戸惑ったようにつったっていたが、やがてテーブルをまえに座ると、うるんだような大きな青緑色の瞳で、何かを訴えるようにわたしを見つめた。しかし、何も…
では! ロベルトと、別れの時がきたのだろうか! くるべき時が迫っているのが、わたしには信じられなかった。この甘美なときが、未来永劫つづくとでも思っていた…
いまわたしの脳裏から、店内の風景は消え去っていた。大柄なオトコたちはいなくなり、頭上にまわる大きな扇風機だけが、わたしの瞳の端っこに奇妙な絵を描いていた…
ふと、ロベルトを連れてホテルを取ろうか、と思った。もしバスが出そうにないなら、暖かいシャワーを浴び、汗と埃でくたくたになった体を洗い流して、ゆっくりとベッ…
どのくらい時が経ったのだろう。ふと思い出して、かたわらのロベルトを見降ろすと、彼もまた呆然と口を開けたまま、驚愕に満ちた眼差しを、ヒシとばかり死者に投げか…
「誰かが死んだンだって・・・・」 予想外な言葉だった。ヘエーッと言ってロベルトを見ると、凍りついたようなロベルトの顔には表情がなく、放心したように唇が半開きに…
そのまま、しばらく時間が過ぎた。張りつめていた緊張が弛緩したように、群衆の輪がゆるんで、うんざりしたようなため息が聞こえてきた。 と、そのうちにまた、ひ…
(三) いったい何分が、いや何時間が経ったのだろうか? 突然、周囲が、どっという喚声でざわめき立った! はっとして我にかえり、わたしはとっさに、…
「ジャポンって、知っている?」「ン、ン」 と少年は、立てた人差し指を横に振った。「あなたが立っている、ちょうどその反対側にあるのよ」 少年は驚いたように、青緑…
もちろんわたしは自分で働き、自分で得た金銭で旅をしている。そのかぎりにおいて、人からとやかく言われる覚えはない。しかし、この少年をこのまま見捨てるのは、人間…
日本から流れ寄ってきた若者たちとおなじフラット(アパートのこと)の3階に、ルミ子とあたしは大きなトランクを放り込み、とりあえず洋服ダンスに衣服を吊るした。 …
地下鉄のベーズウォター駅で降り、でっかいトランクを引きずりながら、「ポーチェスターストリート」というところへやってきた! ひとつの通りの右手、手前から終わり…
「ロンドンは安いって言っていたじゃない!」とルミ子が言う。 フ~ン、そうだったかなぁ?「パリは高いし‥‥ねぇ、ロンドンへゆこうよ」とまたルミ子が言う。 それじ…
パリに一週間ぐらい逗留したと思っていた‥‥けれど‥‥ いや、案外2~3日だったかも??? ルミ子とアタシのパリ滞在は‥‥明日からどうするか‥‥わからない間の…
パリの、サンジェルマンの、いちばん安いホテルに泊まった。 部屋には、トイレみたいな【ビデ】がデ~~~ンと在って‥‥多分、多分、あのあたりの安ホテルは‥‥娼婦…
パリ? ルミ子もアタシも、生まれてはじめてだ! でも‥‥少しは知っている! 世界のパリ‥‥小説で読んだ。映画で観た! 多分‥‥日本と違う! でも‥‥何が…
1970年4月5日‥ 初めてのパリは、凱旋門で待ち合わせた友人のスッポカシからはじまった。 待ち合わせた沢田画伯は、一時間待っても、とうとう現れなかった! …
はじめてパリを訪れた日‥‥1970年4月5日でした。 はじめてのパリ、4月5日のパリは、いやぁ、寒かった! 凱旋門で待ち合わせた知人が、約束を裏切ってスッポ…
2023(令和5)年2月20(月)晴れ 暖かくて春の陽射し♪ しごと部屋から見る空は、雲ひとつなく晴れわたっている! 春は「光」から! 春が微笑みながらや…
わぁ、2022(令和3)年 も 終わりがすぐソバになった! 今年一年も、コロナ禍下の、夏の暑さには勝負負け ザマシタ!!! コロナがはびこって以来、毎年、夏は…
ロベルトは戸惑ったようにつったっていたが、やがてテーブルをまえに座ると、うるんだような大きな青緑色の瞳で、何かを訴えるようにわたしを見つめた。しかし、何も…
では! ロベルトと、別れの時がきたのだろうか! くるべき時が迫っているのが、わたしには信じられなかった。この甘美なときが、未来永劫つづくとでも思っていた…
いまわたしの脳裏から、店内の風景は消え去っていた。大柄なオトコたちはいなくなり、頭上にまわる大きな扇風機だけが、わたしの瞳の端っこに奇妙な絵を描いていた…
ふと、ロベルトを連れてホテルを取ろうか、と思った。もしバスが出そうにないなら、暖かいシャワーを浴び、汗と埃でくたくたになった体を洗い流して、ゆっくりとベッ…
どのくらい時が経ったのだろう。ふと思い出して、かたわらのロベルトを見降ろすと、彼もまた呆然と口を開けたまま、驚愕に満ちた眼差しを、ヒシとばかり死者に投げか…
「誰かが死んだンだって・・・・」 予想外な言葉だった。ヘエーッと言ってロベルトを見ると、凍りついたようなロベルトの顔には表情がなく、放心したように唇が半開きに…
そのまま、しばらく時間が過ぎた。張りつめていた緊張が弛緩したように、群衆の輪がゆるんで、うんざりしたようなため息が聞こえてきた。 と、そのうちにまた、ひ…
(三) いったい何分が、いや何時間が経ったのだろうか? 突然、周囲が、どっという喚声でざわめき立った! はっとして我にかえり、わたしはとっさに、…
「ジャポンって、知っている?」「ン、ン」 と少年は、立てた人差し指を横に振った。「あなたが立っている、ちょうどその反対側にあるのよ」 少年は驚いたように、青緑…
もちろんわたしは自分で働き、自分で得た金銭で旅をしている。そのかぎりにおいて、人からとやかく言われる覚えはない。しかし、この少年をこのまま見捨てるのは、人間…