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巣穴の前で http://blog.livedoor.jp/derbau/

音楽・本・映画のレビューを中心に日常生活のことなども書く雑記帳的なブログ

読んだもの、聴いたもの、観たものなど。インプットしたものが摩耗し、いずれ消失してしまわぬうちに、ここにアウトプットしていこうと思う。

yozhik
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2018/01/30

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  • フリークス:秘められた自己の神話とイメージ

    フリークス ―秘められた自己の神話とイメージ― 新装版フィードラーの著書には失われゆくものへのノスタルジーが常に漂っている。本書では、小人、シャム双生児、両性具有者、肥満女など、「フリーク」と呼ばれた人々が見世物になっていた時代がそれだ。そこに差別や搾取が

  • みいら採り猟奇譚

    河野多恵子『みいら採り猟奇譚』(1990年)を読んだ。みいら採り猟奇譚 (新潮文庫)空襲警報が鳴り響く戦時期の東京で、内科医を開業していた正隆と、これも外科医の一人娘である比奈子という、ありふれた新婚夫婦が、灯火管制下の街に火が降り注ぐなか、夜毎サド・マゾ的な営

  • クッツェーのデビュー作

    J・M・クッツェーのデビュー作『ダスクランズ』(1974)を読んだ。ダスクランズ例によって難解な小説だが、気づいた点を備忘録的に書いておく。 本書は二部構成で、第一部「ヴェトナム計画」はベトナム戦争期の米国で、国防総省に勤める若者(ユージン・ドーン)が主人公だ。

  • 部屋でくつろぎたい時のBGMに

    ヒューストンのインストゥルメンタル・バンド「クルアンビン」(タイ語で飛行機を意味するらしい)のセカンドアルバム。Con Todo El Mundo [解説・ボーナストラック1曲収録 / 紙ジャケット仕様 / 国内盤] (BRC607)そのタイトル「Con Todo El Mundo」(スペイン語で「世界中の

  • 性暴力の不安というテーマ

    西村賢太の芥川賞受賞作『苦役列車』(2011年)を今更読んだが食わず嫌いはよくないなと反省。苦役列車文章が上手い。何より小説の書き方が上手い。藤澤清造という模範となる作家がいたようだが、その藤澤にも興味が湧いた。まだ本書と『どうで死ぬ身の一踊り』の二冊しか読

  • 三島由紀夫『小説読本』を読む

    小説読本 (中公文庫)三島がどのように小説を書いたか、その「秘伝」を知ることができるのみならず、本書前半100頁ほどのエッセイ「小説とは何か」では、三島の理想とする小説観が具体的な作品を挙げて開陳されており、本書から得られるものは少なくない。驚いたのは、三島の

  • ミシェル・フーコー『マネの絵画』を読む

    マネの絵が好きなのとフーコーの論述の腕前も堪能できるというので本書を読んだ。ミシェル・フーコー『マネの絵画』阿部崇訳、ちくま学芸文庫、2019年本書は1971年にチュニスで開かれたフーコーの「幻の」マネ講義を文字に起こしたものだ。その30年後にパリで開かれたシンポ

  • 弔いの文学

    フアン・ルルフォの『ペドロ・パラモ』(1955)を読んだ。いとうせいこう『想像ラジオ』(2013)を思い出した。ペドロ・パラモ (岩波文庫)想像ラジオ (河出文庫)洪水に飲み込まれた町を舞台に、木の上や水中に散乱した死者たちの<交信>を描いたのが『想像ラジオ』だったが

  • ゾンビの小哲学: ホラーを通していかに思考するか

    ゾンビの小哲学: ホラーを通していかに思考するか本書は厳密な意味でゾンビ映画論ではない。したがって登場する作品数も少ない。ロメロ三部作、『ブレインデッド』『ショーン・オブ・ザ・デッド』『28日後…』そして「あまりに多くのB級ゾンビ映画」(107頁)など。これらの

  • 火あぶりにされたサンタクロース

    クリスマス・イヴということで本書収録の有名な論文「火あぶりにされたサンタクロース」を読んでみた。われらみな食人種(カニバル): レヴィ=ストロース随想集 [単行本]キリスト教の祝日がキリスト教以前の土着の信仰との習合によって成立したことは今では常識だが、「起源や

  • 後藤明生『挾み撃ち』(1973年)

    挾み撃ち (講談社文芸文庫)ある日突然何かが起きた。しかし、それがどういう変化か判然としない。ひょっとして何も変わっていないかもしれない。気づけばそんな過去を綺麗さっぱり忘れている自分がいる。そんな「突然」はいつどこでも誰にでも起こる。 1932年に朝鮮咸鏡南道

  • テロルと映画

    四方田犬彦の本を読むのはこれで何冊目だろうか。テロルと映画 - スペクタクルとしての暴力 (中公新書)いつもながらその博識と編集力には舌を巻くばかりだが、映画とテロルについて深く学びたい人には物足りなさが残るかもしれない。たとえば四方田は、ブニュエル、若松孝二

  • これで古典がよくわかる

    これまで橋本治(1948-2019)の書いたものは読まずにきたが、空いた時間ができたので、この機会にと思って本書を開いてみたら、予想以上に面白くて驚いた。橋本治『これで古典がよくわかる』(ちくま文庫)橋本治と言えば古典の現代語訳で知られるが、所詮、「いとおかし」を「

  • こちらあみ子

    『むらさきのスカートの女』(2019年、芥川賞受賞)が面白かったので今村夏子さんのデビュー作である『こちらあみ子』(2011年)を読んでみた。こちらあみ子 (ちくま文庫)なぜだか涙が出た。たぶん、人間の孤独を別の角度から見せつけられたからだ。 あみ子は勉強が遅れてい

  • 文化を動きや体感で語る試み

    ラバーソウルの弾みかた ビートルズと60年代文化のゆくえ (平凡社ライブラリー)ベイトソンやピンチョンの翻訳者で知られる佐藤良明氏が60年代の英米ポップカルチャーを縦横無尽に論じた本書は、そのタイトルが示すように文化を動きや体感で語った斬新な試みだ。例えば次の指

  • 静かな大地―松浦武四郎とアイヌ民族

    アイヌについて不勉強だったので、アイヌの入門書として必ずしも最適とは思えないが、花崎氏の文章にも触れてみたいと思って、これを読むことにした。花崎皋平『静かな大地―松浦武四郎とアイヌ民族』(岩波現代文庫)内容は江戸後期の探検家で「北海道」の命名者としても知ら

  • ハーレム・ルネッサンスに学ぶ

    モダニズムとハーレム・ルネッサンス―黒人文化とアメリカ [単行本]1920年代のハーレムで黒人の文学・音楽・アートが活況を呈した。これをハーレム・ルネッサンスという。クロード・マッケイ(1889-1948)やラングストン・ヒューズ(1902-1967)など優れた表現者が数多く登場

  • 百年の散歩

    百年の散歩 [単行本]日本語とドイツ語で書くバイリンガル作家の多和田葉子さん(1960-)は、母語の外への移動(エクソフォニー)も含めた、広い意味での「旅」を長年テーマにされている。そんな彼女がベルリンを散策しながら、2014年から16年にかけて書いた短編を集めたのが

  • ロシア語との出会い

    時計じかけのオレンジ (ハヤカワ文庫 NV 142)スラヴ世界の魅力に出会ったのは、いま思えば『時計じかけのオレンジ』が最初だったのかもしれない。ぼくが小学生の頃は東西冷戦に関するニュースがテレビで連日報道されていたが、当時のぼくにはよくわからない遠い世界の話だっ

  • 翻訳知に学ぶ

    声、意味ではなく―わたしの翻訳論 [単行本]翻訳研究という学問分野がある。もともと言語学的な関心から始まったこの分野は、誤読と誤訳に満ちた他者理解やマイナー言語とメジャー言語間の力関係を考える「新しい人文学」として脚光を浴び始めている。昨年に翻訳が出たエミリ

  • 絶対ハジメません

    死の棘 (新潮文庫)1917年に横浜市で輸出絹織物商の家に生まれた島尾は、1936年に長崎の高等商業学校に入学し、そこから九大に進学している。大学を卒業したのが1944年で、すぐに海軍に入隊し、奄美群島加計呂麻島に赴任するが、そこで出会った現地の娘と恋をし、敗戦後の1946

  • 思い出と別離と

    memorandum [DVD]京都市芸の学生を中心に1984年に結成された演劇集団dumb typeは、コンテンポラリー・ダンスに映像や電子音楽、建築、機械工学などを融合させた斬新な表現活動によって、90年代アート界で話題になったが、1995年10月にリーダーの古橋悌二氏が亡くなられてから

  • フレンチ・ロックの新鋭

    Semaphore [CD]Requin Chagrinの新譜がやっと届いた。今月出たばかりのセカンド・アルバムだ。ファーストアルバムに比べて、ポップ色を控え、落ち着いた仕上がりになっているが、表題曲のSémaphore(シグナル)を聴くと、その哀愁漂う歌詞とメロディは、ファーストから変わ

  • わたしを離さないで

    わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)友人が定期的に開いている読書会のために読んだ。カズオ・イシグロの書いた物を読むのは『浮世の画家』(1986年)、『日の名残り』(1989年)、『わたしたちが孤児だったころ』(2000年)と続いて、これで四冊目だ。 僕の感性の問題かも

  • Плем’я

    ザ・トライブ DVD [DVD]映画に限らず、作品で社会的なマイノリティを扱う場合、対象との距離の取り方は重要だ。 彼らとの同質性を強調したければ、映画であれば、俳優の心理状態を観客が共有できるよう、多様な音響効果やカメラ表現(クローズアップなど)を駆使し、会話やス

  • ミレディの不幸

    三銃士〈上〉 (岩波文庫) [文庫]正月に読み始めたのだが、やっと昨夜読み終えた。 話の大枠は、欧州諸国がキリスト教の新旧両派に別れて戦争に明け暮れていた時期(30年戦争)、田舎からパリにやってきた青年ダルタニアンが、ルイ13世と宰相リシュリューとの間の派閥争いや英

  • 父の悩みの種

    マノン・レスコー (光文社古典新訳文庫) [文庫]正月はずっと読めず積んでいた本を消化できるいい機会なので、今日はこれを読んだ。「魔性の女」とも訳される「ファム・ファタール」(運命の女)を描いた物語の原点とも言われるフランスの古典小説『マノン・レスコー』(1731

  • 英語から入るドイツ語

    英語でわかるドイツ語入門 [単行本(ソフトカバー)]周知のことかもしれないが、イギリスの先住民族はケルト民族だが、5世紀半ばごろにゲルマン民族に支配され、彼らが話していたゲルマン語(ドイツ語の基だ)が英語の土台となった。その後11世紀以降のノルマン朝時代にフラ

  • カメラを持った男

    Man With Movie Camera [DVD] [Import]ソ連の映画監督でジガ・ヴェルトフ(1896-1954)の名前は比較的よく知られている。その代表作がこの『カメラを持った男』Человек с киноаппаратом(1929年)だ。モスクワやオデッサなど、ソ連各地の都市の生活にフ

  • 声の旋律

    Dolmen Music [CD]ペルーに生まれニューヨークを拠点に活動するパフォーマーのメレディス・モンクが1981年に発表した7枚目のアルバム『ドルメン・ミュージック』。 彼女が追究するのは楽器としての声の可能性だ。 鳴き声や笑い声など、声にはいろいろな表情がある。同じセリ

  • 民衆文化の愉しみ

    ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈1〉 (ちくま文庫) [文庫]むかし渡辺一夫の訳で読んだが、新訳が出ていたので購入。フランスの文化は決してお上品ではないことがよく分かる書物。いや、イギリス文化だろうが日本文化だろうが、どこのお国の「文化」もお上

  • ナゲッツ

    Nuggets: Original Artyfacts from the Fir [CD]60年代半ばの米国で、ビートルズやストーンズなどのイギリス音楽の影響を受けた若者のあいだでバンドブームが到来し、無数のロックバンドがあぶくのように現れては消えていった。練習場所にガレージが使われることが多かったこ

  • It Happened One Bite

    ダン・ヒックスの存在を知ったのは、このアルバムが最初だと思う。It Happened One Bite [CD]もともとアニメ映画のサントラとして制作されたが、映画の方は制作が中止され、アルバムだけが78年にリリースされたという。口笛やスキャットを多用した軽快なポップスは、ディ

  • 小学館・世界童話全集

    少年少女世界童話全集〈第2巻〉ながぐつをはいたねこ―国際版 (1978年)いま思えば、ぼくにとって子どもの頃に読んだ絵本が世界文学との最初の出会いだった。 ぼくが愛読したのは小学館から出ていた『国際版・世界童話全集』(全20巻)だ。第1巻のグリム兄弟『しらゆきひめ』

  • マンガ学の古典

    漫画原論 (ちくま学芸文庫) [文庫]90年代にカルチュラルスタディーズが欧米から輸入されだした頃から、詩や小説だけではなく、マンガも教養の一つとして受容され、大学の講義でも扱われるようになった。その土台をつくったのが本書だ。前半はコマ割りやスピード線など、マン

  • ハーレム川の濁流に乗って

    Harlem River [CD]ニューヨークはブルックリンを拠点に活躍するケヴィン・モービーのソロ・デビュー・アルバム『ハーレム・リヴァー』(2013年)。彼は他にもザ・ベイビーズのギタリストなどもつとめている。ボブ・ディランやニール・ヤングからの影響を清々しいほど前面に出

  • なんだか気になるWitch house

    HALFAXA (LCD87) [CD]「ウィッチハウス」と呼ばれるジャンルがある。そのルーツにはノイバウテンやNINなどの80年代以降のインダストリアル・ミュージックが確実にあったと思うし、もっと遡ればゴブリンが担当した『サスペリア』(1977年)を筆頭に、70年代半ば以降のホラー映画

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