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2017/11/17

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  • 110

    クリスマス当日。類と麗は9時に葉山に着いた。「それにしても類君が自分で起きる日が来るなんてね。何時も昼まで寝ていたのにねぇ。」「俺自身ビックリ。 でも寝るより楽しい物を見つけたから。」「ふふっ。 つくしちゃんに感謝ね。」「ん。」家に入るとつくしも既に準備を終えたいた。いつもと違いおめかしし、髪もピンで止めている。もちろん首元には初江に貰ったマフラーを巻いている。「まあ、つくしちゃん。凄く可愛いわぁ...

  • 109

    今年のクリスマスイブは金曜日。大学の講義も4限が休講になり、3限が終わると同時に教室を飛び出した。というのも休講を知った類からメールが入っていたからだ。<母さんが帰国した。 一緒にクリスマスを祝いたいし、お婆さんにも会いたいからって事で一緒に葉山へ行く。14時30分に門を出たところの花屋の前付近で待ってるから一緒に行こう。車のナンバーは330>つくしはダッシュで門を出ると、確かに花屋の前に黒い車が...

  • 108

    司がNYへ旅立った翌日、久しぶりに麗が帰国した。「母さん。」類はびっくりだ。帰国するとは一言も聞いていない。もちろん今まで事前連絡があったことはないのだが。「類君。 久しぶり。 元気にしてた?」「まあ。 それより今回は何の帰国? いつまで?」麗は類の問いに今までとの違いを感じる。邪魔者扱いでさっさと帰って欲しいようだ。もちろんその理由も判る。「正月までの予定よ。 聡さんも数日後に帰国するわ。」「父さ...

  • 107

    つくしは急ぎ足でB棟裏へ向かう。するとそこに類が居た。「牧野。 こっち。」「うん。」つくしは類の後ろを追う形で細い道を歩く。そして高いフェンスに突き当たったが、類は慣れた手つきでフェンス横のボックスに学生証をかざすとカシャンとロックが外れた。そして取っ手を手前に引くとドアが開いた。「すごい!というかこんな場所、初めて知ったんだけど?」類は肩をすぼめる。「普通、高等部へ行くときは警備員のいる通路を使...

  • 106

    ラウンジでは司が三人を前に、昨夜からの事を話していた。その表情は諦めといった感じだ。「昨夜、突然ババァが帰ってきてよぉ。明日の夜にはNYへ行くから準備しろ!と突然言うんだぜ。」「という事は今夜か?」「あぁ。 まあ来年から少しずつ仕事を始めるとは聞いていたが、少し早まった感じだ。」「という事は大学は留学か?」「いや、NYの大学に編入するらしい。」「という事は英徳大卒という肩書じゃなくなるんだな。 なんか...

  • 105

    もうすぐクリスマスという昼休み。つくしはアナウンスで事務室に呼び出された。何だろう?と思いつつ向かうと、事務室の奥に通され更にドアを抜けた先のドアの前で立ち止まる。プレートには<来客室>と書かれている。「少々お待ちください。」とつくしに断りを入れ、事務員がドアをノックした。「牧野つくしさんをお連れしました。」『入ってもらいなさい。』その声に事務員がつくしを促す。何事?と思いつつも、事務員が明けたド...

  • 104

    買い物を終え自宅に戻った類とつくし。早速買ってきた毛糸を祖母に渡したのだが、その時机の上のパンフレットに気が付いた。「これ何?」「あぁ。 二人が買い物へ行った後、信夫が来たのよ。 悪いけど捨てておいて?」「うん。」つくしは信夫に対し腹が立つ。自分に勧めるだけではなく、こうして祖母にも勧めた事実に。「おばあちゃん! ここはおばあちゃんの家なんだから、施設に入る必要なんてないんだからね!」「あぁ、分か...

  • 103

    大型スーパーに着いた類とつくしは、車から降りると再び手を繋ぐ。「なんか恥ずかしいね。」「ん。 でも嬉しいし見せびらかしたい。」「ふふっ。 見せびらかしたいって///。 大丈夫。 類が目立ってるから皆が見てる///。それより早く買い物しよう? おばあちゃんが待ってるから。」「ん。 じゃまず毛糸を買おうか。」二人は手芸屋へ向かうと毛糸を探す。カシミヤの極太といっても数種類ある。その中から二人で相談し、肌触り...

  • 102

    「牧野の気持ちが整うまで待っていようと思ったけど止めた!だってさ、こんなに嫉妬するとは思わなかったから。昨日、牧野に電話しようかメールしようかずっと悩んでたんだけど、それって大人な俺を見せたいというか動じない俺を見せたいというか、とにかくカッコつけたかった。けど本当は全く逆で、何をプレゼントしたのか、なんで家まで行ったのか、何より俺に一言の連絡もないのか?と思っててさ。連絡がない=友達以下なんじゃ...

  • 101

    9時前に葉山へ着いた類はインターホンを押す。『は~い。 開けるね。』カチャンと鍵が開き、類はサッと中に入った。そして駆け足で家へ向かった。「おはようございます!」「早っ! さっき鍵を開けたところだよ? あっ分かった。 寒いから走って来たんでしょ?ほらっ、早くコタツに入って?」「あい。 あっ、これ佳代から持たされた。 うちに来たお歳暮のお裾分け。」類は紙袋をつくしに渡す。「ありがとう。」「薄切り肉ら...

  • 100

    花を生け終えたつくしは、弟子たちの「お茶でも」という申し出を丁重に断る。明日の準備で忙しい中、長いは無用と思ったからだ。だが当初の約束通り、葉山の自宅まで送るという申し出はありがたく受け取った。もちろん総二郎は準備の為家から離れることは出来ず、玄関先でつくしを見送る。「すげぇ助かった。 毎回でもお前に頼みてぇぐれぇだ。」「あははっ、大袈裟だよ。 でも家元夫人が帰宅したら替えてもらってね。茶花は全く...

  • 99

    大学の昼休み。つくしは大島と昼食を食べていた。その時、つくしのスマホがSNSの着信を告げた。表示を見ると総二郎からだ。「ちょっとごめんね。」つくしは大島に断りSNSを開く。「急で悪いんだが、今日時間とれねぇか?」こういうSNSは初めてだ。学園祭以降もたまにSNSが入ったが、どれも茶会で行った先の風景だったリ、お菓子の写真ばかりだった。「ちょっとごめん。 電話してくるね。」「おばあちゃんに何かあった?」「ううん...

  • 98 第五章

    12月に入った。大学の講義中に突然スマホが振動を始め、つくしはチラッと画面を見る。すると<門のロックが開錠されました>という表示が目に飛び込む。確かに今日はデイサービスの日だが帰宅はいつも16時頃。だが今は13時。祖母に何かあったのだろうか?と思うが、デイから連絡は来ていない。おかしいと思いながら監視カメラのアプリを起動させる。すると伯父の姿が映った。何で伯父が?おばあちゃんはデイサービスに行ってい...

  • 97

    翌日曜日。昼前に伯父の信夫が葉山の家を訪れた。「お母さん。 英徳の学園祭へ行かれたそうですね。」「幸子から聞いたの? つくしが生け花を披露するという事で行ったのよ。学園祭期間中は、その生け花が見られるそうだから、お前も行くのならぜひ見てきたら?どの作品もかなりの腕前でそれは素晴らしくてね。」「生け花なんてどうでも良いんです。幸子が言うには、お母さんの隣にF4という方達が居たそうですね。」つくしは二人...

  • 96

    葉山に戻った3人。「先に雨戸を開けてくるね。 花沢さん、おばあちゃんを頼んでも良い?」「ん。 良いよ。」つくしはサッと門を潜ると走って家へ向かった。その後ろを類が初江の車いすを押しながらゆっくり門を潜る。「すみません、類さん。 つくしったら良いように類さんを扱って。」「いえ。 これぐらいなんでもないです。 というより嬉しいです。俺に気を遣っていない証拠ですから。」「それに学園祭では特等席を用意して...

  • 95

    ダイニングへ行くと、タマがメイド姿で迎えた。「おはようございます!」「あぁ、おはよう。 早いねぇ。 庭はどうだった?」「もの凄く綺麗でした。 温室も色とりどりで沢山の種類があって感動でした!ねっ、おばあちゃん!」「えぇ。 凄く良かったです。 冥途の土産になりました。 ありがとうタマさん。」「何言ってんだい! 10年は若返ったというもんだろ?」「確かに、、。」初江とタマは笑いあう。そこにF4が眠そうな...

  • 94

    夕食は会席料理を思わせるような和食だった。「ホントにホテルみたい。 毎日こんな料理を食べてるんだ。」「曜日によって和洋中に分かれてんだ。好き嫌いを無くすためと、ある程度の料理名を覚える為にな。仕事を始めるとどうしても食事をとりながら交渉する機会があるんだ。その時、料理の感想などを話すことで場が和むし、交渉もスムーズに運ぶだろ?」「へぇ。 すごいね。」つくしはそういう意味がある事を知らず、単にお金持...

  • 93

    つくしが初江とタマの元へ向かった後、あきらが揶揄うように類に告げる。「それにしても類! お前変わったな。静の時は俺たちの誰かと二人っきりで出かける話をしても何も言わなかっただろ?でも牧野の時はすぐ反論してさ。まあ就職先は一生の物だからかもしれないけどさ。」あきらに続き総二郎も本音を告げる。「揶揄っている事にも気づかなかっただろ?まあ俺としては牧野なら大歓迎。 本当に来てもらいてぇ。」「ん。 変わっ...

  • 92

    タマと初江は昔話から自然に主人との馴れ初めに話は移り、そこからタマは司の幼少期から現在に至るまで、そして初江はつくしの両親の話から今に至るまでを話していた。「坊ちゃんも根は優しい子なんだがねぇ。道明寺という大きな重圧を幼い頃から背負わされ、少しずつ性格が歪んでいったんだろうね。まあ最近は落ち着いているんだが言葉遣いと態度だけは直らないねぇ。」「でもタマさんには優しいし労わってますよね?初めお二人を...

  • 91

    類はここでつくしに確認する。「それで生け花に対しては自信が付いた?」「う~~ん。 微妙? ただ理解してくれる人がいる事が分かったし、その点では嬉しかった。」「そっか。」類は先ほどの説明と今の微妙という答えから、つくしがまだ『好き』の分類を決めかねていると分かる。「まあ今回は選んだ花がそれぞれ違うし、審査する方も難しかったんだろうなぁ。最後に審査員が要望していただろ?」「でも俺はかなりの腕前があった...

  • 90

    つくしの返事は想定内の物。ただ母親が息子の幸せを考えているとは思えない。だが両親を亡くしているつくしなら、そうであって欲しいという願望が込められていても不思議ではない。現に類の許嫁としてつくしを選んだのは類の母親。バックグラウンドも何もないつくしを選んだという前例がある。「分かった。 とりあえず今は振られてやる!」「仕方ねぇ。 とりあえず友人という事にしとくわ! バロメーターが必要だろ?」バロメー...

  • 89

    シーンと張り詰めた空気が漂い、つくしは緊張のあまり喉がカラカラだ。だがきちんと伝えようと口を開く。「えっと、、。今回生け花部門に出ることを決めたのは、従妹が推薦したから。詳しい説明もなく、祖母に生け花を習っているならそれなりの腕前でしょ?と言われて。」「お前の従妹つったら、篠田幸子か!」「そうだけど、、よく知ってるね。」つくしは、司が幸子を知っていた事に驚く。「そりゃあ、類の許嫁は誰だ?となって調...

  • 88

    司の部屋は、大きなソファーセットが設置され、壁には大型テレビがかけられている。それだけで20畳はあるかという広さ。そのソファーセットの下は毛足の長いフカフカのラグが敷かれている。その上を土底のままズカズカと歩き腰を下ろす四人。「えっ、、ちょっと待って! この上を靴で歩くの?」「あぁ。 気にすんなよ。 牧野も好きな所に座れよ。」躊躇うつくしに、あきらが告げる。「昔は無かったんだけど、ちょっと喧嘩した...

  • 87

    道明寺邸を見たつくしは、アングリと口を開ける。「ここが家?」「さようでございます。」花沢邸や美作邸もかなり大きい家だったが、その比ではない。その上、門の先には彫像が見える。それも一体や二体ではない。どこかの美術館のような感じだ。すると門が開きゆっくり車が入っていく。車窓から見る広大な庭は、バラが垣根のように整えられ圧巻だ。その先にホテルのような建物が見える。「もしかして、あれが家ですか?」「さよう...

  • 86

    「牧野? まだどこか他を回る?」「ううん。 あたしはもう良いかな? おばあちゃん、どこか他に見たいところある?」「いや。 特にないわよ?」初江の確認が取れた事で類に向き合う。「もう帰るね。 おばあちゃんも疲れているだろうし。」「良かったら俺ん家に来ない? お婆さんも一緒にさ。明日朝に葉山に帰れば、宅配弁当も受け取れるだろ?」類の申し出に司がすぐ異論を唱える。「だったら俺ん家にしようぜ! タマもいる...

  • 85

    類は隣の佳代に小声で告げる。「先に出る。 牧野が来たらA棟の101へ。」「かしこまりました。」類と総二郎は立ち上がる。それと同時に司とあきらも立ち上がり、四人そろって講堂を後にした。つくしは袖へ下がった後、近くの参加者に頭を下げすぐに裏口から出るとぐるりと周り、入り口から観客席へ向かう。そしてまっすぐ祖母の元へ向かった。「おばあちゃん!」「つくし! よく頑張ったね。」「つくしさん、おめでとう。 凄...

  • 84

    「感謝か。」「あれ俺たちの事じゃね?」司とあきらは、つくしの生け花を見てポツリと呟く。その隣で絵夢と芽夢も興奮気味で夢子に訴えている。「つくしお姉さまのお花凄い!」「クルンとなってる! クルン!」「そうね。 面白い生け花ね。」その夢子にあきらが話しかける。「牧野の作品、どう思う?」「そうねぇ。 あの花の中からこれだけの作品を作るんだから凄いわ!でもルールを無視してるのよ。 その点をどう評価するかよ...

  • 災害

    大雨の所為で大規模な災害が起こっています。皆様のお住まいは大丈夫でしょうか?暑い毎日ですし片付けもままらないと思います。私はテレビでその惨状を見る事しかできず申し訳ありません。こうしてお話をアップするのも悩むほどですが、明日は我が身。いつどこで同じような災害が起こるか分かりませんし、アップできるときにしておこうと思っております。暑い日々が続きます。皆様も熱中症には気をつけてください。8月は毎日更新...

  • 83

    机の上に花器を置いた後、つくしは花瓶を見る。沢山花の中から、一番目の師範は主材となる葉のついた枝を数本と、メインの花を二本、そしてあしらいとしてメインとは違う色の花を数本抜き取った。それを持ち、自分のテーブルへ戻るとその花を横に置いた。生けるのは皆が揃ってからという事らしい。次の人も同じように花を抜いていく。参加者は皆、どういう色の花を抜いているのかチェックしているのが分かる。同じ色合い、同じ種類...

  • 82

    司はイライラしていた。「なあ。 これって完全に牧野が不利だよな。入れ物も選ばせてもらえねぇし、花もかよ!」「毎年こういうスタイルらしいな。卒業する四年に花を持たせる趣向なんだろうよ。」あきらは冷静に答える。その冷静さに司は更に苛つく。「お前、知っていたんなら早く言えよ! 俺が何とかしてやったのによぉ!」「だから言わなかったんだよ! お前が介入すれば牧野との関係が疑われるかもしれねぇだろ?それに審査...

  • おやじギャグ

    暑い毎日ですね。そんな時、一瞬で部屋の気温を下げる方法が、、、、そうおやじギャグです。以前【僕の姉ちゃん by牧野進】の中の14話クックックッでお届けしたことがあるのですが、その第二段です。皆様は笑えますか? それとも室内の気温が一気に下がりますか?ではどうぞ。「こんにちは。」「あっ、類さん。 待ってました。 今日こそは勝ちますから。」「類さん。 こんにちは。 あのさ、数学で分からない問題があって、後...

  • 81

    生け花部門のアナウンスがあり、順にステージに登場する中、つくしは早くも緊張していた。こういう発表会は初めてだし、舞台に上がるのは小学校の卒業式時に卒業証書を貰った時以来だ。だが気持ちは前向きだ。一番は祖母に見てもらう事。二番は実力を認めてもらう事だ。決して優勝を望んでいるのではなく、最下位だとしても上手に生けていると褒めて欲しい一心だ。そうすることで自信に繋がり少しだけ並んで歩いても良いのかな?と...

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