そろそろ、ぬか床やな。と妻が言ったのは、四月か五月だったと思う。 よっしゃよっしゃ。敬虔なぬか漬け教徒である私は、たいそう喜んだ。恥ずかしながらこのとき知ったのだが、ぬか漬けは夏の食べものなんだそうな。へえ。そうなんですか。年中おいしいのに。てゆうか、冷蔵庫で漬けるんだから夏も冬も無かろうよ。慣習に囚われず、年がら年中漬けてくれ(私が勝手にぬか床を用意すると冷蔵庫が汚れると言って怒られるから、しない)。 日は経って、二日前。 冷蔵庫の奥底で発掘した。ぬか床のことなんてすっかり忘れてた。そういえばそんな話をしたっけかね。中をゴソゴソしてみれば、萎びたきゅうりが三本ご在住。ちくしょうめ。抜け駆けか…
凶犬の眼 「孤狼の血」シリーズ (角川文庫)作者:柚月裕子発売日: 2020/03/24メディア: Kindle版『狐狼の血』の続編である。へえ、こういう感じで続かせるんだ。 と思った。頁をめくる前に予想したのは、舞台が同じで主人公を変えるパターンだった。前作がきれいに完結していたから、視点を変えなければ物語をつなげようが無いと思ったのだ。だが、実際は逆で、主人公は同一で舞台が変わっていた。 解説によると、前作は広島抗争で今作は山一抗争を下敷にしているとある。言われてみればたしかに山一抗争をなぞったようだ。はてさて。うーん。 なんていうか、規模が大きすぎる気がするなあ。 舞台が広いのと時の移り…
走るのが好きじゃないと少し前に書いたばかりだが、いちおう走っている。 ただし、一生懸命だとか、私なりにがんばるといったふうな走り方はやめた。私の場合、けっこうな頻度で夏場のジョギング後に頭痛が起きる。痛みが生じるとその日はもう駄目で、夜中まで頭を抱えて過ごすようになる。原因はよくわからないが体調の問題ではないように思う。事前に朝食を摂ろうと睡眠時間が充分だろうと前日に酒を抜こうと、痛むときは痛むのである。いまになって振り返ってみれば、子どもの頃も部活の後に頭痛で悩むことがあった。熱中症という言葉が流行る前から、私は熱中症に悩んでいたようだ。こうして私は、(こりゃもう、体調じゃなくて体質なんだな…
夜、妻と次男坊が実家に行き、不在した。 いつもなら同行する長男は、私と留守番だ。長男が居間で英語の勉強をはじめた。 邪魔にならない程度に眺める。小学生の英語のお勉強は筆記よりも音読を重視するらしく、声が聞こえる。whereの単語があらわれると、それに引っ張られるように we areの読みがおかしくなっている。ま、がんばりたまえ。と思う私の内心は、(居間で勉強すんな。勉強は自室に篭って孤独な環境でやれ)であったり、(英語なんていまからはじめなくていいよ。それよりも理科と社会をがんばりなさい)であるのだが、学校教育にケチをつける度胸はないし、私個人の信念に息子を巻き込む覚悟もないから、言わない。 …
三十分と少し走った。真夏のジョギングは、残念ながらあまり楽しくない。身の危険を天秤に掛けてまで私は走らなきゃいかんのかしら?と思いながら走った。おそらく、私は走ることがそれほど好きではないのだろう。汗をかきたくて走っているだけなのかもしれない。だから、黙っていても汗をかく夏場には走る欲求が失せてしまうのだ。なんとなくそんな気がする。 走り終えたら昼食を。 きょうはツナサンドイッチの日だ。長男に任せた玉ねぎの微塵切りは、あまり微塵になっていない。ああもう!と天を仰いだ。だが、ここで注意したり出しゃばったりしたら長男が料理嫌いになってしまうおそれがあるので、そのままにしておく。どうせ食うのは我々だ…
警察小説は割と好き。極道小説はもっと好き。 孤狼の血 「孤狼の血」シリーズ (角川文庫)作者:柚月裕子発売日: 2017/08/25メディア: Kindle版いやあ。ほんとうに良い小説をつかまえた。僥倖ですよ。僥倖。巡りあいに感謝です。アンテナは低い(けど、避雷針だけはたいそう立派な)私にしては上出来に過ぎた。作家買い決定なんじゃないでしょうか。しばらくの間は、この作家を信じていればハッピーまちがいないような気がする。適度なハードボイルド具合がたまらなく良い。 と、言ってもだ。実は、本屋でこの本を手に取った私はうんうん唸っていたのである。文字どおり、うんうんうんうんと。けっこう悩んだ。そりゃま…
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