紀元66年に起こったユダヤ戦争についてもう少し述べます。ヘロデ大王の死後は、ユダヤ属州はローマの総督によって支配されていましたが、ヘロデ大王の孫であったアグリッパ1世は巧みにローマ側にすりよって、41年にユダヤの統治を委ねられることになります。このアグリッパ1世が44年に病死すると、再びユダヤ地方はローマの直轄地となりました。ローマ帝国は基本的に被支配民族の文化を尊重し、統治者としてバランスのとれた巧みな統治政策でしたが、迷信、民間宗教がうごめく多神教文化で、一神教を奉ずるユダヤは特殊な文化を持った地域でしたから、その帝国支配に対してユダヤ人のローマへの反感は日増しに高まっていきました。ヨセフスのユダヤ戦記によると、「ユダヤ戦争」が勃発した引き金は、カイサリアにおけるユダヤ人の殺害でした。当時のユダヤ属州...新約聖書の世界47新約聖書時代背景07新約時代の幕開け07イスラエル王国の命運06エルサレム陥落