薬物療法において、目標とする臨床転帰を達成するためには、一定レベルの服薬アドヒアランスが必要です。Haynesの初期の経験的定義によれば、降圧薬の服薬アドヒアランスは80%以上であり、多くの研究者がこの閾値を使ってアドヒアランスのある患者…
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経口抗凝固薬服用患者における出血管理はどのように行えば良いですか?(米国心臓病学会の指針; J Am Coll Cardiol. 2020)
抗凝固療法の中止や再開はどのように行えば良いのか?抗凝固療法は血栓塞栓症の治療・予防のために使用されています。抗凝固療法のなかでも直接経口抗凝固薬(DOAC, OAC)は、従来使用されてきたビタミンK拮抗薬(VKA)よりも使用量が増えていま
頸部動脈解離におけるアスピリンと抗凝固療法、どちらが優れていますか?(Open-RCT; TREAT-CAD; Lancet Neurol. 2021)
頸動脈解離後の血栓塞栓予防にはどんな治療が良いのか?頸動脈解離は、50歳未満の若年層における脳卒中の主な原因です。歴史的には、臨床医は頸動脈解離の患者にビタミンK拮抗薬による経口抗凝固療法を用いることを好んできましたが、現在のガイドラインで
腎機能低下患者におけるメトホルミンの有効性と安全性はどのくらいですか?(SR&MA; Diabetes Obes Metab. 2021)
メトホルミンの適正使用に関するRecommendation(2019年8月5日改訂版)メトホルミンは古くから使用されている薬剤ですが、2型糖尿病治療において、日本を除く多くの国で第一選択とされています。腎機能排泄型の薬剤であるメトホルミンは
青年および成人におけるコントロール不良な重症喘息に対するテゼペルマブの効果はどのくらいですか?(DB-RCT; NAVIGATOR試験; N Engl J Med. 2021)
胸腺間質性リンパ球新生因子を阻害するヒトモノクローナル抗体 Tezepelumabとは?喘息の発症に上皮細胞由来サイトカイン(thymic stromal lymphopoietin, TSLP:胸腺間質性リンパ球新生因子)が関与することが
尿酸降下療法と治療関連有害事象、肝障害、主要心血管系有害事象(MACE)との関連性はどのくらいですか?(RCTのNWM; Pharmacotherapy. 2021)
尿酸降下療法で安全性に違いはあるのか?高尿酸血症は、痛風、腎障害、心血管イベントを引き起こす可能性のある一般的な疾患です。高尿酸血症患者に対しては、生活習慣への介入(プリン体を多く含む飲食の摂取制限など)がうまくいかない場合、経口薬が主な治
脳卒中患者での選択的セロトニン再取り込み阻害剤 SSRIにおける骨折リスクはどのくらい?(SR&MA; Stroke. 2021)
脳卒中後うつ病におけるSSRI使用は骨折リスクになる?脳卒中生存者は、うつ病と骨折のリスクが高いことが報告されています。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、観察研究において骨折リスクの増加と関連していることが報告されています。最
妊娠中の2型糖尿病患者におけるメトホルミン使用は安全ですか?(DB-RCT; MiTy試験; Lancet Diabetes Endocrinol. 2020)
メトホルミンは妊婦に禁忌とされているが…メトホルミン(メトグルコ®️)の添付文書では、妊婦又は妊娠している可能性のある女性に禁忌とされています。この設定根拠としては、動物実験の結果と妊婦の特徴によるものです。妊婦又は妊娠してい
薬を与えることを、なぜ「投与」と表現するのか?患者に対して治療(例えば薬物など)を施す行為のことを「投与」と呼びますが、なぜ「投げ与える」と表現するのでしょうか?やや雑な表現だなと感じていました。今までも気になったことはありましたが、きちん
治療抵抗性高血圧への追加薬は何が良いのか?治療抵抗性高血圧の薬物治療において、国際的なガイドラインでは、3種類の薬剤(アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、カルシウム拮抗薬(CCB)、サイ
テリパラチド(フォルテオ®)を2年以上使用しても安全性に問題なさそうですか?(3件の観察研究)
以前の記事で触れましたが、テリパラチド(フォルテオ®️)は2年しか使用できません。この理由は、ヒトで2年以上使用した場合のデータがないこと、小動物で安全性に懸念が示されたためです。詳細については以下のリンク先をご覧ください。
プロトンポンプ阻害剤および併用薬と急性腎障害リスクとの関連性はどのくらいですか?(ネステッドケースコントロール研究; BMJ Open. 2021)
PPI単独よりも併用薬の種類によりAKIリスクが増加する?これまでの研究で、プロトンポンプ阻害剤(proton pump inhibitors, PPI)の使用と、急性腎障害(acute kidney injury, AKI)、急性尿細管間
【批判的吟味】2型糖尿病におけるGLP-1RA エフペグレナチド使用は心血管・腎イベント発生を抑制する(NEJM 2021; DB-RCT; AMPLITUDE-O試験)
論文の概要PICOP:HbA1c 7.0%以上で心血管疾患の既往あるいは現在腎臓病*、かつ他の心血管危険因子が1つ以上有する2型糖尿病 *eGFRが25.0~59.9ml/分/1.73m2と定義I :エフペグレナチド4mg(毎週皮下注射
アトピー性皮膚炎に対するアブロシチニブ vs. デュピルマブ どちらが良い?(RCT; JADE COMPARE; NEJM 2021)
アトピー性皮膚炎に対して経口JAK1阻害薬が有効?インターロイキン4およびインターロイキン13のシグナル伝達を低下させる経口ヤヌスキナーゼ1(JAK1)阻害剤abrocitinib(アブロシチニブ)は、アトピー性皮膚炎の治療薬として検討され
ベースライン時のSARS-CoV-2に対する抗体保有者では感染リスクが低い?高齢者が居住する長期療養施設(LTCF)の入居者は、COVID-19に関連する死亡率があらゆる集団の中で最も高い事が報告されています。高齢者は、加齢に伴う免疫老化や
2型糖尿病患者を対象に、基礎インスリンであるデテミルとグラルギンを初めて使用した患者の全死亡率と心血管死亡率に差はあるのか?糖尿病では、血糖値のコントロールが不十分な場合、微小血管障害や大血管障害などの合併症のリスクが高まり(Clinica
第一次パンデミック時におけるCOVID-19入院患者の細菌感染症の併発、二次感染、抗菌薬使用状況(ISARIC WHO CCP-UK試験; Lancet Microbe. 2021)
ウイルス感染症患者における細菌感染症が併発する割合は?重症インフルエンザ(メタアナリシスでは23%)やその他の重症呼吸器ウイルス感染症では、細菌感染症の併発や二次感染がよく見られ、罹患率や死亡率の増加と関連しています(PMID:272326
COVID-19入院患者において妊娠の有無は死亡リスクに影響しますか?(後向きコホート研究; Letter for Ann Intern Med. 2021)
COVID-19の妊婦における死亡リスクは、非妊娠患者と比較して高いのか低いのか?妊娠中のCOVID-19患者を調査した研究では、生殖年齢の非妊娠患者と比較して、妊娠中の患者では死亡リスクが高まることが示されています(PMID:331519
COVID-19に対するトファシチニブの効果はどのくらいですか?(RCT; STOP-COVID試験; N Engl J Med. 2021)
2021年7月14日 コロナウイルス感染症2019(COVID-19)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)を原因とするウイルス性疾患です。ワクチンが急速に開発されているにもかかわらず、世界の人口の大部分がCOVID-19のリスクを抱えています。そのため、COVID-19入院患者に対して…
冠動脈疾患・耐糖能異常を有する患者の心血管・糖尿病発症に対するアカルボースの効果はどのくらい?(DB-RCT; ACE試験; Lancet Diabetes Endocrinol. 2017)
2021年7月13日 冠動脈疾患と耐糖能異常を有する人は、将来の心血管イベントや2型糖尿病を発症するリスクが高くなることが報告されています。2006年、冠動脈疾患で入院した中国の成人における耐糖能異常の有病率は37.3%でした。STOP-NIDDMでは、α-グルコシダーゼ阻害剤であるアカルボースが、耐糖能異常者の…
透析患者におけるNSAIDs使用は心血管リスクとなりますか?(韓国 症例クロスオーバー試験; Nephrol Dial Transplant. 2021)
2021年7月12日 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、疼痛や炎症性疾患の治療に広く使用されています。しかし、NSAIDsの使用は、いくつかの確立された副作用によって制限されています。NSAIDsの使用に伴う心血管リスクを裏付ける証拠が増加していることから、懸念が生じています。重要なことに、最近の研究…
介護施設スタッフによる口腔ケアプログラムは標準的ケアと比較して肺炎発生率を減らせますか?(クラスターRCT; JAMA Netw Open. 2020)
2021年7月11日 システムレベルの変化を促す要因の1つは、口腔ケアによって肺炎が減少した場合です。口腔内の微生物を吸引することで生じる肺炎は、30年前に示唆されており、多くの研究でこの関連性が実証されています。この関連性は、他の成人よりも呼吸器系病原体の口腔内コロニー形成が大幅に多く、肺炎が2番目に…
新型コロナウイルス感染症における対策は、どんな組み合わせが有効ですか?(数学的モデリング研究; Lancet Infect Dis. 2020)
2021年7月10日 多くの国では、COVID-19に対する初期の封じ込め対策として、症状を有する症例の隔離と接触者の追跡が行われてきましたが、アウトブレイクが拡大するにつれ、物理的な距離を置く対策も追加で導入されました。感染の制御を維持しつつ、集団への影響を軽減するためには、新しいデジタルトレーシング手法や…
ポリファーマシーを有する高齢者におけるスタチン中止は、心血管アウトカムと死亡率に影響しますか?(後向きコホート研究; JAMA Netw Open. 2021)
2021年7月9日 平均寿命の延長は、間違いなく21世紀における最高の成果の一つです。同時に、人口の高齢化に伴い、併存疾患を有する患者数が増加しています。併存疾患とは、複数の健康問題が共存している状態であり、高齢の患者では事実上、生活の質の低下と関連しています。併存疾患があると、多剤併用(Polypharm…
動脈血栓塞栓症ハイリスク患者に対する術後のヘパリンブリッジの効果はどのくらいですか(DB-RCT; PERIOP2試験; BMJ 2021)
2021年7月8日 心房細動または機械式心臓弁を有する患者で、侵襲的手術のためにビタミンK拮抗薬を中断する必要がある場合、手術後に低分子量ヘパリンでブリッジングを行うことが有益であるかどうかについては、不確かさが残っています。この一般的な臨床上の問題を解決するために多くのプロトコルやガイドラインが発表されて…
進行したCKD患者のMACEや透析導入に対するRAS阻害剤 vs. Ca拮抗剤(コホート研究; Am J Kidney Dis. 2021)
2021年7月6日 アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、これらのレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬のランダム化試験では、プラセボや利尿薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬(CCB)などの代替薬に比べて、慢性腎臓病(CKD)の進行を遅らせる効果があることが…
精神疾患に対する向精神薬の1日1回投与と1日複数回投与で薬剤効果に差はありますか?(RCTのSR&MA; J Clin Psychiatry. 2021)
2021年7月5日 精神疾患に対する向精神薬は、多種類を併用するケースが多く、これは薬剤の半減期によります。向精神薬の中でもベンゾジアゼピン系薬の処方数は多く、やや古い報告ではありますが、日本人成人のうち20人に1人が服用していることが示されています(Reports published by the…
NSAIDs使用者の潜伏性消化管出血のリスク低減における酸抑制剤 vs. その他の粘膜保護剤(後向きコホート研究; Sci Rep. 2019)
2021年7月4日 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、鎮痛・抗炎症・解熱効果があるため、世界中で最も広く処方されている薬剤の一つです。しかし、NSAIDsの様々な利点や良好な有効性にもかかわらず、その使用は消化管(GI)出血や穿孔を含む消化管の粘膜損傷につながる可能性があります。NSAID使用者に…
メトトレキサートはファイザー・バイオンテック社製BNT162b2 mRNA COVID-19ワクチンの免疫原性を阻害する(後向きコホート研究; Ann Rheum Dis. 2021)
2021年7月3日 免疫介在性炎症疾患(IMID)患者は、もともと感染しやすい体質であるため、コロナウイルス2019(COVID-19)の発症リスクが高いと考えられます。 メトトレキサートなどの通常の疾患修飾性抗リウマチ薬(cDMARDs)や腫瘍壊死因子阻害薬(TNFis)などの生物学的抗リウマチ薬…
市中肺炎患者に対するアモキシシリン+クラブラン酸の治療期間は8日と3日どちらが良い?(DB-RCT; PTC試験; Lancet 2021)
2021年7月2日 β-ラクタム系薬剤はβ-ラクタム環を母核とする抗菌薬であり、いずれも細菌の細胞壁合成に必要な酵素に結合して不活化します。β-ラクタム系薬剤は、以下のサブクラスに分けられます;セファロスポリン系およびセファマイシン系(セフェム系)、カルバセフェム系、クラバム系、カルバペネム系、モノバクタム系…
2型糖尿病におけるGLP-1RA エフペグレナチド使用は心血管・腎イベント発生を抑制できますか?(AMPLITUDE-O試験; NEJM 2021)
2021年7月1日 糖尿病患者における心血管イベントの有害事象の発生率は、糖尿病でない人の3倍であり(英国の研究 PMID: 25466521)、腎イベントの有害事象の発生率も糖尿病患者で高くなっています(PMID: 29580576)。心血管イベントの発生率は、糖尿病の罹患期間が長いほど(PMID…
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薬物療法において、目標とする臨床転帰を達成するためには、一定レベルの服薬アドヒアランスが必要です。Haynesの初期の経験的定義によれば、降圧薬の服薬アドヒアランスは80%以上であり、多くの研究者がこの閾値を使ってアドヒアランスのある患者…
ニルマトレルビルとリトナビルの併用は、軽度〜中等度の新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に対する抗ウイルス治療薬です。一方で、重症Covid-19の標準的リスクを有する患者、またはワクチン接種が完了しており重症Covid-19のリ…
糖尿病の負担は世界中で増大しています。糖尿病に関連する費用は、特に低・中所得国において、患者と医療予算に大きな負担をかけています。糖尿病治療薬の価格は糖尿病治療へのアクセスを決定する重要な要因の一つですが、製造コストと現在の市場価格との関…
急性冠症候群に対するステント留置を伴う経皮的冠動脈インターベンション後、国際的な臨床ガイドラインでは、心筋梗塞やステント血栓症を予防するために、アスピリン+P2Y12受容体阻害薬による二重抗血小板療法を12ヵ月間行うことが一般的に推奨され…
急性冠症候群や心臓突然死は、脂質に富むアテローム性動脈硬化プラーク(脆弱プラークと呼ばれる)の破裂や血栓症によって引き起こされることが多く、その多くは非流動制限性(non-flow-limiting)です。脆弱プラークに対する経皮的冠動脈…
妊娠中のアセトアミノフェン(パラセタモール)使用は、小児の神経発達障害のリスクを増加させる可能性があることを示唆する研究がいくつかあります。これが事実であれば、妊娠中の疼痛や発熱の管理に大きな影響を及ぼすことになることから、更なる検証が求…
妊娠中のバルプロ酸塩の母親の使用は、小児の神経発達障害のリスク上昇と関連していることが報告されています。他の抗てんかん薬に関するほとんどの研究では、これらの障害のリスク増加は示されていないものの、母親のトピラマート使用に関連した自閉症スペ…
座っている時間(座位時間)が長いと、血行不良と代謝低下が引き起こされ、死亡率増加や循環器疾患発症と関わることが報告されています。特に座位時間が長くなりやすい高齢者において、心代謝系の健康を改善するための実践的な健康増進戦略が求められていま…
冠動脈性心疾患患者は心血管イベントの発生リスクが高いことから、手術や薬物療法が行われます。一方、酸素消費量、QOL、死亡率に対するさまざまな運動療法の効果については充分に検証されていません。そこで今回は、冠動脈性心疾患を有する成人を対象に…
心筋梗塞後のβ遮断薬治療の有用性を示した試験のほとんどは、大規模心筋梗塞患者を対象としており、現代のバイオマーカーに基づく心筋梗塞診断や経皮的冠動脈インターベンション、抗血栓薬、高強度スタチン、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系拮…
エンパグリフロジンは心不全患者、心血管リスクの高い2型糖尿病患者、慢性腎臓病患者の心血管転帰を改善することが報告されています。しかし、急性心筋梗塞患者におけるエンパグリフロジンの安全性と有効性は不明です。そこで今回は、急性心筋梗塞で入院し…
急性心不全に対するダパグルフロジンの効果はどのくらい? 急性心不全(AHF)入院中の主な目標は、うっ血およびガイドラインに基づいた薬物療法(GDMT)の最適化です。利尿薬や他のGDMTとは異なり、ダパグリフロジンの早期投与はAHFの両目標を
慢性痛の管理は依然として不充分です。没入型技術(すなわち、バーチャルリアリティ[VR])と神経科学に基づく原理を統合することで、痛みを維持する認知的・情動的神経過程を標的とし、痛みの慢性化や増幅に関連する神経生物学的回路を変化させる可能性…
Los AngelesグレードC/D食道炎は胃食道逆流症の重篤な症状であり、積極的な治療と綿密な経過観察が必要とされています。カリウム競合的アシッドブロッカー(Potassium Competitive Acid Blockers, P-…
高血圧は認知症のリスク増加と関連してい流ことが報告されています。また降圧治療により血圧を下げると認知症のリスクが減少するというエビデンスも存在します。しかし、このエビデンスの一般的な高齢患者に対する一般化可能性は不明です。そこで今回は、降…
左室駆出率(EF)の異なる心不全(HF)入院患者におけるサクビトリル/バルサルタンの有効性と安全性についてはこれまでに報告されていません。そこで今回は、EF40%以下の心不全患者(PIONEER-HF[Comparison of Sacu…
ナイアシンによる心血管リスクはどのくらいなのか? ナイアシンは、ニコチン酸とニコチン酸アミドの総称であり、ビタミンB₃とも呼ばれています。水溶性ビタミンの1つでありビタミンB複合体に分類されています。糖質・脂質・タンパク質の代謝に不可欠であ
心臓がポンプとして動くためには心臓自身にも酸素や栄養分が必要です。そのため心臓の周りには冠動脈があり、心臓が送り出した血液の一部が冠動脈を通して血液中の酸素や栄養分を心臓へ届けています。虚血性心疾患患者においては、この冠動脈の流れが悪くな…
動脈硬化性心血管病(ASCVD)の一次予防に関するガイドラインでは、主要有害心血管イベント(MACE)の10年リスクを推定するためのリスク推定として、ASCVDリスクスコアが推奨されています。近年、AI、特にディープラーニングによる将来の…
酒に含まれるアルコールの代謝経路は、これまでの研究結果からほぼ明らかとなっています。アルコールは、まずアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに分解されます。 次にアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸に分解され…
食欲不振は進行性悪性腫瘍患者の30~80%にみられ、化学療法により悪化することがあります。オランザピンは、非定型抗精神病薬の一つです。脳内のドパミン2(D2)受容体遮断作用により、ドーパミン神経系の機能亢進により起こる陽性症状をおさえ、さ…
2型糖尿病で微量アルブミン尿または顕性アルブミン尿を有する患者において、アルブミン尿の進行を抑制する治療戦略の確立は重要な課題です。SGLT-2阻害薬やGLP-1受容体作動薬は腎機能に対して保護的に作用することが報告されていますが、単独療…
非ビタミンK系経口抗凝固薬(NOAC)は、腎機能による用量調節が必要です。臨床で採用されている腎機能の推定値は、推定糸球体濾過量(eGFR)が最も一般的ですが、添付文書(product monographs)では、用量調節にCockcro…
メトホルミンは末梢組織における糖取り込みの促進、小腸における糖吸収の抑制等の作用を介して血糖降下作用を示すとされています。仮説として報告されている作用機序は多岐にわたることから、2型糖尿病だけでなく、がんや他の疾患への有用性が期待されてい…
血液透析を行うための穿刺時痛(穿刺時疼痛)は主な課題であり、患者の快適性のために疼痛管理技術を必要とする共通の問題です。この問題に対して、鎮痛薬や麻酔薬を含む貼付薬やスプレーが利用されています。スプレーは、麻酔薬を含む軟膏と比較して即効性…
2型糖尿病患者において、ナトリウム・グルコース共輸送体-2阻害薬(SGLT2i)の使用初期にfirst dipと呼ばれる推定糸球体濾過量(eGFR)の低下が認められます。このeGFR低下とAKIなど腎アウトカムとの関連性、また併用薬による…
医療では、高リスクの患者は治療により最も恩恵を受けるという暗黙の前提のもと、臨床医が個人を治療する 'high-risk approach'(ハイリスクアプローチ)が用いられます。一方、新しい機械学習法を用いて最も高い利益を推定した個人を…
非定型抗精神病薬であるオランザピンは、せん妄抑制に最もよく使用される薬剤の一つです。しかし、重症成人のせん妄抑制に対するオランザピンの有効性と安全性に関する系統的な評価やメタ解析は存在しません。そこで今回は、集中治療室(ICU)に入院中の…
COVID-19で入院した患者は、サイトカインストームに伴う血栓塞栓症の発生率の高さが報告されています。したがって、血栓予防・治療が行われますが、退院後の血栓予防の延長の役割は不明です。そこで今回は、COVID-19入院後の退院患者におい…
敗血症の重症例では、副腎皮質ホルモンでステロイドの一種であるコルチゾールの分泌が不良となり、これを重症関連コルチコステロイド障害(critical illness-related corticosteroid insufficiency,…
高血圧は脳卒中や心筋梗塞などの心血管イベントを引き起こすことから、血圧コントロールが求められます。特に脳卒中の二次予防においては、より集中的に血圧を下げることが、一般的に血圧を下げることよりもどの程度優れているかは明らかにされていません。…
SARS-CoV-2ウイルスに対するmRNAワクチンを接種した際に、心筋炎リスクが増加する可能性が報告されています。しかし、COVID-19に伴う心筋炎との臨床転帰の比較については充分に検証されていません。そこで今回は、mRNAワクチン接…
国際的な重症患者栄養ガイドラインでは、質の低いエビデンスに基づき、様々な量のタンパク質投与を推奨しています。しかし、重症時に高用量タンパク質を投与することの効果については充分に検討されていません。そこで今回は、重症患者に高用量のタンパク質…
2020年頃から、駆出率の保たれた心不全(HFpEF)の前段階にあたるpre-HFpEFという概念が報告されています。pre-HFpEFの定義は、無症状(心不全の徴候や症状がない)で、左室駆出率(LVEF)が保たれ、心臓の構造異常(HFp…
フレイル(虚弱)症候群の高齢者にとって、ポリファーマシーを減らす "脱処方・減処方" は、安全性を促進する治療法として有用であると考えられます。しかし、脱処方による患者予後への影響については充分に検討されていません。そこで今回は、ポリファ…
AID-ICU試験は、せん妄を伴う集中治療室(ICU)に入院した急性期の成人患者を対象に、ハロペリドールとプラセボの効果を検討したランダム化、盲検化、プラセボ対照の試験でした。本試験の主要評価項目は無作為化後90日目の生存日数と退院日数で…
アジスロマイシンの使用により、予期していない帝王切開分娩の女性における母体感染症が減少することが報告されています。しかし、計画的な経膣分娩の女性に対する効果は不明です。そこで今回は、分娩期におけるアジスロマイシンの経口単回投与により、母体…
近視の早期発症は、その後の強度の近視と関連し、一度発症した近視は不可逆的であることが報告されています。過去の報告で、0.01%濃度のアトロピン点眼により、小児の近視発症を遅らせる可能性が示されていますが、充分に検討されていません。そこで今…
SARS-CoV-2ウイルスにより引き起こされるCOVID-19の患者数は増減を繰り返し、感染終息の兆しが見えないことから、コロナとの共存(withコロナ)を迫られています。COVID-19に対する治療薬や感染予防対策が講じられ、感染者数…