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  • 任侠映画総覧計画番外地『抗争の挽歌』やくざ成分ひかえめ、映画愛てんこ盛り

    およそVシネを観るときに期待感なんてモノは毛ほども抱かないのが常なのだが、いざ観てみると「案外と面白かった!」なんてのがあるから参る。 『破門組』に続いて、助さん退任後Vシネ界に活路を見いだしたものの弟・本宮泰風のパチモンみたいな立ち位置でパッとしない原田龍二主演作を拝見。 ところがびっくり、期待値ゼロで観たから案外イケた……とかいう次元の話じゃなく、ホントに面白でないのコレ。 『抗争の挽歌』(2013年10月リリース作品 72分)制作協力:アスプロスドラーゴ/制作:メディア・ワークス製作・発売:コンセプトフィルム/販売:オールインエンタテインメント製作:及川次雄/企画:山本ほうゆう/営業統括…

  • 時代劇名曲集……勝手にリミックス!

    Vシネやらセガールやら、随分とやくざ度合いが増してきてしまったこのブログ。ちょっとばかり本分に立ち返って時代劇絡みの話題を載せてみたい。 時代劇のCD。 主題歌や名曲オープニングテーマなどを集めた円盤。 ペリー荻野サン監修の『ちょんまげ天国』をはじめ数々のコンピレーション・アルバムが出されており、アチシも網羅とまではいかないまでも幾らか手元に持っている。 もっともこのジャンル、各アルバムで重複は多かったりして、集めれば集めるほど『旅愁』やら『だれかが風の中で』といった定番の名曲がダブりまくることになるのだが……。 そんな中でもひときわヒネった選曲がイカしていて繰り返し愛聴してしまうアルバムがあ…

  • 沈黙の映画評『沈黙の処刑軍団』今となっては佳作クラス

    セガール映画は新作が出るたび駄作度に拍車がかかる。 おかげで少し前のものを観直してみると「案外イイじゃないの」と思えてしまう。遡っていくと『沈黙の陰謀』あたりですら大傑作にみえてしまうから困る。 リリース当初はダメだコリャとしか感じなかった本作も、6年を経たいまからすると「案外イイじゃない」のクチに入る。 沈黙の処刑軍団【洋画 中古 DVD】ゆうパケット可 レンタル落ち価格:499円(税込、送料別) (2019/12/25時点) 『沈黙の処刑軍団』(2013年11月・米 ビデオスルー作品)原題“FORCE OF EXECUTION” =直訳:実行力勝手に邦題『ショック療法』 エグゼクティブ・プ…

  • 純粋に楽しんだ映画たち

    今年は後半に入ってからやたらと映画をよく観た。 金もないのに映画館に行ってミーハーなメジャー作いっぱい鑑賞しちまった。 『屍人荘の殺人』浜辺美波ちゃんきゃわいいねえ、ってだけの映画かと甘く見ていたら思いのほか楽しまされて満足してしまった。 『蜜蜂と遠雷』松岡茉優ちゃんきゃわいいねえ、ってだけの映画かと甘く見ていたら思いのほか楽しまされて満足してしまった。 『葬式の名人』あっちゃん(前田敦子)きゃわいいねえってだけの映画かと甘く見ていたら(以下略)。 『アイネクライネナハトムジーク』多部未華子ちゃんきゃわいいねえってだけの(以下略)。 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』マーゴット・…

  • 任侠映画総覧計画番外地『破門組 仁義なき戦争2』は堀田眞三に始まり堀田眞三に終わるのであった

    ところでこれは世間にもろもろ重大な事柄が沢山あり大まじめに論じられたほうがいいことが山積しているなかにあってオトロシいまでにどうでもよく取るに足らない問題なのだが、さりとて気がついてしまったからには簡単に捨て置くこともできない引っかかりであるゆえ指摘したい。 『破門組』にはサブタイトルがある。DVDパッケージにも、通販・個人のレビュー引っくるめたあらゆるwebサイトにも記されていないが、本編の画面を見ると『破門組 仁義なき戦争』となっている。 ついでに言っておくとDVDパッケージのスタッフ表記もエエカゲンなもので営業統括が人見剛史になっている。これも映像をきちんと確認したら木山雅仁なので併せて…

  • 任侠映画総覧計画番外地『破門組 仁義なき戦争』

    以前エラそーに任侠映画の定義づけなんぞしてみたことがあるけれど、そこでアチシはこのブログ内不定期連載(気が向いたら書くだけ)「任侠映画総覧計画」で取り扱う作品を東映のある時期に絞った“それっぽい”ものとひとまとめにしてみせた。 chanbara310.hatenadiary.jp 舌の根、乾いちゃおりません。 でも早速あさっての方向へと脱線してやらァ。 てなワケで今回はVシネをひとつ。任侠映画総覧計画の箸休め脇道ってェことで、番外地とでもしておきやしょう。番外地から帰って来られますといいんでやすがね。 Vシネという言葉も難しいもので、本来なら東映により商標登録されているのだから、他社のOV(オ…

  • 任侠映画総覧計画『日本暗黒史 情無用』──桜町弘子がイイのである!

    一年半も放置しっぱなしだったのかコレ。ご無沙汰の「任侠映画総覧計画」は、モノホン上がり・安藤昇組長主演作だッ! 『日本暗黒史 情無用』(1968年1月/東映京都) 脚本:佐治乾、小野竜之助 監督:工藤栄一 出演:安藤昇、桜町弘子、山城新伍、永山一夫、遠藤辰雄、潮健児、菅貫太郎、加賀邦男、志摩靖彦、藤岡重慶、堀田真三、林彰太郎、唐沢民賢、中村錦司、佐々木孝丸、小池朝雄、安部徹、渡辺文雄 前年(1967)の『日本暗黒史 血の抗争』に続くシリーズ第二作……といっても作品同士の繋がりはない。プログラム・ピクチャーってそんなんばっかりだと判っておる人は判っておられましょうが念のため。 安藤組長演じるイン…

  • 祭りのあとにさすらいの日々を

    何てこったい……。 ショーケンこと萩原健一の訃報に呆然。 好き嫌いの激しいアチシだが、どうにも嫌いになれない俳優のひとりである。いや、嫌いになれない俳優のひとり「だった」と過去形にしなくてはならないのか。 ファミリー劇場の『太陽にほえろ!』マカロニ刑事編は大詰めを迎えようとしているが、追悼放送になってしまった。 太陽にほえろ! マカロニ刑事編1 DVD-BOX(初回生産限定) [DVD]価格:30943円(税込、送料別) (2019/3/29時点) 太陽にほえろ! マカロニ刑事編2 DVD-BOX(初回生産限定) [DVD]価格:28639円(税込、送料別) (2019/3/29時点) マカロ…

  • 御用牙(1972)

    コレ前に観たのっていつだっけ……ってな久々の再見だが、最初の衝撃を上回るくらいの打ちのめされる映像体験に戦慄。 やはり三隅研次監督は天才にしてキチガイだ! 型破りな同心・板見半蔵の活躍を描く小池一夫(一雄)・神田たけ志の劇画『御用牙』を折からの劇画映画化ブームに乗って勝プロダクションが放った同題作品第一弾。同じく小池一夫作品である若山富三郎・主演『子連れ狼』シリーズと抱き合わせ二本立て興業でのプログラムってのがまた飛び切りイカレていて素晴らしい。 北町奉行所隠密廻り同心・板見半蔵(勝新太郎)は、奉行(小林昭二)を前に“形式だけの”誓詞血判を批判、奉行所内の腐敗堕落ぶりをぶち上げるという横紙破り…

  • ミッション東映太秦映像

    このところのホームページ(チャンバラ狂時代)更新は、長七郎やら八百八町夢日記やらあばれ八州やら、ほぼ東映太秦映像の作品ばっかりになっている。 ご大層な言い方をするならば、テレビ時代劇を中心に、製作に携わっているキャスト・スタッフ陣の分布図を体系的に俯瞰するアーカイヴみたいなものをこしらえたいというのがアチシの見果てぬ夢なのだが、そんな野望のプロセスにあって眼前に立ちはだかるひときわ巨大な壁のひとつが東映太秦映像(旧・東映京都制作所)である。 さすがにTBSのナショナル劇場を一手に引き受けていただけあって、作品量が膨大なのだ。 『水戸黄門』だけでも1000本オーバー。『大岡越前』は約400本。『…

  • ホームページの移行

    寝耳に水だったが、Yahoo!ジオシティーズは来年3月いっぱいでホームページのレンタルサーバーを終了するとのこと。 ジオのファイルマネージャは非常に使い勝手がよかったので、実に弱る。 ブログ全盛期も既に過ぎ、SNSの時代なのだろうか。 ファイルマネージャでシコシコとHTMLタグを打ち込んでウェブサイトをいじっている人間なんぞ、企業側からするとあまり“喰い物にならぬ”無価値なものなんでしょうなァ。 わがホームページ(チャンバラ狂時代)トップにも告知を出したが、直前にアタフタするのは厭なので、早めにお引越し用意をしておくこととする。 自分では勝手にライフワークみたく思い、穴だらけのリストを少しずつ…

  • トリッセンエンタープライズ制作って?

    先日『MIFUNE:THE LAST SAMURAI』(なんとびっくり製作はC・A・Lじゃないか!)という映画を観て、物凄くムカッ腹が立った。三船敏郎のドキュメンタリーとは嬉しいじゃないか、と期待タップリだったぶん幻滅が尋常でない。 なんのことはないミフネの旦那をダシにして、手垢のついた「クロサワ監督凄いね」の話を繰り返しているだけの映画ではないか。 “黒澤明監督作品の主演スター”としてしかミフネを論じない風潮にはウンザリなのだが、その悪弊は一向に衰えることを知らない。観終わったあとのアチシの顔はプロダクション社長時代のミフネばりに苦虫を噛み潰したようなしかめっ面であった。 律儀すぎる人柄ゆえ…

  • HP更新のこと、東映太秦映像のこと、編集技師のこと

    このところ、割とコンスタントにホームページ(チャンバラ狂時代)更新ができている。 手元に紙媒体で資料が溜まりまくっている年別放送リストも、やっとこさ1989年分がまとまったので載せるまでにこぎつけた。 その他、松方弘樹の『名奉行遠山の金さん(4)』は時代劇専門チャンネルの放送によってスペシャル版まで全て録画完了したのでサブタイトルリストをどどーんと追加。『水戸黄門(17) 』に2時間ドラマ京都殺人街道シリーズなんかもアップ。自己満足に浸るにはデータ量が少なすぎてアレなのだが……。 【送料無料】水戸黄門 DVD-BOX 第十七部 【DVD】価格:24255円(税込、送料無料) (2018/6/2…

  • テレビで右太衛門御大の旗本退屈男!

    今月から、東映チャンネルにてテレビ版『旗本退屈男』(1973-74)が放送されている。北大路欣也のじゃなくって、市川右太衛門ヴァージョンである。高橋英樹・主演『編笠十兵衛』が終わって次は『十手無用 九丁堀事件帳』でもやってくれんかなァと思っていたら、まさかの早乙女主水之介。いずれにせよ観たかった作品なので、東映チャンネル様様には感謝しきりである。 御年66歳の右太衛門御大がテレビで退屈男を……って、当時の視聴者はどう受け止めたんであろうか。アウトロー時代劇全盛とも言える時期に、随分とアナクロな企画だったのではないか。当時どんな作品があったのかは、我がホームページに 〈1973年放送の時代劇 〉…

  • 無宿人御子神の丈吉 川風に過去は流れた

    あれーッ、岐阜・柳ケ瀬のロイヤル劇場(http://www.tochiko.co.jp/royal.html)で原田芳雄・主演『無宿人御子神の丈吉 川風に過去は流れた』(1972)なんてェのやってるじゃない! ってんでイソイソと鑑賞に駆けつけたアチシでありました。 さすがにお蔵入り映画である中村敦夫・主演『夕映えに明日は消えた』(1973)みたいなレアものは難しいであろうが、充分お宝といえる作品(海外版しかDVDが出ていない……)を大画面で観られるとあってマニアは居ても立ってもいられなくなるのであった。 入場料500円の入れ替えなし。ええ観ましたとも、二回半みっちりと。一回目の終盤と二回目の中…

  • 三船プロがテレビ時代劇に与えた影響

    ホームページ更新、どどんと単発ドラマを増量中。いずれも三船プロ作品。 球形の荒野(1981) 描かれた女(1985) 鼠小僧次郎吉 必殺の白刃(1983) 密偵(1983) ちょっと三船プロ関連のデータを強化していかねばナ。ずっと思っていることなのだが、思っているだけじゃ仕様がない。 日本において映画産業が翳りを見せてきた60年代、東宝スターである三船敏郎自らが、思い通りの映画作りをするべく立ち上げたのが三船プロダクションだ。 大作時代劇を続々と放ち、当初は目的に違わぬ気焔を吐いたものの、やはり時代の趨勢なのか興行成績は伸び悩み、1970年『待ち伏せ』大コケが決定打となって映画製作からテレビド…

  • おくやみ──木下忠司・井上堯之

    新聞の訃報記事から。 作曲家の木下忠司氏、死去。 なんと! いわずと知れた木下恵介監督の実弟、数々の映画やテレビの音楽を作った巨匠だ。 4月30日、老衰で。102歳とのことである。 失礼ながら、もう既に鬼籍に入られていたかと思っていた人物だったため、二段階の驚きだった。即ち「エッ、まだ存命だったの」「ああっ、亡くなったのか」というステップを踏んだびっくり。 案の定、見出しは〈「水戸黄門」主題歌〉で、記事先頭に挙げられるのは『喜びも悲しみも幾歳月』と『水戸黄門』……やっぱりそのあたりが代表作なんであろうか。 兄・木下恵介監督作品はもとより、その他映画やテレビドラマ劇伴にだって名作は多い。 テレビ…

  • 5月・6月 時専の予定から

    時代劇専門チャンネルの今月、来月予定から目玉をピックアップ……。何も宣伝役を買って出なくてもいいのだが。ゼニ貰える訳でもないのに。ゼニ貰える訳でもないのに!(←ここ過剰に強調しまっせ) 何年も契約続けていると、延々同じのばっかりリピートしているなァという印象を強く抱いてしまうものだが、ごくわずかに目新しいものが紛れ込んでいるので中々切れないのである。 まずは今月の作品。 既に放送された『名奉行遠山の金さん(3)』#18スペシャル「美女の陰謀! 関八州あばれ旅」は既に鑑賞、データ採取。ホームページにいち早く反映済み。 →名奉行遠山の金さん(3) -チャンバラ狂時代 テレ朝(元・NET)&東映の金…

  • そのお蔵入り、シミケンにつき

    やれやれ、謎が解けてすっきりしたわい。 というのは松方弘樹・主演『名奉行遠山の金さん』第2シリーズ#10「誤審?殺人犯の妹」に関して。 この回、地上波再放送の際ではいつも飛ばされ、これまで視聴が叶わなかった。このたび時代劇専門チャンネルにてようやく初見。 → チャンバラ狂時代・テレビ時代劇資料庫『名奉行遠山の金さん(2) 』サブタイトルリストの穴が埋まったぞう。 何のことはない清水健太郎が出演していたのだ。そりゃー地上波はパスするでしょうて。 逆にとらえれば時専はシミケンも構わず放送するてェ訳で、この先、第5シリーズ#31(最終回)「帰って来た暴れん坊」も気兼ねなく観ることができる。 それに引…

  • 時代劇ライフ2018年2月

    今月はちっともホームページ(チャンバラ狂時代)が更新でけんかったのう……。 更新したかと思ったら唐突に2時間ドラマのデータだったりして、また新ページ乱立して放置のパターンが続くんではないかなどと我ながら不安になってくる。 →京都殺人案内 -チャンバラ狂時代 しかしながら、狭い世界である映画・テレビ制作業界、スタッフ陣の仕事を辿っていると、時代劇関係の人たちも当然、現代劇の現場でも活躍しているのである。スタッフクレジットを眺めるのが最大の楽しみみたいなアチシにとって、「あっ、このキャメラマンがこんなところでも!」なんて発見をしたりするのは、無上の喜びなのだ。 てなワケで時代劇スタッフ人別帳ともま…

  • 時代劇ライフ2018年1月

    寒い。とにかく寒い。灯油を買う銭も尽きた。ガタガタ震え、かじかんだ手でペンを取って資料整理に明け暮れる生活もとっくにマイナス会計に突入している。 働かなくっちゃ喰えないのだが、なにしろ働くのが嫌で仕方ない素浪人である。時代劇の世界なら辻斬りか強請りたかりに身を染めているクチかもしれない。 ここで宣言しておいたテレビ版『柳生武芸帳』ページ作り、なんとか1月中に実行。現存の初回映像は確認できていないが、この番組に関してこれ以上詳しく情報を得ようと思ったら、当時の台本でも発掘されるのを待つしかないのであろうか……。 出演者の顔ぶれから察すると、北竜二の役は松平伊豆守あたりだろうか。いや土井大炊頭も考…

  • 雪の日のホームページ更新

    ベランダの手すりに23ミリも雪が積もった。寒くって仕様がない。 今日も今日とて心を虚しうする賃労働を終え、帰り図書館に寄って時代劇絡みの調べ物をしてきたのだが、一歩踏み出ると雪景色になっていて大いにぶったまげてしまった。 アスファルト上、人に踏まれる頻度の高いあたりは半溶けのシャーベット状になり、とても自転車で帰れたもんじゃねえってんで泣く泣く停め置きして地下鉄帰宅。わずかな電車賃の出費にも歯噛みして口惜しがる素浪人でござんす。 何であろう、非生産的な一日を送るのが無性に恐い。強迫観念のようなものに囚われて、データ採りであるとかHP更新であるとかいった何かをしないで一日を終えたくないのだ。 本…

  • とても精力的な新年の辞

    ああ気がついたら2018年になっている。遅いって? その通りです。 新年の抱負だの目標だの、意気込む気配がさらさらないボウフラ人間のこととて、今年もまァそこそこにやっていくことでありましょう。 ボウフラも喰い繋ぐのに必死で、あまりご大層な目標なんぞ掲げたら潰れてしまう……現に昨(2017)年の頭、気張ってここに書き散らしたこと、全く果たせていない体たらくである。 chanbara310.hatenadiary.jp せめて結束信二あたりの資料はまとめて「時代劇スタッフ人別帳」に上げたいのだが。 その前にひとつ片付けておきたいのは、今や視聴困難な作品ながら当時の新聞ラテ欄を洗い、ある程度のデータ…

  • 任侠映画総覧計画『昭和残俠伝 吼えろ唐獅子』

    東映が誇る看板シリーズ『昭和残俠伝』全9作のうち、8作目にあたる。 最高傑作と称される第7作『死んで貰います』を頂点にやはり翳りは隠せないラスト二作(『吼えろ唐獅子』『破れ傘』)は、任侠映画ファンにとって些か複雑な思いを抱かせる作品に仕上がっている。何となれば、テコ入れのつもりなのかスペシャルゲスト的に鶴田浩二が投入されているのだ。 高倉健・池部良の二枚看板をもって様式美が形作られてきたシリーズに、もう一人の雄・鶴田のおっさんが放り込まれるとは! そして実際そのことによって残俠伝ワールドのパワーバランスは崩されてしまったように見受けられるのである。 『昭和残俠伝 吼えろ唐獅子』(1971年10…

  • 沈黙の映画評『アウト・フォー・ジャスティス』暴力刑事の極致

    久々になってしまったがセガール映画評シリーズ、今回は初期作品のコレだッ! アウト・フォー・ジャスティス [ ウィリアム・フォーサイス ]価格:1000円(税込、送料無料) (2017/12/8時点) この映画ではセガールが『刑事ニコ/法の死角』同様イタリア系の刑事ジーノを演じる。幼馴染で相棒刑事のボビー(ジョー・スパターロ)がヤク中のやくざ者リッチー(ウイリアム・フォーサイス)に白昼射殺され、復讐に燃えるというそれだけの筋書き。 しかしリッチーもまたジーノやボビーと同じ街で共に育った幼馴染であり、ジーノは彼の両親に随分と世話になっている……とくれば何やら葛藤がありそうなところだが、そこは復讐と…

  • 任侠映画総覧計画・幕間

    任侠映画という呼称、思えばひどく漠然としている。大きなくくりで捉えてしまうと、「任侠精神を持った主人公の登場する映画」ということになるだろうか。 間違っちゃいけないのは任侠=やくざではない点。実際、東映任侠路線華やかなりし頃の代表的シリーズ『日本侠客伝』の主人公たちは、やくざではない場合もあった。鳶職なり人足なり、男を売りとする稼業の“侠客”たちであった。 日本侠客伝 [ 高倉健 ]価格:2487円(税込、送料無料) (2017/12/4時点) とはいえ圧倒的にやくざモノが多いこのジャンル、昨今レンタル屋で「任侠」とカテゴライズされた棚を見れば、小沢仁志のVシネなどがわらわらと並び、すっかり「…

  • 時代劇ライフ2017年10月

    BS-TBSで武田鉄矢の『水戸黄門』が始まった。もはや里見黄門期からこの番組には何も感じなくなっている。いや遡って観てみると、西村期の途中から既にすっかりこの番組は(というか当時のナショナル劇場は)すっかり空ッポの形骸と化していた気がする。 ただ思うことは、武田鉄矢はどちらかと言えば黄門より大久保彦左衛門でも演ったほうが合ってんじゃないかナってくらいだ。 10月、CS方面での収穫は『獣の剣』(1965年/松竹・俳優座)。これは五社英雄がテレビ『三匹の侍』中から焼き直しで映画にしたものらしい。『三匹〜』は第3シリーズ以前が現存しておらず見較べたくても出来ないのが口惜しい。 テレビシリーズ同様に平…

  • 任侠映画総覧計画『監獄人別帳』リブートした網走番外地!

    『監獄人別帳』(1970年4月/東映京都)脚本:石井輝男、掛札昌裕監督:石井輝男出演:渡瀬恒彦、佐藤允、伊吹吾郎、大辻伺郎、尾藤イサオ、賀川雪絵、沢彰謙、上田吉二郎、沢淑子、荒木一郎、清川虹子、内田良平、嵐寛寿郎 監獄人別帳 [ 渡瀬恒彦 ]価格:3949円(税込、送料無料) (2017/10/29時点) 『網走番外地』シリーズの看守さんといえば関山耕司、山本麟一あたりのイメージが強い。権威をカサに威張り散らして健さんら囚人をいじめるものの、当然あとでヒドい目に遭うってのがお決まり。よくお巡りをブッ殺す東映らしい展開と言えようか。 シリーズが石井輝男の手を離れ「新」になっている間に、ご本尊の石…

  • 任侠映画総覧計画『博奕打ち外伝』

    ──という訳で(何のこっちゃ)。 『博奕打ち外伝』である。 前回、待田京介がフェイク忠義者を演じた『日蔭者』を取り上げたときに、思い出したのがこの作品であった。 『博奕打ち外伝』(1972年7月/東映京都)脚本:野上龍雄監督:山下耕作出演:鶴田浩二、高倉健、若山富三郎、菅原文太、松方弘樹、辰巳柳太郎、浜木綿子、伊吹吾郎、遠藤辰雄、金子信雄、東竜子、野口貴史、松平純子、石井富子 博奕打ち外伝 [ 鶴田浩二 ]価格:2527円(税込、送料無料) (2017/10/17時点) 明治後期の九州・若松。川船頭を束ねる江川周吉(鶴田浩二)は、土地の博徒寄合・睦会の一員である大室(若山富三郎)の一家と犬猿の…

  • 任侠映画総覧計画『日蔭者』

    鶴田浩二のヒット歌謡曲を材に得た任侠映画、といえばまず『傷だらけの人生』二作が浮かぶが、この『日蔭者』もご同様。まさに任侠映画の性格をずばり表したようなタイトルだ。 ピークを過ぎ斜陽期になってきている72年という製作年も、“日蔭”の感を一層高めているかのよう。鶴田浩二が代表格であるようなモラリスト的やくざ者像はどんどん色褪せて、もっと生々しく過激なものが主流となっていく時期である。現に70〜72年ごろの東映では、鶴田浩二もそうした潮流に呑まれていたが、やはりマッチしたとは言い難く、新しい波には菅原文太や渡瀬恒彦といった面子が乗っていった。 時代に逆行するかの如く、筋道を守った昔気質が新興の勢力…

  • 沈黙の映画評『沈黙のステルス』淡々とした劣化版ライバックを見よ

    沈黙のステルス [ カレン・シュナズ・デヴィッド ]価格:1000円(税込、送料無料) (2017/10/5時点) それにしても、酷い邦題である。 リリース当時は「セガールに空戦なんざやらせてどうする!」と思ったものだ。それでもつい借りて観た。で、結果、全く印象に残らなかった。2001年の『TICKER』以降、すっかりアクションに力を入れなくなった(そのくせバンバンと新作を撮り続けていた)セガールおじさん、しかも邦題はどれがどれやらサッパリ判らない『沈黙の〜』ばかり。そんな中の一本として、記憶から消え去っていた。 この「沈黙の映画評」の一環として再見してみたら、中々どうしてそれなりにまとまった…

  • 時代劇ライフ2017年9月

    無謀にも当ブログで任侠映画・セガール映画の特別コーナーを設けて不定期連載みたいな真似を始めてしまったが、あくまでアチシの行く本筋の道は時代劇である。他の脇道に力を入れすぎて本道がおろそかにならぬよう気をつけねば……。 ずいぶんと録画の溜まるテレビ時代劇、最近では、まえに録画ミスで穴を開けてしまった部分の穴埋めが増えてきている。CBCテレビ『水戸黄門』第37シリーズ→38シリーズ、BS-TBS『水戸黄門』第13シリーズ、『江戸を斬る』第8シリーズ、BSジャパン『あばれ八州御用旅』に時代劇専門チャンネル『吉宗評判記 暴れん坊将軍』など。録画失敗回を補完すべく、手元のリストと画面上の番組表を見比べ目…

  • 任侠映画総覧計画・現代やくざ 与太者仁義

    東映任侠映画を全作品残らず手元に揃える、なんて可能なのだろうか。 あのお蔵入り作品『博徒七人』まで東映チャンネルで放映され、DVDに保存することができてしまった今、あながち不可能とは言いきれないんじゃないか、なんて気がしてきている。若山富三郎の『日本悪人伝』やら『悪親分対代貸』なんてレアものまで手に入れてしまったし、このまま東映チャンネルに入っていればそのうち実現してしまうんではないか。 東映も何をトチ狂ったのか、ついにあの『江戸川乱歩全集 奇形人間』を国内盤で出してしまったくらいである。『博徒七人』だって正規にDVDリリースしてしまう可能性がある。 【送料無料】 江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間…

  • 沈黙の映画評・サイコ野郎はセガールおじさんの方だ『雷神 RAIJIN』

    さて順不同でセガールおじさんのろくでもない映画群を紹介していこうという沈黙の映画評、行き当たりばったり手に取ったものを観ては載せていくとしよう。まず一発目は『雷神 RAIJIN』(2008)である。 いきなり結論から言ってしまうが、いただけない作品。 セガールおじさんの役どころは、メンフィス市警のジェイコブ・キング刑事。もと特殊部隊とかいった前歴はないが、少年期に双子の弟を殺されたトラウマを持つ。それゆえ異常なまでに犯罪者を憎む性質となっており、過剰なまでに悪党を叩きのめす。ザコ相手でも容赦なく、である。 って、やっぱいつも通りのセガールおじさんじゃないか。 目指す敵はシリアルキラーの“グリフ…

  • 沈黙の映画評・俺はそれでもセガール映画を観るぞ

    まずタイトルは四方田犬彦の本のタイトル(『俺は死ぬまで映画を観るぞ』)をもじっただけのものであることを初めに断っておく。別にそれほど強い信念がある訳じゃないので誤解をしないで戴きたい。 アチシが時代劇に親しみ始めたのは、小学校高学年くらいの頃からだろうか。徐々にマニア化の一途を辿り、後戻りのできない冥府魔道へと立ち入ってしまい現在に至る訳だが、それとほぼ時を同じくしてもう一つ恐るべき道に足を踏み入れていたのである。 洋画ウォッチャーの中には少なからず同じ道を歩む御仁もおられよう、抜け出そうにも抜け出せない「セガール道」とでも呼ぶべきものである。 今はなりを潜めてしまって久しいが、かつて民放各局…

  • 兄弟仁義

    CSに加入していると、つい「リピート放送があるから……」と油断して録画逃しをすることがある。東映チャンネルで任侠映画のシリーズものを随分と予約漏れで逃したものだ。以前は口惜しがったり落胆したりしたものだが、この頃では「またちょっと間を置いて放送してくれるから……」なんて大分厚かましくなってきている。 それでも録り溜めディスクの確認をしていて「あれっ、これの第一作ってなかったっけ!?」なんて後からショックを受けることもある。 『兄弟仁義』も第一作を録り逃していたシリーズだった。プログラム・ピクチャーのシリーズものなんて一策毎に独立した別の話で、一種パラレルワールドみたいなものなので順を追って観る…

  • 男涙の破門状/戦後最大の賭場

    一日一本任侠映画を観ようとか無謀な野望を抱いたって、なかなかできるもんじゃない。しかしコンスタントに観続と思ってりゃ、それなりにDVD消化作戦は進んでいく。 とにかく任侠映画は、石を投げれば村尾昭に当たるってくらいこの人の脚本が多い。今回観た二本は偶然ながら村尾昭&山下耕作のコンビ作品だが、毛色はまるで違っていて面白い。『男涙の破門状』(1967年/東映京都) 脚本:村尾昭 監督:山下耕作 出演:鶴田浩二、待田京介、大木実、嵐寛寿郎、天津敏、桜町弘子、橘ますみ、村井国夫、遠藤辰雄、石山健二郎 おつとめ中の兄貴分・菊石直治(鶴田浩二)に義理立てし、組の金を持ち逃げした伊之助(村井国夫)を庇って口…

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時代劇党宣言 〜日陰そだちのひねくれ者日記〜
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