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2017/12/28

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  • わが投資術 市場は誰に微笑むか

    著:清原 達郎 最後の公表となった2005年の国税庁の長者番付において、サラリーマンとして初めてトップとなった投資家が、咽頭がんで声帯を失い引退を決めたタイミングで、それまでの全人生で得た株式投資のノウハウを自らの投資人生の歩みと共に綴った本である。 元々は野村證券に入社している。今は生まれ変わってコンプライアンス重視の会社になったと強調しているが、当時の野村證券の営業スタイルがどのようなものであったのかかなり生々しく書いている。当時あまり出世コースではなかったらしい海外投資顧問室に配属。スタンフォード大学で経営修士号(MBA)取得後、86年に野村證券NY支店に配属。91年、ゴールドマンサック…

  • 1100 Words You Need to Know

    著:Rich Carriero、Murray Bromberg、Melvin Gordon、Rich Carriero 米国の学生が語彙学習のために使う学習本。アメリカではSAT対策として定番の一冊で、なんと50年の歴史があるという。英単語力強化のためには格好の一冊である。1 日わずか 15 分で、読み書き、スピーキングのスキルを向上させるために必要なすべてを学ぶことができるという構成になっている。 本場アメリカで学生向けに作られている定評のある教材なので、英語の自然さは日本で作られた教材の比ではなく、非常に安心して学習できる。その上で、良い点と、もしかしたら考慮天として考えるべき点を以下に列…

  • オールカラー図解 日本列島の未来

    著:中島淳一 日本は地震が非常に多い国である。近年は都市部に近いところでの大噴火は無いが、富士山の大噴火もいつ発生してもおかしくない。一般になじみはそれほどないかもしれないが、最後は約7,000年前に発生しているカルデラ噴火が再び発生した場合は日本全体が壊滅的な打撃を受ける。 本書は、図解を多用しながら、日本周辺のプレートの構造や成り立ちを解説し、歴史上の地震や噴火のメカニズムを推測しながら、今後の可能性について説明している。以下の章立てとなっている。著者は東京工業大学の教授。 第1章 日本列島ができるまで第2章 日本列島下に沈み込むプレート第3章 地震のしくみ第4章 日本列島の過去の地震被害…

  • ユダヤとアメリカ - 揺れ動くイスラエル・ロビー (中公新書)

    著:立山良司 概要 アメリカに住むユダヤ人の数はイスラエルの人口よりも多い。イスラエルとアメリカの結びつきは強いが、それはユダヤ系アメリカ人が多く、イスラエルの国益のためにアメリカの外交政策等にロビー団体として強い働きかけを行うことができるからだ。アメリカのユダヤ人社会は強い結束と豊富な資金により、政府や世論に対して絶大な影響力を見せてきた。時には中東のガザ地区の紛争のように、アメリカの外交方針だけでなく、経済や大統領選をも左右できる。本書はそのようなアメリカのユダヤ社会についてまとめた本である。 概要 ユダヤ人の定義とアメリカにおけるユダヤ人 アメリカにおけるユダヤ人の学歴と経済力 ユダヤ人…

  • 2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーの 株トレ 世界一楽しい「一問一答」株の教科書

    著:窪田真之 株式で儲けようとしたら、対象企業の財務や決算及び株式指標(ファンダメンタルズ)の分析と共に、株式チャートの知識(テクニカル)は必須です。ファンダメンタルズとテクニカルのどちらを重視するかは人それぞれで、短期・中長期でも変わってきますが、不要ということはありません。 この本は、テクニカル分析の中心となる株式チャートの読み方について、「この局面は売りか?買いか?」というクイズ形式でわかりやすく解説したものです。著者は、楽天証券経済研究所 所長兼チーフ・ストラテジスト。 第1章 売買高の変化を読む 第2章 移動平均線を読む 第3章 ローソク足を読む 第4章 チャートの節を読む 第5章 …

  • マンガ 経営戦略全史 [新装合本版]

    著:三谷宏治、イラスト:飛高翔、シナリオ:星井博文 フレデリック・テイラー以降の主要な経営戦略論を概観し、マンガ形式を中心に解説した本である。元々、全2巻に分かれて発売されていたものを1冊にまとめて新装合本版として再発売したもののようだ。このため少々ぶ厚めで、2巻を買うより少しお得なお値段設定になっている。 流れとしては、基本的な潮流の説明から、ポジショニング派とケイパビリティ派の2つの流れに焦点を当てて様々な経営戦略理論をマップする方法をとっている。 第1章 近代マネジメントの3つの源流 フレデリック・テイラー ヘンリー・フォード エルトン・メイヨー アンリ・フェイヨール 第2章 近代マネジ…

  • ChatGPT&生成AI 最強の仕事術 ―すぐに役立つ「AIツール100選」― (日経BPムック)

    2022年11月末に公開された対話AI「ChatGPT」は、豊富な学習結果に基づき人間が書いたかのような自然で滑らかな文章を生成したり対話する能力を持ち、世界に大きな衝撃をもたらした。本書は、日経クロストレンドの記事からChatGPT関連のものを集めて構成したムック本である。 以下のような構成となっている。 Chapter1 超実践プロンプト公開 ChatGPT活用の極意 Chapter2 キーパーソンに聞く 生成AIがひらく未来 Chapter3 生成AIで広がる 新トレンドを読み解く Chapter4 文系でもスイスイ分かる AIの新常識 Chapter5 ChatGPTだけじゃない! 厳…

  • みんなでアジャイル ―変化に対応できる顧客中心組織のつくりかた

    著:Matt LeMay、訳:吉羽 龍太郎、永瀬 美穂、原田 騎郎、有野 雅士 アジャイルプロジェクトの進め方について述べた本。アジャイル開発の進め方にはいろいろな流儀があるが、大きくは「アジャイルソフトウェア開発宣言」という有名な基本的な考え方があり、そこからリンクをたどれる「アジャイル宣言の背後にある原則」という12の原則が憲法のような役割を果たしている。ただ、これらはあくまでも宣言と原則であり、非常に短いものである。このため、本書にも言及されているが、アジャイルは現場で開発効率を追求するためのの手法としての役割に焦点があてられることがよくある。 本書ではこの宣言と原則を尊重しながら、アジ…

  • BlockchainとVR/ARのトレンドが生み出す世界。「メタバースとWeb3」

    著: 國光宏尚 (著) ITの世界で、Web3.0という言葉が流行っている。ブロックチェーンによって新たにもたらされる世界もしくはその将来の可能性についての技術を一言でまとめたものであり、NFT(Non-Fungible Token)の世界が有名。ただし、Web3.0にはNFTだけでなく、ブロックチェーンを使ったDAO(Decentralized Autonomous Organization )と呼ばれる特定の統治者がいない分散型自立組織とその仕組み全体、DiFi(Decentralized Finance)と呼ばれる分散型の金融、さらにはそれらとVR/ARやメタバースを組み合わせて実現され…

  • Python 3 エンジニア認定データ分析試験に必要な「Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書」

    著:寺田 学、辻 真吾、鈴木 たかのり、福島 真太朗 「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」の教科書として指定されている本。線形代数をはじめとするデータ分析に必要な基礎的な数学の知識、PythonのNumpy, Pandas, Matplotlibの3つの機能、そして、Scikit Learnと回帰・分類・クラスタリングの初歩的な知識についてまとめられている。 「Python 3 エンジニア認定データ分析試験」はこの本から出題されるので、試験突破を目指す人には必須の教科書である。試験勉強のためには、この本をよく読んだ上で、無料公開されているいくつかの模擬試験を行い、実際にPytho…

  • 太平洋戦争屈指の激戦。アメリカ軍側から見た記録。「ペリリュー島戦記」

    著:ジェームス・H. ハラス(James H. Hallas), 訳:猿渡 青児 「人生の締めくくりの今、振り返ってみると、それなりに、貴重な経験でもあったんだ。でも惨めな経験でもあった。ただ、あまり誰にでもお勧めではないよ。生き残るのが難しいからね」(トム・ボイル元二等兵) 徹底的に綿密な取材を重ねて描かれた戦記である。主にアメリカ側の立場から書かれてあるが、日本側の状況も丁寧に調べて記述している。名もない兵士ひとりひとりの記録を集めてつなげ、まるで映画を見ているような気分になるくらい、写実的で生々しい。猛烈な艦砲射撃、激しい空爆。ジャングルは禿山になる。半年かけて整備した堅牢な陣地に篭って…

  • 深い余韻につつまれる見事な傑作。「日の名残り」

    著:カズオ イシグロ(Kazuo Ishiguro)、訳:土屋 政雄 カズオ・イシグロの3作目の長編である。 素晴らしい作品だった。英国の執事が主人公である。ソールズベリーの館。新しいアメリカ人の主人に仕える老いたスティーブンス。ミス・ケントンからの手紙。車で旅に出たスティーブンスは、長年仕えたかつての主人であるダーリントン卿の時代に想いをはせる。途中で立ち寄った地の人々との交流と過去の回想がクロスオーバーしながら、物語は淡々と進む。登場人物たちの微妙な心の揺れをとらえた緻密な描写。2つの世界大戦と館での出来事。かつて執事であった父親。多くの使用人たち。出入りする人々。プロフェッショナリズム。…

  • こみあげてくる感動が心をとらえて離さない見事な作品。「わたしを離さないで」

    著:カズオ イシグロ、訳:土屋 政雄 「おれはな、よく川の中の二人を考える。どこかにある川で、すごく流れが速いんだ。で、その中に二人がいる。互いに相手にしがみついている。必死でしがみついてるんだけど、結局、流れが強すぎて、かなわん。最後は手を離して、別々に流される。おれたちって、それと同じだろう?」。 キャシー、トミー、ルース。へールシャム出身の若者たち。淡々と落ち着いた語り口で物語りは進む。平静でいられるはずがないし、あてにならない希望にすがるときもある。でも、結局彼らはそれぞれのやり方でその感情を処理し、成長し、運命を受け入れてゆく。現実にはありえない設定の話だ。日本と違い、米国サイトでは…

  • SaaS全盛の現代においてサブスクモデルを実現させるための重要なカギ。カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

    著:ニック・メータ、ダン・スタインマン、リンカーン・マーフィー、訳:バーチャレクス・コンサルティング 1.カスタマーサクセスの時代 2.カスタマーサクセス実現のための指標、取り組み、顧客層の分類 3.カスタマーサクセス実現のための10の原則 4.最後に 1.カスタマーサクセスの時代 SaaSモデルに代表されるような定期購入や従量課金制のビジネスが浸透するとともに、カスタマーサクセスは注目を浴びるようになった。文字通り、顧客の成功を実現することを中心においてビジネスを行うという考え方である。そのためには、顧客との継続的なリレーションシップの確立と継続、そこから浮かび上がる顧客ニーズに基づいた製品…

  • 本当に基本だけがシンプルに書かれている。「トップセールスが使いこなす!“基本にして最高の営業術”総まとめ 営業1年目の教科書」

    著:菊原智明、イラスト:こつじゆい 営業マンの基本について書かれた本。とてもやさしく書かれていて、読みやすい。次のようなことが書かれている。 重要なのは押し売りではなく、意思決定のサポート。 売れる人の9割は小心者。 経験がないというのは、お客様視点に近いということ。 会社・商品への自信。トップ営業は会社や商品の悪口は言わない。 職業と自分への自信も重要。 営業力はすぐに身につかないが、見た目はすぐに変えられる。 営業マンに必要なコミュニケーション能力とは、聞く力。 ほどよく商品のデメリットも伝えることでメリットが際立つ。 お客様の「よくある質問」に対して準備をしておく。 優柔不断なお客様には…

  • ダウンロードできるシートと著者のYouTubeチャンネルを併用することでわかりやすく理解できる。「A4一枚英語勉強法 見るだけで英語ペラペラになる」

    著:ニック・ウィリアムソン YouTubeの「ニック式英会話」は英語学習者の間では人気で、これを書いている時点でチャネル登録者が32万人いる。日本語ペラペラのイギリス人ニック・ウィリアムソンが、ネイティブ・スピーカーの立場から日本人英語学習者向けにわかりやすく文法・発音・表現を解説しており、登録者数の数が示すように、同様な狙いの数多くのYouTubeのチャンネルの中でもかなり有名なもののひとつである。 この本は、著者が今まで作ってきた動画解説のノウハウから、特に時制の重要性と文の付け足しによる英語の基礎力アップを総合的に身に着けられるようにまとめたもの。に「日本語の骨格」から脱却して、「英語の…

  • 日進月歩のIT業界では今や古典的な一冊になりつつある。Agile開発に関する名著。「アジャイルサムライ−達人開発者への道」

    Jonathan Rasmusson (著), 西村 直人 (監訳), 角谷 信太郎 (監訳), 近藤 修平 (翻訳), 角掛 拓未 (翻訳) 2011年発売。進歩の著しいIT業界ではすでに古典となりつつある名著である。この間、アジャイルはソフトウェア開発の手法として人気を博し、多くの現場で取り入れられている。「サムライ」とあるから日本人が書いたものかといえばそうではなく、翻訳ものである。 顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供する。 アジャイルでは開発の工程を縦割りにはしない。例えば、アジャイルの代表的な手法であるSCRUMの場合、プロダクトオーナー、SCRUM Mas…

  • 現代のマーケティング理論と共通することを一般的な起業に平易な視点で解説。「ビビりの起業法」

    著:中村 裕昭 起業の本。著者は失敗を経験しながら着物リサイクルや自転車の引き取り事業などで成功したという起業家。その体験に基づいて、商売をうまくやるコツについて説明している。平易で読みやすい。 売れるかどうかなんて、売ってみないとわからない。商品ありきで考えると、「売りたい」「私は間違っていない」と思考の枠が狭くなるので注意すべき。そもそも、この世にずっと売れ続けるものなど無い。 「僕たちがやるべきなのは、商品とお客さんをつなぐことです。商品やサービス自体は自分とは無関係に存在していて、お客さんも世界中にいる。その接点として自分はいる。そう理解するだけで、可能性は無限に広がります」。 売るも…

  • 小さな会社を買うには。中小企業の事業後継者不足における事業買収入門。「0円で会社を買って、死ぬまで年収1000万円~個人でできる事業買収入門」

    著:奥村 聡 中小企業の後継者不足問題が注目されて久しい。この先、127万社が廃業を迎えるという予想も発表されている。日本の会社の99.7%が中小企業なのである。この本はコロナ禍前に流行ったものなので、今は飲食店や宿泊・観光業で危機に瀕しているところがもっと多いかもしれない。 本書は、個人が事業継承に悩む企業オーナーから事業買収を行うための基本的なポイントについて書かれたものである。著者は事業継承の仲介をしている司法書士。 新規にはじめる起業に比べ、事業継承という方法は既に存在している事業を買うので、少なくとも今までその会社が何らかのビジネスを行って存続してきたというところからスタートできると…

  • CISCOの技術を中心にネット全般の基礎が習得できる。新試験対応の「シスコ技術者認定教科書 CCNA 完全合格テキスト&問題集[対応試験]200-301」

    著:林口 裕志、著:浦川 晃、監修:中道 賢 CCNA(Cisco Certified Network Associate)というのはネットワーク機器の世界的なメーカーであるCISCOシステムズの認定資格です。民間企業の認定資格ですが認知度は非常に高く、インターネット全盛時代においてTCP/IP関連の技術的な知識を持っている技術者やコンサルタントの証として世界的に高い人気を誇っています。この資格は2020年に大幅に改定されており、この本はその最新の認定資格試験の学習者向けに編集されたものです。 1.おすすめの理由 2.本書の全体構成 3.CCNAはもちろんネットワーク全般の基本の復習に最適 1…

  • 図解中心でとてもわかりやすい。「マンガでわかるブロックチェーンのトリセツ」

    著:森 一弥、イラスト:佐倉 イサミ ブロックチェーンについてやさしく説明した本。薄い本で、イラストと図解中心となっており、多色刷りで、見やすく、わかりやすい。よく考えて構成されており、初歩の初歩から、ブロックチェーンの概要について理解できるようになっている。 1.ビットコインを中心にした暗号資産の基本 2.ブロックチェーンの応用 3.ブロックチェーンの課題を補完する技術 4.ステーブルコイン 5.全体として 1.ビットコインを中心にした暗号資産の基本 ビットコインのようなブロックチェーンを利用した暗号資産では、取引のデータの塊をブロックとして記録する。その際に前の取引のブロックの情報も含めて…

  • 人気の日本株全500銘柄診断、人気と買いの米国株100銘柄。投信、株主優待、2021年展望も。「ダイヤモンドZai 2021年2月号」

    一般向け投資雑誌「ダイヤモンドZAi(ザイ) 」を、久しぶりに買った。2021年 2月号である。 新型コロナによって2020年の株式相場は崩壊寸前だったが、各国中央銀行の超金融緩和策と、各国政府の異例の財政出動によって、株式相場は持ち直し、活況を呈している。そのような2020年の相場を受け、表紙に「日経平均21年に3万円の大台へ!」とあるように、比較的景気のよいトーンの記事が多い。大きくは、以下のような構成になっている。 第1特集 2021年の株全予測&儲け方 第2特集 [2021新春]人気の株500+Jリート14激辛診断&全銘柄の理論株価 第3特集 買い&人気の米国株100 第4特集 読者&…

  • 重責と多忙な役割を担うコンサートマスターの証言。「世界のコンサートマスターは語る: 世界の名門オーケストラから、51人の証言」

    編集:音楽の友 タイトル通りの本。過去の海外オーケストラの来日公演の際などに各楽団のコンサートマスターにインタビューしたものをまとめて収録している。基本的に、1人2ページの構成。51人のコンサートマスターの説明から、多忙で重責を担う現代のコンサートマスターの役割が見えてくる。いくつか、引用する。 「コンサートマスターはたしかにフル・スコアも予習しますが、毎回、指揮者と同じほど詳細にやっていたら時間が足りなくなります。ですから、やはり指揮者は必要なのです」(バート・ヴァンデンボーガルデ、バンベルク交響楽団)。 「今日では指揮者がいきなりやって来てリハーサルを始めますが、ヴァントの場合、本番の1週…

  • 世界の132のオーケストラのプロフィールが充実。「最新版 世界の名門オーケストラ 」

    編集:音楽の友、レコード芸術 世界の主要オーケストラを紹介した本。ムック本サイズで、白黒印刷。世界のオーケストラとして紹介されている団体は132。ただし、扱いはオーケストラごとに違っている。ベルリンフィル、ウィーンフィル、コンセルトヘボウといったトップオーケストラについては4ページの扱い。スイスロマンド管弦楽団、ロンドンフィル、チェコフィル、ニューヨークフィルハーモニックなどは2ページ、マーラー室内管、ウィーン交響楽団、モントリオール交響楽団などは1ページが割かれている。さらに日本については一通り載っている。 巻頭部分の解説では、「ブランディング/ポジショニングのいま」と題して、世界的にオーケ…

  • 今から2年ほど前に流行った、「独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで」をいまさら読んでみた

    著:コーリー・アルソフ、監訳:清水川 貴之 Pythonを中心に、基本的なプログラミングのポイントを解説した本。今から2年ほど前に話題になった本だ。 第1部は、プログラミング入門、関数、文字列操作、ファイル操作といったPythonの本では基本の基本になる部分の説明。 第2章では、第13章の「オブジェクトプログラミングの4大要素」はとても良い。カプセル化、抽象化、ポリモーフィズム化、継承というオブジェクト指向の4つの特徴が、Pythonにおけるオブジェクト指向の実装上の特徴を、コードを交えてうまく説明してある。 この章ではさらに、子クラスが親クラスのメソッドを別の実装で置き換えるメソッドオーバー…

  • 世界屈指のピアニストがユダヤ人としての激動の人生と音楽観を語る。「静寂から音楽が生まれる」

    著:アンドラーシュ・シフ、訳:岡田 安樹浩 ハンガリー出身で世界屈指のピアニストであるアンドラーシュ・シフが、ユダヤ人としてのルーツや両親の苦労、自らの生い立ち、共産主義政権のハンガリーで過ごした若いころの話、そして膨大なクラシック音楽の知識や見識について語った内容をまとめた本である。奥さんである日本人バイオリニストの塩川悠子と結婚したときに指揮者のラファエル・クーベリックが立ち合い人になってくれたときの写真もある。 両親はホロコーストの時代を生きた。母親の最初の夫は、ナチスの収容所でチフスを患い、他の患者たちと共に焼き殺された。父親も収容所に入れられたが医師であったために待遇が少し異なり生き…

  • リブラ、STO、CDBCの動向。「アフタービットコイン2:仮想通貨vs中央銀行」

    著:中島真志 ビットコインなどのデジタル通貨の昨今について、次の3つの視点から解説した本である。著者は日本銀行出身で決済についての本を何冊も書いており、慣れているのだろう、とても整理された書きぶりである。 第1部 リブラの野望 第2部 群雄割拠の仮想通貨ーアルトコインからデジタル通貨へ 第3部 中央銀行の参戦ー大本命に「死角」はあるか 第1部 リブラの野望 第1部のリブラについては、「Libra 1.0」の概要とインパクトの大きさ、多くの批判を受けて登場した「Libra 2.0」についてまとめてある。著者はLibra1.0が香港の「カレンジーボード制」、シンガポールの「バスケットボード制」、…

  • 週刊東洋経済 2020年8/22号 [雑誌](すごいベンチャー100)

    特集は、「すごいベンチャー100」である。毎年恒例化している特集だが、顔触れは毎回違う。 取り上げられている企業は、巨額調達、ユニコーン、大学発、広告・マーケティング、業務支援、人事、住まい・暮らし、小売り・飲食、フリマ・通販、物流、デバイス、データ・セキュリティ、医療・介護、行政、金融という分野に分けられており、以下のような顔触れになる。 ・VPP:再生エネルギー ・APB:次世代型リチウムイオン電池 ・ベルフェイス:営業特化型ウェッブ会議システム ・エレファンティック:プリント基板の独自製造 ・サイカ:テレビ、ネットの広告分析 ・Wovn Technologies:ウェッブサイトやアプリの…

  • サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい

    著:三戸政和 中小企業の事業継承手段としてのM&Aを活用し、小さい会社を厳選して購入して資本家として生きていくことを勧めた本である。実際、本書にもあるように、ネットで「M&A 案件」と検索すると、実にたくさんのサイトと案件が登場する。全国410万社ある企業の中で中小企業は380万社を占めるが、そのうち7割が後継者不足に悩んでいる。今や、小さな会社のM&Aは一定の規模があるマーケットである。 といっても、実際のM&Aについての説明は最後の4分の1ほどしかない。まずは、「人生100年時代」と言われ、10年おきに平均寿命が2-3年延びている時代に生きていくためには、生涯現役の考え方は重要であり、下流…

  • あの営業マンが選ばれる「本当の理由」 お客様にとって唯一無二の存在になる時、お客様と営業マンの間に何が起きているのか

    著:一戸 敏 世の中には営業向けのノウハウ本や、成功した営業マンが営業について説いている本がいくつもある。この本もそのひとつ。著者は、保険の営業で成功し、その後起業して自分の会社を持っている。 最初の方で、基本的なこととして、次のようなことについてページを割いて書かれてある。人によっては成功すると基本を忘れがちになることがあるので、この辺は参考になる。 1.時間を守る 2.他人との約束を守る 3.自分との約束を守る 4.社会のルールを守る 個別のポイントとしては、著者自身の体験談を各所に交えながら、以下のようなことが書かれてある。 ・必要以上に感謝を表現する。 ・お客様に対して責任を持つ。 ・…

  • 新型コロナによって対応が急務になったリモートワークの時代。「テレワーク大全」

    編集:日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボ 新型コロナの蔓延によって、テレワークは突如、当たり前のものになってきている。本書は、テレワークの導入について、メリット、考慮点、どのようなツールがあるか、就業規則の在り方、コミュニケーション上の工夫、椅子や机、ストレッチや体調管理、セキュリティ上の留意点、さらには国や自治体の補助金制度まで幅広く扱った本である。 日清食品、塩野義製薬、アフラック生命保険など、実際の導入企業の事例がいくつも載っているのも特徴である。この辺は日経グループの知名度と取材力がものをいっている。机の上に本日テレワークと書かれたものを置くというような例は賞賛されているが…

  • 今さら読んでみた、「コンビニ人間」

    著:村田 紗耶香 第155回芥川賞を受賞して話題になった「コンビニ人間」を、今さらながら読んでみた。 定職に就かず、同じコンビニでのアルバイトを18年間続けている未婚の女性、吉倉恵子が主人公。男性とつきあったことは一度もない。一人で、素朴につつましく生きている。本人は特にその生活に不満を覚えていない。しかし、家族は、36歳になるまで一度も定職に就かずにコンビニバイトだけを続け、結婚もせず彼氏も作ろうとしない彼女を心配し、「治そう」としてくれている。 ある日、そのコンビニに、白羽という男が雇われる。しかし、勤務態度が悪い上に、女性客の住所を突き止めようとストーカーまがいのことをしたため、クビにな…

  • ネイティブはこう使う!マンガでわかる時制・仮定法 [ネイティブはこう使う!]

    著:デイビッド・セイン 英文法の時制と過去形の解説に的を絞った本。オールカラーで、見やすく、簡単なイラストやマンガがついている。以下のような感じである。 近い内容を、時制の違いでの意図の違いとして列挙して示している部分も多くある。以下のような感じである。 I’ll have used this computer for seven years next week. 来年でこのコンピュータを7年使ったことになります。 I’ll use this computer for seven years. このパソコンを7年は使います。 I’m going to use this computer for…

  • 簡単なビジネスでの会話に使える表現集として。音声ダウンロード付き。「起きてから寝るまで英語表現1000オフィス編」

    荒井 貴和 (著), 武藤 克彦 (著), 吉田 研作 (監修) 英語の表現集。以下のような10のテーマに分けて、それぞれの場面で使えそうな表現を掲載している。大きくは、会話で使うものと独り言的に使うものがある。 1 内勤 2 人間関係 3 営業 4 出張 5 企画・開発 6 休憩 7 会議 8 人事・待遇 9 就職・転職 10 ワークライフバランス 各章の最初には、イラストで簡単に単語表現の列挙がある。また、各章の終盤には小テスト的な穴うめ確認問題と、その章で紹介された表現を用いた会話例がある。 英語のレベルは高くなく、英検3級程度でも十分手が届くような内容である。ただし、「1000」とある…

  • プロジェクトの立ち上げ、課題やリスクの整理、チーム形成、実行、振り返りまでをわかりやすく解説。「図解プロジェクトを成功させる技術」

    著:芝本秀徳 プロジェクト管理の基本についてやさしく説明した本。主人公の三木ヒトミと関西弁の上村課長が登場するマンガによる簡単なストーリー仕立てになっている。同時に、いくつかの基本的な手法の説明と図解が掲載されている。 そもそもプロジェクトとは?目的と成功基準をはっきりさせる。課題ログを作る。ステークホルダーを明確にする。顧客からヒアリングを行い、具体的な実現手段に翻訳する。ステークホルダーマトリックスとステークホルダーグリッドを作る。WBSを作る。スコープを明らかにする。キックオフミーティングを開く。チームのまとめ方。リスクを洗い出して一覧にする。プロセスフローダイアグラム。 プロジェクトと…

  • クラシック名曲の条件 (講談社学術文庫)

    著:諸井 誠 「名曲」をテーマにしたクラシック音楽のエッセイ集である。モーツァルト、ベートーヴェンからマーラーまでの作曲家の代表曲を取り上げながら、なぜそれらが名曲と広く認められているのかを楽曲面を中心に考察している。 1. プロローグ モーツァルトに「名曲」を求めて モーツァルトはおびただしい数の作品を作ったが、名曲と呼べるものは必ずしも多いわけではない、としている。 2.英雄の条件 ―― <英雄交響曲>と<英雄の生涯> ベートーヴェンの交響曲第3番変ホ長調「英雄」と、Rシュトラウスの「英雄の生涯」については、かつての名指揮者フルトヴェングラーの「偉大さはすべて単純である」という言葉を引用し…

  • 目的がはっきりしていて、よくまとまっている。「使える動詞だけ覚えなさい! 英会話フレーズ700」

    著:伊藤太、著:GaryScottFine Come, go, take, bring, make, set, have, give, say, find, do, carry, look, run, hear, hold, stand, stay, break, turn, leave, try, work, draw, 他。基本的な動詞を中心に、それらを使って可能な様々な表現を、豊富な例文と共に収めた本。 以下のような感じで、基本となる動詞ひとつにつき4ページというぜいたくな構成。とても見やすく、シンプルながら各動詞の持つ広がりがわかりやすくなっている。時々ちょっとユーモアを利かせた挿絵も…

  • 英語を話すコツのひとつは、基本的なパターンをいろいろな形で応用できる力をつけること。「基本の78パターンで 英会話フレーズ800」

    著:伊藤太 よく使う英会話の基本パターン78個に絞りながら、それぞれのパターンでいくつもの異なる例文を提示することで78個の基本パターンを自分のものにできるように、使いこなせるようにすることを狙った教材である。 例としてひとつ示すと、以下のような形式になっており、パターンひとつに対して見開きで2ページの構成で、ただし、その基本表現を使いこなせるようにポイントを簡潔にまとめた解説とともに、いろいろな表現を例示してある。 やさしい本で、英語の初心者レベルでOK。巻末には46の頻出熟語表現と例文が一覧にしてある。 何年も勉強してきてしみじみ思うことは、英語を話すコツのひとつは、基本的なパターンをいろ…

  • 予定通り進まないプロジェクトの進め方

    著:前田考歩、後藤洋平 プロジェクトマネージメントについての本。最大の特徴は、「プロジェクト譜」(略して「プ譜」)という俯瞰図を提唱して説明しているところになる。プロジェクト譜というのは、以下のような図式したものになる。 全体的な目次としては以下の通り。いきなり、「なぜプロジェクトは失敗するか」で始まっていることを見てもわかるように、基本的にプロジェクト管理の初心者向けに体系立って書いているというよりは、経験則に基づき、プロジェクトとはこういうものだということを述べた、一種の「プロジェクト道」というような感じの書きぶりである。 第1章 なぜプロジェクトは失敗するか 第2章 プロジェクトの道具箱…

  • いちばんやさしいRPAの教本 人気講師が教える現場のための業務自動化ノウハウ 「いちばんやさしい教本」

    著:進藤 圭 本書の特徴と概要 RPAについて、何がいいのか、どのような効果があるのか、どういう業務に向いていてどういう業務には向いていないのか、どのようなタイプの製品があるのか、それぞれの目的でどういうタイプのものを選べばいいのか、導入プロジェクトはどのように進めればいいのか、といったことを解説した本である。 図表を駆使し、RPAについて全く知識がない人でもわかりやすく書かれていることが特徴である。 RPAとは?どんなものがRPA化できるのか? RPAはソフトウェアのロボット。単純事務作業の自動化が期待できる。請求書の処理、月末の経費精算、日報送信など。大量の定型処理は事務処理用のロボットに…

  • スタンフォード大学の「d.school」で学んだ内容を多く盛り込んだデザインシンキングの解説本。「実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決 できるビジネスシリーズ」

    著:ジャスパー・ウ、見崎 大悟 1.概要と特徴 日本でも浸透してきたデザイン思考について解説した本。著者のジャスパー・ウ(Jasper Wu)は、スタンフォード大学の「d.school」でデザイン思考を学び、多くのワークショップに参加しており、その経験をベースにして書かれている。 2.Design Thinkingの概要 デザイン思考のデザインは外観のデザインのことではなく、「設計」の意味になる。「対象となる人々の問題を解決する方法を設計(Design)するための考え方(Thinking)」 と理解するとよい。見ているだけはいくら教わっても泳げるようにはならないので、実践が大切。 ワークショッ…

  • 図解入門 よくわかる最新SAPの導入と運用

    著:村上均、監修:池上裕司 SAPのERPは日本を含め世界中の大企業で使われているが、いかんせん、難しい。ITだけでなく、SAP製品固有の知識、そして業務への理解が必要になる。最近流行りのアジャイルなどとは違う世界だ。 この本はSAP製品とはどのようなもので、どのように導入を検討してゆけばいいのか、実践的な立場から解説したものである。以下のようにERPの中核となる会計とロジスティクスの個別のモジュールの説明がある。全体的にはERPが大半だが、データベースのHANAについても載っているし、ERP以外の製品についてもCRMや人事関連など多少説明がある。 会計管理モジュール: ・FI-GL:総勘定元…

  • 特攻隊員の現実 (講談社現代新書) (日本語) 新書

    著:一ノ瀬 俊也 神風特攻隊員がどのような心情であったか、国民や軍の関係者は神風特攻隊についてどのように思っていたのかを、著者の推測を交えながら書かれた本。タイトルは「特攻隊員の現実」となっているが、人間魚雷の回天、小型ボートの震洋、大和の沖縄戦での水上特攻などは除かれており、B29への体当り攻撃も無く、「神風特攻隊」のみである。 本書は、大きくは2つのパートに分かれている。前半では特攻隊員の遺書や、特攻機に同乗するマスコットを作って贈ったりした女性たちなどの証言から、特攻隊員の意識がどのようなものであったかを類推する。この部分では、著者は、神風特攻隊員たちの意識は作戦がはじめられた当初とは違…

  • Libraの論点がわかる。「リブラの正体 GAFAは通貨を支配するのか?」

    著:リブラ研究会(福島良典、落合孝文、唐鎌大輔、鈴木由里、森下哲朗、楠正憲、増田剛) Facebookが発表し、アメリカをはじめ世界の多くの中央銀行・議会・政府関係者から批判を浴びた暗号資産Libraについて7人の識者が解説した本。 Libraとはそもそもどういう計画なのか、どうしてこれだけ多くの波紋を生んだのか、どこが問題だと受け止められているのか、脅威と解釈されているのはどうしてなのか、他の暗号資産とは何が違うのか、どのような可能性を秘めているのか、従来の中央銀行を中心とした経済の在り方にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、ということが論じられている。以下のような章構成になっている。 …

  • 究極のコーチ像は、選手が何でも一人でできるようになり、はた目から見るとサボっているようにしか見えないコーチ。「最高のコーチは、教えない。」

    著:吉井 理人 プロ野球選手として活躍し、その後投手コーチになった吉井理人氏が、自らの経験と望ましいコーチングについて説明した本。 プロ野球選手時代に試合直前にコーチから言われた一言で調子を崩したときのことをはじめとした選手時代のコーチとの苦い思い出や、今と昔の違い、自身のメジャーリーグでの経験、NYメッツの投手コーチボブ・アポダカに「自分の事を一番知っているのは自分自身だから、君の事を俺に教えてくれ」と言われたことや、監督だったボビー・バレンタインへの思い出と感謝も述べている。 「(昔のプロ野球において)芽が出なかった選手にも、素晴らしい才能の持ち主がいたと思う。メチャメチャな生活とメチャメ…

  • GE(ジェネラル・エレクトロニクス)を立て直した奇跡の経営者。「ジャック・ウェルチ わが経営 <下>」

    著:ジャック・ウェルチ、著:ジョン・A・バーン、著:宮本 喜一 「私は、製造業の規律とキャッシュフローを金融業の創造性と融合すれば、すばらしい事業が気づけるという考えに夢中になった」。 GEを復活させた経営者ジャック・ウェルチの自伝的経営論。上巻に続くこの下巻では、GEキャピタルの成功への道のりの物語から始まる。NBCの買収。拡大とグローバル化。品質活動。Eビジネスへの挑戦。その一方で、大規模な不正という難しい問題も立ちはだかる。さらに、後任選び。 特に、Eビジネスへの考え方はなかなか鋭い。全てを用意しなければならないドットコム企業と比べて、大企業はビジネスに必要な組織はあらかじめ全て持ってい…

  • GE(ジェネラル・エレクトロニクス)を立て直した奇跡の経営者。「ジャック・ウェルチ わが経営 <上>」

    著:ジャック・ウェルチ、著:ジョン・A・バーン、著:宮本 喜一 「ナンバーワンかナンバーツーになることは、単なる目標にとどまらない。それは必須条件だ」。 「(GEが目指すのは)GNPを牽引する機関車であって、それに引っ張られている貨車ではない」。 巨大企業GE(ジェネラル・エレクトロニクス)に黄金時代をもたらしたジャック・ウェルチの本。米国の企業によくある外部から雇われたCEOではなく、内部から昇りつめた人である。若いころの仕事ぶりや、出世の経緯についても書かれている。 ウェルチは、その辣腕が称賛されたのと同時に良くない評価の社員を遠慮なく切り捨てたことで批判も浴びた。具体的には、社員をA,B…

  • 新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)流行の時代に、感染症やウイルスのパンデミックと人類が歩んだ歴史とそこから学ぶこと。「感染症と文明――共生への道」 (岩波新書)

    著:山本 太郎ウイルスを含むさまざまな感染症と人類の歩みについてまとめた本。薄い本だが、骨子が明確で、コンパクトに記述されている。なかなか面白い。著者は、アフリカやハイチなどで感染症対策に従事した経験を持つ、長崎大学熱帯医学研究所教授。ちょっと驚いたのは、先史人類は、ボツリヌス症や炭そ症といった一部を除けば、感染症に対しては意外に健康だったらしいということ。 では、何が変わったのか。 実は、感染症が爆発的に大流行(パンデミック)するようになったのは、人間が農耕を始め、家畜を飼い、人口が急増してからである。さらに、文明が発達し、人々の往来が活発になることで、一か所で発生した感染症が地域的な広がり…

  • ちょっとした暴露ネタもご愛敬。野村監督らしい鋭い視点。「あぁ、監督 ――名将、奇将、珍将」 (角川oneテーマ21)

    「著:野村 克也 先日亡くなった、プロ野球の元名選手で、数多くの逸材を育て、再生させた名監督でもある野村克也氏が生前書いた本のうちの一冊。 気軽に簡単に読める。プロ野球の監督という基本テーマからいくつかのサブテーマを決めて、それぞれのテーマについて野村監督が自在にしゃべっているのをまとめて本にしたような感じだと思えばいい。 とにかく、実在の人たちの名前がたくさん出てくる。かならずしも、いいことばかり書いてあるわけではない。古田元監督は自己中心的でその証拠に自分に年賀状一枚送ってこないとか、広岡元監督は人望がないうえにケチというのはご愛敬。まあ、プロ野球界としても、重鎮の野村監督なんだから好きに…

  • SNS時代のフォトグラファーガイドブック

    著:XICO、黒田明臣、もろんのん、ENO 、haru wagnus、高橋伸哉、宮瀬浩一、別所隆弘 かつて写真は、フィルム撮影して、現像して、印画紙に焼くことだった。知識や技術の専有性は今よりも高かった。プロ写真家の中には徒弟制度で育っていく人も少なくなかった。 しかし、今や時代は変わった。写真はデジタルになり、撮影は簡単になり、編集も容易になり、スマホがカメラになり、インターネットを使って簡単にSNSで共有できるようになった。共感してもらえるかが、写真家を分ける。 本書は、このような時代の変化の中で、InstagramやTwitterでバズったり、フォロワーが増えたり、「いいね!」がたくさん…

  • 凡人起業 35歳で会社創業、3年後にイグジットしたぼくの方法。

    著:小原 聖誉 モバイル向けの起業で成功した経験のある著者が、「凡人」が起業して成功する方法について、自らの体験に基づいて語った本。以下のようなことが書かれている。 好きなことを仕事にするより、負けないことをやる。 凡人起業で大切なことは、いかに失敗しないか。 拡大・成長しそうな市場で先行者になる。 勝てる市場より、負けない市場を選ぶ。 準備を周到にし、とにかく失敗しないようにする。 情報収集が大切。 自分のことを信用せず、失敗確率を落とす仕組みをつくる。 会社はお金が回らなくなったらゲームセット。お金が回るようにする。 どうせやるなら、新しい市場に向けてコツコツやる。 情報発信することそのも…

  • 新版 小予算で優良顧客をつかむ方法 マーケティング常識11のウソ

    著:神田 昌典 小規模事業者向けのマーケティングの本。オリジナルはインターネットが普及する前のものだし、自己啓発的でたいそうな書きぶりの本である。ただ、キャッチイな書きぶりのおかげで、とにかく、読みやすく、ポイントがわかりやすく仕上がっている。 優先すべきはお客を集めること。 お客様が、次の仲間をどんとん集めてくれる。 「いい商品」であることより、「いい商品であることをお客に伝えること」が大切。 お客は売り込みには反応しない。 商品ではなく、ストーリーを描く。 商品ではなく、サービス重視の姿勢を優先することで良好な関係を築くこと。 商品ではなく、商品の選択基準を示すこと。 お客が集まったあとは…

  • CNN ENGLISH EXPRESS (イングリッシュ・エクスプレス) 2020年 1月号

    CNNのニュースは今ではネットで最新のものが普通に見られる。ニュースの英語は見出しは省略形であったりするものの、具体的で整った文章が多いので、英語が難しければ、ブラウザを翻訳モードにすればいい。 ただ、CNN Expressは、CNNのコンテンツの中でも、特に興味深いものを厳選してあり、かつ、それを学習用コンテンツとしてまとめてあるので、これはこれで価値がある。音声もCDの添付とダウンロードの大きく2種類がある。私は、Audipoという英語学習用に向いたMP3のソフトを使っているので、音声ダウンロードはありがたい。 この号は、FacebookのLibra、世界中で話題になった16歳の少女グレタ…

  • あなたも今日から教祖様。「完全教祖マニュアル」

    著:架神 恭介、辰巳 一世 「教祖は決して難しいものではありませんし、特別な才能や資格も要りません。たとえば、ベツレヘムで生まれた大工の息子も、30歳を過ぎてからのたった3年間の活動で、世界一有名な教祖としてサクセスしたのです!しかも、彼には本書『完全教祖マニュアル』はありませんでした。本書を手にした皆さんは、彼よりも遥かに有利なスタートを切ることができるのです。自覚して下さい。あなたのサクセスライフは、本書を手にした今このとき、既にはじまっているのです!」 タイトル通り、「完全」教祖マニュアルである。「思想」と「実践」の重要性を掲げ、読者の前に輝かしい教祖様への道を開いて見せる。 教義は既存…

  • 42のアイディアの出し方。「アイディア大全」

    著:読書猿 アイディアをひねり出すための手法を集めてまとめた本。発想というのは本来より幅広いものだという考え方から、ビジネス向きのものに限らず、科学・アート・哲学向きの考え方も紹介されている。以下のような手法が、全部で42紹介されている。 バグリスト:不愉快なことや嫌なことを10分間で書き出し、その中からいくつか選んで解決策を考える。 エジソンノート:アイディアや気になった情報をメモり、気づいたことをさらに書き加え、成功・失敗の結果も書いてノートと対話する。 エクスカーション:テーマを決め、カテゴリー別にテーマとは関係のないことをたくさん考え、それをテーマと結び付けてアイディアを考える。 フィ…

  • ITエンジニアのための場面別英会話&キーフレーズ

    著:細谷竜一、大須賀正之、浅川佐知子 見積り・提案、スケジュールの確認、品質と責任範囲の確認、納品物の受領、納期、テスト・検収、リソース調整、トラブル対応など、ITの現場で使う言い回しやフレーズと会話例を掲載した本。MP3の音声ダウンロード付き。 難易度は高くない。英検3級くらいであれば取り組める。場面別になっており、バグ発見時の会話など、通常のビジネス英会話とは違ってITの世界に特化しているのがよい。キーフレーズがわかりやすくまとめてある。それほど厳密に順序立てて学ぶ必要はなく、各自の必要度に合わせて重要だと思うところから取り組んでも支障のない構成である。 ただ、ほぼすべての英文ですぐ下に日…

  • 多くの実施例が載っている。「アイデアソン! アイデアを実現する最強の方法」

    著:須藤順、原亮 アイディアソン(Ideason)は、人々が集まって集中的に課題に対するアイディアを考えるイベントである。新事業創出、スタートアップの事業創出、地方再生や地域活性化のアイディアだし、オープンデータ活用といった目的で開かれる。 本書は、アイディアソンとはどのようなものか、運営や成功のポイントはどのようなところにあるのか、実際の開催例の紹介といったことから、アイディアソンについて解説した本である。 アイディアソンのポイントとしては、以下のようなものがあげられている。 1.正確な情報提供 2.ゴールの位置づけ 3.参加者の多様性と仲間意識 4.小さなゴール設定と発想転換 5.アイディ…

  • キットが無料配布されているビジネスモデル図解が素晴らしい。「ビジネスモデル2.0図鑑」

    著:近藤 哲朗 ヒト、モノ、カネ、情報の4つの経営資源を軸に、近年のユニークなビジネスモデルを100個選んで、どういうところが斬新なのかを解説している本。特に、以下のような形で表現されているビジネスモデルの図解が非常に優れている。 取り上げられているのは、次のようなものである。一流シェフの料理を低価格で楽しめる「俺のフレンチ」。地域密着型コンビニの「セイコマート」。結果にコミットする「ライザップ」。保険の余剰金を寄付できる「Lemonade」。資金繰りで困ったを解決する「Fundbox」。簡単に割り勘ができるキャッシュレスアプリ「paymo」。クラウドファンディングの「クラウドクレジット」。オ…

  • 起業家

    著:藤田 晋 サイバーエージェントの創業者である藤田晋氏が、起業家として会社を成長させる中で経験したことや苦労、何をどのように判断し舵取りしたのかを、教訓を交えて綴った本。 ネットバブル崩壊。株を買い占めた村上ファンドによるサイバーエージェント清算の要求と危機脱出。中長期の経営計画に込めた決意と背景。安定しているが利益率の低い広告代理事業からメディア企業への変身の苦労。 いろいろな買収を見送ったことの功罪から学んだこと。事業は失敗したが、ユーザに向き合う秋元康らから学んだこと。終身雇用を目指すと宣言して辞める若手が少なくなり会社経営が楽になったこと。ビジョンとミッションを明確にし、人事制度と福…

  • 感動のメカニズム 心を動かすWork&Lifeのつくり方

    著:前野 隆司 感動のある人生は豊かである。モノ中心から人間中心に考え、製品やサービスを開発する際にも人を感動させられるものを開発するようにすべきという観点から、感動について語っている本。 ニーズ志向、顧客満足重視、人間中心設計、ユーザのフィードバック重視、アジャイル開発、デザイン思考、ユーザエクスペリエンス、ユニバーサルデザイン、インクルーシブデザイン。昨今のこのようなトレンドには、すべて、モノありきではなく人間ありきの思想がある。 「コモディティから製品、サービス、そして経験へと進化するのが経験経済の本質」 B・J・パインIIとJ・H・ギルモアの「経験経済」(2005年)は、経験経済を作り…

  • 網羅性が広く、バランスよく書かれているブロックチェーンの解説書。「図解即戦力 ブロックチェーンのしくみと開発がこれ1冊でしっかりわかる教科書」」

    著:コンセンサス・ベイス株式会社 ブロックチェーンの本。網羅している範囲が広いことが特徴である。このため、「知識0からでもわかりやすい!」という副題は若干無理があるかもしれないが、詳しくないけど入門レベルのことはある程度わかっているという人にとっては格好の本である。 目次構成は以下のようになっており、さらにそれぞれの章の中もテーマ別に小分けになっている。そのため、必ずしも全部ベタに読む必要はない。例えば、最初の方のビットコインの仕組みなどは仮想通貨ブームのときに学んだという人は、そういうところは流し読みでも問題はない。 第1章 ブロックチェーンの基礎知識 第2章 ビットコインブロックチェーンの…

  • サッカー日本代表を支えた熱いハート。闘莉王の「大和魂」

    著:田中マルクス闘莉王 「肩を組み、必死に祈った。絶対に勝つんだと念じた。勝つのは僕らだと信じていた」。 引退を発表したサッカー元日本代表のディフェンダー、田中マルクス闘莉王選手が2010年に出した本。ブラジルの日系人の家庭に生まれ、いろいろな苦労を乗り越えて日本でサッカー選手として活躍するに至った現在までを振り返っている。 中年になってから決意して働きながら猛勉強で弁護士になった勤勉な父親の厳しい教え。来日した当初は、食事も合わず、言葉も通じなくて苦労したこと。4回通読した聖書。 空中戦に強い選手というイメージがあるが、日本に来るまで元々ヘディングがほとんど出来なかったというのはこの本を読む…

  • 目標達成のために書いてみることの重要性。「非常識な成功法則【新装版】」

    著:神田昌典 「新装版」といっても、だいぶ古い本である。一定の熱狂的な支持者がいる神田昌典氏の出世作。キャッチーな言葉が並び、ところどころため口で、いかにも自己啓発系。信者にとってはたまらないかもしれないが、そうでない人には率直に述べて胡散臭さがする本なので、若いときは読まなかった。 ただ、古い本であるにも関わらず、起業した知人が勧めていたので、こちらも丸くなってきたこともあり、じゃあ、読んでみるかと思って古本でお安く買った。 「やりたくないこと」を書く。人生から消し去りたい、嫌なことをできるだけたくさん。ちゃんと、紙に書く。正直に、できるだけたくさん。 それから、今度は「やりたいこと」をたく…

  • 自らが学習機能を持った「ラーニング・オーガニゼーション」となること。「最強組織の法則」

    著:ピーター・M. センゲ、訳:守部 信之 「これから本当の意味で抜きんでる組織は、あらゆるレベルのスタッフの意欲と学習能力を生かすすべを見出した組織となるだろう」 「リーダーが持つべき戦略の核心はごく単純なものだ。自分がモデルになるのである」 個人と組織が相互に良い影響を及ぼしあい、成長する方法について様々な啓示をくれる、ピーター・M・センゲの一冊。特に、マイクロワールドの話やリーダシップ、サービス業における組織的な知識の習得とそのフィードバックの構築に関する記述は、鋭く、優れている。 知識が産業の中心的な役割を果たす時代が来たことが叫ばれて久しい。一方で、効率化やコスト削減の圧力が高まって…

  • 派手にお金を使う金持ちは実はごく一部。大半の億万長者は、堅実に暮らしている。「となりの億万長者」

    著:トマス・J・スタンリー、著:ウィリアム・D・ダンコ、訳:斎藤 聖美 「うちの子供たちは、うちは貧乏なの?と、ときどき聞きます。ファストフード店で1ドル均一メニューの中から注文しなさいと私が言うからです」。 「私たちは倹約家です。こんなに長いアンケートに協力するのも1ドルくれるっていうからなんですよ」。 「私はスコッチかビールしか飲まんよ。ビールは2種類。バドワイザーかタダで飲めるヤツだけだ」。 「小さい頃、女の人が泣いているのを目撃したんです。庭の椅子に座ってね。泣いている間にその女の人が持っていたものは全部競売で持っていかれてしまった。その女の人のことは脳裏に焼きついています。一生忘れる…

  • ゆる~くて、独創的なレポートが名調子で続く。「文庫本は何冊積んだら倒れるか」

    著:堀井 憲一郎 率直に書いてしまうと、どうひいき目に見ても読んでも何の役にも立たない本で、かつ、調査のための行動範囲がほとんど自分の家の中本棚周辺で済んでいるという、なんとも独創的でゆる~い調査レポートがいくつも掲載された一冊である。 「坊ちゃん」のしおりは何ページにはさまっているのか 名作の段落を数えてみる 名作をどこまで間違わずに音読できるか 詩人はどれだけ文庫に入っているか 本屋大賞受賞作は100グラムいくらか 文庫を左手だけで読んでみる 「吾輩は猫である」を注だけで読む! 作家の名前はどの文字からはじまるものが多いのか 文庫本の(背表紙の)てっぺんから一番上の文字までを測ってみる 1…

  • つながりをネットワークとして科学する。「私たちはどうつながっているのか―ネットワークの科学を応用する 」

    著:増田 直紀 人や社会におけるつながりのネットワークについて科学的な理論に基づいて解説した本。2007年出版の本であるため、ところどころ古さを感じるが、基本的な考え方についてはむしろSNSがより生活に浸透した今の方がより説得力と重要性を持って理解できる感じがある。 数人の少数のコミュニティはクラスターと呼ぶ。人と人のコミュニケーションの最小単位は2人であるがコミュニティとしての機能は3人以上が基本。よってクラスターの最小単位も3人(3角形)である。 6次のつながりと様々なクラスターによって構成されたネットワークを「スモールネットワーク」という。ネットワークでは近道できるコミュニケーションのラ…

  • 三木谷浩史、楽天を語る。「楽天流」

    著:三木谷浩史 楽天の創業者が、起業家として楽天を作った理由、世間で大きな話題となった英語社内公用語、楽天の文化、楽天市場のコンセプトをどうしてあのような形にしたのか、経団連脱退、海外進出、プロ野球の楽天イーグルスやサッカーのヴィッセル神戸を所有することになった理由といったことについて書かれた本。 元々は英語で海外向けに書いたものを、日本語に訳したものだという。原著が出版されると、欧米のメディアの取材を受けたり、Googleなどのインターネット企業のセミナーに招かれたという。 「エンパワメント」を中心とした楽天主義と呼ぶべき企業カルチャーや、お店ごとにネット上に制約の少ないカスタマイズ可能な自…

  • 日本のカレーが世界に進出?独自の進歩を遂げた意外な特徴「カレーライス進化論」

    著:水野仁輔 「ゴーゴーカレー」と「ココイチ」の海外への挑戦。ハウス食品の中国版。中華料理だったラーメンが日本の食文化として独自の進化を遂げたように、カレーは元々イギリスを通じて高級料理として日本に入ってきた。そして独自の進化を遂げ、今や海外進出も行われている。特に、カツカレーは人気らしい。 カレーに関する著書を既に40冊以上出しているスパイス&カレー専門家によるカレーライス文化についての本である。 カレーの本場はインドだと考えられているが、インドではカレーライスという切り出した形のものが存在するというより、油とスパイスと塩で素材自体を引き立てて味わうインド料理があるのであって、日本とはずいぶ…

  • マンガで資本論(上下巻)

    著:マルクス、 バラエティアートワークス 上下巻セットの漫画。マルクスの資本論を元にしている。上巻は資本論の1巻の範囲になり、下巻は資本論の2巻と3巻の範囲にあたるという。本書の司会進行はエンゲルス君で、終盤はマルクスも登場する。 ただ し、本書の注釈によれば、この本にはマルクスの哲学や思想などは入っておらず、エッセンスだけをまとめたものだからこれを読んでから資本論に進んでくださいとのこと。 上巻では、資本家の協力を得てチーズ職人の息子が向上をはじめる。労働者を安くこき使い、資本を回転させ、利潤の上げ方を覚えてゆく。労働者を調整弁にしたりするのは、派遣切りみたいである。 下巻の方は上巻の続きの…

  • 仕事ができる人の最高の時間術

    著:路カズヤ 本書には、前半に大前研一の言葉として、次のようなものがあると紹介されてある。 「人間が変わる方法が3つしかない。1つ目は時間配分を変えること。2つ目は住む場所を変えること。3つ目は付き合う人を変えること。どれか1つだけ選ぶとしたら、時間配分を変えることが最も効果的だ」 時間を効果的に使うことの重要さ、そのための意識変革、目標及び優先度の整理の方法といったことを説明している本。 著者は自営のコンサル業を営みながら、成長企業の経営者や大企業のトップセールスに接していて、成功している人には次の3つの共通点があった、という。 1点集中で取り組んでいる とにかく始めている やり抜いている …

  • 売れる小説って、どう書くの?「ベストセラー小説の書き方」

    著:ディーン・R. クーンツ、訳:大出 健 「主人公をピンチに追い込む場合、同情するな」 「主人公につらくあたれ」 「困難は主人公の状況をさらに悪化させるものでなくてはならない」 小説家を目指す場合に知っておいた方がよいコツについてまとめたものである。この著者の全作品の出版総部数は2500万部を超えているとのこと。しかし、いきなり成功を収めたわけではなく、6年間便利屋としてポルノなどあらゆるジャンルものを書いて下積みを重ねたそうだ。なるほど、小説家としていろいろなものを書いて様々な経験をしてきたのだなということが納得できる充実した内容になっている。 分量はそこそこあるが、堅苦しい本ではなく、む…

  • 起業家を多く生み出してきた背景を創業者が語る。「リクルートのDNA―起業家精神とは何か 」

    著:江副 浩正 リクルートの創業者が、創業からの歩みを振り返りながらリクルートの起業家精神や経営方針について説明した本。 「自ら機会を創りだし、機会によって自らを変えよ」 最初に、以下のような経営方針について書かれている。会社は社員が方向性を同じくすることが重要だ。著者はもともとシャイな性格でカリスマ性もあまりなかったので、このような方針を、社訓や社是や心得を文章にして、社員教育にしていたという。 経営の3原則 ・社会への貢献 ・個人の尊重 ・商業的合理性の追求 経営理念とモットー ・誰もしていないことをする主義 ・分からないことはお客様に聞く主義 ・ナンバーワン主義 ・社員皆経営者主義(社内…

  • イノベーションのDNA 破壊的イノベータの5つのスキル (Harvard Business School Press)

    著:クレイトン・クリステンセン 、ジェフリー・ダイアー 、ハル・グレガーセン 、訳:櫻井 祐子 破壊的イノベーションをおこす方法を習慣的に個人と組織に組み込む方法について解説した本。 約30名の大物へのインタビューや5000名超のイノベーターへの調査結果を反映しているという。実際、ケーススタディーが豊富で、たくさんの事例が紹介されている。 そういった著者達の研究成果によると、イノベーションを生み出す能力は後天的な要素の方が強いそうだ。 本書では、革新的なアイディアを生み出すためのモデルは、以下の要素で構成されていると紹介されている。 1.イノベーションに取り組む勇気・現状に異議をとなえる・リス…

  • 優れた発想はなぜゴミ箱に捨てられるのか? 限界を突破するTOCイノベーションプロセス

    著:岸良 裕司 「ザ・ゴール」で有名になったTOC(Theory Of Constraint)をベースにイノベーションを起こす「E4V」という手法について説明した本。以下のような3つのステップで成り立っている。 1.価値を作る ・価値を見つける3つの目 ・WOW!カタログ ・WOW!ロードマップ 2.価値を伝える ・変化の4象限 ・市場の教育 3.実現への道のりを創る ・仮定の検証 ・ミステリー分析 ・ODSC ・バックキャスト工程表 ・断れない提案 ワークショップの手法として実践されてきた内容をまとめている。進行には以下のようなワークシートを使ってゆく。 マイナス・マイナスの「顧客の目」ワー…

  • ザ・ゴール2 コミック版

    著:エリヤフ・ゴールドラット、岸良 裕司、青木 健生、イラスト:蒼田山 「ザ・ゴール」の続編。コミック版である。前作で閉鎖寸前だった工場の立て直しを行った主人公が、多角事業本部長として業績の冴えない3つの多角化事業の再建に取り組むというストーリーである。 ポイントは「思考プロセス」。「クラウド」を描きつなげて対立関係をはっきりさせ、解決策を模索する。特に、ある行動によって引き起こされるネガティブな可能性を図にした「ネガティブブランチ」は重要。 複数の条件が重なっている線同士には細長い囲み線を描いて「かつ」を意味する連結関係を示す。 そもそも問題というものは、「原因」がありその「結果」あるいは原…

  • 「ザ・モデル」とは何なのか。どうすれば効果を出せるのか。「ザ・モデル」を日本に導入した人がじっくり説明

    著:福田 康隆 SaaSやサブスクリプションが重要となってきた現代のビジネスオペレーションの方法論について解説した本。「ザ・モデル」というのは、その中核を占める体制のあり方と方法論で、具体的には以下のような分業および連携の体制を指す。 1.マーケティング:キャンペーン等を通じてリードを獲得する。 2.インサイドセールス:電話を中心にリードのクオリファイを行う。 3.営業:クオリファイされた見込み顧客と交渉して受注につなげる。 4.カスタマーサクセス:お客様をつなぎ留め、継続契約やアップセル・クロスセルにつなげる。 重要なことは、今まで日本では営業マンの勘と経験に頼りがちだったビジネスプロセスを…

  • トウガラシの歴史 (「食」の図書館)

    著:ヘザー・アーント アンダーソン、訳:服部 千佳子 インド料理、タイ料理、メキシコ料理、四川料理、韓国料理、他。今や、トウガラシ無しでは考えられない料理は世界中にある。 しかし、トウガラシが発見されたのはコロンブスがアメリカに到達して以降のこと。しかも、当初は観賞用や医療用としての注目が主だった。つまり、トウガラシがアメリカ大陸以外に根を下ろしたのは、人類の歴史から考えればごく最近のことなのである。 トウガラシはナス科の植物。世界で400種類くらいの栽培品種がある。辛さの源はカプサイシンという二次的代謝物質で、動物に食べられるのを避けるための工夫とみられる。ただし、鳥はカプサイシンを感じない…

  • ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70

    著:株式会社アンド ビジネスモデルの本はいくつも買ってきたが、これは今まで手にした中で一番良い。 良い点1:オールカラー 印刷の質が良く、オールカラーで、きれいで、とにかく見やすい。疲れない。 良い点2:まとまりが良い それぞれが、見開きで、ビジュアル化された「フレームワーク」、「基本情報」、「使い方」、「思考が加速する問い」の4つによって構成されている。特に、「思考が加速する問い」が意外に良い。フレームワークと説明だけなら、ふーん、で終わってしまうが、問いかけをしながら見ることで理解が深まる。 良い点3:ダウンロードできるファイルが良い この本は、フレームワーク集をネットからダウンロードして…

  • スタートアップ入門

    著:長谷川 克也 「東京大学アントレプレナー道場」の講義内容を本にしたものである。起業を目指す東大生向けの講座というと高度で難しい内容では?と思ってしまうかもしれないが、経営やマーケティングや資金調達の基本知識の無い若い理系の学生にスタートアップの基本から教えるという趣旨のものなので、けして難しい内容ではない。一般的な社会常識を持った人であれば、文理関係なく読めばわかる、といった内容になっている。 イノベーションとは何か、どうしてスタートアップの起業家が求められているのか、スタートアップは中小企業の起業とは何が違うのか、というようなことから始まっている。 シリコンバレーのスタートアップのエコシ…

  • 朝鮮王公族―帝国日本の準皇族 (中公新書)

    著:新城 道彦 朝鮮王公族についてまとめられた本。朝鮮王公族については今までも宮家や華族を扱った本で一部取り上げられたりしてきたが、これだけで一冊になっているものはなかなか貴重である。 結論から書くと、大変真摯に書かれてあり、当時の日本と朝鮮の関係を準皇族という軸から知る上で有意義な本となっている。 財政破綻している朝鮮を併合することによる経済的な負担への懸念が強くあり、実際にその懸念は現実となったものの、1910年8月に日本は安全保障上の理由を優先して朝鮮を併合する。 朝鮮併合の過程で、日本側は西洋式の主権国家の手法を重視しつつ、大韓帝国皇帝一族李氏の懐柔と扱いに神経を使う。 朝鮮側の交渉役…

  • だれでもカンタンにできる資産運用のはじめ方

    著:まがい まさこ カラーで、図解や絵が多く、特に前提知識も不要。とてもやさしく書かれた資産運用の本である。「ああ、こんなレベルの本か」と、手に取ってすぐ戻そうと思った。しかし、ぱらぱらめくって、最後の「資産運用NG集」というのが目に入り、これがちょっと面白かったので、取り上げることにした。 この「資産運用NG集」には以下のものが取り上げられており、常識的で書きぶりも丁寧だが、結構はっきりとダメだししてある。 売れ筋ランキングのファンド → “売れ筋”ではなく、”売り筋”のファンド テーマ型ファンド → たいていのテーマは長続きしない 損失限定型・元本確定ファンド → 「たくさん食べたい、でも…

  • SDGs入門 (日経文庫)

    著:村上芽、渡辺珠子 近年、日本でも浸透をみせているSDGs(持続可能な開発目標)について説明し、社会貢献の伴うビジネスやイノベーションの例を紹介した本である。新書サイズで、一般向けに書かれており、特に前提知識が無くても読める。 SDGsは、貧困を終わらせ、地球を保護し、すべての人々が2030年までに平和と繁栄を享受することを確保するためのアクションへの普遍的な呼出しとして、2015年にすべての国連加盟国によって採択された。以下の17のグローバル目標と169の達成基準より構成されている。 1:あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる 2:飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持…

  • 週刊ポスト 2019年 9月13日号 [雑誌] 『韓国なんて要らない』の記事の中身と、在日作家や内田樹ら知識人たちの、この雑誌の編集部との対決ではなく、あえて小学館という会社に狙いを定めた巧みな圧力戦術

    この「週刊ポスト 2019年 9月13日号」は、「韓国なんて要らない」という特集が掲載されている。 在日作家の柳美里、両親が在日韓国人の深沢潮、さらに何人かの知識人と呼ばれる人たちが、「小学館とは二度と仕事をしない」と宣言して物議を呼び、これを受けて小学館が「お詫び」を発表した号である。 紙媒体で買ってもたいした値段の雑誌ではないが、Kindleだと400円もしない。これだけ非難を浴びるほど問題のある内容なのであれば、ぜひ読んでみようと思って買った。 ところが、実際に読んでみて肩透かしをくらった。なぜなら、どこからどう読んでもまともな記事なのだ。 GSOMIAの破棄はむしろ北朝鮮と対峙している…

  • スマホ決済の選び方と導入がズバリわかる本

    著:小宮紳一 日本は海外に比べて現金への信頼が厚く、日常の決済における現金比率が高い。しかし、現金はATMの費用や数えたり運んだり扱うための社会的なコストが高く、キャッシュレスに慣れた年間3000万人を突破した外国人観光客の不満もあることから、我が国は2020年を目標にキャッシュレス決済の推進を掲げた。 クレジットカードや電子マネーについては日本でも生活に浸透してはいるが、現在ホットなのはQRコードアプリを中心としたスマホ決済である。政府は決済手数料の高さでキャッシュレス化に二の足を踏んできた中小の小売店への優遇策も用意した。 PayPay, LINE Pay, au PAY, d払い, Or…

  • 週刊東洋経済 2019年8/24号 [雑誌](マネー殺到! すごいベンチャー100)

    ベンチャー投資が伸びている。アメリカや中国に比べればまだ立ち遅れたとはいえ、2018年の日本のベンチャー投資の資金調達額は3880億円で5年前の4倍以上。1社あたりの調達額も増えている。 この号の週刊東洋経済では、日本のベンチャーの最新状況を、編集部が選んだ以下のような分野の「すごいベンチャー100」とともに紹介している。 医療・ヘルスケア、モビリティ キュア・アップ、カケハシ、リンクウェル、ニューロスペース、Activaid ティアフォー、A.L.I.Technologies、Luup、glafit 宇宙、法務、物流、行政、アート GITAI、LegalForce、オープンロジ、Shippi…

  • 海上自衛隊「いずも」型護衛艦 増補改訂版 (新シリーズ世界の名艦)

    F-35Bを搭載して固定翼機を運用することが決まった海上自衛隊の誇るヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」と同型の「かが」について解説した本。過去の「世界の名鑑」などの記事を中心に再編成されており、ムック本サイズ。写真が多く掲載され、白黒ページもあるが、カラー印刷のページの方が多い。 「いずも」型は「ひゅうが」型に続く空母型のDDHである。海上自衛隊の過去最大規模の艦艇で、哨戒ヘリコプターが14機搭載できる。大型化の背景としては、ロシアの脅威だけでなく、中国の軍事大国化がある。中国が独自に定めて周辺国の軋轢の原因となっている九段線のある南シナ海との連携や、インド洋での友好国との連携といった任務も期…

  • 5Gビジネス

    著:亀井 卓也 スマホの通信環境を大きく改善した今までの4Gに代わって、5G通信がいよいよ登場する。本書は、5Gは今までと何が違うのか、どういう可能性があるのかを、一般向けに説明した新書である。 5Gが浸透した社会の例をまず簡単に説明した後、5Gの技術的な特徴として以下のようなことが挙げられている。 (1)大容量高速通信 今まで移動体通信での活用が難しかった「サブロク帯」と呼ばれる高い周波数帯の活用(3,7GHz帯, 4.5GHz帯, 28GHz帯) 基地局のアンテナを集積するMassive-MIMOや、ビームフォーミング (2)超信頼・低遅延通信 4Gの10分の1にあたる1ミリ秒の遅延 C/…

  • TECHビジネス大全 (日経BPムック)

    編集:日経 xTECH フードTech、ファッションTech、リテールTech、FinTech、物流Tech、生産Tech、農業Tech、畜産Tech、水産Tech、インフラ・建設Tech、教育Tech、インシュアTech、医療Tech、スポーツTech、交通Tech。こういった、なんとかTechの事例をたくさん集めて、一冊の本にしたもの。ムック本サイズ。 ネタはすべてITの雑誌である「日経コンピュータ」に掲載されたものである。ただ、2017年後半からの記事なので、それほど古くない。また、すべてオールカラーで、写真や図解が多い。 関係者のインタビューも適時入っていて、国土交通大臣、クボタ社長、…

  • これからの「正義」の話をしよう

    著:マイケル・サンデル、訳:鬼澤 忍 「正義と不正義、平等と不平等、個人の権利と公共の利益が対立する領域で、進むべき道を見つけ出すにはどうすればいいのだろうか。この本はその問いに答えようとするものである」。 著者は、政治哲学を専門としており、ハーバード大学で人気の「Justice(正義)」の講義を担当している。本書は、その講義から誕生したものだ。 大きくは次の3つの理念を意識しながら、市場、自由、倫理、権利、義務、個人と国家の関係、宗教において、相反する考え方や具体例を紹介しながら、現代における正義のあり方について読者に自主的に考えさせる内容になっている。 ・幸福の最大化・自由の尊重・美徳の推…

  • 鉄の棺―最後の日本潜水艦

    著:齋藤 寛 「魚雷という奴は、普通の人は、ボタンを押せばどんどん簡単に飛び出していくもんだと思っているんですからね。...魚雷は精密兵器なんですよ。ちょっとでも狂っていれば駄目なんです。あいつを手掛けていると生き物って感じですね」。 ノンフィクション。敗色が濃厚となってきた太平洋戦争終盤の昭和19年8月から伊号第56潜水艦で勤務した軍医が残した記録である。戦後、3度も映画化されたという。それだけのことはある。壮絶な内容だ。 レーダを駆使した、質量共に圧倒的な米海軍の警戒網に侵入して行う作戦行動。なんといっても、敵駆逐艦に取り囲まれ、連日続く攻撃にひたすら耐えたときの潜航の様子が物凄い。 位置…

  • 図解入門よくわかる 最新PMBOK第6版の基本

    著:鈴木安而 プロジェクト管理の標準である「PMBOKガイド第6版」の翻訳版を手掛けたリーダがPMBOKについて解説した本である。 索引も入れると480ページもあり、かなりぶ厚い。ただ、図表を交えながら体系的によく整理されており、読みやすくまとめられている。 PMBOKについて全く知らない人がいきなりこれで独習するというのは敷居が高いが、ある程度の知識を持っている人が読むにはとても良い。全体の構成としては、以下のようになっている。 第1章 PMBOK ガイド総論 第2章 プロジェクトとプロジェクトマネジメント 第3章 プロジェクト・マネジャーの役割 第4章 プロジェクトの運営環境 第5章 10…

  • ザ・ゴール コミック版

    著:エリヤフ・ゴールドラット、ジェフ・コックス、監修:岸良 裕司、絵:蒼田 山 ベストセラーになった「ザ・ゴール」で説明されている、全体最適のマネージメントを行う制約理論(TOC:Theory of Constraint)をマンガにしたもの。 3ヶ月以内に改善できなければ閉鎖される工場を舞台としたストーリ仕立てになっているが、説明されている骨子は以下のようなものになる。 工場が生産的かどうかを見る指標・スループット・在庫・業務費用 どの工場にもおきる2つの事象・依存的事象・統計的変動 5つの集中ステップ・ステップ1 制約を見つける・ステップ2 制約をどう徹底活用するかを決める・ステップ3 他の…

  • エンジェル投資家 リスクを大胆に取り巨額のリターンを得る人は何を見抜くのか

    著:ジェイソン・カラカニス、訳:滑川 海彦、高橋 信夫 「10億ドルの会社を選ぶのではない。10億ドルの創業者を選ぶのだ」。 「誰も実現性を信じなかったプロジェクトに対して小切手を書くのがエンジェル投資家としての私の仕事だ。これ以上スリルのあるギャンブルは世界中探しても存在しないだろう」。 「この世界には2つのビジネスがある。とてつもなくスケーラブルなビジネスとそれ以外だ」。 「ウソで始まった関係は必ず涙で終わる。妄想なら受け入れていいが、ウソには絶対に近づくな」。 よちよち歩きのスタートアップ企業への投資は普通の投資とは全く違う。リスクは非常に大きく、多くが失敗する。投資先200社のうちの1…

  • コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす

    著:オーデッド・シェンカー、訳:井上 達彦、遠藤 真美 イノベーションを称揚する本はたくさんある。そこで取り上げられている事例の多くは、ユニークなビジネスモデルや、尖った発想と技術である。しかし、本書はそれらの本とは異なり、あえて模倣に焦点を当てている点に特徴がある。 多くの人や企業がイノベーションという考えに魅了され賞賛している一方で、模倣にはどこかマイナスのイメージがつきまとう。しかし、実際はどうか。ディズニー、VISA、IBM、ウィルマート、アップル、グーグルというような優れたイノベータと思われている企業も、模倣者としての歴史を持つ。 本当に画期的なイノベーションは、ビジネスとしての成功…

  • 億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術

    著:メアリー・バフェット、著:デビッド・クラーク、訳:井手 正介、訳:中熊 靖和 「バフェットの投資は悪材料で売る一般投資家や投信のマネージャの裏をかく戦法だ。そのためには狙った企業の営む事業が健全であるだけでは十分ではない。高収益をあげる能力を秘めていなければならない。単に底値で拾うのが目的ではないからだ」。 バフェットの銘柄投資に関する本はいくつもある。その中で本書の特徴は、バフェットの投資基準をいくつかのポイントに分類した上で、それぞれについての解説とワークブック形式の自習問題でそれを理解するという形になっている点にある。 要点をうまく整理してまとめてあり、分かりやすく、分量もさほど多く…

  • 1992年に登場してから読み続けられている名著。「ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学」 (中公新書)

    著:本川 達雄 ネズミであろうとゾウであろうと、哺乳類の一生の心臓の拍動数は約20億回。呼吸する回数では約5億回。動物の種類は関係ない。こういったような、生き物のサイズと特徴の関係を説明した本。 肉食獣は草食獣の10倍の行動半径を持つ。一方、草食獣の密度は肉食の16倍ある。飛ぶためには大きなエネルギーが必要だが、速く飛べるのでコスト効率は意外に良い。 体の体重と表面積の関係から計算できる値と、実際の比較グラフが持つ意味は深い。表面積の3/4乗及び体重の1/4乗との比例関係。体のサイズが大きいと、恒温性を保ちやすく、体重あたりのエネルギー消費量が減る。飢えにも有利で、乾燥に強く、捕食されにくくな…

  • 古代史散策ガイド 巨大古墳の歩き方

    監修:大塚 初重 日本には20万とも25万ともいわれる古墳があるそうだが、百舌鳥・古市古墳群をはじめとした日本の代表的な古墳とその歴史について一般向けに解説した本。143ページ中110ページまでがカラー印刷。 古墳とはどういうもので、どのような種類があり、全国各地の代表的なものとしてはこのような古墳があるといった紹介、古墳が作られた時代の説明といった内容である。 今城塚古墳。藤ノ木古墳。埼玉古墳群。高松塚古墳・キトラ古墳、西都原古墳群。虎塚古墳のように、内部に赤い装飾が施されているものもある。 率直に言って、それほど深い内容の本ではない。ただ、世界遺産で盛り上がっているが、実物は、巨大古墳は近…

  • 海外で研究者になる-就活と仕事事情

    著:増田 直紀 海外の大学で研究室のボス職(PI: Principal Investigator)になる方法と、その実際について書かれた本。 イギリスの大学で研究職を得て、さらにアメリカの大学に移ることになったという著者の経験が元になっている。加えて、世界各国でPIの職を得ている日本人研究者17人にインタビューを行い、それぞれの経験や国ごとの違いについても反映してある。日本が特殊というのがあるのだろうが、韓国、中国、香港、台湾、シンガポールといったアジアの国・地域でも欧米型のところが多い。 海外でPI職を得ることのメリットとして、大きく3つが挙げられている。まず、若くして独立して研究室を運営で…

  • 哲学者カントの知見。「永遠平和のために」

    著:イマヌエル・カント、訳:池内 紀 「隣り合った人々が平和に暮らしているのは、人間にとってじつは『自然な状態』ではない。戦争状態、つまり敵意がむき出しというのではないが、いつも敵意で脅かされているのが『自然な状態』である。だからこそ平和状態を根付かせなくてはならない」。 ドイツの哲学者イマヌエル・カント(1724-1804)の「永遠平和のために」を、手に取りやすい形にした薄い本である。 まず、最初の50ページは、いくつかの印象的な言葉を選んで日本の3人の写真家の桜や原爆ドームの作品に並べて大きく掲げてある。カントの意図にどれだけ沿ったものかは議論が分かれるところだろうが、この前半部分は、まる…

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